Lemma

第10章L 関数と BSD 予想

目安 7〜10 時間定理など 8演習 9 問
ここまでの道

この章の目標

  • 還元の型ごとの局所因子を定め、L(E,s)L(E, s) のオイラー積が Re⁡s>3/2\operatorname{Re} s > 3/2 で絶対収束することを証明できる
  • モジュラー性定理の主張を述べ、導手 11 の曲線とモジュラー形式の係数の一致を確かめられる
  • 関数等式と根数、BSD 予想の精密な公式を各項の正規化まで含めて説明し、導手 11 と 37 の曲線で両辺を比べられる
  • コーツ–ワイルズ、グロス–ザギエ、コリヴァギンの定理を仮定とともに述べられる
  • 合同数とタネルの定理の関係、フェルマーの最終定理の証明の流れを説明できる

前提:第4章、第6章、第8章、第9章、19 第3章。BSD 予想は15 第6章の類数公式と比べるとよい。

リーマンゼータ関数 ζ(s)=∏p(1−p−s)−1\zeta(s) = \prod_p(1 - p^{-s})^{-1} が素数の分布を、デデキントゼータ関数が類数や単数を記録するように、楕円曲線 E/QE/\mathbb{Q} の各素数での情報 apa_p を 1 つの解析関数にまとめたものが L 関数 L(E,s)L(E, s) である。1960 年代前半、バーチとスウィンナートン=ダイアーは計算機 EDSAC による数値実験から、L(E,s)L(E, s) の s=1s = 1 での振る舞いが有理点の群 E(Q)E(\mathbb{Q}) の大きさを決めているという予想に到達した。これが BSD 予想であり、クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題(2000 年)の一つにも選ばれている。

本章ではまず局所因子と L 関数を定義し、オイラー積の収束を証明する。L(E,s)L(E, s) を s=1s = 1 まで延ばすにはモジュラー性定理が必要で、これはフェルマーの最終定理の証明の核心でもある。そのうえで BSD 予想の精密な公式を述べ、既知の結果と合同数問題への応用を見る。

10.1 局所因子と導手

E/QE/\mathbb{Q} の大域極小モデル(第6章 定理 6.5)を 1 つとり、素数 pp での還元を E~\tilde{E} とする。E~\tilde{E} が非特異なら良い還元、結節点をもてば乗法的還元(結節点での 2 本の接線が Fp\mathbb{F}_p 上定義されるなら分裂、そうでなければ非分裂)、尖点をもてば加法的還元であった。すべての素数 pp について

ap=p+1−∣E~(Fp)∣a_p = p + 1 - \lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert

とおく。ここで ∣E~(Fp)∣\lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert は特異点も含めた点の個数である。良い還元なら apa_p はフロベニウスのトレースで、ハッセの定理より ∣ap∣≤2p\lvert a_p \rvert \leq 2\sqrt{p} である(第4章 定理 4.7)。

命題 10.1 悪い還元の素数 pp について、apa_p は分裂乗法的還元なら 11、非分裂乗法的還元なら −1-1、加法的還元なら 00 である。

証明. pp が奇素数の場合に示す(p=2p = 2 も含めた ∣E~ns(Fp)∣\lvert \tilde{E}_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_p) \rvert の計算は第6章の系 6.14 にある)。平方完成と平行移動により E~ ⁣:y2=x3+ax2\tilde{E}\colon y^2 = x^3 + ax^2(特異点が原点)としてよい。非特異なアフィン点 (x0,y0)(x_0, y_0) は x0≠0x_0 \neq 0 を満たし、t=y0/x0t = y_0/x_0 とおくと x0=t2−ax_0 = t^2 - a, y0=tx0y_0 = tx_0 である。逆に t2≠at^2 \neq a となる t∈Fpt \in \mathbb{F}_p ごとに非特異点 (t2−a,t(t2−a))(t^2 - a, t(t^2 - a)) がちょうど 1 つ得られる。よって ∣E~ns(Fp)∣=1+p−∣{t∈Fp∣t2=a}∣\lvert \tilde{E}_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_p) \rvert = 1 + p - \lvert \lbrace t \in \mathbb{F}_p \mid t^2 = a \rbrace \rvert(11 は OO)。原点での接線は y=±axy = \pm\sqrt{a}x だから、a=0a = 0(尖点)、aa が 00 でない平方数(分裂)、非平方数(非分裂)に応じて ∣E~ns(Fp)∣=p,p−1,p+1\lvert \tilde{E}_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_p) \rvert = p, p - 1, p + 1。特異点を加えると ∣E~(Fp)∣=p+1,p,p+2\lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert = p + 1, p, p + 2、すなわち ap=0,1,−1a_p = 0, 1, -1。□\square

定義 10.2(L 関数)E/QE/\mathbb{Q} の導手を NN とする(第6章 定義 6.27。N=∏ppfpN = \prod_p p^{f_p} で、fpf_p は良い還元なら 00、乗法的還元なら 11、加法的還元なら 22 以上)。局所因子を Lp(T)=1−apT+pT2L_p(T) = 1 - a_pT + pT^2(p∤Np \nmid N)、Lp(T)=1−apTL_p(T) = 1 - a_pT(p∣Np \mid N)とし、

L(E,s)=∏p1Lp(p−s)=∏p∣N11−app−s∏p∤N11−app−s+p1−2sL(E, s) = \prod_p\frac{1}{L_p(p^{-s})} = \prod_{p \mid N}\frac{1}{1 - a_pp^{-s}}\prod_{p \nmid N}\frac{1}{1 - a_pp^{-s} + p^{1 - 2s}}

を EE の L 関数(ハッセ–ヴェイユの L 関数)という。

良い還元の pp では Lp(T)L_p(T) は E~\tilde{E} の合同ゼータ関数の分子であり(第4章 定理 4.13)、Lp(1/p)=∣E~(Fp)∣/pL_p(1/p) = \lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert/p である。同種な曲線はすべての pp で同じ apa_p と同じ導手をもち、同じ L 関数をもつ(主張)。導手が平方因子をもたない(悪い還元がすべて乗法的な)曲線を半安定 (semistable) という。

例 10.3(局所因子) (1) 11a1  ⁣:y2+y=x3−x2−10x−20\colon y^2 + y = x^3 - x^2 - 10x - 20(Δ=−115\Delta = -11^5, N=11N = 11)を 1111 で還元すると、特異点は (5,5)(5, 5) で、X=x−5X = x - 5, Y=y−5Y = y - 5 とおくと Y2≡X3+3X2(mod11)Y^2 \equiv X^3 + 3X^2 \pmod{11}。3≡523 \equiv 5^2 だから分裂乗法的還元で a11=1a_{11} = 1(小平記号 I5\mathrm{I}_5, 玉河数 c11=5c_{11} = 5)、局所因子は (1−11−s)−1(1 - 11^{-s})^{-1}。p=2p = 2 では ∣E~(F2)∣=5\lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_2) \rvert = 5, a2=−2a_2 = -2 で、(1+2⋅2−s+21−2s)−1(1 + 2 \cdot 2^{-s} + 2^{1 - 2s})^{-1}。

