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診断テスト 3 高校数学

この診断テストについて

高校数学(ステージ 3:P3〜P6)の要点がわかっているかを確かめる診断テストです。大学数学の最初の 3 科目(00 数学の言葉、01 微分積分学、02 線形代数)を始める準備ができているかの判定も兼ねます。

  • 問題:4 科目 × 5 問の全 20 問。公式の暗記よりも「なぜそうなるのか」を問い、計算が滑らかにできるかの確認も入れました。★ は基本、★★ は標準で、1 問 5〜10 分が目安です。
  • 目安時間:全体で 2〜3 時間。科目ごとに日を分けてかまいません。
  • 合否は科目ごとに判定します:各科目 5 問中 4 問以上(8 割)解ければ合格です。小問はすべてできて 1 問と数えます。説明は要点が合っていれば、計算の小さなミスは方針が正しければ正解としてかまいません。
  • 結果の使い方:4 科目とも合格なら、ステージ 3 は飛ばして 00 数学の言葉 へ進めます。大学数学を始める準備はできています。不合格の科目は、その科目だけを学び直すか、間違えた問題の「戻る章」だけを読んでください(最後の「結果の見かた」も参照)。
  • 見出しの下の科目名(数学 I・A・II・B・III・C)は、現行の学習指導要領(2018 年告示)によります。学んだ時期によって区分が違うことがあるので、内容で判断してください。

解答は、自分の答えを紙に書いてから開きましょう。診断テストの問題も経験値になります(経験値・レベル・バッジ)。

P3 数と式・関数(5 問)

数学 I(集合と命題、二次関数)、数学 II(式と証明、複素数と方程式、三角関数、指数関数・対数関数)、数学 B(数列)の範囲です。

問題 3.1 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 命題「ある実数 MM が存在して、すべての実数 xx について x2−4x≤Mx^2 - 4x \leq M が成り立つ」の否定を書いてください。また、もとの命題と否定のどちらが真か、理由をつけて答えてください。

(2) log⁡23\log_2 3 が無理数であることを証明してください。

解答

(1) 否定は「すべての実数 MM について、ある実数 xx が存在して x2−4x>Mx^2 - 4x > M が成り立つ」で、こちらが真です(「ある」と「すべて」を入れかえ、最後の条件を否定します)。任意の MM に対して x=2+∣M∣+5x = 2 + \sqrt{\lvert M \rvert + 5} とおけば、x2−4x=(x−2)2−4=∣M∣+1>Mx^2 - 4x = (x - 2)^2 - 4 = \lvert M \rvert + 1 > M となるからです。「すべての MM について、ある xx が」の順なので、xx は MM に応じて選んでかまいません。もとの命題は「x2−4xx^2 - 4x は上に有界である」という主張で、偽です。

(2) log⁡23\log_2 3 が有理数だと仮定します。log⁡23>0\log_2 3 > 0 なので、自然数 m,nm, n を用いて log⁡23=mn\displaystyle \log_2 3 = \frac{m}{n}、つまり 2m/n=32^{m/n} = 3 と書けます。両辺を nn 乗すると 2m=3n2^m = 3^n ですが、左辺は偶数、右辺は奇数なので矛盾です。よって log⁡23\log_2 3 は無理数です(背理法)。□\square

戻る章:P3 第1章「集合と命題」・第6章「指数関数と対数関数」(P3 数と式・関数)→ 大学では 00 第1章(量化子を含む命題の否定)

問題 3.2 ★★ 実数 a,b,x,ya, b, x, y について、コーシー・シュワルツの不等式 (ax+by)2≤(a2+b2)(x2+y2)(ax + by)^2 \leq (a^2 + b^2)(x^2 + y^2) を、tt の式 f(t)=(at−x)2+(bt−y)2f(t) = (at - x)^2 + (bt - y)^2 を利用して証明してください。また、等号が成り立つための必要十分条件を求めてください。

解答

a=b=0a = b = 0 なら両辺とも 00 です。a2+b2>0a^2 + b^2 > 0 のとき、

f(t)=(a2+b2)t2−2(ax+by)t+(x2+y2)f(t) = (a^2 + b^2)t^2 - 2(ax + by)t + (x^2 + y^2)

は t2t^2 の係数が正の 2 次関数で、2 乗の和なのでつねに f(t)≥0f(t) \geq 0 です。判別式 DD が正ならグラフが tt 軸と 2 点で交わり、その間で f(t)<0f(t) < 0 となってしまうので、D4=(ax+by)2−(a2+b2)(x2+y2)≤0\displaystyle \frac{D}{4} = (ax + by)^2 - (a^2 + b^2)(x^2 + y^2) \leq 0。これが示すべき不等式です。

等号は D=0D = 0、つまり f(t0)=0f(t_0) = 0 となる実数 t0t_0 があるとき、すなわち (x,y)=t0(a,b)(x, y) = t_0(a, b) のときに成り立ちます。a=b=0a = b = 0 の場合と合わせて、必要十分条件は ay−bx=0ay - bx = 0(ベクトル (a,b)(a, b) と (x,y)(x, y) が平行、またはどちらかが零ベクトル)です。恒等式 (a2+b2)(x2+y2)−(ax+by)2=(ay−bx)2(a^2 + b^2)(x^2 + y^2) - (ax + by)^2 = (ay - bx)^2 でも確かめられますが、判別式による証明は nn 変数の場合にも、大学で学ぶ一般の内積にも、そのまま通用します。

戻る章:P3 第2章「式と証明」・第3章「二次関数」(P3 数と式・関数)→ 大学では 02 第7章(内積空間のコーシー–シュワルツの不等式)

問題 3.3 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 整式 P(x)P(x) を x−1x - 1 で割ると余りは 33、x−2x - 2 で割ると余りは 55 です。P(x)P(x) を (x−1)(x−2)(x - 1)(x - 2) で割ったときの余りを求めてください。

