この章の目標
- 交換法則・結合法則・分配法則を図で説明し、計算の工夫に使える
- 「かっこの中を先に」「 × ÷ を + − より先に」という計算の順序が、なぜそう決められているかを説明できる
- 偶数と奇数、倍数と約数、公倍数・公約数の意味を、具体物の並べ方で説明できる
- 最小公倍数・最大公約数を求める連除法が、何をしているのかを説明できる
- と の倍数の見分け方(各位の数字の和)がなぜ正しいかを説明できる
- 素数の意味とエラトステネスのふるいを理解し、素数が限りなくあることを子どもにもわかる形で説明できる
前提:第2章 かけ算とわり算の意味(あまりのあるわり算を使います)
学年の目安:計算のきまりは小学 2〜5 年、倍数と約数は小学 5 年、素数と素因数分解は中学 1 年(教科書によって前後します)
子どもにこう聞かれたら、どう答えますか。
- 「 は、どうして左から計算しちゃだめなの?」
- 「 の倍数は、各位の数字をたして の倍数ならいいって習ったけど、どうして?」
- 「素数って、どこまでも出てくるの? いつかなくなるんじゃない?」
この章の前半では、たし算とかけ算がもつ 3 つの「きまり」(交換法則・結合法則・分配法則)と計算の順序を、おはじきの並べ方や面積図で見直します。後半では、整数をかけ算の目で見たときに現れる性質――偶数と奇数、倍数と約数、素数――を扱います。どちらも、計算の工夫や「見分け方」を、手品のような裏技ではなく理由のある方法として説明できるようになることが目標です。
なお、この章でいう整数は、小学校の算数と同じく のことです(負の数は中学 1 年で学びます)。また、倍数・約数・素数の話では、とくに断らない限り 以上の整数を考えます。
何年生で習う?
| 学年 | 計算のきまり | 整数の性質 |
|---|---|---|
| 2 年 | たし算の交換法則・結合法則、九九を作るときのかけ算の交換法則 | ― |
| 3 年 | かけ算の交換法則・結合法則・分配法則(九九の表やかけ算の筆算で) | ― |
| 4 年 | 四則の混じった式とかっこ(計算の順序)、交換・結合・分配法則のまとめ | ― |
| 5 年 | 小数でも同じきまりが成り立つこと | 偶数と奇数、倍数と約数、公倍数と最小公倍数、公約数と最大公約数 |
| 中学 1 年 | ― | 素数、素因数分解 |
現行の学習指導要領(2017 年告示、2020 年度から実施)にもとづく目安です。実際に扱う時期は、教科書によって少し前後します。連除法(3.5 節)や ・ の倍数の見分け方(3.6 節)は、教科書では扱わないか、発展的な内容やコラムとして紹介される程度のことが多いようです。
3.1 交換法則・結合法則・分配法則
を暗算するとき、慣れた人は を先に計算して と答えます。左から順に を計算するよりずっと楽ですが、「順番を変えてよい」のはなぜでしょうか。それを保証しているのが、ここで扱う 3 つのきまりです。
交換法則
縦 3 個・横 4 個に並べたおはじきを 90° 回すと、縦 4 個・横 3 個の並びになります。おはじきの数は回しても変わらないので、 です。
この見方は、何個と何個でもそのまま通用します。たし算では、左に 5 個、右に 3 個のおはじきを置いて、反対側から見れば です。
性質 3.1(交換法則)たし算とかけ算では、2 つの数を入れかえても答えは変わりません。
小学校では文字式を使わないので、 や のような記号や、「どんな数でも」という言葉で書きます。第2章でふれたように、「 つ分の大きさ × いくつ分」という式の意味の上では、(4 個ずつ 3 皿)と (3 個ずつ 4 皿)は別の場面を表します。それでも**答え(積)**が同じになることを保証するのが交換法則です。
結合法則
3 つの数のかけ算 を考えます。縦 3 個・横 4 個のまとまりが 2 つあると見れば 、全体を縦 3 個・横 8 個の並びと見れば です。どちらも同じおはじきを数えているので、答えは同じ です。
性質 3.2(結合法則)たし算だけ、またはかけ算だけの式では、どこから先に計算しても答えは変わりません。
交換法則と結合法則を組み合わせると、たし算だけ(またはかけ算だけ)の式は、順番も組み合わせ方も自由に変えてよいことになります。冒頭の は、結合法則を使っています。
分配法則
を、縦 7・横 13 のマス目の面積と考えます。横を 10 と 3 に分けると、全体は「縦 7・横 10」と「縦 7・横 3」の 2 つの長方形に分かれます。
性質 3.3(分配法則)たし算の答えにかけることは、たす前のそれぞれにかけてからたすことと同じです。ひき算でも同じことが成り立ちます。
交換法則と合わせると、 も成り立ちます。分配法則は 3 つのきまりの中でいちばん「働き者」です。かけ算の筆算()は分配法則そのものですし(第2章)、九九を忘れたときに と組み立て直せるのも分配法則のおかげです。
例 3.4(計算の工夫)3 つのきまりを使うと、次のような計算が暗算でできます。
- (結合法則)
- (分配法則)
- (分配法則を逆向きに)
- (交換法則と結合法則)
最後の計算は、ドイツの数学者ガウスが子どものころに から までの和を同じ工夫で求めた、という逸話で知られています(話の細部には諸説あります)。
注意 3.5 ひき算とわり算では、交換法則も結合法則も成り立ちません。 と は違いますし(小学校では はまだ計算できません)、