(2) 37a1  ⁣:y2+y=x3−x\colon y^2 + y = x^3 - x(Δ=37\Delta = 37)は 3737 で非分裂乗法的還元をもち(問題 10.2)、a37=−1a_{37} = -1、局所因子は (1+37−s)−1(1 + 37^{-s})^{-1}。

(3) 32a2  ⁣:y2=x3−x\colon y^2 = x^3 - x(Δ=26\Delta = 2^6)は  mod 2\bmod 2 で y2=x3+xy^2 = x^3 + x となり、(1,0)(1, 0) に尖点をもつ加法的還元である(f2=5f_2 = 5。PARI/GP の elllocalred)。a2=0a_2 = 0 で局所因子は 11。

10.2 オイラー積の絶対収束

定理 10.4 L(E,s)L(E, s) のオイラー積は Re⁡s>3/2\operatorname{Re}s > 3/2 で絶対収束し、00 にならない。それを展開したディリクレ級数 L(E,s)=∑n≥1ann−sL(E, s) = \sum_{n \geq 1}a_nn^{-s} の係数は乗法的(gcd⁡(m,n)=1\gcd(m, n) = 1 なら amn=amana_{mn} = a_ma_n)で、

apk+1=apapk−papk−1 (p∤N),apk=apk (p∣N),∣an∣≤d(n)na_{p^{k+1}} = a_pa_{p^k} - pa_{p^{k-1}}\ (p \nmid N), \qquad a_{p^k} = a_p^k\ (p \mid N), \qquad \lvert a_n \rvert \leq d(n)\sqrt{n}

を満たす(d(n)d(n) は nn の約数の個数)。この級数も Re⁡s>3/2\operatorname{Re}s > 3/2 で絶対収束する。

証明. Lp(T)=(1−αpT)(1−βpT)L_p(T) = (1 - \alpha_pT)(1 - \beta_pT) と分解する。p∤Np \nmid N なら αp,βp\alpha_p, \beta_p は T2−apT+pT^2 - a_pT + p の根で、ハッセの定理 ap2≤4pa_p^2 \leq 4p より互いに複素共役であり ∣αp∣=∣βp∣=p\lvert \alpha_p \rvert = \lvert \beta_p \rvert = \sqrt{p}。p∣Np \mid N なら αp=ap\alpha_p = a_p, βp=0\beta_p = 0 で ∣αp∣≤1\lvert \alpha_p \rvert \leq 1。いずれの場合も

1Lp(T)=∑k≥0cp,kTk,cp,k=∑i+j=kαpiβpj,∣cp,k∣≤(k+1)pk/2\frac{1}{L_p(T)} = \sum_{k \geq 0}c_{p,k}T^k, \qquad c_{p,k} = \sum_{i + j = k}\alpha_p^i\beta_p^j, \qquad \lvert c_{p,k} \rvert \leq (k + 1)p^{k/2}

で、Lp(T)∑kcp,kTk=1L_p(T)\sum_k c_{p,k}T^k = 1 の係数を比べると漸化式が得られる。an=∏pk∥ncp,ka_n = \prod_{p^k \parallel n}c_{p,k} とおけば乗法的で、∣an∣≤∏pk∥n(k+1)pk/2=d(n)n\lvert a_n \rvert \leq \prod_{p^k \parallel n}(k + 1)p^{k/2} = d(n)\sqrt{n}。

実数 σ>3/2\sigma > 3/2 を固定し、xp=p1/2−σx_p = p^{1/2 - \sigma} とおくと xp<p−1≤12x_p < p^{-1} \leq \frac{1}{2} で、∑k∣cp,k∣p−kσ≤∑k(k+1)xpk=(1−xp)−2\sum_k \lvert c_{p,k} \rvert p^{-k\sigma} \leq \sum_k(k + 1)x_p^k = (1 - x_p)^{-2}。n≤Xn \leq X ならその素因数はすべて XX 以下だから、0≤x≤120 \leq x \leq \frac{1}{2} で −log⁡(1−x)≤2x-\log(1 - x) \leq 2x であることを使って

∑n≤X∣an∣nσ≤∏p≤X∑k≥0∣cp,k∣pkσ≤∏p1(1−xp)2≤exp⁡(4∑pxp)\sum_{n \leq X}\frac{\lvert a_n \rvert}{n^\sigma} \leq \prod_{p \leq X}\sum_{k \geq 0}\frac{\lvert c_{p,k} \rvert}{p^{k\sigma}} \leq \prod_p\frac{1}{(1 - x_p)^2} \leq \exp\Bigl(4\sum_p x_p\Bigr)

を得る。∑pxp≤∑nn1/2−σ<∞\sum_p x_p \leq \sum_n n^{1/2 - \sigma} < \infty だから、∑ann−s\sum a_nn^{-s} は Re⁡s≥σ\operatorname{Re}s \geq \sigma で絶対収束する。∏p≤XLp(p−s)−1\prod_{p \leq X}L_p(p^{-s})^{-1} は素因数がすべて XX 以下の nn についての ann−sa_nn^{-s} の和だから、級数との差は ∑n>X∣an∣n−σ→0\sum_{n > X}\lvert a_n \rvert n^{-\sigma} \to 0 で抑えられ、積と級数は一致する。各因子は 00 でなく、∑p∣Lp(p−s)−1−1∣≤∑p((1−xp)−2−1)≤∑p8xp<∞\sum_p \lvert L_p(p^{-s})^{-1} - 1 \rvert \leq \sum_p((1 - x_p)^{-2} - 1) \leq \sum_p 8x_p < \infty だから、無限積は 00 でない値に収束する。□\square

s=1s = 1 はこの範囲の外にある。L(E,s)L(E, s) を s=1s = 1 まで延ばすには、次節のモジュラー性が必要になる。

10.3 モジュラー性定理と関数等式

19 第3章の 3.10 節のように、Γ0(N)={γ∈SL⁡2(Z)∣c≡0(modN)}\Gamma_0(N) = \lbrace \gamma \in \operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}) \mid c \equiv 0 \pmod N \rbrace に関する重さ 2 の尖点形式の空間を S2(Γ0(N))S_2(\Gamma_0(N)) と書く。その元 ff は H\mathbb{H} 上の正則関数で、γ∈Γ0(N)\gamma \in \Gamma_0(N) について f(γτ)=(cτ+d)2f(τ)f(\gamma\tau) = (c\tau + d)^2f(\tau) を満たし、すべての尖点で消える。ヘッケ作用素の同時固有形式で a1=1a_1 = 1 と正規化され、より低いレベルから来ないものを新形式 (newform) という。新形式の係数も定理 10.4 と同じ乗法性と漸化式を満たす。L(f,s)=∑nan(f)n−sL(f, s) = \sum_n a_n(f)n^{-s} とおく。

定理 10.5(モジュラー性定理, modularity theorem. 主張)E/QE/\mathbb{Q} の導手を NN とすると、整数係数の新形式 f=∑n≥1an(f)qn∈S2(Γ0(N))f = \sum_{n \geq 1}a_n(f)q^n \in S_2(\Gamma_0(N)) で、すべての nn について an(f)=an(E)a_n(f) = a_n(E)、すなわち L(E,s)=L(f,s)L(E, s) = L(f, s) となるものが存在する。

