Lemma数学ロードマップ

01 微分積分学 · 第 3 章

関数の極限と連続性

目安 17〜22 時間定理など 18演習 10 問実験 1

この章の目標

  • ε-δ 論法で関数の極限・連続性を定義し、具体的な関数について証明できる
  • 関数の極限を点列の極限で言い換え、極限の性質を数列の場合に帰着できる
  • 中間値の定理・最大値最小値の定理・ハイネ–カントールの定理を実数の連続性から証明できる
  • 単調関数の不連続点が高々可算個であること、狭義単調な連続関数の逆関数が連続であることを示せる
  • 実数乗 axa^x と対数関数を厳密に定義し、その連続性と指数法則を証明できる

前提:第1章、第2章、00-foundations 第5章 濃度(可算集合)

補足

三角関数は第6章でべき級数によって厳密に定義する。それまでは、例の中でだけ、高校で学んだ性質(∣sin⁡x∣≤1\lvert \sin x \rvert \leq 1、連続性、加法定理、微分の公式など)を認めて使う。定理の証明には三角関数を使わないので、第6章で三角関数を定義するときに循環論法にはならない。

3.1 関数の極限

高校では「xx が aa に限りなく近づくとき f(x)f(x) が bb に限りなく近づく」ことを lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b と書いた。数列の場合と同じく、これを不等式で言い直す。「f(x)f(x) を bb から誤差 ε\varepsilon 以内にしたければ、xx を aa から δ\delta 以内にとればよい」——誤差 ε\varepsilon をどれほど小さく要求されても、それに応じた δ\delta が見つかるということである。

注意すべき点が二つある。第一に、ff は aa で定義されていなくてもよい(例えば sin⁡xx\frac{\sin x}{x} の x→0x \to 0)。第二に、f(a)f(a) が定義されていても、その値は極限に関係しない。そのため x=ax = a は除外して考える。ただし、aa の近くに定義域の点がなければ「近づく」ことができないので、次の概念が必要になる。

定義 3.1(集積点, accumulation point)D⊂RD \subset \mathbb{R}、a∈Ra \in \mathbb{R} とする。任意の δ>0\delta > 0 に対して 0<∣x−a∣<δ0 < \lvert x - a \rvert < \delta となる x∈Dx \in D が存在するとき、aa を DD の集積点という。

区間 II(1 点ではないもの)では、II の点と端点はすべて II の集積点である。一方 N\mathbb{N} の点は N\mathbb{N} の集積点ではない。

定義 3.2(関数の極限)D⊂RD \subset \mathbb{R}、f ⁣:D→Rf\colon D \to \mathbb{R}、aa を DD の集積点とする。b∈Rb \in \mathbb{R} について

∀ε>0, ∃δ>0, ∀x∈D, 0<∣x−a∣<δ⇒∣f(x)−b∣<ε\forall \varepsilon > 0,\ \exists \delta > 0,\ \forall x \in D,\ 0 < \lvert x - a \rvert < \delta \Rightarrow \lvert f(x) - b \rvert < \varepsilon

が成り立つとき、x→ax \to a のとき f(x)f(x) は bb に収束するといい、lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b または f(x)→b (x→a)f(x) \to b \ (x \to a) と書く。

この形の論法を ε-δ 論法 (epsilon-delta argument) という。極限が存在すればただ一つである(証明は補題 1.28 (1) と同様。aa が集積点であることがここで使われる)。極限の否定は

∃ε>0, ∀δ>0, ∃x∈D, 0<∣x−a∣<δ かつ ∣f(x)−b∣≥ε\exists \varepsilon > 0,\ \forall \delta > 0,\ \exists x \in D,\ 0 < \lvert x - a \rvert < \delta \text{ かつ } \lvert f(x) - b \rvert \geq \varepsilon

である。ε-δ 論法の証明も、δ を逆算する下書きと清書に分けて示す。

例 3.3 lim⁡x→2x2=4\lim_{x \to 2} x^2 = 4。

下書き. ∣x2−4∣=∣x−2∣∣x+2∣\lvert x^2 - 4 \rvert = \lvert x - 2 \rvert \lvert x + 2 \rvert。∣x−2∣\lvert x - 2 \rvert は δ\delta で小さくできるが、∣x+2∣\lvert x + 2 \rvert は xx によって変わる。そこでまず δ≤1\delta \leq 1 と制限すると、∣x−2∣<1\lvert x - 2 \rvert < 1 から 1<x<31 < x < 3、よって ∣x+2∣<5\lvert x + 2 \rvert < 5。このとき ∣x2−4∣<5∣x−2∣\lvert x^2 - 4 \rvert < 5\lvert x - 2 \rvert なので、∣x−2∣<ε5\lvert x - 2 \rvert < \frac{\varepsilon}{5} なら十分。二つの制限を合わせて δ=min⁡{1,ε5}\delta = \min\lbrace 1, \frac{\varepsilon}{5} \rbrace。

証明. ε>0\varepsilon > 0 を任意にとり、δ=min⁡{1,ε5}\delta = \min\lbrace 1, \frac{\varepsilon}{5} \rbrace とおく。0<∣x−2∣<δ0 < \lvert x - 2 \rvert < \delta ならば、∣x−2∣<1\lvert x - 2 \rvert < 1 より ∣x+2∣<5\lvert x + 2 \rvert < 5 なので

∣x2−4∣=∣x−2∣∣x+2∣<5⋅ε5=ε\lvert x^2 - 4 \rvert = \lvert x - 2 \rvert \lvert x + 2 \rvert < 5 \cdot \frac{\varepsilon}{5} = \varepsilon

である。□\square

「δ≤1\delta \leq 1 と先に制限して、残りの因子を定数で抑える」のは、ε-δ 論法の最も基本的な技法である。

例 3.4 (1) f(x)=x2−1x−1f(x) = \frac{x^2 - 1}{x - 1}(D=R∖{1}D = \mathbb{R} \setminus \lbrace 1 \rbrace)について lim⁡x→1f(x)=2\lim_{x \to 1} f(x) = 2。x≠1x \neq 1 なら f(x)=x+1f(x) = x + 1 で ∣f(x)−2∣=∣x−1∣\lvert f(x) - 2 \rvert = \lvert x - 1 \rvert なので、δ=ε\delta = \varepsilon とすればよい。f(1)f(1) が定義されていないことは問題にならない。 (2) a>0a > 0 のとき lim⁡x→ax=a\lim_{x \to a} \sqrt{x} = \sqrt{a}(D=[0,∞)D = [0, \infty))。∣x−a∣=∣x−a∣x+a≤∣x−a∣a\lvert \sqrt{x} - \sqrt{a} \rvert = \frac{\lvert x - a \rvert}{\sqrt{x} + \sqrt{a}} \leq \frac{\lvert x - a \rvert}{\sqrt{a}} なので、δ=a ε\delta = \sqrt{a}\ \varepsilon とすればよい。

例 3.5 lim⁡x→0xsin⁡1x=0\lim_{x \to 0} x \sin\frac{1}{x} = 0(D=R∖{0}D = \mathbb{R} \setminus \lbrace 0 \rbrace)。∣xsin⁡1x∣≤∣x∣\left\lvert x \sin\frac{1}{x} \right\rvert \leq \lvert x \rvert なので δ=ε\delta = \varepsilon でよい。sin⁡1x\sin\frac{1}{x} 自身は x→0x \to 0 で激しく振動するが、xx を掛けると押しつぶされる。

3.2 点列による特徴づけと片側極限

関数の極限は数列の極限で言い換えられる。これにより、第2章の結果(四則、はさみうち)をそのまま関数に移せる。

定理 3.6(点列による特徴づけ)f ⁣:D→Rf\colon D \to \mathbb{R}、aa を DD の集積点とする。lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b であるための必要十分条件は、xn→ax_n \to a を満たす D∖{a}D \setminus \lbrace a \rbrace の任意の点列 (xn)(x_n) に対して f(xn)→bf(x_n) \to b となることである。

証明. (必要性) ε>0\varepsilon > 0 に対し、定義 3.2 の δ\delta をとる。xn→ax_n \to a なので、n≥Nn \geq N で ∣xn−a∣<δ\lvert x_n - a \rvert < \delta となる NN がある。xn≠ax_n \neq a なので 0<∣xn−a∣<δ0 < \lvert x_n - a \rvert < \delta となり、∣f(xn)−b∣<ε\lvert f(x_n) - b \rvert < \varepsilon。

(十分性) 対偶を示す。lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b でないとすると、ある ε>0\varepsilon > 0 について、どの δ>0\delta > 0 に対しても 0<∣x−a∣<δ0 < \lvert x - a \rvert < \delta かつ ∣f(x)−b∣≥ε\lvert f(x) - b \rvert \geq \varepsilon となる x∈Dx \in D がある。δ=1n\delta = \frac{1}{n} としてそのような xnx_n を選ぶと、xn∈D∖{a}x_n \in D \setminus \lbrace a \rbrace、xn→ax_n \to a だが、∣f(xn)−b∣≥ε\lvert f(x_n) - b \rvert \geq \varepsilon なので f(xn)↛bf(x_n) \not\to b。□\square

