Lemma数学ロードマップ

P1 算数の「なぜ」 · 第 5 章

割合・比・比例

目安 3〜4.5 時間演習 10 問

この章の目標

  • 「単位量あたりの大きさ」で、混みぐあいや人口密度のように直接は比べにくいものを比べられる
  • 速さを「1 時間あたりに進む道のり」として理解し、公式を暗記しなくても 2 本の数直線から式を立てられる
  • 割合の問題で「何を 1 とみるか(もとにする量)」を見きわめ、数直線図・関係図で説明できる
  • 百分率・歩合・比を、割合の別の表し方として相互に言いかえられる
  • 比例・反比例の正確な意味(「2 倍、3 倍、… になると、2 倍、3 倍、… になる」)を、表・式・グラフで説明できる
  • 単位量あたり・速さ・割合・比の問題が、どれも比例を土台にしていることを理解する

前提:第4章 分数と小数(特に、1 より小さい数のかけ算・わり算と、割合分数)。第2章 かけ算とわり算の意味

学年の目安:小学 4〜6 年(教科書によって前後します)

子どもにこう聞かれたら、どう答えますか。

  • 「速さの問題は『はじき』の図で解けばいいんでしょ? でも、どれが上だったか忘れちゃった。」
  • 「『もとにする量』と『比べられる量』って、どっちがどっちなの?」
  • 「片方がふえると、もう片方もふえる。これが比例でしょう?」

割合は、小学校の算数でいちばんつまずく子が多い単元だといわれます。大人でも、「20% 引きのあとさらに 20% 引きなら、合わせて 40% 引き」と考えてしまいがちです。この章では、公式や語呂合わせに頼らずに、「何を 1 とみるか」と「2 本の数直線」という 2 つの道具で、単位量あたりの大きさ・速さ・割合・比・比例を一続きのものとして見直します。最後に、これらがすべて比例という 1 つの考え方の上に立っていることがわかります。

なお、この章でいう整数は、小学校の算数と同じく 0,1,2,3,…0, 1, 2, 3, \dots のことです(負の数は中学 1 年で学びます)。

何年生で習う?

学年 内容
4 年 簡単な割合(何倍かで比べる)、ともなって変わる 2 つの量(表・折れ線グラフ)
5 年 単位量あたりの大きさ(混みぐあい・人口密度など)、速さ、割合・百分率(歩合にもふれる)、簡単な場合の比例
6 年 比と比の値、比例と反比例(式・グラフ)、比例を使った問題解決

現行の学習指導要領(2017 年告示、2020 年度から実施)にもとづく目安です。速さは、以前の学習指導要領では 6 年で学んでいましたが、現行では 5 年に移りました。実際に扱う時期は、教科書によって少し前後します。

5.1 単位量あたりの大きさ ―混みぐあいを比べる

どの部屋がいちばん混んでいる?

広さと人数の違う 3 つの部屋があります。

  • A 室:10 畳に 6 人
  • B 室:10 畳に 5 人
  • C 室:8 畳に 5 人

A 室と B 室は広さが同じなので、人数の多い A 室のほうが混んでいます。B 室と C 室は人数が同じなので、せまい C 室のほうが混んでいます。では、A 室と C 室ではどうでしょうか。広さも人数も違うので、どちらか一方だけでは比べられません。

そこで、どちらかの量を 1 にそろえます。広さを 1 畳にそろえると、1 畳あたりの人数は

A 室: 6÷10=0.6 (人),C 室: 5÷8=0.625 (人)\text{A 室:}\ 6 \div 10 = 0.6\ (\text{人}), \qquad \text{C 室:}\ 5 \div 8 = 0.625\ (\text{人})

となり、C 室のほうが混んでいるとわかります。人数を 1 人にそろえて、1 人あたりの畳の数で比べることもできます。A 室は 10÷6=1.666…10 \div 6 = 1.666\ldots 畳、C 室は 8÷5=1.68 \div 5 = 1.6 畳で、1 人あたりの広さがせまい C 室のほうが混んでいます。どちらでそろえても、結論は同じです。

広さと人数の違う 3 つの部屋の図。A 室は 10 畳に 6 人で 1 畳あたり 0.6 人、B 室は 10 畳に 5 人で 0.5 人、C 室は 8 畳に 5 人で 0.625 人。1 人あたりの畳の数は A が約 1.67 畳、B が 2 畳、C が 1.6 畳で、C がいちばん混んでいる

定義 5.1(単位量あたりの大きさ)2 つの量の組(広さと人数、時間と道のり、重さと値段など)を比べるとき、一方の量を 1(1 畳、1 時間、1 g など)にそろえたときの、もう一方の量を単位量あたりの大きさといいます。たとえば「1 畳あたりの人数」は、人数 ÷ 畳の数 で求められます。

ふだんの生活でも、単位量あたりの大きさはよく使われています。

  • スーパーの値札にある「100 g あたり ◯ 円」(値段 ÷ 重さ)
  • 自動車の燃費「ガソリン 1 L あたり ◯ km」(道のり ÷ ガソリンの量)
  • 人口密度「1 km² あたり ◯ 人」(人口 ÷ 面積)

例 5.2(人口密度)面積 48 km² で人口 60000 人の A 市と、面積 150 km² で人口 90000 人の B 町があります。人口は B 町のほうが多いのですが、1 km² あたりの人口(人口密度)は、A 市が 60000÷48=125060000 \div 48 = 1250 人、B 町が 90000÷150=60090000 \div 150 = 600 人なので、A 市のほうが混み合っています。人口密度は、「国全体が混み合っている」「この県は人がまばら」といったことを数で比べるための、単位量あたりの大きさです。

注意 5.3 「1 畳あたり 0.6 人」といっても、0.6 人の人がいるわけではありません。単位量あたりの大きさは、部屋の中で人が平らにならされている(どの 1 畳にも同じだけいる)と考えたときの値で、実際の人の散らばり方とは違います。5 年で学ぶ「平均」と同じ考え方です。朝の駅のホームが、町全体の人口密度から想像するよりずっと混んでいるのも、人口密度が町全体をならした値だからです。

2 つの量のわり算は、どちらを 1 とみるかで 2 通り

「人数 ÷ 畳の数」は大きいほど混んでいて、「畳の数 ÷ 人数」は小さいほど混んでいます。どちらも正しい単位量あたりの大きさですが、大小の読み方が逆になります。子どもが混乱するのはここです。わり算の式を見たら、「何を 1 にそろえたのか」(÷ の後ろの量が 1 になる)と、「その答えは何の量か」を、単位をつけて言う習慣をつけましょう。「6÷10=0.66 \div 10 = 0.6」ではなく「1 畳あたり 0.6 人」と言えば、大きいほど混んでいることがすぐにわかります。

ヒント

子どもに伝えるには レジャーシートや新聞紙を「部屋」に見立て、ぬいぐるみや積み木を「人」として並べてみます。「新聞紙 2 枚にぬいぐるみ 3 つ」と「新聞紙 3 枚にぬいぐるみ 4 つ」のように、広さも数も違う組を作って、「どっちが混んでる?」と聞きます。見た目ではわかりにくいので、「新聞紙 1 枚あたりに直すと?」と問いかけると、わり算で 1 にそろえる意味が実感できます(1 枚あたり 1.5 個と、約 1.33 個)。「1 枚に何個ずつ、平らにならして置いたらどうなるかな」と言いながら、実際にぬいぐるみを均等に置き直すと、注意 5.3 の「ならす」も伝わります。