です。ただし、ひき算は「ひく数をまとめてひく」と考えれば 、わり算も と書きかえられます。また、わり算には ( は 0 でない数)という分配法則が成り立ちますが、 を とすることはできません(、)。
ヒント
子どもに伝えるには 分配法則は、ことばで覚えるより「長方形を切る」で伝えるのが近道です。方眼紙に縦 7・横 13 の長方形をかいてもらい、「マスはいくつ?」と聞きます。1 つずつ数え始めたら、「10 のところで線を引いてみようか」と声をかけます。左は 、右は九九で 、合わせて 。「大きい長方形を、計算しやすい長方形に切り分けた」という感覚が分配法則です。九九の 7 の段を忘れたときに「 は と に切ればいい」と自分で組み立て直せるようになると、九九の表も単なる暗記ではなくなります。
補足
この先の数学では 交換・結合・分配法則は、算数ではおはじきや面積図で「確かめる」ものですが、大学の数学では立場が逆転します。自然数を「 から始めて次々に を足していくもの」として公理で定め(ペアノの公理)、たし算・かけ算を定義したうえで、これらの法則を数学的帰納法で証明します(00 第7章)。さらに、たし算とかけ算をもち、これらの法則を満たすものを一般に環とよび、整数・多項式・行列などをまとめて研究します(04 第5章)。ただし行列のかけ算のように、交換法則が成り立たない世界もあります。
3.2 計算の順序
定義 3.6(計算の順序)式の計算は、次の順に行います。
- かっこのある式では、かっこの中を先に計算する。
- かっこがなければ、 と を、 と より先に計算する。
- それ以外は、左から順に計算する。
例 3.7 、 です。 は、 と だけなので左から計算して です( ではありません)。 です。
これは性質ではなく約束です。では、なぜ「 × ÷ が先」と約束したのでしょうか。次の場面で考えます。
1 冊 120 円のノートを 3 冊と、1 本 80 円のペンを 2 本買いました。代金はいくらですか。
代金は「ノートの代金」と「ペンの代金」の和なので、 円です。 や のような積は、「ノート 3 冊分」のようにひとまとまりの量を表すことが多く、それをたしたりひいたりする場面がとてもよく出てきます。そこで「積や商はひとまとまり」と約束しておけば、かっこを書かずに と書けて便利です。もし「左から順に」と約束していたら、同じ代金を とかっこだらけで書かなければなりません。
この約束は、中学校の文字式で のように を省いて書くときにも、そのまま生きてきます。 の がひとまとまりに見えるのは、「かけ算が先」という約束があるからです。
注意
つまずきポイント を左から計算して と答える誤りは、子どもだけでなく電卓でも起こります。四則の順序を考えない簡単な電卓では、 2 + 3 × 4 = と押すと が表示されるものがあります(関数電卓やスマートフォンの電卓の多くは を表示します)。また、 を「かけ算が先」と覚えて とする誤りもよく見られます。 と のあいだに優先順位はなく、同じ仲間どうしは左から計算します。「 は 個を 2 人で分けた 1 人分の 4 倍」と場面を思い浮かべると、左から計算する意味が見えます。インターネットでときどき話題になる「 はいくつ?」という問題は、かけ算の記号を省いた書き方の解釈が人によって分かれるために起こる混乱で、算数の約束( を省かない書き方)では生じません。
3.3 偶数と奇数
定義 3.8(偶数・奇数) でわり切れる整数を偶数、 でわり切れない整数を奇数といいます。 は偶数とします。
偶数は「2 個ずつ組にしたとき、あまりが出ない数」、奇数は「2 個ずつ組にすると 1 個あまる数」と言いかえられます。 を でわると あまり なので、 は定義どおり偶数です。
2 個ずつ組にする図を思い浮かべると、たし算・かけ算の答えが偶数か奇数かは、計算しなくてもわかります。
性質 3.9(偶数・奇数の計算)
たし算 かけ算 偶数と偶数 偶数 偶数 偶数と奇数 奇数 偶数 奇数と奇数 偶数 奇数
たとえば奇数どうしのたし算では、それぞれ 1 個ずつあまっていたものが、合わせると 1 組になります(上の図の )。だから組だけになり、答えは偶数です。かけ算では、偶数を何回たしても偶数なので、偶数が 1 つでもかかっていれば積は偶数です。奇数 × 奇数、たとえば は「7 個ずつ 5 組」で、 なので、(偶数)と、あまりの 1 個が 5 つ分(奇数)の和になり、表の「偶数と奇数のたし算」から奇数です。
大人のための証明. 奇数は、整数 を使って「」の形に書けます。奇数どうしのたし算は、分配法則から
となるので偶数です。奇数どうしのかけ算は、分配法則を使って展開すると
となるので奇数です。ほかの場合も同じように確かめられます。
ここで , は整数を表す文字です(小学校では文字を使わず、 などで表します。文字式は中学 1 年で学びます)。「全部の奇数で試したわけではないのに、なぜいつも偶数といえるのか」という疑問に答えているのが、この証明です。図で説明するときも、特定の数ではなく「どんな奇数でも 1 個あまる」ことを使っているので、同じ力をもっています。
ヒント
