数学 学習ロードマップ ― 算数から修士課程修了レベルまで
小学校の算数から、大学の数学科で学ぶ内容、そして数学修士課程修了レベルまでを、一本の道でつないだ日本語の数学教材です。章を読み、問題を解くたびに経験値がたまり、レベルが上がっていくので、進み具合が目に見え、楽しく続けられることを目指しています。
こんな人のための教材です
- 子どもに算数を教える保護者:「分数のわり算は、なぜひっくり返すの?」と聞かれても、自信をもって答えられるように。子どもに伝えるときの言い方の例や、子どもがつまずきやすいところも紹介します。
- 学び直したい大人:高校や大学で理解が浅かったところを、診断テストの試験で見つけ、必要なところまで戻って学び直せます。
- 大学数学を独学したい人:論理と集合から修士課程修了レベルまで、定理には証明を、演習には全問解答をつけています。
この教材の中身
- 全 27 科目:算数(P1)→ 中学数学(P2)→ 高校数学(P3〜P6)→ 数学の言葉 → 学部基礎(微積分・線形代数・位相)→ 学部専門(代数・複素解析・ルベーグ積分・多様体・位相幾何・関数解析・確率論など)→ 大学院(可換環論・代数幾何・整数論・表現論・リーマン幾何・偏微分方程式など)→ 総合演習
- 大学数学(00〜20)の規模:21 科目・150 章。定義 約 760、定理・命題・補題・系 約 2,000、章末演習 約 1,170 問+総合演習 105 問(全問解答つき)、本文 約 420 万字
- 算数〜高校数学(P1〜P6):P1 算数の「なぜ」(全 7 章)と 診断テスト が読めます。P2〜P6 は全 33 章の設計を終え、順に書き進めています。
- 各章の構成:この章の目標 → 動機づけ → 定義・例・定理・証明 → まとめ → 演習問題。算数〜高校の章には、学年の目安と「子どもに伝えるには」「つまずきポイント」「この先の数学では」の囲みがあります。
- 基礎重視:前の段階ほど丁寧に、一歩ずつ。定理にはできる限り完全な証明をつけ、省略するときは省略したことと参照先を明記しています。
- 英語の用語を併記:大学院以降は英語の文献を読むことになるので、重要な用語には英語を添えています。
- GitHub 上でそのまま読める:数式は GitHub の数式表示(MathJax)で表示されます。
- Web 版(Lemma)でも読める:数式がきれいに表示され、読了・演習の自己採点・学習時間が自動で記録され、経験値・レベル・バッジもたまり、レベルに合わせて育つパートナー(フクロウ・ドラゴン・ネコから 1 匹)もいます。定理を手で動かして確かめる実験、定義・定理の検索、学習マップの共有にも対応(Web 版について、経験値・レベル・バッジ)。
目次
はじめかた
目的に合わせて出発点を選んでください。
子どもに算数を教えたい保護者の方
- P1 算数の「なぜ」 の、お子さんがいま学んでいる単元の章から読んでください。各章には、何年生で学ぶか、子どもがつまずきやすいところ、子どもに伝えるときの言い方の例が書いてあります。
- 章末の【説明】の問題で、子どもへの説明を紙に書いてみてください。【親子で】の問題は、お子さんと一緒に楽しめます。
- 自分の理解を点検したいときは、診断テスト 1(算数) へ。中学生のお子さんには P2 中学数学 があります。
高校・大学の数学を学び直したい方
- 診断テスト の試験で出発点を決めます。中学数学から不安なら診断テスト 2、高校数学なら診断テスト 3 から受けてください。診断テスト 3 は科目ごとに判定するので、苦手な科目だけを学び直せます。
- 解けなかった問題の「戻る章」を読みます。
- 大学の科目は、各科目の README の「到達目標」で理解が浅いところを探すのが近道です。つまずいた概念を 数学の 7 本の糸 で一つ前の段階へたどると、原因が見つかることもあります。
大学数学を一から独学したい方
- まず NOTATION.md(記法と用語の約束) にざっと目を通してください。本によって流儀が異なる記法( が 0 を含むか、 が等号を含むか、など)をここで固定しています。
- 00 数学の言葉 から始めます。大学数学が初めてなら必ずここから。高校数学に不安があれば、先に 診断テスト 3 を受けてください。すでに ε-δ 論法や集合・写像に慣れている人は、各章の「演習問題」を解いてみて、スラスラ解けるなら次に進んで構いません。