(2) x100x^{100} を x2+x+1x^2 + x + 1 で割ったときの余りを求めてください。

解答

(1) 2 次式で割った余りは 1 次以下なので、P(x)=(x−1)(x−2)Q(x)+ax+bP(x) = (x - 1)(x - 2)Q(x) + ax + b と書けます。剰余の定理(P(x)=(x−c)Q1(x)+rP(x) = (x - c)Q_1(x) + r に x=cx = c を代入すると P(c)=rP(c) = r)より P(1)=3P(1) = 3、P(2)=5P(2) = 5 なので、a+b=3a + b = 3、2a+b=52a + b = 5。よって余りは 2x+12x + 1 です。

(2) y33−1y^{33} - 1 は y−1y - 1 で割り切れるので、x99−1=(x3)33−1x^{99} - 1 = (x^3)^{33} - 1 は x3−1=(x−1)(x2+x+1)x^3 - 1 = (x - 1)(x^2 + x + 1) で割り切れます。x99−1=(x2+x+1)R(x)x^{99} - 1 = (x^2 + x + 1)R(x) の両辺に xx をかけると x100=(x2+x+1)⋅xR(x)+xx^{100} = (x^2 + x + 1) \cdot xR(x) + x で、xx は割る式より次数が低いので、余りは xx です。x2+x+1=0x^2 + x + 1 = 0 の虚数解 ω\omega が ω3=1\omega^3 = 1 を満たすことを使い、x=ωx = \omega を代入して求めることもできます。

戻る章:P3 第4章「複素数と方程式」(P3 数と式・関数)→ 大学では 04 第5章(多項式環)

問題 3.4 ★ 次の問いに答えてください。

(1) 弧度法では、角の大きさをどのように測りますか。また、半径 rr、中心角 θ\theta(ラジアン)の扇形の弧の長さと面積を答えてください。

(2) 加法定理を使って sin⁡x+3cos⁡x\sin x + \sqrt{3}\cos x を Asin⁡(x+α)A\sin(x + \alpha)(A>0A > 0)の形にし、0≤x<2π0 \leq x < 2\pi で方程式 sin⁡x+3cos⁡x=1\sin x + \sqrt{3}\cos x = 1 を解いてください。

解答

(1) 単位円で、中心角に対する弧の長さを角の大きさとします(360∘=2π360^\circ = 2\pi ラジアン、11 ラジアンは約 57.3∘57.3^\circ)。半径 rr の扇形の弧の長さは rθr\theta、面積は πr2⋅θ2π=12r2θ\displaystyle \pi r^2 \cdot \frac{\theta}{2\pi} = \frac{1}{2}r^2\theta です。

(2) 加法定理を逆向きに使うと

sin⁡x+3cos⁡x=2(sin⁡xcos⁡π3+cos⁡xsin⁡π3)=2sin⁡(x+π3)\sin x + \sqrt{3}\cos x = 2\left(\sin x\cos\frac{\pi}{3} + \cos x\sin\frac{\pi}{3}\right) = 2\sin\left(x + \frac{\pi}{3}\right)

なので、sin⁡(x+π3)=12\displaystyle \sin\left(x + \frac{\pi}{3}\right) = \frac{1}{2} です。π3≤x+π3<7π3\displaystyle \frac{\pi}{3} \leq x + \frac{\pi}{3} < \frac{7\pi}{3} より x+π3=5π6, 13π6\displaystyle x + \frac{\pi}{3} = \frac{5\pi}{6},\ \frac{13\pi}{6}、つまり x=π2, 11π6\displaystyle x = \frac{\pi}{2},\ \frac{11\pi}{6} です。

戻る章:P3 第5章「三角比から三角関数へ」(P3 数と式・関数)→ 大学では 01 第6章(三角関数と π\pi をべき級数で定義し直す)

問題 3.5 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) a1=1a_1 = 1、an+1=3an+2a_{n+1} = 3a_n + 2 (n=1,2,3,… )(n = 1, 2, 3, \dots) で定まる数列 {an}\lbrace a_n \rbrace の一般項を求めてください。

(2) 次の「証明」の誤りを指摘してください。

命題 どんな nn 個の玉も、すべて同じ色である。

「証明」 nn についての数学的帰納法で示す。n=1n = 1 なら明らか。n=kn = k で正しいとし、k+1k + 1 個の玉 B1,…,Bk+1B_1, \dots, B_{k+1} を考える。仮定より B1,…,BkB_1, \dots, B_k も B2,…,Bk+1B_2, \dots, B_{k+1} も同じ色で、どちらも両方に含まれる B2B_2 と同じ色だから、全部が同じ色である。

解答

(1) α=3α+2\alpha = 3\alpha + 2 の解 α=−1\alpha = -1 を両辺から引くと、an+1+1=3(an+1)a_{n+1} + 1 = 3(a_n + 1) です。よって {an+1}\lbrace a_n + 1 \rbrace は初項 22、公比 33 の等比数列で、an=2⋅3n−1−1a_n = 2 \cdot 3^{n-1} - 1 です(a2=5a_2 = 5、a3=17a_3 = 17 で検算できます)。

(2) k=1k = 1 のとき、2 つのグループ {B1}\lbrace B_1 \rbrace と {B2}\lbrace B_2 \rbrace には共通の玉がありません。つまり「n=1n = 1 で正しい ⇒ n=2n = 2 で正しい」が示されておらず、ドミノが 1 枚目から 2 枚目へ倒れません(k≥2k \geq 2 についての推論は正しいのです)。帰納法では、すべての k≥1k \geq 1 について n=kn = k から n=k+1n = k + 1 が導けなければなりません。

戻る章:P3 第7章「数列と数学的帰納法」(P3 数と式・関数)→ 大学では 00 第1章(数学的帰納法、悪い証明例の添削)

P4 微分積分(5 問)

数学 II(微分・積分の考え)と数学 III(極限、微分法、積分法)の範囲で、ほとんどの問題が数学 III の内容を含みます。01 微分積分学 は数学 III の計算力を前提にするので、数学 III を学んでいない人は、01 の前に P4 を学んでください。

問題 3.6 ★ 次の問いに答えてください。

(1) lim⁡n→∞(n2+2n−n)\lim_{n \to \infty} \left(\sqrt{n^2 + 2n} - n\right) を求めてください。

