Lemma数学ロードマップ

03 集合と位相 · 第 5 章

コンパクト性

目安 9〜14 時間定理など 24演習 10 問

この章の目標

  • 開被覆によるコンパクト性の定義の意味(局所から大域へ)を理解する
  • 閉部分集合・連続像・ハウスドルフ空間での閉性など基本性質を証明し、「コンパクトからハウスドルフへの連続全単射は同相」を使いこなせる
  • ハイネ–ボレルの定理、距離空間でのコンパクト性の 3 つの特徴づけ、ルベーグ数の補題を証明できる
  • チコノフの定理を(有限積の場合と一般の場合に)証明できる
  • 局所コンパクト空間と一点コンパクト化、アスコリ–アルツェラの定理を理解する

前提:第1章〜第4章

5.1 定義と動機

微分積分学の 2 つの重要な定理を思い出そう:有界閉区間上の連続関数は最大値をとる;有界閉区間上の連続関数は一様連続である。後者の証明の骨格はこうである。各点 xx の近くでは連続性から「xx 用の δx\delta_x」がとれる。これは局所的な情報にすぎないが、有限個の点の近くで区間全体を覆えるなら、有限個の δxi\delta_{x_i} の最小値として全体で共通の δ\delta が得られる。「無限を有限に帰着させる」この性質を、開集合の言葉で抽出したものがコンパクト性である。

定義 5.1(コンパクト, compact)位相空間 XX の開集合の族 U={Uλ}\mathcal{U} = \lbrace U_\lambda \rbrace で ⋃Uλ=X\bigcup U_\lambda = X となるものを開被覆 (open cover) といい、その部分族で XX を覆うものを部分被覆という。XX の任意の開被覆が有限部分被覆をもつとき、XX はコンパクトであるという。部分集合 A⊂XA \subset X は、部分空間としてコンパクトなときコンパクトであるという。

命題 5.2 A⊂XA \subset X がコンパクト ⇔\Leftrightarrow XX の開集合からなる族で AA を覆うもの(A⊂⋃UλA \subset \bigcup U_\lambda)は、常に AA を覆う有限部分族をもつ。

証明. AA の開集合は U∩AU \cap A(UU は XX の開集合)の形なので、AA の開被覆と「AA を覆う XX の開集合族」は Uλ↔Uλ∩AU_\lambda \leftrightarrow U_\lambda \cap A で対応する。□\square

例 5.3

  1. 有限集合はコンパクトである。
  2. (0,1)(0, 1) はコンパクトでない:開被覆 {(1/n,1)∣n≥2}\lbrace (1/n, 1) \mid n \geq 2 \rbrace のどの有限部分族も (1/N,1)(1/N, 1) に含まれ、(0,1/N](0, 1/N] の点を覆わない。R\mathbb{R} も {(−n,n)}\lbrace (-n, n) \rbrace によりコンパクトでない。
  3. 無限離散空間はコンパクトでない(1 点集合による開被覆)。
  4. K={0}∪{1/n∣n∈N}⊂RK = \lbrace 0 \rbrace \cup \lbrace 1/n \mid n \in \mathbb{N} \rbrace \subset \mathbb{R} はコンパクトである。開被覆のうち 00 を含む U0U_0 は、ある NN 以降の 1/n1/n をすべて含む。残りの有限個の点を覆う有限個の元と U0U_0 で有限部分被覆ができる。
  5. 補有限位相の空間ではすべての部分集合がコンパクトである。空でない U0U_0 を被覆から一つ選ぶと、その外は有限個の点しかない。
  6. 有界閉集合でもコンパクトとは限らない。(C[0,1],d∞)(C[0,1], d_\infty) の閉単位球 D(0,1)D(0, 1) を考える。fnf_n を区間 [1/(n+1),1/n][1/(n+1), 1/n] の上に立てた高さ 1 の三角形のとげ(区間の外で 00)とすると、台が重ならないので n≠mn \neq m なら d∞(fn,fm)=1d_\infty(f_n, f_m) = 1。開被覆 {B(g,1/2)∣g∈D(0,1)}\lbrace B(g, 1/2) \mid g \in D(0,1) \rbrace の各元は fnf_n を高々 1 個しか含まない(2 個含めば距離が 1 未満になる)ので、有限部分被覆はありえない。

注意

ブルバキ流の本(および一部の代数幾何の本)では、「コンパクト」にハウスドルフ性を含め、本教材のコンパクトを「準コンパクト」(quasi-compact) と呼ぶ。ザリスキー位相の空間は通常ハウスドルフでないので、そこでは準コンパクトという言葉が使われる。

コンパクト性は閉集合の言葉でも述べられる。集合族が有限交叉性 (finite intersection property) をもつとは、その任意の有限個の元の共通部分が空でないことをいう。

定理 5.4 XX がコンパクト ⇔\Leftrightarrow 有限交叉性をもつ閉集合の族 {Fλ}\lbrace F_\lambda \rbrace は常に ⋂Fλ≠∅\bigcap F_\lambda \neq \emptyset をみたす。

証明. Uλ=X∖FλU_\lambda = X \setminus F_\lambda とおくと、「⋂Fλ=∅\bigcap F_\lambda = \emptyset」⇔\Leftrightarrow「{Uλ}\lbrace U_\lambda \rbrace は開被覆」、「有限交叉性をもつ」⇔\Leftrightarrow「どの有限部分族も XX を覆わない」。よって右辺は「どの有限部分族も XX を覆わない開集合族は XX を覆わない」と同値で、これはコンパクト性の対偶である。□\square

たとえば R\mathbb{R} の閉集合 [n,∞)[n, \infty) の族は有限交叉性をもつが共通部分は空であり、R\mathbb{R} がコンパクトでないことを示している。

5.2 基本性質

定理 5.5 コンパクト空間の閉部分集合はコンパクトである。

証明. F⊂XF \subset X を閉集合とし、XX の開集合族 {Uλ}\lbrace U_\lambda \rbrace が FF を覆うとする。X∖FX \setminus F を加えると XX の開被覆になるので有限部分被覆があり、そこから X∖FX \setminus F を除けば FF を覆う有限部分族を得る。□\square

定理 5.6 コンパクト空間の連続像はコンパクトである。

証明. f ⁣:X→Yf\colon X \to Y を連続、XX をコンパクトとし、YY の開集合族 {Vλ}\lbrace V_\lambda \rbrace が f(X)f(X) を覆うとする。{f−1(Vλ)}\lbrace f^{-1}(V_\lambda) \rbrace は XX の開被覆なので有限部分被覆 f−1(V1),…,f−1(Vn)f^{-1}(V_1), \dots, f^{-1}(V_n) があり、V1,…,VnV_1, \dots, V_n が f(X)f(X) を覆う。□\square

特に、コンパクト空間の商空間はコンパクトである。コンパクト性は位相的性質である。

定理 5.7 XX をハウスドルフ空間、K⊂XK \subset X をコンパクト集合、x∉Kx \notin K とする。このとき x∈Ux \in U, K⊂VK \subset V, U∩V=∅U \cap V = \emptyset となる開集合 U,VU, V が存在する。特に、ハウスドルフ空間のコンパクト集合は閉集合である。

証明. 各 y∈Ky \in K について、ハウスドルフ性から x∈Uyx \in U_y, y∈Vyy \in V_y, Uy∩Vy=∅U_y \cap V_y = \emptyset となる開集合をとる。{Vy}\lbrace V_y \rbrace は KK を覆うので Vy1,…,VynV_{y_1}, \dots, V_{y_n} で覆える。U=Uy1∩⋯∩UynU = U_{y_1} \cap \dots \cap U_{y_n}, V=Vy1∪⋯∪VynV = V_{y_1} \cup \dots \cup V_{y_n} とおけばよい。後半は、KK の外の各点が KK と交わらない開近傍 UU をもつことから従う。□\square