系 3.7 lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b、lim⁡x→ag(x)=c\lim_{x \to a} g(x) = c とする。

  1. f(x)±g(x)→b±cf(x) \pm g(x) \to b \pm c、f(x)g(x)→bcf(x) g(x) \to bc、c≠0c \neq 0 なら f(x)g(x)→bc\frac{f(x)}{g(x)} \to \frac{b}{c}。
  2. aa の近くで f(x)≤g(x)f(x) \leq g(x) ならば b≤cb \leq c。
  3. (はさみうち)aa の近くで f(x)≤h(x)≤g(x)f(x) \leq h(x) \leq g(x) かつ b=cb = c ならば lim⁡x→ah(x)=b\lim_{x \to a} h(x) = b。

ここで「aa の近くで」とは、ある δ0>0\delta_0 > 0 について 0<∣x−a∣<δ00 < \lvert x - a \rvert < \delta_0 を満たすすべての x∈Dx \in D で、という意味である。

証明. 定理 3.6 により、第2章の定理 2.9、2.10 と補題 1.28 (2) に帰着する。例えば (1) の積なら、D∖{a}D \setminus \lbrace a \rbrace の点列 xn→ax_n \to a に対して f(xn)→bf(x_n) \to b、g(xn)→cg(x_n) \to c なので f(xn)g(xn)→bcf(x_n)g(x_n) \to bc。これが任意の点列について成り立つので、定理 3.6 より f(x)g(x)→bcf(x)g(x) \to bc。□\square

定理 3.6 は、極限が存在しないことを示すときに特に有効である。異なる値に近づく二つの点列を見つければよい。

例 3.8 (1) ディリクレ関数 f=1Qf = \mathbf{1}_{\mathbb{Q}}(有理数で 11、無理数で 00)はどの点でも極限をもたない。任意の aa に対し、有理数列 xn→ax_n \to a と無理数列 yn→ay_n \to a(aa と異なるもの)が稠密性(定理 1.23、系 1.24)によりとれ、f(xn)=1f(x_n) = 1、f(yn)=0f(y_n) = 0 となるからである。 (2) sin⁡1x\sin\frac{1}{x} は x→0x \to 0 で極限をもたない。xn=12πnx_n = \frac{1}{2\pi n} では値が 00、yn=12πn+π/2y_n = \frac{1}{2\pi n + \pi/2} では値が 11 である。

定義 3.9(片側極限・無限遠での極限)(1) 定義 3.2 で xx を x>ax > a の範囲に制限したものを右極限 (right-hand limit) といい、lim⁡x→a+0f(x)\lim_{x \to a+0} f(x)、f(a+0)f(a+0) などと書く。左極限 lim⁡x→a−0f(x)=f(a−0)\lim_{x \to a-0} f(x) = f(a-0) も同様。a=0a = 0 のときは x→+0x \to +0、x→−0x \to -0 と書く。 (2) DD が上に有界でないとき、∀ε>0, ∃M, ∀x∈D, x>M⇒∣f(x)−b∣<ε\forall \varepsilon > 0,\ \exists M,\ \forall x \in D,\ x > M \Rightarrow \lvert f(x) - b \rvert < \varepsilon が成り立つことを lim⁡x→∞f(x)=b\lim_{x \to \infty} f(x) = b と書く。 (3) ∀M, ∃δ>0, ∀x∈D, 0<∣x−a∣<δ⇒f(x)>M\forall M,\ \exists \delta > 0,\ \forall x \in D,\ 0 < \lvert x - a \rvert < \delta \Rightarrow f(x) > M が成り立つことを lim⁡x→af(x)=+∞\lim_{x \to a} f(x) = +\infty と書く。他の組合せも同様に定める。

命題 3.10 aa が D∩(a,∞)D \cap (a, \infty) と D∩(−∞,a)D \cap (-\infty, a) の両方の集積点ならば、lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b であることと、f(a+0)f(a+0) と f(a−0)f(a-0) がともに存在して bb に等しいことは同値である。

証明. 必要性は定義から明らか。十分性は、右側で得られる δ1\delta_1 と左側で得られる δ2\delta_2 の小さい方をとればよい。□\square

例 3.11 整数部分 f(x)=⌊x⌋f(x) = \lfloor x \rfloor は、整数 mm で f(m+0)=mf(m+0) = m、f(m−0)=m−1f(m-0) = m - 1 なので x→mx \to m の極限をもたない。また lim⁡x→+01x=+∞\lim_{x \to +0} \frac{1}{x} = +\infty、lim⁡x→−01x=−∞\lim_{x \to -0} \frac{1}{x} = -\infty。

数列のコーシー判定法に対応して、極限の値を知らずに極限の存在を示す方法がある。第5章の広義積分で使う。

命題 3.12(関数の極限に対するコーシーの判定法)aa を DD の集積点とする。lim⁡x→af(x)\lim_{x \to a} f(x) が存在するための必要十分条件は、次が成り立つことである。

∀ε>0, ∃δ>0, ∀x,y∈D, (0<∣x−a∣<δ, 0<∣y−a∣<δ)⇒∣f(x)−f(y)∣<ε\forall \varepsilon > 0,\ \exists \delta > 0,\ \forall x, y \in D,\ \bigl(0 < \lvert x - a \rvert < \delta,\ 0 < \lvert y - a \rvert < \delta\bigr) \Rightarrow \lvert f(x) - f(y) \rvert < \varepsilon

x→∞x \to \infty のときも同様(「x,y>Mx, y > M」に置き換える)。

証明. 必要性は三角不等式から従う。十分性:D∖{a}D \setminus \lbrace a \rbrace の点列 xn→ax_n \to a をとると、条件から (f(xn))(f(x_n)) はコーシー列なので収束する。その極限を bb とする。別の点列 yn→ay_n \to a に対しても f(yn)f(y_n) は収束し、x1,y1,x2,y2,…x_1, y_1, x_2, y_2, \dots と交互に並べた点列も aa に収束するので ff の値の列は収束し、その部分列である (f(xn))(f(x_n)) と (f(yn))(f(y_n)) の極限は一致する。よってすべての点列で f(xn)→bf(x_n) \to b となり、定理 3.6 より lim⁡x→af(x)=b\lim_{x \to a} f(x) = b。□\square

3.3 連続関数

定義 3.13(連続性, continuity)f ⁣:D→Rf\colon D \to \mathbb{R}、a∈Da \in D とする。

∀ε>0, ∃δ>0, ∀x∈D, ∣x−a∣<δ⇒∣f(x)−f(a)∣<ε\forall \varepsilon > 0,\ \exists \delta > 0,\ \forall x \in D,\ \lvert x - a \rvert < \delta \Rightarrow \lvert f(x) - f(a) \rvert < \varepsilon

が成り立つとき、ff は aa で連続 (continuous) であるという。DD のすべての点で連続なとき、ff は DD 上で連続である、または連続関数であるという。

aa が DD の集積点なら、「aa で連続」は「lim⁡x→af(x)=f(a)\lim_{x \to a} f(x) = f(a)」と同値である。aa が DD の集積点でない(孤立点である)なら、ff は aa で自動的に連続になる。定理 3.6 と同様に次が示せる。

命題 3.14 ff が a∈Da \in D で連続であるための必要十分条件は、xn→ax_n \to a となる DD の任意の点列に対して f(xn)→f(a)f(x_n) \to f(a) となることである。

定理 3.15 (1) f,gf, g が aa で連続ならば、f±gf \pm g、fgfg、および g(a)≠0g(a) \neq 0 のとき f/gf/g も aa で連続である。 (2) f ⁣:D→Rf\colon D \to \mathbb{R} が aa で連続、g ⁣:E→Rg\colon E \to \mathbb{R} が f(a)f(a) で連続で f(D)⊂Ef(D) \subset E ならば、合成 g∘fg \circ f は aa で連続である。

証明. (1) は命題 3.14 と定理 2.9 から。(2) ε>0\varepsilon > 0 に対し、gg の連続性から ∣y−f(a)∣<η⇒∣g(y)−g(f(a))∣<ε\lvert y - f(a) \rvert < \eta \Rightarrow \lvert g(y) - g(f(a)) \rvert < \varepsilon となる η>0\eta > 0 をとり、ff の連続性から ∣x−a∣<δ⇒∣f(x)−f(a)∣<η\lvert x - a \rvert < \delta \Rightarrow \lvert f(x) - f(a) \rvert < \eta となる δ>0\delta > 0 をとる。∣x−a∣<δ\lvert x - a \rvert < \delta なら ∣g(f(x))−g(f(a))∣<ε\lvert g(f(x)) - g(f(a)) \rvert < \varepsilon。□\square