5.2 速さ ―公式の暗記に頼らない

速さは「1 時間あたりに進む道のり」

速さも、単位量あたりの大きさの一つです。「3 時間で 180 km 進む車」と「2 時間で 130 km 進む車」の速さを比べるには、時間を 1 時間にそろえて、1 時間あたりに進む道のりで比べます(180÷3=60180 \div 3 = 60 km と 130÷2=65130 \div 2 = 65 km)。

定義 5.4(速さ)単位時間(1 時間、1 分、1 秒)あたりに進む道のりを速さといいます。1 時間あたりの道のりで表した速さを時速、1 分あたりを分速、1 秒あたりを秒速といいます。速さ = 道のり ÷ 時間 です。

「時速 60 km」は「60 km/時」とも書きますが、この「/」は「1 時間あたり」という意味です。

2 本の数直線で考える

一定の速さで進むとき、進む時間が 2 倍、3 倍、… になれば、道のりも 2 倍、3 倍、… になります(この性質を 5.7 節で比例と呼びます)。この関係を目に見える形にするのが、第4章でも使った2 本の数直線です。下に時間、上に道のりをとり、同じ位置の目盛りどうしが対応するようにかきます。

時間と道のりの 2 本の数直線。1 時間で 60 km 進む速さのとき、2 時間で 120 km、2.5 時間で 150 km。時間を 2.5 倍すると道のりも 2.5 倍になる

例 5.5 上の図の、1 時間と 60 km、2.5 時間と 150 km の 4 つの数に注目します。速さの問題は、このうち 1 時間以外の 3 つのどれか 1 つを隠したものです。

  1. 「時速 60 km で 2.5 時間進むと、何 km 進む?」 時間が 1 時間の 2.5 倍なので、道のりも 60 km の 2.5 倍で、60×2.5=15060 \times 2.5 = 150 km です。
  2. 「150 km を 2.5 時間で進んだ。時速何 km?」 1 時間は 2.5 時間を 2.5 でわった時間なので、道のりも 150 km を 2.5 でわって、150÷2.5=60150 \div 2.5 = 60 km です。時速 60 km です。
  3. 「時速 60 km で 150 km 進むには、何時間かかる?」 150 km は 60 km の 150÷60=2.5150 \div 60 = 2.5 倍なので、時間も 1 時間の 2.5 倍で、2.5 時間です。

3 つとも、「上の数直線で何倍になっているかを、下の数直線にも当てはめる(または逆)」という同じ考え方で解けています。「速さ × 時間 = 道のり」「道のり ÷ 速さ = 時間」という式は、覚えるものではなく、図からその場で作れるものなのです。

単位の換算も同じ考え方で

時速 72 km は、分速何 m でしょうか。「60 分で 72 km 進む」ので、1 分ではその 160\displaystyle \frac{1}{60} で 72÷60=1.272 \div 60 = 1.2 km、つまり分速 1200 m です。さらに 1 秒ではその 160\displaystyle \frac{1}{60} で 1200÷60=201200 \div 60 = 20 m、つまり秒速 20 m です。「1 にそろえる」という同じ考え方で、単位の換算もできます。

注意 5.6(平均の速さ)実際の乗り物は、速くなったり遅くなったりします。そのときの「速さ」は、全体の道のりを全体の時間でわった平均の速さで、途中ずっと同じ速さで進んだとみなした値です(注意 5.3 の「ならす」と同じです)。たとえば 12 km 離れた町まで、行きは時速 12 km の自転車で 1 時間、帰りは時速 4 km で歩いて 3 時間かかったとします。往復の平均の速さは「12 と 4 の平均で時速 8 km」ではなく、24÷(1+3)=624 \div (1 + 3) = 6 より時速 6 km です。遅い帰り道のほうが時間が長いので、遅い速さのほうに引っぱられるのです。

注意

つまずきポイント 速さの問題を「はじき」(はやさ・じかん・きょり)の図で解くよう教わった人は多いでしょう。円を T 字に区切って、上に「き」、下に「は」と「じ」を書き、求めたいものを隠すと式が出てくる、というものです。手軽ですが、次のような問題があります。

  • 「速さとは何か」を説明できなくても答えが出るので、意味が育ちません。図の配置を忘れたら、それきりです。
  • 単位がそろっているかを確かめるきっかけがありません。「分速 75 m で 2 時間」に、そのまま 75×275 \times 2 としてしまいます。
  • 注意 5.6 の平均の速さや、「出会うまで」「追いつくまで」の問題のように、3 つの量を当てはめるだけでは解けない場面で役に立ちません。人口密度や燃費など、ほかの単位量あたりの大きさにも広がりません。

2 本の数直線なら、「1 時間あたり」という速さの意味そのものが図に入っているので、こうした場面にもそのまま使えます。意味がわかったあとの確かめに語呂合わせを使う子がいても、それを否定する必要はありません。ただ、最初の教え方として語呂合わせから入るのは避けたいところです。

ヒント

子どもに伝えるには 速さは目に見えないので、まず体で感じるところから始めます。廊下や公園で「10 秒間歩いて何 m 進むか」「10 秒間走って何 m 進むか」を巻き尺で測り、「1 秒あたり何 m?」を計算してみましょう(歩くとだいたい秒速 1 m 余り、走ると秒速数 m になるはずです)。次に、その数を 2 本の数直線に書き込み、「では 60 秒(1 分)なら?」と目盛りをのばしていきます。「1 秒あたり」が決まれば、どれだけの時間でも道のりがわかる、というのが速さの便利さです。

5.3 割合 ―何を 1 とみるか

差で比べるか、倍で比べるか

2 本のゴムひもがあります。ゴム A は 20 cm のものが 60 cm に、ゴム B は 40 cm のものが 80 cm にのびました。どちらもちょうど 40 cm のびていますが、「同じだけよくのびる」と言ってよいでしょうか。

もとの長さを 1 とみると、A は 60÷20=360 \div 20 = 3 で 3 倍に、B は 80÷40=280 \div 40 = 2 で 2 倍にのびています。もとの長さが違うものを比べるときは、差ではなく倍で比べたほうが、ゴムの性質をよく表せます。4 年で学ぶ「簡単な割合」はこの考え方で、5 年で割合という言葉と、1 より小さい倍(0.75 倍など)に広がります。

定義 5.7(割合)ある量 A が、もとにする量 B の何倍にあたるかを表す数を、B に対する A の割合といいます。このとき B をもとにする量、A を比べられる量といいます。

割合=比べられる量÷もとにする量\text{割合} = \text{比べられる量} \div \text{もとにする量}

言いかえると、割合は「もとにする量を 1 とみたとき、比べられる量がいくつにあたるか」です。

5.1 節の「1 畳あたりの人数」は人数と広さという種類の違う量のわり算でした。割合は、長さと長さ、人数と人数のように同じ種類の量のわり算で、単位のない数になります。第4章の「割合分数」(白いテープを 1 とみたときの赤いテープの大きさ)も、ここでいう割合です。

3 つの問題は 1 つの関係

定員 40 人のバスに 30 人乗っているとき、乗っている人の数は定員の何倍でしょうか。もとにする量は定員の 40 人で、これを 1 とみます。2 本の数直線をかくと、次のようになります。