各点ごとに分離して、コンパクト性で有限個にまとめる——これがコンパクト性の典型的な使い方である。ハウスドルフ性は落とせない:補有限位相では任意の部分集合がコンパクト(例 5.3 の 5)だが、無限部分集合で閉でないものがある。

系 5.8 コンパクト・ハウスドルフ空間は正規である。

証明. 1 点は閉なので T1T_1。F,GF, G を交わらない閉集合とすると、どちらも定理 5.5 でコンパクト。各 x∈Fx \in F について定理 5.7 より x∈Uxx \in U_x, G⊂VxG \subset V_x, Ux∩Vx=∅U_x \cap V_x = \emptyset となる開集合をとる。FF は Ux1,…,UxnU_{x_1}, \dots, U_{x_n} で覆え、U=⋃UxiU = \bigcup U_{x_i}, V=⋂VxiV = \bigcap V_{x_i} が F,GF, G を分離する。□\square

系 5.9(最大値・最小値の定理)空でないコンパクト空間 XX 上の連続関数 f ⁣:X→Rf\colon X \to \mathbb{R} は最大値と最小値をとる。

証明. f(X)f(X) はコンパクト(定理 5.6)。開被覆 {(−n,n)}\lbrace (-n, n) \rbrace の有限部分被覆から f(X)f(X) は有界、R\mathbb{R} はハウスドルフなので f(X)f(X) は閉(定理 5.7)。空でない有界閉集合は上限・下限を含む。□\square

定理 5.10 XX をコンパクト空間、YY をハウスドルフ空間、f ⁣:X→Yf\colon X \to Y を連続写像とする。

  1. ff は閉写像である。
  2. ff が全単射なら同相写像である。
  3. ff が単射なら埋め込みであり、全射なら商写像である。

証明. 1. F⊂XF \subset X が閉なら、定理 5.5, 5.6, 5.7 により FF はコンパクト、f(F)f(F) はコンパクト、f(F)f(F) は閉。2. f−1f^{-1} による閉集合 FF の逆像は f(F)f(F) で閉なので、f−1f^{-1} は連続。3. 単射なら f ⁣:X→f(X)f\colon X \to f(X) は、ハウスドルフ空間 f(X)f(X) への連続全単射なので 2 より同相。全射なら 1 と命題 3.17 より商写像。□\square

注意 5.11 仮定はどちらも落とせない。[0,2π)→S1[0, 2\pi) \to S^1, t↦(cos⁡t,sin⁡t)t \mapsto (\cos t, \sin t) は連続全単射だが同相でない(始域がコンパクトでない、第2章)。恒等写像 [0,1]→([0,1],密着位相)[0, 1] \to ([0, 1], \text{密着位相}) も連続全単射だが同相でない(終域がハウスドルフでない)。

例 5.12(商空間の同定)定理 5.10 は商空間の同定で威力を発揮する。

  1. [0,1]/{0,1}≅S1[0, 1]/\lbrace 0, 1 \rbrace \cong S^1:例 3.18 の連続全単射 eˉ\bar{e} は、コンパクト空間 [0,1][0, 1](定理 5.13)の商空間(コンパクト)からハウスドルフ空間 S1S^1 への連続全単射なので同相である。第3章で円弧を使って示した議論が、一行で済む。
  2. トーラス I2/∼≅S1×S1I^2/{\sim} \cong S^1 \times S^1(例 3.19):E(x,y)=(e(x),e(y))E(x, y) = (e(x), e(y)) は I2I^2 から S1×S1⊂R4S^1 \times S^1 \subset \mathbb{R}^4 への連続な全射で、x,x′∈[0,1]x, x' \in [0, 1] について e(x)=e(x′)e(x) = e(x') ⇔\Leftrightarrow x=x′x = x' または {x,x′}={0,1}\lbrace x, x' \rbrace = \lbrace 0, 1 \rbrace である。したがって E(x,y)=E(x′,y′)E(x, y) = E(x', y') となるのはちょうど (x,y)∼(x′,y′)(x, y) \sim (x', y') のときで、EE は連続全単射 I2/∼→S1×S1I^2/{\sim} \to S^1 \times S^1 を誘導する。I2I^2 はコンパクト(定理 5.15)、S1×S1S^1 \times S^1 はハウスドルフなので同相である。
  3. RP1≅S1\mathbb{R}P^1 \cong S^1:S1⊂CS^1 \subset \mathbb{C} とみて z↦z2z \mapsto z^2 を考えると、z2=w2⇔w=±zz^2 = w^2 \Leftrightarrow w = \pm z なので、連続全単射 S1/±→S1S^1/{\pm} \to S^1 を誘導する。例 3.20 と合わせて RP1≅S1/±≅S1\mathbb{R}P^1 \cong S^1/{\pm} \cong S^1。

5.3 ハイネ–ボレルの定理

定理 5.13 有界閉区間 [a,b][a, b] はコンパクトである。

証明. U\mathcal{U} を [a,b][a, b] を覆う R\mathbb{R} の開集合族とし、S={x∈[a,b]∣[a,x] は U の有限個の元で覆える}S = \lbrace x \in [a, b] \mid [a, x] \text{ は } \mathcal{U} \text{ の有限個の元で覆える} \rbrace、c=sup⁡Sc = \sup S とおく(a∈Sa \in S なので S≠∅S \neq \emptyset、上界 bb)。c∈[a,b]c \in [a, b] なので c∈U0c \in U_0 となる U0∈UU_0 \in \mathcal{U} があり、(c−ε,c+ε)⊂U0(c - \varepsilon, c + \varepsilon) \subset U_0 となる ε>0\varepsilon > 0 がある。上限の性質から c−ε<x≤cc - \varepsilon < x \leq c となる x∈Sx \in S があり、[a,x][a, x] を覆う有限個の元に U0U_0 を加えれば [a,t][a, t] が覆える。ここで t=min⁡(c+ε/2,b)t = \min(c + \varepsilon/2, b)。よって t∈St \in S で t≤ct \leq c となるが、c+ε/2>cc + \varepsilon/2 > c なので t=bt = b。したがって b∈Sb \in S。□\square

この証明は実数の連続性(上限の存在)を本質的に使っている。Q\mathbb{Q} の中の「区間」[0,2]∩Q[0, 2] \cap \mathbb{Q} はコンパクトでない(2\sqrt{2} に近づく点を含まない開集合の族を考えよ)。

補題 5.14(チューブ補題, tube lemma)YY をコンパクト空間、x∈Xx \in X とし、WW を {x}×Y\lbrace x \rbrace \times Y を含む X×YX \times Y の開集合とする。このとき U×Y⊂WU \times Y \subset W となる xx の開近傍 UU が存在する。

証明. 各 y∈Yy \in Y について (x,y)∈Uy×Vy⊂W(x, y) \in U_y \times V_y \subset W となる開集合 Uy,VyU_y, V_y をとる。{Vy}\lbrace V_y \rbrace は YY の開被覆なので Vy1,…,VynV_{y_1}, \dots, V_{y_n} で覆える。U=Uy1∩⋯∩UynU = U_{y_1} \cap \dots \cap U_{y_n} とおけば、U×Y⊂⋃i(Uyi×Vyi)⊂WU \times Y \subset \bigcup_i (U_{y_i} \times V_{y_i}) \subset W。□\square