注意

極限の合成は、外側の関数が連続でないと成り立たないことがある。f(x)=0f(x) = 0(定数)、g(y)=0 (y≠0)g(y) = 0 \ (y \neq 0)、g(0)=1g(0) = 1 とすると、lim⁡x→0f(x)=0\lim_{x \to 0} f(x) = 0、lim⁡y→0g(y)=0\lim_{y \to 0} g(y) = 0 だが、g(f(x))=1g(f(x)) = 1 なので lim⁡x→0g(f(x))=1\lim_{x \to 0} g(f(x)) = 1 である。gg が 00 で連続であるか、x≠ax \neq a で f(x)≠bf(x) \neq b であれば問題ない。

例 3.16 (1) 定数関数と f(x)=xf(x) = x は連続なので、定理 3.15 より多項式関数は R\mathbb{R} 上連続、有理関数は分母が 00 でない点全体で連続である。 (2) f(x)=∣x∣f(x) = \lvert x \rvert は ∣∣x∣−∣a∣∣≤∣x−a∣\bigl\lvert \lvert x \rvert - \lvert a \rvert \bigr\rvert \leq \lvert x - a \rvert より連続(δ=ε\delta = \varepsilon)。 (3) x\sqrt{x} は [0,∞)[0, \infty) 上連続である。a>0a > 0 では例 3.4 (2)。a=0a = 0 では、0≤x<ε20 \leq x < \varepsilon^2 なら x<ε\sqrt{x} < \varepsilon なので δ=ε2\delta = \varepsilon^2 でよい。 (4) f(x)=1xf(x) = \frac{1}{x} は定義域 R∖{0}\mathbb{R} \setminus \lbrace 0 \rbrace の各点で連続なので、連続関数である。グラフは x=0x = 0 で切れているが、00 は定義域に含まれないので不連続点ではない。高校の「グラフがつながっている」というイメージと ε-δ による定義は一致しない。

実験ε-δ 論法の実験ε を決めると δ を探す。連続な関数と不連続な関数で、δ が見つかるかどうかを比べます。

この実験は JavaScript を有効にすると動きます。

例 3.17(連続性は点ごとの性質である)(1) ディリクレ関数 1Q\mathbf{1}_{\mathbb{Q}} はすべての点で不連続である(例 3.8)。 (2) f(x)=x1Q(x)f(x) = x \mathbf{1}_{\mathbb{Q}}(x) は x=0x = 0 でだけ連続である(問題 3.2)。 (3) トマエ関数 (Thomae's function):x=pqx = \frac{p}{q}(p∈Zp \in \mathbb{Z}、q∈Nq \in \mathbb{N}、既約分数、0=010 = \frac{0}{1})のとき f(x)=1qf(x) = \frac{1}{q}、xx が無理数のとき f(x)=0f(x) = 0 と定める。ff は無理数の点で連続、有理数の点で不連続である。

実際、有理数 a=pqa = \frac{p}{q} では f(a)=1q>0f(a) = \frac{1}{q} > 0 だが、aa に収束する無理数列 yny_n では f(yn)=0f(y_n) = 0 なので不連続。無理数 aa では、ε>0\varepsilon > 0 に対し、分母が 1ε\frac{1}{\varepsilon} 以下の既約分数で区間 (a−1,a+1)(a - 1, a + 1) に属するものは有限個しかない(分母 qq ごとに高々 2q+12q + 1 個)。aa は無理数なのでそれらのどれとも異なり、aa とそれらとの距離の最小値を δ\delta(δ≤1\delta \leq 1)とする。∣x−a∣<δ\lvert x - a \rvert < \delta なら、xx は無理数(f(x)=0f(x) = 0)か分母が 1ε\frac{1}{\varepsilon} より大きい有理数(f(x)<εf(x) < \varepsilon)なので、∣f(x)−f(a)∣<ε\lvert f(x) - f(a) \rvert < \varepsilon。

3.4 中間値の定理

第1章の冒頭で述べたように、中間値の定理は数の体系に隙間がないことに依存する。ここで連続性公理から証明する。

定理 3.18(中間値の定理, intermediate value theorem)f ⁣:[a,b]→Rf\colon [a, b] \to \mathbb{R} が連続で、γ\gamma が f(a)f(a) と f(b)f(b) の間にある(f(a)<γ<f(b)f(a) < \gamma < f(b) または f(a)>γ>f(b)f(a) > \gamma > f(b))ならば、f(c)=γf(c) = \gamma となる c∈(a,b)c \in (a, b) が存在する。

証明. f(a)<γ<f(b)f(a) < \gamma < f(b) の場合を示す(逆の場合は −f-f を考えればよい)。S={x∈[a,b]∣f(x)<γ}S = \lbrace x \in [a, b] \mid f(x) < \gamma \rbrace とおくと、a∈Sa \in S で SS は bb を上界にもつので、c=sup⁡S∈[a,b]c = \sup S \in [a, b] が存在する。

f(c)<γf(c) < \gamma と仮定する。f(b)>γf(b) > \gamma より c<bc < b。ε=γ−f(c)\varepsilon = \gamma - f(c) に対して連続性から δ>0\delta > 0 をとると、x∈[a,b]x \in [a, b]、∣x−c∣<δ\lvert x - c \rvert < \delta なら f(x)<f(c)+ε=γf(x) < f(c) + \varepsilon = \gamma。x=min⁡{c+δ2,b}x = \min\lbrace c + \frac{\delta}{2}, b \rbrace とすると x∈Sx \in S かつ x>cx > c となり、cc が上界であることに反する。

f(c)>γf(c) > \gamma と仮定する。f(a)<γf(a) < \gamma より c>ac > a。ε=f(c)−γ\varepsilon = f(c) - \gamma に対して δ>0\delta > 0 をとると、x∈[a,b]x \in [a,b]、∣x−c∣<δ\lvert x - c \rvert < \delta なら f(x)>γf(x) > \gamma、つまり x∉Sx \notin S。SS の元はすべて cc 以下なので、結局 SS の元はすべて c−δc - \delta 以下であり、c−δc - \delta が SS の上界となって cc の最小性に反する。

よって f(c)=γf(c) = \gamma。f(a)<γ<f(b)f(a) < \gamma < f(b) より c≠a,bc \neq a, b。□\square

区間 (interval) とは、「x,y∈Ix, y \in I、x<z<yx < z < y ならば z∈Iz \in I」を満たす集合 I⊂RI \subset \mathbb{R} のことである(連続性公理を使うと、これは [a,b][a, b]、(a,b)(a, b)、[a,∞)[a, \infty)、R\mathbb{R} などのいずれかの形になることが示せる)。

系 3.19 区間 II 上の連続関数 ff の像 f(I)f(I) は区間である。

証明. f(x)<z<f(y)f(x) < z < f(y) なら、xx と yy を端点とする閉区間に中間値の定理を適用して、f(c)=zf(c) = z となる c∈Ic \in I が得られる。□\square

例 3.20 (1)(累乗根の存在)a>0a > 0、n∈Nn \in \mathbb{N} とし、f(x)=xnf(x) = x^n を [0,1+a][0, 1 + a] で考えると、f(0)=0<a<(1+a)n=f(1+a)f(0) = 0 < a < (1+a)^n = f(1 + a) なので、bn=ab^n = a となる b∈(0,1+a)b \in (0, 1+a) が存在する。第1章の問題 1.6 よりずっと簡単である(ただし中間値の定理の証明に連続性公理を使っている)。 (2) 奇数次の多項式は実数の根をもつ(問題 3.3)。 (3) 有理数の上だけで考えた f(x)=x2−2f(x) = x^2 - 2 は、f(1)<0<f(2)f(1) < 0 < f(2) だが Q\mathbb{Q} の中に根をもたない。連続性公理なしに中間値の定理は成り立たない。

3.5 最大値・最小値の定理

定理 3.21(最大値・最小値の定理, extreme value theorem)有界閉区間 [a,b][a, b] 上の連続関数 ff は有界であり、最大値と最小値をとる。すなわち f(c1)=max⁡ff(c_1) = \max f、f(c2)=min⁡ff(c_2) = \min f となる c1,c2∈[a,b]c_1, c_2 \in [a, b] が存在する。

証明. 有界性:有界でないとすると、各 nn について ∣f(xn)∣>n\lvert f(x_n) \rvert > n となる xn∈[a,b]x_n \in [a, b] がある。ボルツァノ–ワイエルシュトラスの定理(系 1.35 (3))より収束部分列 xnk→cx_{n_k} \to c があり、a≤xnk≤ba \leq x_{n_k} \leq b より c∈[a,b]c \in [a, b](補題 1.28 (2))。連続性より f(xnk)→f(c)f(x_{n_k}) \to f(c) なので (f(xnk))(f(x_{n_k})) は有界だが、∣f(xnk)∣>nk≥k\lvert f(x_{n_k}) \rvert > n_k \geq k に反する。

