Lemma

第2章群法則

目安 9〜12 時間定理など 10演習 9 問
ここまでの道

この章の目標

  • 直線と 3 次曲線が重複度込みでちょうど 3 点で交わることを証明し、弦と接線による加法を定義できる
  • 加法公式と 2 倍公式を導き、有理点や有限体上の点で計算できる
  • リーマン–ロッホの定理から E→Pic⁡0(E)E \to \operatorname{Pic}^0(E) が全単射で加法と両立することを証明し、結合法則を導ける
  • 位数 2・3 の点を特徴づけ、特異 3 次曲線の非特異点のなす群を決定できる
  • 射影座標・ヤコビ座標による計算の考え方を説明できる

前提:第1章、14 第8章(因子、Pic⁡0\operatorname{Pic}^0、リーマン–ロッホの定理)。2.1 節で 14 第1章 のヤコビアン判定法と 13 第7章 の離散付値環の特徴づけを使う。

3 次曲線と直線は 3 点で交わる。だから曲線上の 2 点 P,QP, Q を通る直線を引けば 3 点目が決まり、これを使って点どうしの「和」を定義できる。こうして得られる演算が群をなすこと、とくに結合法則が成り立つことは自明ではない。本章では、リーマン–ロッホの定理によって EE を因子類群 Pic⁡0(E)\operatorname{Pic}^0(E) と同一視することで、これを見通しよく証明する。

群法則は具体的な公式で書けるので、有理点や有限体上の点で実際に計算できる。本章の後半では y2=x3+17y^2 = x^3 + 17 の整数点、導手 37 の曲線の生成元の倍数、合同数の曲線、F5\mathbb{F}_5 上の曲線の群表を計算し、特異 3 次曲線の非特異点が加法群・乗法群になることも示す。これは第6章の還元の理論(定理 6.13・系 6.14)で重要になる。本章でも KK は体、K‾\overline{K} はその代数閉包とする。

2.1 直線と 3 次曲線の交点

この節では EE を (1.1) の定める射影曲線(特異でもよい)とし、F(X,Y,Z)F(X, Y, Z) を (1.2) の左辺から右辺を引いた斉次 3 次式とする。点 [a]∈P2[a] \in \mathbb{P}^2(a∈K‾3a \in \overline{K}^3)が非特異であることは ∇F(a)≠0\nabla F(a) \neq 0 と同値である(オイラーの等式 X∂F/∂X+Y∂F/∂Y+Z∂F/∂Z=3FX\partial F/\partial X + Y\partial F/\partial Y + Z\partial F/\partial Z = 3F により、アフィン座標での偏微分がすべて 00 なら残りの偏微分も 00 になる)。非特異点 P=[a]P = [a] の接線 TPET_PE を直線 ∑i∂F∂Xi(a)Xi=0\sum_i \frac{\partial F}{\partial X_i}(a)X_i = 0 とする。オイラーの等式より P∈TPEP \in T_PE である。

定義 2.1(交点の重複度)直線 LL と点 P∈LP \in L について、P=[a]P = [a] と LL 上の別の点 [b][b] をとり、h(r,s)=F(ra+sb)h(r, s) = F(ra + sb) とおく。補題 1.11 より L⊄EL \not\subset E なので、hh は 00 でない (r,s)(r, s) の 3 次斉次式である。hh が sms^m で割り切れる最大の mm を PP における LL と EE の交点の重複度といい、mP(L,E)m_P(L, E) と書く(P∉EP \notin E なら 00)。

bb を LL 上の別の点 αa+βb\alpha a + \beta b(β≠0\beta \neq 0)に替えると h(r,s)h(r, s) は h(r+αs,βs)h(r + \alpha s, \beta s) に、aa を定数倍すると h(γr,s)h(\gamma r, s) に変わるだけなので、mP(L,E)m_P(L, E) は選び方によらない。

命題 2.2 LL を直線とする。

  1. ∑P∈L∩EmP(L,E)=3\sum_{P \in L \cap E} m_P(L, E) = 3。
  2. LL が KK 上定義され、L∩EL \cap E の 3 点(重複度込み)のうち 2 点が KK 有理点なら、残りの 1 点も KK 有理点である。
  3. P∈L∩EP \in L \cap E が非特異点なら、mP(L,E)≥2m_P(L, E) \geq 2   ⟺  \iff L=TPEL = T_PE。PP が特異点なら、PP を通るすべての直線について mP(L,E)≥2m_P(L, E) \geq 2。

証明. (1) LL 上の 2 点 [a],[b][a], [b] を固定すると、LL の点は [ra+sb][ra + sb]([r:s]∈P1[r : s] \in \mathbb{P}^1)と一意に表される。K‾\overline{K} は代数閉なので、hh は 3 つの 1 次式の積 ∏i=13(sir−ris)\prod_{i=1}^{3}(s_ir - r_is) の定数倍に分解し、L∩EL \cap E の点は [ria+sib][r_ia + s_ib] で、その点を aa の代わりに選び直せば重複度は対応する 1 次因子の重複度に等しい。よって重複度の和は deg⁡h=3\deg h = 3。(2) a,b∈K3a, b \in K^3 にとれば h∈K[r,s]h \in K[r, s]。2 点に対応する 1 次因子は(定数倍を除いて)KK 係数なので、hh をそれらで割った残りの 1 次因子も KK 係数で、対応する点は KK 有理点である。(3) P=[a]P = [a] として展開すると

h(r,s)=r3F(a)+r2s∑ibi∂F∂Xi(a)+s2(⋯ )h(r, s) = r^3F(a) + r^2s\sum_i b_i\frac{\partial F}{\partial X_i}(a) + s^2(\cdots)

で F(a)=0F(a) = 0。よって mP≥2m_P \geq 2   ⟺  \iff ∑ibi∂F∂Xi(a)=0\sum_i b_i\frac{\partial F}{\partial X_i}(a) = 0   ⟺  \iff [b]∈TPE[b] \in T_PE   ⟺  \iff L=TPEL = T_PE。PP が特異点なら ∇F(a)=0\nabla F(a) = 0 なので、つねに s2∣hs^2 \mid h。□\square

mP(L,E)=3m_P(L, E) = 3 となる非特異点 PP(L=TPEL = T_PE)を EE の変曲点 (inflection point, flex) という。たとえば無限遠直線 Z=0Z = 0 では F(X,Y,0)=−X3F(X, Y, 0) = -X^3 なので mO=3m_O = 3 であり、OO は変曲点で TOE={Z=0}T_OE = \lbrace Z = 0 \rbrace である。

結合法則の証明では、直線との交わり方を EE 上の関数の零点の位数として読む必要がある。EE の非特異点 PP での局所環 OE,P\mathcal{O}_{E,P} は離散付値環である(極大イデアル m\mathfrak{m} について dim⁡m/m2=1\dim \mathfrak{m}/\mathfrak{m}^2 = 1 となる 1 次元局所整域:14 第1章 の命題 1.29・系 1.32 と 13 第7章 の定理 7.5)。その付値を ord⁡P\operatorname{ord}_P と書く。

補題 2.3(重複度と零点の位数)PP を EE の非特異点、L ⁣:ℓ=0L\colon \ell = 0 を直線、MM を M(P)≠0M(P) \neq 0 となる 1 次形式とすると、ord⁡P(ℓ/M)=mP(L,E)\operatorname{ord}_P(\ell/M) = m_P(L, E)。

証明. P∉LP \notin L なら ℓ/M\ell/M は PP で単元で、両辺とも 00 である。以下 P∈LP \in L とする。PP がアフィン部分にあれば M=ZM = Z、P=OP = O なら M=YM = Y としてよい(M/ZM/Z, M/YM/Y は PP で単元)。対応するアフィン座標で PP を原点に移し、ff を EE の方程式、ℓ0\ell_0 を ℓ/M\ell/M の表す 1 次多項式、R=K‾[x,y](x,y)R = \overline{K}[x, y]_{(x, y)} として、A=R/(f,ℓ0)A = R/(f, \ell_0) の K‾\overline{K} 上の次元を 2 通りに計算する。(i) R/(f)=OE,PR/(f) = \mathcal{O}_{E,P} は離散付値環で、素元を π\pi、n=ord⁡P(ℓ0)n = \operatorname{ord}_P(\ell_0) とすると A≅OE,P/(πn)A \cong \mathcal{O}_{E,P}/(\pi^n)。πiOE,P/πi+1OE,P≅K‾\pi^i\mathcal{O}_{E,P}/\pi^{i+1}\mathcal{O}_{E,P} \cong \overline{K} だから dim⁡A=n\dim A = n。(ii) 座標の 1 次変換で ℓ0=y\ell_0 = y としてよい。R/(y)≅K‾[x](x)R/(y) \cong \overline{K}[x]_{(x)} で、ff の像 f(x,0)f(x, 0) は xm⋅(単元)x^m \cdot (\text{単元})、m=mP(L,E)m = m_P(L, E) である(LL を x↦(x,0)x \mapsto (x, 0) と表したときの ff の零点の位数が定義 2.1 の mm に等しい)。よって A≅K‾[x](x)/(xm)A \cong \overline{K}[x]_{(x)}/(x^m) で dim⁡A=m\dim A = m。□\square

2.2 弦と接線による加法

以下 2.6 節まで E/KE/K は楕円曲線(Δ≠0\Delta \neq 0)とする。

定義 2.4(弦と接線による加法)P,Q∈EP, Q \in E に対し、P≠QP \neq Q なら P,QP, Q を通る直線、P=QP = Q なら接線 TPET_PE を LL とする。命題 2.2 より、LL と EE の交点は重複度込みで P,QP, Q ともう 1 点からなる。この 3 点目を P∗QP \ast Q と書き、