半安定な場合をワイルズ(1995)とテイラー–ワイルズ(1995)が証明し、ブルイユ–コンラッド–ダイアモンド–テイラー(2001)が一般の場合を完成させた。かつては谷山–志村予想と呼ばれた。定理 10.5 は、モジュラー曲線からの非定数の射 X0(N)→EX_0(N) \to E(モジュラー・パラメータ付け)の存在と同値であることが知られている。

例 10.6(導手 11)S2(Γ0(11))S_2(\Gamma_0(11)) は 1 次元で(PARI/GP の mfdim)、

f=q∏n≥1(1−qn)2(1−q11n)2=q−2q2−q3+2q4+q5+2q6−2q7−2q9−2q10+q11−2q12+4q13+⋯f = q\prod_{n \geq 1}(1 - q^n)^2(1 - q^{11n})^2 = q - 2q^2 - q^3 + 2q^4 + q^5 + 2q^6 - 2q^7 - 2q^9 - 2q^{10} + q^{11} - 2q^{12} + 4q^{13} + \cdots

がその基底である(19 第3章 例 3.33)。11a1 の点の個数から求めた apa_p と、ff の qpq^p の係数を比べる(p=11p = 11 では特異点も数えた)。

pp 2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47
∣E~(Fp)∣\lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert 5 5 5 10 11 10 20 20 25 30 25 35 50 50 40
apa_p −2-2 −1-1 11 −2-2 11 44 −2-2 00 −1-1 00 77 33 −8-8 −6-6 88
ff の係数 −2-2 −1-1 11 −2-2 11 44 −2-2 00 −1-1 00 77 33 −8-8 −6-6 88

PARI/GP で無限積を q110q^{110} まで展開し、n≤110n \leq 110 のすべての ana_n が ellan と一致することを確かめた。19 第3章 例 3.33 の曲線 y2+y=x3−x2y^2 + y = x^3 - x^2 は 11a3 で、11a1 と同種なので同じ L 関数をもつ。

定理 10.7(関数等式。主張)Λ(E,s)=Ns/2(2π)−sΓ(s)L(E,s)\Lambda(E, s) = N^{s/2}(2\pi)^{-s}\Gamma(s)L(E, s) は C\mathbb{C} 全体の正則関数に延び、ある w∈{±1}w \in \lbrace \pm 1 \rbrace について Λ(E,s)=wΛ(E,2−s)\Lambda(E, s) = w\Lambda(E, 2 - s) を満たす。

ww を EE の根数 (root number) という。これはモジュラー性からヘッケの理論で従う。Λ(E,s)=Ns/2∫0∞f(iy)ys−1 dy\Lambda(E, s) = N^{s/2}\int_0^\infty f(iy)y^{s-1}\ dy(メリン変換)であり、ff がフリッケ対合 τ↦−1/(Nτ)\tau \mapsto -1/(N\tau) の固有関数であることから関数等式が得られる。半安定なら w=−∏p∣N(−ap)w = -\prod_{p \mid N}(-a_p) である(主張。導手 2000 以下の半安定曲線 4154 個で PARI/GP の ellrootno と一致することを確かめた)。11a1 では w=−(−1)=1w = -(-1) = 1、37a1 では w=−(+1)=−1w = -(+1) = -1。PARI/GP の lfuncheckfeq でも関数等式を数値的に確かめられる。

命題 10.8 ran=ord⁡s=1L(E,s)r_{\mathrm{an}} = \operatorname{ord}_{s=1}L(E, s)(解析的階数)とすると w=(−1)ranw = (-1)^{r_{\mathrm{an}}}。特に w=−1w = -1 なら L(E,1)=0L(E, 1) = 0。

証明. Ns/2(2π)−sΓ(s)N^{s/2}(2\pi)^{-s}\Gamma(s) は s=1s = 1 で正則かつ 00 でないから、r=ranr = r_{\mathrm{an}} として Λ(E,1+u)=cur+O(ur+1)\Lambda(E, 1 + u) = cu^r + O(u^{r+1})(c≠0c \neq 0)と書ける。関数等式より Λ(E,1+u)=wΛ(E,1−u)=wc(−u)r+O(ur+1)\Lambda(E, 1 + u) = w\Lambda(E, 1 - u) = wc(-u)^r + O(u^{r+1}) で、uru^r の係数を比べて c=(−1)rwcc = (-1)^rwc。□\square

10.4 BSD 予想

p∤Np \nmid N なら Lp(1/p)−1=p/NpL_p(1/p)^{-1} = p/N_p(Np=∣E~(Fp)∣N_p = \lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert)だから、形式的には L(E,1)L(E, 1) は ∏pp/Np\prod_p p/N_p のようなものである。有理点が多ければ NpN_p は平均して大きくなり、∏p≤xNp/p\prod_{p \leq x}N_p/p は増大すると期待される。バーチとスウィンナートン=ダイアーは、この積が (log⁡x)r(\log x)^r(rr は階数)に比例して増えることを観察した。s=1s = 1 はオイラー積の絶対収束域の外なので、これは発見的な議論である。PARI/GP で計算すると次のようになる(389a1  ⁣:y2+y=x3+x2−2x\colon y^2 + y = x^3 + x^2 - 2x、5077a1  ⁣:y2+y=x3−7x+6\colon y^2 + y = x^3 - 7x + 6 の階数 2, 3 は ellrank の上界と下界の一致で確かめた)。

曲線 階数 x=103x = 10^3 10410^4 10510^5 10610^6 10610^6 での積 /(log⁡x)r/(\log x)^r
11a1 0 5.73 6.24 6.12 6.27 6.27
37a1 1 45.7 74.7 92.3 107.0 7.75
389a1 2 329 638 828 1149 6.02
5077a1 3 1830 3096 6801 11603 4.40

(表の値は良い還元の素数 p≤xp \leq x にわたる ∏Np/p\prod N_p/p。)

予想 10.9(バーチ–スウィンナートン=ダイアー予想, BSD 予想)E/QE/\mathbb{Q} と r=rank⁡E(Q)r = \operatorname{rank}E(\mathbb{Q}) について、

  1. ord⁡s=1L(E,s)=r\operatorname{ord}_{s=1}L(E, s) = r である。
  2. Ш(E/Q)\text{Ш}(E/\mathbb{Q}) は有限で、次が成り立つ。
lim⁡s→1L(E,s)(s−1)r=ΩE⋅Reg⁡(E)⋅∣Ш(E/Q)∣⋅∏pcp∣E(Q)tors∣2\lim_{s \to 1}\frac{L(E, s)}{(s - 1)^r} = \frac{\Omega_E \cdot \operatorname{Reg}(E) \cdot \lvert \text{Ш}(E/\mathbb{Q}) \rvert \cdot \prod_p c_p}{\lvert E(\mathbb{Q})_{\mathrm{tors}} \rvert^2}

