Lemma数学ロードマップ

P1 算数の「なぜ」 · 第 2 章

かけ算とわり算の意味

目安 3〜4.5 時間演習 10 問

この章の目標

  • かけ算の意味(1 つ分の大きさ × いくつ分、倍)を、アレイ図や面積図を使って説明できる
  • 九九表のしくみ(交換法則で覚える数が減ること、段ごとの増え方など)を説明できる
  • かけ算の式の順序をめぐる議論について、数学的な事実と授業のねらいの両方を説明できる
  • わり算の 2 つの意味(等分除・包含除)を区別し、どちらも同じわり算で求められる理由を説明できる
  • あまりのあるわり算の答えが「わられる数 = わる数 × 商 + あまり、あまりはわる数より小さい」で決まることを理解する
  • かけ算・わり算の筆算の手順を、位取りと分配法則から説明でき、0 でわれない理由を説明できる

前提:第1章 数と位取り記数法(十進位取り記数法、たし算・ひき算の筆算)

学年の目安:かけ算は小学 2〜3 年、わり算は小学 3〜4 年(教科書によって前後します)

子どもにこう聞かれたら、どう答えますか。

  • 「4×34 \times 3 も 3×43 \times 4 も答えは 12 なのに、どうしてテストでバツになったの?」
  • 「わり算の筆算は、どうしてたし算やかけ算と違って、大きい位から計算するの?」
  • 「5÷05 \div 0 の答えは 00 じゃないの?」

かけ算とわり算は、大人にとっては「できて当たり前」の計算です。けれども、かけ算の意味を言葉にしようとすると、「同じ数を何回も足すこと」以上のことはなかなか出てきません。わり算にいたっては、「分けること」と「何回とれるか数えること」という、見かけの違う 2 つの場面が同じ記号 ÷ で表されています。この章では、かけ算とわり算が何を表しているのかを確かめたうえで、九九・筆算・あまり・0 でわれない理由を順に見ていきます。かけ算の式の順序をめぐる議論も、両方の立場から紹介します。

なお、この章でいう整数は、小学校の算数と同じく 0,1,2,3,…0, 1, 2, 3, \dots のことです(負の数は中学 1 年で学びます)。

何年生で習う?

学年 かけ算 わり算
2 年 かけ算の意味、「何倍」の意味、九九(1〜9 の段)、交換法則などかけ算のきまり ―
3 年 0 や 10 のかけ算、2・3 けた × 1・2 けたの筆算 わり算の意味(等分除・包含除)、九九を 1 回使うわり算、あまりのあるわり算、簡単な 2 けた ÷ 1 けた(69÷369 \div 3 など)
4 年 概数を使った積の見積もり わり算の筆算(1 けた・2 けたでわる)、わり算のきまり、「わられる数 = わる数 × 商 + あまり」

現行の学習指導要領(2017 年告示、2020 年度から実施)にもとづく目安です。実際に扱う時期は、教科書によって少し前後します。小数・分数のかけ算とわり算は 第4章 で扱います。

2.1 かけ算の意味

1 つ分の大きさ × いくつ分

「1 皿にりんごが 4 個ずつのっています。3 皿では全部で何個ですか」という場面を考えます。答えは 4+4+4=124 + 4 + 4 = 12 個です。このように同じ数のまとまりがいくつかあるとき、全体の数を求める計算がかけ算です。

定義 2.1(かけ算)1 つ分の大きさが 44 で、それが 33 つ分あるときの全体の大きさを求める計算をかけ算といい、4×34 \times 3 と書きます。4×34 \times 3 の 44 をかけられる数、33 をかける数、答えの 1212 を積といいます。

(1 つ分の大きさ)×(いくつ分)=(全体の大きさ)(\text{1 つ分の大きさ}) \times (\text{いくつ分}) = (\text{全体の大きさ})

日本の小学校では、かけ算の式を「1 つ分の大きさ × いくつ分」の順で書くように教えるのがふつうです(この順序については 2.3 節で詳しく扱います)。

例 2.2 「1 つ分の大きさ」と「いくつ分」は、いろいろな場面に現れます。

  • 1 箱 6 本入りの鉛筆が 5 箱 → 6×5=306 \times 5 = 30(本)
  • 1 週間は 7 日。4 週間では → 7×4=287 \times 4 = 28(日)
  • 1 本 80 円のきゅうりを 3 本 → 80×3=24080 \times 3 = 240(円)

どれも、「1 つ分」と「全体」は同じ種類の量(本、日、円)で、「いくつ分」はまとまりの数(箱の数、週の数、本数)です。この違いは、2.4 節でわり算の 2 つの意味を区別するときの手がかりになります。

かけ算は「同じ数のたし算(累加)」で答えを出せますが、意味の中心は「まとまりがいくつ分あるか」という見方のほうにあります。たし算で表すと 4+4+44 + 4 + 4 と 3 回書かなければならないものを、「4 のまとまりが 3 つ」とまとめて言い表すのがかけ算です。

アレイ図

りんごを皿から出して、1 皿分を 1 段として並べると、縦横にきちんとそろった長方形の形になります。このように、ものを縦横に整列させた図をアレイ図(array は「整列」の意味)といいます。

1 皿に 4 個ずつ 3 皿分のりんごを、横 4 個・縦 3 段のアレイ図に並べかえた図。1 段が 1 皿分で、4 × 3 = 12

アレイ図には、次のよい点があります。

  • 1 段が「1 つ分」、段の数が「いくつ分」と、かけ算の構造がそのまま形に見えます。
  • 数え間違いが起きにくく、「4 が 3 つで 12」を一目で確かめられます。
  • 図を横から見る(90° 回す)と、4×34 \times 3 と 3×43 \times 4 の関係が見えます(2.2 節)。
  • 点を正方形のマスに置きかえると、長方形の面積を表す面積図になります。面積図は、2 けたのかけ算の筆算(2.6 節)や、小数・分数のかけ算(第4章)の説明に使えます。

倍

かけ算には、もう 1 つの大切な使い方があります。「A のテープは 4 cm です。B のテープは A の 3 倍の長さです。B は何 cm ですか」という問題では、B の長さは 4×3=124 \times 3 = 12 cm です。

A のテープ 4 cm と、その 3 倍の B のテープ 12 cm を同じ目盛りでかいた図。B は A の長さ 4 cm が 3 つ分

ここでは、皿やりんごのような「まとまり」が実際にあるわけではありません。A の長さを 1 とみたとき、B がその 3 つ分にあたる、という 2 つの量の関係を表しています。この「何倍」という見方は、のちに「もとにする量 × 割合 = 比べられる量」という割合の考え(第5章)につながり、かける数が 1 より小さい数や分数になっても意味が通じます(×0.5\times 0.5 は「半分」、×23\displaystyle \times \frac{2}{3} は「3 等分した 2 つ分」)。

注意 2.3 かけ算を「同じ数のたし算」とだけ覚えていると、4×0.54 \times 0.5 のような計算は「4 を 0.5 回足す」となり、意味がわからなくなります。「1 つ分の大きさ × いくつ分」も「何倍」も、いくつ分(何倍)が整数のときには累加と同じ答えになりますが、小数や分数にも自然に広げられる見方です。2 年生では累加で答えを確かめてかまいませんが、大人は「かけ算 = 累加」と言い切らないほうが、あとの学年の学習とつながります(第4章 のつまずきポイント「かけ算をすると答えは大きくなる」を参照)。

ヒント

子どもに伝えるには かけ算は、式や九九より先に、言葉と具体物で始めます。おはじきや小さなお菓子を紙皿に「4 個ずつ」のせ、皿を 1 枚ずつ増やしながら「4 個ずつ、1 皿分で 4 個。2 皿分で 8 個。3 皿分では?」と聞きます。「○個ずつ、△つ分」と子ども自身に言ってもらうのがポイントです。慣れてきたら、皿を外して縦横に並べ(アレイ図)、「どこが 1 皿分かな?」と指でなぞってもらいます。卵のパック(2 列 × 5 個)、ジュースの箱(3 本 × 2 列)など、身の回りの「並んでいるもの」を探すのも楽しい練習になります(問題 2.1)。

