Lemma数学ロードマップ

P1 算数の「なぜ」 · 第 6 章

図形と量

目安 3〜4.5 時間演習 10 問

この章の目標

  • 角の大きさを「回転の量」として理解し、三角形の内角の和が 180∘180^\circ になることを、実験と論証の違いを区別しながら説明できる
  • 平行・垂直、三角形・四角形の仲間関係、合同・対称・拡大図と縮図の意味を説明できる
  • 面積を「単位正方形がいくつ入るか」として理解し、平行四辺形・三角形・台形の面積の公式がなぜそうなるかを、図を使って説明できる
  • 円周率が「円周 ÷ 直径」で、どの円でも同じ値になること、3.143.14 は近似値であることを説明できる
  • 円の面積が「半径 × 半径 × 円周率」になる理由を、おうぎ形を並べかえる方法で説明できる
  • 体積の意味と、L・mL と cm³ の関係を説明できる

前提:第2章 かけ算とわり算の意味(アレイ図)、第4章 分数と小数、第5章 割合・比・比例(比と比例)。小学校の算数を一度学んでいれば読めます

学年の目安:小学 1〜6 年(三角形の内角の和・合同・平行四辺形や三角形の面積の公式・円周率は 5 年、対称・拡大図と縮図・円の面積は 6 年。教科書によって前後します)

子どもにこう聞かれたら、どう答えますか。

  • 「三角形の角を全部たすと、どうしていつも 180∘180^\circ になるの? 測ったら 179∘179^\circ だったよ」
  • 「三角形の面積は、どうして最後に 2 でわるの?」
  • 「円の面積は、なぜ『半径 × 半径 × 3.14』なの? 直径じゃだめなの?」

図形の公式は、算数の中でも「覚えるもの」と思われがちです。しかし、小学校で学ぶ面積や体積の公式は、どれも知っている形に変形するという一つの考え方から導けます。この章では、角・平行・合同・対称・拡大といった図形の基本を確かめたうえで、面積・体積の公式がなぜそうなるのかを図で確かめ、円周率と円の面積までたどり着きます。また、小学校で行う「確かめる」活動が、中学校の「証明する」とどう違い、どうつながるのかも見ていきます。

なお、この章でいう整数は、小学校の算数と同じく 0,1,2,3,…0, 1, 2, 3, \dots のことです。

何年生で習う?

学年 図形 量(長さ・面積・体積など)
1 年 身の回りのものの形 長さ・広さ・かさの比べ方(直接比べる、別のものを使って比べる、いくつ分で比べる)
2 年 三角形・四角形、正方形・長方形・直角三角形、箱の形 長さの単位(mm、cm、m)、かさの単位(mL、dL、L)
3 年 二等辺三角形・正三角形、角、円と球 長さ(km)、重さ(g、kg、t)
4 年 角の大きさ(度)、垂直・平行、平行四辺形・台形・ひし形、直方体・立方体 面積の意味と単位(cm²、m²、km²、a、ha)、長方形・正方形の面積
5 年 合同、三角形・四角形の角の和、正多角形と円周率、角柱・円柱 平行四辺形・三角形・台形・ひし形の面積、直方体・立方体の体積(cm³、m³)
6 年 線対称・点対称、拡大図と縮図 円の面積、角柱・円柱の体積、およその面積と体積

現行の学習指導要領(2017 年告示、2020 年度から実施)にもとづく目安です。実際に扱う時期は、教科書によって少し前後します。

6.1 角と角度

角とは何か

3 年生で、角は次のように導入されます。

定義 6.1(角)1 つの点から出ている 2 本のまっすぐな線がつくる形を角といいます。その点を角の頂点、2 本の線を角の辺といいます。

辺は、頂点から一方の向きにだけのびるまっすぐな線です(中学校では、このような線を半直線と呼びます)。両方向に限りなくのびる「直線」とは区別しておきます。

ここで大事なのは、角の大きさは辺の長さとは関係がないことです。2 本の辺を長くかいても短くかいても、開き具合が同じなら同じ大きさの角です。

4 年生では、角の大きさを数で表します。1 本の辺を頂点のまわりに回転させたとき、どれだけ回したかが角の大きさです。

定義 6.2(角の大きさ・度)1 回転を 360 等分した 1 つ分の回転の大きさを 1 度といい、1∘1^\circ と書きます。1 回転は 360∘360^\circ、半回転は 180∘180^\circ、直角(14\displaystyle \frac{1}{4} 回転)は 90∘90^\circ です。角の大きさは分度器で測ります。

角を「開き具合」だけでなく「回転の量」としてとらえると、180∘180^\circ より大きい角(たとえば 270∘270^\circ)も自然に考えられます。半回転させた辺は、もとの辺と一直線になります。一直線を「180∘180^\circ の角」とみることが、次の節の三角形の内角の和で効いてきます。

注意 6.3 なぜ 1 回転を 360 に分けるのかには、決まった答えはありません。古代メソポタミアで 60 を単位とする数え方(六十進法)が使われていたこと、1 年がおよそ 360 日であること、などが由来として挙げられますが、はっきりしたことはわかっていません。数学的には、360 が 2,3,4,5,6,8,9,10,12,…2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10, 12, \dots と多くの数でわり切れて、13\displaystyle \frac{1}{3} 回転や 18\displaystyle \frac{1}{8} 回転が整数の度で表せるという便利さがあります。高校では、角の大きさを弧の長さで測る弧度法(180∘180^\circ を π\pi とする)も学びます。

注意

つまずきポイント 子どもは「辺が長くかいてある角のほうが大きい」「扇形の弧が大きく描いてある角のほうが大きい」と考えがちです。見た目の大きさにつられて、角の大きさ(開き具合)と、図の大きさを混同しているのです。分度器の使い方でも、内側と外側の目盛りを読み違えて 50∘50^\circ を 130∘130^\circ と読む誤りがよく起こります。測る前に「直角より小さいね」と見当をつけておくと、読み違いに自分で気づけます。

6.2 平行と垂直

定義 6.4(垂直・平行)2 本の直線が直角に交わるとき、この 2 本の直線は垂直であるといいます。1 本の直線に垂直な 2 本の直線は、平行であるといいます。

小学校では、平行を「1 本の直線に垂直な 2 本の直線」として定義します。中学校以降の「同じ平面上で交わらない 2 本の直線」という定義とは言い方が違いますが、平面の上では同じものを指しています。4 年生では、平行な直線について次のことを学びます。

性質 6.5(平行な直線の性質)平行な 2 本の直線について、次のことが成り立ちます。

  1. どこまでのばしても交わりません。
  2. 2 本の直線の間の幅(一方の直線上の点から他方の直線へひいた垂直な線の長さ)は、どこでも等しくなります。
  3. 平行な 2 本の直線に別の直線が交わるとき、その直線とつくる角の大きさは等しくなります。

3 番目の性質は、中学校で同位角と呼ぶ角が等しい、ということです。小学校では三角定規 2 枚をずらして平行線をひく作業を通して、この性質に触れます。三角定規をずらしてもかたむきは変わらないので、ひいた直線どうしはほかの直線と同じ角度で交わり、平行になるのです。

この性質は、次の節で三角形の内角の和を説明するときの土台になります。実は、平面の幾何学の中で「平行線」に関わる性質は特別な役割をもっていて、それを認めない幾何学も考えられます(6.3 節の「この先の数学では」)。

6.3 三角形の内角の和はなぜ 180° か

小学校での確かめ方

三角形の内側の 3 つの角を内角といいます。5 年生では、三角形の内角の和を次のような方法で調べます。

  1. いろいろな三角形をかいて、3 つの角を分度器で測って足す。
  2. 紙の三角形の 3 つの角をちぎって(または切って)、頂点を 1 つの点に集めて並べる。
  3. 合同な三角形をすき間なく敷き詰めて、1 つの点のまわりに集まる角を見る。

紙の三角形の 3 つの角あ、い、うをちぎり、頂点を 1 点に集めて並べると、すき間なく一直線になる図。あ 60°、い 50°、う 70° で、合わせて 180°

2 の方法では、3 つの角がすき間なく並んで一直線になります。一直線は 180∘180^\circ なので、3 つの角の和は 180∘180^\circ だとわかります。