言葉で描写すると、「xx の上に立つ縦の線分 {x}×Y\lbrace x \rbrace \times Y を囲む開集合は、その線分を中心とする一定の太さの管 U×YU \times Y を含む」ということである。YY がコンパクトでないと成り立たない:W={(x,y)∈R2∣∣x∣<1/(1+y2)}W = \lbrace (x, y) \in \mathbb{R}^2 \mid \lvert x \rvert < 1/(1 + y^2) \rbrace は {0}×R\lbrace 0 \rbrace \times \mathbb{R} を含むが、y→±∞y \to \pm\infty で細くなるので管を含まない。

定理 5.15(有限積のコンパクト性)X,YX, Y がコンパクトなら X×YX \times Y はコンパクトである。したがって有限個のコンパクト空間の積はコンパクトである。

証明. W\mathcal{W} を X×YX \times Y の開被覆とする。各 x∈Xx \in X について {x}×Y\lbrace x \rbrace \times Y は YY と同相(問題 3.2)でコンパクトなので、W\mathcal{W} の有限個の元で覆え、その和 WxW_x は {x}×Y\lbrace x \rbrace \times Y を含む開集合である。補題 5.14 より Ux×Y⊂WxU_x \times Y \subset W_x となる開近傍 UxU_x がある。{Ux}\lbrace U_x \rbrace は XX の開被覆なので Ux1,…,UxmU_{x_1}, \dots, U_{x_m} で覆え、X×Y=⋃jUxj×Y⊂⋃jWxjX \times Y = \bigcup_j U_{x_j} \times Y \subset \bigcup_j W_{x_j} は W\mathcal{W} の有限個の元で覆われる。□\square

定理 5.16(ハイネ–ボレルの定理, Heine–Borel theorem)K⊂RnK \subset \mathbb{R}^n がコンパクト ⇔\Leftrightarrow KK は有界閉集合。

証明. (⇒\Rightarrow) Rn\mathbb{R}^n はハウスドルフなので KK は閉(定理 5.7)。開球 B(0,m)B(0, m)(m∈Nm \in \mathbb{N})の族は KK を覆うので有限個で覆え、KK は有界。(⇐\Leftarrow) K⊂[−M,M]nK \subset [-M, M]^n となる MM があり、右辺は定理 5.13 と定理 5.15 によりコンパクト。KK はその閉部分集合なのでコンパクト(定理 5.5)。□\square

例 5.17 SnS^n, DnD^n はコンパクトである。直交群 O(n)={A∣tAA=I}⊂M⁡n(R)=Rn2O(n) = \lbrace A \mid {}^{t}A A = I \rbrace \subset \operatorname{M}_n(\mathbb{R}) = \mathbb{R}^{n^2} は連続写像 A↦tAAA \mapsto {}^{t}A A による閉集合 {I}\lbrace I \rbrace の逆像なので閉で、各列が単位ベクトルなので成分の絶対値は 1 以下で有界。よってコンパクトである。GL⁡n(R)\operatorname{GL}_n(\mathbb{R}) は tItI(t→∞t \to \infty)を含み有界でないのでコンパクトでない。ハイネ–ボレルの定理は Rn\mathbb{R}^n に特有であり、無限次元では成り立たない(例 5.3 の 6、関数解析 第1章)。

5.4 距離空間のコンパクト性

距離空間ではコンパクト性を点列や「有限個の小さな球で覆えること」で言い換えられる。

定義 5.18 距離空間 XX について:

  • 任意の点列が収束部分列をもつとき、XX は点列コンパクト (sequentially compact) であるという。
  • 任意の ε>0\varepsilon > 0 に対し、有限個の点 x1,…,xnx_1, \dots, x_n で X=⋃iB(xi,ε)X = \bigcup_i B(x_i, \varepsilon) となるものがあるとき、XX は全有界 (totally bounded) であるという。
  • 点列 (xn)(x_n) が ∀ε>0,∃N,∀m,n≥N,d(xm,xn)<ε\forall \varepsilon > 0, \exists N, \forall m, n \geq N, d(x_m, x_n) < \varepsilon をみたすときコーシー列といい、すべてのコーシー列が収束するとき XX は完備 (complete) であるという(詳しくは第7章)。

全有界なら有界だが、逆は成り立たない(無限離散距離空間は有界だが、ε=1/2\varepsilon = 1/2 の有限個の球では覆えない)。

補題 5.19(ルベーグ数の補題, Lebesgue number lemma)XX を点列コンパクトな距離空間、U\mathcal{U} を開被覆とする。ある δ>0\delta > 0 が存在して、直径が δ\delta より小さい任意の部分集合は U\mathcal{U} のある元に含まれる。この δ\delta を U\mathcal{U} のルベーグ数という。

証明. そのような δ\delta がないとすると、各 nn について直径 <1/n< 1/n でどの U∈UU \in \mathcal{U} にも含まれない集合 AnA_n がある(空集合はどの元にも含まれるので An≠∅A_n \neq \emptyset)。xn∈Anx_n \in A_n を選び、収束部分列 xnk→xx_{n_k} \to x をとる。x∈U∈Ux \in U \in \mathcal{U}、B(x,ε)⊂UB(x, \varepsilon) \subset U とする。kk を十分大きくとって d(xnk,x)<ε/2d(x_{n_k}, x) < \varepsilon/2、1/nk<ε/21/n_k < \varepsilon/2 とすると、y∈Anky \in A_{n_k} なら d(y,x)≤d(y,xnk)+d(xnk,x)<εd(y, x) \leq d(y, x_{n_k}) + d(x_{n_k}, x) < \varepsilon なので Ank⊂B(x,ε)⊂UA_{n_k} \subset B(x, \varepsilon) \subset U。矛盾。□\square

定理 5.20 距離空間 XX について、次は同値である。

  1. XX はコンパクト。
  2. XX は点列コンパクト。
  3. XX は完備かつ全有界。

証明. 1 ⇒\Rightarrow 2:収束部分列をもたない点列 (xn)(x_n) があるとする。各点 yy について、yy に収束する部分列がないので、ある ry>0r_y > 0 で xn∈B(y,ry)x_n \in B(y, r_y) となる nn は有限個しかない。(そうでなければ、各 kk について xn∈B(y,1/k)x_n \in B(y, 1/k) となる nn が無限個あるので、n1<n2<⋯n_1 < n_2 < \cdots を xnk∈B(y,1/k)x_{n_k} \in B(y, 1/k) となるように選べて xnk→yx_{n_k} \to y となる。)開被覆 {B(y,ry)}\lbrace B(y, r_y) \rbrace の有限部分被覆をとると、そこに属する xnx_n の添字は有限個しかないのに、すべての nn についての xnx_n が覆われる。矛盾。

2 ⇒\Rightarrow 3:(完備)コーシー列 (xn)(x_n) が収束部分列 xnk→xx_{n_k} \to x をもつとする。ε>0\varepsilon > 0 に対し m,n≥Nm, n \geq N で d(xm,xn)<ε/2d(x_m, x_n) < \varepsilon/2、d(xnk,x)<ε/2d(x_{n_k}, x) < \varepsilon/2 となる nk≥Nn_k \geq N をとれば、n≥Nn \geq N で d(xn,x)≤d(xn,xnk)+d(xnk,x)<εd(x_n, x) \leq d(x_n, x_{n_k}) + d(x_{n_k}, x) < \varepsilon。(全有界)そうでないとすると、ある ε>0\varepsilon > 0 について有限個の ε\varepsilon 球では覆えない。x1x_1 を任意にとり、x1,…,xnx_1, \dots, x_n まで選んだら xn+1∉⋃i≤nB(xi,ε)x_{n+1} \notin \bigcup_{i \leq n} B(x_i, \varepsilon) を選ぶ。すると i≠ji \neq j で d(xi,xj)≥εd(x_i, x_j) \geq \varepsilon なので、どの部分列もコーシー列でなく、収束しない。矛盾。