2.2 九九の構造

交換法則

3 段に 5 個ずつ並べたアレイ図を、90° 回してみます。

横に 5 個ずつ 3 段のアレイ図を 90 度回すと、横に 3 個ずつ 5 段になる。個数は同じ 15 個なので 5 × 3 = 3 × 5

回す前は「横に 5 個ずつ 3 段」で 5×35 \times 3、回した後は「横に 3 個ずつ 5 段」で 3×53 \times 5 です。並べ方を変えただけで、おはじきを増やしたり減らしたりはしていないので、個数は変わりません。どんな大きさのアレイ図でも同じことが言えます。

性質 2.4(かけ算の交換法則)かけられる数とかける数を入れかえても、積は変わりません。たとえば 5×3=3×55 \times 3 = 3 \times 5 です。

累加で考えると、5×3=5+5+55 \times 3 = 5 + 5 + 5 と 3×5=3+3+3+3+33 \times 5 = 3 + 3 + 3 + 3 + 3 は、見た目がまったく違う計算です。それが同じ答えになるのは決して当たり前のことではなく、アレイ図を「横に見るか、縦に見るか」の違いだと気づいて初めて納得できる事実です。

覚える数が減る

九九は 1 の段から 9 の段まで、9×9=819 \times 9 = 81 個あります。けれども交換法則を使えば、全部を別々に覚える必要はありません。

九九表。左上から右下への対角線上の 9 個(1, 4, 9, …, 81)をはさんで同じ積が向かい合う。対角線上の 9 個と右上の 36 個、あわせて 45 個を覚えれば、左下の 36 個は交換法則でわかる

九九表で、左上から右下への対角線(1×1,2×2,…,9×91 \times 1, 2 \times 2, \dots, 9 \times 9)をはさんで向かい合うマスには、同じ積が入っています(3×7=213 \times 7 = 21 と 7×3=217 \times 3 = 21 など)。対角線上の 9 個を除いた 72 個は 36 組の「向かい合うペア」に分かれるので、

81=9+36×2⟹覚えるのは 9+36=45 個81 = 9 + 36 \times 2 \quad\Longrightarrow\quad \text{覚えるのは}\ 9 + 36 = 45\ \text{個}

で済みます。さらに 1 の段(1×11 \times 1 から 1×91 \times 9)と、各段の「×1\times 1」はかけ算の意味からすぐわかるので、それらを除くと、残りは 2〜9 の段の 2〜9 をかける 8×8=648 \times 8 = 64 個、交換法則を使えば 8+28=368 + 28 = 36 個です。最初の 81 個に比べて、半分以下になりました。

九九表のパターン

九九表には、ほかにもたくさんのきまりが隠れています。どれも「なぜそうなるか」を説明できます。

  1. 各段は、その段の数ずつ増えます。 7 の段は 7,14,21,…7, 14, 21, \dots と 7 ずつ増えます。「7 が 5 つ分」に 7 をもう 1 つ足せば「7 が 6 つ分」になるからです(7×6=7×5+77 \times 6 = 7 \times 5 + 7)。九九を忘れても、1 つ前の答えにその段の数を足せば作り直せます。
  2. 段どうしを足すと、別の段になります。 2 の段と 5 の段を同じ列どうしで足すと、7 の段になります(2×6+5×6=12+30=42=7×62 \times 6 + 5 \times 6 = 12 + 30 = 42 = 7 \times 6)。アレイ図で、2 段と 5 段を上下に合わせると 7 段になる、ということです。
  3. 9 の段では、十の位が 1 ずつ増え、一の位が 1 ずつ減ります(09,18,27,…,8109, 18, 27, \dots, 81。各位の数字の和はいつも 9)。9×49 \times 4 は「10 が 4 つ分から 1 が 4 つ分を引いたもの」、つまり 40−4=3640 - 4 = 36 だからです。十の位は 4−1=34 - 1 = 3、一の位は 10−4=610 - 4 = 6 になっています。
  4. 5 の段の一の位は、5 と 0 がくり返します。 5×2=105 \times 2 = 10 なので、5 を 2 回足すごとに一の位が 0 に戻ります。
  5. 対角線上の数 1,4,9,16,25,36,49,64,811, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81 は、差が 3,5,7,9,…3, 5, 7, 9, \dots と奇数になっています。 正方形のアレイ図を 1 回り大きくするには、右と下に 1 列ずつと角の 1 個を足せばよいからです(4 × 4 から 5 × 5 にするには 4+4+1=94 + 4 + 1 = 9 個を足す)。

2 番目のきまりは、2.6 節で筆算のしくみとして使う分配法則の、九九の中での姿です。

性質 2.5(段の増え方と分配法則)かける数が 1 増えると、積はかけられる数だけ増えます。また、2 つの段の同じ列(同じかける数)の積を足すと、かけられる数を足した段の積になります。たとえば

7×6=7×5+7,2×6+5×6=(2+5)×67 \times 6 = 7 \times 5 + 7, \qquad 2 \times 6 + 5 \times 6 = (2 + 5) \times 6

九九という名前は、昔の中国で「九九八十一」から唱え始めたことに由来するといわれています。日本にも古くから伝わり、奈良時代の『万葉集』には「八十一」と書いて「くく」、「十六」と書いて「しし」と読ませる言葉遊びが見られます。九九の唱え方(「しちろく しじゅうに」)は、リズムで覚えられる便利な道具ですが、唱えられることと意味がわかることは別です。唱え方と同時に、アレイ図や「7 ずつ増える」というしくみとも結びつけておくと、忘れたときに自分で作り直せます。

補足

この先の数学では 「どんな数でも a×b=b×aa \times b = b \times a」という交換法則は、自然数を公理から作り直すと、帰納法で証明する定理になります(00 第7章 定理 7.8)。一方、大学で学ぶ行列のかけ算では、交換法則が成り立ちません(AB≠BAAB \neq BA となる例がある。02 第1章)。「かける順序で答えが変わる」計算は、たとえば「回してから裏返す」と「裏返してから回す」のように、操作を続けて行う場面で自然に現れます。算数でかけ算の交換法則を「当たり前でない事実」として確かめておくことは、この違いに気づくための第一歩です。

2.3 かけ算の式の順序をめぐる議論

何が議論になっているのか

「1 皿にりんごが 4 個ずつ、3 皿あります。全部で何個ですか」という問題に、子どもが式を 3×4=123 \times 4 = 12 と書いたとします。答えの 12 個は正しいのに、学校のテストで式がバツ(または減点)になって返ってくることがあります。「4×34 \times 3 と書きなさい」というわけです。

これを見た保護者が「交換法則があるのだから、どちらでも正しいはずだ」と疑問をもつのは自然なことです。この問題は「かけ算の順序問題」などと呼ばれ、保護者・数学者・教師のあいだで長く議論が続いています。どちらの立場にも筋の通った理由があるので、まず数学として確かなことを確認し、そのうえで両方の言い分を紹介します。

数学として確かなこと

  • 積は同じです。 交換法則(性質 2.4)により 3×4=4×3=123 \times 4 = 4 \times 3 = 12 で、どちらの等式も数学として正しい式です。
  • 数学そのものに「かけられる数を 1 つ分にする」という決まりはありません。 数学ではかけ算を数の演算として定義し、場面のどちらの数を先に書くかを定めていません。実際、国によって習慣が逆のこともあります。アメリカの多くの州で使われている共通の基準(Common Core State Standards)では、3 年生の目標として、5×75 \times 7 を「7 個ずつのまとまりが 5 つ」と解釈する例が示されています。日本の授業の「1 つ分 × いくつ分」とは逆の順序です。
  • 同じ場面を 3×43 \times 4 と見ることもできます。 3 枚の皿に、りんごを 1 個ずつ配っていく場面を考えると、1 回配るごとに 3 個ずつ減り、4 回配り終えたところで 1 皿 4 個ずつになります。これは「3 個ずつ、4 回分」で 3×43 \times 4 です。