- 各科目の
README.mdに、前提知識・到達目標・章立て・参考書が書いてあります。前提知識の欄を見て、足りない科目を先に学ぶのが基本です。
どの道を選んだ人にも
- 演習問題は、解答を開く前に最低 15〜30 分は自分で考えてください(算数〜中学の問題は 5〜10 分)。解答を読んだら、翌日に何も見ずに書き直せるか確かめると定着します。
- 難易度の表示:★ 定義・定理の確認(基本)/★★ 標準(大学の科目では大学院入試の基本レベルを含む)/★★★ 発展。難易度はそれぞれのステージの中での目安です。★ の数に応じて経験値がもらえます(★ 10、★★ 30、★★★ 100)。
学習マップ
全体は 6 つのステージと、最後の総合演習でできています。ステージ 1〜3 の入口には診断テストがあり、その試験で 8 割以上解ければ、そのステージは飛ばして先へ進めます。
ステージ 1〜3(算数・中学・高校)から大学へ
矢印は「この科目を学んでから次へ」という主な依存関係です。
ステージ 4〜6(大学数学)
矢印は「この科目を学んでから次へ」という主な依存関係です(細かい前提は各科目の README を参照)。
色:黄=ステージ 4 の入口(数学の言葉)、青=ステージ 4(学部基礎)、緑=ステージ 5(学部専門)、紫=ステージ 6(大学院)
経験値とレベル
章を読了したり、演習問題を解いたりすると経験値がたまります。
| 行動 | 経験値 |
|---|---|
| 章を読了する(「この章の目標」をすべて達成した) | 100 |
| ★ / ★★ / ★★★ の問題を解く | 10 / 30 / 100 |
- 経験値が に達するとレベル になります。最初の 1 問でレベル 2。全科目を修了すると、ちょうどレベル 99 前後になるように設計しています。
- 節目ごとにバッジがもらえます(ステージの修了、学習した日が 7 日・30 日・100 日……、診断テストの合格など)。学習した日は連続でなくてかまいません。 休んでも、経験値も日数も減りません。
- Web 版で読むと、章の読了と演習の自己採点(「解けた」)から、経験値・レベル・バッジが自動で計算されます。最初に選んだパートナーが、レベルに合わせて 6 つの姿に育ちます(弱ったり、いなくなったりはしません)。
くわしいルール、バッジの一覧、紙での記録のつけ方は 経験値・レベル・バッジ にあります。
科目一覧
学習時間は、本文を読み演習問題に取り組む場合のおおよその目安です。
ステージ 1:算数(小学校)
| # | 科目 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|---|
| P1 | 算数の「なぜ」 | 数と位取り記数法、かけ算とわり算の意味、計算のきまりと整数の性質、分数と小数、割合・比・比例、図形と量、データの活用と場合の数 | 20〜30 時間 |
ステージ 2:中学数学
| # | 科目 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|---|
| P2 | 中学数学[執筆中] | 正負の数、文字式と方程式、展開・因数分解と平方根、二次方程式、関数、図形と証明、円と三平方の定理、データの活用と確率 | 30〜40 時間 |
ステージ 3:高校数学
| # | 科目 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|---|
| P3 | 数と式・関数[執筆中] | 集合と命題、式と証明、二次関数、複素数と方程式、三角関数、指数関数と対数関数、数列と数学的帰納法 | 40〜55 時間 |
| P4 | 微分積分[執筆中] | 数列と関数の極限、微分法とその応用、積分法とその応用 | 40〜50 時間 |
| P5 | 図形とベクトル[執筆中] | 三角比と図形の計量、図形の性質、図形と方程式、平面・空間ベクトル、複素数平面、二次曲線 | 40〜50 時間 |
| P6 | 確率・統計と整数[執筆中] | 場合の数、確率、整数の性質、データの分析、統計的な推測 | 30〜40 時間 |
ステージ 4:大学数学の基礎(学部 1〜2 年)