3 ⇒\Rightarrow 2:(xn)(x_n) を点列とする。XX は有限個の半径 1 の球で覆えるので、そのうち一つは無限個の項を含み、それらの項からなる部分列 S1S_1 がとれる。S1S_1 の項を有限個の半径 1/21/2 の球で覆い、同様に S1S_1 の部分列 S2S_2 で一つの半径 1/21/2 の球に収まるものをとる。以下同様に S1⊃S2⊃⋯S_1 \supset S_2 \supset \cdots(SkS_k は半径 1/k1/k の球に収まる)を作り、yky_k を SkS_k の第 kk 項とする(対角線論法)。(yk)(y_k) は (xn)(x_n) の部分列で、k,l≥mk, l \geq m なら yk,yly_k, y_l はともに SmS_m の項なので d(yk,yl)<2/md(y_k, y_l) < 2/m。よって (yk)(y_k) はコーシー列で、完備性から収束する。

2 ⇒\Rightarrow 1:U\mathcal{U} を開被覆とし、補題 5.19 のルベーグ数 δ\delta をとる。2 ⇒\Rightarrow 3 より XX は全有界なので、有限個の球 B(xi,δ/3)B(x_i, \delta/3) で覆える。各球の直径は 2δ/3<δ2\delta/3 < \delta 以下なので U\mathcal{U} のある元 UiU_i に含まれ、U1,…,UnU_1, \dots, U_n が有限部分被覆になる。□\square

系 5.21 コンパクト距離空間は有界であり、可分(したがって第二可算)である。

証明. 全有界なので有界。各 nn について XX を覆う有限個の半径 1/n1/n の球の中心全体を CnC_n とすると、⋃Cn\bigcup C_n は可算で稠密である。定理 4.15 より第二可算。□\square

定理 5.22 コンパクト距離空間 XX から距離空間 YY への連続写像は一様連続である。

証明. ε>0\varepsilon > 0 とする。{f−1(B(y,ε/2))∣y∈Y}\lbrace f^{-1}(B(y, \varepsilon/2)) \mid y \in Y \rbrace は XX の開被覆なので、ルベーグ数 δ\delta がある。d(x,x′)<δd(x, x') < \delta なら {x,x′}\lbrace x, x' \rbrace の直径は δ\delta 未満なので、ある yy で f(x),f(x′)∈B(y,ε/2)f(x), f(x') \in B(y, \varepsilon/2)、したがって e(f(x),f(x′))<εe(f(x), f(x')) < \varepsilon。□\square

冒頭に述べた「局所的な δx\delta_x から大域的な δ\delta へ」という議論が、ルベーグ数の形で実現されている。

注意 5.23(一般の位相空間では)コンパクト性と点列コンパクト性は一般には無関係である。

  • X={0,1}[0,1]X = \lbrace 0, 1 \rbrace^{[0, 1]}(離散空間 {0,1}\lbrace 0, 1 \rbrace の積)はチコノフの定理(次節)によりコンパクトだが、点列コンパクトでない。t∈[0,1)t \in [0, 1) に対し fn(t)f_n(t) を tt の 2 進展開(ある桁から先がすべて 1 となる展開は使わない)の小数第 nn 桁とし、fn(1)=0f_n(1) = 0 とする。部分列 (fnk)(f_{n_k}) が与えられたら、第 nkn_k 桁が kk の偶奇に応じて 0,1,0,1,…0, 1, 0, 1, \dots となり他の桁が 00 である tt をとる。この展開は 00 と 11 を無限個含むので tt の展開として正当であり、fnk(t)f_{n_k}(t) は振動して収束しない。命題 3.11 より (fnk)(f_{n_k}) は XX で収束しない。
  • 逆に、点列コンパクトだがコンパクトでない空間もある(最初の非可算順序数に順序位相を入れた空間。ここでは証明しない)。

5.5 チコノフの定理

定理 5.24(チコノフの定理, Tychonoff's theorem)コンパクト空間の任意の族の積空間はコンパクトである。

有限積の場合は定理 5.15 で示した。一般の場合はツォルンの補題(数学の言葉 第6章)を用いる。有限交叉性を使った特徴づけから始める。

補題 5.25 XX がコンパクト ⇔\Leftrightarrow 有限交叉性をもつ(閉とは限らない)部分集合の族 A\mathcal{A} について、常に ⋂A∈AA‾≠∅\bigcap_{A \in \mathcal{A}} \overline{A} \neq \emptyset。

証明. (⇒\Rightarrow) {A‾}\lbrace \overline{A} \rbrace は有限交叉性をもつ閉集合族なので定理 5.4 を適用する。(⇐\Leftarrow) 閉集合族に適用すれば定理 5.4 の条件になる。□\square

補題 5.26 有限交叉性をもつ集合族 A\mathcal{A} は、有限交叉性をもつ集合族のうち包含関係について極大なもの D⊃A\mathcal{D} \supset \mathcal{A} に含まれる。

証明. A\mathcal{A} を含み有限交叉性をもつ XX の部分集合族全体 P\mathbb{P} を包含で順序づける。P\mathbb{P} の全順序部分集合(鎖){Ci}\lbrace \mathcal{C}_i \rbrace の和 ⋃Ci\bigcup \mathcal{C}_i は有限交叉性をもつ:その有限個の元はそれぞれある Cij\mathcal{C}_{i_j} に属し、鎖なのでそれらはすべて最大の Cij\mathcal{C}_{i_j} に属するからである。よって鎖は上界をもち、ツォルンの補題から P\mathbb{P} は極大元 D\mathcal{D} をもつ。□\square

補題 5.27 D\mathcal{D} を有限交叉性をもつ極大な族とする。

  1. D\mathcal{D} の有限個の元の共通部分は D\mathcal{D} に属する。
  2. D\mathcal{D} のすべての元と交わる集合 AA は D\mathcal{D} に属する。

証明. 1. B=D1∩⋯∩DnB = D_1 \cap \dots \cap D_n とすると、D∪{B}\mathcal{D} \cup \lbrace B \rbrace の有限個の元の共通部分は D\mathcal{D} の有限個の元の共通部分なので空でない。極大性より B∈DB \in \mathcal{D}。2. D∪{A}\mathcal{D} \cup \lbrace A \rbrace の有限個の元の共通部分 A∩D1∩⋯∩DnA \cap D_1 \cap \dots \cap D_n は、1 より D1∩⋯∩Dn∈DD_1 \cap \dots \cap D_n \in \mathcal{D} なので空でない。極大性より A∈DA \in \mathcal{D}。□\square

定理 5.24 の証明. X=∏λXλX = \prod_\lambda X_\lambda とし、補題 5.25 を用いる。A\mathcal{A} を有限交叉性をもつ XX の部分集合族とし、補題 5.26 によりそれを含む極大な族 D\mathcal{D} をとる。⋂D∈DD‾≠∅\bigcap_{D \in \mathcal{D}} \overline{D} \neq \emptyset を示せば十分である。