性質 6.6(三角形の内角の和)どんな三角形でも、3 つの内角の大きさの和は 180∘180^\circ です。

実験は証明ではない

ここで大人として正直に認めておくべきことがあります。上の 3 つの方法は、どれも実験であって証明ではありません。

  • 分度器で測ると誤差が出ます。子どもが「179∘179^\circ になった」「182∘182^\circ になった」と言うのは、測り方が悪いからではなく、測定には必ず誤差があるからです。測定だけでは、「ちょうど 180∘180^\circ」なのか「ほぼ 180∘180^\circ」なのかは決められません。
  • ちぎって並べる方法も、紙の端はでこぼこしていて、「ぴったり一直線」かどうかは目で見て判断しているだけです。
  • いくつの三角形で試しても、試したのは有限個の三角形です。「どんな三角形でも」成り立つことは、何個試しても確かめきれません。

それでも、小学校でこの実験を行うことには大きな意味があります。いろいろな三角形で試して同じ結果になると、「いつでも 180∘180^\circ になりそうだ」という予想が立ち、「なぜだろう」という問いが生まれます。この予想を、すべての三角形について理由をつけて示すのが中学 2 年で学ぶ証明です。

注意 6.7 小学校では、実験や測定で「確かめる」活動が中心で、「証明」という言葉を使って理由を示す学習は中学 2 年から始まります。子どもが「何回やっても 180∘180^\circ になったから、絶対そうだよ」と言ったら、その観察をほめたうえで、「1000 個の三角形で試しても、1001 個目はわからないよね。全部の三角形で 180∘180^\circ になる理由はあるかな?」と問いかけると、証明の必要性に気づくきっかけになります。

平行線を使った説明(中学校の証明)

大人のための証明. 三角形 ABC の頂点 A を通り、辺 BC に平行な直線をひきます。

三角形 ABC の頂点 A を通り、辺 BC に平行な直線をひいた図。A のまわりに、B の角あと等しい角あ、C の角うと等しい角うができて、あ、い、う が平行な直線の上に一直線に並ぶ

平行な 2 本の直線(ひいた直線と、辺 BC をのばした直線)に、直線 AB が交わっています。このとき、図の 2 つの「あ」の角(中学校で錯角と呼ぶ位置の角)は等しくなります。錯角が等しいことは、性質 6.5 の 3(同位角が等しいこと)と、交わる 2 本の直線がつくる向かい合った角(対頂角)が等しいことから導けます。同じように、直線 AC についても 2 つの「う」の角は等しくなります。

すると、A のまわりには「あ」「い」「う」がすき間なく並んでいて、合わせて一直線、つまり 180∘180^\circ です。「あ」「い」「う」は三角形 ABC の 3 つの内角なので、内角の和は 180∘180^\circ です。□\square

この説明は、紙の三角形の角をちぎって並べる実験と、まったく同じ形をしています。ちぎった角を「並べて確かめる」かわりに、平行線を使って「同じ大きさの角が、ちょうどその場所にできる理由」を示しているのです。この説明は特定の三角形によらないので、どんな三角形にも当てはまります。

多角形の角の和

三角形の内角の和がわかると、ほかの多角形の内角の和も求められます。

例 6.8 四角形は、1 本の対角線で 2 つの三角形に分けられます。2 つの三角形の内角を合わせると、ちょうど四角形の 4 つの内角になるので、四角形の内角の和は 180∘×2=360∘180^\circ \times 2 = 360^\circ です。同じように、五角形は 1 つの頂点からひいた対角線で 3 つの三角形に、六角形は 4 つの三角形に分けられるので、内角の和はそれぞれ 540∘,720∘540^\circ, 720^\circ です。一般に、辺の数が 1 つ増えるごとに三角形が 1 つ増えるので、多角形の内角の和は「180∘×180^\circ \times(辺の数 −2- 2)」です。

ヒント

子どもに伝えるには 色紙で三角形を 1 人 1 枚ずつ、形がばらばらになるように作らせ、3 つの角に色をつけてからちぎって、ノートの直線の上に並べます。細長い三角形でも、直角三角形でも、毎回ぴったり一直線になるのが驚きのポイントです。四角形でも同じことをすると、4 つの角が 1 点のまわりを 1 周して 360∘360^\circ になります。「三角形 2 つ分だから 360∘360^\circ なんだね」と、対角線をひいて確かめると、例 6.8 の考え方につながります。最後に「どうしてぴったりになるんだろう?」と問いを残しておくと、中学校で平行線の証明を学ぶときの楽しみになります。

補足

この先の数学では 平行線を使った証明は、中学 2 年の「図形と証明」で学びます(P2 第6章)。そこでは同位角・錯角の性質から多角形の内角・外角の和を導き、合同条件を使った証明の書き方を学びます。

証明で使った「平行線と同位角」の性質は、ユークリッドの『原論』で平行線公準(第 5 公準)と呼ばれる仮定にもとづいています。この仮定を変えると、内角の和が 180∘180^\circ にならない幾何学(非ユークリッド幾何学)ができます。たとえば地球儀の上で、北極点と、経度が 90∘90^\circ 離れた赤道上の 2 点を結んだ「三角形」は、3 つの角がすべて直角で、内角の和が 270∘270^\circ になります。球面の三角形の内角の和は「180∘180^\circ +(面積に比例する量)」で、これは曲面の曲がり方を扱うガウス・ボンネの定理の一番簡単な場合です(07 第1章)。

6.4 三角形と四角形の性質

三角形の仲間

定義 6.9(いろいろな三角形)2 つの辺の長さが等しい三角形を二等辺三角形、3 つの辺の長さが等しい三角形を正三角形、1 つの角が直角である三角形を直角三角形といいます。

二等辺三角形の 2 つの底角(等しい 2 辺にはさまれていない 2 つの角)は等しく、正三角形の 3 つの角は等しくて 180∘÷3=60∘180^\circ \div 3 = 60^\circ です。正三角形は 3 つの辺がどれも等しいので、どの 2 辺に注目しても二等辺三角形です。つまり正三角形は二等辺三角形の特別な場合です。

四角形の仲間

定義 6.10(いろいろな四角形)

  • 向かい合った 1 組の辺が平行な四角形を台形といいます。
  • 向かい合った 2 組の辺がどちらも平行な四角形を平行四辺形といいます。
  • 4 つの辺の長さがすべて等しい四角形をひし形といいます。
  • 4 つの角がすべて直角な四角形を長方形といいます。
  • 4 つの角がすべて直角で、4 つの辺の長さがすべて等しい四角形を正方形といいます。

性質 6.11(平行四辺形の性質)平行四辺形では、向かい合った辺の長さは等しく、向かい合った角の大きさも等しくなります。また、2 本の対角線は、それぞれの真ん中の点で交わります。

ひし形・長方形・正方形は、どれも平行四辺形の特別な場合です(ひし形や長方形が平行四辺形になることは、中学校で証明します)。それぞれの仲間関係を図にすると、次のようになります。

四角形の仲間関係の図。平行四辺形は四角形の一部、長方形とひし形はどちらも平行四辺形の一部で、2 つの重なりが正方形。正方形は長方形でもあり、ひし形でもある

対角線の性質で比べると、違いがはっきりします。

2 本の対角線が真ん中で交わる 2 本の対角線の長さが等しい 2 本の対角線が垂直に交わる
平行四辺形 ○ (いつもではない) (いつもではない)
長方形 ○ ○ (いつもではない)
ひし形 ○ (いつもではない) ○
正方形 ○ ○ ○

注意

つまずきポイント 「正方形は長方形ですか?」と聞くと、多くの子ども(と大人)が「違う」と答えます。日常の言葉では、長方形は「細長い四角」の意味で使われるからです。しかし算数の定義では、長方形は「4 つの角がすべて直角な四角形」なので、正方形も長方形の条件を満たしています。正方形は「辺の長さまでそろった、特別な長方形」です。「ネコは動物ですか?」と同じで、定義に当てはまるかどうかで判断する、という考え方は中学校以降の数学の土台になります。