| # | 科目 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 00 | 数学の言葉:論理・集合・写像 | 命題と論理、量化子、証明の技法、集合、写像、同値関係、濃度、選択公理とツォルンの補題、数の体系 | 30〜50 時間 |
| 01 | 微分積分学 | 実数の連続性、ε-δ 論法、級数、テイラーの定理、リーマン積分、一様収束、多変数の微分、逆関数定理・陰関数定理、重積分、ベクトル解析 | 150〜200 時間 |
| 02 | 線形代数 | 連立一次方程式、ベクトル空間、線形写像、行列式、固有値と対角化、ジョルダン標準形、内積空間とスペクトル定理、二次形式、特異値分解、テンソル積 | 120〜160 時間 |
| 03 | 集合と位相 | 距離空間、位相空間、部分空間・積・商、分離公理、コンパクト性、連結性、完備距離空間、ベールの定理 | 60〜90 時間 |
ステージ 5:学部専門(学部 2〜4 年)
| # | 科目 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 04 | 代数学(群・環・体) | 整数と合同式、群、シローの定理、環とイデアル、一意分解、加群の構造定理、体の拡大、ガロア理論 | 120〜160 時間 |
| 05 | 複素関数論 | 正則関数、コーシーの積分定理・積分公式、ローラン展開、留数定理、等角写像とリーマンの写像定理、ガンマ関数、ゼータ関数と素数定理 | 70〜100 時間 |
| 06 | 測度と積分(ルベーグ積分) | σ-加法族と測度、ルベーグ測度、収束定理、 空間、フビニの定理、ラドン–ニコディムの定理、微分定理、リースの表現定理 | 70〜100 時間 |
| 07 | 多様体 | 曲線と曲面、多様体、接空間、ベクトル場、微分形式、ストークスの定理、ド・ラーム・コホモロジー | 90〜120 時間 |
| 08 | 微分方程式 | 求積法、解の存在と一意性、線形系、安定性、境界値問題、フーリエ級数、熱・波動・ラプラス方程式 | 60〜80 時間 |
| 09 | 位相幾何学 | 基本群、ファン・カンペンの定理、被覆空間、ホモロジー、コホモロジーとカップ積、ポアンカレ双対性、高次ホモトピー群 | 90〜120 時間 |
| 10 | 関数解析 | バナッハ空間、ヒルベルト空間、基本三原理、ハーン–バナッハの定理、コンパクト作用素、スペクトル理論、非有界作用素 | 70〜100 時間 |
| 11 | 確率論 | 確率空間、大数の法則、特性関数、中心極限定理、マルチンゲール、マルコフ連鎖、ブラウン運動と伊藤積分 | 70〜100 時間 |
ステージ 6:大学院(修士課程)
| # | 科目 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 12 | 圏論とホモロジー代数 | 圏と関手、米田の補題、随伴、アーベル圏、導来関手(Ext, Tor)、スペクトル系列、導来圏 | 60〜80 時間 |
| 13 | 可換環論 | 局所化、ネーター環、準素分解、整拡大と零点定理、次元論、完備化、デデキント環、コーエン–マコーレー環 | 90〜120 時間 |
| 14 | 代数幾何学 | アフィン・射影多様体、層、スキーム、準連接層と因子、層コホモロジー、代数曲線とリーマン–ロッホの定理 | 150〜200 時間 |
| 15 | 代数的整数論 | 整数環、素イデアル分解、類数と単数、円分体と相互法則、 進数と局所体、L 関数、類体論 | 90〜120 時間 |
| 16 | リー群と表現論 | 有限群の表現と指標、リー群とリー環、半単純リー環、ルート系、最高ウェイト理論、ピーター–ワイルの定理 | 90〜120 時間 |
| 17 | リーマン幾何学 | リーマン計量、接続、測地線、曲率、ヤコビ場と比較定理、特性類、ホッジ理論 | 80〜100 時間 |
| 18 | 偏微分方程式論 | 超関数、フーリエ変換、ソボレフ空間、楕円型方程式の弱解と正則性、発展方程式、非線形問題 | 80〜100 時間 |
| 19 | リーマン面と保型形式 | リーマン面、楕円関数、モジュラー形式、リーマン–ロッホの定理、一意化定理と双曲幾何 | 80〜100 時間 |