人数と割合の 2 本の数直線。もとにする量の定員 40 人を 1 とみると、比べられる量の 30 人は 0.75 にあたる

割合は 30÷40=0.7530 \div 40 = 0.75 です。この関係は、矢印を使った関係図でも表せます。

40 人→ ×0.75 30 人40\ \text{人} \xrightarrow{\ \times 0.75\ } 30\ \text{人}

性質 5.8(割合の 3 つの用法)もとにする量・比べられる量・割合の 3 つのうち 2 つがわかれば、残りの 1 つが求められます。3 つの式はどれも、「もとにする量 × 割合 = 比べられる量」という 1 つの関係を言いかえたものです。

割合=比べられる量÷もとにする量比べられる量=もとにする量×割合もとにする量=比べられる量÷割合\begin{aligned} \text{割合} &= \text{比べられる量} \div \text{もとにする量} \\ \text{比べられる量} &= \text{もとにする量} \times \text{割合} \\ \text{もとにする量} &= \text{比べられる量} \div \text{割合} \end{aligned}

例 5.9

  1. 「定員 40 人のバスに 30 人乗っている。乗客は定員の何倍?」  30÷40=0.7530 \div 40 = 0.75 倍です。
  2. 「定員 40 人のバスに、定員の 1.2 倍の人が乗った。何人?」  40×1.2=4840 \times 1.2 = 48 人です。数直線では、1 の右側の 1.2 の位置にあたります。割合は 1 より大きくてもかまいません。
  3. 「別のバスでは、27 人の乗客が定員の 0.75 倍にあたる。定員は何人?」 定員を □ 人とすると、関係図は □→×0.7527\square \xrightarrow{\times 0.75} 27 です。矢印を逆にたどって、□=27÷0.75=36\square = 27 \div 0.75 = 36 人です(確かめ:36×0.75=2736 \times 0.75 = 27)。

3 番目は、割合の問題の中でもっとも間違いの多い型です。「27 人と 0.75 が出てきたから、とりあえずかける」と 27×0.7527 \times 0.75 としてしまうのです。数直線をかけば、0.75 にあたるのが 27 人なので、1 にあたる定員は 27 人より多いはずだ、と見当がつきます。第4章の「1 より小さい数でわると、商はもとの数より大きくなる」が、ここで生きてきます。

5.4 百分率と歩合

割合 0.75 は、日常では「75%」や「7 割 5 分」と言うことのほうが多いでしょう。これらは同じ割合の、別の表し方です。

定義 5.10(百分率と歩合)割合 0.01 を 1%(1 パーセント)と表す表し方を百分率といいます。割合 1 は 100% です。また、割合 0.1 を 1 割、0.01 を 1 分、0.001 を 1 厘と表す表し方を歩合といいます。

割合 11 0.10.1 0.010.01 0.0010.001
百分率 100% 10% 1% 0.1%
歩合 10 割 1 割 1 分 1 厘

百分率は「もとにする量を 100 とみたときの大きさ」です。75% は「100 人中 75 人の割合」と言いかえられるので、もとにする量が 100 でなくても、イメージしやすくなります。歩合は、野球の打率(0.3250.325 を「3 割 2 分 5 厘」と読む)などで今も使われています。

例 5.11(20% 引きを 2 回)定価 3000 円の品物を 20% 引きで買い、さらにその値段から 20% 引いてもらいました。代金はいくらでしょうか。

20% 引きの値段は、もとの値段の 1−0.2=0.81 - 0.2 = 0.8 倍です。1 回目は 3000×0.8=24003000 \times 0.8 = 2400 円です。2 回目の 20% は、2400 円をもとにした 20% なので、2400×0.8=19202400 \times 0.8 = 1920 円になります。一方、はじめから 40% 引きなら 3000×0.6=18003000 \times 0.6 = 1800 円です。

テープ図。定価 3000 円の 20% 引きは 2400 円で、その 0.8 倍の 1920 円が 2 回目の値段。3000 円の 40% 引きは 1800 円で、1920 円とは 120 円の差がある。1920 円は 36% 引き

2 回の値引きは 0.8×0.8=0.640.8 \times 0.8 = 0.64 倍なので、合わせると 36% 引きで、40% 引きではありません。2 回目の 20% は、小さくなった 2400 円をもとにしているので、引かれる金額(480 円)が 1 回目(600 円)より少ないのです。割合をたしたりひいたりしてよいのは、もとにする量が同じときだけです。

注意 5.12(% と「ポイント」)ニュースで「支持率が 40% から 50% に上がった」とき、「10 ポイント上がった」と言います。これは割合どうしの差で、「10% 上がった」とは区別します。40% をもとにすると、50% は 50÷40=1.2550 \div 40 = 1.25 倍なので、「支持率が 25% 増えた」という言い方もでき、10% とはまったく違う数になるからです。もとにする量が何なのかがあいまいな言い方は、大人の世界でも誤解の原因になります。なお、「五分五分」(半々)や「腹八分目」の「分」は、10 分の 1 を表す古い言い方で、歩合の「分」(100 分の 1)とは違います。

5.5 割合でつまずく理由と、図の使い方

なぜ割合は難しいのか

割合は、小学校の算数で正答率が低くなりやすい単元としてよく知られています。理由として、次のようなものが考えられます。

  1. もとにする量が、ことばの上で見えにくい。 「A は B の何倍」「B に対する A の割合」「B をもとにした A」「B の ◯% が A」と、同じ関係にいろいろな言い方があり、もとにする量が文の前に来たり後ろに来たりします。
  2. 割合は量ではなく、2 つの量の関係。 「0.75」だけでは、何人なのかわかりません。もとにする量が変われば、同じ 0.75 でも表す量が変わります(第4章の「2 m の 34\displaystyle \frac{3}{4}」と「34\displaystyle \frac{3}{4} m」の違いと同じです)。そのため、もとにする量の違う割合を、そのままたしたりひいたりできません(例 5.11)。
  3. 1 より小さい倍が出てくる。 「0.75 倍」は「75% にへらす」ことで、かけ算で答えが小さくなります。第4章の「かけ算をすると答えは大きくなる」という思い込みが、ここで表に出ます。
  4. ことばの手がかりで式を決めようとする。 「『の』があったらかける」「大きい数を小さい数でわる」といった手がかりは、例 5.9 の 3 番目(27÷0.7527 \div 0.75)のような問題で必ず破綻します。

例 5.13(「より ◯% 多い」は逆にできない)ある品物の値段が、100 円から 125 円に上がりました。100 円をもとにすると、値上がりは 25÷100=0.2525 \div 100 = 0.25 で 25% です。では、125 円から 100 円に戻したら「25% 値下げ」でしょうか。今度のもとにする量は 125 円なので、値下がりは 25÷125=0.225 \div 125 = 0.2 で 20% です。「A は B より 25% 多い」は「B は A より 25% 少ない」とは言いかえられません。差は同じ 25 円でも、もとにする量が違うからです。

数直線図と関係図

こうしたつまずきに対して、多くの教科書が使っているのが、5.3 節の2 本の数直線(数直線図)と、矢印で表す関係図です。手順はいつも同じです。

  1. 問題文から、もとにする量を見つける(「〜の」「〜に対する」「〜をもとにした」の「〜」の部分)。
  2. 数直線の下に 0 と 1、上に 0 ともとにする量を、同じ位置に書く。
  3. わかっている割合(または比べられる量)を書き込み、求める数を □ で書く。1 より大きいか小さいかで、□ の位置を 1 の右か左に置く。
  4. 「1 から何倍しているか」を見て、かけ算かわり算かを決める。