台形の定義には少し注意が必要です。「向かい合った 1 組の辺が平行」を「少なくとも 1 組が平行」と読めば平行四辺形も台形の仲間になり、「ちょうど 1 組だけが平行」と読めばなりません。数学では前者の読み方をすることが多いのですが、どちらの読み方で教えているかは教科書によって違います。どちらにしても、台形の面積の公式(6.9 節)は平行四辺形にもそのまま使えます。

6.5 合同

定義 6.12(合同)2 つの図形がぴったり重なるとき、この 2 つの図形は合同であるといいます。裏返して重なる場合も合同です。重なり合う頂点・辺・角を、それぞれ対応する頂点・辺・角といいます。

合同な図形では、対応する辺の長さも、対応する角の大きさもそれぞれ等しくなります。

5 年生では、「ある三角形と合同な三角形をかくには、どこを測ればよいか」を考えます。3 つの辺と 3 つの角を全部測らなくても、次のどれかがわかれば三角形の形と大きさは 1 つに決まります。

性質 6.13(合同な三角形のかき方)次のどれかがわかれば、もとの三角形と合同な三角形がかけます。

  1. 3 つの辺の長さ
  2. 2 つの辺の長さと、その間の角の大きさ
  3. 1 つの辺の長さと、その両端の角の大きさ

これが中学 2 年で学ぶ三角形の合同条件のもとになります。たとえば 1 では、1 辺をかいたあと、両端からコンパスでそれぞれの長さの円をかけば、交わる点(の片側)が 3 つ目の頂点に決まります。

例 6.14 四角形は、4 つの辺の長さだけでは形が決まりません。1 辺 3 cm の正方形と、1 辺 3 cm の(正方形でない)ひし形は、4 辺の長さがすべて同じなのに合同ではありません。ストローとひもで四角形を作ると、角の部分でぐにゃりと曲がって、正方形がひし形につぶれてしまいます。ところが三角形は、3 辺の長さが決まると形が 1 つに決まる(性質 6.13 の 1)ので、つぶれません。橋や鉄塔の骨組みに三角形がたくさん使われているのはこのためです。

6.6 対称

線対称と点対称

定義 6.15(線対称)1 本の直線を折り目にして折ったとき、両側がぴったり重なる図形を線対称な図形といい、その直線を対称の軸といいます。

定義 6.16(点対称)1 つの点のまわりに 180∘180^\circ 回転させたとき、もとの図形にぴったり重なる図形を点対称な図形といい、その点を対称の中心といいます。

対称な図形で重なり合う点を、対応する点といいます。

左は線対称な図形。対称の軸で折ると重なり、対応する点アとア′を結ぶ線は、軸と垂直に交わり、軸で 2 等分される。右は点対称な図形。点 O のまわりに 180° 回すと重なり、対応する点イとイ′を結ぶ線は O を通り、O で 2 等分される

性質 6.17(対応する点の性質)

  1. 線対称な図形では、対応する 2 つの点を結ぶ直線は、対称の軸と垂直に交わります。また、交わる点から対応する 2 つの点までの長さは等しくなります。
  2. 点対称な図形では、対応する 2 つの点を結ぶ直線は、対称の中心を通ります。また、対称の中心から対応する 2 つの点までの長さは等しくなります。

この性質を使うと、図形の半分(線対称)や、ある部分(点対称)がかいてあるとき、残りを正確にかき足すことができます。

身近な図形の対称

図形 線対称 対称の軸の数 点対称
二等辺三角形 ○ 1 本 ×
正三角形 ○ 3 本 ×
平行四辺形 ×(ひし形・長方形を除く) ― ○
ひし形 ○ 2 本 ○
長方形 ○ 2 本(正方形を除く) ○
正方形 ○ 4 本 ○
正五角形 ○ 5 本 ×
正六角形 ○ 6 本 ○
円 ○ 無数 ○

正多角形は、辺の数と同じ本数の対称の軸をもちます。また、辺の数が偶数の正多角形は点対称、奇数の正多角形は点対称ではありません。

ヒント

子どもに伝えるには 線対称は、紙を半分に折ってはさみで切る「切り紙」がいちばんです。開いた形はいつも線対称になり、折り目が対称の軸です。鏡を図の上に垂直に立てて、半分の形から全体を作る遊びもできます。点対称は、トランプのカード(スペードの 2 など)を上下さかさまにして「同じに見えるかな?」と比べると実感できます。スペードの 3 は、真ん中のマークがさかさまになるので点対称ではありません。こうした「当てはまらない例」を一緒に探すのも楽しい活動です。「裏返す」(線対称)と「くるっと半回転させる」(点対称)の違いを、実際に紙を動かして体で確かめることが大切です。

6.7 拡大図と縮図

形が同じとはどういうことか

コピー機で 200% に拡大すると、写真や図は「同じ形のまま大きく」なります。この「同じ形」とは何でしょうか。

定義 6.18(拡大図・縮図)もとの図形と比べて、対応する角の大きさがそれぞれ等しく、対応する辺の長さの比がすべて等しくなるように大きくした図を拡大図、小さくした図を縮図といいます。対応する辺の長さを 2 倍にした拡大図を 2 倍の拡大図、12\displaystyle \frac{1}{2} にした縮図を 12\displaystyle \frac{1}{2} の縮図といいます。

大切なのは、長さを同じ数だけ足すのではなく、同じ数をかけることです。

方眼の上の 3 つの長方形。もとの図は縦 2・横 3 で 6 マス、2 倍の拡大図は縦 4・横 6 で 24 マス。縦と横に 2 ずつ足した図は縦 4・横 5 で、対角線の傾きが変わり、拡大図ではない

縦 2、横 3 の長方形の縦と横にそれぞれ 2 を足すと、縦 4、横 5 になります。縦と横の比が 2:32 : 3 から 4:54 : 5 に変わり、対角線の傾きが変わってしまうので、形が変わります。縦と横を 2 倍して縦 4、横 6 にすれば、比は 2:32 : 3 のままで、同じ形になります。比が等しいかどうかは、第5章 の比の考え方そのものです。

拡大すると面積は何倍か

性質 6.19(拡大図の面積)2 倍の拡大図の面積は、もとの図形の 2×2=42 \times 2 = 4 倍です。3 倍の拡大図なら 3×3=93 \times 3 = 9 倍、12\displaystyle \frac{1}{2} の縮図なら 12×12=14\displaystyle \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4} です。

上の図でも、もとの長方形は 6 マス、2 倍の拡大図は 24 マスで 4 倍になっています。縦も横も 2 倍になるので、マスの数は「2 倍の 2 倍」になるのです。長方形以外の形でも、方眼のマス 1 つ 1 つが縦横 2 倍、つまり 4 倍の大きさのマスに拡大されると考えれば、同じことがいえます。立体なら縦・横・高さの 3 方向が 2 倍になるので、体積は 2×2×2=82 \times 2 \times 2 = 8 倍です。

例 6.20(縮尺)地図は実際の土地の縮図です。縮尺 1:250001 : 25000 の地図では、地図上の 1 cm は実際の 2500025000 cm =250= 250 m を表します。地図上で 4 cm の道のりは、実際には 4×250=10004 \times 250 = 1000 m、つまり 1 km です。6 年生では、縮図をかいて、直接は測れない木の高さや川の幅を求める活動もします。

注意

つまずきポイント 「2 倍に拡大した図をかきましょう」と言われて、子どもが各辺に同じ長さを足してしまうことがあります。これは、「大きくする」ことを足し算で考えているためです。また、「2 倍の拡大図の面積は 2 倍」と思い込む誤りは大人にも多く見られます。ピザの直径が 2 倍になると、食べられる量は 4 倍になります。直径 20 cm のピザと直径 30 cm のピザでは、直径は 1.5 倍でも面積は 1.5×1.5=2.251.5 \times 1.5 = 2.25 倍です。

補足

この先の数学では 拡大図・縮図の関係にある図形は、中学 3 年で相似として学びます(P2 第6章)。相似な三角形になるための条件(相似条件)や、相似な図形の面積比が相似比の 2 乗、体積比が 3 乗になることを証明します。次の 6.10 節では、「どの円も互いに拡大図・縮図の関係にある」ことが、円周率がどの円でも同じ値になる理由として登場します。