右辺の各項は次のとおりである。

  • ΩE=∫E(R)∣ω∣\Omega_E = \int_{E(\mathbb{R})}\lvert \omega \rvert。ω=dx/(2y+a1x+a3)\omega = dx/(2y + a_1x + a_3) は大域極小モデルの不変微分である。E(R)E(\mathbb{R}) の連結成分の数を c∞c_\infty(Δ>0\Delta > 0 なら 2、Δ<0\Delta < 0 なら 1)とすると、各成分での積分は実周期 ω1\omega_1(第9章 系 9.27)に等しいから ΩE=c∞ω1\Omega_E = c_\infty\omega_1。
  • Reg⁡(E)=det⁡(⟨Pi,Pj⟩)i,j\operatorname{Reg}(E) = \det(\langle P_i, P_j \rangle)_{i,j}。P1,…,PrP_1, \dots, P_r は E(Q)/E(Q)torsE(\mathbb{Q})/E(\mathbb{Q})_{\mathrm{tors}} の基底、⟨P,Q⟩=12(h^(P+Q)−h^(P)−h^(Q))\langle P, Q \rangle = \frac{1}{2}(\hat{h}(P + Q) - \hat{h}(P) - \hat{h}(Q))、h^(P)=lim⁡n→∞4−nh(2nP)\hat{h}(P) = \lim_{n \to \infty}4^{-n}h(2^nP), h(P)=log⁡H(x(P))h(P) = \log H(x(P))(第8章 定理 8.35, 定義 8.38)。r=0r = 0 なら Reg⁡(E)=1\operatorname{Reg}(E) = 1。
  • cp=[E(Qp):E0(Qp)]c_p = [E(\mathbb{Q}_p) : E_0(\mathbb{Q}_p)] は玉河数(第6章 定義 6.24)で、良い還元なら 11。
  • Ш(E/Q)\text{Ш}(E/\mathbb{Q}) はテイト–シャファレビッチ群(第8章 定理 8.31)。

左辺は類数公式(15 第6章 定理 6.19)の留数にあたり、Ш は類群に、E(Q)E(\mathbb{Q}) とレギュレーターは単数群と単数規準に、ねじれ部分は 1 のべき根に対応する。

注意

正規化の流儀に注意する。(1) レギュレーターは、対角成分 ⟨P,P⟩\langle P, P \rangle が本書の h^(P)=lim⁡n→∞4−nh(2nP)\hat{h}(P) = \lim_{n \to \infty} 4^{-n}h(2^nP) に等しいペアリングで計算する(第8章の正規化。37a1 では Reg⁡(E)=0.0511114082…\operatorname{Reg}(E) = 0.0511114082\ldots)。h^\hat{h} を本書の 12\frac{1}{2} 倍で定義する本もあるが、そこでペアリングを 12\frac{1}{2} なしの h^(P+Q)−h^(P)−h^(Q)\hat{h}(P + Q) - \hat{h}(P) - \hat{h}(Q) と定めていれば、レギュレーターは本書と同じ値になる。h^\hat{h} を 12\frac{1}{2} 倍にしたうえでペアリングにも 12\frac{1}{2} をつけると、レギュレーターは本書の 2−r2^{-r} 倍になり、公式に 2r2^r を補う必要がある。(2) 実周期 ω1\omega_1 を Ω\Omega と書き、連結成分の数 c∞c_\infty を別の因子として書く流儀もある。(3) ω\omega は極小モデルのものでなければならない。PARI/GP では、ellheight(E, P) は本書の h^(P)\hat{h}(P) を、ellbsd(E) は ΩE∏cp/∣E(Q)tors∣2\Omega_E\prod c_p/\lvert E(\mathbb{Q})_{\mathrm{tors}} \rvert^2 を返す。

例 10.10(BSD 予想の数値的な検証) 次の値は PARI/GP(ellrank, ellanalyticrank, lfun, ellheight, ellglobalred, elltors, ellbsd)で 30 桁の精度で計算した。

11a1 37a1
rank⁡E(Q)\operatorname{rank}E(\mathbb{Q}), 根数 ww 00, +1+1 11(生成元 (0,0)(0, 0)), −1-1
左辺 L(E,1)=0.2538418608559106843L(E, 1) = 0.2538418608559106843 L′(E,1)=0.3059997738340523018L'(E, 1) = 0.3059997738340523018
c∞c_\infty, ω1\omega_1 11, 1.26920930427955342171.2692093042795534217 22, 2.99345864623195962982.9934586462319596298
ΩE\Omega_E 1.26920930427955342171.2692093042795534217 5.98691729246391925975.9869172924639192597
Reg⁡(E)\operatorname{Reg}(E) 11 h^((0,0))=0.0511114082399688402\hat{h}((0, 0)) = 0.0511114082399688402
∏cp\prod c_p, ∣E(Q)tors∣\lvert E(\mathbb{Q})_{\mathrm{tors}} \rvert 55(I5\mathrm{I}_5), 55 11(I1\mathrm{I}_1), 11
ΩEReg⁡∏cp/∣Etors∣2\Omega_E\operatorname{Reg}\prod c_p/\lvert E_{\mathrm{tors}} \rvert^2 0.25384186085591068430.2538418608559106843 0.30599977383405230180.3059997738340523018

どちらの曲線でも、∣Ш∣=1\lvert \text{Ш} \rvert = 1 とおくと両辺は 30 桁一致する(11a1 では L(E,1)/ΩE=1/5L(E, 1)/\Omega_E = 1/5)。逆にいえば、BSD 予想は ∣Ш∣=1\lvert \text{Ш} \rvert = 1 を予言する。ran≤1r_{\mathrm{an}} \leq 1 なので、次節の定理により Ш は有限であり、階数も解析的階数に等しいことが証明されている。

10.5 既知の結果

定理 10.11(コーツ–ワイルズ, 1977。主張)E/QE/\mathbb{Q} が虚数乗法をもち、L(E,1)≠0L(E, 1) \neq 0 ならば、E(Q)E(\mathbb{Q}) は有限である。

コーツとワイルズは End⁡(E)\operatorname{End}(E) が虚二次体の整数環 OK\mathcal{O}_K である場合に示した。Q\mathbb{Q} 上の CM 曲線はそのような曲線と Q\mathbb{Q} 上同種で、LL 関数と階数は同種で変わらないから、上の形で成り立つ。

定理 10.12(グロス–ザギエ, 1986/コリヴァギン, 1988。主張)E/QE/\mathbb{Q} を導手 NN の楕円曲線とする。

  1. (グロス–ザギエ)KK を NN のすべての素因数が分解する虚二次体(ヒーグナー条件)とし、yK∈E(K)y_K \in E(K) をモジュラー・パラメータ付け X0(N)→EX_0(N) \to E によるヒーグナー点の像(の KK 上のトレース)とする。このとき L′(E/K,1)L'(E/K, 1) は h^(yK)\hat{h}(y_K) の 00 でない明示的な定数倍に等しい。ここで L(E/K,s)=L(E,s)L(E(K),s)L(E/K, s) = L(E, s)L(E^{(K)}, s), E(K)E^{(K)} は KK による二次ツイストである(グロスとザギエの原論文は KK の判別式が奇数の場合で、この仮定はのちに S.-W. チャンが外した)。
  2. (コリヴァギン) 1 の状況で yKy_K が無限位数ならば、E(K)E(K) の階数は 1 で、Ш(E/K)\text{Ш}(E/K) は有限である。
  3. (系)解析的階数 ranr_{\mathrm{an}} が 00 または 11 ならば、rank⁡E(Q)=ran\operatorname{rank}E(\mathbb{Q}) = r_{\mathrm{an}} であり、Ш(E/Q)\text{Ш}(E/\mathbb{Q}) は有限である。