同じ 3 皿 12 個のりんごの 2 つの見方。皿ごとに見ると 1 皿 4 個ずつ 3 皿で 4 × 3、配った回ごとに見ると 1 回 3 個ずつ 4 回で 3 × 4

つまり、「どちらの数が 1 つ分か」は場面から一通りに決まるとは限らず、どう見るかによって変わります。

順序を大切にする立場

授業で式の順序を問う先生や、それを支持する人たちは、次のような理由を挙げます。

  1. 2 年生で学びたいのは、計算よりも意味です。 かけ算の単元のねらいは、「1 つ分の大きさ × いくつ分」という構造を理解することです。答えの 12 はどちらの順序でも同じなので、子どもが場面の何を「1 つ分」と見たかが表に出るのは、式の書き方くらいしかありません。式は場面を表す「文」であり、その読み書きを練習している、という考え方です。
  2. この構造は、あとの学習の土台になります。 わり算では、「1 つ分を求める」のか「いくつ分を求める」のかで場面の意味が変わります(2.4 節)。高学年で学ぶ「単位量あたりの大きさ × いくつ分」(1 m の値段 × 長さ、速さ × 時間)や「もとにする量 × 割合」でも、かけ算の 2 つの数は役割が違います。「4 個/皿 × 3 皿 = 12 個」のように、2 つの数の単位が違うことに気づくのも大切です。
  3. クラスで共通の約束があると、話し合いがしやすくなります。 「4×34 \times 3 の 4 は何?」と問えば、全員が同じ見方で場面と式を対応させられます。

順序を問わない立場

一方、順序でバツをつけることに反対する人たちは、次のような理由を挙げます。

  1. 数学として正しい式を「誤り」とするのは問題です。 3×4=123 \times 4 = 12 は正しい等式です。それを誤りとすると、子どもは「算数は先生の決まりを当てるもの」と受け取りかねません。
  2. 順序は理解の証拠になりません。 上の図のように、3×43 \times 4 と書いた子は、配る場面を思い浮かべてよく理解しているのかもしれません。逆に、「『ずつ』の前の数を先に書く」という言葉のルールだけで 4×34 \times 3 と書く子もいます。順序だけで判定すると、意味を考えずに文中の言葉で式を決める習慣を、かえって強めてしまうおそれがあります。
  3. 交換法則を学んだ後では、かえって混乱します。 2 年生は、式の順序を学ぶのと同じ学年のうちに「かける数とかけられる数を入れかえても答えは同じ」と学びます。それなのに式ではどちらか一方しか認められない、というのは子どもには納得しにくいことです。
  4. 国や時代によって約束が違います。 前に見たように、逆の順序を基本とする国もあります。

両者に共通していること

2 つの立場は、対立しているように見えて、実は大事なところで一致しています。どちらも「かけ算の意味(何が 1 つ分で、それがいくつ分あるか)を理解することが大切だ」という点では同じ意見です。違うのは、その理解を式の順序で確かめるのが適切かどうか、そして順序が違う式をバツにするべきかどうかという、評価のしかたについての考えです。

意味の理解を確かめたいなら、式の順序だけでなく、「4 は何の数?」「3 は何の数?」と言葉で説明してもらう、図をかいてもらう、といった方法もあります。授業でも、式だけでなく、言葉や図と式を対応させる活動がよく行われています。

家庭ではどうするか

子どもの答案がこの理由でバツになって返ってきたら、次のように話すとよいでしょう。

  • 「答えの 12 個は合っているね。それに、3×43 \times 4 と 4×34 \times 3 が同じ 12 になるのも本当だよ。」と、まず正しい部分を認めます。
  • 「先生は、何が『1 つ分』かわかっているかを、式で見たかったんだと思うよ。授業では『1 つ分 × いくつ分』の順で書く約束にしているんだね。この問題では、1 つ分は何かな?」と、授業のねらいを説明します。
  • 子どもが配る場面などを考えて 3×43 \times 4 と書いていたなら、「そういう見方もできるね」と考えを認めたうえで、学校の約束も伝えます。

先生や学校のやり方を頭ごなしに否定すると、子どもは学校の授業と家庭のどちらを信じればよいのか迷ってしまいます。気になることがあれば、先生に評価のねらいを直接たずねてみるのがよいでしょう。

2.4 わり算の 2 つの意味

等分除と包含除

わり算は 3 年生で学びます。次の 2 つの問題は、どちらも式が 12÷312 \div 3 で、答えは 4 です。

  • 問題 A:12 個のあめを、3 人で同じ数ずつ分けます。1 人分は何個ですか。
  • 問題 B:12 個のあめを、1 人に 3 個ずつ分けます。何人に分けられますか。

しかし、2 つの場面はかなり違います。A では人数(いくつ分)がわかっていて 1 人分(1 つ分の大きさ)を求め、B では 1 人分がわかっていて人数を求めています。答えの 4 も、A では「4 個」、B では「4 人」です。

わり算の 2 つの意味。等分除は 12 個を 3 人で同じ数ずつ分けて 1 人分(4 個)を求める、□ × 3 = 12。包含除は 12 個を 1 人に 3 個ずつ分けて何人分(4 人)かを求める、3 × □ = 12

定義 2.6(わり算の 2 つの意味)「1 つ分の大きさ × いくつ分 = 全体」で、

  • 全体といくつ分がわかっていて、1 つ分の大きさを求めるわり算を等分除(とうぶんじょ)といいます(問題 A)。
  • 全体と 1 つ分の大きさがわかっていて、いくつ分かを求めるわり算を包含除(ほうがんじょ)といいます(問題 B)。

どちらも 12÷312 \div 3 と書き、1212 をわられる数、33 をわる数、答えの 44 を商といいます。

「等分」は「等しく分ける」、「包含」は「3 がいくつ含まれているか」という意味です。この 2 つの名前は子ども向けの教科書にはふつう出てきませんが、子どもの困り方を理解するうえで大人が知っておくと役に立ちます。

なぜ同じわり算で求められるのか

2 つの場面をかけ算の式で書くと、求めるものの位置が違います。

問題 A: □×3=12,問題 B: 3×□=12\text{問題 A}: \ \square \times 3 = 12, \qquad \text{問題 B}: \ 3 \times \square = 12

A では「何の 3 つ分が 12 か」、B では「3 の何個分が 12 か」を求めています。交換法則により □×3\square \times 3 と 3×□3 \times \square は同じなので、どちらの □ も 3 の段の九九(3×4=123 \times 4 = 12)で見つかります。だから、場面の違う 2 つの問題を、同じ 12÷312 \div 3 で計算できるのです。

性質 2.7(わり算とかけ算の関係)12÷312 \div 3 の商は、□×3=12\square \times 3 = 12(または 3×□=123 \times \square = 12)にあてはまる数です。わり算の答えは、かけ算で確かめられます(4×3=124 \times 3 = 12)。

実際に手を動かすと、2 つの場面のつながりがもう 1 つ見えてきます。問題 A のあめを 3 人に配るとき、子どもはふつう「1 人に 1 個ずつ、順番に」配ります。1 回配るごとに 3 個ずつ減るので、配り終えるまでの回数は「12 の中に 3 がいくつ入るか」、つまり問題 B と同じ計算です。そして 1 人がもらう個数は、配った回数と同じ 4 個です。2.3 節の「配る」見方と同じことが、ここにも現れています。

包含除は、「12 から 3 を何回ひけるか」(12−3−3−3−3=012 - 3 - 3 - 3 - 3 = 0 で 4 回)と考えることもできます。かけ算がたし算のくり返しで答えを出せたように、包含除はひき算のくり返しで答えを出せます。