子どもに伝えるには 偶数・奇数は「2 人ずつ手をつなげるか」で伝えると、子どもにもすぐわかります。クラスの人数が偶数なら全員がペアになれて、奇数ならひとり余ります。「奇数のクラスと奇数のクラスが一緒になったら?」と聞くと、余った 2 人がペアになれることに気づけます。「 は偶数?」と聞かれたら、「 人なら、ペアになれない人は 1 人もいないね」と答えられます。数直線の上で偶数と奇数が交互に並ぶこと( は奇数、 は偶数、 は奇数、…)を見せて、「 の左どなりの は?」と聞くのもよい方法です。
3.4 倍数と約数
定義 3.10(倍数・約数) に整数 をかけてできる数 を、 の倍数といいます。 をわり切ることのできる整数 を、 の約数といいます。
「 は の倍数」と「 は の約数」は、どちらも「 のように、 が と整数の積で書ける」という同じ関係を、逆の側から言ったものです。なお小学校では、 を倍数に含めない約束にしています( なので、高校以降の整数の扱いでは もすべての数の倍数とします)。
倍数は限りなくありますが、約数は限られた個数しかありません。約数を落ちなく見つけるには、長方形の並べ方を考えるのがわかりやすい方法です。12 個の正方形のタイルを、すき間なく長方形に並べる方法を探します。
縦の個数と横の個数が、それぞれ の約数です。縦と横の組になっているので、約数は「 と 」「 と 」「 と 」のように、積が になる 2 つずつの組で見つかります。小さいほうから順に調べて、組の相手が自分より小さくなったら、もう新しい約数はありません。
性質 3.11(約数の組) が の約数なら、 も の約数です。そのため約数は 2 つずつ組になって見つかります。ただし のように同じ数どうしの組があるときは、その数は 1 つと数えます。
その結果、約数の個数は、 が「同じ数を 2 回かけた数」(、平方数といいます)のときだけ奇数になり、それ以外は偶数になります。このことは問題 3.4 のパズルで使います。
注意
つまずきポイント 倍数と約数は、ことばが似ているうえに逆向きの関係なので、どちらがどちらか混乱しがちです。「 の約数」を聞かれて と答えたり、「 の約数に と は入るの?」と迷ったりするのはよくあることです。「 の約数」は「 個のタイルを並べたときの縦・横の個数( を等分できる数)」、「 の倍数」は「 個入りの箱をいくつか集めたときの個数」と、具体的な場面に結びつけておくと区別しやすくなります。 と 自身も約数に入ります(1 列に並べる長方形)。
3.5 公倍数と公約数
定義 3.12(公倍数・公約数)いくつかの整数に共通な倍数を公倍数といい、そのうちいちばん小さいものを最小公倍数といいます。いくつかの整数に共通な約数を公約数といい、そのうちいちばん大きいものを最大公約数といいます。
たとえば と の倍数を並べると、
- の倍数:
- の倍数:
となり、公倍数は で、最小公倍数は です。 と の約数を並べると、
- の約数:
- の約数:
となり、公約数は で、最大公約数は です。
これらは、図形で見ることもできます。縦 12 cm・横 18 cm の長方形の紙を、すき間なく同じ大きさの正方形に切り分けるとき、正方形の 1 辺は と の公約数(1 cm、2 cm、3 cm、6 cm)でなければならず、いちばん大きい正方形の 1 辺は最大公約数の 6 cm です。逆に、縦 4 cm・横 6 cm のタイルを同じ向きに並べて正方形を作るとき、正方形の 1 辺は と の公倍数で、いちばん小さい正方形の 1 辺は最小公倍数の 12 cm です。
上の例では、公倍数 は最小公倍数 の倍数になっていて、公約数 は最大公約数 の約数になっています。これは偶然ではありません。
性質 3.13(公倍数・公約数の性質)
- 公倍数は、すべて最小公倍数の倍数です。
- 公約数は、すべて最大公約数の約数です。
だから、最小公倍数と最大公約数さえわかれば、公倍数と公約数は全部わかります。1 番目は、あまりのあるわり算(第2章)を使って確かめられます。
大人のための証明.(1 番目)2 つの数の最小公倍数を 、公倍数の 1 つを とし、 を でわって (あまり は 以上 未満)とします。 も も両方の数の倍数なので、その差 も両方の数でわり切れます(同じ数でわり切れる 2 つの数の差は、その数でわり切れるからです)。もし が でなければ、 は より小さい公倍数になり、 が最小であることに反します。よって で、 は の倍数です。
2 番目の証明はもう少し手間がかかり、ユークリッドの互除法(ベズーの等式)か素因数分解の一意性(3.9 節)を使います(04 第1章 の定理 1.7 (3))。ここでは例で確かめるにとどめます。
連除法
大きな数では、倍数や約数を書き並べるのは大変です。そこで使われるのが、次のようにわり算をはしご状に重ねていく連除法(すだれ算)です。
例 3.14 と の最大公約数と最小公倍数を求めます。両方をわり切れる数(素数を使うと見通しがよくなります)で、両方を同時にわっていき、商の 2 つに共通な約数が しかなくなったら止めます。
左に並んだ数の積 が最大公約数、それに下に残った と をかけた が最小公倍数です。
この手順が何をしているかは、最後の行から読むとわかります。1 段ごとに両方を同じ数でわっているので、左の数を全部かけた でわったことになり、
です。つまり連除法は、2 つの数を「共通の部分 」と「共通でない部分 と 」に分ける作業です。
- 最大公約数:共通の部分 は両方をわり切ります。そして残りの と にはもう より大きい公約数がないので、共通の部分をこれ以上大きくすることはできません。だから が最大公約数です(この「これ以上大きくできない」をきちんと言うには、3.9 節の素因数分解を使います)。