最終ステージ:総合演習
| # | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 20 | 総合演習(大学院入試・修士レベル):分野横断のオリジナル問題と詳しい解答。前半は大学院入試レベル、後半は修士修了レベル | 60〜100 時間 |
数学の 7 本の糸
算数と大学院の数学は、何本かの太い糸で一続きにつながっています。分数のわり算の「なぜ」は大学の「体」の公理へ、円の面積を「細かく分けて並べ替える」考えはルベーグ積分へと育っていきます。
| 糸 | 小学校 → 中学 → 高校 → 大学 → 大学院 |
|---|---|
| 証明 | 「なぜ」を説明する → 図形の証明 → 対偶・背理法・帰納法 → 論理と集合、ε-δ 論法 → 圏論 |
| 数 | 分数と小数 → 負の数と無理数 → 複素数 → 数の体系の構成、体 → p 進数 |
| 関数 | 比例 → 一次関数・二次関数 → 三角・指数関数と微分 → 写像と線形写像 → 層 |
| 図形 | 面積・合同・対称 → 証明・三平方の定理 → 座標とベクトル → 位相空間と多様体 → リーマン幾何 |
| 方程式 | □ を使った式 → 二次方程式と解の公式 → 高次方程式 → ガロア理論と微分方程式 → 代数幾何 |
| 面積と積分 | 円の面積 → 錐体の体積 → 区分求積と定積分 → リーマン積分・ルベーグ積分 → ソボレフ空間 |
| 確率と統計 | 場合の数と平均 → 確率と箱ひげ図 → 確率分布と統計的推測 → 測度論的確率論 → 発展方程式 |
それぞれの糸の物語と、各段階の章へのリンクは 数学の 7 本の糸 にまとめています。
学習プラン
保護者モデル(子どもと一緒に)
お子さんの学年に合わせて、P1 算数の「なぜ」 の章を選んで読みます。1 週間に 1 節ずつでも、1 年で算数の全体を見渡せます。
| お子さんの学年 | 主に読む章 |
|---|---|
| 小学 1〜2 年 | P1 第1章(数と位取り)、第2章(かけ算の意味と九九)、第6章(図形と量の前半) |
| 小学 3〜4 年 | P1 第2章(わり算)、第3章(計算のきまり)、第4章(小数と分数の前半)、第5章(簡単な割合) |
| 小学 5〜6 年 | P1 第3章(倍数と約数)、第4章(分数の計算)、第5章(割合・比・比例)、第6章(面積と体積)、第7章(データと場合の数) |
| 中学生 | P2 中学数学の該当する章 |
学び直しモデル(高校数学から大学数学へ)
週 5 時間のペースなら、次のように進めるのが目安です。
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 最初の 1 週間 | 診断テスト 2・診断テスト 3 で出発点を決める |
| 3〜6 か月 | 不合格だった科目(P3〜P6)と戻る章を学び直す |
| 次の 1 年 | 00 数学の言葉、01 微分積分学、02 線形代数(ステージ 4) |
| その先 | 興味のある分野へ(下の標準モデル・コース例を参考に) |
標準モデル(学部 4 年+修士 2 年)
日本の大学の数学科の標準的な進度に合わせた配分です。
| 時期 | 科目 |
|---|---|
| 学部 1 年 | 00 数学の言葉、01 微分積分学(第1〜6章)、02 線形代数(第1〜5章) |
| 学部 2 年 | 01 微分積分学(第7〜10章)、02 線形代数(第6〜9章)、03 集合と位相、04 代数学(第1〜4章)、05 複素関数論 |
| 学部 3 年 | 04 代数学(第5〜9章)、06 測度と積分、07 多様体、08 微分方程式、09 位相幾何学(第1〜5章) |
| 学部 4 年 | 09 位相幾何学(第6〜8章)、10 関数解析、11 確率論、20 総合演習(第1〜7ファイル=院試対策)、専門分野の準備 |
| 修士 1 年 | 専門分野に応じて下のコースから選択、20 総合演習(第8・9ファイル) |
| 修士 2 年 | 専門分野の深掘り(各科目の最終章・「さらに先へ」の文献案内から論文へ) |
修士課程のコース例
修士では全科目を同じ深さで学ぶ必要はありません。専門分野を軸に、隣接分野を「主要定理の主張と使い方がわかる」程度に押さえるのが現実的です。