(2) 0.999⋯=10.999\cdots = 1 である理由を、無限等比級数を使って説明してください。

解答

(1) ∞−∞\infty - \infty の形のままでは極限がわからないので、分子を有理化します。

n2+2n−n=2nn2+2n+n=21+2n+1→1(n→∞)\sqrt{n^2 + 2n} - n = \frac{2n}{\sqrt{n^2 + 2n} + n} = \frac{2}{\sqrt{1 + \frac{2}{n}} + 1} \to 1 \quad (n \to \infty)

(2) 0.999⋯=910+9102+9103+⋯\displaystyle 0.999\cdots = \frac{9}{10} + \frac{9}{10^2} + \frac{9}{10^3} + \cdots は初項 910\displaystyle \frac{9}{10}、公比 110\displaystyle \frac{1}{10} の無限等比級数で、第 NN 項までの部分和は SN=1−110N\displaystyle S_N = 1 - \frac{1}{10^N} です。無限級数の和とは部分和の極限のことで、SN→1S_N \to 1 なので 0.999⋯=10.999\cdots = 1 です。「いつまでも 11 に届かない」のは各 SNS_N であって、極限の値は 11 そのものです。

戻る章:P4 第1章「数列の極限と無限級数」(P4 微分積分)→ 大学では 01 第2章(ε-N 論法による収束の定義)

問題 3.7 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) lim⁡h→0sin⁡hh=1\displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{\sin h}{h} = 1 と加法定理を使って、導関数の定義から (sin⁡x)′=cos⁡x(\sin x)' = \cos x を証明してください。

(2) 角を度で測る正弦関数 g(x)=sin⁡x∘g(x) = \sin x^\circ を考えます(x∘x^\circ は πx180\displaystyle \frac{\pi x}{180} ラジアン)。g′(x)g'(x) を求め、微分積分で角をラジアンで測る理由を説明してください。

解答

(1) 加法定理 sin⁡(x+h)=sin⁡xcos⁡h+cos⁡xsin⁡h\sin(x + h) = \sin x\cos h + \cos x\sin h より

sin⁡(x+h)−sin⁡xh=cos⁡x⋅sin⁡hh+sin⁡x⋅cos⁡h−1h\frac{\sin(x + h) - \sin x}{h} = \cos x \cdot \frac{\sin h}{h} + \sin x \cdot \frac{\cos h - 1}{h}

分子と分母に cos⁡h+1\cos h + 1 をかけると cos⁡h−1h=−sin⁡hh⋅sin⁡hcos⁡h+1→−1⋅0=0\displaystyle \frac{\cos h - 1}{h} = -\frac{\sin h}{h} \cdot \frac{\sin h}{\cos h + 1} \to -1 \cdot 0 = 0 なので、h→0h \to 0 のとき差分商は cos⁡x\cos x に近づきます。よって (sin⁡x)′=cos⁡x(\sin x)' = \cos x です。

(2) 合成関数の微分法により g′(x)=π180cos⁡x∘\displaystyle g'(x) = \frac{\pi}{180}\cos x^\circ で、余計な係数がつきます。(1) の sin⁡hh→1\displaystyle \frac{\sin h}{h} \to 1 は hh をラジアンで測ったときの事実で(度で測ると極限は π180\displaystyle \frac{\pi}{180})、そのおかげで (sin⁡x)′=cos⁡x(\sin x)' = \cos x という最も簡単な形になります。これがラジアンを使う理由です。

戻る章:P4 第2章「関数の極限と連続性」・第3章「微分法」(P4 微分積分)→ 大学では 01 第4章(微分)

問題 3.8 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 平均値の定理の内容を述べ、それを使って「区間 II のすべての xx で f′(x)>0f'(x) > 0 ならば、f(x)f(x) は II で増加する」ことを証明してください。

(2) 方程式 x3−3x+1=0x^3 - 3x + 1 = 0 が異なる 3 つの実数解をもつことを示してください。どの定理を使ったかも書いてください。

(3) 微分可能な関数 f(x)f(x) について、「f′(a)=0f'(a) = 0 ならば f(x)f(x) は x=ax = a で極値をとる」は正しいですか。

解答

(1) 平均値の定理:関数 f(x)f(x) が閉区間 [a,b][a, b] で連続、開区間 (a,b)(a, b) で微分可能ならば、f(b)−f(a)b−a=f′(c)\displaystyle \frac{f(b) - f(a)}{b - a} = f'(c) を満たす cc(a<c<ba < c < b)が存在する(2 点を結ぶ線分と平行な接線を、間のどこかで引ける)。

II の 2 点 x1<x2x_1 < x_2 にこの定理を使うと、f(x2)−f(x1)=f′(c)(x2−x1)f(x_2) - f(x_1) = f'(c)(x_2 - x_1) となる cc(x1<c<x2x_1 < c < x_2)があり、f′(c)>0f'(c) > 0 なので f(x2)>f(x1)f(x_2) > f(x_1) です。増減表の「f′>0f' > 0 なら増加」は、この定理に支えられています。

(2) f(x)=x3−3x+1f(x) = x^3 - 3x + 1 とおくと f′(x)=3(x+1)(x−1)f'(x) = 3(x + 1)(x - 1) で、極大値 f(−1)=3f(-1) = 3、極小値 f(1)=−1f(1) = -1 です。さらに f(−2)=−1f(-2) = -1、f(2)=3f(2) = 3。f(x)f(x) は連続なので、中間値の定理により −2<x<−1-2 < x < -1、−1<x<1-1 < x < 1、1<x<21 < x < 2 のそれぞれに解があり、異なる 3 つの実数解をもちます。

(3) 正しくありません。f(x)=x3f(x) = x^3 は f′(0)=0f'(0) = 0 ですが、増加関数なので x=0x = 0 で極値をとりません。f′(a)=0f'(a) = 0 は極値をとるための必要条件ですが、十分条件ではありません(x=ax = a の前後で f′(x)f'(x) の符号が変わるかを調べます)。

戻る章:P4 第4章「微分の応用」・第2章「関数の極限と連続性」(P4 微分積分)→ 大学では 01 第3章・第4章(中間値の定理と平均値の定理の証明)