各 λ\lambda について {pλ(D)∣D∈D}\lbrace p_\lambda(D) \mid D \in \mathcal{D} \rbrace は XλX_\lambda の有限交叉性をもつ族(pλ(D1∩⋯∩Dn)⊂pλ(D1)∩⋯∩pλ(Dn)p_\lambda(D_1 \cap \dots \cap D_n) \subset p_\lambda(D_1) \cap \dots \cap p_\lambda(D_n))なので、XλX_\lambda のコンパクト性と補題 5.25 から xλ∈⋂Dpλ(D)‾x_\lambda \in \bigcap_{D} \overline{p_\lambda(D)} を選べる。x=(xλ)x = (x_\lambda) とおき、すべての D∈DD \in \mathcal{D} について x∈D‾x \in \overline{D} を示す。

xx を含む準開基の元 pλ−1(U)p_\lambda^{-1}(U)(UU は xλx_\lambda を含む XλX_\lambda の開集合)をとる。xλ∈pλ(D)‾x_\lambda \in \overline{p_\lambda(D)} なので U∩pλ(D)≠∅U \cap p_\lambda(D) \neq \emptyset、すなわち pλ−1(U)∩D≠∅p_\lambda^{-1}(U) \cap D \neq \emptyset がすべての D∈DD \in \mathcal{D} で成り立つ。補題 5.27 の 2 より pλ−1(U)∈Dp_\lambda^{-1}(U) \in \mathcal{D}。xx を含む基本開集合はこのような集合の有限個の共通部分なので、補題 5.27 の 1 より D\mathcal{D} に属し、したがって D\mathcal{D} の任意の元 DD と交わる(有限交叉性)。xx の任意の近傍は基本開集合を含むので DD と交わり、x∈D‾x \in \overline{D}。□\square

注意 5.28

  • 証明では選択公理(ツォルンの補題と xλx_\lambda の選択)を使った。実はチコノフの定理は選択公理と同値であることが知られている(ケリーの定理、ここでは証明しない)。
  • 箱位相では成り立たない。{0,1}N\lbrace 0, 1 \rbrace^{\mathbb{N}} に箱位相を入れると、各 1 点集合 {x}=∏n{xn}\lbrace x \rbrace = \prod_n \lbrace x_n \rbrace が開集合なので離散空間になり、無限(非可算)離散空間はコンパクトでない。

例 5.29 ヒルベルト立方体 [0,1]N[0, 1]^{\mathbb{N}}、カントール空間 {0,1}N\lbrace 0, 1 \rbrace^{\mathbb{N}} はコンパクトである(後者はカントール集合と同相であることが知られている)。[0,1][0,1][0,1]^{[0,1]} のような非可算積もコンパクトである。関数解析のバナッハ–アラオグルの定理(双対空間の単位球の弱 ∗ コンパクト性)はチコノフの定理から導かれる(関数解析 第4章)。

5.6 局所コンパクト空間と一点コンパクト化

Rn\mathbb{R}^n はコンパクトでないが、各点のまわりではコンパクトな閉球がとれる。このような空間は解析学の主要な舞台である。

定義 5.30(局所コンパクト, locally compact)位相空間 XX の各点がコンパクトな近傍をもつとき、XX は局所コンパクトであるという。

例 5.31 Rn\mathbb{R}^n(閉球)、離散空間(1 点)、コンパクト空間は局所コンパクトである。Q\mathbb{Q} は局所コンパクトでない:00 のコンパクト近傍 KK があったとすると、(−ε,ε)∩Q⊂K(-\varepsilon, \varepsilon) \cap \mathbb{Q} \subset K となる無理数 ε>0\varepsilon > 0 がとれる。[−ε,ε]∩Q[-\varepsilon, \varepsilon] \cap \mathbb{Q} は Q\mathbb{Q} の閉集合で KK に含まれるのでコンパクト(定理 5.5)であり、したがって R\mathbb{R} のコンパクト集合として閉集合のはずだが、その R\mathbb{R} での閉包は無理数 ε\varepsilon を含む。矛盾。無限次元ノルム空間も局所コンパクトでない。

定義 5.32(一点コンパクト化, one-point compactification)位相空間 XX と、XX に属さない 1 点 ∞\infty に対し、X∗=X∪{∞}X^{\ast} = X \cup \lbrace \infty \rbrace の部分集合で次のいずれかの形のものを開集合とする:

  • (i) XX の開集合 UU
  • (ii) X∗∖KX^{\ast} \setminus K(KK は XX のコンパクトな閉集合)

X∗X^{\ast} を XX の一点コンパクト化(アレクサンドロフ・コンパクト化)という。

言葉でいえば、「∞\infty の近傍とは、XX のコンパクト集合の外側全体を含む集合」であり、「コンパクト集合からどんどん離れていくこと」を「∞\infty に近づくこと」とみなす。

定理 5.33

  1. 上の族は X∗X^{\ast} の位相であり、XX は X∗X^{\ast} の開部分空間である(相対位相はもとの位相と一致する)。
  2. X∗X^{\ast} はコンパクトである。
  3. X∗X^{\ast} がハウスドルフ ⇔\Leftrightarrow XX は局所コンパクト・ハウスドルフ。
  4. XX がコンパクトでなければ、XX は X∗X^{\ast} で稠密である。

証明. 1. (O1):∅\emptyset は (i)、X∗=X∗∖∅X^{\ast} = X^{\ast} \setminus \emptyset は (ii)。(O2):(i) と (i) の共通部分は (i);U∩(X∗∖K)=U∩(X∖K)U \cap (X^{\ast} \setminus K) = U \cap (X \setminus K) は XX の開集合で (i);(X∗∖K)∩(X∗∖K′)=X∗∖(K∪K′)(X^{\ast} \setminus K) \cap (X^{\ast} \setminus K') = X^{\ast} \setminus (K \cup K') で K∪K′K \cup K' はコンパクトな閉集合。(O3):(i) の元だけの和は (i)。(ii) の元 X∗∖KμX^{\ast} \setminus K_\mu を少なくとも一つ含む場合、(i) の元の和を UU とすると和集合は X∗∖CX^{\ast} \setminus C、C=(⋂μKμ)∖UC = (\bigcap_\mu K_\mu) \setminus U である。CC は XX の閉集合で、コンパクト集合 Kμ0K_{\mu_0} の閉部分集合 Kμ0∩CK_{\mu_0} \cap C に等しいのでコンパクト(定理 5.5)。よって (ii)。相対位相:開集合と XX の共通部分は UU または X∖KX \setminus K で、いずれも XX の開集合であり、逆に XX の開集合は (i) として現れる。

  1. 開被覆のうち ∞\infty を含む元は (ii) の形 X∗∖KX^{\ast} \setminus K である。KK は残りの元(XX との共通部分は XX の開集合)の有限個で覆えるので、合わせて有限部分被覆になる。

  2. (⇐\Leftarrow) XX の 2 点は XX の中で分離できる。x∈Xx \in X と ∞\infty については、xx のコンパクト近傍 KK と x∈U⊂Kx \in U \subset K となる開集合 UU をとる。KK はハウスドルフ空間 XX のコンパクト集合なので閉で、UU と X∗∖KX^{\ast} \setminus K が分離する。(⇒\Rightarrow) XX はハウスドルフ空間の部分空間なのでハウスドルフ。x∈Xx \in X と ∞\infty を分離する開集合を U∋xU \ni x と X∗∖K∋∞X^{\ast} \setminus K \ni \infty とすると U⊂KU \subset K で、KK は xx のコンパクト近傍。

  3. XX がコンパクトでなければ {∞}=X∗∖X\lbrace \infty \rbrace = X^{\ast} \setminus X は (ii) の形でなく開でないので、∞\infty の任意の近傍は XX と交わる。□\square

命題 5.34(一意性)YY をコンパクト・ハウスドルフ空間、p∈Yp \in Y、X=Y∖{p}X = Y \setminus \lbrace p \rbrace とする。φ∣X=idX\varphi\vert_X = \mathrm{id}_X, φ(p)=∞\varphi(p) = \infty で定まる φ ⁣:Y→X∗\varphi\colon Y \to X^{\ast} は同相写像である。