| コース | 中心に学ぶ科目 | 隣接分野として押さえる科目 |
|---|---|---|
| 代数・数論 | 12, 13, 14, 15 | 16, 19 |
| 代数幾何 | 12, 13, 14, 19 | 15, 16, 09 |
| 幾何・トポロジー | 09, 12, 17, 19 | 16, 14, 18 |
| 表現論 | 12, 16, 13 | 14, 17 |
| 解析・偏微分方程式 | 10, 18, 11 | 17, 16 |
| 確率論 | 11, 10, 18 | 06 の復習, 17 |
独学・社会人モデル
週 10 時間のペースなら、ステージ 4(大学数学の基礎)に約 1 年、ステージ 5(学部専門)に約 1.5〜2 年、ステージ 6(大学院の専門コース)に約 1.5〜2 年が目安です。高校数学から学び直す場合は、ステージ 3 にさらに半年〜1 年を見込んでください。速さより継続が大切です。1 日 1 定理でも、1 年続ければ 365 個の定理を理解できます。
到達度チェックリスト
ステージ 1〜3 の到達度は、各ステージの入口にある 診断テスト の試験で確かめます。ステージ 4〜6 は、各ステージの終わりに、次のことが何も見ずにできるか確認してください。
ステージ 4 修了(学部 2 年修了相当)
- [ ] ε-δ 論法で、極限・連続性・一様連続性・一様収束に関する命題を証明できる
- [ ] 実数の連続性から中間値の定理・最大値の定理・ボルツァノ–ワイエルシュトラスの定理を証明できる
- [ ] 逆関数定理・陰関数定理の主張を正確に述べ、ラグランジュの未定乗数法に使える
- [ ] 重積分の変数変換を使ってガウス積分などを計算できる
- [ ] 基底・次元・線形写像の言葉で連立一次方程式の解の構造を説明できる
- [ ] ジョルダン標準形を計算でき、存在証明の流れを説明できる
- [ ] 正規行列のスペクトル定理と特異値分解を証明できる
- [ ] 位相空間の定義から、コンパクト性・連結性に関する基本定理を証明できる
ステージ 5 修了(学部卒業・大学院入試レベル)
- [ ] シローの定理とガロア理論の基本定理を証明し、具体的なガロア群を計算できる
- [ ] PID 上の有限生成加群の構造定理を使って、アーベル群やジョルダン標準形を説明できる
- [ ] 留数定理で様々な実積分を計算でき、ルーシェの定理で零点の個数を数えられる
- [ ] 単調収束定理・優収束定理・フビニの定理を、仮定を確認しながら正しく使える
- [ ] 微分形式のストークスの定理を理解し、ド・ラーム・コホモロジーを計算できる
- [ ] 基本群・被覆空間・ホモロジー群を具体的な空間について計算できる
- [ ] 関数解析の基本三原理とハーン–バナッハの定理を証明し、応用できる
- [ ] コンパクト自己共役作用素のスペクトル定理を証明できる
- [ ] 中心極限定理を特性関数を用いて証明できる
- [ ] 20 総合演習 の第1〜7ファイルの ★★ の問題を、時間内に答案として書ける
ステージ 6 修了(修士課程修了レベル)
- [ ] 導来関手(Ext, Tor)を計算でき、長完全列・スペクトル系列の使い方がわかる
- [ ] 専門分野の主要定理を、証明の構造まで含めて説明できる。例:
- 代数系:スキームと層コホモロジー、曲線のリーマン–ロッホの定理、類体論の主張と使い方、半単純リー環の分類と最高ウェイト理論
- 幾何系:比較定理(ボネ–マイヤーズ、カルタン–アダマール)、チャーン–ヴェイユ理論、ホッジ分解、ポアンカレ双対性
- 解析系:ソボレフ空間と埋め込み定理、楕円型方程式の弱解の存在と正則性、半群理論、マルチンゲールとブラウン運動
- [ ] 専門外の分野でも、基本的な概念と主要定理の主張を説明できる
- [ ] 専門分野の研究論文を、必要な文献を自分で探しながら読み進められる
- [ ] 20 総合演習 の第8・9ファイルの問題に取り組める
数学の学び方
定義を正確に覚える
数学の議論はすべて定義から始まります。定義を曖昧に覚えていると、証明の最初の一行が書けません。新しい定義に出会ったら、
- 例を 3 つ作る(そのうち 1 つは自明でないもの)
- 非例(定義を満たさないもの)を作る