テープ図(例 5.11 の図)でもかまいません。大切なのは、もとにする量を 1 とみることと、答えの見当をつけてから式を立てることです。

注意

つまずきポイント 「くもわ」(くらべられる量・もとにする量・わりあい)という語呂合わせがあります。「はじき」と同じように、円の上に「く」、下に「も」と「わ」を書き、求めたいものを隠して式を作るものです。しかし、割合の問題でいちばん難しいのは式の形ではなく、問題文のどの数がもとにする量で、どの数が比べられる量なのかを見きわめることです。語呂合わせはその部分を何も助けてくれないうえ、見きわめを間違えても、もっともらしい式ができてしまいます。例 5.13 で「25% 値上げしたのだから、25% 値下げすれば戻る」と考えてしまうのは、もとにする量が入れかわったことに気づかないからです。数直線図をかいて「1 にあたるのはどれ?」と毎回確かめるほうが、遠回りに見えて確実です。

ヒント

子どもに伝えるには 割合の問題で手が止まったら、2 つのことを聞きます。一つは「何を 1 とみているかな?」です。問題文の「〜の」「〜に対する」に線を引かせて、その量を数直線の 1 の真上に書かせます。もう一つは「数を簡単にしたらどうなる?」です。「27 人が定員の 0.75 倍」でわからなければ、「27 人が定員の 3 倍なら、定員は?」と聞きます。「9 人。27 ÷ 3 で」と答えられたら、「じゃあ 0.75 倍でも同じように、27 ÷ 0.75 だね」とつなげます。0.75 は「3 倍」より想像しにくいだけで、式の形は同じです。整数の倍で考えてから小数の倍に置きかえるのは、子どもが自分で式を立てられるようになる有効な方法です。

5.6 比と比の値

比は 2 つの量を対等に並べる

ドレッシングを、酢と油を「2 対 3」の割合で混ぜて作るとします。これを 2:32 : 3 と書きます。

定義 5.14(比と比の値)2 つの量 aa と bb の割合を、a:ba : b(「aa 対 bb」と読む)と表したものを比といいます。aa が bb の何倍かを表す数 a÷ba \div b を、比 a:ba : b の比の値といいます。比の値が等しい 2 つの比は等しいといい、2:3=4:62 : 3 = 4 : 6 のように書きます。

2:32 : 3 の比の値は 2÷3=23\displaystyle 2 \div 3 = \frac{2}{3} で、「酢の量は油の量の 23\displaystyle \frac{2}{3} 倍」という割合と同じことです。つまり比の値は、5.3 節の割合で「bb をもとにする量とみたときの aa の割合」です。ただ、割合はどちらかを 1 とみるのに対し、比は 2 つの量を対等に並べて書くので、「酢 2 杯に油 3 杯」のように、作り方をそのまま表せる便利さがあります。

性質 5.15(等しい比)比 a:ba : b の aa と bb に同じ数をかけても、同じ数でわっても、等しい比になります(0 をかけることと 0 でわることは除きます)。

比の値は a÷ba \div b なので、これは第4章の性質 4.4(わられる数とわる数に同じ数をかけても、同じ数でわっても、商は変わらない)そのものです。この性質を使って、比をできるだけ小さい整数の比に直すことを、比を簡単にするといいます。

  • 12:18=2:312 : 18 = 2 : 3(両方を 6 でわる)
  • 0.6:1.5=6:15=2:50.6 : 1.5 = 6 : 15 = 2 : 5(10 倍してから 3 でわる)
  • 23:34=8:9\displaystyle \frac{2}{3} : \frac{3}{4} = 8 : 9(両方に 12 をかける)

ドレッシングを 2:32 : 3 で作っても 4:64 : 6 で作っても、できる量は違いますが味は同じです。等しい比とは、「混ぜぐあい」が同じということです。

比のテープ図。酢と油を 2 : 3 で全部で 250 mL つくると、1 目もり 50 mL で、酢 100 mL、油 150 mL。4 : 6 で 500 mL つくると、酢 200 mL、油 300 mL。1 目もりの大きさは同じで、味も同じ

比を使った問題

例 5.16

  1. 「酢と油を 2:32 : 3 で混ぜて、全部で 250 mL のドレッシングを作る。酢は何 mL?」 全体を 2+3=52 + 3 = 5 目もりとみると、1 目もりは 250÷5=50250 \div 5 = 50 mL です。酢は 2 目もりで 100 mL、油は 3 目もりで 150 mL です。割合で言えば、酢は全体の 25\displaystyle \frac{2}{5} なので 250×25=100\displaystyle 250 \times \frac{2}{5} = 100 mL と求めることもできます。
  2. 「酢と油を 2:32 : 3 で混ぜる。油を 150 mL 使うとき、酢は何 mL?」  2:3=□:1502 : 3 = \square : 150 で、3 が 150 になるのは 50 倍なので、□=2×50=100\square = 2 \times 50 = 100 mL です。

1 番目のように、ある量を決まった比に分けることを比例配分ということもあります。どちらの問題も、「1 目もりがいくつか」を求めて考えているのがポイントです。これも「1 にそろえる」という単位量あたりの考え方です。

なお、比の両方の数に同じ数をたしても、等しい比にはなりません。2:32 : 3 の両方に 1 をたすと 3:43 : 4 ですが、比の値は 23\displaystyle \frac{2}{3} と 34\displaystyle \frac{3}{4} で違います。酢と油を 1 杯ずつ足したドレッシングは、元より酸っぱくなります。

5.7 比例と反比例

ともなって変わる 2 つの量

ここまでの話には、共通する前提がありました。一定の速さで進むなら、時間が 2 倍になれば道のりも 2 倍になる。同じ紙なら、枚数が 2 倍になれば重さも 2 倍になる。この「ともなって変わり方」に名前をつけたのが比例です。

空の水そうに一定の量ずつ水を入れ、1 分ごとに水の深さを測ったら、次のようになりました。

時間 xx(分) 00 11 22 33 44 55 66
深さ yy(cm) 00 22 44 66 88 1010 1212

時間が 1 分から 2 分へ 2 倍になると、深さも 2 cm から 4 cm へ 2 倍になります。1 分から 3 分へ 3 倍になると、深さも 3 倍になります。2 分から 3 分へ 1.5 倍になると、深さも 4 cm から 6 cm へ 1.5 倍です。

定義 5.17(比例)ともなって変わる 2 つの量 xx と yy があって、xx の値が 2 倍、3 倍、… になると、それに対応する yy の値も 2 倍、3 倍、… になるとき、 yy は xx に比例するといいます。xx の値が 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍、13\displaystyle \frac{1}{3} 倍、1.5 倍などになるときも、yy の値は同じように 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍、13\displaystyle \frac{1}{3} 倍、1.5 倍になります。

5 年・6 年の教科書では、このように何倍になるかで比例を定義します。「xx が増えると yy も増える」では比例とはいえません。この違いは、あとで比例でない例と比べるとはっきりします。

性質 5.18(比例の式とグラフ)yy が xx に比例するとき、y÷xy \div x の値は(xx が 00 のときを除いて)いつも同じ数(決まった数)になります。決まった数を使うと、

y=決まった数×xy = \text{決まった数} \times x

と表せます。逆に、y=決まった数×xy = \text{決まった数} \times x と表せるなら、yy は xx に比例します。比例のグラフは、xx も yy も 0 の点(原点)を通る直線になります。