最大値:M=sup⁡{f(x)∣x∈[a,b]}M = \sup\lbrace f(x) \mid x \in [a, b] \rbrace とおく(有界性より存在)。各 nn について f(xn)>M−1nf(x_n) > M - \frac{1}{n} となる xn∈[a,b]x_n \in [a, b] をとり、収束部分列 xnk→c1∈[a,b]x_{n_k} \to c_1 \in [a, b] をとると、M−1nk<f(xnk)≤MM - \frac{1}{n_k} < f(x_{n_k}) \leq M と連続性より f(c1)=Mf(c_1) = M。最小値は −f-f に適用すればよい。□\square

例 3.22(仮定を外すと成り立たない)(1) (0,1](0, 1] 上の f(x)=1xf(x) = \frac{1}{x} は連続だが有界でない(区間が閉でない)。 (2) [0,∞)[0, \infty) 上の f(x)=x1+xf(x) = \frac{x}{1+x} は有界だが最大値をとらない(sup⁡f=1\sup f = 1 が値にならない。区間が有界でない)。 (3) [0,1][0, 1] 上で f(x)=xf(x) = x(x<1x < 1)、f(1)=0f(1) = 0 と定めると、ff は最大値をとらない(ff が連続でない)。

中間値の定理と合わせると、有界閉区間上の連続関数の像は有界閉区間 [min⁡f,max⁡f][\min f, \max f] である。

ヒント

中間値の定理は「隙間がない」こと(上限の存在)から、最大値の定理は「点列が逃げ出せない」こと(ボルツァノ–ワイエルシュトラス)から従う。後者の本質は区間 [a,b][a,b] のコンパクト性であり、03-topology 第5章 で一般の位相空間に拡張される。前者の本質は区間の連結性である(03-topology 第6章)。

3.6 一様連続性

ff が DD 上で連続であるとき、定義 3.13 の δ\delta は ε\varepsilon だけでなく点 aa にも依存してよい。例えば f(x)=1xf(x) = \frac{1}{x}(x>0x > 0)では、aa が 00 に近いほどグラフが急になるので、同じ ε\varepsilon に対しても δ\delta を小さくとらなければならない。δ\delta を点によらずに選べるという強い性質が一様連続性である。

定義 3.23(一様連続, uniform continuity)f ⁣:D→Rf\colon D \to \mathbb{R} が

∀ε>0, ∃δ>0, ∀x,y∈D, ∣x−y∣<δ⇒∣f(x)−f(y)∣<ε\forall \varepsilon > 0,\ \exists \delta > 0,\ \forall x, y \in D,\ \lvert x - y \rvert < \delta \Rightarrow \lvert f(x) - f(y) \rvert < \varepsilon

を満たすとき、ff は DD 上で一様連続であるという。

連続性「∀a ∀ε ∃δ ∀x\forall a\ \forall \varepsilon\ \exists \delta\ \forall x」との違いは量化子の順序だけである。一様連続では δ\delta を選んだ後で x,yx, y(点 aa の役割も含む)が動く。否定は「ある ε>0\varepsilon > 0 と点列 xn,yn∈Dx_n, y_n \in D があって、∣xn−yn∣→0\lvert x_n - y_n \rvert \to 0 だが ∣f(xn)−f(yn)∣≥ε\lvert f(x_n) - f(y_n) \rvert \geq \varepsilon」と言い換えられる。

例 3.24 (1) f(x)=x2f(x) = x^2 は [0,1][0, 1] 上一様連続である:∣x2−y2∣=∣x+y∣∣x−y∣≤2∣x−y∣\lvert x^2 - y^2 \rvert = \lvert x + y \rvert \lvert x - y \rvert \leq 2\lvert x - y \rvert なので δ=ε2\delta = \frac{\varepsilon}{2}。 (2) f(x)=x2f(x) = x^2 は R\mathbb{R} 上一様連続でない:xn=n+1nx_n = n + \frac{1}{n}、yn=ny_n = n とすると ∣xn−yn∣=1n→0\lvert x_n - y_n \rvert = \frac{1}{n} \to 0 だが xn2−yn2=2+1n2≥2x_n^2 - y_n^2 = 2 + \frac{1}{n^2} \geq 2。 (3) f(x)=1xf(x) = \frac{1}{x} は (0,1)(0, 1) 上一様連続でない:xn=1nx_n = \frac{1}{n}、yn=12ny_n = \frac{1}{2n}(n≥2n \geq 2)とすると ∣xn−yn∣→0\lvert x_n - y_n \rvert \to 0 だが ∣f(xn)−f(yn)∣=n≥1\lvert f(x_n) - f(y_n) \rvert = n \geq 1。 (4) ある L≥0L \geq 0 について ∣f(x)−f(y)∣≤L∣x−y∣\lvert f(x) - f(y) \rvert \leq L\lvert x - y \rvert がすべての x,y∈Dx, y \in D で成り立つとき、ff はリプシッツ連続 (Lipschitz continuous) であるという。リプシッツ連続な関数は一様連続である(δ=εL+1\delta = \frac{\varepsilon}{L + 1})。 (5) x\sqrt{x} は [0,∞)[0, \infty) 上一様連続だがリプシッツ連続ではない(問題 3.4)。

有界閉区間の上では、連続性から一様連続性が自動的に従う。

定理 3.25(ハイネ–カントールの定理, Heine–Cantor theorem)有界閉区間 [a,b][a, b] 上の連続関数は一様連続である。

証明. 一様連続でないと仮定すると、ある ε>0\varepsilon > 0 と xn,yn∈[a,b]x_n, y_n \in [a, b] があって ∣xn−yn∣<1n\lvert x_n - y_n \rvert < \frac{1}{n} かつ ∣f(xn)−f(yn)∣≥ε\lvert f(x_n) - f(y_n) \rvert \geq \varepsilon。ボルツァノ–ワイエルシュトラスの定理より部分列 xnk→cx_{n_k} \to c がとれ、c∈[a,b]c \in [a, b]。∣ynk−c∣≤∣ynk−xnk∣+∣xnk−c∣→0\lvert y_{n_k} - c \rvert \leq \lvert y_{n_k} - x_{n_k} \rvert + \lvert x_{n_k} - c \rvert \to 0 なので ynk→cy_{n_k} \to c でもある。ff は cc で連続なので f(xnk)−f(ynk)→f(c)−f(c)=0f(x_{n_k}) - f(y_{n_k}) \to f(c) - f(c) = 0 となり、∣f(xnk)−f(ynk)∣≥ε\lvert f(x_{n_k}) - f(y_{n_k}) \rvert \geq \varepsilon に反する。□\square

ハイネ–カントールの定理は、第5章で連続関数がリーマン積分可能であることを示すときの鍵になる。

3.7 単調関数と逆関数

定義 3.26 区間 II 上の関数 ff が、x<yx < y ならば f(x)≤f(y)f(x) \leq f(y) を満たすとき単調増加、f(x)<f(y)f(x) < f(y) を満たすとき狭義単調増加という。減少も同様に定める。

命題 3.27 ff を区間 II 上の単調増加関数とし、aa を II の内点(端点でない点)とする。このとき f(a−0)f(a-0)、f(a+0)f(a+0) が存在して

f(a−0)=sup⁡x<af(x)≤f(a)≤inf⁡x>af(x)=f(a+0)f(a-0) = \sup_{x < a} f(x) \leq f(a) \leq \inf_{x > a} f(x) = f(a+0)

が成り立つ(xx は II の中を動く)。特に ff が aa で連続であることと f(a−0)=f(a+0)f(a-0) = f(a+0) は同値である。

証明. L=sup⁡x<af(x)L = \sup_{x < a} f(x) は f(a)f(a) を上界にもつので存在し、L≤f(a)L \leq f(a)。ε>0\varepsilon > 0 に対し f(x0)>L−εf(x_0) > L - \varepsilon となる x0<ax_0 < a があり、x0<x<ax_0 < x < a なら L−ε<f(x0)≤f(x)≤LL - \varepsilon < f(x_0) \leq f(x) \leq L。よって δ=a−x0\delta = a - x_0 として f(a−0)=Lf(a-0) = L。右側も同様。最後の主張は命題 3.10 から従う。□\square