- 定義の各条件を1 つ外すと何が起こるかを考える
を習慣にしてください。
定理は「仮定」と「結論」に分けて読む
定理を読んだら、仮定を 1 つずつ外した反例を探してください。どの仮定が証明のどこで使われているかがわかれば、その定理を理解したと言えます。
証明は「読む」より「再構成する」
証明を読んだ後、本を閉じて自分で書き直してみてください。書けないところが理解できていないところです。長い証明は、まず方針(大きな流れ)を 3 行でまとめ、それから細部を埋めます。
手を動かす
抽象的な定理ほど、小さな具体例( 行列、、、円周、トーラスなど)で計算して確かめることが大切です。
詰まったとき
- 30 分考えてわからなければ、いったん先に進んでよい。後の章を読むと前の章がわかることはよくあります。
- わからない箇所を「どの定義・どの定理のどの行がわからないか」まで特定すると、質問しやすくなり、自力で解決できることも増えます。
- AI アシスタント(Claude など)に質問するときも、「第◯章 定理◯.◯ の証明の『したがって〜』の行で、なぜ〜が言えるのか」のように具体的に聞くと、的確な説明が得られます。自分で書いた証明を見せて添削を頼むのも効果的です。
楽しく続ける
- 完璧を目指さない。 1 回で全部わかる人はいません。7 割わかったら先へ進み、あとで戻ってくれば十分です。
- 小さな前進を記録する。 1 問解くたびに経験値が増えます(経験値・レベル・バッジ)。昨日の自分より少しでも前に進んでいれば十分です。
- 休んでもいい。 経験値も学習した日数も減りません。間があいたら、前に読んだ章の「まとめ」から再開しましょう。
リポジトリの構成
README.md このファイル(全体のロードマップ)
LEVELS.md 経験値・レベル・バッジのしくみ
CONNECTIONS.md 数学の 7 本の糸(算数から大学院までのつながり)
NOTATION.md 記法と用語の約束
checkpoints/ 診断テスト(ステージ 1〜3 の入口)
p1-arithmetic/ 算数の「なぜ」
p2-middle-school/ 中学数学(執筆中)
p3-algebra-functions/ 高校数学:数と式・関数(執筆中)
p4-calculus-intro/ 高校数学:微分積分(執筆中)
p5-geometry-vectors/ 高校数学:図形とベクトル(執筆中)
p6-probability-statistics/ 高校数学:確率・統計と整数(執筆中)
00-foundations/ 数学の言葉:論理・集合・写像
01-calculus/ 微分積分学
02-linear-algebra/ 線形代数
03-topology/ 集合と位相
04-algebra/ 代数学(群・環・体)
05-complex-analysis/ 複素関数論
06-measure-integration/ 測度と積分(ルベーグ積分)
07-manifolds/ 多様体
08-differential-equations/ 微分方程式
09-algebraic-topology/ 位相幾何学
10-functional-analysis/ 関数解析
11-probability/ 確率論
12-category-homological-algebra/ 圏論とホモロジー代数
13-commutative-algebra/ 可換環論
14-algebraic-geometry/ 代数幾何学
15-algebraic-number-theory/ 代数的整数論
16-lie-groups-representations/ リー群と表現論
17-riemannian-geometry/ リーマン幾何学
18-pde/ 偏微分方程式論
19-riemann-surfaces/ リーマン面と保型形式
20-problems/ 総合演習(大学院入試・修士レベル)
tools/
STYLE_GUIDE.md 執筆規約(教材を追加・修正する人向け)
CURRICULUM.md カリキュラム設計書(全科目の章立てと内容)
check.mjs 数式・リンクの検査スクリプト
fix-inline-math.mjs GitHub で崩れる数式の書き方を自動で直すスクリプト