ヒント

子どもに伝えるには 等分除と包含除は、どちらも実際に分けてみるのがいちばんです。12 個のおはじきを用意し、A では人形や紙皿を 3 つ置いて「同じ数ずつになるように配ってね」、B では「1 人に 3 個ずつ袋に入れてね。何袋できるかな」と頼みます。分け終わったら、「答えの 4 は、A では何の数? B では?」と聞いて、「4 個」と「4 人(4 袋)」の違いに気づいてもらいます。最後に、どちらも「3 × 4 = 12」「4 × 3 = 12」の九九で答えが見つかることを確かめると、わり算がかけ算の逆であることが自然に伝わります。

注意

つまずきポイント わり算を「分けること」(等分除)としてだけ理解していると、「12 m のロープを 3 m ずつ切ると何本できますか」のような包含除の問題で、何人で分けるのかがわからず、わり算の式が立てられないことがあります。また、「わり算は大きい数を小さい数でわる」と覚えてしまうと、「3 L のジュースを 4 人で等しく分けると 1 人分は何 L ですか」で 4÷34 \div 3 と書いてしまいます。正しくは 3÷43 \div 4 で、答えは 34\displaystyle \frac{3}{4} L です(第4章 の商分数)。数の大きさではなく、「何が 1 つ分で、何がいくつ分か」から式を立てる習慣が大切です。

2.5 あまりのあるわり算

商とあまり

13 個のあめを、1 人に 4 個ずつ分けます。4 人目に分けようとすると、残りは 1 個しかありません。3 人に分けられて、1 個あまります。これを

13÷4=3 あまり 113 \div 4 = 3 \ \text{あまり} \ 1

と書きます。数直線で見ると、0 から 4 ずつとんでいって、13 をこえないうちに何回とべるかを数えていることになります。

13 ÷ 4 を数直線でみた図。0 から 4 ずつ 3 回とぶと 12 で、13 までの残り 1 があまり。もう 1 回とぶと 16 で 13 をこえるので、4 はもうとれない

3 回とんで 12 まで来ると、13 までの残りは 1 です。もう 1 回とぶと 16 になり 13 をこえてしまうので、これ以上 4 はとれません。このとき 3 を商、1 をあまりといいます。

定義 2.8(あまりのあるわり算)1313 の中に 44 が 33 つ分とれて、11 が残るとき、13÷4=313 \div 4 = 3 あまり 11 と書き、33 を商、11 をあまりといいます。わり切れるときは、あまりが 00 の場合と考えます。

あまりがあるかどうかに関係なく、わられる数・わる数・商・あまりの間には、次の関係があります(4 年生で学びます)。

性質 2.9(わられる数・わる数・商・あまりの関係)わられる数を aa、わる数を bb(11 以上)、商を qq、あまりを rr とすると

a=b×q+r,0≤r<ba = b \times q + r, \qquad 0 \leq r < b

が成り立ちます。逆に、この 2 つの条件を満たす整数 q,rq, r は、aa と bb からただ 1 組に決まります。

13=4×3+113 = 4 \times 3 + 1 です。この式は、答えの確かめ算としても使えます。

2 つ目の条件「0≤r<b0 \leq r < b」、つまりあまりはわる数より小さいことが大切です。13=4×2+513 = 4 \times 2 + 5 も式としては正しいのですが、あまりの 5 の中にまだ 4 がとれるので、「とれるだけとった」答えではありません。この条件があるから、商とあまりがただ 1 通りに決まるのです。

大人のための証明. aa を 00 以上の整数、bb を 11 以上の整数とします。b×0=0≤ab \times 0 = 0 \leq a であり、b×(a+1)≥a+1>ab \times (a + 1) \geq a + 1 > a なので、b×q≤ab \times q \leq a となる整数 qq は 00 から aa までの中にあり、その中でいちばん大きいものを qq とします(「とれるだけとる」)。r=a−b×qr = a - b \times q とおくと、r≥0r \geq 0 です。もし r≥br \geq b なら、b×(q+1)=b×q+b≤b×q+r=ab \times (q + 1) = b \times q + b \leq b \times q + r = a となり、qq がいちばん大きいことに反します。よって 0≤r<b0 \leq r < b です。次に、a=b×q+r=b×q′+r′a = b \times q + r = b \times q' + r'(0≤r<b0 \leq r < b、0≤r′<b0 \leq r' < b)と 2 通りに書けたとし、q<q′q < q' と仮定すると、b×q′+r′≥b×(q+1)=b×q+b>b×q+rb \times q' + r' \geq b \times (q + 1) = b \times q + b > b \times q + r となって矛盾します。q>q′q > q' としても同様なので q=q′q = q' で、そのとき r=r′r = r' です。□\square

注意 2.10 「13÷4=313 \div 4 = 3 あまり 11」の「=」は、ふつうの等号とは少し違う、算数での書き方の約束です。たとえば 7÷27 \div 2 も「3 あまり 1」ですが、13÷413 \div 4 と 7÷27 \div 2 が等しいわけではありません(小数で表すと 3.253.25 と 3.53.5)。「3 あまり 1」は 1 つの数ではなく、商とあまりの組を表しているのです。中学校以降では、この書き方の代わりに 13=4×3+113 = 4 \times 3 + 1 のように性質 2.9 の形で書くのがふつうです。

場面に合わせてあまりを扱う

あまりのあるわり算の文章題では、商をそのまま答えにしてよいとは限りません。

例 2.11 次の 2 つは、どちらも 30÷4=730 \div 4 = 7 あまり 22 です。

  • 「30 人の子どもが、4 人がけの長いすに座ります。全員が座るには、長いすは何脚いりますか。」 7 脚では 2 人が座れないので、もう 1 脚必要で、答えは 8 脚です。
  • 「30 cm のリボンから、4 cm のリボンを何本切りとれますか。」 残りの 2 cm では 4 cm のリボンは作れないので、答えは 7 本です。

前者のように商に 1 を足すことを「切り上げ」、後者のように商をそのまま使うことを「切り捨て」と呼ぶことがあります。どちらにするかは計算ではなく、あまりが場面で何を表しているかで決まります。

注意

つまずきポイント よくある誤りが 2 つあります。1 つは、17÷5=217 \div 5 = 2 あまり 77 のように、あまりがわる数より大きくなる誤りです。九九を思い出すときに 5×2=105 \times 2 = 10 で止まってしまい、5×3=155 \times 3 = 15 も 17 以下であることを見落としています。「あまりの中に、まだ 5 がとれない?」と聞き、あまりとわる数を比べる習慣をつけましょう。もう 1 つは、あまりの単位の誤りです。「17 個のあめを 1 人 5 個ずつ配る」なら商は 3 人、あまりは 2 個で、単位が違います。また、あとで学ぶ小数のわり算では、あまりの小数点の位置にも注意が必要です(第4章 の注意 4.5)。

補足

この先の数学では 性質 2.9 は、負の整数まで含めて「除法の原理」と呼ばれ、整数の性質を調べるときの出発点になります。高校では P6 第3章「整数の性質」で、最大公約数を求めるユークリッドの互除法の土台として使います。大学では 04 第1章 の定理 1.4 として証明し、そこから素因数分解がただ 1 通りであることや合同式へと進みます。「あまりで分類する」考え方は、時計の計算(13 時は午後 1 時)のような合同式の世界の入口でもあります。また、高校の数学 II では、同じ形の割り算を多項式について考えます(x3+1=(x+1)×(x2−x+1)+0x^3 + 1 = (x + 1) \times (x^2 - x + 1) + 0 など。P3 第2章「式と証明」)。

2.6 かけ算の筆算と分配法則

1 けたをかける筆算

23×423 \times 4 を考えます。23 は「10 が 2 つと 1 が 3 つ」なので、それぞれを 4 倍して合わせます。

23×4=(20+3)×4=20×4+3×4=80+12=9223 \times 4 = (20 + 3) \times 4 = 20 \times 4 + 3 \times 4 = 80 + 12 = 92