- 最小公倍数: と の公倍数は、 の倍数でもあり の倍数でもある数です。 のいくつ分かで考えると、「 の倍数でもあり の倍数でもある」いくつ分が必要で、そのいちばん小さいものは です。だから最小公倍数は です。
ここで「 と の最小公倍数は 」を使いました。一般に、 以外に公約数をもたない 2 つの数(互いに素な数といいます)の最小公倍数は、その 2 つの数の積です。小さな数なら倍数を並べて確かめられますが、一般に正しいことを示すには、やはり素因数分解の一意性(3.9 節)などが必要です。
この見方から、2 つの数については
と、最大公約数と最小公倍数の積がもとの 2 つの数の積に等しいこともわかります( と は、同じ数をかけ合わせています)。
注意 3.15 3 つの数の連除法では注意が必要です。最大公約数を求めるときは、3 つすべてをわり切る数でだけわります。最小公倍数を求めるときは、3 つのうち 2 つだけをわり切る数でもわり、わり切れない数はそのまま下におろします。たとえば の最大公約数は ですが、最小公倍数は でわって となったところで止まり、 です。また、3 つの数では「最大公約数 × 最小公倍数 = 3 つの数の積」は成り立ちません(、)。
3.6 倍数の見分け方
ある数が や や の倍数かどうかは、わり算をしなくても見分けられます。なぜ見分けられるのかを考えると、位取り記数法(第1章)のしくみが見えてきます。
一の位で見分けられる倍数
性質 3.16(, , の倍数の見分け方)
- 一の位が の数は の倍数(偶数)で、それ以外は の倍数ではありません。
- 一の位が か の数は の倍数で、それ以外は の倍数ではありません。
- 下 2 けたが の倍数(または )の数は の倍数で、それ以外は の倍数ではありません。
理由は、 が でも でもわり切れることにあります。たとえば で、 は の倍数なので、 でも でもわり切れます。だから が や でわり切れるかどうかは、残りの一の位 だけで決まります。 の場合は、 は でわり切れませんが はわり切れるので、 と下 2 けたを分けて考えます。 なので、 は の倍数です。
ここで使ったのは、次の事実です。
- でわり切れる数どうしの和は、 でわり切れる( 個ずつの組と 個ずつの組を合わせても、 個ずつの組だけ)。
- でわり切れる数に、 でわり切れない数を足すと、 でわり切れない。
3 と 9 の倍数の見分け方
と の場合は、 も も でわり切れないので、下のけたを見るだけでは決まりません。代わりに、次のような意外な方法があります。
性質 3.17( と の倍数の見分け方)各位の数字の和が の倍数なら、もとの数は の倍数です。各位の数字の和が の倍数でなければ、もとの数も の倍数ではありません。 についても同じことが成り立ちます。
たとえば は なので の倍数で、実際 です。 は なので の倍数です()。 は なので、 の倍数でも の倍数でもありません。
なぜ数字をたすだけでわかるのでしょうか。カギは 、、 です。百のブロック、十の棒、ばらのキューブで を作ってみます。
百のブロック 1 枚( 個)は、 個と 個に分けられます。 は でわり切れます。十の棒 1 本も 個と 個に分けられます。そこで、 でわり切れる部分を取りのけると、残るのは百のブロックから 1 個ずつで 個、十の棒から 1 個ずつで 個、ばらの 個です。式で書くと
です。前半は の倍数なので、 が でわり切れるかどうかは、残りの 、つまり各位の数字の和で決まります。
大人のための証明. 位取り記数法で、ある数の各位の数字が、上の位から だとすると、その数は
と書けます。 はどれも の倍数なので( など)、右辺の前半のかっこは の倍数です。 の倍数に何かを足した数が の倍数になるのは、足した数が の倍数のときだけなので、もとの数が の倍数であることと、 が の倍数であることは同じです。 は の倍数でもあるので、 についても同じ議論が成り立ちます。けた数がいくつでも同様です。
実はこの証明は、もっと多くのことを示しています。もとの数を でわったあまりは、各位の数字の和を でわったあまりと等しいのです( を でわると あまり 、 を でわるとあまり )。これを使うと、かけ算の答えを検算できます。たとえば なら、 の数字の和 と の数字の和 をかけた の数字の和は 、 の数字の和は で、 でわったあまりはどちらも なので、矛盾はありません。これは九去法とよばれる古くからの検算法です(ただし、あまりが一致しても答えが正しいとは限りません。けたを入れかえる誤りなどは見つけられません)。
ヒント
子どもに伝えるには 「 の倍数の見分け方」は、 円玉と 円玉で伝えることもできます。「 円のお菓子を買えるだけ買うと、おつりはいくら?」と考えると、 円玉 1 枚では 円のお菓子が 1 個買えて 円残り、 円玉 1 枚では 個買えて 円残ります。どの硬貨も「 枚につき 円残る」ので、 円( 円玉 3 枚、 円玉 4 枚、 円玉 2 枚)なら、残りは 円で、ちょうどもう 1 個買えます。だから 円では 円のお菓子をちょうど買い切れる、つまり は の倍数です。各位の数字の和は「硬貨 1 枚ずつから出た残り」の合計なのです。
3.7 素数とエラトステネスのふるい