P+Q:=O∗(P∗Q)P + Q := O \ast (P \ast Q)

と定める。また −P:=O∗P-P := O \ast P とおく。

下の図は E ⁣:y2=x3−x+1E\colon y^2 = x^3 - x + 1(Δ=−368\Delta = -368)での例である。左:P=(−1,1)P = (-1, 1), Q=(0,1)Q = (0, 1) を通る直線 y=1y = 1 は x3−x=0x^3 - x = 0 の 3 点 x=−1,0,1x = -1, 0, 1 で EE と交わるので P∗Q=(1,1)P \ast Q = (1, 1)。OO と (1,1)(1, 1) を通る直線は縦の直線 x=1x = 1 で、3 点目は (1,−1)(1, -1) だから P+Q=(1,−1)P + Q = (1, -1)。右:P=(1,1)P = (1, 1) での接線の傾きは (3x2−1)/(2y)=1(3x^2 - 1)/(2y) = 1 で、接線 y=xy = x を代入すると x3−x2−x+1=(x−1)2(x+1)x^3 - x^2 - x + 1 = (x - 1)^2(x + 1) なので P∗P=(−1,−1)P \ast P = (-1, -1)、2P=(−1,1)2P = (-1, 1) である(図では P∗QP \ast Q, P∗PP \ast P を RR と記した)。つまり「P∗QP \ast Q を xx 軸について折り返したもの」が P+QP + Q である。

楕円曲線 y² = x³ − x + 1 の足し算。左:P = (−1, 1) と Q = (0, 1) を結ぶ直線 y = 1 が曲線と再び交わる点 R = (1, 1) を x 軸で折り返して P + Q = (1, −1)。右:P = (1, 1) での接線 y = x が再び交わる点 R = (−1, −1) を折り返して 2P = (−1, 1)

命題 2.5 P=(x0,y0)P = (x_0, y_0) について −P=(x0,−y0−a1x0−a3)-P = (x_0, -y_0 - a_1x_0 - a_3)、−O=O-O = O である。さらに、P,Q∈EP, Q \in E について

  1. P+O=PP + O = P, P+(−P)=OP + (-P) = O, P+Q=Q+PP + Q = Q + P。
  2. P,Q∈E(K)P, Q \in E(K) ならば P∗QP \ast Q, −P-P, P+Q∈E(K)P + Q \in E(K)。

証明. PP と OO を通る直線は縦の直線 x=x0x = x_0 で、その上で W(x0,y)=y2+(a1x0+a3)y−(⋯ )W(x_0, y) = y^2 + (a_1x_0 + a_3)y - (\cdots) の 2 根の和は −(a1x0+a3)-(a_1x_0 + a_3) だから、3 点目は (x0,−y0−a1x0−a3)(x_0, -y_0 - a_1x_0 - a_3)。OO は変曲点で TOET_OE と EE の交点は OO だけなので O∗O=OO \ast O = O、−O=O-O = O。(1) 縦の直線上の 3 点 P,−P,OP, -P, O を考えると P∗O=−PP \ast O = -P, O∗(−P)=PO \ast (-P) = P なので P+O=O∗(−P)=PP + O = O \ast (-P) = P。P∗(−P)=OP \ast (-P) = O(P=−PP = -P のときは縦の直線が PP での接線になる)より P+(−P)=O∗O=OP + (-P) = O \ast O = O。P∗Q=Q∗PP \ast Q = Q \ast P は定義から明らか。(2) KK 有理点を通る直線と KK 有理点での接線は KK 上定義されるので、命題 2.2(2) から従う。□\square

P+Q=O∗(P∗Q)=−(P∗Q)P + Q = O \ast (P \ast Q) = -(P \ast Q) であり、「一直線上の 3 点 P,Q,RP, Q, R(重複度込み)について P+Q+R=OP + Q + R = O」が成り立つことになる。単位元・逆元・可換性はこうして易しく示せるが、結合法則 (P+Q)+R=P+(Q+R)(P + Q) + R = P + (Q + R) は 2.4 節で示す。

2.3 加法公式

定理 2.6(加法公式)P1=(x1,y1)P_1 = (x_1, y_1), P2=(x2,y2)∈EP_2 = (x_2, y_2) \in E とする。

  1. x1=x2x_1 = x_2 かつ y1+y2+a1x2+a3=0y_1 + y_2 + a_1x_2 + a_3 = 0 ならば P1+P2=OP_1 + P_2 = O。
  2. そうでないとき
λ={y2−y1x2−x1(x1≠x2)3x12+2a2x1+a4−a1y12y1+a1x1+a3(x1=x2),ν=y1−λx1\lambda = \begin{cases} \dfrac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1} & (x_1 \neq x_2) \\[2ex] \dfrac{3x_1^2 + 2a_2x_1 + a_4 - a_1y_1}{2y_1 + a_1x_1 + a_3} & (x_1 = x_2) \end{cases}, \qquad \nu = y_1 - \lambda x_1

とおくと、P1+P2=(x3,y3)P_1 + P_2 = (x_3, y_3)、

x3=λ2+a1λ−a2−x1−x2,y3=−(λ+a1)x3−ν−a3x_3 = \lambda^2 + a_1\lambda - a_2 - x_1 - x_2, \qquad y_3 = -(\lambda + a_1)x_3 - \nu - a_3
  1. 短い形 y2=x3+Ax+By^2 = x^3 + Ax + B では λ=(y2−y1)/(x2−x1)\lambda = (y_2 - y_1)/(x_2 - x_1) または (3x12+A)/(2y1)(3x_1^2 + A)/(2y_1)、x3=λ2−x1−x2x_3 = \lambda^2 - x_1 - x_2, y3=λ(x1−x3)−y1y_3 = \lambda(x_1 - x_3) - y_1。
  2. (2 倍公式)2P≠O2P \neq O のとき、x=x(P)x = x(P) として
x(2P)=x4−b4x2−2b6x−b84x3+b2x2+2b4x+b6,短い形では x4−2Ax2−8Bx+A24(x3+Ax+B)x(2P) = \frac{x^4 - b_4x^2 - 2b_6x - b_8}{4x^3 + b_2x^2 + 2b_4x + b_6}, \qquad \text{短い形では } \frac{x^4 - 2Ax^2 - 8Bx + A^2}{4(x^3 + Ax + B)}

証明. (1) 命題 2.5 より P2=−P1P_2 = -P_1。(2) x1≠x2x_1 \neq x_2 なら y=λx+νy = \lambda x + \nu は P1,P2P_1, P_2 を通る直線である。x1=x2x_1 = x_2 で (1) でないときは P2=P1P_2 = P_1(xx 座標が x1x_1 の点は ±P1\pm P_1 だけ)かつ 2y1+a1x1+a3≠02y_1 + a_1x_1 + a_3 \neq 0 で、(1.1) を微分すれば λ\lambda は接線の傾きである。どちらの場合も L ⁣:y=λx+νL\colon y = \lambda x + \nu は縦でないので OO を通らず、LL 上の交点の xx 座標は(重複度込みで)

W(x,λx+ν)=−(x3+(a2−λ2−a1λ)x2+⋯ )W(x, \lambda x + \nu) = -\bigl(x^3 + (a_2 - \lambda^2 - a_1\lambda)x^2 + \cdots\bigr)

の 3 根 x1,x2,x3x_1, x_2, x_3 である。根と係数の関係より x1+x2+x3=λ2+a1λ−a2x_1 + x_2 + x_3 = \lambda^2 + a_1\lambda - a_2。P1∗P2=(x3,λx3+ν)P_1 \ast P_2 = (x_3, \lambda x_3 + \nu) で、命題 2.5 より P1+P2=(x3,−(λx3+ν)−a1x3−a3)P_1 + P_2 = (x_3, -(\lambda x_3 + \nu) - a_1x_3 - a_3)。(3) は a1=a2=a3=0a_1 = a_2 = a_3 = 0 の場合である。

(4) η=2y+a1x+a3\eta = 2y + a_1x + a_3, N=3x2+2a2x+a4−a1yN = 3x^2 + 2a_2x + a_4 - a_1y, g(x)=4x3+b2x2+2b4x+b6g(x) = 4x^3 + b_2x^2 + 2b_4x + b_6 とおく。2P≠O2P \neq O より η(P)≠0\eta(P) \neq 0 で、接線の傾きは λ=N/η\lambda = N/\eta だから x(2P)=(N2+a1Nη−(a2+2x)η2)/η2x(2P) = \bigl(N^2 + a_1N\eta - (a_2 + 2x)\eta^2\bigr)/\eta^2 である。展開すると 4N+2a1η=12x2+2b2x+2b4=g′(x)4N + 2a_1\eta = 12x^2 + 2b_2x + 2b_4 = g'(x) なので、(1.4) の η2=g(x)+4W(x,y)\eta^2 = g(x) + 4W(x, y) を使って

16(N2+a1Nη−(a2+2x)η2)=(4N+2a1η)2−4(b2+8x)η2=g′(x)2−4(b2+8x)g(x)−16(b2+8x)W(x,y)16\bigl(N^2 + a_1N\eta - (a_2 + 2x)\eta^2\bigr) = (4N + 2a_1\eta)^2 - 4(b_2 + 8x)\eta^2 = g'(x)^2 - 4(b_2 + 8x)g(x) - 16(b_2 + 8x)W(x, y)

となる。g′(x)2−4(b2+8x)g(x)g'(x)^2 - 4(b_2 + 8x)g(x) を展開して b2b6−b42=4b8b_2b_6 - b_4^2 = 4b_8(命題 1.4)を使うと 16(x4−b4x2−2b6x−b8)16(x^4 - b_4x^2 - 2b_6x - b_8) になる。Z[a1,…,a6,x,y]\mathbb{Z}[a_1, \dots, a_6, x, y] は整域なので 1616 を約してよく、整数係数の恒等式