筆算では、一の位の 3×4=123 \times 4 = 12 を先に計算し、10 の 1 つ分を十の位へ繰り上げます。十の位は「10 が 2×4=82 \times 4 = 8 つ」と、繰り上がった 1 つで 9 つです。繰り上がりのしくみは、たし算の筆算(第1章)と同じで、「1 が 10 個集まったら 10 の 1 つ分にまとめる」という位取り記数法の約束そのものです。

上の計算で使ったのは、次の性質です。

性質 2.12(分配法則)たし算の答えにかけることは、たす前のそれぞれにかけてからたすことと同じです。

(□+△)×◯=□×◯+△×◯,◯×(□+△)=◯×□+◯×△(\square + \triangle) \times \bigcirc = \square \times \bigcirc + \triangle \times \bigcirc, \qquad \bigcirc \times (\square + \triangle) = \bigcirc \times \square + \bigcirc \times \triangle

アレイ図や面積図で見ると、分配法則は「長方形を 2 つに切り分けても、全体の個数(面積)は変わらない」ということです。性質 2.5 で見た「2 の段 + 5 の段 = 7 の段」も、分配法則の一例です。分配法則を使った計算の工夫は、第3章 で詳しく扱います。

2 けたをかける筆算

23×1423 \times 14 の筆算は、次のように書きます。

      2 3
    × 1 4
    -----
      9 2    ← 23 × 4
    2 3      ← 23 × 10(230 の一の位の 0 を省いて書く)
    -----
    3 2 2

2 段目の「23」を 1 けた左にずらして書くのはなぜでしょうか。縦 14、横 23 の長方形の面積図で考えます。

縦 14、横 23 のマス目の長方形を、横 20 と 3、縦 4 と 10 に分けた面積図。上の 4 段は 23 × 4 = 92(20 × 4 = 80 と 3 × 4 = 12)、下の 10 段は 23 × 10 = 230(20 × 10 = 200 と 3 × 10 = 30)で、あわせて 23 × 14 = 322

14 を 4+104 + 10 に分けると、長方形は上の 4 段(23×4=9223 \times 4 = 92)と下の 10 段(23×10=23023 \times 10 = 230)に分かれます。筆算の 1 段目は上の部分、2 段目は下の部分です。2 段目は本当は 230 で、一の位の 0 を書くのを省いているので、1 けた左にずれているのです。式で書けば

23×14=23×(4+10)=23×4+23×10=92+230=32223 \times 14 = 23 \times (4 + 10) = 23 \times 4 + 23 \times 10 = 92 + 230 = 322

で、分配法則そのものです。図をさらに縦の線(20 と 3 の境目)でも切ると、4 つの部分 200,30,80,12200, 30, 80, 12 に分かれ、合計はやはり 322 です。筆算は、この 4 つの部分を「かける数の位ごとに 2 段にまとめて」計算する、手際のよい方法なのです。

例 2.13 23×1423 \times 14 の答えは、23×10=23023 \times 10 = 230 より大きく、23×20=46023 \times 20 = 460 より小さいはずです。このような見積もりをしておくと、2 段目をずらし忘れて 92+23=11592 + 23 = 115 としてしまったときに、すぐ誤りに気づけます。115115 は 23×523 \times 5 の答えです。

補足

この先の数学では 面積図で 4 つの部分に分ける計算は、中学校の式の展開 (a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd(a + b)(c + d) = ac + ad + bc + bd と同じ形です(P2 第3章「式の展開・因数分解と平方根」)。実際、(20+3)(10+4)(20 + 3)(10 + 4) を展開すると 200+80+30+12200 + 80 + 30 + 12 になります。筆算は、「10 を文字 xx に置きかえれば多項式のかけ算になる」という見方で、多項式の計算と同じしくみをしています。

2.7 わり算の筆算 ―たてる・かける・ひく・おろす

お金を分けて考える

わり算の筆算は、「たてる・かける・ひく・おろす」の 4 つの手順をくり返すと教わります。この手順の意味を、お金を分ける場面で確かめましょう。

745 円を、3 人で同じ金額ずつ分けます。お金は 100 円玉が 7 枚、10 円玉が 4 枚、1 円玉が 5 枚です(くずすときは両替できるものとします)。

  1. 100 円玉から分けます。 7 枚を 3 人で分けると、1 人 2 枚ずつで 6 枚使い、1 枚残ります。
  2. 残った 100 円玉 1 枚を 10 円玉 10 枚に両替します。 もとの 4 枚と合わせて 10 円玉は 14 枚です。1 人 4 枚ずつで 12 枚使い、2 枚残ります。
  3. 残った 10 円玉 2 枚を 1 円玉 20 枚に両替します。 もとの 5 枚と合わせて 1 円玉は 25 枚です。1 人 8 枚ずつで 24 枚使い、1 枚残ります。

1 人分は 100 円玉 2 枚、10 円玉 4 枚、1 円玉 8 枚で 248 円、1 円あまります。これを筆算で書いたのが次の図です。

745 ÷ 3 の筆算と、各段の意味。百の位は 7 ÷ 3 で 2 をたて、3 × 2 = 6、7 − 6 = 1。4 をおろして 14。十の位は 14 ÷ 3 で 4 をたて、3 × 4 = 12、14 − 12 = 2。5 をおろして 25。一の位は 25 ÷ 3 で 8 をたて、3 × 8 = 24、25 − 24 = 1。答えは 248 あまり 1

4 つの手順は、お金の分け方と次のように対応しています。

手順 筆算での操作 お金を分ける場面での意味
たてる 商の数字を決める 1 人に何枚ずつ配れるかを決める(7÷37 \div 3 → 2 枚)
かける わる数 × 商を書く 配った枚数を求める(3×2=63 \times 2 = 6 枚)
ひく ひき算をする 配れずに残った枚数を求める(7−6=17 - 6 = 1 枚)
おろす 次の位の数字を下ろす 残りを 1 つ下の位のお金に両替し、もとからあった分と合わせる(10+4=1410 + 4 = 14 枚)

「おろす」で 1 と 4 を並べて 14 と読めるのは、百の位の 1 が十の位では 10 にあたるからです。位取り記数法のおかげで、「両替して合わせる」という操作が、数字を横に並べるだけで済んでいます。

確かめ算は、性質 2.9 を使って 3×248+1=744+1=7453 \times 248 + 1 = 744 + 1 = 745 です。

なぜ大きい位から計算するのか

たし算・ひき算・かけ算の筆算は一の位から計算するのに、わり算だけは大きい位から計算します。その理由も、お金の場面から説明できます。

  • たし算やかけ算では、小さい位から大きい位へ繰り上がります(1 円玉が 10 枚たまったら 10 円玉 1 枚にまとめる)。だから小さい位から計算して、繰り上がりを上の位に送ります。
  • わり算では、分けきれなかった分を両替して、大きい位から小さい位へ送ります(100 円玉の残りを 10 円玉にくずす)。だから大きい位から計算して、残りを下の位に送ります。

わり算を一の位から始めると、上の位から下りてくる分がまだわからないので、一の位の答えを決められません。計算の向きは、繰り上がり・くずした分がどちらへ流れるかで決まっているのです。

注意

つまずきポイント 商の途中に 0 が入るわり算は、まちがいが多いところです。たとえば 618÷3618 \div 3 を、子どもが「6÷3=26 \div 3 = 2、18÷3=618 \div 3 = 6 だから 26」と答えることがあります。十の位では「1 ÷ 3」で、10 円玉 1 枚は 3 人に配れないので、十の位の商は 0 です。そこで 0 をたてずに次へ進むと、位が 1 つずれてしまいます。正しくは 618÷3=206618 \div 3 = 206 です(確かめ:3×206=6183 \times 206 = 618)。「600 円を 3 人で分けるだけで 1 人 200 円だから、26 円のはずがない」という見積もりが、ここでも役に立ちます。