問題 3.9 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 定積分 ∫01xex dx\int_0^1 xe^x \ dx と ∫0π/2sin⁡2xcos⁡x dx\int_0^{\pi/2} \sin^2 x\cos x \ dx を計算してください。

(2) f(t)f(t) を連続関数とし、F(x)=∫axf(t) dtF(x) = \int_a^x f(t) \ dt とおきます。F′(x)=f(x)F'(x) = f(x) が成り立つ理由を説明してください(厳密でなくてかまいません)。

解答

(1) 1 つめは部分積分法、2 つめは u=sin⁡xu = \sin x とおく置換積分法を使います。

∫01xex dx=[xex]01−∫01ex dx=e−(e−1)=1,∫0π/2sin⁡2xcos⁡x dx=∫01u2 du=13\int_0^1 xe^x\,dx = \left[ xe^x \right]_0^1 - \int_0^1 e^x\,dx = e - (e - 1) = 1, \qquad \int_0^{\pi/2} \sin^2 x\cos x\,dx = \int_0^1 u^2\,du = \frac{1}{3}

(2) h>0h > 0 とし、区間 [x,x+h][x, x + h] での ff の最小値を mhm_h、最大値を MhM_h とします。F(x+h)−F(x)=∫xx+hf(t) dtF(x + h) - F(x) = \int_x^{x+h} f(t) \ dt(f≥0f \geq 0 なら幅 hh の細い帯の面積)は mhhm_h h 以上 MhhM_h h 以下なので

mh≤F(x+h)−F(x)h≤Mhm_h \leq \frac{F(x + h) - F(x)}{h} \leq M_h

ff は連続なので、h→0h \to 0 のとき mhm_h も MhM_h も f(x)f(x) に近づき、はさみうちにより差分商は f(x)f(x) に近づきます(h<0h < 0 も同様。最大値・最小値の存在はここでは認めます)。この微分積分学の基本定理のおかげで、面積としての定積分を、原始関数を使って (1) のように計算できます。

戻る章:P4 第5章「積分法」(P4 微分積分)→ 大学では 01 第5章(リーマン積分と基本定理の証明)

問題 3.10 ★ 次の問いに答えてください。

(1) 極限 lim⁡n→∞∑k=1n1n+k\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{n + k} を、定積分で表して求めてください。

(2) 半径 rr の球の体積が 43πr3\displaystyle \frac{4}{3}\pi r^3 であることを、断面積の積分を使って示してください。

解答

(1) 1n∑k=1n11+kn\displaystyle \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{1 + \frac{k}{n}} と変形すると、区間 [0,1][0, 1] を nn 等分し、各小区間の右端での 11+x\displaystyle \frac{1}{1 + x} の値を高さとする長方形の面積の和です(区分求積法)。よって極限は ∫01dx1+x=log⁡2\displaystyle \int_0^1 \frac{dx}{1 + x} = \log 2 です。

(2) 球の中心を原点にとり、xx 軸に垂直な平面で切ると、位置 xx の切り口は半径 r2−x2\sqrt{r^2 - x^2} の円(三平方の定理)で、面積は π(r2−x2)\pi(r^2 - x^2) です。薄い板の体積を足し合わせた和の極限が断面積の積分なので

V=∫−rrπ(r2−x2) dx=π[r2x−x33]−rr=π(2r3−2r33)=43πr3V = \int_{-r}^{r} \pi(r^2 - x^2)\,dx = \pi\left[ r^2 x - \frac{x^3}{3} \right]_{-r}^{r} = \pi\left(2r^3 - \frac{2r^3}{3}\right) = \frac{4}{3}\pi r^3

戻る章:P4 第6章「積分の応用」(P4 微分積分)→ 大学では 01 第5章(リーマン和)、01 第9章(重積分と体積)

P5 図形とベクトル(5 問)

数学 I(図形と計量)、数学 A(図形の性質)、数学 II(図形と方程式)、数学 C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)の範囲で、02 線形代数 への直接の準備になります。

問題 3.11 ★ 三角形 ABC で、a=BCa = \mathrm{BC}、b=CAb = \mathrm{CA}、c=ABc = \mathrm{AB}、p⃗=AB→\vec{p} = \overrightarrow{\mathrm{AB}}、q⃗=AC→\vec{q} = \overrightarrow{\mathrm{AC}} とおきます。

(1) BC→=q⃗−p⃗\overrightarrow{\mathrm{BC}} = \vec{q} - \vec{p} と内積の性質を使って、余弦定理 a2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2 = b^2 + c^2 - 2bc\cos A を証明してください。

(2) b=5b = 5、c=3c = 3、A=120∘A = 120^\circ のとき、aa、三角形 ABC の面積、外接円の半径 RR を求めてください。

解答

(1) 内積の分配法則、v⃗⋅v⃗=∣v⃗∣2\vec{v} \cdot \vec{v} = \lvert \vec{v} \rvert^2、内積の定義 p⃗⋅q⃗=∣p⃗∣∣q⃗∣cos⁡A\vec{p} \cdot \vec{q} = \lvert \vec{p} \rvert \lvert \vec{q} \rvert \cos A を使うと

a2=∣q⃗−p⃗∣2=∣q⃗∣2−2 p⃗⋅q⃗+∣p⃗∣2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2 = \lvert \vec{q} - \vec{p} \rvert^2 = \lvert \vec{q} \rvert^2 - 2\,\vec{p} \cdot \vec{q} + \lvert \vec{p} \rvert^2 = b^2 + c^2 - 2bc\cos A

(2) a2=25+9−2⋅5⋅3⋅(−12)=49\displaystyle a^2 = 25 + 9 - 2 \cdot 5 \cdot 3 \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) = 49 より a=7a = 7。面積は 12bcsin⁡A=1534\displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A = \frac{15\sqrt{3}}{4}。正弦定理 asin⁡A=2R\displaystyle \frac{a}{\sin A} = 2R より R=72sin⁡120∘=733\displaystyle R = \frac{7}{2\sin 120^\circ} = \frac{7\sqrt{3}}{3} です。