N2+a1Nη−(a2+2x)η2=x4−b4x2−2b6x−b8−(b2+8x)W(x,y)N^2 + a_1N\eta - (a_2 + 2x)\eta^2 = x^4 - b_4x^2 - 2b_6x - b_8 - (b_2 + 8x)W(x, y)

を得る。これはどの標数でも成り立ち、EE 上では W=0W = 0, η2=g(x)\eta^2 = g(x) なので主張の式になる。短い形では b2=0b_2 = 0, b4=2Ab_4 = 2A, b6=4Bb_6 = 4B, b8=−A2b_8 = -A^2 を代入すればよい。□\square

例 2.7 図の例を公式で確かめる。E ⁣:y2=x3−x+1E\colon y^2 = x^3 - x + 1 で P=(−1,1)P = (-1, 1), Q=(0,1)Q = (0, 1) なら λ=0\lambda = 0 で x3=0+1−0=1x_3 = 0 + 1 - 0 = 1, y3=0−1=−1y_3 = 0 - 1 = -1、すなわち P+Q=(1,−1)P + Q = (1, -1)。P=(1,1)P = (1, 1) なら λ=(3−1)/2=1\lambda = (3 - 1)/2 = 1, x(2P)=1−2=−1x(2P) = 1 - 2 = -1, y(2P)=1⋅(1−(−1))−1=1y(2P) = 1 \cdot (1 - (-1)) - 1 = 1 で 2P=(−1,1)2P = (-1, 1)。2 倍公式でも x(2P)=(1+2−8+1)/(4⋅1)=−1x(2P) = (1 + 2 - 8 + 1)/(4 \cdot 1) = -1。実は E(Q)E(\mathbb{Q}) は G=(1,1)G = (1, 1) で生成される無限巡回群で(Cremona の表の 92b1)、図の点は (−1,1)=2G(-1, 1) = 2G, (0,1)=−3G(0, 1) = -3G, (1,−1)=−G(1, -1) = -G, (−1,−1)=−2G(-1, -1) = -2G である(PARI/GP の ellidentify, ellmul で確かめられる)。

y2=x3+17y^2 = x^3 + 17 の P1=(−2,3)P_1 = (-2, 3), P2=(−1,4)P_2 = (-1, 4) では λ=1\lambda = 1, x3=1+2+1=4x_3 = 1 + 2 + 1 = 4, y3=1⋅(−2−4)−3=−9y_3 = 1 \cdot (-2 - 4) - 3 = -9 で、P1+P2=(4,−9)P_1 + P_2 = (4, -9) である(19 第2章 の例 2.17 と同じ計算)。

2.4 結合法則

EE は種数 1 の非特異射影曲線である(定理 1.23(3))。14 第8章 の記号で、Div⁡0(E)\operatorname{Div}^0(E) を次数 0 の因子の群、Pic⁡0(E)\operatorname{Pic}^0(E) をそれを主因子 div⁡(f)\operatorname{div}(f) で割った群とし(14 第8章の定理 8.5)、線形同値を ∼\sim で表す。

命題 2.8(直線の因子)直線 L ⁣:ℓ=0L\colon \ell = 0 が無限遠直線でなければ、EE 上の関数 ℓ/Z\ell/Z について

div⁡(ℓ/Z)=∑P∈L∩EmP(L,E) (P)−3(O)\operatorname{div}(\ell/Z) = \sum_{P \in L \cap E} m_P(L, E)\ (P) - 3(O)

が成り立つ。特に L∩E={P,Q,R}L \cap E = \lbrace P, Q, R \rbrace(重複度込み)なら div⁡(ℓ/Z)=(P)+(Q)+(R)−3(O)\operatorname{div}(\ell/Z) = (P) + (Q) + (R) - 3(O)。

証明. P≠OP \neq O では Z(P)≠0Z(P) \neq 0 なので、補題 2.3 より ord⁡P(ℓ/Z)=mP(L,E)\operatorname{ord}_P(\ell/Z) = m_P(L, E)(P∉LP \notin L なら両辺 00)。OO では補題 2.3 を M=YM = Y で LL と無限遠直線 L∞ ⁣:Z=0L_\infty\colon Z = 0 に使うと、ord⁡O(ℓ/Z)=ord⁡O(ℓ/Y)−ord⁡O(Z/Y)=mO(L,E)−mO(L∞,E)=mO(L,E)−3\operatorname{ord}_O(\ell/Z) = \operatorname{ord}_O(\ell/Y) - \operatorname{ord}_O(Z/Y) = m_O(L, E) - m_O(L_\infty, E) = m_O(L, E) - 3。□\square

命題 2.9(リーマン–ロッホの定理の帰結)

  1. 任意の D∈Div⁡0(E)D \in \operatorname{Div}^0(E) に対し、D∼(R)−(O)D \sim (R) - (O) となる R∈ER \in E がただ一つ存在する。
  2. 写像 κ ⁣:E→Pic⁡0(E)\kappa\colon E \to \operatorname{Pic}^0(E), P↦[(P)−(O)]P \mapsto [(P) - (O)] は全単射である。

証明. (1) 存在. D+(O)D + (O) は次数 1 で 1>2g−2=01 > 2g - 2 = 0 なので、リーマン–ロッホの定理(14 第8章の系 8.11(2))より ℓ(D+(O))=1+1−1=1\ell(D + (O)) = 1 + 1 - 1 = 1。0≠f∈L(D+(O))0 \neq f \in L(D + (O)) をとると div⁡(f)+D+(O)\operatorname{div}(f) + D + (O) は次数 1 の有効因子、すなわちある点 RR について (R)(R) に等しい。よって D∼(R)−(O)D \sim (R) - (O)。一意性. (R)−(O)∼(R′)−(O)(R) - (O) \sim (R') - (O) なら (R)−(R′)=div⁡(f)(R) - (R') = \operatorname{div}(f) となる ff があり、f∈L((R′))f \in L((R'))。14 第8章の系 8.11(2) より ℓ((R′))=1\ell((R')) = 1 で、L((R′))L((R')) は定数だけからなるので ff は定数、(R)=(R′)(R) = (R')。(2) 単射は (1) の一意性、全射は (1) の存在である。□\square

(これは 14 第8章の定理 8.13(1) と同じ内容である。)

定理 2.10(群法則)P,Q∈EP, Q \in E について κ(P+Q)=κ(P)+κ(Q)\kappa(P + Q) = \kappa(P) + \kappa(Q)。したがって (E(K‾),+)(E(\overline{K}), +) は OO を単位元とするアーベル群で、κ\kappa は群の同型 E(K‾)≅Pic⁡0(E)E(\overline{K}) \cong \operatorname{Pic}^0(E) である。E(K)E(K) はその部分群である。

証明. LL を定義 2.4 の直線、R=P∗QR = P \ast Q とする。R≠OR \neq O なら、RR と OO を通る直線 L′ ⁣:ℓ′=0L'\colon \ell' = 0(縦の直線)の 3 点目は O∗R=P+QO \ast R = P + Q である。命題 2.8 より

div⁡(ℓ/Z)=(P)+(Q)+(R)−3(O),div⁡(ℓ′/Z)=(R)+(O)+(P+Q)−3(O)\operatorname{div}(\ell/Z) = (P) + (Q) + (R) - 3(O), \qquad \operatorname{div}(\ell'/Z) = (R) + (O) + (P + Q) - 3(O)

なので div⁡(ℓ/ℓ′)=(P)+(Q)−(P+Q)−(O)\operatorname{div}(\ell/\ell') = (P) + (Q) - (P + Q) - (O)、すなわち (P+Q)−(O)∼((P)−(O))+((Q)−(O))(P + Q) - (O) \sim \bigl((P) - (O)\bigr) + \bigl((Q) - (O)\bigr)。R=OR = O なら P+Q=O∗O=OP + Q = O \ast O = O で、div⁡(ℓ/Z)=(P)+(Q)−2(O)\operatorname{div}(\ell/Z) = (P) + (Q) - 2(O) が同じ関係を与える(P=Q=OP = Q = O のときは関係は自明)。よって κ(P+Q)=κ(P)+κ(Q)\kappa(P + Q) = \kappa(P) + \kappa(Q)。κ\kappa は全単射なので、EE の演算 ++ は群 Pic⁡0(E)\operatorname{Pic}^0(E) の演算を写したものであり、結合法則を含む群の公理がすべて成り立つ。E(K)E(K) は命題 2.5(2) より ++ と −- で閉じ、OO を含むので部分群である。□\square

系 2.11 因子 D=∑nP(P)D = \sum n_P(P) が主因子   ⟺  \iff deg⁡D=0\deg D = 0 かつ EE の群で ∑[nP]P=O\sum [n_P]P = O。

証明. 主因子の次数は 00(14 第8章の定理 8.5)。deg⁡D=0\deg D = 0 なら D=∑nP((P)−(O))D = \sum n_P\bigl((P) - (O)\bigr) で、定理 2.10 より D∼(S)−(O)D \sim (S) - (O), S=∑[nP]PS = \sum [n_P]P。命題 2.9 の一意性より (S)−(O)∼0=(O)−(O)(S) - (O) \sim 0 = (O) - (O)   ⟺  \iff S=OS = O。□\square

たとえば E ⁣:y2=x3−xE\colon y^2 = x^3 - x では div⁡(y)=(P0)+(P1)+(P−1)−3(O)\operatorname{div}(y) = (P_0) + (P_1) + (P_{-1}) - 3(O)(Pc=(c,0)P_c = (c, 0))であり(14 第8章の例 8.6(2))、系 2.11 から P0+P1+P−1=OP_0 + P_1 + P_{-1} = O がわかる。