6.8 面積の意味

広さを数で表す

「どちらが広いか」を比べる方法は、長さやかさと同じ 4 つの段階をたどって発展します。

  1. 直接比べる:2 枚の紙を重ねて、はみ出したほうが広い。
  2. 別のものを使って比べる:動かせないものは、写し取ってから重ねる。
  3. いくつ分で比べる:同じ大きさのタイルを敷き詰めて、何枚分かを数える。
  4. 決まった単位で表す:世界共通の大きさの正方形(1 辺 1 cm など)がいくつ分かで表す。

3 の段階で使うタイルが人によって違うと、「タイル 8 枚分」と言っても伝わりません。そこで共通の単位を決めます。

定義 6.21(面積)広さのことを面積といいます。1 辺が 1 cm の正方形の面積を 1 平方センチメートルといい、1 cm² と書きます。面積は、この単位正方形がいくつ分あるかで表します。

性質 6.22(長方形の面積)長方形の面積は「縦 × 横」、正方形の面積は「1 辺 × 1 辺」で求められます。

縦 3 cm、横 4 cm の長方形には、1 cm² の正方形が縦に 3 個、横に 4 列並ぶので、3×4=123 \times 4 = 12 個入ります。これは、かけ算のアレイ図(第2章)と同じ数え方です。辺の長さが小数や分数の場合も、単位正方形をさらに細かく分けて数えれば、同じ「縦 × 横」で求められます(第4章の面積図)。

面積の単位は、1 辺の長さを変えた正方形で決めます。

単位 どんな正方形の面積か ほかの単位との関係
1 cm² 1 辺 1 cm ―
1 m² 1 辺 1 m(=100= 100 cm) 11 m² =100×100=10000= 100 \times 100 = 10000 cm²
1 a(アール) 1 辺 10 m 11 a =100= 100 m²
1 ha(ヘクタール) 1 辺 100 m 11 ha =10000= 10000 m² =100= 100 a
1 km² 1 辺 1 km(=1000= 1000 m) 11 km² =1000000= 1000000 m² =100= 100 ha

面積がもつ性質

面積の公式を導く前に、大人向けに、面積がもっている基本的な性質を確認しておきます。

性質 6.23(面積の基本的な性質)

  1. 1 辺 1 cm の正方形の面積は 1 cm² です。
  2. 合同な図形の面積は等しくなります(図形を動かしたり、裏返したりしても面積は変わりません)。
  3. 図形をいくつかに分けたとき、もとの図形の面積は、分けた図形の面積の和です。

次の節の公式は、すべてこの 3 つだけを使って導きます。図形を切って並べかえても面積が変わらないのは 2 と 3 のおかげで、こうして面積を変えずに形を変えることを、広く等積変形といいます。

注意

つまずきポイント 単位の換算:「1 m は 100 cm だから、1 m² は 100 cm²」という誤りはとても多く見られます。1 m² は 1 辺 1 m の正方形なので、縦にも横にも 1 cm² の正方形が 100 個ずつ並び、100×100=10000100 \times 100 = 10000 個入ります。長さが 100 倍になると面積は 100×100100 \times 100 倍になる、というのは性質 6.19 と同じ理由です。

周の長さと面積の混同:「まわりの長さが同じなら、面積も同じ」と考える子どもは少なくありません。まわりの長さが 12 cm の長方形でも、縦 1 cm・横 5 cm なら 5 cm²、縦 3 cm・横 3 cm なら 9 cm² で、面積は違います。長さと面積は別の量です(問題 6.7)。

6.9 面積の公式はなぜそうなるか

小学校の面積の公式は、どれも「すでに面積の求め方を知っている形に変える」ことで導けます。順番が大切で、長方形 → 平行四辺形 → 三角形 → 台形・ひし形 と進みます。

平行四辺形

平行四辺形の 1 つの辺を底辺としたとき、底辺と、それに向かい合う辺との間の垂直な幅を高さといいます(平行な 2 本の直線の幅は、どこで測っても等しいのでした。性質 6.5 の 2)。

底辺 5、高さ 3 の平行四辺形の左端から、高さの線にそって直角三角形を切りとり、右端に移すと、横 5、縦 3 の長方形になる図

平行四辺形の左端の直角三角形を、高さの線にそって切りとり、右端に移します。平行四辺形の左右の辺は平行で長さも等しいので、切りとった三角形は右端にぴったりはまり、横が底辺、縦が高さの長方形になります。面積は変わらない(性質 6.23)ので、次がわかります。

性質 6.24(平行四辺形の面積)平行四辺形の面積 = 底辺 × 高さ

注意 6.25 平行四辺形がとても傾いていると、上の頂点から下ろした高さの線が底辺の外に出てしまい、1 回切るだけでは長方形になりません。このときは、平行四辺形を底辺に平行な線で何枚かの細い帯に切り分けます。帯 1 枚 1 枚は傾きが同じで高さが低いので、どの帯でも高さの線が底辺の内側に入り、それぞれを長方形に変えられます。並べた長方形を積み重ねると、やはり横が底辺、縦が高さの長方形になります。

三角形

三角形の 1 つの辺を底辺としたとき、向かい合う頂点から底辺(またはそれをのばした直線)に垂直にひいた線の長さを高さといいます。

左:三角形と、それを 180° 回した合同な三角形を合わせると、底辺と高さが同じ平行四辺形になる図。右:鈍角三角形では、高さの線は三角形の外にあり、底辺をのばした直線に垂直にひく

合同な三角形を 2 つ用意し、一方を 180∘180^\circ 回して辺どうしを合わせると、平行四辺形ができます(合わせた辺の両端で、2 つの三角形の角がちょうど平行四辺形の角をつくります)。この平行四辺形は、底辺も高さももとの三角形と同じです。三角形はその半分なので、次がわかります。

性質 6.26(三角形の面積)三角形の面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2

「÷ 2」は、同じ三角形 2 つで平行四辺形ができることから来ています。右の図のように、高さが三角形の外にある場合でも、2 つ合わせると平行四辺形になること(注意 6.25 のような傾いた平行四辺形になります)は変わらないので、同じ公式が使えます。

等積変形:形が違っても面積が同じ三角形

性質 6.26 から、三角形の面積は底辺と高さだけで決まります。つまり、底辺が同じで高さも同じなら、形が違っても面積は等しくなります。

平行な 2 本の直線の間にある、底辺 BC が共通な 3 つの三角形。頂点を上の直線にそってずらしても、底辺と高さが変わらないので、面積はすべて等しい

底辺 BC に平行な直線の上で頂点をどこへ動かしても、高さは平行線の幅で一定なので、面積は変わりません。これも等積変形の一つで、中学校の図形の問題でもよく使われる考え方です。

台形

台形の平行な 2 つの辺を上底・下底、その間の幅を高さといいます。

上底 2、下底 4、高さ 3 の台形と、それを 180° 回した合同な台形を合わせると、底辺が 2 + 4 = 6、高さ 3 の平行四辺形になる図。台形の面積はその半分の 9

合同な台形を 2 つ用意し、一方を 180∘180^\circ 回して横に並べると、平行四辺形ができます。その底辺は「上底 + 下底」、高さは台形の高さと同じです。台形はその半分なので、次がわかります。

性質 6.27(台形の面積)台形の面積 =(上底 + 下底)× 高さ ÷ 2

上底を 0 にすると三角形の公式に、上底と下底を等しくすると平行四辺形の公式になります。台形の公式は、三角形と平行四辺形の公式を両方含んでいるのです。台形の面積は、対角線で 2 つの三角形に分けても求められます(問題 6.6)。

ひし形

性質 6.28(ひし形の面積)ひし形の面積 = 対角線 × 対角線 ÷ 2

ひし形の 2 本の対角線は垂直に交わり、互いに真ん中の点で交わります。ひし形をちょうど囲む長方形(各辺が対角線に平行で、ひし形の 4 つの頂点を通る長方形)をかくと、縦と横はそれぞれ 2 本の対角線の長さに等しくなります。この長方形は、ひし形の 2 本の対角線で 4 つの小さな長方形に分かれ、その 1 つ 1 つがひし形の辺で 2 つの合同な直角三角形に分かれます。8 つの直角三角形のうち、ひし形の内側にあるのはちょうど 4 つです。だから、ひし形の面積は長方形のちょうど半分です。この考え方は、2 本の対角線が垂直に交わる四角形ならどれにでも使えます。