大学の線形代数では逆に、内積を先に定めて、角を cos⁡θ=⟨u, v⟩∥u∥∥v∥\displaystyle \cos\theta = \frac{\langle u,\ v \rangle}{\lVert u \rVert \lVert v \rVert} で定義します。右辺の絶対値が 11 以下であることは、問題 3.2 の不等式で保証されます。

戻る章:P5 第1章「三角比と図形の計量」・第4章「平面ベクトル」(P5 図形とベクトル)→ 大学では 02 第7章(内積空間)

問題 3.12 ★★ 三角形 OAB において、辺 AB を 1:21 : 2 に内分する点を D、辺 OB の中点を E とし、線分 OD と線分 AE の交点を P とします。

(1) a⃗=OA→\vec{a} = \overrightarrow{\mathrm{OA}}、b⃗=OB→\vec{b} = \overrightarrow{\mathrm{OB}} として OP→\overrightarrow{\mathrm{OP}} を a⃗\vec{a}、b⃗\vec{b} で表し、OP:PD\mathrm{OP} : \mathrm{PD} を求めてください。係数を比較するなら、それが許される理由も述べてください。

(2) メネラウスの定理を使って、(1) の OP:PD\mathrm{OP} : \mathrm{PD} を確かめてください。

解答

(1) OD→=2a⃗+b⃗3\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OD}} = \frac{2\vec{a} + \vec{b}}{3}、OE→=12b⃗\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OE}} = \frac{1}{2}\vec{b} です。P は直線 OD 上にも直線 AE 上にもあるので、実数 s,ts, t を用いて

OP→=s OD→=2s3a⃗+s3b⃗,OP→=(1−t)a⃗+t OE→=(1−t)a⃗+t2b⃗\overrightarrow{\mathrm{OP}} = s\,\overrightarrow{\mathrm{OD}} = \frac{2s}{3}\vec{a} + \frac{s}{3}\vec{b}, \qquad \overrightarrow{\mathrm{OP}} = (1 - t)\vec{a} + t\,\overrightarrow{\mathrm{OE}} = (1 - t)\vec{a} + \frac{t}{2}\vec{b}

と書けます。係数を比較すると 2s3=1−t\displaystyle \frac{2s}{3} = 1 - t、s3=t2\displaystyle \frac{s}{3} = \frac{t}{2} で、s=34\displaystyle s = \frac{3}{4}、t=12\displaystyle t = \frac{1}{2}。よって OP→=12a⃗+14b⃗\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac{1}{2}\vec{a} + \frac{1}{4}\vec{b}、OP:PD=3:1\mathrm{OP} : \mathrm{PD} = 3 : 1 です。

係数を比較してよいのは、a⃗\vec{a} と b⃗\vec{b} が 0⃗\vec{0} でなく平行でもない(一次独立である)からです。xa⃗+yb⃗=0⃗x\vec{a} + y\vec{b} = \vec{0} で x≠0x \neq 0 なら a⃗=−yxb⃗\displaystyle \vec{a} = -\frac{y}{x}\vec{b} となって平行(または a⃗=0⃗\vec{a} = \vec{0})になるので x=0x = 0、すると yb⃗=0⃗y\vec{b} = \vec{0} から y=0y = 0 です。2 通りの表し方の差にこれを使えば、係数が一致します。

(2) 三角形 OBD と直線 AE(A は辺 BD の延長上)にメネラウスの定理を使うと、OPPD⋅DAAB⋅BEEO=OPPD⋅13⋅1=1\displaystyle \frac{\mathrm{OP}}{\mathrm{PD}} \cdot \frac{\mathrm{DA}}{\mathrm{AB}} \cdot \frac{\mathrm{BE}}{\mathrm{EO}} = \frac{\mathrm{OP}}{\mathrm{PD}} \cdot \frac{1}{3} \cdot 1 = 1 なので、OP:PD=3:1\mathrm{OP} : \mathrm{PD} = 3 : 1 です。

戻る章:P5 第2章「図形の性質」・第4章「平面ベクトル」(P5 図形とベクトル)→ 大学では 02 第2章(一次独立と基底)

問題 3.13 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 2 点 A(−1,0)\mathrm{A}(-1, 0)、B(1,0)\mathrm{B}(1, 0) に対して、AP:BP=2:1\mathrm{AP} : \mathrm{BP} = 2 : 1 を満たす点 P の軌跡を求めてください。

(2) 楕円 x225+y216=1\displaystyle \frac{x^2}{25} + \frac{y^2}{16} = 1 の焦点 F、F' の座標を答え、この楕円上のどの点 P についても PF+PF′=10\mathrm{PF} + \mathrm{PF}' = 10 となることを示してください。

解答

(1) P(x,y)\mathrm{P}(x, y) とします。両辺が 00 以上なので AP=2BP  ⟺  AP2=4BP2\mathrm{AP} = 2\mathrm{BP} \iff \mathrm{AP}^2 = 4\mathrm{BP}^2 で、

(x+1)2+y2=4{(x−1)2+y2}  ⟺  3x2−10x+3y2+3=0  ⟺  (x−53)2+y2=169(x + 1)^2 + y^2 = 4\lbrace (x - 1)^2 + y^2 \rbrace \iff 3x^2 - 10x + 3y^2 + 3 = 0 \iff \left(x - \frac{5}{3}\right)^2 + y^2 = \frac{16}{9}

軌跡は中心 (53, 0)\displaystyle \left(\frac{5}{3},\ 0\right)、半径 43\displaystyle \frac{4}{3} の円です(アポロニウスの円)。同値変形なので、逆に円上の点はすべて条件を満たします。軌跡を求めるとは、条件を満たす点全体の集合を求めることです。

(2) 焦点は (±25−16,0)(\pm\sqrt{25 - 16}, 0)、つまり F(3,0)\mathrm{F}(3, 0)、F′(−3,0)\mathrm{F}'(-3, 0) です。楕円上の点 P(x,y)\mathrm{P}(x, y) では y2=16−1625x2\displaystyle y^2 = 16 - \frac{16}{25}x^2 なので