注意 2.12(結合法則のほかの証明) (1) 直接計算. 定理 2.6 の公式で (P+Q)+R(P + Q) + R と P+(Q+R)P + (Q + R) を計算して比べる方法。3 点が一般の位置にあるとき、比べるべき式は座標の有理式の恒等式になり、計算機代数で確かめられる(たとえば y2=x3+a2x2+a4x+a6y^2 = x^3 + a_2x^2 + a_4x + a_6 で 3 点の座標を不定元とし、a2,a4,a6a_2, a_4, a_6 を 3 点が曲線上にある条件から解けば、sympy でも数秒で確かめられる)。しかし P=QP = Q や P+Q=RP + Q = R などの特別な場合を別に扱う必要があり、すべてを手で確かめるのは大変である。(2) 9 点定理(ケイリー–バカラック、概略)。「共通成分のない 2 つの 3 次曲線 C1,C2C_1, C_2 がちょうど 9 点で交わるとき、そのうち 8 点を通る 3 次曲線は 9 点目も通る」という定理を使う。P,Q,−(P+Q)P, Q, -(P + Q) を通る直線 L1L_1、P+Q,R,−((P+Q)+R)P + Q, R, -((P + Q) + R) を通る L2L_2、−(Q+R),O,Q+R-(Q + R), O, Q + R を通る L3L_3 と、−(P+Q),O,P+Q-(P + Q), O, P + Q を通る M1M_1、Q,R,−(Q+R)Q, R, -(Q + R) を通る M2M_2、P,Q+R,−(P+(Q+R))P, Q + R, -(P + (Q + R)) を通る M3M_3 をとる。C1=L1L2L3C_1 = L_1L_2L_3 と C2=M1M2M3C_2 = M_1M_2M_3 は 8 点 P,Q,R,O,±(P+Q),±(Q+R)P, Q, R, O, \pm(P + Q), \pm(Q + R) と L2∩M3L_2 \cap M_3 で交わり、EE は前の 8 点を通るので L2∩M3L_2 \cap M_3 も通る。これは L2L_2 と EE の 3 点目 −((P+Q)+R)-((P + Q) + R) であり、M3M_3 と EE の 3 点目 −(P+(Q+R))-(P + (Q + R)) でもある。9 点が相異なる一般の場合にはこれで証明が終わり、残りの場合は重複度を込めた 9 点定理か極限の議論が必要になる(詳細は省略する)。

2.5 位数 2 の点と位数 3 の点

m≥1m \geq 1 について [m]P=P+⋯+P[m]P = P + \cdots + P(mm 個)と書き、[m]P=O[m]P = O となる P∈E(K‾)P \in E(\overline{K}) の全体を E[m]E[m] とする(mPmP とも書く)。

命題 2.13 P∈EP \in E, P≠OP \neq O とする。

  1. 2P=O2P = O   ⟺  \iff P=−PP = -P   ⟺  \iff 2y(P)+a1x(P)+a3=02y(P) + a_1x(P) + a_3 = 0(PP での接線が縦)。char⁡K≠2\operatorname{char} K \neq 2 なら、E[2]E[2] は OO と 3 点 (e,−(a1e+a3)/2)(e, -(a_1e + a_3)/2)(ee は 4x3+b2x2+2b4x+b64x^3 + b_2x^2 + 2b_4x + b_6 の根)からなり、E[2]≅(Z/2Z)2E[2] \cong (\mathbb{Z}/2\mathbb{Z})^2。
  2. 3P=O3P = O   ⟺  \iff PP は変曲点である。
  3. char⁡K≠2,3\operatorname{char} K \neq 2, 3, E ⁣:y2=f(x)=x3+Ax+BE\colon y^2 = f(x) = x^3 + Ax + B とすると、3P=O3P = O   ⟺  \iff ψ3(x(P))=0\psi_3(x(P)) = 0、ただし ψ3(x)=3x4+6Ax2+12Bx−A2\psi_3(x) = 3x^4 + 6Ax^2 + 12Bx - A^2。さらに E[3]≅(Z/3Z)2E[3] \cong (\mathbb{Z}/3\mathbb{Z})^2。

証明. (1) 前半は命題 2.5 の −P-P の式による。char⁡K≠2\operatorname{char} K \neq 2 なら 2y+a1x+a3=02y + a_1x + a_3 = 0 と (1.4) より、E[2]∖{O}E[2] \setminus \lbrace O \rbrace の点の xx 座標は g(x)=4x3+b2x2+2b4x+b6g(x) = 4x^3 + b_2x^2 + 2b_4x + b_6 の根である。Δ≠0\Delta \neq 0 より gg は相異なる 3 根をもつ(命題 1.8(1) の形 y2=g(x)/4y^2 = g(x)/4 に (1.5) を使う)ので ∣E[2]∣=4\lvert E[2] \rvert = 4。どの元も位数 1 か 2 の位数 4 の群は (Z/2Z)2(\mathbb{Z}/2\mathbb{Z})^2 である。

(2) P+P=−(P∗P)P + P = -(P \ast P) だから、3P=O3P = O   ⟺  \iff 2P=−P2P = -P   ⟺  \iff P∗P=PP \ast P = P   ⟺  \iff TPET_PE と EE の 3 点目が PP   ⟺  \iff mP(TPE,E)=3m_P(T_PE, E) = 3。

(3) y(P)≠0y(P) \neq 0 なら 2P≠O2P \neq O で、2 倍公式を整理すると

x(2P)−x(P)=−ψ3(x)4f(x)x(2P) - x(P) = -\frac{\psi_3(x)}{4f(x)}

となる。x(2P)=x(P)x(2P) = x(P) なら 2P=±P2P = \pm P で、2P=P2P = P は P=OP = O を意味するから 2P=−P2P = -P である。よって 2P=−P2P = -P   ⟺  \iff x(2P)=x(P)x(2P) = x(P)   ⟺  \iff ψ3(x(P))=0\psi_3(x(P)) = 0。y(P)=0y(P) = 0 なら PP は位数 2 で、ψ3=2ff′′−f′2\psi_3 = 2ff'' - f'^2(展開して確かめられる)より ψ3(x(P))=−f′(x(P))2≠0\psi_3(x(P)) = -f'(x(P))^2 \neq 0(ff は重根をもたない)。よって位数 3 の点はちょうど ψ3\psi_3 の根を xx 座標とする点であり、ψ3\psi_3 の根 xx では f(x)≠0f(x) \neq 0 である。さらに ψ3′=12x3+12Ax+12B=12f\psi_3' = 12x^3 + 12Ax + 12B = 12f だから、ψ3\psi_3 が重根 x0x_0 をもてば f(x0)=0f(x_0) = 0(標数 ≠2,3\neq 2, 3)となって、いま見たことに反する。したがって 4 次式 ψ3\psi_3 は相異なる 4 根をもち(実際、判別式は −6912(4A3+27B2)2-6912(4A^3 + 27B^2)^2 である)、各根 xx に対して y2=f(x)≠0y^2 = f(x) \neq 0 をみたす yy が 2 つある。よって位数 3 の点は 8 個、∣E[3]∣=9\lvert E[3] \rvert = 9 で、指数 3 の位数 9 のアーベル群だから (Z/3Z)2(\mathbb{Z}/3\mathbb{Z})^2 である。□\square

一般に、char⁡K\operatorname{char} K が mm を割らなければ E[m]≅(Z/mZ)2E[m] \cong (\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^2 であることを第3章(定理 3.23)で示す。

例 2.14 (1) E ⁣:y2=x3+2E\colon y^2 = x^3 + 2 を F7\mathbb{F}_7 上で考える。F7\mathbb{F}_7 の平方は 1,2,41, 2, 4 なので、x3+2x^3 + 2 が平方になる xx を調べると E(F7)={O,(0,±3),(3,±1),(5,±1),(6,±1)}E(\mathbb{F}_7) = \lbrace O, (0, \pm 3), (3, \pm 1), (5, \pm 1), (6, \pm 1) \rbrace(±1,±3\pm 1, \pm 3 は F7\mathbb{F}_7 の元 1,6,3,41, 6, 3, 4)の 9 点である。ψ3=3x4+24x≡3x(x3+1)(mod7)\psi_3 = 3x^4 + 24x \equiv 3x(x^3 + 1) \pmod 7 の根は 0,3,5,60, 3, 5, 6 で、これは OO 以外のすべての点の xx 座標である。よって E(F7)=E[3]≅(Z/3Z)2E(\mathbb{F}_7) = E[3] \cong (\mathbb{Z}/3\mathbb{Z})^2 で、OO 以外の 8 点はすべて変曲点である。 (2) E ⁣:y2=x3+1E\colon y^2 = x^3 + 1 を Q\mathbb{Q} 上で考える。(−1,0)(-1, 0) は位数 2、ψ3=3x(x3+4)\psi_3 = 3x(x^3 + 4) の有理根 x=0x = 0 から (0,±1)(0, \pm 1) は位数 3 の点である。(2,3)(2, 3) では λ=12/6=2\lambda = 12/6 = 2, x(2P)=4−4=0x(2P) = 4 - 4 = 0, y(2P)=2⋅2−3=1y(2P) = 2 \cdot 2 - 3 = 1 で 2P=(0,1)2P = (0, 1) なので、(2,3)(2, 3) は位数 6 である(問題 2.2)。