ヒント

子どもに伝えるには 方眼紙に平行四辺形・三角形・台形をかいて、はさみで切って、長方形に変身させる活動がいちばんの近道です。「公式を覚える」よりも先に、「どうすれば知っている形(長方形)になるかな?」と問いかけてください。平行四辺形なら「はみ出した三角形を切って反対側へ」、三角形なら「同じものをもう 1 枚作って合わせる」、台形も「もう 1 枚作って、くるっと回して合わせる」です。子どもが自分で見つけた方法(台形を 2 つの三角形に分ける、など)は、どれも正しい説明として認めましょう。いろいろな方法で同じ答えになることを確かめると、公式への信頼が深まります。

注意

つまずきポイント 平行四辺形や三角形の「高さ」を、斜めの辺の長さと取り違える誤りが多く見られます。高さは底辺に垂直な長さです。斜めの辺を使って「底辺 × 斜めの辺」とすると、傾くほど面積が大きくなるはずだという奇妙な結論になります(実際は、傾けると高さが低くなり、面積は小さくなります)。また、鈍角三角形で高さが外にある場合や、底辺が下にない三角形では、どこが高さかわからなくなりがちです。紙を回して、底辺が下になる向きに置き直すとわかりやすくなります。

6.10 円周率

円とは

3 年生で、円は次のように学びます。

定義 6.29(円)1 つの点から長さが等しくなるようにかいた丸い形を円といいます。その点を円の中心、中心から円のまわりまでひいた直線を半径、中心を通って円のまわりからまわりまでひいた直線を直径といいます。直径の長さは半径の長さの 2 倍です。

コンパスで円がかけるのは、針と鉛筆の間の長さ(半径)が一定に保たれるからです。

円周 ÷ 直径はいつも同じ

5 年生では、円のまわりの長さ(円周)を調べます。缶や皿のまわりにひもや紙テープを巻きつけて長さを測り、直径でわると、どの円でも 3.1 くらいになります。

性質 6.30(円周と直径)どんな大きさの円でも、円周 ÷ 直径 は同じ値になります。

定義 6.31(円周率)円周 ÷ 直径 の値を円周率といいます。円周率は 3.14159…3.14159\ldots と限りなく続く数で、算数ではふつう 3.143.14 を使います。中学校からは記号 π\pi(パイ)で表します。

性質 6.30 は、言いかえると「円周は直径に比例する」(第5章)ということです。なぜどの円でも同じ値になるのでしょうか。理由は、どの 2 つの円も、互いに拡大図・縮図の関係にあるからです。半径 2 cm の円は、半径 1 cm の円の 2 倍の拡大図です。円周にそって細かく折れ線をかいてその長さで円周を近似すると、拡大図では折れ線の長さもすべて 2 倍になるので、円周も 2 倍になります。直径も 2 倍なので、円周 ÷ 直径の値は変わりません。

注意 6.32 大人向けに補足すると、そもそも「曲線の長さ」とは何かは自明ではありません。数学では、曲線の上に点をとって結んだ折れ線の長さを考え、点を細かくとっていったときにその長さが近づいていく値として、曲線の長さを定義します。上の説明はこの考え方にもとづいています。

3.14 は近似値

円周率は、ちょうど 3.14 ではありません。3.14 は、限りなく続く 3.14159265…3.14159265\ldots の小数第三位以下を切り捨てた近似値です。円周率は分数で表せない数(無理数)で、小数で書くと循環しないまま限りなく続くことが、18 世紀にランベルトによって証明されています。

円周率がおよそどのくらいの数かは、円の内側と外側に多角形をかくとわかります。

左:円の内側にぴったり入る正六角形。1 辺は半径に等しく、周の長さは半径の 6 倍、つまり直径の 3 倍なので、円周は直径の 3 倍より長い。右:円の外側にぴったり接する正方形。周の長さは直径の 4 倍なので、円周は直径の 4 倍より短い

  • 円の内側にぴったり入る正六角形は、中心と結ぶと 6 つの正三角形に分かれるので、1 辺の長さは半径と同じです。周の長さは半径の 6 倍、つまり直径の 3 倍です。円周はこの正六角形のまわりより長いので、円周率は 3 より大きくなります。
  • 円の外側にぴったり接する正方形は、1 辺が直径と同じなので、周の長さは直径の 4 倍です。円周はこれより短いので、円周率は 4 より小さくなります。

古代ギリシャのアルキメデス(紀元前 3 世紀)は、この方法を正九十六角形まで進めて、円周率が 31071\displaystyle 3\frac{10}{71} より大きく 317\displaystyle 3\frac{1}{7} より小さいことを示しました。小数で書くと 3.1408…3.1408\ldots と 3.1428…3.1428\ldots の間で、ここから 3.143.14 までは正しいとわかります。

注意

つまずきポイント 「円周率は 3.14」と覚えていると、円周率がちょうど 3.14 だと思い込みがちです。3.14 は計算のための近似値で、本当の値は少しだけ大きい 3.14159…3.14159\ldots です。また、実際にひもで測ると 3.0 や 3.2 といった値が出ることがありますが、これは測定の誤差です。何人かの測定結果を集めて平均すると、偶然のばらつきがならされて、1 人ひとりの値よりも安定した値になります(ただし、ひもが伸びる・巻き方がゆるいといった、いつも同じ向きにずれる誤差は、平均しても消えません)。

ヒント

子どもに伝えるには 大きさの違う缶やコップ、皿などを集めて、紙テープを 1 周巻いて切りとり、直径の長さと並べて比べます。どれも「直径 3 本分と少し」になることが目で見てわかります。「大きい缶でも小さい缶でも、いつも 3 本と少しなのはなぜだろう?」と問いかけ、「小さい缶を拡大コピーしたら大きい缶になるよね」と拡大図の話につなげると、円周率がどの円でも同じ理由に触れられます。

6.11 円の面積はなぜ「半径 × 半径 × 円周率」か

おうぎ形に切って並べかえる

円を中心から細かく等分しておうぎ形に切り、向きを交互に変えて並べかえます。

円を 8 等分、16 等分、32 等分したおうぎ形を、向きを交互に変えて並べかえた図。上半分の青いおうぎ形の弧は上に、下半分のオレンジのおうぎ形の弧は下に並ぶ。等分を細かくするほど、横が円周の半分、縦が半径の長方形に近づく

並べかえた形は、細かく切るほど長方形に近づいていきます。その長方形の

  • 縦は、おうぎ形の半径、つまり円の半径です。
  • 横は、上に並んだ弧(青)を合わせた長さで、円周の半分です。円周は「直径 × 円周率」なので、その半分は「半径 × 円周率」です。

したがって、円の面積は「縦 × 横 = 半径 ×(半径 × 円周率)」です。

性質 6.33(円の面積)円の面積 = 半径 × 半径 × 円周率

例 6.34 半径 10 cm の円の面積は、円周率を 3.14 として 10×10×3.14=31410 \times 10 \times 3.14 = 314 cm² です。1 辺 20 cm の正方形(面積 400 cm²)の中にぴったり入る円なので、正方形の約 314400=0.785\displaystyle \frac{314}{400} = 0.785、つまり 8 割弱の広さです。

2 つの円周率

ここには、見落とされがちな不思議があります。円周率は「円周 ÷ 直径」として定義したものでした。それなのに、円の面積を表す式にも同じ円周率が現れます。「円の面積 ÷(半径 × 半径)」が一定であること自体は、性質 6.19(拡大すると面積は k×kk \times k 倍)からわかりますが、その一定の値が円周率と同じになる理由は、拡大だけからは出てきません。長さの円周率と面積の円周率が同じ値であることを示しているのが、このおうぎ形の並べかえなのです。

大人のための補足:「近づく」をきちんと考える

並べかえた形は、何等分しても弧の部分がでこぼこしていて、ぴったりの長方形にはなりません。「細かくすれば長方形に近づく」というのは極限の考え方で、小学校では直観的に認めています。