3 は、1, 2 と、L(E(K),s)L(E^{(K)}, s) の s=1s = 1 での位数を指定できる KK の存在(ブンプ–フリードバーグ–ホフスタイン、マーティ–マーティによる L 関数の非消滅の結果)とモジュラー性定理を組み合わせて得られる。一方、ran≥2r_{\mathrm{an}} \geq 2 の場合については、一般にはほとんど何もわかっていない。

10.6 合同数とタネルの定理

第1章の例 1.1 で見たように、正の整数 nn が合同数であることは En ⁣:y2=x3−n2xE_n\colon y^2 = x^3 - n^2x が y≠0y \neq 0 の有理点をもつことと同値である。En(Q)E_n(\mathbb{Q}) のねじれ部分群は y=0y = 0 の 4 点だけなので(第7章 問題 7.10。Koblitz, Introduction to Elliptic Curves and Modular Forms 第 I 章も参照)、これは En(Q)E_n(\mathbb{Q}) の階数が正であることと同値である(第8章 命題 8.28)。EnE_n は E1 ⁣:y2=x3−xE_1\colon y^2 = x^3 - x の二次ツイストで(第1章 例 1.21、問題 10.3)、[i](x,y)=(−x,iy)[i](x, y) = (-x, iy) による虚数乗法をもつ。根数については、平方因子をもたない nn で w(En)=−1  ⟺  n≡5,6,7(mod8)w(E_n) = -1 \iff n \equiv 5, 6, 7 \pmod 8 が成り立つ(主張。n≤3000n \leq 3000 で ellrootno と一致)。したがって命題 10.8 と BSD 予想から、平方因子をもたない n≡5,6,7(mod8)n \equiv 5, 6, 7 \pmod 8 はすべて合同数であると予想される。

定理 10.13(タネル, 1983。主張)nn を平方因子をもたない正の整数とし、整数の組 (x,y,z)(x, y, z) の個数を

An=∣{n=2x2+y2+32z2}∣,Bn=∣{n=2x2+y2+8z2}∣(n が奇数),Cn=∣{n/2=4x2+y2+32z2}∣,Dn=∣{n/2=4x2+y2+8z2}∣(n が偶数)\begin{aligned} A_n &= \lvert \lbrace n = 2x^2 + y^2 + 32z^2 \rbrace \rvert, & B_n &= \lvert \lbrace n = 2x^2 + y^2 + 8z^2 \rbrace \rvert & (n\ \text{が奇数}), \\ C_n &= \lvert \lbrace n/2 = 4x^2 + y^2 + 32z^2 \rbrace \rvert, & D_n &= \lvert \lbrace n/2 = 4x^2 + y^2 + 8z^2 \rbrace \rvert & (n\ \text{が偶数}) \end{aligned}

とおく。

  1. nn が合同数ならば、2An=Bn2A_n = B_n(nn が奇数)、2Cn=Dn2C_n = D_n(nn が偶数)である。
  2. EnE_n について BSD 予想の 1(階数の部分)が正しければ、逆も成り立つ。

さらに、ϖ=2.6220575542…\varpi = 2.6220575542\ldots(E1E_1 の実周期)について

L(En,1)=ϖ(2An−Bn)216n (n が奇数),L(En,1)=ϖ(2Cn−Dn)28n (n が偶数)L(E_n, 1) = \frac{\varpi(2A_n - B_n)^2}{16\sqrt{n}}\ (n\ \text{が奇数}), \qquad L(E_n, 1) = \frac{\varpi(2C_n - D_n)^2}{8\sqrt{n}}\ (n\ \text{が偶数})

L 値の公式は、重さ 3/2 のモジュラー形式の係数とツイストの L 値を結ぶヴァルトシュプルガーの定理から導かれる(n≤30n \leq 30 で lfun と 30 桁一致することを確かめた)。2An≠Bn2A_n \neq B_n なら L(En,1)≠0L(E_n, 1) \neq 0 で、EnE_n は虚数乗法をもつからコーツ–ワイルズの定理により En(Q)E_n(\mathbb{Q}) は有限、すなわち nn は合同数でない。これが 1 である。2An=Bn2A_n = B_n なら L(En,1)=0L(E_n, 1) = 0 で、BSD 予想の 1 から階数は正になる。これが 2 である(偶数の nn も同様)。

例 10.14 平方因子をもたない n≤15n \leq 15 について、python の全探索で個数を数え、PARI/GP の ellrank(上界と下界の一致)と ellrootno で階数と根数を求めた。

nn 1 2 3 5 6 7 10 11 13 14 15
AnA_n または CnC_n 2 2 4 0 0 0 4 4 0 0 0
BnB_n または DnD_n 2 2 4 0 0 0 4 12 0 0 0
2An−Bn2A_n - B_n など 2 2 4 0 0 0 4 −4-4 0 0 0
rank⁡En(Q)\operatorname{rank}E_n(\mathbb{Q}) 0 0 0 1 1 1 0 0 1 1 1
w(En)w(E_n) ++ ++ ++ −- −- −- ++ ++ −- −- −-

1, 2, 3, 10, 11 が合同数でないことは定理 10.13 の 1 から無条件に従う。5, 6, 7, 13, 14, 15 は実際に合同数で、たとえば (32,203,416)(\frac{3}{2}, \frac{20}{3}, \frac{41}{6}), (3,4,5)(3, 4, 5), (245,3512,33760)(\frac{24}{5}, \frac{35}{12}, \frac{337}{60}), (780323,32330,1069219690)(\frac{780}{323}, \frac{323}{30}, \frac{106921}{9690}), (212,83,656)(\frac{21}{2}, \frac{8}{3}, \frac{65}{6}), (152,4,172)(\frac{15}{2}, 4, \frac{17}{2}) が面積 5,6,7,13,14,155, 6, 7, 13, 14, 15 の直角三角形である。

10.7 フェルマーの最終定理の証明の流れ

フェルマーの最終定理(n≥3n \geq 3 なら xn+yn=znx^n + y^n = z^n は xyz≠0xyz \neq 0 の整数解をもたない)の証明の流れを概略で述べる。各段階の深い定理は主張として認める。