証明. XX は YY の開集合(1 点は閉)でハウスドルフ。x∈Xx \in X と pp を分離する YY の開集合 U∋xU \ni x, V∋pV \ni p をとると、Y∖VY \setminus V はコンパクト(定理 5.5)で XX に含まれ、UU を含むので xx のコンパクト近傍である。よって XX は局所コンパクト・ハウスドルフで、X∗X^{\ast} はハウスドルフ(定理 5.33)。φ\varphi は全単射で、連続である:(i) の開集合 UU の逆像は UU で、XX が YY で開なので YY で開;(ii) の X∗∖KX^{\ast} \setminus K の逆像は Y∖KY \setminus K で、KK は YY のコンパクト集合なので閉。定理 5.10 より φ\varphi は同相写像。□\square

例 5.35

  1. (Rn)∗≅Sn(\mathbb{R}^n)^{\ast} \cong S^n:立体射影により Sn∖{N}≅RnS^n \setminus \lbrace N \rbrace \cong \mathbb{R}^n(例 2.39)なので、命題 5.34 から従う。特に C∗≅S2\mathbb{C}^{\ast} \cong S^2 はリーマン球面である(リーマン面 第1章)。
  2. N∗≅{0}∪{1/n∣n∈N}\mathbb{N}^{\ast} \cong \lbrace 0 \rbrace \cup \lbrace 1/n \mid n \in \mathbb{N} \rbrace(問題 5.7)。(0,1)∗≅S1(0, 1)^{\ast} \cong S^1、[0,1)∗≅[0,1][0, 1)^{\ast} \cong [0, 1]。
  3. Q∗\mathbb{Q}^{\ast} はコンパクトだがハウスドルフでない(例 5.31 と定理 5.33 の 3)。

命題 5.36 XX を局所コンパクト・ハウスドルフ空間、x∈Ux \in U(UU は開集合)とする。x∈V⊂V‾⊂Ux \in V \subset \overline{V} \subset U かつ V‾\overline{V} がコンパクトとなる開集合 VV が存在する。特に XX は正則である。

証明. X∗X^{\ast} はコンパクト・ハウスドルフなので正則(系 5.8)。UU は X∗X^{\ast} の開集合なので、命題 4.3 より x∈V⊂clX∗(V)⊂Ux \in V \subset \mathrm{cl}_{X^{\ast}}(V) \subset U となる X∗X^{\ast} の開集合 VV がある。V⊂XV \subset X なので VV は XX の開集合で、clX∗(V)\mathrm{cl}_{X^{\ast}}(V) はコンパクト空間の閉集合なのでコンパクトであり、U⊂XU \subset X に含まれるので XX での閉包 V‾=clX∗(V)∩X\overline{V} = \mathrm{cl}_{X^{\ast}}(V) \cap X に一致する。□\square

局所コンパクト・ハウスドルフ空間は、コンパクト台の連続関数 Cc(X)C_c(X) とラドン測度の理論の舞台である(測度と積分 第8章)。

5.7 アスコリ–アルツェラの定理

関数空間 C[0,1]C[0, 1] の有界閉集合はコンパクトとは限らない(例 5.3 の 6)。では関数の族がいつ「コンパクト」になるのか。答えは「一様に有界」に加えて「一様に振動が小さい」ことである。

以下 XX をコンパクト距離空間とし、XX 上の実数値連続関数全体 C(X)C(X) に一様距離 d∞(f,g)=max⁡x∈X∣f(x)−g(x)∣d_\infty(f, g) = \max_{x \in X} \lvert f(x) - g(x) \rvert を入れる(最大値は系 5.9 により存在する)。

定義 5.37(同程度連続, equicontinuous)F⊂C(X)\mathcal{F} \subset C(X) とする。

  • F\mathcal{F} が点 xx で同程度連続であるとは、任意の ε>0\varepsilon > 0 に対してある δ>0\delta > 0 が存在し、すべての f∈Ff \in \mathcal{F} と d(x,y)<δd(x, y) < \delta となるすべての yy について ∣f(x)−f(y)∣<ε\lvert f(x) - f(y) \rvert < \varepsilon となることをいう。すべての点で同程度連続なとき、単に同程度連続という。
  • 各点 xx で {f(x)∣f∈F}\lbrace f(x) \mid f \in \mathcal{F} \rbrace が有界なとき各点有界、sup⁡f∈Fmax⁡x∣f(x)∣<∞\sup_{f \in \mathcal{F}} \max_x \lvert f(x) \rvert < \infty のとき一様有界という。

定理 5.38(アスコリ–アルツェラの定理, Ascoli–Arzelà theorem)XX をコンパクト距離空間、F⊂C(X)\mathcal{F} \subset C(X) とする。次は同値である。

  1. F\mathcal{F} の閉包 F‾\overline{\mathcal{F}} は (C(X),d∞)(C(X), d_\infty) でコンパクト。
  2. F\mathcal{F} は同程度連続かつ一様有界。
  3. F\mathcal{F} は同程度連続かつ各点有界。

特にこのとき、F\mathcal{F} の任意の関数列は一様収束する部分列をもつ。

証明. 1 ⇒\Rightarrow 2:F‾\overline{\mathcal{F}} はコンパクト距離空間なので全有界(定理 5.20)。ε>0\varepsilon > 0 に対し、F⊂⋃i=1mB(fi,ε/3)\mathcal{F} \subset \bigcup_{i=1}^m B(f_i, \varepsilon/3) となる f1,…,fm∈F‾f_1, \dots, f_m \in \overline{\mathcal{F}} がある。(一様有界)ε=3\varepsilon = 3 とすれば任意の f∈Ff \in \mathcal{F} で max⁡∣f∣<max⁡imax⁡∣fi∣+1\max \lvert f \rvert < \max_i \max \lvert f_i \rvert + 1。(同程度連続)x∈Xx \in X を固定し、各 fif_i の連続性から、d(x,y)<δd(x, y) < \delta ならすべての ii で ∣fi(x)−fi(y)∣<ε/3\lvert f_i(x) - f_i(y) \rvert < \varepsilon/3 となる δ\delta をとる。f∈Ff \in \mathcal{F} に対し d∞(f,fi)<ε/3d_\infty(f, f_i) < \varepsilon/3 となる ii を選べば、d(x,y)<δd(x, y) < \delta のとき

∣f(x)−f(y)∣≤∣f(x)−fi(x)∣+∣fi(x)−fi(y)∣+∣fi(y)−f(y)∣<ε\lvert f(x) - f(y) \rvert \leq \lvert f(x) - f_i(x) \rvert + \lvert f_i(x) - f_i(y) \rvert + \lvert f_i(y) - f(y) \rvert < \varepsilon

2 ⇒\Rightarrow 3:明らか。

3 ⇒\Rightarrow 1:ステップ 1(部分列の構成). 系 5.21 より XX は稠密な可算部分集合 {x1,x2,… }\lbrace x_1, x_2, \dots \rbrace をもつ。F\mathcal{F} の関数列 (fn)(f_n) をとる。(fn(x1))(f_n(x_1)) は有界な実数列なので収束部分列をもつ(ボルツァーノ–ワイエルシュトラス)。その部分列から x2x_2 での値が収束する部分列をとり、以下同様に続け、定理 5.20 の証明と同じ対角線論法により、すべての xjx_j で (gk(xj))k(g_k(x_j))_k が収束する部分列 (gk)(g_k) を得る。

