概要
楕円曲線は
前提知識
- 04-algebra 代数学 第1〜9章:特に
第1章 整数と 、合同式 第2章 群の 、基礎 第5章 環と 、イデアル 第8章 体の (有限体)、第9章 ガロア理論。第10章 対称式・終結式・判別式 と 第11章 有限体拡大 も あれば 望ましい。 - 14-algebraic-geometry 代数幾何学:第2章 射影多様体 と
第8章 代数曲線と リーマン–ロッホの 定理 (第1〜3章で、因子と 第1章リーマン–ロッホの 定理を 使う)。第2章の 2.1 節では の ヤコビアン判定法も 使う。 13-commutative-algebra 第7章 離散付値環と :第2章・第6章。デデキント環 - 15-algebraic-number-theory 代数的整数論:第5章
進数と 局所体 (第3章の 3.10 節と 第6〜8章)、 第1章 代数体と と 第7章 類体論入門整数環 (第9章)。第8章の 第3章注意 8.21 では の 第6章類数の 有限性と 単数定理を、第7章の 問題 7.10 では の ディリクレの 算術級数定理を 使う。 19-riemann-surfaces リーマン面と :保型形式 第1章 リーマン面の 、第2章 楕円関数、第3章 モジュラー形式(第9・10章)。定義と 例
到達目標
一般の とワイエルシュトラス方程式の 不変量と 変数変換を 計算でき、非特異 不変量に よる 分類を 証明できる 弦と 接線に よる 群法則を 定義し、 を 用いて 結合 法則を 証明できる。加法公式で 有理点や 有限体上の 点を 計算できる 同種写像が 準同型である ことを 証明し、双対同種写像・等分点の 群 ・ヴェイユ対の 性質を 説明できる 有限体上の 点の 個数を 数え、ハッセの 定理 と 合同ゼータ関数の 性質を 証明できる ECDH・ECDSA の 正しさを 証明し、ナンスの 再利用や 汎用攻撃・ 特殊な 曲線への 攻撃が 何に 基づくかを 説明できる 局所体上の 極小モデルと 還元の 型を 判定し、導手と 小平記号を 読める ナゲル–ルッツの 定理を 証明して 上の ねじれ部分群を 決定し、メイザーの 定理の 内容を 説明できる 位数 2 の 有理点を もつ 曲線に ついて、2-同種写像に よる 降下で モーデル–ヴェイユの 定理を 証明し、具体的な 曲線の 階数を 計算できる 複素数体上の 楕円曲線を 格子と して 扱い、虚数乗法の 例と 類数 1 の 値を 説明できる L 関数・モジュラー性定理・BSD 予想の 主張を 正確に 述べ、導手 11, 37 の 曲線で 数値的に 確かめられる
学習時間の 目安と 進め方
全体で 100〜130 時間(1 章あたり 10〜13 時間)を 目安と する。大学院修士課程の 通年講義に 相当する。 章の 依存関係は おおよそ次の とおりである。 第1章 → 第2章 → 第3章 → 第4章(基礎。この 順に 読むこと) 第2・4章 → 第5章(暗号に 関心が ある 読者は、第3章は 主な 定理(定理 3.14・系 3.16・定理 3.23・定理 3.31 など)の 主張を 確かめる 程度に して、第4章・第5章に 進んでも よい) 第1・2章 → 第6章、第3・6章 → 第7章 → 第8章(有理点の 数論) - 第3章 → 第9章(19 第1〜3章
を 使う) - 第4・6・8・9章 → 第10章
深い 定理(モジュラー性定理、メイザーの 定理、BSD 予想に 関する 既知の 結果など)は 主張を 正確に 述べて 使い、証明を 省いた ことを 本文に 明記している。証明した 定理と 主張だけの 定理を 区別して 読んで ほしい。 各章の 数値例は 自分で 再計算する こと。手計算で 小さい 例を 確かめ、大きな 例は PARI/GP や SageMath で 確かめると よい。計算の 過程で、定理の 仮定(標数、極小性、非特異性など)が どこで 効いているかが 見えてくる。 演習問題は ★ を すべて 解いてから ★ ★ に 進むと よい。★★ ★ は 発展的な 問題である。
この 科目の 記法
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| , | |
| , | |
| 不変量(定義は Silverman, The Arithmetic of Elliptic Curves |
|
| , | 倍写像、 |
| ねじれ部分群 | |
| , | |
| 乗フロベニウス自己準同型 |
|
| , | |
| , | ヴェイユ対(第3章 定義 3.30。PARI/GP の ellweilpairing |
| , | |
| , , , , | |
| , | ellheight |
| , | |
| , | |
| (または ), | 導手 、L 関数 |
| , | セルマー群、テイト–シャファレビッチ群 |
| 1 の |
ヒント
gpE = ellinit([a1, a2, a3, a4, a6])ellinit([0, 0, 0, A, B]) または ellinit([A, B]))、E.disc, E.jelladd(E, P, Q), ellmul(E, P, n)elltors(E)ellglobalred(E)ellap(E, p) で 、ellgroup(ellinit([...], p)) で ellrank(E)ellheight(E, P)
参考文献
教科書