  1. n=4n = 4(フェルマー)と n=3n = 3(オイラー)は古典的に示されているので、素数 p≥5p \geq 5 について ap+bp=cpa^p + b^p = c^p, abc≠0abc \neq 0 の解がないことを示せばよい。解があれば、約分と符号・順序の入れ替えにより、a,b,ca, b, c は互いに素、bb は偶数、a≡−1(mod4)a \equiv -1 \pmod 4 としてよい。
  2. フライ曲線 E ⁣:y2=x(x−ap)(x+bp)E\colon y^2 = x(x - a^p)(x + b^p) を考える(フライ, 1986)。判別式は 16(abc)2p16(abc)^{2p} で(問題 10.7)、1 の正規化のもとで EE は半安定、極小判別式は 2−8(abc)2p2^{-8}(abc)^{2p}、導手は abcabc の素因数の積である(主張)。たとえば A+B=CA + B = C が 3+32=353 + 32 = 35 のとき(同じ正規化を満たす)、y2=x(x−3)(x+32)y^2 = x(x - 3)(x + 32) の導手は PARI/GP で 210=2⋅3⋅5⋅7210 = 2 \cdot 3 \cdot 5 \cdot 7、極小判別式は 44100=(3⋅32⋅35)2/2844100 = (3 \cdot 32 \cdot 35)^2/2^8 となる。
  3. ワイルズとテイラー–ワイルズ(1995)により、半安定な EE はモジュラーである(定理 10.5)。
  4. E[p]E[p] へのガロア表現 ρˉE,p\bar{\rho}_{E,p} は既約である。実際、可約なら、半安定性から EE または EE と pp-同種な曲線(奇数次の同種写像で移るので、これも 2 等分点がすべて有理点)が位数 pp の有理点をもち(セール。主張)、そのねじれ部分群は Z/2⊕Z/2p\mathbb{Z}/2 \oplus \mathbb{Z}/2p(p≥5p \geq 5)を含むことになって、メイザーの定理(第7章 定理 7.13)に反する。また奇素数 ℓ∣abc\ell \mid abc では vℓ(Δmin⁡)=2p vℓ(abc)v_\ell(\Delta_{\min}) = 2p\ v_\ell(abc) は pp の倍数であり、v2(Δmin⁡)=2p v2(b)−8v_2(\Delta_{\min}) = 2p\ v_2(b) - 8 は pp の倍数でない。リベットの定理(1990。E/QE/\mathbb{Q} が半安定かつモジュラーで、奇素数 pp について ρˉE,p\bar{\rho}_{E,p} が既約ならば、導手から p∣vℓ(Δmin⁡)p \mid v_\ell(\Delta_{\min}) となる素因数 ℓ\ell をすべて取り除いたレベルの重さ 2 の新形式 ff があって、ℓ∤Np\ell \nmid Np について aℓ(f)≡aℓ(E)a_\ell(f) \equiv a_\ell(E)(ff の係数体の pp の上の素イデアルを法として)となる)により、レベル 2 のそのような新形式 ff が存在することになる。
  5. しかし S2(Γ0(2))=0S_2(\Gamma_0(2)) = 0 である(問題 10.8。mfdim でも確かめられる)。矛盾。

10.8 ラングランズ・プログラムへの展望

p∤Nℓp \nmid N\ell なら ap=tr⁡ρE,ℓ(Frob⁡p)a_p = \operatorname{tr}\rho_{E,\ell}(\operatorname{Frob}_p) であり(第9章 9.6 節の ℓ\ell 進表現)、L(E,s)L(E, s) はガロア表現 ρE,ℓ\rho_{E,\ell} の L 関数とみなせる。モジュラー性定理は、GQG_{\mathbb{Q}} の 2 次元表現 ρE,ℓ\rho_{E,\ell} が保型的な対象(新形式、あるいは GL⁡2\operatorname{GL}_2 の保型表現)と L 関数が一致する形で対応する、と言い換えられる。1 次元の表現についてのこの対応が類体論であり(15 第7章)、2 次元のアルティン表現と重さ 1 の保型形式の対応はその次の例である(15 第7章 例 7.18)。一般に「GQG_{\mathbb{Q}} や数体のガロア群の nn 次元表現と GL⁡n\operatorname{GL}_n の保型表現が L 関数を保って対応する」と予想するのがラングランズ・プログラムである。楕円曲線の対称積の L 関数の性質から佐藤–テイト予想(第4章 定理 4.22)が証明されたように、この対応は個々の曲線の算術にも具体的な帰結をもたらしている。

まとめ

  • 還元の型に応じて ap=p+1−∣E~(Fp)∣a_p = p + 1 - \lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert は、良い還元ではフロベニウスのトレース、分裂・非分裂乗法的還元では ±1\pm 1、加法的還元では 00 となり、局所因子 Lp(T)L_p(T) が定まる。
  • ハッセの定理 ∣αp∣=p\lvert \alpha_p \rvert = \sqrt{p} から ∣an∣≤d(n)n\lvert a_n \rvert \leq d(n)\sqrt{n} が従い、L(E,s)L(E, s) は Re⁡s>3/2\operatorname{Re}s > 3/2 で絶対収束する。
  • モジュラー性定理(ワイルズ、テイラー–ワイルズ、ブルイユ–コンラッド–ダイアモンド–テイラー)により L(E,s)=L(f,s)L(E, s) = L(f, s) となる新形式 f∈S2(Γ0(N))f \in S_2(\Gamma_0(N)) がある。導手 11 では f=q∏(1−qn)2(1−q11n)2f = q\prod(1 - q^n)^2(1 - q^{11n})^2。
  • Λ(E,s)=Ns/2(2π)−sΓ(s)L(E,s)\Lambda(E, s) = N^{s/2}(2\pi)^{-s}\Gamma(s)L(E, s) は整関数で Λ(E,s)=wΛ(E,2−s)\Lambda(E, s) = w\Lambda(E, 2 - s)、w=(−1)ranw = (-1)^{r_{\mathrm{an}}}。
  • BSD 予想:階数は s=1s = 1 での零点の位数に等しく、主要項は ΩEReg⁡∣Ш∣∏cp/∣Etors∣2\Omega_E\operatorname{Reg}\lvert \text{Ш} \rvert\prod c_p/\lvert E_{\mathrm{tors}} \rvert^2。11a1, 37a1 で 30 桁一致する。
  • ran≤1r_{\mathrm{an}} \leq 1 なら階数は ranr_{\mathrm{an}} に等しく Ш は有限(グロス–ザギエ、コリヴァギン)。CM 曲線で L(E,1)≠0L(E, 1) \neq 0 なら E(Q)E(\mathbb{Q}) は有限(コーツ–ワイルズ)。
  • タネルの定理:合同数なら 2An=Bn2A_n = B_n(偶数では 2Cn=Dn2C_n = D_n)、BSD のもとで逆も成り立つ。
  • フライ曲線、リベットの定理、半安定曲線のモジュラー性、S2(Γ0(2))=0S_2(\Gamma_0(2)) = 0 からフェルマーの最終定理が従う。

演習問題

問題 10.1 ★ 11a1 について、a2=−2a_2 = -2, a3=−1a_3 = -1, a5=1a_5 = 1, a11=1a_{11} = 1 と定理 10.4 の漸化式から a4,a8,a9,a16,a25,a121a_4, a_8, a_9, a_{16}, a_{25}, a_{121} を求め、例 10.6 の ff の係数(q4q^4 の係数は 22、q8q^8 は 00、q9q^9 は −2-2)と比べよ。