3.4 節の図で、 個のタイルは 3 通りの長方形に並びましたが、 個のタイルは 1 列にしか並びませんでした。 のように、 と自分自身のほかに約数をもたない数が素数です。
定義 3.18(素数) と自分自身のほかに約数をもたない整数のうち、 より大きいものを素数といいます。言いかえると、約数がちょうど 2 個( と自分自身)の整数です。 より大きく素数でない整数を合成数といいます。
小さい素数は です。 は偶数で唯一の素数です(ほかの偶数はすべて を約数にもつからです)。
注意 3.19 は素数に含めません。 の約数は だけで、「ちょうど 2 個」ではないからです。ただし、これは定義のしかたの問題でもあります。 を素数から外しておく本当の理由は、3.9 節で見る「素因数分解はただ 1 通り」という大切な性質を、例外なく言えるようにするためです(もし が素数なら、 と、何通りにも書けてしまいます)。
エラトステネスのふるい
素数を順に見つけるには、紀元前 3 世紀のギリシャの学者エラトステネス(地球の大きさを測ったことでも知られます)の名前がついた方法が便利です。 から までの数を表に書き、次のように数を消していきます。
- を消す( は素数ではない)。
- 残っている最初の数 は素数。 は残して、 の倍数()をすべて消す。
- 残っている次の数 は素数。 は残して、 の倍数をすべて消す。
- 同じように、 の倍数、 の倍数を消す。
- 残った数が、 までの素数のすべて。
こうして までの素数が 個見つかります。
「残っている最初の数が素数」なのは、それより小さい素数のどの倍数でもないからです(それより小さい素数でわり切れたなら、すでに消されています)。
性質 3.20(ふるいは まででよい) までの数をふるうときは、 の倍数を消せば十分です。一般に、ある数 までをふるうときは、「同じ数を 2 回かけても をこえない」素数( なら )について、その倍数を消せば十分です。
の倍数を消そうとしても、、、…、 はどれも のどれかの倍数として消えています。 の倍数で新しく消える最初の数は で、 をこえてしまいます。
大人のための証明. 以下の合成数 をとり、 のいちばん小さい より大きい約数を とします。 は素数です( が合成数なら、 のもっと小さい約数が の約数にもなり、 が最小であることに反します)。 と書くと、 も より大きい の約数なので です。よって で、、つまり は のどれかです。したがって は のどれかの倍数として消されています。
ヒント
子どもに伝えるには エラトステネスのふるいは、 から までの数表(市販の「100 までの数表」や、方眼紙のマス目に数を書いたもの)と色鉛筆があれば、親子でそのまま楽しめる作業です。「 に丸をつけて、 の倍数を全部斜線で消そう」「次に残っている に丸、 の倍数を消そう」と進めると、数表に の倍数のたての縞、 の倍数のななめの縞が現れます。最後に残った数を「どうやっても長方形に並べられない数(1 列にしか並ばない数)」と説明すると、3.4 節のタイルの話とつながります。「 は素数?」はよい質問です。 なので素数ではありませんが、大人でもうっかり素数だと思いがちです。
3.8 素数は限りなくある
ふるいの表を見ると、素数は大きい数になるほどまばらになっていきます。 から までには 個ありましたが、 から までには 個、 から までには 個で、割合は 25% から 16.8%、12.29% へと減っていきます。では、いつか素数は尽きてしまうのでしょうか。
答えは「尽きない」で、その証明は 2000 年以上前、ユークリッドの『原論』(第 9 巻)にすでに書かれています。
定理 3.21(ユークリッドの定理)素数は限りなくあります。言いかえると、素数をいくつ集めた一覧表を作っても、その表にのっていない素数が必ずあります。
子どもにもわかる形で
「素数はもう と と しかない」と言う人がいたとします。この 3 つを全部かけて をたした数を作ります。
個のおはじきは、 個ずつにも、 個ずつにも、 個ずつにも、ちょうど組に分けられます。そこへ 1 個足した 個は、どの分け方でも 1 個あまります。
つまり は、 でも でも でもわり切れません。一方、 より大きいどんな数も、何かの素数でわり切れます(いちばん小さい より大きい約数が素数になるからです。3.7 節の証明を参照)。 をわり切る素数は、、、 のどれでもないので、一覧表にのっていない新しい素数です(この場合は 自身)。
一覧表が でも同じです。 は のどれでわっても あまるので、それらとは違う素数でわり切れます。一覧表にどんな素数を何個並べても、この「全部かけて たす」を作れば、表にない素数が見つかります。だから、素数の一覧表が完成することはありません。
大人のための証明. 素数をいくつか集めた一覧を とし、 とおきます。 は より大きいので、 をわり切る素数 があります( のいちばん小さい より大きい約数)。もし が一覧の中の だとすると、 は と の両方をわり切るので、その差の もわり切ることになりますが、 をわり切る素数はありません。よって は一覧にない素数です。どんな一覧にも入っていない素数があるので、素数は限りなくあります。
注意
つまずきポイント この証明を「素数を全部かけて をたすと、新しい素数ができる」と覚えてしまう人は、大人にも少なくありません。しかし 自身が素数とは限りません。たとえば