2.6 計算例

例 2.15(y2=x3+17y^2 = x^3 + 17 の整数点)E ⁣:y2=x3+17E\colon y^2 = x^3 + 17 について、E(Q)E(\mathbb{Q}) は P1=(−2,3)P_1 = (-2, 3), P2=(−1,4)P_2 = (-1, 4) を基底とする階数 2 の自由アーベル群である(ねじれ点がないことと階数が 2 であることは第7・8章の方法で示され、PARI/GP の elltors, ellrank で確かめられる。ただし ellrank が返すのは一次独立な点で、群全体の生成元とは限らない。P1,P2P_1, P_2 が指数有限の部分群ではなく群全体を生成することは、Cremona の表(この曲線は 10404c1。PARI/GP の ellidentify で参照できる)の生成元 (−2,3)(-2, 3), (4,9)=−P1−P2(4, 9) = -P_1 - P_2 と比べればわかる)。1.1 節の 16 個の整数点は、yy の符号を替えた点が −P-P であることに注意すると、次のように表される(elladd, ellmul で確かめた)。

整数点 mP1+nP2mP_1 + nP_2
(−2,3)(-2, 3), (−1,4)(-1, 4) P1P_1, P2P_2
(2,5)(2, 5) 2P1+P22P_1 + P_2
(4,9)(4, 9) −P1−P2-P_1 - P_2
(8,23)(8, 23) −2P1-2P_1
(43,282)(43, 282) 3P1+2P23P_1 + 2P_2
(52,375)(52, 375) P1−P2P_1 - P_2
(5234,378661)(5234, 378661) 2P1+3P22P_1 + 3P_2

一方 2P2=(137/64,−2651/512)2P_2 = (137/64, -2651/512) は整数点でない。整数点の和は整数点とは限らず、整数点は群の中でまばらにしか現れない。

例 2.16(導手 37 の曲線の倍数)E ⁣:y2+y=x3−xE\colon y^2 + y = x^3 - x(37a1)では E(Q)=ZPE(\mathbb{Q}) = \mathbb{Z}P, P=(0,0)P = (0, 0) である(PARI/GP で確かめられる)。nPnP を加法公式で計算すると次のようになる。

nn nPnP nn nPnP
1 (0,0)(0, 0) 7 (−5/9,8/27)(-5/9, 8/27)
2 (1,0)(1, 0) 8 (21/25,−69/125)(21/25, -69/125)
3 (−1,−1)(-1, -1) 9 (−20/49,−435/343)(-20/49, -435/343)
4 (2,−3)(2, -3) 10 (161/16,−2065/64)(161/16, -2065/64)
5 (1/4,−5/8)(1/4, -5/8) 11 (116/529,−3612/12167)(116/529, -3612/12167)
6 (6,14)(6, 14) 12 (1357/841,28888/24389)(1357/841, 28888/24389)

x(nP)x(nP) の分母は平方数、y(nP)y(nP) の分母はその 3/23/2 乗になっている(問題 2.5)。分母の桁数は n=20n = 20 で 9 桁、n=30n = 30 で 20 桁、n=100n = 100 で 221 桁と、ほぼ n2n^2 に比例して増える(分母の自然対数を n2n^2 で割るとおよそ 0.050.05)。これは第8章の標準的高さ h^\hat{h} が 2 次形式であること(定理 8.36)の表れである。

例 2.17(合同数 6)E6 ⁣:y2=x3−36xE_6\colon y^2 = x^3 - 36x の点 P=(12,36)P = (12, 36) は三角形 (3,4,5)(3, 4, 5) に対応する(例 1.1)。λ=(3⋅144−36)/72=11/2\lambda = (3 \cdot 144 - 36)/72 = 11/2 より

2P=(1214−24, 112(12−254)−36)=(254,−358)2P = \left(\frac{121}{4} - 24,\ \frac{11}{2}\left(12 - \frac{25}{4}\right) - 36\right) = \left(\frac{25}{4}, -\frac{35}{8}\right)

で、例 1.1 の式から (a,b,c)=(−7/10,−120/7,−1201/70)(a, b, c) = (-7/10, -120/7, -1201/70) を得る。実際 (7/10)2+(120/7)2=1442401/4900=(1201/70)2(7/10)^2 + (120/7)^2 = 1442401/4900 = (1201/70)^2、面積は 12⋅710⋅1207=6\frac{1}{2} \cdot \frac{7}{10} \cdot \frac{120}{7} = 6 である。E6(Q)E_6(\mathbb{Q}) の階数は 1 で PP は無限位数なので、nPnP から面積 6 の有理直角三角形が無限に得られる。

例 2.18(F5\mathbb{F}_5 上の群表)E ⁣:y2=x3−xE\colon y^2 = x^3 - x を F5\mathbb{F}_5 上で考える。x=0,1,2,3,4x = 0, 1, 2, 3, 4 で x3−x=0,0,1,4,0x^3 - x = 0, 0, 1, 4, 0 だから

E(F5)={O,(0,0),(1,0),(4,0),(2,1),(2,4),(3,2),(3,3)}E(\mathbb{F}_5) = \lbrace O, (0, 0), (1, 0), (4, 0), (2, 1), (2, 4), (3, 2), (3, 3) \rbrace

の 8 点である。P=(2,1)P = (2, 1) では λ=(3⋅4−1)/2=11/2=3\lambda = (3 \cdot 4 - 1)/2 = 11/2 = 3(F5\mathbb{F}_5 で 11=111 = 1, 1/2=31/2 = 3)、x(2P)=9−4=5=0x(2P) = 9 - 4 = 5 = 0, y(2P)=3⋅(2−0)−1=5=0y(2P) = 3 \cdot (2 - 0) - 1 = 5 = 0 で 2P=(0,0)2P = (0, 0)、よって PP は位数 4。T=(1,0)T = (1, 0) は位数 2 で ⟨P⟩={O,P,(0,0),(2,4)}\langle P \rangle = \lbrace O, P, (0, 0), (2, 4) \rbrace に入らないので、E(F5)≅Z/4Z×Z/2ZE(\mathbb{F}_5) \cong \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} である。aP+bTaP + bT の順に並べた加法表は次のとおり(成分は F5\mathbb{F}_5 の元)。

++ O (2,1) (0,0) (2,4) (1,0) (3,3) (4,0) (3,2)
O O (2,1) (0,0) (2,4) (1,0) (3,3) (4,0) (3,2)
(2,1) (2,1) (0,0) (2,4) O (3,3) (4,0) (3,2) (1,0)
(0,0) (0,0) (2,4) O (2,1) (4,0) (3,2) (1,0) (3,3)
(2,4) (2,4) O (2,1) (0,0) (3,2) (1,0) (3,3) (4,0)
(1,0) (1,0) (3,3) (4,0) (3,2) O (2,1) (0,0) (2,4)
(3,3) (3,3) (4,0) (3,2) (1,0) (2,1) (0,0) (2,4) O
(4,0) (4,0) (3,2) (1,0) (3,3) (0,0) (2,4) O (2,1)
(3,2) (3,2) (1,0) (3,3) (4,0) (2,4) O (2,1) (0,0)

(PARI/GP の ellgroup(ellinit([0,0,0,-1,0], 5)) は [4, 2] を返す。)

2.7 特異 3 次曲線の非特異点の群

Δ=0\Delta = 0 のワイエルシュトラス曲線 EE の特異点を SS とし、Ens=E∖{S}E_{\mathrm{ns}} = E \setminus \lbrace S \rbrace とおく。P,Q∈EnsP, Q \in E_{\mathrm{ns}} を通る直線(P=QP = Q なら接線)は SS を通らない。通るとすると mS≥2m_S \geq 2(命題 2.2(3))と P,QP, Q での重複度の和 ≥2\geq 2 で合計が 4 以上になり、命題 2.2(1) に反するからである。よって定義 2.4 の P∗QP \ast Q, P+QP + Q が EnsE_{\mathrm{ns}} 上で定義され、Ens(K)E_{\mathrm{ns}}(K) は ++ で閉じる(命題 2.5 と定理 2.6 の公式もそのまま成り立つ)。以下 SS は KK 有理点とし、KK 上の平行移動で S=(0,0)S = (0, 0) とする。定理 1.12 の証明より、方程式は

y2+a1xy−a2x2=x3,y2+a1xy−a2x2=(y−αx)(y−βx)(α,β∈K‾)y^2 + a_1xy - a_2x^2 = x^3, \qquad y^2 + a_1xy - a_2x^2 = (y - \alpha x)(y - \beta x) \quad (\alpha, \beta \in \overline{K})

の形になり、α=β\alpha = \beta なら尖点、α≠β\alpha \neq \beta なら結節点である。α,β\alpha, \beta は T2+a1T−a2T^2 + a_1T - a_2 の根で、結節点の接線 y=αxy = \alpha x, y=βxy = \beta x が KK 上定義される(α,β∈K\alpha, \beta \in K)とき分裂 (split)、そうでないとき非分裂という。

定理 2.19(特異 3 次曲線)記号を上のとおりとする。

  1. (尖点)α=β∈K\alpha = \beta \in K なら、ψ ⁣:Ens(K)→K\psi\colon E_{\mathrm{ns}}(K) \to K, (x,y)↦x/(y−αx)(x, y) \mapsto x/(y - \alpha x), O↦0O \mapsto 0 は全単射で ψ(P+Q)=ψ(P)+ψ(Q)\psi(P + Q) = \psi(P) + \psi(Q)。
  2. (分裂結節点)α≠β\alpha \neq \beta, α,β∈K\alpha, \beta \in K なら、φ ⁣:Ens(K)→K×\varphi\colon E_{\mathrm{ns}}(K) \to K^\times, (x,y)↦(y−αx)/(y−βx)(x, y) \mapsto (y - \alpha x)/(y - \beta x), O↦1O \mapsto 1 は全単射で φ(P+Q)=φ(P)φ(Q)\varphi(P + Q) = \varphi(P)\varphi(Q)。
  3. (非分裂結節点、主張)α≠β\alpha \neq \beta, α∉K\alpha \notin K なら、L=K(α)L = K(\alpha) は KK の 2 次拡大で、2 と同じ式の φ\varphi が同型 Ens(K)≅{z∈L×∣NL/K(z)=1}E_{\mathrm{ns}}(K) \cong \lbrace z \in L^\times \mid N_{L/K}(z) = 1 \rbrace を与える。