2 けたでわる筆算と仮の商

わる数が 2 けたになると、「たてる」で商の見当をつけるのが難しくなります。たとえば 84÷2884 \div 28 では、28 を 20 とみて「8÷2=48 \div 2 = 4」と見当をつけ、まず 4 をたててみます。これを仮の商(仮商)といいます。ところが 28×4=11228 \times 4 = 112 は 84 より大きくてひけないので、1 小さくして 3 をたてると、28×3=8428 \times 3 = 84 でちょうどわり切れます。

注意 2.14 仮の商は、わる数の一の位を切り捨てて(28 を 20 とみて)見当をつけると大きすぎることがあり、切り上げて(28 を 30 とみて)見当をつけると小さすぎることがあります。大きすぎれば「かける」の結果がひけなくなり、小さすぎれば「ひく」の結果(あまり)がわる数以上になるので、どちらの場合も筆算の途中で気づけます。性質 2.9 の「0≤r<b0 \leq r < b」が、ここでも答えのチェックになっています(問題 2.8)。

2.8 0 でわれない理由

0 のかけ算と、0 をわるわり算

まず、0 が出てくるかけ算とわり算を確認します(3 年生で学びます)。

  • 3×0=03 \times 0 = 0:1 皿 3 個ずつのりんごが 0 皿分なら、りんごは 0 個です。
  • 0×3=00 \times 3 = 0:空の皿(1 皿 0 個)が 3 皿あっても、りんごは 0 個です。
  • 0÷3=00 \div 3 = 0:0 個のあめを 3 人で分けると、1 人分は 0 個です。確かめ算も 0×3=00 \times 3 = 0 で合っています。

性質 2.15(0 のかけ算・わり算)どんな数に 0 をかけても、0 にどんな数をかけても、積は 0 です。また、0 を 0 でない数でわると、商は 0 です。

0 でわるとは

では、5÷05 \div 0 はどうでしょうか。性質 2.7 のように、わり算をかけ算の逆として考えます。

  • 5÷05 \div 0 の答えは、「□×0=5\square \times 0 = 5」にあてはまる数です。ところが、どんな数に 0 をかけても 0 になり、5 にはなりません。あてはまる数がありません。
  • 0÷00 \div 0 の答えは、「□×0=0\square \times 0 = 0」にあてはまる数です。今度は 1 でも 7 でも 100 でも、どんな数もあてはまってしまいます。答えが 1 つに決まりません。

どちらの場合も「答えがただ 1 つに決まる」というわり算の前提が成り立たないので、0 でわることは考えない(定義しない)約束になっています。「5÷0=05 \div 0 = 0」とすると、確かめ算の 0×00 \times 0 が 5 にならないことに注意しましょう。

わり算の 2 つの意味からも、同じことがわかります。

  • 包含除:「5 個のあめを 1 人に 0 個ずつ配ると、何人に配れるか」。何人に配っても 5 個は減らず、配り終わりません。
  • 等分除:「5 個のあめを 0 人で同じ数ずつ分けると、1 人分は何個か」。分ける相手がいないので、1 人分という考えそのものが成り立ちません。

注意 2.16(大人向けの補足)1÷01 \div 0 を無理やりある数 kk と決めたとすると、わり算とかけ算の関係から k×0=1k \times 0 = 1 でなければなりません。ところが、どんな数でも k×0=0k \times 0 = 0 なので、0=10 = 1 となってしまいます。つまり、「0 でわった答え」をどの数に決めても、それまでの計算のきまりと矛盾します。0 でわれないのは、だれかが禁止したからではなく、決めようとしても決められないからです。また、12÷1=1212 \div 1 = 12、12÷0.1=12012 \div 0.1 = 120、12÷0.01=120012 \div 0.01 = 1200、… のように、わる数を 0 に近づけると商はいくらでも大きくなり、どの数にも落ち着きません。電卓で 5÷05 \div 0 を計算すると「E」(エラー)が表示されるのはこのためです。

ヒント

子どもに伝えるには 包含除の場面がいちばん伝わりやすいでしょう。「6 個のあめを、1 人に 2 個ずつ配ると何人に配れる?」(3 人)、「1 個ずつなら?」(6 人)と順に聞いたあと、「じゃあ、1 人に 0 個ずつ配ったら、何人に配れる?」と聞きます。実際におはじきで「はい、0 個どうぞ。はい、0 個どうぞ……」とやってみると、いつまでたってもあめが減らず、配り終わらないことに子どもが気づきます。「何人、と答えが決められないね。だから 0 でわる計算はしないことになっているんだよ」とまとめます。かけ算に慣れている子には、「□ × 0 = 6 になる □ はあるかな?」と九九で探してもらうのもよい方法です。

補足

この先の数学では 大学の数学では、たし算・かけ算について計算のきまり(交換・結合・分配法則など)をもち、0 以外のどんな数でもわれる数の世界を体(たい)といいます(00 第7章 定義 7.14、04 第5章)。体の定義でも、わり算(逆数)を考えるのは「0 以外の数」に限られています。上の注意 2.16 の議論は、1≠01 \neq 0 である限り 0 には逆数がないことの証明そのもので、これはどんな体でも同じです。

まとめ

  • かけ算は「1 つ分の大きさ × いくつ分 = 全体の大きさ」を求める計算です。「何倍」という 2 つの量の関係も表し、この見方は小数・分数のかけ算や割合へと広がります。
  • アレイ図は、かけ算の構造(1 段が 1 つ分、段の数がいくつ分)を形で示し、90° 回すと交換法則が見えます。マス目にすると面積図になります。
  • 九九の 81 個は、交換法則を使えば 45 個(1 の段と × 1 を除けば 36 個)覚えれば済みます。九九表の各段がその段の数ずつ増えることや、段どうしを足すと別の段になることは、分配法則で説明できます。
  • かけ算の式の順序について、数学的には交換法則により積は同じで、どちらの式も正しい等式です。授業で順序を問うのは、場面の「1 つ分」を理解しているかを確かめるためです。どちらの立場も意味の理解を大切にしていて、違うのは評価のしかたについての考えです。
  • わり算には、1 つ分を求める等分除と、いくつ分を求める包含除の 2 つの意味があります。どちらも同じわり算で求められるのは、交換法則により □×3\square \times 3 と 3×□3 \times \square が同じだからです。
  • あまりのあるわり算の商とあまりは、「わられる数 = わる数 × 商 + あまり」と「あまりはわる数より小さい」の 2 つの条件で、ただ 1 組に決まります。文章題では、あまりが場面で何を表すかを考えます。
  • かけ算の筆算は分配法則を使って、かける数を位ごとに分けて計算し、あとで合わせる方法です。2 段目を 1 けたずらすのは、それが 10 倍した数だからです。
  • わり算の筆算の「たてる・かける・ひく・おろす」は、大きい位のお金から配り、残りを両替して下の位に送る操作です。だからわり算は大きい位から計算します。
  • 0 でわった答えは、あてはまる数がない(5÷05 \div 0)か、1 つに決まらない(0÷00 \div 0)ので、0 でわることは考えません。

演習問題

問題 2.1 ★ 【親子で】 家の中で、ものが縦横にそろって並んでいるもの(アレイ)を 3 つ探してください。それぞれについて、全部の個数を表すかけ算の式を 2 通り(□×△\square \times \triangle と △×□\triangle \times \square)書き、それぞれの式で何を「1 つ分」と見ているかを言葉で説明してください。