- J. H. Silverman, The Arithmetic of Elliptic Curves
(Springer) 大学院レベルの 標準的な 教科書。ワイエルシュトラス方程式・群法則・同種写像・有限体・局所体・モーデル–ヴェイユの 定理・降下法までを 扱う。本科目の 不変量の 定義と 記法は この 本に 合わせている。 - J. H. Silverman, Advanced Topics in the Arithmetic of Elliptic Curves
(Springer) 上の 本の 続編。楕円関数と モジュラー関数、虚数乗法、ネロン模型と テイトの アルゴリズムなどを 扱う。第6・9章の 発展に。 - J. H. Silverman, J. T. Tate, Rational Points on Elliptic Curves
(Springer)(邦訳『楕円曲線論入門』シュプリンガー・フェアラーク東京) 学部生向けの 具体的な 入門書。ナゲル–ルッツの 定理、2 等分点を もつ 曲線の モーデルの 定理、有限体上の 曲線、整数点などを、計算を 重視して 扱う。第2・7・8章の 副読本に 最適。 - L. C. Washington, Elliptic Curves: Number Theory and Cryptography
(Chapman & Hall/CRC) 整数論と 暗号の 両面から 楕円曲線を 扱う。標数 2, 3 の 場合や ヴェイユ対の 計算も 詳しく、第4・5章の 参考書と して。 - D. Husemöller, Elliptic Curves
(Springer) 形式群や ガロアコホモロジー、モジュラー関数まで 幅広い 話題を 扱う 教科書。 - A. W. Knapp, Elliptic Curves
(Princeton University Press) モーデルの 定理から モジュラー形式・ヘッケ作用素を 経て、谷山–志村予想と フェルマーの 最終定理への 道筋を 示す。第10章の 参考書と して。 - J. W. S. Cassels, Lectures on Elliptic Curves (Cambridge University Press)
進的な 方法と 降下法を 中心に 簡潔に まとめた 講義録。セルマー群・テイト–シャファレビッチ群の 入門に。 - N. Koblitz, Introduction to Elliptic Curves and Modular Forms
(Springer) 合同数問題を 導きの 糸に、楕円曲線・モジュラー形式・ヘッケ作用素・半整数の 重さの 形式へ 進み、タネルの 定理に 至る。第1・9・10章と 関係が 深い。 斎藤毅『フェルマー予想』(岩波書店) 楕円曲線と モジュラー形式、ガロア表現を 準備して、フェルマーの 最終定理の 証明の 全体像を 解説する 日本語の 本。第10章の 先に。 梅村浩『楕円関数論』(東京大学出版会) 楕円関数の 古典論を 詳しく 扱う 日本語の 本。第9章の 背景と して。
- J. E. Cremona, Algorithms for Modular Elliptic Curves
(Cambridge University Press) モジュラー記号に よる 楕円曲線の 計算法と 曲線の 表。本科目で 使う 11a1, 37a1 のような ラベルの 出典。 - H. Cohen, A Course in Computational Algebraic Number Theory
(Springer) 計算機に よる 代数的整数論の 標準的な 教科書。楕円曲線の 計算、素数判定、素因数分解の アルゴリズムを 含む。 - D. Hankerson, A. Menezes, S. Vanstone, Guide to Elliptic Curve Cryptography
(Springer) 有限体と 楕円曲線の 演算の 効率的な 実装、暗号プロトコルを 扱う 実務向けの 本。第5章の 参考書と して。
LMFDB(The L-functions and Modular Forms Database, https://www.lmfdb.org ):楕円曲線の 方程式・導手・ 階数・ねじれ部分群・L 関数などの データベース。 PARI/GP( https://pari.math.u-bordeaux.fr )、SageMath( https://www.sagemath.org ):楕円曲線の 計算が できる 無料の ソフトウェア。
次に 学ぶもの
- 15-algebraic-number-theory 代数的整数論
:虚数乗法論は 第7章類体論( )の 具体例であり、L 関数と BSD 予想は 第6章の ゼータ関数・L 関数の 理論の 延長に ある。 19-riemann-surfaces リーマン面と 保型形式 :モジュラー形式と ヘッケ作用素は、モジュラー性定理と L 関数の 解析接続の 基礎である。 14-algebraic-geometry 第9章 さらに 先へ :合同ゼータ関数と ヴェイユ予想の 一般の 場合、モジュライ空間、数論幾何への 展望。楕円曲線は アーベル多様体や モジュラー曲線の 研究への 入口である。 25-cryptography-coding 暗号と :第4章 楕円曲線暗号符号 で、楕円曲線暗号を 規格・ 実装上の 注意・ほかの 公開鍵暗号との 比較を 含めて 学べる。