もう少していねいに考えるには、円の内側と外側にかいた正多角形で円をはさみます。円にぴったり外接する正多角形を、中心と各頂点を結んで三角形に分けると、どの三角形も高さが半径に等しいので、面積は「周の長さ × 半径 ÷ 2」です。内接する正多角形でも、高さ(中心から辺までの距離)を使って同じ形の式になります。辺の数を増やすと、内接・外接どちらの正多角形でも、周の長さは円周に、高さは半径に近づくので、その間にはさまれた円の面積は「円周 × 半径 ÷ 2 = 半径 × 半径 × 円周率」でなければなりません。これがアルキメデスの方法の考え方です。厳密には「近づく」ことを極限として定義する必要があり、それは高校・大学の数学の仕事になります。

ちなみに、円を同心円の細い輪に切り分けて、それぞれを切り開いて伸ばし、短い順に積み重ねると、底辺が円周、高さが半径の三角形に近づきます。この見方でも、面積は「円周 × 半径 ÷ 2」になります。

補足

この先の数学では 「細かく切って、長方形の面積の和で近似し、その極限をとる」という考え方は、高校の数学 III で区分求積法として学び(P4 第6章)、大学ではリーマン積分の定義になります(01 第5章)。円の面積は、積分を使えば ∫−rr2r2−x2 dx=πr2\int_{-r}^{r} 2\sqrt{r^2 - x^2}\ dx = \pi r^2 と計算できます。

さらに「面積とは何か」をつきつめると、どんな図形に面積を決められるのか、という問題に行き着きます。性質 6.23 のような性質をもつ「面積」を、できるだけ多くの図形に対して定めるのがルベーグ測度で、そこでは「どうやっても面積を決められない図形」が存在することもわかります(06 第2章)。また、円周率は分数で表せないだけでなく、整数を係数とする(0 でない)多項式の方程式の解にもならない超越数であることが知られていて(リンデマン、1882 年)、そのため、定規とコンパスで円と同じ面積の正方形を作図することはできません(04 第8章)。

6.12 体積

かさを数で表す

体積も、面積と同じように単位の立方体がいくつ分かで表します。

定義 6.35(体積)かさのことを体積といいます。1 辺が 1 cm の立方体の体積を 1 立方センチメートルといい、1 cm³ と書きます。体積は、この立方体がいくつ分あるかで表します。

性質 6.36(直方体の体積)直方体の体積は「縦 × 横 × 高さ」、立方体の体積は「1 辺 × 1 辺 × 1 辺」で求められます。

左:1 cm³ の立方体を横 4 個、奥行き 3 個、高さ 2 段に積んだ直方体。1 段に 4 × 3 = 12 個、2 段で 24 個なので 24 cm³。右:1 辺 10 cm の立方体の体積は 10 × 10 × 10 = 1000 cm³ で、1 L に等しい。1 cm³ は 1 mL

横 4 cm、奥行き 3 cm、高さ 2 cm の直方体には、1 段に 4×3=124 \times 3 = 12 個の 1 cm³ の立方体が並び、それが 2 段あるので 12×2=2412 \times 2 = 24 個入ります。「縦 × 横」は 1 段に並ぶ個数、つまり底面積の数にあたります。

角柱・円柱

6 年生では、角柱や円柱の体積を学びます。

性質 6.37(角柱・円柱の体積)角柱・円柱の体積 = 底面積 × 高さ

直方体の体積が「1 段分の個数 × 段の数」だったことを思い出すと、角柱や円柱も、底面と同じ形の厚さ 1 cm の板を積み重ねたものとみられます。厚さ 1 cm の板 1 枚の体積は、数としては底面積と同じ(底面積が 12 cm² なら 12 cm³)なので、高さの分だけ積み重ねれば「底面積 × 高さ」です。円柱なら、底面積は「半径 × 半径 × 円周率」なので、体積は「半径 × 半径 × 円周率 × 高さ」になります。

「同じ高さで切った断面の面積がいつも等しい 2 つの立体は、体積も等しい」という考え方は、17 世紀のイタリアの数学者カヴァリエリの名をとってカヴァリエリの原理と呼ばれます。板を少しずつずらして積んだ斜めの柱でも、まっすぐな柱と体積が同じになるのは、この原理によります。

単位の換算

かさの単位 L(リットル)と体積の単位 cm³ は、次のように結びついています。

単位 cm³ で表すと どんな大きさか
1 mL 11 cm³ 1 辺 1 cm の立方体
1 dL 100100 cm³ 1 L の 110\displaystyle \frac{1}{10}
1 L 10001000 cm³ 1 辺 10 cm の立方体
1 m³ 10000001000000 cm³ 1 辺 1 m の立方体。11 m³ =1000= 1000 L

単位の頭につく文字には、決まった意味があります。k(キロ)は 1000 倍、d(デシ)は 110\displaystyle \frac{1}{10}、c(センチ)は 1100\displaystyle \frac{1}{100}、m(ミリ)は 11000\displaystyle \frac{1}{1000} です。1 km =1000= 1000 m、1 kg =1000= 1000 g、1 mL =11000\displaystyle = \frac{1}{1000} L、1 dL =110\displaystyle = \frac{1}{10} L のように、長さ・重さ・かさで共通のしくみになっています。こうした単位の体系をメートル法といいます。

6.8 節のつまずきポイントで見たように、長さの単位が 100 倍の関係でも、面積や体積の単位の関係は違います。1 m =100= 100 cm でも、1 m² =10000= 10000 cm²、1 m³ =1000000= 1000000 cm³ です。長さが 100 倍になると、面積は 100×100100 \times 100 倍、体積は 100×100×100100 \times 100 \times 100 倍になります。「1 L は 1 辺 10 cm の立方体」と、ます(升)の大きさを 1 つ実感として覚えておくと、ほかの関係も導きやすくなります。工作用紙で内側の 1 辺が 10 cm の立方体の箱を作り、1 L の水を移してみると、ほぼちょうどいっぱいになることが確かめられます。

補足

この先の数学では 角錐・円錐の体積が「底面積 × 高さ × 13\displaystyle \frac{1}{3}」になることや、球の体積と表面積は、中学 1 年で学びます(P2 第7章)。断面積を積分して体積を求める方法は高校の数学 III で学び(P4 第6章)、大学では重積分として扱います(01 第9章)。カヴァリエリの原理は、その中で証明できる事実になります。

まとめ

  • 角の大きさは、辺の長さではなく開き具合(回転の量)で、1 回転を 360∘360^\circ とします。一直線は 180∘180^\circ です。
  • 三角形の内角の和は 180∘180^\circ です。角をちぎって並べるのは実験で、どんな三角形でも成り立つことの証明は、平行線の性質(同位角・錯角)を使って中学校で行います。
  • 正方形は長方形でもひし形でもあり、長方形とひし形は平行四辺形の特別な場合です。図形の仲間分けは定義にもとづいて行います。
  • 合同な図形は、対応する辺の長さと角の大きさがそれぞれ等しくなります。三角形は 3 辺の長さなどで形が 1 つに決まります。
  • 線対称は「折ると重なる」、点対称は「180∘180^\circ 回すと重なる」図形です。
  • 拡大図・縮図は、角の大きさを変えずに、すべての辺の長さに同じ数をかけた図です。長さを kk 倍すると、面積は k×kk \times k 倍、体積は k×k×kk \times k \times k 倍になります。
  • 面積は単位正方形がいくつ分あるかで表します。平行四辺形・三角形・台形・ひし形の公式は、切って動かしたり、同じ図形を 2 つ合わせたりして、長方形や平行四辺形に変えることで導けます。
  • 円周率は「円周 ÷ 直径」で、どの円も互いに拡大図・縮図なので、どの円でも同じ値です。3.143.14 は近似値で、正六角形と正方形で円をはさむと 3 と 4 の間にあることがわかります。
  • 円の面積は、おうぎ形に切って並べかえた形が「縦が半径、横が円周の半分」の長方形に近づくことから、「半径 × 半径 × 円周率」になります。
  • 体積は単位立方体がいくつ分あるかで表し、角柱・円柱は「底面積 × 高さ」です。1 L =1000= 1000 cm³、1 mL =1= 1 cm³ です。