PF2=(x−3)2+y2=925x2−6x+25=(5−35x)2\mathrm{PF}^2 = (x - 3)^2 + y^2 = \frac{9}{25}x^2 - 6x + 25 = \left(5 - \frac{3}{5}x\right)^2

−5≤x≤5-5 \leq x \leq 5 より 5−35x>0\displaystyle 5 - \frac{3}{5}x > 0 なので PF=5−35x\displaystyle \mathrm{PF} = 5 - \frac{3}{5}x です(X2=∣X∣\sqrt{X^2} = \lvert X \rvert なので符号の確認が必要です)。同様に PF′=5+35x\displaystyle \mathrm{PF}' = 5 + \frac{3}{5}x で、PF+PF′=10\mathrm{PF} + \mathrm{PF}' = 10 です。

戻る章:P5 第3章「図形と方程式」・第7章「平面上の曲線」(P5 図形とベクトル)→ 大学では 02 第8章(二次曲線の分類)

問題 3.14 ★★ 原点を O とし、空間の 3 点 A(1,0,0)\mathrm{A}(1, 0, 0)、B(0,2,0)\mathrm{B}(0, 2, 0)、C(0,0,3)\mathrm{C}(0, 0, 3) を考えます。

(1) AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} と AC→\overrightarrow{\mathrm{AC}} の両方に垂直なベクトル n⃗\vec{n} を 1 つ求めてください。

(2) O から平面 ABC に下ろした垂線の足 H の座標と、線分 OH の長さを求めてください。

解答

(1) AB→=(−1,2,0)\overrightarrow{\mathrm{AB}} = (-1, 2, 0)、AC→=(−1,0,3)\overrightarrow{\mathrm{AC}} = (-1, 0, 3) です。n⃗=(p,q,r)\vec{n} = (p, q, r) とおくと、内積が 00 になる条件は −p+2q=0-p + 2q = 0、−p+3r=0-p + 3r = 0 なので、たとえば n⃗=(6,3,2)\vec{n} = (6, 3, 2) です(その 00 でない実数倍でも正解です)。

(2) n⃗\vec{n} は平面 ABC 上のどのベクトル sAB→+tAC→s\overrightarrow{\mathrm{AB}} + t\overrightarrow{\mathrm{AC}} とも垂直なので、OH は n⃗\vec{n} と平行で、OH→=kn⃗=(6k,3k,2k)\overrightarrow{\mathrm{OH}} = k\vec{n} = (6k, 3k, 2k) と書けます。H は平面 ABC 上にあるので n⃗⋅AH→=6(6k−1)+3⋅3k+2⋅2k=0\vec{n} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AH}} = 6(6k - 1) + 3 \cdot 3k + 2 \cdot 2k = 0、つまり k=649\displaystyle k = \frac{6}{49} です。よって

H(3649,1849,1249),OH=k∣n⃗∣=649⋅7=67\mathrm{H}\left(\frac{36}{49}, \frac{18}{49}, \frac{12}{49}\right), \qquad \mathrm{OH} = k\lvert \vec{n} \rvert = \frac{6}{49} \cdot 7 = \frac{6}{7}

(同じ考え方で、平面 ABC の方程式は 6x+3y+2z=66x + 3y + 2z = 6 と書けます。)

戻る章:P5 第5章「空間ベクトル」(P5 図形とベクトル)→ 大学では 02 第7章(直交射影)

問題 3.15 ★ 次の問いに答えてください。

(1) α=1+3i\alpha = 1 + \sqrt{3}i を極形式で表し、α6\alpha^6 を求めてください。

(2) 方程式 z3=8z^3 = 8 の解をすべて求め、それらが複素数平面上で正三角形の 3 つの頂点になる理由を説明してください。

解答

(1) ∣α∣=2\lvert \alpha \rvert = 2 なので α=2(cos⁡π3+isin⁡π3)\displaystyle \alpha = 2\left(\cos\frac{\pi}{3} + i\sin\frac{\pi}{3}\right)。ド・モアブルの定理より α6=26(cos⁡2π+isin⁡2π)=64\alpha^6 = 2^6(\cos 2\pi + i\sin 2\pi) = 64 です(複素数の積では、絶対値はかけ算、偏角はたし算になります)。

(2) z=r(cos⁡θ+isin⁡θ)z = r(\cos\theta + i\sin\theta)(r>0r > 0)とおくと r3(cos⁡3θ+isin⁡3θ)=8(cos⁡0+isin⁡0)r^3(\cos 3\theta + i\sin 3\theta) = 8(\cos 0 + i\sin 0) です。絶対値と偏角を比べて(偏角は 2π2\pi の整数倍のずれを許して比べます)、r=2r = 2、3θ=2kπ3\theta = 2k\pi(kk は整数)。0≤θ<2π0 \leq \theta < 2\pi では θ=0, 2π3, 4π3\displaystyle \theta = 0,\ \frac{2\pi}{3},\ \frac{4\pi}{3} なので、z=2,−1+3i,−1−3iz = 2, -1 + \sqrt{3}i, -1 - \sqrt{3}i です。3 つの解は原点を中心とする半径 22 の円周上にあり、22 を原点のまわりに 120∘120^\circ ずつ回転した点なので、円周を 3 等分して正三角形の頂点になります。問題 3.3 の ω\omega を使えば 2,2ω,2ω22, 2\omega, 2\omega^2 です。

戻る章:P5 第6章「複素数平面」(P5 図形とベクトル)→ 大学では 05 第1章(複素平面と極形式)

P6 確率・統計と整数(5 問)

数学 A(場合の数と確率、数学と人間の活動)、数学 II(二項定理)、数学 I(データの分析)、数学 B(統計的な推測)の範囲です。

問題 3.16 ★ 次の問いに答えてください。

(1) 11 から 100100 までの整数のうち、22 でも 33 でも割り切れないものはいくつありますか。

(2) 二項定理を使って nC0+nC1+⋯+nCn=2n{}_n\mathrm{C}_0 + {}_n\mathrm{C}_1 + \cdots + {}_n\mathrm{C}_n = 2^n を示してください。また、この等式が成り立つ理由を、nn 個の要素からなる集合の部分集合の個数を 2 通りに数えて説明してください。