単調関数の不連続点は、値が「跳ぶ」点(跳躍点)に限られる。そして跳躍は多くは起こりえない。

定理 3.28 区間 II 上の単調関数の不連続点全体は高々可算である。

証明. ff は単調増加としてよい。II の内点 aa で ff が不連続なら、命題 3.27 より f(a−0)<f(a+0)f(a-0) < f(a+0) なので、開区間 Ja=(f(a−0),f(a+0))J_a = (f(a-0), f(a+0)) は空でない。内点 a<ba < b に対して a<x<ba < x < b となる xx をとると f(a+0)≤f(x)≤f(b−0)f(a+0) \leq f(x) \leq f(b-0) なので、JaJ_a と JbJ_b は交わらない。各 JaJ_a から有理数 q(a)q(a) を一つ選ぶ(定理 1.23)と、a↦q(a)a \mapsto q(a) は内点の不連続点全体から Q\mathbb{Q} への単射になる。Q\mathbb{Q} は可算なので、内点の不連続点は高々可算であり、端点(高々 2 個)を加えても高々可算である。□\square

逆に、任意に与えた可算集合をちょうど不連続点全体にもつ単調関数が存在する(Q\mathbb{Q} の場合は問題 3.10)。

次に逆関数を考える。f ⁣:I→Rf\colon I \to \mathbb{R} が狭義単調なら単射なので、逆関数 f−1 ⁣:f(I)→If^{-1}\colon f(I) \to I が定まる。

補題 3.29 区間 JJ 上の単調関数 gg の像 g(J)g(J) が区間ならば、gg は連続である。

証明. gg は単調増加とし、内点 bb で不連続と仮定すると g(b−0)<g(b+0)g(b-0) < g(b+0) なので、g(b−0)<g(b)g(b-0) < g(b) または g(b)<g(b+0)g(b) < g(b+0)。前者なら g(b−0)<y<g(b)g(b-0) < y < g(b) となる yy をとる。x<bx < b なら g(x)≤g(b−0)<yg(x) \leq g(b-0) < y、x≥bx \geq b なら g(x)≥g(b)>yg(x) \geq g(b) > y なので y∉g(J)y \notin g(J)。一方 yy は g(J)g(J) の二点 g(x0)g(x_0)(x0<bx_0 < b)と g(b)g(b) の間にあるので、g(J)g(J) が区間であることに反する。後者や端点の場合も同様である。□\square

定理 3.30(逆関数の連続性)区間 II 上の狭義単調な連続関数 ff について、J=f(I)J = f(I) は区間であり、逆関数 f−1 ⁣:J→If^{-1}\colon J \to I は(ff と同じ向きに)狭義単調な連続関数である。

証明. JJ が区間であることは系 3.19。ff が狭義単調増加なら f−1f^{-1} も狭義単調増加である(y<y′y < y' で f−1(y)≥f−1(y′)f^{-1}(y) \geq f^{-1}(y') なら ff を施して y≥y′y \geq y' となり矛盾)。f−1f^{-1} の像は区間 II なので、補題 3.29 より f−1f^{-1} は連続である。□\square

例 3.31 (1) x↦xnx \mapsto x^n は [0,∞)[0, \infty) 上狭義単調増加かつ連続で、像は [0,∞)[0, \infty)(例 3.20 (1))。よって nn 乗根 x↦x1/nx \mapsto x^{1/n} は [0,∞)[0, \infty) 上の連続関数である。 (2) (三角関数を認めて)sin⁡\sin は [−π2,π2]\left[-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right] 上狭義単調増加かつ連続なので、逆関数 arcsin⁡ ⁣:[−1,1]→[−π2,π2]\arcsin\colon [-1, 1] \to \left[-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right] は連続である。arctan⁡ ⁣:R→(−π2,π2)\arctan\colon \mathbb{R} \to \left(-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right) も同様。

区間上の連続な単射は狭義単調である(問題 3.6)。したがって定理 3.30 は「区間上の連続な単射の逆関数は連続」と言い換えられる。

3.8 指数関数と対数関数

高校では 222^{\sqrt{2}} のような実数乗を「2\sqrt{2} に近い有理数 rr に対する 2r2^r の極限」として直観的に扱った。これを厳密に定義し、連続性と指数法則を証明する。方針は、(1) 有理数乗を累乗根で定義する、(2) 単調性を使って実数乗に拡張する、(3) 連続性を示し、指数法則を有理数から極限で移す、である。

命題 3.32(有理数乗)a>0a > 0、r=mnr = \frac{m}{n}(m∈Zm \in \mathbb{Z}、n∈Nn \in \mathbb{N})に対して ar:=(a1/n)ma^r := (a^{1/n})^m と定める。

  1. ara^r は rr の表し方によらない。
  2. a,b>0a, b > 0、r,s∈Qr, s \in \mathbb{Q} について ar+s=arasa^{r+s} = a^r a^s、(ar)s=ars(a^r)^s = a^{rs}、(ab)r=arbr(ab)^r = a^r b^r。
  3. a>1a > 1、r<sr < s ならば ar<asa^r < a^s。

証明. いずれも正の累乗根の一意性(問題 1.6)から従う。(1) mn=m′n′\frac{m}{n} = \frac{m'}{n'} とすると mn′=m′nmn' = m'n。u=(a1/n)mu = (a^{1/n})^m、v=(a1/n′)m′v = (a^{1/n'})^{m'} はともに正で、unn′=amn′=am′n=vnn′u^{nn'} = a^{mn'} = a^{m'n} = v^{nn'} なので、nn′nn' 乗根の一意性より u=vu = v。

(2) 第一式は、r=mnr = \frac{m}{n}、s=kns = \frac{k}{n} と分母をそろえれば (a1/n)m+k=(a1/n)m(a1/n)k(a^{1/n})^{m+k} = (a^{1/n})^m (a^{1/n})^k から従う。第三式は (a1/nb1/n)n=ab(a^{1/n} b^{1/n})^n = ab より (ab)1/n=a1/nb1/n(ab)^{1/n} = a^{1/n}b^{1/n} であることから従う。第二式も同様に両辺の適当なべきを比較すればよい。

(3) s−r=kn>0s - r = \frac{k}{n} > 0 とすると、a1/n≤1a^{1/n} \leq 1 なら a=(a1/n)n≤1a = (a^{1/n})^n \leq 1 となるので a1/n>1a^{1/n} > 1、よって as−r=(a1/n)k>1a^{s-r} = (a^{1/n})^k > 1。(2) より as=aras−r>ara^s = a^r a^{s-r} > a^r。□\square

定義 3.33(実数乗)a>1a > 1、x∈Rx \in \mathbb{R} に対して

ax:=sup⁡{ar∣r∈Q, r≤x}a^x := \sup\lbrace a^r \mid r \in \mathbb{Q},\ r \leq x \rbrace

と定める。0<a<10 < a < 1 のときは ax:=(1/a)−xa^x := (1/a)^{-x}、a=1a = 1 のときは 1x:=11^x := 1 と定める。

a>1a > 1 のとき、右辺の集合は空でなく(r=⌊x⌋r = \lfloor x \rfloor)、有理数 s≥xs \geq x に対する asa^s を上界にもつ(命題 3.32 (3))ので、上限は存在する。xx が有理数なら axa^x はこの集合の最大元なので、定義 3.33 は命題 3.32 の有理数乗と一致する。さらに、有理数 r,sr, s が r≤x≤sr \leq x \leq s を満たせば

ar≤ax≤as(1)a^r \leq a^x \leq a^s \tag{1}

である(左は上限の定義、右は asa^s が上界であることから)。

定理 3.34(指数関数の性質)a,b>0a, b > 0 とする。

  1. a>1a > 1 なら x↦axx \mapsto a^x は狭義単調増加、0<a<10 < a < 1 なら狭義単調減少である。
  2. x↦axx \mapsto a^x は R\mathbb{R} 上連続である。
  3. (指数法則)ax+y=axaya^{x+y} = a^x a^y、(ax)y=axy(a^x)^y = a^{xy}、(ab)x=axbx(ab)^x = a^x b^x。
  4. a≠1a \neq 1 なら x↦axx \mapsto a^x は R\mathbb{R} から (0,∞)(0, \infty) への全単射である。

証明. a>1a > 1 の場合を示す(0<a<10 < a < 1 は 1/a1/a に帰着する)。

(1) x<yx < y なら有理数 r,sr, s を x<r<s<yx < r < s < y ととる(定理 1.23)。(1) 式と命題 3.32 (3) より ax≤ar<as≤aya^x \leq a^r < a^s \leq a^y。

(2) x∈Rx \in \mathbb{R}、ε>0\varepsilon > 0 を固定する。例 2.6 より a1/n→1a^{1/n} \to 1 なので、ax+1(a1/n−1)<εa^{x+1}(a^{1/n} - 1) < \varepsilon となる n∈Nn \in \mathbb{N} がある。有理数 r,sr, s を x−12n<r<x<s<x+12nx - \frac{1}{2n} < r < x < s < x + \frac{1}{2n} ととり、δ=min⁡{x−r,s−x}\delta = \min\lbrace x - r, s - x \rbrace とおく。∣y−x∣<δ\lvert y - x \rvert < \delta なら r<y<sr < y < s なので、(1) より axa^x と aya^y はともに [ar,as][a^r, a^s] に属し、