解答

例を示します。

  • 卵のパック(2 列に 5 個ずつ):5×2=105 \times 2 = 10 は「横 1 列の 5 個を 1 つ分として、それが 2 列分」、2×5=102 \times 5 = 10 は「縦 1 列の 2 個を 1 つ分として、それが 5 列分」と見ています。
  • 板チョコ(3 段に 6 かけずつ):6×3=186 \times 3 = 18 は「1 段 6 かけが 3 段分」、3×6=183 \times 6 = 18 は「縦 1 列 3 かけが 6 列分」です。
  • カレンダーの 1 か月のうち、4 週分の日付のマス(1 週 7 日):7×4=287 \times 4 = 28 は「1 週間(横 1 段)の 7 日が 4 週分」、4×7=284 \times 7 = 28 は「同じ曜日(縦 1 列)の 4 日が 7 曜日分」です。

どの場合も、2 つの式の積は同じで、見る向き(横の段か縦の列か)が違うだけです。

声かけの例:子どもが 1 つずつ数えて全部の個数を出そうとしたら、それも正しい方法なので認めたうえで、「横に何個ずつ並んでる? それが何段ある?」と聞いて、まとまりで見るように促します。2 通りの式が出たら、「どっちも同じ数になるのはどうして?」と聞くと、交換法則の理由(向きを変えて見ているだけ)を子どもの言葉で説明してもらえます。並んでいないもの(散らばったおもちゃなど)が出てきたら、「並べかえるとアレイになるかな?」と試してみるのも楽しいでしょう。

問題 2.2 ★★ 【親子で】 九九表(81 マス)について、次の問いに答えてください。 (1) 12 は九九表に何回出てきますか。どのマスですか。 (2) 九九表に出てくる回数が奇数回である数をすべて挙げ、なぜそれらの数だけが奇数回になるのかを説明してください。

解答

(1) 4 回です。2×6,3×4,4×3,6×22 \times 6, 3 \times 4, 4 \times 3, 6 \times 2 のマスです。

(2) 奇数回出てくるのは、1,4,9,16,25,36,49,64,811, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81 の 9 個です(1,25,49,64,811, 25, 49, 64, 81 は 1 回、4,9,16,364, 9, 16, 36 は 3 回。たとえば 3636 は 4×9,6×6,9×44 \times 9, 6 \times 6, 9 \times 4)。

理由:交換法則により、対角線上にないマス(a×ba \times b で aa と bb が違う)は、対角線をはさんで b×ab \times a と同じ積のペアになっています。だから、対角線の外での出てくる回数は必ず偶数です。奇数回になるのは、対角線上のマス(a×aa \times a)にも出てくる数、つまり 1×1,2×2,…,9×91 \times 1, 2 \times 2, \dots, 9 \times 9 の 9 個の数だけです(どの数も対角線上には 1 回しか出てきません)。

声かけの例:九九表を印刷して、子どもに 12 のマスに色を塗ってもらいます。「12 になるかけ算はほかにない?」と聞きながら探すと、九九の練習にもなります。次に 6 や 24 も塗ってみて(どちらも 4 回)、「塗ったマスはどんな形に並んでいる?」と聞くと、対角線をはさんで向かい合っていることに気づくかもしれません。気づいたら 16 や 36 を塗ってみて、「1 つだけペアがいないマスがあるね。どこにある?」と聞いてみましょう。

問題 2.3 ★★ 【説明】 「1 箱にケーキが 6 個ずつ入っています。4 箱では何個ですか」という問題に、子どもが「4×6=244 \times 6 = 24」と書いて、式にバツがついたテストを持って帰ってきました。子どもは「答えは合ってるのに、どうして?」と不満そうです。子どもにどう話しますか。2.3 節を参考に、話す言葉で書いてください。

解答

説明の例:「答えの 24 個は合っているね。それに、4×64 \times 6 も 6×46 \times 4 も 24 で、答えが同じになるのは本当だよ。九九でも習ったよね。じゃあ、どうしてバツなのか考えてみよう。授業では、かけ算の式を『1 つ分の数 × いくつ分』の順に書く約束にしているんだと思う。先生は、何が『1 つ分』かわかっているかを、式で見たかったんだね。この問題で、1 つ分は何だろう?(1 箱の 6 個)それがいくつ分ある?(4 箱分)だから学校の約束だと 6×46 \times 4 になるんだ。」

子どもが「4 箱に 1 個ずつ入れるのを 6 回やったら 24 個」のように考えて 4×64 \times 6 と書いていたなら、「それもちゃんとした考え方だね。よく考えたね」と認めたうえで、「学校では 1 つ分を先に書く約束だから、テストではそれに合わせよう」と伝えます。

ポイントは、(1) 数学として正しいこと(積が同じこと)を否定しないこと、(2) 授業で順序を問う理由(意味の理解を確かめたい)を説明すること、(3) 子どもの考えを聞き、意味がわかっているかを言葉で確かめること、(4) 先生や学校のやり方を頭ごなしに否定しないこと、の 4 つです。

問題 2.4 ★ 次の (ア)〜(エ) は、等分除と包含除のどちらですか。それぞれ、□ を使ったかけ算の式(1 つ分 × いくつ分 = 全体)と、答え(単位つき)を書いてください。 (ア) 20 本の鉛筆を、4 人で同じ数ずつ分けます。1 人分は何本ですか。 (イ) 20 本の鉛筆を、4 本ずつ束にします。何束できますか。 (ウ) 20 m のロープを、5 m ずつに切ります。何本できますか。 (エ) 20 dL のお茶を、5 つの水とうに同じ量ずつ入れます。1 つの水とうに何 dL 入りますか。

解答
  • (ア) 等分除。□×4=20\square \times 4 = 20 で、答えは 5 本。
  • (イ) 包含除。4×□=204 \times \square = 20 で、答えは 5 束。
  • (ウ) 包含除。5×□=205 \times \square = 20 で、答えは 4 本。
  • (エ) 等分除。□×5=20\square \times 5 = 20 で、答えは 4 dL。

見分け方は、「1 つ分の大きさ」と「いくつ分」のどちらが問題文でわかっていて、どちらを求めているかです。等分除の答えの単位は全体と同じ(本、dL)で、包含除の答えはまとまりの数(束、本数)になります。(ウ) は「分ける相手」が出てこないので、わり算を「分けること」だけで理解していると式を立てにくい問題です。

問題 2.5 ★ 次の問いに答え、答えの確かめを「わられる数 = わる数 × 商 + あまり」の形で書いてください。 (1) 30 人の子どもが、4 人がけの長いすに座ります。全員が座るには、長いすは何脚いりますか。 (2) 30 cm のテープから、4 cm のテープは何本とれますか。 (3) 30 日は、何週間と何日ですか。

解答

(1) 30÷4=730 \div 4 = 7 あまり 22(30=4×7+230 = 4 \times 7 + 2)。7 脚では 2 人が座れないので、もう 1 脚いります。答えは 8 脚です。

(2) 30÷4=730 \div 4 = 7 あまり 22(30=4×7+230 = 4 \times 7 + 2)。残りの 2 cm では 4 cm のテープはとれないので、答えは 7 本です。

(3) 30÷7=430 \div 7 = 4 あまり 22(30=7×4+230 = 7 \times 4 + 2)。答えは 4 週間と 2 日です。

(1) と (2) は同じ計算ですが、あまりの 2(2 人、2 cm)が場面で何を表すかによって、答えが変わります。(3) ではあまりがそのまま答えの一部になります。

問題 2.6 ★★ 【説明】 次の 2 つについて、子どもにわかるように説明してください。 (1) 子どもが 17÷5=217 \div 5 = 2 あまり 77 と答えました。どこがおかしいのでしょうか。 (2) 13÷4=313 \div 4 = 3 あまり 11、7÷2=37 \div 2 = 3 あまり 11 です。子どもが「どちらも 3 あまり 1 だから、13÷413 \div 4 と 7÷27 \div 2 は同じ答えだね」と言いました。本当でしょうか(大人向けの説明でかまいません)。