build-site.mjs Web 版のビルド(教材 → site/)
dev-server.mjs Web 版の開発用サーバー
partners/render.mjs パートナーの設定資料の画像を書き出すスクリプト
web/ Web 版の画面(styles:デザイン、app:進捗・経験値・パートナー・検索・共有・AI チューター、labs:実験)
server/tutor/ AI チューターの API(Cloudflare Workers)
docs/PRODUCT.md Web 版のプロダクト設計書
docs/PARTNERS.md パートナー(育つ相棒)のキャラクター設定資料
数式の表示について
- GitHub 上ではそのまま数式が表示されます。
- 手元で読む場合は、数式表示に対応した Markdown ビューア(VS Code の Markdown プレビュー、Obsidian、Typora など)を使ってください。
- 教材を修正・追加する場合は tools/STYLE_GUIDE.md に従い、
npm run checkで数式とリンクを検査できます。
Web 版について
教材の Markdown から、Web 版(仮称 Lemma)を生成しています。GitHub で読むのと同じ内容に、次の機能を足したものです。
- 数学の地図:算数から大学院までの科目の依存関係を一枚の図で。読み進めると丸が塗られ、次に学ぶとよい科目が光ります。
- 進み具合の記録:章の読了(Q.E.D. の判子)、読んだ位置、演習の自己採点(解けた/ヒントで解けた/まだ)、学習時間と連続日数、学習カレンダー、解き直しリスト。記録はブラウザの中だけに保存され、書き出し・読み込みもできます。
- 経験値・レベル・バッジ:読了と「解けた」演習から経験値を計算し、レベルとバッジを表示します。診断テストの合否も表示します(経験値・レベル・バッジ)。
- パートナー:最初に選んだ相棒(フクロウ・ドラゴン・ネコ)が、レベルに合わせて 6 つの姿に育ちます。図鑑、進化の演出、共有画像への表示つき(パートナー設定資料)。
- 実験:ε-δ 論法、テイラー展開、群の演算表、複素関数の色づけ、中心極限定理など、定理を手で動かして確かめる実験を各章に埋め込んでいます(web/labs/README.md)。
- 検索:定義・定理・用語(英語つき)・節を横断して検索(「/」キー)。
- 共有:学習マップを画像やリンクにして共有(登録不要)。
- AI チューター(準備中):読んでいる定理や演習について、本文と記法に沿って答える AI(server/tutor/README.md)。
npm install
npm run build # site/ に出力
npm run dev # http://localhost:5173/ で確認(web/ の変更は再ビルドなしで反映)
main ブランチに push すると、Cloudflare の Workers Builds が Web 版を検査・ビルドして lemma.raku1chi.dev(Cloudflare Workers の静的アセット)に公開します。ほかのブランチは、プルリクエストにプレビューの URL が付きます。初回の設定は wrangler.jsonc の冒頭に書いてあります。本番と同じ配信の規則(site/_redirects と 404 ページ)で確かめるときは、npm run build の後に npx wrangler dev(http://localhost:8787/)を使います。設計の考え方と今後の計画は docs/PRODUCT.md にまとめています。
品質管理について
- すべての数式を KaTeX で機械的に検査し(
npm run check)、GitHub で表示が崩れる書き方や科目間のリンク切れがないことを確認しています。 - 各科目は、執筆者とは別の査読者が全章を精読し、証明・計算・演習の解答を検算して誤りを修正しています。
- それでも誤りが残っている可能性はあります。おかしいと思う箇所は、参考文献の該当箇所と照らし合わせてください。「本当に正しいか」を自分で確かめる姿勢そのものが、数学の力になります。
- 算数〜高校数学の科目(P1〜P6)と診断テストも、大学数学と同じく、執筆者とは別の査読者が内容を検算してから追加します。