特に Ens(K)E_{\mathrm{ns}}(K) は(結合法則も含めて)群であり、それぞれ加法群 KK、乗法群 K×K^\times、ノルム 1 の元の群に同型である。

たとえば y2=x3y^2 = x^3 では α=β=0\alpha = \beta = 0 で ψ=x/y\psi = x/y、標数 ≠2\neq 2 の y2=x3+x2y^2 = x^3 + x^2 では α=1\alpha = 1, β=−1\beta = -1 で φ=(y−x)/(y+x)\varphi = (y - x)/(y + x) である。

証明. どちらの場合も、EnsE_{\mathrm{ns}} 全体を覆う座標を見つけ、直線との交点がその座標の 3 次方程式の根になることを使う。

(1) 変数変換 (1,0,α,0)(1, 0, \alpha, 0)、すなわち y=y′+αxy = y' + \alpha x は直線を直線に、OO を OO に移すので群法則を保ち、方程式を y′2=x3y'^2 = x^3 に、ψ\psi を x/y′x/y' に変える。よって E ⁣:y2=x3E\colon y^2 = x^3, ψ=x/y\psi = x/y としてよい。Y≠0Y \neq 0 の部分で u=X/Yu = X/Y, w=Z/Yw = Z/Y とすると、Y2Z=X3Y^2Z = X^3 は w=u3w = u^3 になる。Y=0Y = 0 なら X=0X = 0 で、それは S=[0:0:1]S = [0 : 0 : 1]。よって Ens={[u:1:u3]}E_{\mathrm{ns}} = \lbrace [u : 1 : u^3] \rbrace はグラフ w=u3w = u^3 で、座標 uu により直線と同一視され(局所環は K‾[u]\overline{K}[u] の局所化)、KK 有理点は u∈Ku \in K に対応する。アフィン部分では u=x/y=ψu = x/y = \psi、OO では u=0u = 0 である。SS を通らない直線 l1X+l2Y+l3Z=0l_1X + l_2Y + l_3Z = 0(l3≠0l_3 \neq 0)をとると、補題 2.3(M=YM = Y)より交点の重複度は l3u3+l1u+l2l_3u^3 + l_1u + l_2 の根の重複度に等しい。この 3 次式には u2u^2 の項がないので、一直線上の 3 点の uu の和は 00、すなわち ψ(P)+ψ(Q)+ψ(P∗Q)=0\psi(P) + \psi(Q) + \psi(P \ast Q) = 0。−(x,y)=(x,−y)-(x, y) = (x, -y) より ψ(−R)=−ψ(R)\psi(-R) = -\psi(R) だから、ψ(P+Q)=−ψ(P∗Q)=ψ(P)+ψ(Q)\psi(P + Q) = -\psi(P \ast Q) = \psi(P) + \psi(Q)。ψ\psi は全単射で演算を保つので、Ens(K)E_{\mathrm{ns}}(K) は群 KK と同型な群になる(結合法則もここから従う)。

(2) U=Y−αXU = Y - \alpha X, V=Y−βXV = Y - \beta X とおく。α≠β\alpha \neq \beta なので座標変換で、X=(U−V)/(β−α)X = (U - V)/(\beta - \alpha), UV=Y2+a1XY−a2X2UV = Y^2 + a_1XY - a_2X^2 だから、EE は (β−α)3UVZ=(U−V)3(\beta - \alpha)^3UVZ = (U - V)^3 になる。V=0V = 0 なら U=0U = 0 で、それは S=[0:0:1]S = [0 : 0 : 1]。よって EnsE_{\mathrm{ns}} は V≠0V \neq 0 の部分 (β−α)3tw=(t−1)3(\beta - \alpha)^3tw = (t - 1)^3(t=U/Vt = U/V, w=Z/Vw = Z/V)で、t≠0t \neq 0 だから w=(t−1)3/((β−α)3t)w = (t - 1)^3/((\beta - \alpha)^3t) のグラフ、すなわち tt により K‾×\overline{K}^\times と同一視される。アフィン部分では t=(y−αx)/(y−βx)=φt = (y - \alpha x)/(y - \beta x) = \varphi、O=[0:1:0]O = [0 : 1 : 0] では U=VU = V で t=1t = 1 であり、逆写像は t↦((β−α)2t/(t−1)2, (βt−α)(β−α)2t/(t−1)3)t \mapsto \bigl((\beta - \alpha)^2t/(t - 1)^2,\ (\beta t - \alpha)(\beta - \alpha)^2t/(t - 1)^3\bigr)(t≠1t \neq 1)である。SS を通らない直線 l1X+l2Y+l3Z=0l_1X + l_2Y + l_3Z = 0(l3≠0l_3 \neq 0)は、VV で割って tt で表すと

l1(t−1)+l2(βt−α)β−α+l3(t−1)3(β−α)3t=h(t)(β−α)3t,h(t)=(β−α)2t(l1(t−1)+l2(βt−α))+l3(t−1)3\frac{l_1(t - 1) + l_2(\beta t - \alpha)}{\beta - \alpha} + l_3\frac{(t - 1)^3}{(\beta - \alpha)^3t} = \frac{h(t)}{(\beta - \alpha)^3t}, \qquad h(t) = (\beta - \alpha)^2t\bigl(l_1(t - 1) + l_2(\beta t - \alpha)\bigr) + l_3(t - 1)^3

となる。補題 2.3(M=VM = V)より交点の重複度は hh の根の重複度に等しい。hh の t3t^3 の係数は l3l_3、定数項は −l3-l_3 なので 3 根の積は 11、すなわち φ(P)φ(Q)φ(P∗Q)=1\varphi(P)\varphi(Q)\varphi(P \ast Q) = 1。−(x,y)=(x,−y−a1x)-(x, y) = (x, -y - a_1x) と α+β=−a1\alpha + \beta = -a_1 から φ(−P)=(y−βx)/(y−αx)=φ(P)−1\varphi(-P) = (y - \beta x)/(y - \alpha x) = \varphi(P)^{-1} なので、φ(P+Q)=φ(P∗Q)−1=φ(P)φ(Q)\varphi(P + Q) = \varphi(P \ast Q)^{-1} = \varphi(P)\varphi(Q)。あとは (1) と同様である。□\square

(3) は、LL 上で (2) を使い、ガロア共役で不変な点を調べれば得られる(問題 2.9)。

注意 2.20 (1) 標数 ≠2\neq 2 なら平方完成で y2=x3+ax2y^2 = x^3 + ax^2(α,β=±a\alpha, \beta = \pm\sqrt{a})の形にでき、a=0a = 0 なら尖点、a≠0a \neq 0 なら結節点で、分裂   ⟺  \iff a∈K×2a \in K^{\times 2} である。標数 ≠2,3\neq 2, 3 なら SS はつねに KK 有理点である(y2=f(x)y^2 = f(x) の形で、SS の xx 座標は gcd⁡(f,f′)\gcd(f, f') の根か、3 重根 −a2/3-a_2/3)。また KK が完全体(有限体など)なら、標数によらず SS は KK 有理点である。SS はただ一つの特異点(定理 1.12(3))なので、Gal⁡(K‾/K)\operatorname{Gal}(\overline{K}/K) の元で動かないからである。同じ理由で、尖点の場合の α\alpha(T2+a1T−a2T^2 + a_1T - a_2 のただ一つの根)も KK に属する。(2) K=FpK = \mathbb{F}_p なら ∣Ens(Fp)∣\lvert E_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_p) \rvert は尖点で pp、分裂結節点で p−1p - 1、非分裂結節点で p+1p + 1(ノルムが 1 の元は (p2−1)/(p−1)(p^2 - 1)/(p - 1) 個)である。これは第6章の還元の型(加法的・分裂乗法的・非分裂乗法的。系 6.14)と第10章の L 関数の局所因子(命題 10.1)で使われる。たとえば 11a1 を 11 で還元すると分裂結節点(問題 2.7)、37a1 を 37 で還元すると非分裂結節点になる。

2.8 射影座標とヤコビ座標(紹介)

加法公式には割り算が含まれる。有限体 Fp\mathbb{F}_p での逆元の計算(拡張ユークリッドの互除法)は乗算よりずっと重いので、暗号で nPnP を計算するときは分母を別に持ち歩く。射影座標では (x,y)=(X/Z,Y/Z)(x, y) = (X/Z, Y/Z)、ヤコビ座標では (x,y)=(X/Z2,Y/Z3)(x, y) = (X/Z^2, Y/Z^3) と表して [X:Y:Z][X : Y : Z] を計算する。たとえば y2=x3+Ax+By^2 = x^3 + Ax + B のヤコビ座標での 2 倍算は

S=4XY2,M=3X2+AZ4,X′=M2−2S,Y′=M(S−X′)−8Y4,Z′=2YZS = 4XY^2, \quad M = 3X^2 + AZ^4, \quad X' = M^2 - 2S, \quad Y' = M(S - X') - 8Y^4, \quad Z' = 2YZ

で [X′:Y′:Z′]=2[X:Y:Z][X' : Y' : Z'] = 2[X : Y : Z] となり(定理 2.6(3) に代入して確かめられる)、逆元の計算が現れない。最後に一度だけ x=X/Z2x = X/Z^2, y=Y/Z3y = Y/Z^3 を計算すればよい。スカラー倍の計算法と計算量は第5章の 5.1 節で扱う。