解答

(1) 説明の例:「17 個のあめを 1 人に 5 個ずつ配ると考えてみよう。2 人に配ると 10 個使って、7 個残るね。でも、7 個あったら、もう 1 人に 5 個配れるよね。だから、配れるのは 3 人で、残りは 2 個。あまりが 5 より大きかったら、まだ配れるということなんだ。」正しくは 17÷5=317 \div 5 = 3 あまり 22 です(17=5×3+217 = 5 \times 3 + 2)。あまりは、わる数より小さくなるまでとり続けます。

(2) 同じではありません。13÷413 \div 4 は「13 個を 4 個ずつ分けて 3 袋と 1 個」、7÷27 \div 2 は「7 個を 2 個ずつ分けて 3 袋と 1 個」で、どちらも「3 あまり 1」と書けますが、わり算の答えとしての大きさは違います。あまりも続けて分けると、13÷4=3.2513 \div 4 = 3.25、7÷2=3.57 \div 2 = 3.5 です。もし「=」をふつうの等号と思うと、13÷4=313 \div 4 = 3 あまり 1=7÷21 = 7 \div 2 から 3.25=3.53.25 = 3.5 という誤りが出てきてしまいます。「3 あまり 1」は 1 つの数ではなく、「商が 3、あまりが 1」という 2 つの数の組を表す書き方です。だから中学校以降では、13=4×3+113 = 4 \times 3 + 1、7=2×3+17 = 2 \times 3 + 1 のように書きます(注意 2.10)。

問題 2.7 ★★ 36×2436 \times 24 について、次の問いに答えてください。 (1) 縦 24、横 36 の長方形を、縦を 20+420 + 4、横を 30+630 + 6 に分けた面積図をかき、4 つの部分の面積を求めて、36×2436 \times 24 を計算してください。 (2) 筆算の 1 段目と 2 段目は、(1) の図のどの部分にあたりますか。

解答

(1) 4 つの部分は、30×20=60030 \times 20 = 600、6×20=1206 \times 20 = 120、30×4=12030 \times 4 = 120、6×4=246 \times 4 = 24 で、合計は 600+120+120+24=864600 + 120 + 120 + 24 = 864 です。

            30          6
       +-----------+-------+
     4 |    120    |   24  |   ← 1 段目:36 × 4 = 144
       +-----------+-------+
       |           |       |
    20 |    600    |  120  |   ← 2 段目:36 × 20 = 720
       |           |       |
       +-----------+-------+

(2) 筆算は次のようになります。

      3 6
    × 2 4
    -----
    1 4 4    ← 36 × 4
    7 2      ← 36 × 20(720 の 0 を省いて書く)
    -----
    8 6 4

1 段目の 144 は図の上の 4 段(120+24120 + 24)、2 段目の 72 は下の 20 段(600+120=720600 + 120 = 720)にあたります。2 段目は本当は 720 なので、1 けた左にずらして書きます。式では 36×24=36×(4+20)=144+720=86436 \times 24 = 36 \times (4 + 20) = 144 + 720 = 864 で、分配法則を使っています。

問題 2.8 ★★ 182÷26182 \div 26 を筆算で計算します。 (1) 26 を 20 とみて仮の商を立てると、商はいくつから始まり、どのように直すことになりますか。 (2) 26 を 30 とみて仮の商を立てると、どうなりますか。 (3) (1) と (2) で、仮の商が大きすぎたこと・小さすぎたことには、筆算のどの段階で気づけますか。

解答

(1) 18÷2=918 \div 2 = 9 から、仮の商は 9 です。26×9=23426 \times 9 = 234 は 182 より大きくてひけないので 8 に直しますが、26×8=20826 \times 8 = 208 もまだ大きいので、さらに 7 に直します。26×7=18226 \times 7 = 182 で、答えは 7(わり切れる)です。

(2) 18÷3=618 \div 3 = 6 から、仮の商は 6 です。26×6=15626 \times 6 = 156、182−156=26182 - 156 = 26 で、あまりの 26 がわる数 26 と等しく(わる数より小さくなく)、まだ 26 がとれます。そこで 7 に直すと、26×7=18226 \times 7 = 182 でわり切れます。

(3) 仮の商が大きすぎると「かける」の結果がわられる数より大きくなり、「ひく」ができません。小さすぎると「ひく」の結果(あまり)がわる数以上になります。どちらも、性質 2.9 の「0≤あまり<わる数0 \leq \text{あまり} < \text{わる数}」が成り立たないことで気づけます。一般に、わる数の一の位を切り捨てて見当をつけると仮の商は大きめに、切り上げて見当をつけると小さめになります。

問題 2.9 ★★ 【説明】 子どもに「5÷05 \div 0 の答えは 0 でしょ?」と聞かれました。 (1) 5÷05 \div 0 の答えを決められない理由を、子どもに話す言葉で説明してください。 (2) では、0÷50 \div 5 と 0÷00 \div 0 はどうでしょうか。

解答

(1) 説明の例:「わり算の答えは、かけ算で確かめられるよね。6÷2=36 \div 2 = 3 なら、3×2=63 \times 2 = 6 で確かめられる。じゃあ、5÷0=05 \div 0 = 0 だとすると、確かめは 0×00 \times 0 で、これは 0 だね。5 にならない。ほかの数ならどうかな。1×01 \times 0 も、100×0100 \times 0 も 0 だよね。何に 0 をかけても 0 になって、5 にはならない。だから、5÷05 \div 0 の答えになる数は 1 つもないんだ。それで、0 でわる計算はしないことになっているんだよ。」

包含除で「5 個のあめを 1 人に 0 個ずつ配ると、何人に配れる? いつまでたってもあめが減らないね」と説明する方法もあります(2.8 節の「子どもに伝えるには」)。

(2) 0÷5=00 \div 5 = 0 です。0 個のあめを 5 人で分けると 1 人分は 0 個で、確かめも 0×5=00 \times 5 = 0 で合っています。0 をわるのは問題ありません。

0÷00 \div 0 は、答えが「□×0=0\square \times 0 = 0」にあてはまる数ですが、どんな数もあてはまってしまうので、答えを 1 つに決められません。こちらも 0 でわる計算なので、考えない約束です。5÷05 \div 0 は「答えがない」、0÷00 \div 0 は「答えが決まらない」と、理由が少し違うことに注意しましょう。

問題 2.10 ★★★ 九九表の 81 マスの数をすべて足すと、いくつになりますか。1 つずつ足さずに求め、その理由を分配法則か面積図を使って説明してください。

解答

答えは 2025 です。

まず 1 つの段の合計を考えます。たとえば 3 の段は

3×1+3×2+⋯+3×9=3×(1+2+⋯+9)=3×453 \times 1 + 3 \times 2 + \cdots + 3 \times 9 = 3 \times (1 + 2 + \cdots + 9) = 3 \times 45

です(分配法則)。ここで 1+2+⋯+9=451 + 2 + \cdots + 9 = 45 は、1+9,2+8,3+7,4+61 + 9, 2 + 8, 3 + 7, 4 + 6 がどれも 10 で、残りが 5 なので 40+5=4540 + 5 = 45 です。同じように、aa の段の合計は a×45a \times 45 です。よって全体の合計は、もう一度分配法則を使って

1×45+2×45+⋯+9×45=(1+2+⋯+9)×45=45×45=20251 \times 45 + 2 \times 45 + \cdots + 9 \times 45 = (1 + 2 + \cdots + 9) \times 45 = 45 \times 45 = 2025

です。

面積図での説明:1 辺 45 の正方形の、縦の辺を 1,2,…,91, 2, \dots, 9 の長さに、横の辺も 1,2,…,91, 2, \dots, 9 の長さに区切ると、正方形は 81 個の長方形に分かれます。縦 aa、横 bb の長方形の面積は a×ba \times b で、九九表の aa の段の bb のマスの数とちょうど一致します。だから 81 マスの数の合計は、正方形全体の面積 45×45=202545 \times 45 = 2025 に等しくなります。

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