水そうの例では、決まった数は 22 で、y=2×xy = 2 \times x です。決まった数「2」は、「1 分あたり 2 cm」という単位量あたりの大きさそのものです。速さの例なら決まった数は速さ(y=60×xy = 60 \times x)、紙の重さなら 1 枚あたりの重さです。単位量あたりの大きさとは、比例の「決まった数」のことだったのです。

大人のための証明. 定義 5.17 の「xx が何倍になっても、yy も同じだけ何倍になる」が、どんな正の数倍(小数倍・分数倍も含む)についても成り立つとします。x=1x = 1 のときの yy の値を aa とします。どんな正の数 xx も「1 の xx 倍」なので、そのときの yy は aa の xx 倍、つまり y=a×xy = a \times x です。x=0x = 0 のときは、00 を 2 倍しても 00 なので、対応する yy の値も 2 倍しても変わらない数、つまり 00 です。これで y=a×xy = a \times x と表せました。逆に y=a×xy = a \times x なら、xx を kk 倍すると yy は a×(k×x)=k×(a×x)a \times (k \times x) = k \times (a \times x) となり、kk 倍になります。□\square

グラフが原点を通る直線になる理由も、ここから見えます。y÷xy \div x が一定なので、グラフ上のどこでも、右へ 1 進むと上へ決まった数だけ上がります(水そうの例なら「右へ 1 進むと上へ 2」)。傾き方が一定で原点から出発するので、点はすべて原点を通る 1 本の直線の上に並びます。

比例でない例 ―「増えると増える」との違い

同じ水そうに、はじめから 3 cm の深さまで水が入っていたとします。同じように水を入れると、深さは

時間 xx(分) 00 11 22 33 44 55 66
深さ yy(cm) 33 55 77 99 1111 1313 1515

となります。時間が増えれば深さも増え、1 分ごとに 2 cm ずつ深くなる点も同じです。しかし時間が 1 分から 2 分へ 2 倍になっても、深さは 5 cm から 7 cm で、2 倍にはなりません。yy は xx に比例しません。

水を入れる時間 x 分と水の深さ y cm のグラフ。空の水そうでは y = 2 × x で、原点を通る直線になり、比例している。x が 2 から 4 へ 2 倍になると、y も 4 から 8 へ 2 倍。はじめに 3 cm 入っていると y = 2 × x + 3 で、直線だが原点を通らず、比例ではない

グラフにすると、どちらも直線ですが、比例のグラフは原点を通り、比例でないほうは原点を通りません。「グラフが直線なら比例」ではなく、「原点を通る直線なら比例」です。比例でないほうの直線は、中学 2 年で一次関数として学びます。

反比例

面積が 12 cm² の長方形を考えます。縦の長さを xx cm、横の長さを yy cm とすると、次のようになります。

縦 xx(cm) 11 22 33 44 66 1212
横 yy(cm) 1212 66 44 33 22 11

縦が 1 cm から 2 cm へ 2 倍になると、横は 12 cm から 6 cm へ 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍になります。縦が 3 倍になると、横は 13\displaystyle \frac{1}{3} 倍になります。

定義 5.19(反比例)ともなって変わる 2 つの量 xx と yy があって、xx の値が 2 倍、3 倍、… になると、それに対応する yy の値が 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍、13\displaystyle \frac{1}{3} 倍、… になるとき、 yy は xx に反比例するといいます。

性質 5.20(反比例の式とグラフ)yy が xx に反比例するとき、x×yx \times y の値はいつも同じ数(決まった数)になり、

y=決まった数÷xy = \text{決まった数} \div x

と表せます。反比例のグラフは直線にならず、なめらかな曲線になります。

長方形の例では、決まった数は面積の 12 です。グラフは、xx が大きくなるにつれて yy が小さくなり、軸に限りなく近づいていきますが、軸にはとどきません(x×y=12x \times y = 12 なので、yy が 0 になることはありません)。

面積が 12 cm² の長方形の縦 x cm と横 y cm のグラフ。点(1, 12)(2, 6)(3, 4)(4, 3)(6, 2)(12, 1)を通るなめらかな曲線で、直線にはならない。縦 3 cm・横 4 cm の長方形を塗って、面積が 12 cm² であることを示している

反比例の身近な例には、「決まった道のりを進むときの速さと時間」(道のり = 速さ × 時間 が一定)、「決まった量のジュースを分けるときの人数と 1 人分の量」などがあります。

注意

つまずきポイント 比例・反比例には、もっともらしい誤解が 2 つあります。

  • 「xx が増えると yy も増える」なら比例、という誤解。上の水そうの y=2×x+3y = 2 \times x + 3 のほかにも、「年齢と身長」(10 歳の身長は 5 歳の 2 倍ではありません)、「正方形の 1 辺と面積」(1 辺が 2 倍になると面積は 4 倍)など、増えると増えるが比例ではない例はたくさんあります。
  • 「xx が増えると yy が減る」なら反比例、という誤解。「30 枚の折り紙のうち xx 枚使ったときの残り yy 枚」は、xx が増えると yy は減りますが、xx が 1 枚から 2 枚へ 2 倍になっても、残りは 29 枚から 28 枚で 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍にはなりません(x+y=30x + y = 30 が一定で、和が一定の関係です)。

どちらも、「増える・減る」という向きだけを見て、「何倍になるか」を確かめていないことが原因です。比例・反比例かどうかは、表を作って「xx を 2 倍にしたら yy は何倍?」と確かめるのが確実です。

5.8 比例を使って問題を解く

数えずに数える

例 5.21(紙の枚数を重さで数える)厚紙の束が何枚あるかを、1 枚ずつ数えずに知りたいとします。50 枚だけ数えて重さを量ったら 200 g、束全体は 840 g でした。

紙の重さは枚数に比例すると考えられるので、2 本の数直線がかけます。

重さと枚数の 2 本の数直線。50 枚で 200 g の紙が全部で 840 g あるとき、重さは 840 ÷ 200 = 4.2 倍なので、枚数も 50 × 4.2 = 210 枚

重さが 840÷200=4.2840 \div 200 = 4.2 倍なので、枚数も 4.2 倍で、50×4.2=21050 \times 4.2 = 210 枚です。別の考え方として、1 枚あたりの重さ(決まった数)を先に求めると 200÷50=4200 \div 50 = 4 g なので、840÷4=210840 \div 4 = 210 枚です。「何倍か」を使う方法と「1 あたり」を使う方法の 2 つがあり、どちらも比例を使っています。

測れないものを測る

例 5.22(影の長さで木の高さを測る)晴れた日、高さ 1 m の棒を地面にまっすぐ立てると、影の長さは 1.6 m でした。同じ時刻に、木の影の長さを測ると 8 m でした。木の高さは何 m でしょうか。

同じ時刻なら、日光はどこでも同じ向きからさしているので、物の高さと影の長さは比例します。影の長さが 8÷1.6=58 \div 1.6 = 5 倍なので、木の高さも 1 m の 5 倍で、5 m です。

同じ時刻の棒と木の影の図。高さ 1 m の棒の影は 1.6 m、木の影は 8 m。日光は平行にさしているので、木の高さは 1 m の 8 ÷ 1.6 = 5 倍で 5 m

古代ギリシャのタレスが、ピラミッドの影を使ってその高さを求めたという話が伝わっています。高さと影の長さが比例することは、図の 2 つの直角三角形が同じ形(相似)であることから説明でき、中学 3 年で学びます。