ステップ 2(一様コーシー性). ε>0\varepsilon > 0 とする。同程度連続性から、各 z∈Xz \in X に対し δz>0\delta_z > 0 を「d(z,y)<δzd(z, y) < \delta_z ならすべての f∈Ff \in \mathcal{F} で ∣f(y)−f(z)∣<ε/6\lvert f(y) - f(z) \rvert < \varepsilon/6」となるようにとる。XX のコンパクト性から有限個の B(z1,δz1),…,B(zm,δzm)B(z_1, \delta_{z_1}), \dots, B(z_m, \delta_{z_m}) で XX を覆える。同じ球に属する 2 点 y,y′y, y' については ∣f(y)−f(y′)∣<ε/3\lvert f(y) - f(y') \rvert < \varepsilon/3 である。各球は空でない開集合なので稠密集合の点 xji∈B(zi,δzi)x_{j_i} \in B(z_i, \delta_{z_i}) を含む。KK を十分大きくとり、k,l≥Kk, l \geq K なら i=1,…,mi = 1, \dots, m のすべてで ∣gk(xji)−gl(xji)∣<ε/3\lvert g_k(x_{j_i}) - g_l(x_{j_i}) \rvert < \varepsilon/3 とする。任意の y∈Xy \in X はある B(zi,δzi)B(z_i, \delta_{z_i}) に属するので、k,l≥Kk, l \geq K なら

∣gk(y)−gl(y)∣≤∣gk(y)−gk(xji)∣+∣gk(xji)−gl(xji)∣+∣gl(xji)−gl(y)∣<ε\lvert g_k(y) - g_l(y) \rvert \leq \lvert g_k(y) - g_k(x_{j_i}) \rvert + \lvert g_k(x_{j_i}) - g_l(x_{j_i}) \rvert + \lvert g_l(x_{j_i}) - g_l(y) \rvert < \varepsilon

よって d∞(gk,gl)≤εd_\infty(g_k, g_l) \leq \varepsilon で、(gk)(g_k) は一様コーシー列である。

ステップ 3(極限). 各 yy で (gk(y))(g_k(y)) は実数のコーシー列なので収束し、極限を g(y)g(y) とする。ステップ 2 の不等式で l→∞l \to \infty とすると k≥Kk \geq K ですべての yy について ∣gk(y)−g(y)∣≤ε\lvert g_k(y) - g(y) \rvert \leq \varepsilon、すなわち gk→gg_k \to g は一様収束で、補題 4.10 より g∈C(X)g \in C(X)。以上で「F\mathcal{F} の任意の関数列は C(X)C(X) で一様収束する部分列をもつ」ことが示された。

ステップ 4(閉包のコンパクト性). (hn)(h_n) を F‾\overline{\mathcal{F}} の点列とし、fn∈Ff_n \in \mathcal{F} を d∞(fn,hn)<1/nd_\infty(f_n, h_n) < 1/n となるようにとる。ステップ 3 より部分列 fnk→gf_{n_k} \to g があり、d∞(hnk,g)≤1/nk+d∞(fnk,g)→0d_\infty(h_{n_k}, g) \leq 1/n_k + d_\infty(f_{n_k}, g) \to 0。F‾\overline{\mathcal{F}} は閉なので g∈F‾g \in \overline{\mathcal{F}}。よって F‾\overline{\mathcal{F}} は点列コンパクトで、定理 5.20 よりコンパクト。□\square

例 5.39

  1. L,M>0L, M > 0 とし、F={f∈C[0,1]∣∣f(0)∣≤M, ∣f(x)−f(y)∣≤L∣x−y∣}\mathcal{F} = \lbrace f \in C[0, 1] \mid \lvert f(0) \rvert \leq M, \ \lvert f(x) - f(y) \rvert \leq L \lvert x - y \rvert \rbrace とする。δ=ε/L\delta = \varepsilon/L で同程度連続、∣f(x)∣≤M+L\lvert f(x) \rvert \leq M + L で一様有界であり、F\mathcal{F} は閉(条件は各点での不等式なので一様収束で保たれる)なので、F\mathcal{F} はコンパクトである。
  2. fn(x)=xnf_n(x) = x^n は [0,1][0, 1] 上一様有界だが、x=1x = 1 で同程度連続でない(1−(1−δ/2)n→11 - (1 - \delta/2)^n \to 1)。実際、一様収束する部分列をもたない(極限は不連続関数になってしまう、例 1.24)。
  3. fn(x)=sin⁡nxf_n(x) = \sin nx も [0,π][0, \pi] 上一様有界だが同程度連続でない。

アスコリ–アルツェラの定理は、常微分方程式の解の存在(ペアノの定理、微分方程式 第2章)、正則関数族の正規族の理論(モンテルの定理、複素関数論 第6章)、コンパクト作用素(関数解析 第5章)の基礎である。

まとめ

  • コンパクト性は「任意の開被覆が有限部分被覆をもつ」ことで、局所的な情報を有限個にまとめて大域的な結論を得るための性質である。閉集合の有限交叉性でも言い換えられる。
  • 閉部分集合・連続像はコンパクト、ハウスドルフ空間のコンパクト集合は閉、コンパクト・ハウスドルフ空間は正規である。
  • コンパクト空間からハウスドルフ空間への連続全単射は同相写像であり、商空間の同定(円周・トーラス・射影直線)に威力を発揮する。
  • ハイネ–ボレル:Rn\mathbb{R}^n ではコンパクト ⇔\Leftrightarrow 有界閉。距離空間ではコンパクト ⇔\Leftrightarrow 点列コンパクト ⇔\Leftrightarrow 完備かつ全有界で、ルベーグ数から一様連続性が従う。
  • チコノフの定理:コンパクト空間の任意個の積はコンパクト(ツォルンの補題を用いる)。箱位相では成り立たない。
  • 局所コンパクト・ハウスドルフ空間の一点コンパクト化はコンパクト・ハウスドルフで、(Rn)∗≅Sn(\mathbb{R}^n)^{\ast} \cong S^n。
  • アスコリ–アルツェラ:C(X)C(X) の部分集合の閉包がコンパクト ⇔\Leftrightarrow 同程度連続かつ一様(各点)有界。

演習問題

問題 5.1 ★ (a) 有限個のコンパクト集合の和集合はコンパクトであることを示せ。(b) [0,1][0, 1] と (0,1](0, 1] は同相でないことを示せ。

解答

(a) K1∪⋯∪KnK_1 \cup \dots \cup K_n を覆う開集合族は各 KiK_i を覆うので、各 KiK_i を覆う有限部分族を合わせればよい。(b) [0,1][0, 1] はコンパクト(定理 5.13)、(0,1](0, 1] は開被覆 {(1/n,1]}\lbrace (1/n, 1] \rbrace が有限部分被覆をもたないのでコンパクトでない。コンパクト性は位相的性質(定理 5.6)なので同相でない。

問題 5.2 ★ ハウスドルフ空間 XX のコンパクト集合の族 {Kλ}\lbrace K_\lambda \rbrace(空でない族)の共通部分はコンパクトであることを示せ。

解答

各 KλK_\lambda は閉(定理 5.7)なので ⋂Kλ\bigcap K_\lambda は閉。λ0\lambda_0 を一つ固定すると ⋂Kλ=Kλ0∩⋂Kλ\bigcap K_\lambda = K_{\lambda_0} \cap \bigcap K_\lambda はコンパクト空間 Kλ0K_{\lambda_0} の閉部分集合なのでコンパクト(定理 5.5)。

問題 5.3 ★★ YY をコンパクト空間とする。射影 p ⁣:X×Y→Xp\colon X \times Y \to X は閉写像であることを示せ。YY がコンパクトでないときの反例を挙げよ。

解答

F⊂X×YF \subset X \times Y を閉集合とし、x∉p(F)x \notin p(F) とする。{x}×Y\lbrace x \rbrace \times Y は開集合 W=(X×Y)∖FW = (X \times Y) \setminus F に含まれるので、チューブ補題より U×Y⊂WU \times Y \subset W となる xx の開近傍 UU がある。これは U∩p(F)=∅U \cap p(F) = \emptyset を意味するので、p(F)p(F) の補集合は開。反例:双曲線 xy=1xy = 1 の R×R→R\mathbb{R} \times \mathbb{R} \to \mathbb{R} による像 R∖{0}\mathbb{R} \setminus \lbrace 0 \rbrace(第3章)。