演習問題

問題 6.1 ★ 【親子で】 色紙で形のちがう三角形を 3 つ作り、それぞれの 3 つの角をちぎって 1 点のまわりに並べてください。次に、四角形でも同じことをしてみましょう。四角形の 4 つの角を並べるとどうなりますか。また、その結果を三角形の結果から説明してください。

解答

三角形では、どの形でも 3 つの角がすき間なく並び、一直線(180∘180^\circ)になります。四角形では、4 つの角が 1 点のまわりをちょうど 1 周して 360∘360^\circ になります。四角形は 1 本の対角線で 2 つの三角形に分けられ、2 つの三角形の内角を合わせると四角形の 4 つの内角になるので、180∘×2=360∘180^\circ \times 2 = 360^\circ です。

声かけの例:並べる前に「どうなると思う?」と予想させると、結果への驚きが大きくなります。少しすき間や重なりができたら、「ちぎった紙の端がでこぼこしているからかな? 分度器で測ってみようか」と、誤差の話につなげます。四角形で 1 周したことに子どもが気づいたら、「三角形だと半周、四角形だと 1 周。五角形だとどうなると思う?」(答えは 540∘540^\circ で、1 周半)と広げられます。凹んだ四角形(ブーメランのような形)で試すのも面白い発展です。

問題 6.2 ★★ 【説明】 子どもが「三角形の角を切って並べたら、ぴったり一直線になったよ。だから三角形の角の和は 180° だって証明できたね」と言いました。(1) この考えのどこが「証明」として足りないのかを、大人向けに説明してください。(2) 平行線を使って内角の和が 180∘180^\circ になる理由を、子どもに話す言葉で説明してください。

解答

(1) 足りない点は 2 つあります。1 つは、「ぴったり一直線」かどうかを目で見て判断しているだけで、ほんの少しのずれ(たとえば 1∘1^\circ)があっても気づけないことです。もう 1 つは、試したのが特定の三角形だけで、「どんな三角形でも」成り立つことは何個試しても確かめきれないことです。証明では、特定の三角形によらない理由で、すべての三角形について示す必要があります。ただし、実験は予想を立てるためにとても大切な活動なので、否定する必要はありません。

(2) 説明の例:「三角形の上のとがった角を通るように、下の辺とまっすぐ平行な線を 1 本ひいてみるよ。平行な線に斜めの線が交わると、同じ大きさの角ができるんだったね(三角定規をずらして平行な線をかいたときのことを思い出してね)。だから、左下の角とまったく同じ大きさの角が、上の角のすぐ左にできる。右下の角と同じ大きさの角も、上の角のすぐ右にできる。そうすると、上の角のところに 3 つの角がすき間なく並んで、平行な線の上で一直線になっているよね。一直線は 180∘180^\circ だから、3 つの角を合わせると 180∘180^\circ。切って並べなくても、どんな三角形でも、ちゃんと同じ場所に同じ角ができるから、いつでも 180∘180^\circ なんだ。」

問題 6.3 ★ (1) 五角形の内角の和を求めてください。(2) 正六角形の 1 つの内角の大きさを求めてください。(3) 六角形の内側に 1 つの点をとり、その点と 6 つの頂点を結んで 6 つの三角形に分ける方法でも、六角形の内角の和を求めてください。

解答

(1) 1 つの頂点から対角線をひくと 3 つの三角形に分けられるので、180∘×3=540∘180^\circ \times 3 = 540^\circ です。

(2) 六角形の内角の和は 180∘×4=720∘180^\circ \times 4 = 720^\circ で、正六角形の 6 つの角は等しいので、720∘÷6=120∘720^\circ \div 6 = 120^\circ です。

(3) 6 つの三角形の内角の和は 180∘×6=1080∘180^\circ \times 6 = 1080^\circ です。このうち、内側の点のまわりに集まった角は 1 周分の 360∘360^\circ で、これは六角形の内角ではないので引きます。1080∘−360∘=720∘1080^\circ - 360^\circ = 720^\circ となり、(2) で使った値と一致します。

問題 6.4 ★ 次の (ア)〜(カ) が正しいか正しくないかを答えてください。正しくないものは、理由も答えてください。 (ア) 正方形は長方形の仲間である。 (イ) ひし形は平行四辺形の仲間である。 (ウ) 長方形の 2 本の対角線は、いつも垂直に交わる。 (エ) 平行四辺形は点対称な図形である。 (オ) 平行四辺形は、いつも線対称な図形である。 (カ) 正三角形は点対称な図形である。

解答

(ア) 正しい。4 つの角がすべて直角なので、長方形の定義を満たします。

(イ) 正しい。ひし形は向かい合った 2 組の辺が平行です(中学校で証明します)。

(ウ) 正しくない。対角線が垂直に交わるのは、長方形のうち正方形の場合だけです。たとえば縦 1 cm、横 3 cm の長方形の対角線は垂直ではありません。

(エ) 正しい。対角線の交わる点が対称の中心で、そのまわりに 180∘180^\circ 回すと重なります。

(オ) 正しくない。ひし形や長方形の場合は線対称ですが、一般の平行四辺形はどの直線で折っても重なりません(6.6 節の表)。

(カ) 正しくない。正三角形を 180∘180^\circ 回すと、頂点が下を向いて重なりません。正三角形は線対称(軸 3 本)ですが、点対称ではありません。

問題 6.5 ★★ 【説明】 子どもに「三角形の面積は、どうして最後に 2 でわるの?」と聞かれました。図を使って、子どもに話す言葉で説明してください。また、子どもが「底辺 6 cm、高さ 4 cm の三角形でも、とがった角が底辺の真上より外にはみ出していたら、公式は使えないよね?」と言ったら、どう答えますか。

解答

説明の例:「同じ三角形をもう 1 枚作って、くるっと半回転させてくっつけてみよう。ほら、平行四辺形になったね。平行四辺形の面積は、はみ出した三角形を切って反対側に動かすと長方形になるから、底辺 × 高さだったよね。この平行四辺形は、もとの三角形 2 つ分。だから、三角形 1 つ分の面積は、平行四辺形の半分で、底辺 × 高さ ÷ 2 なんだよ。『2 でわる』のは、『同じ三角形 2 つで平行四辺形ができるから』なんだ。」

はみ出している(高さが三角形の外にある)場合の答えの例:「使えるよ。その三角形でも、同じものをもう 1 枚作って半回転させてくっつけると、ちゃんと平行四辺形になるんだ。ちょっと傾いた平行四辺形になるけど、底辺は 6 cm、高さは 4 cm のまま。だから面積は 6×4÷2=126 \times 4 \div 2 = 12 cm² だよ。高さは、底辺をのばした線に、とがった角から垂直に下ろした長さのことなんだ。」実際に方眼紙で鈍角三角形を 2 枚切って合わせて見せると、納得しやすくなります。傾きが大きい平行四辺形が長方形に変えられることは、注意 6.25 の帯に切る方法で確かめられます。

問題 6.6 ★★ 上底 3 cm、下底 7 cm、高さ 4 cm の台形の面積を、次の 2 つの方法で求め、台形の公式の答えと一致することを確かめてください。(1) 1 本の対角線で 2 つの三角形に分ける。(2) 高さの半分のところで台形を上下に切り、上の部分を 180∘180^\circ 回して下の部分の横につけ、平行四辺形を作る。

解答

公式では (3+7)×4÷2=20(3 + 7) \times 4 \div 2 = 20 cm² です。

(1) 対角線で分けると、底辺 7 cm(下底)・高さ 4 cm の三角形と、底辺 3 cm(上底)・高さ 4 cm の三角形ができます(上底を底辺とみた三角形の高さも、平行な 2 辺の幅 4 cm です)。面積は 7×4÷2+3×4÷2=14+6=207 \times 4 \div 2 + 3 \times 4 \div 2 = 14 + 6 = 20 cm² で、一致します。この方法から、公式の「上底 + 下底」は、2 つの三角形の底辺の和であることがわかります。

(2) 高さの半分(2 cm)のところで切ると、上の部分は上底 3 cm の台形、下の部分は下底 7 cm の台形です。上の部分を、切り口の右端(台形の右側の辺の真ん中の点)を中心に 180∘180^\circ 回すと、下の部分の右側にぴったりつき、上底 3 cm だった辺が下底の続きに並びます。できる図形は、底辺が 7+3=107 + 3 = 10 cm、高さが 2 cm の平行四辺形なので、面積は 10×2=2010 \times 2 = 20 cm² です。これは、公式を「(上底 + 下底)×(高さ ÷ 2)」と読んだものにあたります。