注意 5.23(比例と「みなす」)現実の量が、完全に比例していることはほとんどありません。紙は 1 枚ずつ少しずつ重さが違いますし、地面に傾きがあれば影の長さは変わります。それでも「比例しているとみなせば、よい近似で答えがわかる」場面がたくさんあります。これは、現実を数学の形に置きかえて考えるモデル化の第一歩です。逆に、比例しないものに比例を当てはめると、とんでもない答えが出ます。「3 歳のとき身長 95 cm だったから、6 歳では 190 cm」とはなりませんし、「1 人で 6 時間かかる草むしりを 3 人でやると 18 時間」とはなりません(3 人で同じ速さで作業すれば、人数に反比例して 2 時間です)。比例を使う前に、「本当に比例すると考えてよいか」を確かめることが大切です。

4 つの話題は 1 つ

この章の内容を振り返ると、単位量あたりの大きさ・速さ・割合・比は、どれも比例の上に立っています。

話題 比例している 2 つの量 決まった数(1 あたりの量)
単位量あたり 畳の数と人数 1 畳あたりの人数
速さ 時間と道のり 速さ(1 時間あたりの道のり)
割合 もとにする量と、その決まった倍の量(定員と、その 0.75 倍の人数など) 割合(もとにする量 1 あたりの比べられる量)
比 比の前の量と後ろの量(作る量を変えても同じ味) 比の値

2 本の数直線が、どの話題にも同じように使えたのはこのためです。2 本の数直線は、比例している 2 つの量の対応表を図にしたものなのです。

補足

この先の数学では 中学 1 年では、比例 y=a×xy = a \times x(中学では y=axy = ax と書きます)を負の数にまで広げ、反比例のグラフが原点をはさんで 2 つに分かれた曲線(双曲線)になることを学びます。中学 2 年では、5.7 節の「比例でない直線」y=2x+3y = 2x + 3 を一次関数として学び、決まった数 aa は「変化の割合」(グラフの傾き)と呼ばれるようになります(P2 第5章)。

大学の線形代数では、比例の考え方が線形写像に育ちます(02 第3章 定義 3.1)。線形写像の条件は、「xx を kk 倍すると f(x)f(x) も kk 倍になる」(f(kx)=kf(x)f(kx) = kf(x))と「合わせてから対応させても、対応させてから合わせても同じ」(f(x+y)=f(x)+f(y)f(x + y) = f(x) + f(y))の 2 つで、前者は小学校の比例の定義 5.17 そのものです。違うのは、xx が数だけでなく、ベクトル(いくつかの数の組)でもよい点です。

補足

この先の数学では 注意 5.6 の「平均の速さ」は、高校で学ぶ微分につながります。車のスピードメーターが示す「その瞬間の速さ」は、ごく短い時間の平均の速さを考え、その時間を限りなく短くしていった先として定めます。これが微分の考え方で、P4 第3章で学び、大学では 01 第4章 で厳密に扱います。

まとめ

  • 広さと人数のように 2 つの量が違うものは、一方を 1 にそろえた単位量あたりの大きさで比べます。どちらを 1 にそろえるかで大小の読み方が逆になるので、「1 ◯ あたり △」と単位をつけて言います。
  • 速さは 1 時間(1 分、1 秒)あたりに進む道のりです。2 本の数直線に「1 時間で ◯ km」を書き込めば、道のり・時間・速さのどれを求める式も、その場で作れます。平均の速さは、全体の道のり ÷ 全体の時間です。
  • 割合は、もとにする量を 1 とみたときの比べられる量の大きさで、「もとにする量 × 割合 = 比べられる量」という 1 つの関係にまとめられます。いちばん大事なのは「何を 1 とみるか」を見きわめることです。
  • 百分率(1% = 0.01)と歩合(1 割 = 0.1、1 分 = 0.01、1 厘 = 0.001)は、割合の別の表し方です。もとにする量が違う割合は、そのままたしたりひいたりできません(20% 引きを 2 回で 36% 引き)。
  • 割合のつまずきの多くは、もとにする量がことばの上で見えにくいことから起こります。語呂合わせではなく、数直線図・関係図・テープ図で「1 にあたるのはどれか」を毎回確かめます。
  • 比 a:ba : b は 2 つの量を対等に並べた表し方で、比の値 a÷ba \div b は割合と同じです。両方に同じ数をかけても、同じ数でわっても等しい比になります(わり算の性質)。
  • 比例とは、xx が 2 倍、3 倍、… になると yy も 2 倍、3 倍、… になる関係です。y=決まった数×xy = \text{決まった数} \times x と表せ、グラフは原点を通る直線です。「増えると増える」だけでは比例ではありません。
  • 反比例とは、xx が 2 倍、3 倍、… になると yy が 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍、13\displaystyle \frac{1}{3} 倍、… になる関係です。x×yx \times y が一定で、グラフは直線にならない曲線です。
  • 単位量あたり・速さ・割合・比は、どれも比例を土台にしていて、比例の「決まった数」が単位量あたりの大きさにあたります。比例は、中学の一次関数、大学の線形写像へとつながります。

演習問題

問題 5.1 ★ うさぎ小屋 A は広さ 12 m² に 9 羽、小屋 B は広さ 15 m² に 12 羽のうさぎがいます。(1) 1 m² あたりの羽数で、(2) 1 羽あたりの広さで、それぞれどちらが混んでいるかを比べてください。それぞれの方法では、数が大きいほうと小さいほうの、どちらが混んでいることになりますか。

解答

(1) A は 9÷12=0.759 \div 12 = 0.75 羽、B は 12÷15=0.812 \div 15 = 0.8 羽です。1 m² あたりの羽数が多い B のほうが混んでいます。

(2) A は 12÷9=1.333…12 \div 9 = 1.333\ldots m²、B は 15÷12=1.2515 \div 12 = 1.25 m² です。1 羽あたりの広さがせまい B のほうが混んでいます。

どちらで比べても、B のほうが混んでいるという結論は同じです。(1) では数が大きいほうが混んでいて、(2) では数が小さいほうが混んでいます。答えを「1 m² あたり 0.8 羽」「1 羽あたり 1.25 m²」のように単位つきで言うと、どちらの読み方をすればよいか迷わずに済みます。

問題 5.2 ★ 1.8 km の道のりを 24 分で歩く人がいます。(1) この人の速さは分速何 m ですか。(2) 同じ速さで 40 分歩くと、何 km 進みますか。(3) この人の速さは時速何 km ですか。(4) 同じ速さで 6 km 歩くには、何分かかりますか。2 本の数直線をかいて考えてください。

解答

(1) 1.8 km = 1800 m です。1 分は 24 分の 124\displaystyle \frac{1}{24} なので、1800÷24=751800 \div 24 = 75 より分速 75 m です。

(2) 40 分は 1 分の 40 倍なので、75×40=300075 \times 40 = 3000 m、つまり 3 km です。

(3) 60 分は 1 分の 60 倍なので、75×60=450075 \times 60 = 4500 m、つまり時速 4.5 km です。

(4) 6 km = 6000 m は 75 m の 6000÷75=806000 \div 75 = 80 倍なので、時間も 1 分の 80 倍で 80 分(1 時間 20 分)です。

数直線は、下に時間(分)、上に道のり(m)をとり、「1 分 ↔ 75 m」を書き込んでから、40 分・60 分・□ 分を同じ数直線の上に置くと、どれも「1 分から何倍か」で考えられます。単位を m にそろえてから計算することにも注意しましょう。