解答

(1) 22 の倍数の集合を AA、33 の倍数の集合を BB とすると、A∩BA \cap B は 66 の倍数の集合です。n(A)+n(B)n(A) + n(B) では 66 の倍数を 2 回数えているので、1 回分を引いて(包除原理)n(A∪B)=50+33−16=67n(A \cup B) = 50 + 33 - 16 = 67。よって 100−67=33100 - 67 = 33 個です。

(2) 二項定理 (a+b)n=∑k=0nnCkan−kbk(a + b)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_k a^{n-k}b^k で a=b=1a = b = 1 とおけば 2n=∑k=0nnCk2^n = \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_k です。また、nn 個の要素からなる集合の部分集合は、要素の個数 kk ごとに数えると nCk{}_n\mathrm{C}_k 個ずつで合計 nC0+⋯+nCn{}_n\mathrm{C}_0 + \cdots + {}_n\mathrm{C}_n 個、各要素を「入れる・入れない」の 2 通りから選ぶと考えると 2n2^n 個です。同じものを 2 通りに数えたので、両者は等しくなります。大学では nCk{}_n\mathrm{C}_k を (nk)\binom{n}{k}、n(A)n(A) を ∣A∣\lvert A \rvert と書くのがふつうです。

戻る章:P6 第1章「場合の数」(P6 確率・統計と整数)→ 大学では 00 第3章(冪集合 P(X)\mathcal{P}(X) と {0,1}X\lbrace 0, 1 \rbrace^X の対応)

問題 3.17 ★★ ある病気にかかっている人の割合は 1% です。この病気の検査は、かかっている人の 90% を陽性と判定し、かかっていない人の 5% を誤って陽性と判定します。無作為に選んだ 1 人が陽性と判定されたとき、その人が実際にこの病気にかかっている確率を求めてください。また、その値が直観と食い違うとしたら、その理由を説明してください。

解答

「病気にかかっている」という事象を AA、「陽性と判定される」という事象を BB とします。求めるのは条件付き確率 PB(A)P_B(A) で、

PB(A)=P(A∩B)P(B)=0.01×0.90.01×0.9+0.99×0.05=0.0090.0585=213≈0.15P_B(A) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)} = \frac{0.01 \times 0.9}{0.01 \times 0.9 + 0.99 \times 0.05} = \frac{0.009}{0.0585} = \frac{2}{13} \approx 0.15

1 万人で考えると、かかっている 100 人のうち陽性は 90 人、かかっていない 9900 人のうち陽性は 495 人で、陽性の 585 人のうち本当にかかっているのは 90 人です。「90% 当たる検査で陽性なら、90% は病気だろう」と考えがちですが、それは PA(B)P_A(B)(かかっている人が陽性になる確率)と PB(A)P_B(A)(陽性の人がかかっている確率)の取り違えです。病気の人がもともと少ないため、多数の健康な人から出る誤った陽性が、本当の陽性を大きく上回るのです。大学では PB(A)P_B(A) を P(A∣B)P(A \mid B) と書きます。

戻る章:P6 第2章「確率」(P6 確率・統計と整数)→ 大学では 11 第1章(確率空間)

問題 3.18 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 整数 a,b,q,ra, b, q, r が a=bq+ra = bq + r を満たすとき、「aa と bb の公約数」と「bb と rr の公約数」は一致することを示してください。また、このことから、ユークリッドの互除法で最大公約数が求められる理由を説明してください。

(2) 方程式 43x+17y=143x + 17y = 1 の整数解をすべて求めてください。

(3) 21002^{100} を 77 で割った余りを求めてください。

解答

(1) dd が aa と bb の公約数なら、r=a−bqr = a - bq も dd で割り切れます。逆に dd が bb と rr の公約数なら、a=bq+ra = bq + r も dd で割り切れます。公約数全体が一致するので、最大公約数も一致します。互除法では、aa を bb で割った余り r1r_1、bb を r1r_1 で割った余り r2r_2、……と割り算を続けます。余りは b>r1>r2>⋯≥0b > r_1 > r_2 > \cdots \geq 0 と減っていつか 00 になり、その間、最大公約数は変わりません。最後の 00 でない余りは直前の数を割り切るので、それが aa と bb の最大公約数です。

(2) 43=17⋅2+943 = 17 \cdot 2 + 9、17=9⋅1+817 = 9 \cdot 1 + 8、9=8⋅1+19 = 8 \cdot 1 + 1 を逆にたどると、1=9−8=2⋅9−17=43⋅2+17⋅(−5)1 = 9 - 8 = 2 \cdot 9 - 17 = 43 \cdot 2 + 17 \cdot (-5) です。これを 43x+17y=143x + 17y = 1 から引くと 43(x−2)=−17(y+5)43(x - 2) = -17(y + 5)。素数 1717 は 4343 を割り切らないので、x−2x - 2 は 1717 の倍数です。x−2=17kx - 2 = 17k とおくと y+5=−43ky + 5 = -43k なので、整数解は (x,y)=(2+17k,−5−43k)(x, y) = (2 + 17k, -5 - 43k)(kk は整数)です。

(3) 2100=(23)33⋅2=(7+1)33⋅22^{100} = (2^3)^{33} \cdot 2 = (7 + 1)^{33} \cdot 2 を二項定理で展開すると、22 以外の項はすべて 77 の倍数なので、余りは 22 です。合同式で書けば、23≡1(mod7)2^3 \equiv 1 \pmod{7} より 2100≡2(mod7)2^{100} \equiv 2 \pmod{7} です。

戻る章:P6 第3章「整数の性質」(P6 確率・統計と整数)→ 大学では 04 第1章(ベズーの等式と合同式)