解答

a4=a22−2=2a_4 = a_2^2 - 2 = 2, a8=a2a4−2a2=−4+4=0a_8 = a_2a_4 - 2a_2 = -4 + 4 = 0, a16=a2a8−2a4=−4a_{16} = a_2a_8 - 2a_4 = -4, a9=a32−3=−2a_9 = a_3^2 - 3 = -2, a25=a52−5=−4a_{25} = a_5^2 - 5 = -4。1111 は悪い還元なので a121=a112=1a_{121} = a_{11}^2 = 1。ff の係数と一致する(PARI/GP の ellan でも a16=−4a_{16} = -4, a25=−4a_{25} = -4, a121=1a_{121} = 1)。

問題 10.2 ★ 37a1  ⁣:y2+y=x3−x\colon y^2 + y = x^3 - x を 3737 で還元した曲線の特異点が (5,18)(5, 18) であることを確かめ、非分裂乗法的還元であることを示せ。

解答

F=y2+y−x3+xF = y^2 + y - x^3 + x とすると Fy=2y+1F_y = 2y + 1, Fx=−3x2+1F_x = -3x^2 + 1。y=18y = 18 で 2y+1=37≡02y + 1 = 37 \equiv 0、x=5x = 5 で 3⋅25−1=74≡03 \cdot 25 - 1 = 74 \equiv 0、F(5,18)=342−120=222=6⋅37≡0F(5, 18) = 342 - 120 = 222 = 6 \cdot 37 \equiv 0。x=X+5x = X + 5, y=Y+18y = Y + 18 とおくと Y2+37Y+342≡Y2+9Y^2 + 37Y + 342 \equiv Y^2 + 9、X3+15X2+74X+120≡X3+15X2+9X^3 + 15X^2 + 74X + 120 \equiv X^3 + 15X^2 + 9 だから Y2≡X3+15X2Y^2 \equiv X^3 + 15X^2。接線は Y2=15X2Y^2 = 15X^2 で、(1537)=(337)(537)=(373)(375)=(13)(25)=−1\left(\frac{15}{37}\right) = \left(\frac{3}{37}\right)\left(\frac{5}{37}\right) = \left(\frac{37}{3}\right)\left(\frac{37}{5}\right) = \left(\frac{1}{3}\right)\left(\frac{2}{5}\right) = -1(相互法則。37≡1(mod4)37 \equiv 1 \pmod 4)。よって接線は F37\mathbb{F}_{37} 上定義されず非分裂で、a37=−1a_{37} = -1。

問題 10.3 ★★ E1 ⁣:y2=x3−xE_1\colon y^2 = x^3 - x, En ⁣:y2=x3−n2xE_n\colon y^2 = x^3 - n^2x とし、pp を 2n2n を割らない素数とする。ap(En)=(np)ap(E1)a_p(E_n) = \left(\frac{n}{p}\right)a_p(E_1) を示せ。

解答

x=nux = nu と置換すると x3−n2x=n3(u3−u)x^3 - n^2x = n^3(u^3 - u) だから、(x3−n2xp)=(np)3(u3−up)=(np)(u3−up)\left(\frac{x^3 - n^2x}{p}\right) = \left(\frac{n}{p}\right)^3\left(\frac{u^3 - u}{p}\right) = \left(\frac{n}{p}\right)\left(\frac{u^3 - u}{p}\right)。uu は Fp\mathbb{F}_p 全体を動くので、ap=−∑x(f(x)p)a_p = -\sum_x\left(\frac{f(x)}{p}\right)(定理 9.18 の証明の式)より主張を得る。

問題 10.4 ★★ 11a1 は位数 5 の有理点 (5,5)(5, 5) をもつ。p≠5,11p \neq 5, 11 について 5∣∣E~(Fp)∣5 \mid \lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert、したがって ap≡p+1(mod5)a_p \equiv p + 1 \pmod 5 であることを示し、例 10.6 の表で確かめよ。

解答

良い還元の素数 pp について、pp と素な位数のねじれ点は還元で単射に写る(第7章 定理 7.1)。よって p≠5,11p \neq 5, 11 なら E~(Fp)\tilde{E}(\mathbb{F}_p) は位数 5 の元をもち、ラグランジュの定理より 5∣∣E~(Fp)∣=p+1−ap5 \mid \lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert = p + 1 - a_p。表では ∣E~(Fp)∣=5,5,10,10,20,…\lvert \tilde{E}(\mathbb{F}_p) \rvert = 5, 5, 10, 10, 20, \dots はすべて 5 の倍数で(p=5p = 5 でも 55)、たとえば p=31p = 31 で a31=7≡32a_{31} = 7 \equiv 32, p=41p = 41 で −8≡42(mod5)-8 \equiv 42 \pmod 5。

問題 10.5 ★★ 例 10.10 と同種な曲線 11a2, 11a3 について、PARI/GP によれば次の値をとる:11a2 は ∣Etors∣=1\lvert E_{\mathrm{tors}} \rvert = 1, c11=1c_{11} = 1, ΩE=0.2538418608…\Omega_E = 0.2538418608\ldots、11a3 は ∣Etors∣=5\lvert E_{\mathrm{tors}} \rvert = 5, c11=1c_{11} = 1, ΩE=6.3460465213…\Omega_E = 6.3460465213\ldots(いずれも Δ<0\Delta < 0)。同種な曲線は同じ L(E,1)L(E, 1) をもつことを使って、BSD 予想が 3 曲線で同じく ∣Ш∣=1\lvert \text{Ш} \rvert = 1 を予言することを確かめよ。

解答

L(E,1)=0.2538418608…L(E, 1) = 0.2538418608\ldots は 3 曲線で共通。r=0r = 0 だから右辺は ΩE∏cp∣Ш∣/∣Etors∣2\Omega_E\prod c_p\lvert \text{Ш} \rvert/\lvert E_{\mathrm{tors}} \rvert^2。11a1:1.2692093042⋅5/25=0.25384186081.2692093042 \cdot 5/25 = 0.2538418608。11a2:0.2538418608⋅1/10.2538418608 \cdot 1/1。11a3:6.3460465213⋅1/25=0.25384186086.3460465213 \cdot 1/25 = 0.2538418608。いずれも ∣Ш∣=1\lvert \text{Ш} \rvert = 1 で一致する。周期・玉河数・ねじれ部分は個別には変わるが、組み合わせは同種で不変になっている。

問題 10.6 ★★ (1) 定理 10.13 の An,BnA_n, B_n を n=1,3,5,11n = 1, 3, 5, 11 について手で数え、1, 3, 11 が合同数でないことを結論せよ。(2) 直角三角形 (32,203,416)(\frac{3}{2}, \frac{20}{3}, \frac{41}{6}) の面積が 5 であることを確かめ、E5E_5 の点 (x,y)=(1681144,−622791728)(x, y) = (\frac{1681}{144}, -\frac{62279}{1728}) が E5E_5 上にあることを確かめよ(x=(c/2)2x = (c/2)^2, y=c(a2−b2)/8y = c(a^2 - b^2)/8)。