∣ay−ax∣≤as−ar=ar(as−r−1)≤ax+1(a1/n−1)<ε\lvert a^y - a^x \rvert \leq a^s - a^r = a^r (a^{s-r} - 1) \leq a^{x+1}(a^{1/n} - 1) < \varepsilon

(r<x+1r < x + 1 より ar<ax+1a^r < a^{x+1}、s−r<1ns - r < \frac{1}{n} より as−r<a1/na^{s-r} < a^{1/n})。

(3) 有理数列 rn→xr_n \to x、sn→ys_n \to y をとる(定理 1.23 により rn∈(x−1n,x)r_n \in (x - \frac{1}{n}, x) などとできる)。命題 3.32 より arn+sn=arnasna^{r_n + s_n} = a^{r_n}a^{s_n} であり、(2) と命題 3.14 より左辺は ax+ya^{x+y} に、右辺は axaya^x a^y に収束する。(ab)x=axbx(ab)^x = a^x b^x も同様。(ax)y=axy(a^x)^y = a^{xy} は二段階で示す。まず y=kly = \frac{k}{l} が有理数のとき、u↦uy=(u1/l)ku \mapsto u^y = (u^{1/l})^k は例 3.31 (1) より (0,∞)(0, \infty) 上連続なので、(arn)y=arny(a^{r_n})^y = a^{r_n y} で n→∞n \to \infty として (ax)y=axy(a^x)^y = a^{xy}。次に一般の yy では、(ax)sn=axsn(a^x)^{s_n} = a^{x s_n} で n→∞n \to \infty とし、底 axa^x と底 aa の指数関数の連続性を使う。

(4) ベルヌーイの不等式より an≥1+n(a−1)→∞a^n \geq 1 + n(a-1) \to \infty、a−n=1/an→0a^{-n} = 1/a^n \to 0。よって任意の y>0y > 0 に対して a−m<y<ama^{-m} < y < a^m となる m∈Nm \in \mathbb{N} があり、[−m,m][-m, m] に中間値の定理を適用すれば ax=ya^x = y となる xx が存在する。単射性は (1) から従う。□\square

定義 3.35(対数関数)a>0a > 0、a≠1a \neq 1 とする。x↦axx \mapsto a^x の逆関数を log⁡a ⁣:(0,∞)→R\log_a\colon (0, \infty) \to \mathbb{R} と書き、aa を底とする対数関数 (logarithm) という。特に a=ea = e のとき自然対数 (natural logarithm) といい、log⁡\log と書く(ln⁡\ln と書く本もある)。exp⁡x:=ex\exp x := e^x とも書く。

命題 3.36 (1) log⁡a\log_a は (0,∞)(0, \infty) 上連続であり、a>1a > 1 なら狭義単調増加である。 (2) log⁡a(xy)=log⁡ax+log⁡ay\log_a(xy) = \log_a x + \log_a y、log⁡a(xy)=ylog⁡ax\log_a(x^y) = y\log_a x、log⁡ax=log⁡xlog⁡a\log_a x = \frac{\log x}{\log a}。 (3) α∈R\alpha \in \mathbb{R} に対し、べき関数 x↦xα=eαlog⁡xx \mapsto x^\alpha = e^{\alpha \log x} は (0,∞)(0, \infty) 上連続である。また ax=exlog⁡aa^x = e^{x \log a}。

証明. (1) は定理 3.30 と 3.34。(2) は指数法則を log⁡a\log_a で書き直したものである。例えば x=aux = a^u、y=avy = a^v とすると xy=au+vxy = a^{u+v} なので log⁡a(xy)=u+v\log_a(xy) = u + v。(3) 指数法則より (elog⁡x)α=eαlog⁡x(e^{\log x})^\alpha = e^{\alpha \log x} であり、右辺は連続関数の合成なので連続である。□\square

最後に、第4章で指数関数・対数関数を微分するときに必要になる極限を証明しておく。

定理 3.37 (1) lim⁡x→0(1+x)1/x=e\lim_{x \to 0} (1 + x)^{1/x} = e。 (2) lim⁡x→0log⁡(1+x)x=1\lim_{x \to 0} \frac{\log(1 + x)}{x} = 1。 (3) lim⁡x→0ex−1x=1\lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1}{x} = 1。

証明. (1) まず x→+0x \to +0 の場合。0<x<10 < x < 1 に対し n=⌊1/x⌋≥1n = \lfloor 1/x \rfloor \geq 1 とおくと n≤1x<n+1n \leq \frac{1}{x} < n + 1、すなわち 1n+1<x≤1n\frac{1}{n+1} < x \leq \frac{1}{n}。底が 11 より大きいとき、べきは底についても指数についても増加する(定理 3.34)ので

(1+1n+1)n≤(1+x)1/x≤(1+1n)n+1\left(1 + \frac{1}{n+1}\right)^n \leq (1 + x)^{1/x} \leq \left(1 + \frac{1}{n}\right)^{n+1}

右辺 un=(1+1n)n(1+1n)u_n = \left(1 + \frac{1}{n}\right)^n\left(1 + \frac{1}{n}\right) と左辺 ln=(1+1n+1)n+1/(1+1n+1)l_n = \left(1 + \frac{1}{n+1}\right)^{n+1} \big/ \left(1 + \frac{1}{n+1}\right) はともに n→∞n \to \infty で ee に収束する。ε>0\varepsilon > 0 に対し、n≥Nn \geq N で ∣un−e∣<ε\lvert u_n - e \rvert < \varepsilon かつ ∣ln−e∣<ε\lvert l_n - e \rvert < \varepsilon となる NN をとり、δ=1N\delta = \frac{1}{N} とする。0<x<δ0 < x < \delta なら 1x>N\frac{1}{x} > N より n=⌊1/x⌋≥Nn = \lfloor 1/x \rfloor \geq N なので、∣(1+x)1/x−e∣<ε\lvert (1+x)^{1/x} - e \rvert < \varepsilon。

次に x→−0x \to -0 の場合。−1<x<0-1 < x < 0 に対し y=−xy = -x、z=y1−y>0z = \frac{y}{1 - y} > 0 とおくと 1+z=11−y1 + z = \frac{1}{1 - y}、1y=1z+1\frac{1}{y} = \frac{1}{z} + 1 なので

(1+x)1/x=(1−y)−1/y=(1+z)1/y=(1+z)1/z(1+z)(1 + x)^{1/x} = (1 - y)^{-1/y} = (1 + z)^{1/y} = (1 + z)^{1/z}(1 + z)

x→−0x \to -0 のとき z→+0z \to +0(z≠0z \neq 0)なので、前半と定理 3.6 より右辺は e⋅1=ee \cdot 1 = e に収束する。命題 3.10 より両側の極限は ee。

(2) log⁡(1+x)x=log⁡((1+x)1/x)\frac{\log(1+x)}{x} = \log\left((1+x)^{1/x}\right) であり、log⁡\log は ee で連続なので (1) より log⁡e=1\log e = 1 に収束する。

(3) t=ex−1t = e^x - 1 とおくと、x→0x \to 0 のとき t→0t \to 0 であり、x≠0x \neq 0 なら t≠0t \neq 0、x=log⁡(1+t)x = \log(1 + t)。よって ex−1x=tlog⁡(1+t)\frac{e^x - 1}{x} = \frac{t}{\log(1+t)} であり、定理 3.6 と (2) より 11 に収束する。□\square

補足

第6章では指数関数を exp⁡x=∑n=0∞xnn!\exp x = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{x^n}{n!} で定義し直す。第2章の例 2.53 で見た E(x)E(y)=E(x+y)E(x)E(y) = E(x+y) と E(1)=eE(1) = e、および EE の連続性から、E(x)=exE(x) = e^x(本章の定義)がすべての実数 xx で成り立つことがわかる(E(r)=erE(r) = e^r を有理数で示し、連続性で実数に延ばす)。二つの定義は一致する。

まとめ

  • 関数の極限は ε-δ 論法で定義する。x=ax = a での値は極限に関係しない。証明では「δ≤1\delta \leq 1 と先に制限して残りの因子を定数で抑える」技法が基本である。
  • 関数の極限・連続性は点列で言い換えられる(定理 3.6、命題 3.14)。極限が存在しないことは、異なる値に近づく二つの点列で示す。
  • 連続性は点ごとの性質であり、トマエ関数のように無理数でだけ連続な関数もある。
  • 中間値の定理(上限の存在から)と最大値最小値の定理(ボルツァノ–ワイエルシュトラスから)は、実数の連続性に本質的に依存する。
  • 一様連続性は δ\delta が点によらないという性質で、有界閉区間上の連続関数は一様連続である(ハイネ–カントール)。
  • 単調関数の不連続点は跳躍点に限られ、高々可算個である。区間上の狭義単調な連続関数の逆関数は連続である。
  • axa^x は有理数乗の上限として定義され、連続・狭義単調で指数法則を満たす。対数関数はその逆関数として連続である。
  • lim⁡x→0(1+x)1/x=e\lim_{x \to 0}(1+x)^{1/x} = e、lim⁡x→0log⁡(1+x)x=1\lim_{x \to 0}\frac{\log(1+x)}{x} = 1、lim⁡x→0ex−1x=1\lim_{x \to 0}\frac{e^x - 1}{x} = 1。