問題 5.3 ★★ 【説明】 片道 6 km の山道を、行きは時速 3 km、帰りは時速 6 km で歩きました。子どもが「往復の平均の速さは、3 と 6 の平均で時速 4.5 km」と答えました。正しい答えを求め、なぜ 4.5 km にならないのかを、子どもに話す言葉で説明してください。

解答

行きは 6÷3=26 \div 3 = 2 時間、帰りは 6÷6=16 \div 6 = 1 時間かかります。往復 12 km を 3 時間で歩いたので、平均の速さは 12÷3=412 \div 3 = 4 より時速 4 km です。

説明の例:「平均の速さは、『ずっと同じ速さで歩いたとしたら、何 km/時になるか』ということだよ。全部で 12 km を 3 時間で歩いたから、1 時間あたり 4 km。じゃあ、どうして 4.5 にならないんだろう。3 と 6 を足して 2 でわるのは、時速 3 km で歩いた時間と時速 6 km で歩いた時間が同じだったとき。でも実際は、ゆっくりの行きに 2 時間、速い帰りに 1 時間で、ゆっくり歩いた時間のほうが長いよね。だから平均は、ゆっくりの 3 のほうに引っぱられて、4.5 より小さくなるんだ。」

もし行きも帰りも 1 時間ずつ歩いた(行き 3 km、帰り 6 km)のなら、(3+6)÷2=4.5(3 + 6) \div 2 = 4.5 が正しい平均の速さになります。「速さの平均」ではなく「全体の道のり ÷ 全体の時間」と定義に戻ることが大切です。

問題 5.4 ★ 次の問題を、2 本の数直線をかいて解いてください。(1) は百分率で答えてください。 (1) 32 人のクラスで、犬を飼っている人は 8 人です。犬を飼っている人は、クラスの何%ですか。 (2) 600 円の 35% は何円ですか。 (3) 本を全体の 40% まで読んだところで、96 ページでした。この本は全部で何ページですか。

解答

(1) もとにする量はクラスの 32 人です。8÷32=0.258 \div 32 = 0.25 なので 25%(2 割 5 分)です。

(2) もとにする量は 600 円、割合は 0.35 です。600×0.35=210600 \times 0.35 = 210 円です。

(3) もとにする量は全体のページ数(□ ページ)で、これが 1 にあたります。0.4 にあたるのが 96 ページなので、関係図は □→×0.496\square \xrightarrow{\times 0.4} 96 です。□=96÷0.4=240\square = 96 \div 0.4 = 240 ページです(確かめ:240×0.4=96240 \times 0.4 = 96)。数直線では 0.4 が 1 より左にあるので、全体は 96 ページより多くなるはずだ、と見当がつきます。

問題 5.5 ★★ 【説明】 ある店が、1000 円の品物を 20% 値上げし、翌月その値段から 20% 値下げしました。子どもが「上げて下げたから、元の 1000 円に戻ったよね」と言っています。実際の値段を求め、なぜ元に戻らないのかを子どもに説明してください。

解答

値上げ後は 1000×1.2=12001000 \times 1.2 = 1200 円、値下げ後は 1200×0.8=9601200 \times 0.8 = 960 円です。元の値段より 40 円安く、1.2×0.8=0.961.2 \times 0.8 = 0.96 より、元の値段の 96%(4% 引き)になっています。

説明の例:「最初の 20% は、1000 円の 20% だから 200 円上がって 1200 円。次の 20% は、何の 20% かな? そう、そのときの値段の 1200 円の 20% だから、240 円下がるんだ。上がった 200 円より、下がった 240 円のほうが大きいから、1000 円より安くなるんだね。同じ『20%』でも、もとにする量が違うと金額が違うんだよ。」

テープ図で、1000 円のテープと 1200 円のテープを並べ、それぞれを 5 等分(1 目もりが 200 円と 240 円)してみせると、2 回目の 20% のほうが長いことが目で見てわかります。

問題 5.6 ★★ (1) 「A は B より 50% 多い」とき、「B は A より何% 少ない」といえますか。(2) 「今年の参加者は 180 人で、去年より 20% 増えた」とき、去年の参加者は何人ですか。180 人の 20% を引いた 144 人が誤りである理由も説明してください。

解答

(1) B を 100 とすると、A は 150 です。B は A より 50 少なく、A(150)をもとにすると 50÷150=13=0.333…\displaystyle 50 \div 150 = \frac{1}{3} = 0.333\ldots なので、約 33.3% 少ないといえます。50% ではありません。もとにする量が B から A に入れかわったからです。

(2) もとにする量は去年の人数(□ 人)で、今年はその 1+0.2=1.21 + 0.2 = 1.2 倍です。□→×1.2180\square \xrightarrow{\times 1.2} 180 なので、□=180÷1.2=150\square = 180 \div 1.2 = 150 人です(確かめ:150×1.2=180150 \times 1.2 = 180)。

144 人が誤りなのは、「20% 増えた」の 20% が去年の人数をもとにした割合だからです。180 人から 180 人の 20% を引くのは、今年の人数をもとにしてしまっています。実際、144 人の 20% 増しは 144×1.2=172.8144 \times 1.2 = 172.8 人で、180 人になりません。

問題 5.7 ★ (1) 次の比を簡単にしてください:12:1812 : 18、0.6:1.50.6 : 1.5、23:34\displaystyle \frac{2}{3} : \frac{3}{4}。(2) 2:3=□:152 : 3 = \square : 15 の □ にあてはまる数を求めてください。(3) 1.2 L のジュースを、姉と妹で 5:35 : 3 に分けます。それぞれ何 mL になりますか。

解答

(1) 12:18=2:312 : 18 = 2 : 3(6 でわる)、0.6:1.5=6:15=2:50.6 : 1.5 = 6 : 15 = 2 : 5(10 倍して 3 でわる)、23:34=8:9\displaystyle \frac{2}{3} : \frac{3}{4} = 8 : 9(分母の最小公倍数 12 をかける)。

(2) 3 が 15 になるのは 5 倍なので、□=2×5=10\square = 2 \times 5 = 10 です。比の値で確かめると、10÷15=23\displaystyle 10 \div 15 = \frac{2}{3} で 2÷32 \div 3 と等しくなります。

(3) 1.2 L = 1200 mL を 5+3=85 + 3 = 8 目もりに分けると、1 目もりは 1200÷8=1501200 \div 8 = 150 mL です。姉は 5 目もりで 750 mL、妹は 3 目もりで 450 mL です(750+450=1200750 + 450 = 1200)。

問題 5.8 ★★ 次の (ア)〜(キ) で、yy が xx に比例するもの、反比例するもの、どちらでもないものに分けてください。比例・反比例するものは、yy を xx の式で表してください。 (ア) 1 本 60 円の鉛筆を xx 本買ったときの代金 yy 円 (イ) 24 km の道のりを時速 xx km で進むときにかかる時間 yy 時間 (ウ) 1 辺が xx cm の正方形の面積 yy cm² (エ) 30 枚の折り紙のうち、xx 枚使ったときの残り yy 枚 (オ) 1 辺が xx cm の正方形の周りの長さ yy cm (カ) 姉が xx 歳のときの、3 歳年下の妹の年齢 yy 歳 (キ) 面積が 18 cm² の三角形の底辺 xx cm と高さ yy cm