問題 6.7 ★★ 【親子で】 長さ 24 cm のひもを結んで輪にし、方眼紙の上でいろいろな長方形を作ります(辺の長さは整数の cm とします)。どんな長方形が作れますか。それぞれの面積を求め、面積がいちばん大きくなるのはどんなときか調べてください。また、同じひもで円を作ると、面積はおよそ何 cm² ですか(円周率は 3.14 とし、小数第一位まで求めてください)。

解答

まわりの長さが 24 cm なので、縦と横の和は 12 cm です。作れる長方形(縦 ≦ 横とします)と面積は次のとおりです。

縦 × 横(cm) 1 × 11 2 × 10 3 × 9 4 × 8 5 × 7 6 × 6
面積(cm²) 11 20 27 32 35 36

まわりの長さは同じでも面積はばらばらで、縦と横の差が小さいほど面積が大きく、正方形(6 cm × 6 cm)のときに最大の 36 cm² になります。

円の場合、円周が 24 cm なので、直径は 24÷3.14=7.643…24 \div 3.14 = 7.643\ldots cm、半径は約 3.8223.822 cm です。面積は 3.822×3.822×3.14=45.86…3.822 \times 3.822 \times 3.14 = 45.86\ldots なので、約 45.9 cm² です。同じまわりの長さでは、円は正方形よりも広い面積を囲めます(実は、まわりの長さが同じ図形の中で、面積が最大になるのは円です)。

声かけの例:子どもが「まわりが同じだから、面積も同じでしょ?」と言ったら、まず実際に作らせて、マスを数えてもらいます。細長い 1 × 11 と正方形 6 × 6 を並べて「どっちが広い?」と聞くと、違いは一目瞭然です。「シャボン玉や、ネコが寒いときに丸くなるのはなぜかな?」と、身の回りの丸い形の話に広げるのも楽しいでしょう。

問題 6.8 ★★ (1) 縮尺 1:250001 : 25000 の地図で、2 つの地点の間の長さが 6 cm でした。実際の距離は何 km ですか。(2) この地図の上で面積が 2 cm² の公園の、実際の面積は何 m² ですか。また、何 ha ですか。(3) 縦 4 cm、横 5 cm の長方形の 3 倍の拡大図の面積は、もとの長方形の面積の何倍ですか。

解答

(1) 地図上の 1 cm は実際の 2500025000 cm =250= 250 m なので、6 cm は 6×250=15006 \times 250 = 1500 m、つまり 1.5 km です。

(2) 地図上の 1 cm² は、実際には 1 辺 250 m の正方形なので、250×250=62500250 \times 250 = 62500 m² です。2 cm² では 62500×2=12500062500 \times 2 = 125000 m² です。1 ha =10000= 10000 m² なので、125000÷10000=12.5125000 \div 10000 = 12.5 ha です。「長さが 25000 倍だから面積も 25000 倍」と考えて 2×25000=500002 \times 25000 = 50000 cm² =5= 5 m² としてしまうのが典型的な誤りです。

(3) もとの面積は 4×5=204 \times 5 = 20 cm²、3 倍の拡大図は縦 12 cm、横 15 cm で面積は 12×15=18012 \times 15 = 180 cm² なので、180÷20=9180 \div 20 = 9 倍です。縦も横も 3 倍になるので 3×3=93 \times 3 = 9 倍、と考えることもできます。

問題 6.9 ★★★ 半径 rr cm の円の中に、ぴったり入る正十二角形をかきます。(1) 正十二角形を、中心と各頂点を結んで 12 個の合同な二等辺三角形に分けます。そのうちの 1 つ OAB(O は中心)で、頂点 B から辺 OA に垂直な線 BH をひくと、BH の長さは半径の半分になります。その理由を説明してください(ヒント:B を直線 OA について折り返した点 B′ を考えます)。(2) (1) を使って、正十二角形の面積が 3×r×r3 \times r \times r cm² であることを示してください。(3) 円の外側にぴったり接する正方形の面積も考えて、円周率が 3 より大きく 4 より小さいことを、面積を使って説明してください。

解答

(1) 正十二角形の 12 個の三角形の頂角は、360∘÷12=30∘360^\circ \div 12 = 30^\circ なので、∠AOB=30∘\angle \mathrm{AOB} = 30^\circ です。B を直線 OA について折り返した点を B′ とすると、三角形 OBH と三角形 OB′H は線対称で合同なので、∠BOB′=30∘×2=60∘\angle \mathrm{BOB'} = 30^\circ \times 2 = 60^\circ、OB′ == OB =r= r です。また、B と B′ を結ぶ直線は対称の軸 OA と垂直に交わるので(性質 6.17)、H は線分 BB′ 上にあり、BH == B′H です。三角形 OBB′ は OB == OB′ の二等辺三角形で、頂角が 60∘60^\circ なので、2 つの底角はどちらも (180∘−60∘)÷2=60∘(180^\circ - 60^\circ) \div 2 = 60^\circ となり、正三角形です。よって BB′ =r= r で、BH はその半分の r2\displaystyle \frac{r}{2} です。

(2) 三角形 OAB は、底辺 OA =r= r、高さ BH =r2\displaystyle = \frac{r}{2} なので、面積は r×r2÷2=14×r×r\displaystyle r \times \frac{r}{2} \div 2 = \frac{1}{4} \times r \times r です。12 個合わせると、正十二角形の面積は 12×14×r×r=3×r×r\displaystyle 12 \times \frac{1}{4} \times r \times r = 3 \times r \times r です。

(3) 正十二角形は円の内側にすっぽり入るので、円の面積は正十二角形より大きく、r×r×円周率>3×r×rr \times r \times \text{円周率} > 3 \times r \times r、つまり円周率 >3> 3 です。また、円の外側にぴったり接する正方形は 1 辺が直径 2×r2 \times r なので面積は 4×r×r4 \times r \times r で、円はその内側にあるので、r×r×円周率<4×r×rr \times r \times \text{円周率} < 4 \times r \times r、つまり円周率 <4< 4 です。

ここでは円の面積が「半径 × 半径 × 円周率」であること(性質 6.33)を使っています。6.10 節の周の長さによる比べ方とは別の方法で、同じ結論が出ることを確かめたことになります。なお、正十二角形の周の長さを使うと、もう少し精密に「円周率 >3.1> 3.1」も示せます。2003 年の東京大学の入学試験で「円周率が 3.05 より大きいことを証明せよ」という問題が出たことは有名で、正八角形や正十二角形の周の長さを使って解くことができます(中学 3 年で学ぶ三平方の定理を使います)。

問題 6.10 ★ (1) 内側の長さが縦 30 cm、横 50 cm、深さ 40 cm の水槽に、水は何 L 入りますか。(2) 底面の半径が 5 cm、高さが 10 cm の円柱の形をした容器には、何 mL 入りますか(円周率は 3.14 とします)。(3) 1 m³ は何 L ですか。1 辺 10 cm の立方体を使って説明してください。

解答

(1) 体積は 30×50×40=6000030 \times 50 \times 40 = 60000 cm³ です。1 L =1000= 1000 cm³ なので、60000÷1000=6060000 \div 1000 = 60 L です。

(2) 底面積は 5×5×3.14=78.55 \times 5 \times 3.14 = 78.5 cm² で、体積は 78.5×10=78578.5 \times 10 = 785 cm³ です。1 mL =1= 1 cm³ なので、785 mL です。

(3) 1 辺 1 m(=100= 100 cm)の立方体には、1 辺 10 cm の立方体(1 L)が縦・横・高さにそれぞれ 10 個ずつ並ぶので、10×10×10=100010 \times 10 \times 10 = 1000 個入ります。よって 1 m³ =1000= 1000 L です(cm³ で数えると 100×100×100=1000000100 \times 100 \times 100 = 1000000 cm³ で、1000000÷1000=10001000000 \div 1000 = 1000 L と一致します)。

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