で、 は素数ではありません。証明が言っているのは「 をわり切る素数(ここでは や )は、一覧表にのっていない」ということです。 が素数でもそうでなくても、表にない素数が見つかることに変わりはありません。
素数については、子どもにも意味がわかるのに、まだ誰にも証明できていない問題がたくさんあります。たとえば「 以上の偶数は、すべて 2 つの素数の和で表せるか」(ゴールドバッハ予想。、 など)や、「 と 、 と のように差が の素数の組は限りなくあるか」(双子素数予想)は、どちらも未解決です。
3.9 素因数分解
定義 3.22(素因数分解)合成数を素数だけのかけ算の形に表すことを素因数分解といいます。かけ合わせた素数の 1 つ 1 つを、その数の素因数といいます。
素因数分解は、小さい素数から順にわっていくと求められます。
のように別の分け方から始めても、最後まで分けると、やはり が 3 個、 が 2 個、 が 1 個になります。これは偶然ではありません。
定理 3.23(素因数分解の一意性、算術の基本定理) より大きい整数は、素数のかけ算の形に表せます。その表し方は、かける順番の違いを除いて、ただ 1 通りです。
表せることは、「合成数なら より大きい 2 つの数の積に分け、分けた数が合成数ならさらに分ける」をくり返せばよいので、納得しやすいでしょう(数はだんだん小さくなるので、いつか素数だけになります)。一方、「ただ 1 通り」のほうは当たり前に見えて、実はきちんとした証明が必要な事実です。この教材では主張を述べるにとどめ、証明は 04 第1章(定理 1.15)で行います。素因数分解は中学 1 年で学びますが、一意性は高校の数学 A でも、ふつうは証明せずに事実として使われます(この教材では P6 第3章で扱います)。
なぜ証明が必要なのかは、次の例を見るとわかります。 のように「 でわると あまる数」だけの世界を考えます。この世界の数どうしをかけても、また でわると あまる数になります。この世界で「 と自分自身のほかに、この世界の約数をもたない数」を「素数」とよぶことにすると、、、 はどれもこの世界の「素数」です(たとえば ですが、 はこの世界にありません)。ところが
と、この世界の「素数」への分け方が 2 通りできてしまいます。ふつうの整数で一意性が成り立つのは、整数がもつ特別な性質(たし算とひき算もできること)のおかげなのです。
例 3.24(素因数分解と最大公約数・最小公倍数) と の最大公約数は、両方に共通する素因数をかけた です。最小公倍数は、どちらかに必要な素因数を、多いほうの個数だけかけた です。連除法(3.5 節)で素数でわっていくのは、2 つの数の共通の素因数を 1 つずつ取り出す作業にほかなりません。
素因数分解がただ 1 通りであることは、3.5 節で「証明は後で」とした事実の根拠にもなります。たとえば「互いに素な 2 つの数の最小公倍数は、その積」は、互いに素な 2 つの数には共通の素因数がないので、例 3.24 の方法で最小公倍数を作ると 2 つの数の素因数がすべて並ぶから、と説明できます。
補足
この先の数学では この章の整数の話は、高校の数学 A の「数学と人間の活動」(以前の学習指導要領では「整数の性質」。P6 第3章)で、ユークリッドの互除法(わり算をくり返して最大公約数を求める方法。連除法と違って素因数分解がいりません)、一次不定方程式、あまりによる分類、n 進法として続きます。大学の代数学では、互除法と深く関係するベズーの等式を示し、それを使って素因数分解の一意性を証明します(04 第1章 の定理 1.15。素数が無限にあることは定理 1.16)。 と の倍数の見分け方は、 と書く合同式を使うと 1 行で説明でき(同じ章の 1.4 節)、合同式は暗号(RSA 暗号、同じ章の 1.9 節)にも使われています。また、「 でわると あまる数の世界」で一意性が崩れたように、整数を広げた世界では素因数分解がただ 1 通りでなくなることがあり(04 第6章)、この問題が代数的整数論(15)という大きな分野を生みました。
まとめ
- たし算とかけ算では、交換法則・結合法則が成り立ち、順番や組み合わせ方を自由に変えてよい。ひき算・わり算では成り立たない。
- 分配法則 は、長方形を 2 つに切り分ける面積図で説明できる。かけ算の筆算や計算の工夫の土台になっている。
- 計算の順序(かっこの中 → × ÷ → + −、同じ仲間は左から)は約束である。積や商を「ひとまとまりの量」として扱えるように決められている。
- 偶数は 2 個ずつ組にしてあまりが出ない数、奇数は 1 個あまる数で、 は偶数。和や積が偶数か奇数かは、組とあまりの図で説明できる。
- 約数は、タイルを長方形に並べたときの縦・横の個数として、2 つずつ組で見つかる。
- 公倍数は最小公倍数の倍数、公約数は最大公約数の約数。連除法は、2 つの数を「共通の部分」と「共通でない部分」に分ける作業で、最大公約数 × 最小公倍数 = 2 つの数の積が成り立つ。
- と の倍数は一の位、 の倍数は下 2 けたで見分けられる。 と の倍数は各位の数字の和で見分けられ、その理由は 、、… にある。
- 素数は約数がちょうど 2 個の数で、 は素数ではない。 までの素数は、エラトステネスのふるいで の倍数を消せば見つかる( 個)。
- 素数は限りなくある。素数の一覧表の数を全部かけて をたした数は、表のどの素数でわっても あまるので、表にない素数でわり切れる。