まとめ

  • 直線と(特異でもよい)ワイエルシュトラス曲線は重複度込みでちょうど 3 点で交わり、2 点が KK 有理点なら 3 点目も KK 有理点である。
  • P∗QP \ast Q を直線 PQPQ の 3 点目として P+Q=O∗(P∗Q)P + Q = O \ast (P \ast Q) と定めると、OO が単位元、−(x,y)=(x,−y−a1x−a3)-(x, y) = (x, -y - a_1x - a_3) が逆元で、一直線上の 3 点の和は OO。
  • 加法公式:x3=λ2+a1λ−a2−x1−x2x_3 = \lambda^2 + a_1\lambda - a_2 - x_1 - x_2, y3=−(λ+a1)x3−ν−a3y_3 = -(\lambda + a_1)x_3 - \nu - a_3。短い形では x3=λ2−x1−x2x_3 = \lambda^2 - x_1 - x_2, y3=λ(x1−x3)−y1y_3 = \lambda(x_1 - x_3) - y_1。
  • 直線の関数の因子は (P)+(Q)+(R)−3(O)(P) + (Q) + (R) - 3(O)。リーマン–ロッホの定理から P↦[(P)−(O)]P \mapsto [(P) - (O)] は全単射 E→Pic⁡0(E)E \to \operatorname{Pic}^0(E) で加法を保ち、結合法則が従う。∑nP(P)\sum n_P(P) が主因子   ⟺  \iff 次数 0 かつ ∑[nP]P=O\sum [n_P]P = O。
  • 位数 2 の点は接線が縦の点、位数 3 の点は変曲点。標数 ≠2,3\neq 2, 3 で E[2]≅(Z/2)2E[2] \cong (\mathbb{Z}/2)^2, E[3]≅(Z/3)2E[3] \cong (\mathbb{Z}/3)^2。
  • 特異 3 次曲線の非特異点は、尖点なら加法群、分裂結節点なら乗法群、非分裂結節点ならノルム 1 の元の群をなす。
  • y2=x3+17y^2 = x^3 + 17 の整数点は 2 つの生成元の一次結合で書け、37a1 の nPnP の分母の桁数はほぼ n2n^2 に比例して増える。

演習問題

問題 2.1 ★ E ⁣:y2=x3+17E\colon y^2 = x^3 + 17, P1=(−2,3)P_1 = (-2, 3), P2=(−1,4)P_2 = (-1, 4) について、2P12P_1, P1−P2P_1 - P_2, 2P22P_2 を計算せよ。

解答

2P12P_1:λ=3⋅4/(2⋅3)=2\lambda = 3 \cdot 4/(2 \cdot 3) = 2, x=4+4=8x = 4 + 4 = 8, y=2(−2−8)−3=−23y = 2(-2 - 8) - 3 = -23 で 2P1=(8,−23)2P_1 = (8, -23)。P1−P2=P1+(−1,−4)P_1 - P_2 = P_1 + (-1, -4):λ=(−4−3)/(−1+2)=−7\lambda = (-4 - 3)/(-1 + 2) = -7, x=49+2+1=52x = 49 + 2 + 1 = 52, y=−7(−2−52)−3=375y = -7(-2 - 52) - 3 = 375 で (52,375)(52, 375)。2P22P_2:λ=3/8\lambda = 3/8, x=9/64+2=137/64x = 9/64 + 2 = 137/64, y=38(−1−13764)−4=−603512−4=−2651512y = \frac{3}{8}\bigl(-1 - \frac{137}{64}\bigr) - 4 = -\frac{603}{512} - 4 = -\frac{2651}{512} で (137/64,−2651/512)(137/64, -2651/512)。検算:(137/64)3+17=(2571353+17⋅262144)/262144=7027801/262144=(2651/512)2(137/64)^3 + 17 = (2571353 + 17 \cdot 262144)/262144 = 7027801/262144 = (2651/512)^2。

問題 2.2 ★ E ⁣:y2=x3+1E\colon y^2 = x^3 + 1 上の点 P=(2,3)P = (2, 3) の倍数 nPnP(n=1,…,6n = 1, \dots, 6)をすべて求め、PP の位数が 6 であることを示せ。

解答

例 2.14(2) より 2P=(0,1)2P = (0, 1)。3P=P+2P3P = P + 2P:λ=(1−3)/(0−2)=1\lambda = (1 - 3)/(0 - 2) = 1, x=1−2−0=−1x = 1 - 2 - 0 = -1, y=1⋅(2+1)−3=0y = 1 \cdot (2 + 1) - 3 = 0 で 3P=(−1,0)3P = (-1, 0)(位数 2 の点)。よって 6P=2(3P)=O6P = 2(3P) = O で、4P=−2P=(0,−1)4P = -2P = (0, -1), 5P=−P=(2,−3)5P = -P = (2, -3)。P,2P,3P≠OP, 2P, 3P \neq O なので位数はちょうど 6 である。

問題 2.3 ★ E ⁣:y2=x3+x+1E\colon y^2 = x^3 + x + 1 を F5\mathbb{F}_5 上で考える。E(F5)E(\mathbb{F}_5) の点をすべて求め、(0,1)(0, 1) が位数 9 で E(F5)E(\mathbb{F}_5) を生成することを示せ。

解答

x=0,1,2,3,4x = 0, 1, 2, 3, 4 で x3+x+1=1,3,1,1,4x^3 + x + 1 = 1, 3, 1, 1, 4。F5\mathbb{F}_5 の平方は 0,1,40, 1, 4 なので、点は O,(0,±1),(2,±1),(3,±1),(4,±2)O, (0, \pm 1), (2, \pm 1), (3, \pm 1), (4, \pm 2) の 9 個(−1=4-1 = 4, −2=3-2 = 3)。P=(0,1)P = (0, 1) の倍数を加法公式で計算すると 2P=(4,2)2P = (4, 2), 3P=(2,1)3P = (2, 1), 4P=(3,4)4P = (3, 4), 5P=(3,1)5P = (3, 1), 6P=(2,4)6P = (2, 4), 7P=(4,3)7P = (4, 3), 8P=(0,4)=−P8P = (0, 4) = -P, 9P=O9P = O。たとえば 2P2P は λ=(3⋅0+1)/(2⋅1)=1/2=3\lambda = (3 \cdot 0 + 1)/(2 \cdot 1) = 1/2 = 3, x=9−2⋅0=9=4x = 9 - 2 \cdot 0 = 9 = 4, y=3(0−4)−1=−13=2y = 3(0 - 4) - 1 = -13 = 2。9 点がすべて現れるので E(F5)=⟨P⟩≅Z/9ZE(\mathbb{F}_5) = \langle P \rangle \cong \mathbb{Z}/9\mathbb{Z}。(位数 9 の群は Z/9\mathbb{Z}/9 か (Z/3)2(\mathbb{Z}/3)^2 だが、位数 9 の元があるので前者。)

問題 2.4 ★★ E ⁣:y2=x3+17E\colon y^2 = x^3 + 17 上の関数 g=(y−x−5)/(x−4)g = (y - x - 5)/(x - 4) の因子を求め、P1+P2=(4,−9)P_1 + P_2 = (4, -9)(P1=(−2,3)P_1 = (-2, 3), P2=(−1,4)P_2 = (-1, 4))を系 2.11 の立場から説明せよ。

解答

直線 y=x+5y = x + 5 を代入すると x3+17−(x+5)2=x3−x2−10x−8=(x+2)(x+1)(x−4)x^3 + 17 - (x + 5)^2 = x^3 - x^2 - 10x - 8 = (x + 2)(x + 1)(x - 4) なので、この直線と EE の交点は P1,P2,R=(4,9)P_1, P_2, R = (4, 9)(各重複度 1)。命題 2.8 より div⁡(y−x−5)=(P1)+(P2)+(R)−3(O)\operatorname{div}(y - x - 5) = (P_1) + (P_2) + (R) - 3(O)。縦の直線 x=4x = 4 と EE の交点は (4,±9)(4, \pm 9) と OO なので div⁡(x−4)=(R)+(−R)−2(O)\operatorname{div}(x - 4) = (R) + (-R) - 2(O)。よって

div⁡(g)=(P1)+(P2)−(4,−9)−(O)\operatorname{div}(g) = (P_1) + (P_2) - (4, -9) - (O)

である。系 2.11 によれば、これが主因子であることは P1+P2−(4,−9)=OP_1 + P_2 - (4, -9) = O、すなわち P1+P2=(4,−9)P_1 + P_2 = (4, -9) と同値である。

問題 2.5 ★★ A,B∈ZA, B \in \mathbb{Z} とし、E ⁣:y2=x3+Ax+BE\colon y^2 = x^3 + Ax + B の有理点 (x,y)(x, y) を既約分数で x=m/Mx = m/M, y=n/Ny = n/N(M,N>0M, N > 0)と書く。M=e2M = e^2, N=e3N = e^3 となる正の整数 ee が存在することを示せ。