演習問題

問題 3.1 ★ 次を ε-δ 論法で証明せよ(下書きもつけよ)。 (1) lim⁡x→3(x2+x)=12\lim_{x \to 3}(x^2 + x) = 12 (2) lim⁡x→21x=12\lim_{x \to 2} \frac{1}{x} = \frac{1}{2} (3) lim⁡x→1x3−1x−1=3\lim_{x \to 1} \frac{x^3 - 1}{x - 1} = 3

解答

(1) 下書き. ∣x2+x−12∣=∣x−3∣∣x+4∣\lvert x^2 + x - 12 \rvert = \lvert x - 3 \rvert \lvert x + 4 \rvert。δ≤1\delta \leq 1 なら 2<x<42 < x < 4 で ∣x+4∣<8\lvert x + 4 \rvert < 8。証明. δ=min⁡{1,ε8}\delta = \min\lbrace 1, \frac{\varepsilon}{8} \rbrace とすると、0<∣x−3∣<δ0 < \lvert x - 3 \rvert < \delta で ∣x2+x−12∣<8⋅ε8=ε\lvert x^2 + x - 12 \rvert < 8 \cdot \frac{\varepsilon}{8} = \varepsilon。

(2) 下書き. ∣1x−12∣=∣x−2∣2∣x∣\left\lvert \frac{1}{x} - \frac{1}{2} \right\rvert = \frac{\lvert x - 2 \rvert}{2\lvert x \rvert}。δ≤1\delta \leq 1 なら x>1x > 1 なので 12∣x∣<12\frac{1}{2\lvert x \rvert} < \frac{1}{2}。証明. δ=min⁡{1,2ε}\delta = \min\lbrace 1, 2\varepsilon \rbrace とすると、0<∣x−2∣<δ0 < \lvert x - 2 \rvert < \delta(x≠0x \neq 0 は自動的)で ∣1x−12∣<∣x−2∣2<ε\left\lvert \frac{1}{x} - \frac{1}{2} \right\rvert < \frac{\lvert x - 2 \rvert}{2} < \varepsilon。

(3) x≠1x \neq 1 では x3−1x−1=x2+x+1\frac{x^3 - 1}{x - 1} = x^2 + x + 1 で、∣x2+x+1−3∣=∣x−1∣∣x+2∣\lvert x^2 + x + 1 - 3 \rvert = \lvert x - 1 \rvert \lvert x + 2 \rvert。δ≤1\delta \leq 1 なら ∣x+2∣<4\lvert x + 2 \rvert < 4。δ=min⁡{1,ε4}\delta = \min\lbrace 1, \frac{\varepsilon}{4} \rbrace とすればよい。

問題 3.2 ★ f(x)=x1Q(x)f(x) = x\mathbf{1}_{\mathbb{Q}}(x)(xx が有理数なら xx、無理数なら 00)は x=0x = 0 でだけ連続であることを示せ。

解答

x=0x = 0 では ∣f(x)−f(0)∣≤∣x∣\lvert f(x) - f(0) \rvert \leq \lvert x \rvert なので δ=ε\delta = \varepsilon で連続。a≠0a \neq 0 とする。aa に収束する有理数列 xnx_n と無理数列 yny_n をとると f(xn)=xn→af(x_n) = x_n \to a、f(yn)=0f(y_n) = 0。a≠0a \neq 0 なので二つの極限は異なり、命題 3.14 より ff は aa で連続でない(どちらかは f(a)f(a) に収束しない)。

問題 3.3 ★ (1) 奇数次の実係数多項式は実数の根をもつことを示せ。(2) f ⁣:[0,1]→[0,1]f\colon [0, 1] \to [0, 1] が連続ならば f(c)=cf(c) = c となる c∈[0,1]c \in [0, 1] が存在することを示せ。

解答

(1) 最高次係数で割って p(x)=xn+an−1xn−1+⋯+a0p(x) = x^n + a_{n-1}x^{n-1} + \cdots + a_0(nn 奇数)とする。x≠0x \neq 0 で p(x)=xn(1+g(x))p(x) = x^n(1 + g(x))、g(x)=∑k=1nan−kx−kg(x) = \sum_{k=1}^{n} a_{n-k}x^{-k} であり、∣x∣≥R:=1+2nmax⁡k∣ak∣\lvert x \rvert \geq R := 1 + 2n\max_k \lvert a_k \rvert なら ∣g(x)∣≤∑kmax⁡∣ak∣∣x∣≤12\lvert g(x) \rvert \leq \sum_k \frac{\max\lvert a_k \rvert}{\lvert x \rvert} \leq \frac{1}{2} なので 1+g(x)>01 + g(x) > 0。よって p(R)>0p(R) > 0、p(−R)<0p(-R) < 0(nn 奇数より (−R)n<0(-R)^n < 0)。中間値の定理より [−R,R][-R, R] に根がある。

(2) g(x)=f(x)−xg(x) = f(x) - x は連続で g(0)=f(0)≥0g(0) = f(0) \geq 0、g(1)=f(1)−1≤0g(1) = f(1) - 1 \leq 0。どちらかが 00 ならそこが求める点。そうでなければ g(0)>0>g(1)g(0) > 0 > g(1) なので中間値の定理より g(c)=0g(c) = 0 となる cc がある。

問題 3.4 ★★ (1) f(x)=xf(x) = \sqrt{x} は [0,∞)[0, \infty) 上一様連続だが、リプシッツ連続でないことを示せ。(2) f(x)=1xf(x) = \frac{1}{x} は [1,∞)[1, \infty) 上一様連続であることを示せ。

解答

(1) 0≤y≤x0 \leq y \leq x なら x−y≤x−y\sqrt{x} - \sqrt{y} \leq \sqrt{x - y}(両辺を 2 乗すると x+y−2xy≤x−yx + y - 2\sqrt{xy} \leq x - y、すなわち y≤xyy \leq \sqrt{xy} で成り立つ)。よって ∣x−y∣≤∣x−y∣\lvert \sqrt{x} - \sqrt{y} \rvert \leq \sqrt{\lvert x - y \rvert} であり、δ=ε2\delta = \varepsilon^2 とすればよい。リプシッツ定数 LL があったとすると y=0y = 0 で x≤Lx\sqrt{x} \leq Lx、すなわち 1x≤L\frac{1}{\sqrt{x}} \leq L がすべての x>0x > 0 で成り立つことになり、x→+0x \to +0 で矛盾。

(2) x,y≥1x, y \geq 1 なら ∣1x−1y∣=∣x−y∣xy≤∣x−y∣\left\lvert \frac{1}{x} - \frac{1}{y} \right\rvert = \frac{\lvert x - y \rvert}{xy} \leq \lvert x - y \rvert なので、リプシッツ連続(L=1L = 1)であり一様連続。

問題 3.5 ★★ ff が有界開区間 (a,b)(a, b) 上で一様連続ならば、f(a+0)f(a+0)、f(b−0)f(b-0) が存在し、これらを aa、bb での値とすることで ff は [a,b][a, b] 上の連続関数に拡張できることを示せ。また (0,1)(0,1) 上の連続関数で、このような拡張をもたないものを挙げよ。

解答

ε>0\varepsilon > 0 に対し一様連続性の δ\delta をとる。x,y∈(a,a+δ)x, y \in (a, a + \delta) なら ∣x−y∣<δ\lvert x - y \rvert < \delta なので ∣f(x)−f(y)∣<ε\lvert f(x) - f(y) \rvert < \varepsilon。命題 3.12(右極限版)より f(a+0)f(a+0) が存在する。f(b−0)f(b-0) も同様。F(a)=f(a+0)F(a) = f(a+0)、F(b)=f(b−0)F(b) = f(b-0)、(a,b)(a, b) では F=fF = f と定めれば、FF は aa で右連続、bb で左連続、内部で連続なので、[a,b][a, b] 上連続である。例:1x\frac{1}{x} や sin⁡1x\sin\frac{1}{x}(x→+0x \to +0 の極限をもたない)。したがってこれらは (0,1)(0,1) 上一様連続でない。