解答
  • 比例するもの:(ア) y=60×xy = 60 \times x、(オ) y=4×xy = 4 \times x
  • 反比例するもの:(イ) y=24÷xy = 24 \div x(x×y=24x \times y = 24)、(キ) y=36÷xy = 36 \div x(三角形の面積は底辺 × 高さ ÷ 2 なので、x×y÷2=18x \times y \div 2 = 18 より x×y=36x \times y = 36)
  • どちらでもないもの:(ウ)、(エ)、(カ)

(ウ) は xx が 2 倍になると yy は 4 倍になります(y=x×xy = x \times x)。増えると増えますが比例ではありません。(エ) は x+y=30x + y = 30 で、xx が増えると yy は減りますが、xx が 2 倍になっても yy は 12\displaystyle \frac{1}{2} 倍にならないので反比例ではありません。(カ) は y=x−3y = x - 3 で、差が一定の関係です(姉が 6 歳のとき妹は 3 歳、姉が 12 歳のとき妹は 9 歳で、2 倍ではなく 3 倍)。どれも「xx を 2 倍にしたら yy は何倍か」を表で確かめると判定できます。

問題 5.9 ★ 【親子で】 晴れた日に、子どもと一緒に、影の長さを使って木や電柱、建物の高さを測ってみましょう。必要なのは巻き尺と、まっすぐな棒(または子ども自身)です。どのように測り、どう計算すればよいかを考えてください。

解答

測り方の例:

  1. 長さのわかっている棒(1 m のものさしなど)を地面にまっすぐ立て、その影の長さを測ります。子どもの身長を使ってもかまいません(身長 1.3 m の子の影が 2.08 m、など)。
  2. すぐに(同じ時刻のうちに)、測りたい木の影の、根もとから先端までの長さを測ります。
  3. 木の影が棒の影の何倍かを求め、棒の高さを同じだけ倍にします。例 5.22 のように、棒 1 m の影が 1.6 m、木の影が 8 m なら、8÷1.6=58 \div 1.6 = 5 倍で、木の高さは 5 m です。

うまく測るためのこつ:地面が平らな場所を選ぶこと(坂だと影の長さが変わります)、時間をあけないこと(太陽の高さが変わると影の長さも変わります)、影が長すぎない昼前後に測ることです。

声かけの例:子どもが「どうして棒の影を測るの?」と聞いたら、「同じ時間なら、背の高いものほど影も長くなるよね。2 倍の高さなら影も 2 倍になるかな?」と聞いて、比例を予想させます。棒を 2 本(1 m と 50 cm など)立てて影を比べると、高さが半分なら影も半分になることを確かめられます。計算が終わったら、「本当に 5 m くらいに見えるかな? 2 階の窓くらい?」と、答えの大きさを実感と照らし合わせると、比例を使ったという手ごたえが残ります。

問題 5.10 ★★★ 比例の定義 5.17 は「何倍になるか」で述べられていますが、大学の線形代数では「たしてから対応させても、対応させてからたしても同じ」という条件も使います。ある量 yy が正の数 xx によって決まり、それを y=f(x)y = f(x) と書くことにします。 (1) f(x)=a×xf(x) = a \times x(aa は決まった数)なら、どんな正の数 p,qp, q についても f(p+q)=f(p)+f(q)f(p + q) = f(p) + f(q) が成り立つことを示してください。 (2) 逆に、どんな正の数 p,qp, q についても f(p+q)=f(p)+f(q)f(p + q) = f(p) + f(q) が成り立つとします。このとき、正の整数 nn について f(n×x)=n×f(x)f(n \times x) = n \times f(x)、f(x÷n)=f(x)÷nf(x \div n) = f(x) \div n が成り立つことを示し、正の分数 rr について f(r×x)=r×f(x)f(r \times x) = r \times f(x) となることを導いてください。 (3) (2) の条件に「xx が大きくなると f(x)f(x) も大きくなる」を加えると、f(x)=a×xf(x) = a \times x と表せること(つまり比例すること)を説明してください。

解答

(1) 分配法則により、f(p+q)=a×(p+q)=a×p+a×q=f(p)+f(q)f(p + q) = a \times (p + q) = a \times p + a \times q = f(p) + f(q) です。

(2) f(2×x)=f(x+x)=f(x)+f(x)=2×f(x)f(2 \times x) = f(x + x) = f(x) + f(x) = 2 \times f(x) です。同じように f(3×x)=f(2×x+x)=f(2×x)+f(x)=3×f(x)f(3 \times x) = f(2 \times x + x) = f(2 \times x) + f(x) = 3 \times f(x) と、1 つずつ増やしていけば(数学的帰納法)、すべての正の整数 nn について f(n×x)=n×f(x)f(n \times x) = n \times f(x) が成り立ちます。

次に、x÷nx \div n に今の結果を使うと、f(x)=f(n×(x÷n))=n×f(x÷n)f(x) = f(n \times (x \div n)) = n \times f(x \div n) なので、f(x÷n)=f(x)÷nf(x \div n) = f(x) \div n です。

正の分数 r=mn\displaystyle r = \frac{m}{n}(m,nm, n は正の整数)については、

f(r×x)=f(m×(x÷n))=m×f(x÷n)=m×f(x)÷n=mn×f(x)=r×f(x)f(r \times x) = f\left(m \times (x \div n)\right) = m \times f(x \div n) = m \times f(x) \div n = \frac{m}{n} \times f(x) = r \times f(x)

です。つまり、たし算についての条件から、分数倍についての「何倍になると何倍になる」が導けます。

(3) a=f(1)a = f(1) とおきます。(2) で x=1x = 1 とすると、正の分数 rr について f(r)=r×af(r) = r \times a です。

分数で表せない正の数 kk(2\sqrt{2} など)についても、kk より小さい分数 rr と大きい分数 ss をいくらでも kk の近くにとれます。ff は増加するので f(r)<f(k)<f(s)f(r) < f(k) < f(s)、つまり r×a<f(k)<s×ar \times a < f(k) < s \times a です。rr と ss を kk に限りなく近づけると、r×ar \times a と s×as \times a はどちらも k×ak \times a に限りなく近づくので、その間にはさまれた f(k)f(k) は k×ak \times a に等しいほかありません(f(k)f(k) が k×ak \times a と違えば、r×ar \times a と s×as \times a の差をその違いより小さくしたところで矛盾します)。よって、すべての正の数 xx について f(x)=a×xf(x) = a \times x で、yy は xx に比例します。

補足:(2) の条件 f(p+q)=f(p)+f(q)f(p + q) = f(p) + f(q) を満たす関数を、実数全体で考える問題はコーシーの関数方程式と呼ばれます。「増加する」や「連続である」といった条件をつけない場合には、比例ではない、グラフが平面上に散らばるような奇妙な解があることが、選択公理を使って示されています。一方、小学校の比例の定義 5.17 は、2 倍・3 倍だけでなく 1.5 倍や 13\displaystyle \frac{1}{3} 倍などどんな倍についても「同じだけ何倍になる」ことを求めているので、性質 5.18 の大人のための証明のとおり、それだけで y=a×xy = a \times x が出てきます。線形代数の線形写像では、「たし算を保つ」と「何倍を保つ」の 2 つを両方とも条件に入れます(02 第3章 定義 3.1)。

この章を読み終えたら

「読了」にすると学習記録とロードマップに反映されます。演習の自己採点もお忘れなく。

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