解答

代入して分母を払うと n2M3=N2(m3+AmM2+BM3)n^2M^3 = N^2(m^3 + AmM^2 + BM^3)。gcd⁡(n,N)=1\gcd(n, N) = 1 より N2∣M3N^2 \mid M^3。また M3∣N2(m3+AmM2+BM3)M^3 \mid N^2(m^3 + AmM^2 + BM^3) で、gcd⁡(M,m3+AmM2+BM3)=gcd⁡(M,m3)=1\gcd(M, m^3 + AmM^2 + BM^3) = \gcd(M, m^3) = 1 だから M3∣N2M^3 \mid N^2。よって M3=N2M^3 = N^2。素因数分解で各素数 pp の指数を比べると 3vp(M)=2vp(N)3v_p(M) = 2v_p(N) なので vp(M)v_p(M) は偶数、vp(N)v_p(N) は 3 の倍数で、e=N/Me = N/M とおけば ee は整数で(vp(e)=vp(N)−vp(M)=vp(M)/2v_p(e) = v_p(N) - v_p(M) = v_p(M)/2)、M=e2M = e^2, N=e3N = e^3。(例 2.16 の 37a1 は短い形ではないが、整数係数の一般のワイエルシュトラス方程式でも同様のことが成り立つ。素数 pp について vp(x)<0v_p(x) < 0 なら、(1.1) の各項の pp 進付値を比べると vp(y)<vp(x)<0v_p(y) < v_p(x) < 0 かつ 2vp(y)=3vp(x)2v_p(y) = 3v_p(x) となり、vp(x)≥0v_p(x) \geq 0 なら vp(y)≥0v_p(y) \geq 0 となるからである。)

問題 2.6 ★★ 例 2.17 の E6E_6 で、P=(12,36)P = (12, 36) に位数 2 の点 T=(0,0),(6,0),(−6,0)T = (0, 0), (6, 0), (-6, 0) を加えた点を求め、それぞれから例 1.1 の式で得られる三角形が (3,4,5)(3, 4, 5) と(辺の順序と符号を除いて)同じであることを確かめよ。

解答

P+(0,0)P + (0, 0):λ=36/12=3\lambda = 36/12 = 3, x=9−12=−3x = 9 - 12 = -3, y=3(12+3)−36=9y = 3(12 + 3) - 36 = 9 で (−3,9)(-3, 9)。三角形は a=(9−36)/9=−3a = (9 - 36)/9 = -3, b=12⋅(−3)/9=−4b = 12 \cdot (-3)/9 = -4, c=45/9=5c = 45/9 = 5。 P+(6,0)P + (6, 0):λ=36/6=6\lambda = 36/6 = 6, x=36−18=18x = 36 - 18 = 18, y=6(12−18)−36=−72y = 6(12 - 18) - 36 = -72 で (18,−72)(18, -72)。a=288/(−72)=−4a = 288/(-72) = -4, b=216/(−72)=−3b = 216/(-72) = -3, c=360/(−72)=−5c = 360/(-72) = -5。 P+(−6,0)P + (-6, 0):λ=36/18=2\lambda = 36/18 = 2, x=4−6=−2x = 4 - 6 = -2, y=2(12+2)−36=−8y = 2(12 + 2) - 36 = -8 で (−2,−8)(-2, -8)。a=(4−36)/(−8)=4a = (4 - 36)/(-8) = 4, b=−24/(−8)=3b = -24/(-8) = 3, c=40/(−8)=−5c = 40/(-8) = -5。 いずれも {∣a∣,∣b∣}={3,4}\lbrace \lvert a \rvert, \lvert b \rvert \rbrace = \lbrace 3, 4 \rbrace, ∣c∣=5\lvert c \rvert = 5 である。位数 2 の点を加えても新しい三角形は得られず、例 2.17 の 2P2P のような点が新しい三角形を与える。

問題 2.7 ★★ 11a1:y2+y=x3−x2−10x−20y^2 + y = x^3 - x^2 - 10x - 20 を F11\mathbb{F}_{11} 上で考える。(1) 特異点を求めよ。(2) 特異点を原点に移すと y2=x3+3x2y^2 = x^3 + 3x^2 になることを示し、結節点で分裂していることを確かめよ。(3) ∣Ens(F11)∣=10\lvert E_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_{11}) \rvert = 10 を説明せよ。

解答

(1) ∂W/∂y=2y+1=0\partial W/\partial y = 2y + 1 = 0 より y=−1/2=5y = -1/2 = 5。∂W/∂x=−(3x2−2x−10)=0\partial W/\partial x = -(3x^2 - 2x - 10) = 0 と W=0W = 0 を F11\mathbb{F}_{11} で解くと x=5x = 5(3⋅25−10−10=55≡03 \cdot 25 - 10 - 10 = 55 \equiv 0、W(5,5)=30−(125−25−50−20)=0W(5, 5) = 30 - (125 - 25 - 50 - 20) = 0)。特異点は (5,5)(5, 5) で、Δ=−115≡0\Delta = -11^5 \equiv 0 と合う。

(2) x=X+5x = X + 5, y=Y+5y = Y + 5 を代入すると、y2+y=Y2+11Y+30≡Y2+8y^2 + y = Y^2 + 11Y + 30 \equiv Y^2 + 8、x3−x2−10x−20=X3+14X2+55X+30≡X3+3X2+8x^3 - x^2 - 10x - 20 = X^3 + 14X^2 + 55X + 30 \equiv X^3 + 3X^2 + 8 なので Y2=X3+3X2Y^2 = X^3 + 3X^2。3=523 = 5^2 は F11\mathbb{F}_{11} の平方なので、2 次の部分 Y2−3X2=(Y−5X)(Y+5X)Y^2 - 3X^2 = (Y - 5X)(Y + 5X) は F11\mathbb{F}_{11} 上で分解し、分裂結節点である。

(3) (2) の形は定理 2.19 の記号で α=5\alpha = 5, β=−5∈F11\beta = -5 \in \mathbb{F}_{11} なので、定理 2.19(2) より Ens(F11)≅F11×E_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_{11}) \cong \mathbb{F}_{11}^\times で、位数は 10。(PARI/GP では ellap(ellinit([0,-1,1,-10,-20]), 11) が 1=11−101 = 11 - 10 を返す。)

問題 2.8 ★★ E ⁣:y2=x3+1E\colon y^2 = x^3 + 1 について、E(Q)E(\mathbb{Q}) の位数 3 の点をすべて求めよ。また E[3]E[3](Q‾\overline{\mathbb{Q}} 上)の 8 個の位数 3 の点をすべて求めよ。

解答

命題 2.13(3) で A=0A = 0, B=1B = 1 なので ψ3=3x4+12x=3x(x3+4)\psi_3 = 3x^4 + 12x = 3x(x^3 + 4)。有理根は x=0x = 0 だけなので(x3=−4x^3 = -4 は有理解をもたない)、E(Q)E(\mathbb{Q}) の位数 3 の点は (0,±1)(0, \pm 1) の 2 個。Q‾\overline{\mathbb{Q}} 上では x3=−4x^3 = -4 の根 x=−43ζx = -\sqrt[3]{4}\zeta(ζ3=1\zeta^3 = 1)で y2=x3+1=−3y^2 = x^3 + 1 = -3、y=±−3y = \pm\sqrt{-3} なので、(0,±1)(0, \pm 1) と (−43ζ,±−3)(-\sqrt[3]{4}\zeta, \pm\sqrt{-3})(ζ=1,ζ3,ζ32\zeta = 1, \zeta_3, \zeta_3^2。ζ3\zeta_3 は 1 の原始 3 乗根)の 8 点である。

問題 2.9 ★★★ 定理 2.19(3) を証明せよ。また K=FpK = \mathbb{F}_p のとき ∣Ens(Fp)∣=p+1\lvert E_{\mathrm{ns}}(\mathbb{F}_p) \rvert = p + 1 を示せ。

解答

α,β\alpha, \beta は KK 係数の 2 次式 T2+a1T−a2T^2 + a_1T - a_2 の相異なる根で α∉K\alpha \notin K なので、この 2 次式は KK 上既約で、L=K(α)L = K(\alpha) は KK の 2 次の分離拡大、β=σ(α)\beta = \sigma(\alpha)(σ\sigma は Gal⁡(L/K)\operatorname{Gal}(L/K) の生成元)である。LL 上では定理 2.19(2) より φ(x,y)=(y−αx)/(y−βx)\varphi(x, y) = (y - \alpha x)/(y - \beta x)(O↦1O \mapsto 1)は群の同型 Ens(L)→L×E_{\mathrm{ns}}(L) \to L^\times である。Q=(x,y)∈Ens(L)Q = (x, y) \in E_{\mathrm{ns}}(L) について σQ=(σx,σy)\sigma Q = (\sigma x, \sigma y) とおくと、σ(α)=β\sigma(\alpha) = \beta, σ(β)=α\sigma(\beta) = \alpha より

φ(σQ)=σy−ασxσy−βσx=σ(y−βxy−αx)=σ(φ(Q))−1\varphi(\sigma Q) = \frac{\sigma y - \alpha\sigma x}{\sigma y - \beta\sigma x} = \sigma\left(\frac{y - \beta x}{y - \alpha x}\right) = \sigma(\varphi(Q))^{-1}

で、これは Q=OQ = O でも成り立つ。Q∈Ens(K)Q \in E_{\mathrm{ns}}(K)   ⟺  \iff σQ=Q\sigma Q = Q   ⟺  \iff σ(φ(Q))−1=φ(Q)\sigma(\varphi(Q))^{-1} = \varphi(Q)   ⟺  \iff NL/K(φ(Q))=φ(Q)σ(φ(Q))=1N_{L/K}(\varphi(Q)) = \varphi(Q)\sigma(\varphi(Q)) = 1。よって φ\varphi は Ens(K)E_{\mathrm{ns}}(K) をノルム 1 の元の群の上に同型に写す。K=FpK = \mathbb{F}_p では L=Fp2L = \mathbb{F}_{p^2}、N(z)=z⋅zp=zp+1N(z) = z \cdot z^p = z^{p+1} で、Fp2×\mathbb{F}_{p^2}^\times は位数 p2−1p^2 - 1 の巡回群だから zp+1=1z^{p+1} = 1 の解はちょうど p+1p + 1 個である。

この章を読み終えたら

「読了」にすると、学習記録と地図に反映されます。

この章の誤りを報告GitHub で見る