解答

(1) n=1n = 1:AA では y=±1y = \pm 1 の 2 個、BB も 2 個で 2A−B=22A - B = 2。n=3n = 3:2x2+y2=32x^2 + y^2 = 3 の解 (±1,±1)(\pm 1, \pm 1) で A=B=4A = B = 4。n=5n = 5:2x2+y2=52x^2 + y^2 = 5 は解がなく(y2=5,3y^2 = 5, 3 は平方数でない)、8z2,32z2>58z^2, 32z^2 > 5 なので A=B=0A = B = 0。n=11n = 11:AA は 2x2+y2=112x^2 + y^2 = 11 の解 (±1,±3)(\pm 1, \pm 3) で 4 個。BB はさらに z=±1z = \pm 1 で 2x2+y2=32x^2 + y^2 = 3 の解 4 個ずつが加わり 1212 個。2A−B=−42A - B = -4。よって n=1,3,11n = 1, 3, 11 では 2An≠Bn2A_n \neq B_n で、定理 10.13 の 1 から合同数でない。

(2) 面積は 12⋅32⋅203=5\frac{1}{2} \cdot \frac{3}{2} \cdot \frac{20}{3} = 5、94+4009=168136=(416)2\frac{9}{4} + \frac{400}{9} = \frac{1681}{36} = (\frac{41}{6})^2。a2−b2=−151936a^2 - b^2 = -\frac{1519}{36} より y=416⋅(−151936)/8=−622791728y = \frac{41}{6} \cdot (-\frac{1519}{36})/8 = -\frac{62279}{1728}。一般に x−5=(a−b)2/4x - 5 = (a - b)^2/4, x+5=(a+b)2/4x + 5 = (a + b)^2/4 だから x3−25x=x(x−5)(x+5)=c2(a2−b2)2/64=y2x^3 - 25x = x(x - 5)(x + 5) = c^2(a^2 - b^2)^2/64 = y^2 となる(PARI/GP の ellisoncurve でも確かめられる)。

問題 10.7 ★★ A,BA, B を互いに素な 00 でない整数、C=A+B≠0C = A + B \neq 0 とし、E ⁣:y2=x(x−A)(x+B)E\colon y^2 = x(x - A)(x + B) とする。(1) Δ=16A2B2C2\Delta = 16A^2B^2C^2 を示せ。(2) 奇素数 ℓ\ell について、ℓ∤ABC\ell \nmid ABC なら良い還元、ℓ∣ABC\ell \mid ABC なら乗法的還元であることを示せ。

解答

(1) y2=f(x)y^2 = f(x)(ff はモニックな 3 次式、根 eie_i)の判別式は 16∏i<j(ei−ej)216\prod_{i < j}(e_i - e_j)^2。根 0,A,−B0, A, -B の差は AA, BB, A+B=CA + B = C だから Δ=16A2B2C2\Delta = 16A^2B^2C^2。

(2) ℓ∤ABC\ell \nmid ABC なら ℓ∤Δ\ell \nmid \Delta で良い還元。ℓ∣A\ell \mid A なら A,BA, B は互いに素で ℓ∤B\ell \nmid B。 mod ℓ\bmod \ell で f(x)≡x2(x+B)f(x) \equiv x^2(x + B) は二重根 00 と単根 −B≢0-B \not\equiv 0 をもつので、(0,0)(0, 0) は結節点(y2≡Bx2+x3y^2 \equiv Bx^2 + x^3 で B≢0B \not\equiv 0)であり、乗法的還元である。ℓ∣B\ell \mid B や ℓ∣C\ell \mid C の場合も、0,A,−B0, A, -B のうちちょうど 2 つが  mod ℓ\bmod \ell で一致するので同様である。(Δ\Delta が ℓ12\ell^{12} で割れることもあるが、c4=16(A2+AB+B2)c_4 = 16(A^2 + AB + B^2) は ℓ\ell で割れないので方程式は ℓ\ell で極小である。)

問題 10.8 ★★★ S2(Γ0(2))=0S_2(\Gamma_0(2)) = 0 を示せ。(ヒント:f∈S2(Γ0(2))f \in S_2(\Gamma_0(2)) に対し、SL⁡2(Z)\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}) の Γ0(2)\Gamma_0(2) による剰余類の代表 γ1,γ2,γ3\gamma_1, \gamma_2, \gamma_3 をとり、F=∏if∣2γiF = \prod_i f\vert_2\gamma_i((f∣2γ)(τ)=(cτ+d)−2f(γτ)(f\vert_2\gamma)(\tau) = (c\tau + d)^{-2}f(\gamma\tau))を考える。)

解答

[SL⁡2(Z):Γ0(2)]=3[\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}) : \Gamma_0(2)] = 3( mod 2\bmod 2 で SL⁡2(F2)\operatorname{SL}_2(\mathbb{F}_2) の位数 6 を、上三角行列のなす位数 2 の部分群で割る)。f∣2γf\vert_2\gamma は γ\gamma の Γ0(2)\Gamma_0(2) による剰余類 Γ0(2)γ\Gamma_0(2)\gamma だけで決まるので、FF は代表の選び方によらない。δ∈SL⁡2(Z)\delta \in \operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}) について F∣6δ=∏if∣2(γiδ)F\vert_6\delta = \prod_i f\vert_2(\gamma_i\delta) で、γiδ\gamma_i\delta も剰余類の代表系をなすから F∣6δ=FF\vert_6\delta = F。各 f∣2γif\vert_2\gamma_i は尖点形式の定義により ∞\infty で正則かつ 00 に近づく(q1/2q^{1/2} の正べきで展開される)から、FF は ∞\infty で消える重さ 6 のモジュラー形式、すなわち F∈S6(SL⁡2(Z))F \in S_6(\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})) である。19 第3章の定理 3.18 より S6=0S_6 = 0 だから F=0F = 0。H\mathbb{H} は連結で、正則関数の積が恒等的に 00 なら 1 つの因子が恒等的に 00 だから、ある ii で f∣2γi=0f\vert_2\gamma_i = 0、したがって f=0f = 0。

問題 10.9 ★★ 命題 10.8 と BSD 予想を認めて、半安定な曲線の根数の公式 w=−∏p∣N(−ap)w = -\prod_{p \mid N}(-a_p) から 11a1 と 37a1 の階数の偶奇を予想し、例 10.10 と比べよ。また、w=−1w = -1 の曲線について L(E,1)=0L(E, 1) = 0 を BSD 予想を使わずに示せ。

解答

11a1 は N=11N = 11, a11=1a_{11} = 1 で w=−(−1)=1w = -(-1) = 1、37a1 は N=37N = 37, a37=−1a_{37} = -1 で w=−(1)=−1w = -(1) = -1。命題 10.8 より ranr_{\mathrm{an}} はそれぞれ偶数・奇数で、BSD 予想は階数が偶数・奇数であることを予言する。実際の階数は 0 と 1 である。w=−1w = -1 なら関数等式で s=1s = 1 とおいて Λ(E,1)=−Λ(E,1)\Lambda(E, 1) = -\Lambda(E, 1)、よって Λ(E,1)=0\Lambda(E, 1) = 0。N1/2(2π)−1Γ(1)≠0N^{1/2}(2\pi)^{-1}\Gamma(1) \neq 0 だから L(E,1)=0L(E, 1) = 0。

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