- より大きい整数の素因数分解は、順番を除いてただ 1 通り(主張のみ。証明は大学の代数学で)。
演習問題
問題 3.1 ★ 次の計算を、交換法則・結合法則・分配法則を使って工夫して暗算してください。どのきまりを使ったかも答えてください。 (1) (2) (3) (4)
解答
(1) (交換法則と結合法則)
(2) (分配法則)
(3) (分配法則を逆向きに)
(4) (結合法則)
、 のように、ちょうどきりのよい数になる組を覚えておくと、計算の工夫がしやすくなります。
問題 3.2 ★ 次の計算をしてください。 (1) (2) (3) (4) また、 にかっこを 1 組または 2 組つけて、答えを にしてください。答えを にするにはどうすればよいですか。
解答
(1) (2) (3) (4)
(3) は と だけが残るので、左から計算します。 としないように注意します。
です。 にするには とします。ちなみに 、かっこなしでは です。
問題 3.3 ★★ 【説明】 子どもに「奇数と奇数をたすと、どうしていつも偶数になるの? 全部の数で試したわけじゃないのに」と聞かれました。おはじきや図を使って、子どもに話す言葉で説明を書いてください。
解答
説明の例:「奇数っていうのは、2 個ずつペアにすると 1 個だけあまる数だったね。 なら 3 ペアと 1 個、 なら 2 ペアと 1 個。じゃあ、 と をいっしょにしたらどうなる? ペアはペアのまま。あまっていた 1 個と 1 個が、新しいペアになるね。だから全部ペアになって、あまりは出ない。つまり偶数だ。ここで大事なのは、 と じゃなくても、どんな奇数でも『1 個あまる』ことは同じだということ。 と でも、あまりの 1 個どうしがペアになる。だから全部の数で試さなくても、いつでも偶数になるって言えるんだよ。」
ポイントは、具体例()で見せたあと、「どの奇数でも 1 個あまる」というすべての奇数に共通する性質だけを使っていることに気づかせることです。これが、数学で「証明する」ということの入口です。余裕があれば「奇数と奇数をかけると?」(たとえば で奇数)も一緒に考えてみましょう。
問題 3.4 ★★ 【親子で】 から までの番号のついたカードを、表を上にして並べます。1 回目は の倍数(全部)、2 回目は の倍数、3 回目は の倍数、…、20 回目は の倍数のカードを、それぞれ裏返します。20 回終わったとき、裏になっているカードはどれでしょうか。実際にやってみて、理由を考えてください。
解答
裏になっているのは のカードです。
番号 のカードが裏返されるのは、 回目で が の約数のときなので、裏返される回数は の約数の個数に等しくなります。表から始めて奇数回裏返すと裏、偶数回なら表です。性質 3.11 のとおり、約数は 2 つずつ組になるので、約数の個数が奇数になるのは、組の相手が自分自身になる約数があるとき、つまり が 、、、 のような平方数のときだけです。たとえば の約数は の 6 個(偶数回なので表)、 の約数は の 5 個(奇数回なので裏)です。
声かけの例:まず実際にカードを動かして、結果を記録します。「裏になったのは だね。何か気づく?」と聞き、気づかなければ「 を正方形に並べられる? は?」と、タイルで正方形を作らせてみます。「 のカードは何回裏返った?」と数えさせ、それが の約数の個数であることにつなげます。続けて「カードが 枚なら、裏になるのは何枚?」( の 10 枚)と聞けば、規則を使って予想する練習になります。
問題 3.5 ★ と について、次の問いに答えてください。 (1) それぞれの約数をすべて書き出し、公約数と最大公約数を求めてください。公約数が最大公約数の約数になっていることを確かめてください。 (2) 連除法で最大公約数と最小公倍数を求め、「最大公約数 × 最小公倍数 = 」を確かめてください。
解答
(1) の約数は 、 の約数は です。公約数は で、最大公約数は です。 はすべて の約数になっています。
(2) でわると と 、 でわると と になり、 と の公約数は だけなので止めます。
2 ) 42 56
7 ) 21 28
3 4
最大公約数は 、最小公倍数は です。、 で一致します。、 なので、どちらの積も だからです。
問題 3.6 ★★ (1) A 駅からは、 分おきに北行きのバスが、 分おきに南行きのバスが出ます。午前 9 時に 2 つのバスが同時に出ました。次に同時に出るのは何時何分ですか。 (2) 縦 cm、横 cm の長方形の板を、あまりが出ないように、できるだけ大きい同じ大きさの正方形に切り分けます。正方形の 1 辺は何 cm で、何枚できますか。 (3) (1) と (2) で、最小公倍数と最大公約数のどちらを使うかを、どう見分ければよいかを説明してください。
解答
(1) 同時に出るのは、9 時から数えて の倍数でも の倍数でもある時間がたったときなので、 と の公倍数です。最小公倍数は なので、次は 9 時 36 分です(その次は 10 時 12 分)。
(2) 正方形の 1 辺は、 と の両方をわり切る長さ、つまり公約数でなければなりません。最大公約数は なので(、)、1 辺 12 cm で、縦に 5 枚、横に 7 枚、合わせて 枚できます。