問題 5.4 ★★(閉グラフ定理)YY をコンパクト・ハウスドルフ空間とする。写像 f ⁣:X→Yf\colon X \to Y が連続 ⇔\Leftrightarrow グラフ Γf={(x,f(x))}\Gamma_f = \lbrace (x, f(x)) \rbrace が X×YX \times Y の閉集合、を示せ。

解答

(⇒\Rightarrow) Γf\Gamma_f は連続写像 (x,y)↦(f(x),y)(x, y) \mapsto (f(x), y) による対角線 ΔY\Delta_Y の逆像で、YY がハウスドルフなので ΔY\Delta_Y は閉(問題 4.2)。コンパクト性は不要。(⇐\Leftarrow) YY の閉集合 CC について f−1(C)=p(Γf∩(X×C))f^{-1}(C) = p(\Gamma_f \cap (X \times C))(pp は XX への射影)。Γf∩(X×C)\Gamma_f \cap (X \times C) は閉で、問題 5.3 より pp は閉写像なので f−1(C)f^{-1}(C) は閉。

問題 5.5 ★★(ディニの定理)XX をコンパクト空間、fn,f∈C(X)f_n, f \in C(X) とし、各点で f1(x)≤f2(x)≤⋯f_1(x) \leq f_2(x) \leq \cdots かつ fn(x)→f(x)f_n(x) \to f(x) とする。このとき fn→ff_n \to f は一様収束であることを示せ。

解答

gn=f−fn≥0g_n = f - f_n \geq 0 は連続で、各点で単調減少して 00 に収束する。ε>0\varepsilon > 0 に対し Un={x∣gn(x)<ε}U_n = \lbrace x \mid g_n(x) < \varepsilon \rbrace は開集合で、U1⊂U2⊂⋯U_1 \subset U_2 \subset \cdots、各点収束から ⋃Un=X\bigcup U_n = X。コンパクト性より有限個で覆え、単調性からある UN=XU_N = X。n≥Nn \geq N なら 0≤gn≤gN<ε0 \leq g_n \leq g_N < \varepsilon が全域で成り立つ。

問題 5.6 ★★ 錐 C(Sn−1)=(Sn−1×[0,1])/(Sn−1×{1})C(S^{n-1}) = (S^{n-1} \times [0, 1])/(S^{n-1} \times \lbrace 1 \rbrace) は DnD^n と同相であることを示せ。

解答

Φ(x,t)=(1−t)x\Phi(x, t) = (1 - t)x は Sn−1×[0,1]→DnS^{n-1} \times [0, 1] \to D^n の連続な全射で、Sn−1×{1}S^{n-1} \times \lbrace 1 \rbrace を原点に写し、それ以外では単射である(y≠0y \neq 0 なら x=y/∥y∥x = y/\lVert y \rVert, t=1−∥y∥t = 1 - \lVert y \rVert と一意に決まる)。よって Φ\Phi はつぶした点を原点に写す連続全単射 Φˉ ⁣:C(Sn−1)→Dn\bar{\Phi}\colon C(S^{n-1}) \to D^n を誘導する(定理 3.16)。Sn−1×[0,1]S^{n-1} \times [0, 1] はコンパクト(定理 5.15, 5.16)なのでその商空間もコンパクトで、DnD^n はハウスドルフなので、定理 5.10 より Φˉ\bar{\Phi} は同相写像。

問題 5.7 ★ N\mathbb{N}(離散位相)の一点コンパクト化は K={0}∪{1/n∣n∈N}K = \lbrace 0 \rbrace \cup \lbrace 1/n \mid n \in \mathbb{N} \rbrace と同相であることを示せ。

解答

KK はコンパクト・ハウスドルフ(例 5.3)で、K∖{0}={1/n}K \setminus \lbrace 0 \rbrace = \lbrace 1/n \rbrace は各点が孤立点なので離散空間であり、n↦1/nn \mapsto 1/n で N\mathbb{N} と同相。命題 5.34 より K≅N∗K \cong \mathbb{N}^{\ast}。

問題 5.8 ★★ F={f∈C[0,1]∣f(0)=0, ∣f(x)−f(y)∣≤∣x−y∣1/2}\mathcal{F} = \lbrace f \in C[0, 1] \mid f(0) = 0, \ \lvert f(x) - f(y) \rvert \leq \lvert x - y \rvert^{1/2} \rbrace は (C[0,1],d∞)(C[0, 1], d_\infty) のコンパクト集合であることを示せ。

解答

δ=ε2\delta = \varepsilon^2 とすれば ∣x−y∣<δ\lvert x - y \rvert < \delta で ∣f(x)−f(y)∣<ε\lvert f(x) - f(y) \rvert < \varepsilon がすべての f∈Ff \in \mathcal{F} で成り立つので同程度連続。∣f(x)∣=∣f(x)−f(0)∣≤1\lvert f(x) \rvert = \lvert f(x) - f(0) \rvert \leq 1 で一様有界。F\mathcal{F} を定める条件は各点の等式・不等式で、一様収束(したがって各点収束)の極限で保たれるので F\mathcal{F} は閉。定理 5.38 より F=F‾\mathcal{F} = \overline{\mathcal{F}} はコンパクト。

問題 5.9 ★★★ XX をコンパクト距離空間、f ⁣:X→Xf\colon X \to X を等長写像とする。ff は全射であることを示せ。

解答

f(X)f(X) はコンパクトなので閉である。f(X)≠Xf(X) \neq X と仮定し、a∈X∖f(X)a \in X \setminus f(X) をとると、ε=d(a,f(X))>0\varepsilon = d(a, f(X)) > 0(例 1.28 の 2)。点列 a0=aa_0 = a, an+1=f(an)a_{n+1} = f(a_n) を考える。m<nm < n について d(am,an)=d(fm(a0),fm(an−m))=d(a0,an−m)d(a_m, a_n) = d(f^m(a_0), f^m(a_{n-m})) = d(a_0, a_{n-m})(等長性)で、an−m∈f(X)a_{n-m} \in f(X) なので d(a0,an−m)≥εd(a_0, a_{n-m}) \geq \varepsilon。よって (an)(a_n) の相異なる項の距離は ε\varepsilon 以上で、収束部分列をもたない。これは XX の点列コンパクト性(定理 5.20)に反する。

問題 5.10 ★★★ ハウスドルフ空間 YY の稠密な部分空間 XX が局所コンパクトならば、XX は YY の開集合であることを示せ。これを用いて、Q\mathbb{Q} が局所コンパクトでないことを再証明せよ。

解答

x∈Xx \in X とし、XX でのコンパクト近傍 KK と、x∈U⊂Kx \in U \subset K となる XX の開集合 UU をとる。U=W∩XU = W \cap X となる YY の開集合 WW がある。XX は稠密で WW は開なので W⊂W∩X‾W \subset \overline{W \cap X}(y∈Wy \in W の任意の近傍 NN について、N∩WN \cap W は空でない開集合なので XX と交わる)。よって W⊂U‾⊂K‾=KW \subset \overline{U} \subset \overline{K} = K(KK は YY のコンパクト集合なので閉、閉包は YY でとる)。したがって x∈W⊂K⊂Xx \in W \subset K \subset X で、XX は YY の開集合。Q\mathbb{Q} は R\mathbb{R} で稠密だが開集合でないので、局所コンパクトでない。

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