問題 3.6 ★★ 区間 II 上の連続な単射は狭義単調であることを示せ。

解答

狭義単調増加でも狭義単調減少でもないとすると、単射性から a<ba < b、f(a)>f(b)f(a) > f(b) となる a,b∈Ia, b \in I と、c<dc < d、f(c)<f(d)f(c) < f(d) となる c,d∈Ic, d \in I がある。t∈[0,1]t \in [0, 1] に対し x(t)=(1−t)a+tcx(t) = (1-t)a + tc、y(t)=(1−t)b+tdy(t) = (1-t)b + td とおくと、x(t)<y(t)x(t) < y(t) で、II が区間なので x(t),y(t)∈Ix(t), y(t) \in I。φ(t)=f(y(t))−f(x(t))\varphi(t) = f(y(t)) - f(x(t)) は連続で φ(0)=f(b)−f(a)<0\varphi(0) = f(b) - f(a) < 0、φ(1)=f(d)−f(c)>0\varphi(1) = f(d) - f(c) > 0。中間値の定理より φ(t0)=0\varphi(t_0) = 0 となる t0t_0 があり、f(x(t0))=f(y(t0))f(x(t_0)) = f(y(t_0))、x(t0)≠y(t0)x(t_0) \neq y(t_0) となって単射性に反する。

問題 3.7 ★★ (1) f ⁣:R→Rf\colon \mathbb{R} \to \mathbb{R} が連続で、すべての x,yx, y について f(x+y)=f(x)+f(y)f(x + y) = f(x) + f(y) を満たすならば、f(x)=cxf(x) = cx(c=f(1)c = f(1))であることを示せ。(2) f ⁣:R→Rf\colon \mathbb{R} \to \mathbb{R} が連続で、恒等的に 00 ではなく、f(x+y)=f(x)f(y)f(x + y) = f(x)f(y) を満たすならば、f(x)=axf(x) = a^x(a=f(1)>0a = f(1) > 0)であることを示せ。

解答

(1) x=y=0x = y = 0 として f(0)=0f(0) = 0。帰納法で f(nx)=nf(x)f(nx) = nf(x)(n∈Nn \in \mathbb{N})、また f(x)+f(−x)=f(0)=0f(x) + f(-x) = f(0) = 0。よって f(m)=cmf(m) = cm(m∈Zm \in \mathbb{Z})。nf(mn)=f(m)=cmn f\left(\frac{m}{n}\right) = f(m) = cm より f(r)=crf(r) = cr(r∈Qr \in \mathbb{Q})。実数 xx に収束する有理数列 rnr_n をとれば、連続性より f(x)=lim⁡f(rn)=lim⁡crn=cxf(x) = \lim f(r_n) = \lim c r_n = cx。

(2) f(x)=f(x2)2≥0f(x) = f\left(\frac{x}{2}\right)^2 \geq 0。ある x0x_0 で f(x0)=0f(x_0) = 0 なら f(x)=f(x0)f(x−x0)=0f(x) = f(x_0)f(x - x_0) = 0 がすべての xx で成り立ち仮定に反するので、f>0f > 0。g=log⁡fg = \log f は連続で g(x+y)=g(x)+g(y)g(x+y) = g(x) + g(y) を満たすので、(1) より g(x)=g(1)xg(x) = g(1)x。よって f(x)=exlog⁡f(1)=f(1)xf(x) = e^{x \log f(1)} = f(1)^x(命題 3.36 (3))。

問題 3.8 ★★ (1) a>1a > 1、k∈Nk \in \mathbb{N} のとき lim⁡x→∞xkax=0\lim_{x \to \infty} \frac{x^k}{a^x} = 0 を示せ。(2) α>0\alpha > 0 のとき lim⁡x→∞log⁡xxα=0\lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{x^\alpha} = 0 を示せ。

解答

(1) まず自然数 nn について cn=nkanc_n = \frac{n^k}{a^n} とおくと cn+1cn=1a(1+1n)k→1a<1\frac{c_{n+1}}{c_n} = \frac{1}{a}\left(1 + \frac{1}{n}\right)^k \to \frac{1}{a} < 1 なので、比判定法より ∑cn\sum c_n は収束し、cn→0c_n \to 0。x≥1x \geq 1 に対し n=⌊x⌋n = \lfloor x \rfloor とすると、単調性より xkax≤(n+1)kan=a cn+1\frac{x^k}{a^x} \leq \frac{(n+1)^k}{a^n} = a\ c_{n+1}。ε>0\varepsilon > 0 に対し n≥Nn \geq N で acn+1<εa c_{n+1} < \varepsilon となる NN をとれば、x>Nx > N で xkax<ε\frac{x^k}{a^x} < \varepsilon。

(2) t=αlog⁡xt = \alpha \log x とおくと xα=etx^\alpha = e^t で、log⁡xxα=1α⋅tet\frac{\log x}{x^\alpha} = \frac{1}{\alpha} \cdot \frac{t}{e^t}。(1) より(k=1k = 1、a=ea = e)TT を t>Tt > T で tet<αε\frac{t}{e^t} < \alpha\varepsilon となるようにとれば、x>eT/αx > e^{T/\alpha} で t>Tt > T となり、log⁡xxα<ε\frac{\log x}{x^\alpha} < \varepsilon。

問題 3.9 ★★★ 各実数値をちょうど 2 回ずつとる連続関数 f ⁣:R→Rf\colon \mathbb{R} \to \mathbb{R} は存在しないことを示せ。

解答

存在したとし、f(a)=f(b)=cf(a) = f(b) = c(a<ba < b)とする。cc は a,ba, b 以外ではとられないので、中間値の定理より f−cf - c は (a,b)(a, b) で符号が一定であり、−f-f を考えることで (a,b)(a, b) で f>cf > c としてよい。M=max⁡[a,b]f>cM = \max_{[a,b]} f > c は (a,b)(a, b) の点でとられる。

(i) MM が (a,b)(a, b) の 2 点 p<qp < q でとられる場合:ff は [p,q][p, q] で定数 MM ではない(そうなら MM を無限回とる)ので、m′=min⁡[p,q]f<Mm' = \min_{[p,q]} f < M が r∈(p,q)r \in (p, q) でとられる。max⁡{c,m′}<y<M\max\lbrace c, m' \rbrace < y < M となる yy をとると、中間値の定理より yy は (a,p)(a, p)、(p,r)(p, r)、(r,q)(r, q)、(q,b)(q, b) のそれぞれでとられ、4 回以上となって矛盾。

(ii) MM が (a,b)(a, b) の 1 点 pp でだけとられる場合:MM はもう 1 回、[a,b][a, b] の外の点 ss でとられる。s>bs > b とする(s<as < a も同様)。c<y<Mc < y < M となる yy は、(a,p)(a, p)、(p,b)(p, b)、(b,s)(b, s) のそれぞれでとられ(f(b)=c<y<M=f(s)f(b) = c < y < M = f(s))、3 回以上となって矛盾。

問題 3.10 ★★★ Q={r1,r2,r3,… }\mathbb{Q} = \lbrace r_1, r_2, r_3, \dots \rbrace と番号をつけ、f(x)=∑n: rn<x2−nf(x) = \sum_{n:\ r_n < x} 2^{-n}(rn<xr_n < x となる nn についての和)と定める。ff は狭義単調増加で、各有理数で不連続、各無理数で連続であることを示せ。

解答

和は ∑2−n=1\sum 2^{-n} = 1 の部分和なので絶対収束し、並べ替えによらない(定理 2.47)。x<yx < y なら f(y)−f(x)=∑n: x≤rn<y2−nf(y) - f(x) = \sum_{n:\ x \leq r_n < y} 2^{-n} であり、(x,y)(x, y) に有理数があるので正。よって狭義単調増加。

xx を固定し ε>0\varepsilon > 0 とする。∑n>K2−n<ε\sum_{n > K} 2^{-n} < \varepsilon となる KK をとり、r1,…,rKr_1, \dots, r_K のうち xx と異なるものと xx との距離の最小値を δ>0\delta > 0 とする。x<y<x+δx < y < x + \delta なら、x<rn<yx < r_n < y を満たす nn はすべて KK より大きいので

0≤f(y)−f(x)−∑n: rn=x2−n<ε0 \leq f(y) - f(x) - \sum_{n:\ r_n = x} 2^{-n} < \varepsilon

同様に x−δ<y<xx - \delta < y < x なら 0≤f(x)−f(y)=∑n: y≤rn<x2−n<ε0 \leq f(x) - f(y) = \sum_{n:\ y \leq r_n < x} 2^{-n} < \varepsilon。よって f(x−0)=f(x)f(x - 0) = f(x) であり、f(x+0)−f(x)f(x + 0) - f(x) は x=rmx = r_m なら 2−m2^{-m}、xx が無理数なら 00 である。命題 3.27 より、ff は有理数で不連続、無理数で連続である。

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