問題 3.19 ★★ 2 つの変量 xx、yy について、次の 5 組のデータがあります。

番号 1 2 3 4 5
xx 1 2 3 4 5
yy 2 4 5 4 5

(1) xx と yy の分散、共分散、相関係数を求めてください。

(2) どんなデータでも相関係数 rr が −1≤r≤1-1 \leq r \leq 1 を満たす理由を説明してください。(ヒント:nn 組のデータの偏差を Xi=xi−x‾X_i = x_i - \overline{x}、Yi=yi−y‾Y_i = y_i - \overline{y} とすると、すべての実数 tt について ∑i=1n(tXi−Yi)2≥0\sum_{i=1}^{n} (tX_i - Y_i)^2 \geq 0 です。)

解答

(1) 平均は x‾=3\overline{x} = 3、y‾=4\overline{y} = 4 で、偏差は xx が −2,−1,0,1,2-2, -1, 0, 1, 2、yy が −2,0,1,0,1-2, 0, 1, 0, 1 です。分散は sx2=105=2\displaystyle s_x^2 = \frac{10}{5} = 2、sy2=65\displaystyle s_y^2 = \frac{6}{5}、共分散は sxy=4+0+0+0+25=65\displaystyle s_{xy} = \frac{4 + 0 + 0 + 0 + 2}{5} = \frac{6}{5} で、相関係数は

r=sxysxsy=6/526/5=155≈0.77r = \frac{s_{xy}}{s_x s_y} = \frac{6/5}{\sqrt{2}\sqrt{6/5}} = \frac{\sqrt{15}}{5} \approx 0.77

(2) ヒントの式を展開すると、すべての実数 tt について (∑Xi2)t2−2(∑XiYi)t+∑Yi2≥0\left(\sum X_i^2\right)t^2 - 2\left(\sum X_i Y_i\right)t + \sum Y_i^2 \geq 0 です。t2t^2 の係数は正(xx または yy の値がすべて同じなら、rr は定義されません)なので、問題 3.2 と同じく判別式は 00 以下で、(∑XiYi)2≤(∑Xi2)(∑Yi2)\left(\sum X_i Y_i\right)^2 \leq \left(\sum X_i^2\right)\left(\sum Y_i^2\right)。両辺を n2n^2 で割ると sxy2≤sx2sy2s_{xy}^2 \leq s_x^2 s_y^2、つまり −1≤r≤1-1 \leq r \leq 1 です。r=±1r = \pm 1 となるのは、データの点がすべて 1 本の直線上に並ぶときです。相関係数は、偏差を並べた 2 つのベクトル (X1,…,Xn)(X_1, \dots, X_n) と (Y1,…,Yn)(Y_1, \dots, Y_n) のなす角の余弦になっています。

戻る章:P6 第4章「データの分析」(P6 確率・統計と整数)→ 大学では 02 第7章(コーシー–シュワルツの不等式となす角)

問題 3.20 ★★ 次の問いに答えてください。

(1) 確率変数 XX が二項分布 B(n,p)B(n, p) に従うとき、期待値は E(X)=npE(X) = np、分散は V(X)=np(1−p)V(X) = np(1 - p) です。XX を nn 個の確率変数の和として表して、この理由を説明してください。

(2) あるコインを 400 回投げたところ、表が 230 回出ました。表の出る確率が 12\displaystyle \frac{1}{2} だと仮定すると、230 回以上表が出る確率はおよそいくらですか。正規分布で近似して求め、その結果から「このコインの表の出る確率は 12\displaystyle \frac{1}{2} である」という仮説について何が言えるか、仮説検定の考え方で説明してください。必要なら、標準正規分布に従う ZZ について P(0≤Z≤3)=0.4987P(0 \leq Z \leq 3) = 0.4987 を使ってください。

解答

(1) ii 回目の試行で成功なら 11、失敗なら 00 をとる確率変数を XiX_i とすると、X=X1+X2+⋯+XnX = X_1 + X_2 + \cdots + X_n です。E(Xi)=pE(X_i) = p、V(Xi)=E(Xi2)−E(Xi)2=p−p2V(X_i) = E(X_i^2) - E(X_i)^2 = p - p^2 で、期待値は和に分けられるので E(X)=npE(X) = np。各回の試行は独立なので、独立な確率変数の和の分散は分散の和になり、V(X)=np(1−p)V(X) = np(1 - p) です。期待値の計算に独立性はいりませんが、分散の計算には必要です。

(2) 仮説のもとで、表の回数 XX は B(400, 12)\displaystyle B\left(400,\ \frac{1}{2}\right) に従い、期待値 200200、標準偏差 400⋅12⋅12=10\displaystyle \sqrt{400 \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2}} = 10 です。nn が大きいので Z=X−20010\displaystyle Z = \frac{X - 200}{10} は近似的に標準正規分布に従い、X≥230X \geq 230 は Z≥3Z \geq 3 と同じなので

P(X≥230)≈P(Z≥3)=0.5−0.4987=0.0013P(X \geq 230) \approx P(Z \geq 3) = 0.5 - 0.4987 = 0.0013

仮説が正しければ 0.13% 程度しか起こらないことが起きたことになり、これはよく基準にする有意水準 5%(あるいは 1%)よりずっと小さいので、仮説を棄却し、このコインは表が出やすいと判断します(200200 回からのずれを両側で考えても約 0.26% で、結論は同じです)。なお、確率が小さくなければ「仮説は棄却できない」と言えるだけで、仮説が正しいと証明されたことにはなりません。

戻る章:P6 第5章「統計的な推測」(P6 確率・統計と整数)→ 大学では 11 第4章(中心極限定理とド・モアブル–ラプラスの定理)

結果の見かた

科目 合格の目安 不合格のときに読む科目
P3 数と式・関数(問題 3.1〜3.5) 5 問中 4 問以上 P3 数と式・関数
P4 微分積分(問題 3.6〜3.10) 5 問中 4 問以上 P4 微分積分
P5 図形とベクトル(問題 3.11〜3.15) 5 問中 4 問以上 P5 図形とベクトル
P6 確率・統計と整数(問題 3.16〜3.20) 5 問中 4 問以上 P6 確率・統計と整数

不合格の科目は、間違えた問題の「戻る章」から読み始めて科目全体に目を通し、もう一度この診断テストに挑戦してください。合格した科目でも、間違えた問題の「戻る章」は読んでおくと安心です。次にどこへ進むかの目安は次のとおりです。


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