(3) 「何回かくり返してそろう(同時になる、ぴったり重なる)」ときは、それぞれの倍数を考えるので公倍数・最小公倍数です。「あまりなく分ける(切り分ける、同じ数ずつ配る)」ときは、それぞれをわり切る数を考えるので公約数・最大公約数です。問題の言葉だけで決めず、「答えはもとの数より大きくなるか、小さくなるか」を考えるのも有効です。(1) の答え は や より大きく、(2) の答え は や より小さくなっています。
問題 3.7 ★★ (1) は の倍数ですか。わり算をせずに答えてください。 (2) 3 けたの数 の に から までの数字を入れます。この数が の倍数になるのは がどの数字のときですか。 の倍数になるのはどうですか。 の倍数になるのはどうですか。
解答
(1) 各位の数字の和は なので、 の倍数です()。
(2) 各位の数字の和は で、 が から なので、和は から までです。
- の倍数:和が になればよいので、(, , )。
- の倍数:和が になればよいので( には届きません)、()。
- の倍数:下 2 けた「」が の倍数になればよいので、 から (たとえば )。ちなみに、下 2 けたが のときは でわると あまります。
問題 3.8 ★★★ の倍数は、次の方法で見分けられることが知られています。「一の位から数えて、奇数番目の位(一の位・百の位・一万の位・…)の数字の和と、偶数番目の位(十の位・千の位・十万の位・…)の数字の和の差が、 か の倍数なら、もとの数は の倍数」。 (1) この方法で が の倍数かどうかを判定してください。 (2) この方法が正しい理由を、3.6 節の の倍数の場合にならって説明してください(ヒント:、、)。
解答
(1) 奇数番目の位(一の位 、百の位 、一万の位 )の和は 、偶数番目の位(十の位 、千の位 、十万の位 )の和は で、差は なので、 の倍数です。実際、 です。
(2) 位の大きさ は、 の倍数より 大きいか 小さいかが交互にくり返します。
、、、 はどれも の倍数です(一般に、 倍すると「 の倍数 」は「 の倍数 」のまま、「 の倍数 」は「 の倍数 」のままです。 だからです)。
各位の数字を、一の位から とします。奇数番目の位()の数字は「 の倍数 」の位にあり、偶数番目の位()の数字は「 の倍数 」の位にあります。分配法則でまとめると、
となります。奇数番目の和を 、偶数番目の和を とすると、 のときは「もとの数 = の倍数 + 」なので、もとの数が の倍数であることと、 が の倍数( を含む)であることは同じです。 のときは「もとの数 + = の倍数」なので、もとの数が の倍数であることと、 が の倍数であることは同じです( の倍数から の倍数をひいた数は の倍数で、 の倍数から の倍数でない数をひいた数は の倍数ではないからです)。(1) では で、 となっています。
中学で負の数を学ぶと、場合分けせずに「もとの数 の倍数 」と書けます。合同式を使えば の 1 行で済みます(04 第1章 1.4 節)。
問題 3.9 ★★ 【説明】 ユークリッドの定理の証明を聞いた子どもが、「じゃあ、 を計算すれば、新しい素数が手に入るんだね」と言いました。実際には で、素数ではありません。子どもの考えのどこが違うのか、それでもユークリッドの証明が正しいのはなぜかを、子どもに話す言葉で説明してください。
解答
説明の例:「いい計算をしたね。 は だから、素数じゃなかった。でもね、証明が言っていたのは『全部かけて たした数そのものが素数になる』ということじゃないんだ。言っていたのは、『その数は、表にある素数 のどれでわっても あまる』ということ。 も、 でわっても でわっても でわっても あまるよ。それなのに、 より大きい数はかならず何かの素数でわり切れる。 をわり切るのは と 。この 2 つは、表には入っていなかった素数だね。つまり、新しい素数は『 自身』じゃなくて『 をわり切る素数』の中に見つかるんだ。どっちにしても、表にない素数が見つかるから、素数の表はいつまでたっても完成しないんだよ。」
ポイントは、(1) 作った数 が素数かどうかは場合によること(、、、、 はどれも素数ですが、次の で初めて素数でなくなります)、(2) 証明に必要なのは「 をわり切る素数は表にない」ことだけで、それは が素数でもそうでなくても成り立つこと、の 2 つです。 を でわって、本当にあまりが になることを電卓で一緒に確かめると、納得しやすくなります。
問題 3.10 ★★ (1) を素因数分解し、 の約数がいくつあるかを求めてください(ヒント:約数は「 を何個、 を何個、 を何個かけるか」で決まります)。 (2) を素因数分解し、 と の最大公約数と最小公倍数を求めてください。 (3) から までのどの整数でもわり切れる整数のうち、いちばん小さいものを求めてください。
解答
(1) です。 の約数は、 を 個のどれか(4 通り)、 を 個のどれか(3 通り)、 を 個のどちらか(2 通り)選んでかけた数なので(素因数分解の一意性により、ほかの約数はありません)、 個です。
(2) です。共通な素因数は が 2 個と が 1 個なので、最大公約数は です。最小公倍数は、 を 3 個、 を 2 個、 と を 1 個ずつかけて です。確かめ:。
(3) から までの最小公倍数を求めます。必要な素因数は、 から を 3 個、 から を 2 個、 と を 1 個ずつです(ほかの数、たとえば や の素因数はこれに含まれています)。よって です。(2) の答えと同じになったのは、 と の中の で、ちょうど同じ素因数がそろうからです。