Lemma数学ロードマップ

P1 算数の「なぜ」 · 第 4 章

分数と小数

目安 2.5〜3.5 時間演習 9 問

この章の目標

  • 小数を位取りの延長として理解し、小数のかけ算・わり算で小数点を動かす理由を説明できる
  • 「かけ算をすると答えは大きくなる」という思い込みがどこで崩れるかを説明できる
  • 分数の 4 つの意味(分割分数・量分数・割合分数・商分数)を区別できる
  • 約分・通分の意味と、分数のたし算・かけ算のしくみを図で説明できる
  • 分数のわり算で「ひっくり返してかける」理由を、2 通り以上の方法で説明できる
  • 分数が有限小数・循環小数になるしくみを理解し、0.999…=10.999\ldots = 1 を説明できる

前提:第2章 かけ算とわり算の意味、第3章 計算のきまりと整数の性質(小学校の算数を一度学んでいれば読めます)

学年の目安:分数は小学 2〜6 年、小数は小学 3〜5 年(教科書によって前後します)

子どもにこう聞かれたら、どう答えますか。

  • 「分数のわり算は、なぜひっくり返してかけるの?」
  • 「かけ算をしたのに、答えが小さくなったよ。まちがえたのかな?」
  • 「0.999…0.999\ldots って、11 よりほんの少しだけ小さい数でしょう?」(中学生くらいになると出てくる疑問です)

どれも「そういう決まりだから」で済ませてしまいがちですが、ちゃんとした理由があります。この章では、小数を「位取りを右へのばしたもの」、分数を「1 を等分した大きさのいくつ分」として見直し、計算の決まりがなぜそうなるのかを、図と具体例で確かめていきます。

なお、この章でいう整数は、小学校の算数と同じく 0,1,2,3,…0, 1, 2, 3, \dots のことです(負の数は中学 1 年で学びます)。

何年生で習う?

学年 小数 分数
2 年 ― 12, 14\displaystyle \frac{1}{2},\ \frac{1}{4} など簡単な分数
3 年 110\displaystyle \frac{1}{10} の位、たし算・ひき算 分数の意味と表し方、分母が同じ簡単な分数のたし算・ひき算
4 年 1100\displaystyle \frac{1}{100} の位以下、小数 × 整数、小数 ÷ 整数 真分数・仮分数・帯分数、大きさの等しい分数、分母が同じ分数のたし算・ひき算
5 年 小数 × 小数、小数 ÷ 小数 約分・通分、分母が違う分数のたし算・ひき算、分数と小数・整数の関係、わり算の商を分数で表すこと
6 年 ― 分数のかけ算・わり算

現行の学習指導要領(2017 年告示、2020 年度から実施)にもとづく目安です。実際に扱う時期は、教科書によって少し前後します。

4.1 小数 ―位取りを右へのばす

テープの長さを 1 m のものさしで測ると、たいてい半端が出ます。その半端を表すために、1 を 10 等分した大きさを 0.10.1 と書きます。0.10.1 をさらに 10 等分すると 0.010.01、それを 10 等分すると 0.0010.001 です。

整数の位取り記数法では、左へ 1 けた進むごとに位の大きさが 10 倍になりました(第1章)。小数は、この規則を小数点の右側へそのままのばしたものです。

位 百の位 十の位 一の位 110\displaystyle \frac{1}{10} の位 1100\displaystyle \frac{1}{100} の位 11000\displaystyle \frac{1}{1000} の位
数字 1 つが表す大きさ 100100 1010 11 0.10.1 0.010.01 0.0010.001

定義 4.1(小数)23.4523.45 のように小数点を使って表した数を小数といいます。小数点より右の数字は、左から順に 0.1,0.01,0.001,…0.1, 0.01, 0.001, \dots がいくつあるかを表します。たとえば 23.45=2×10+3×1+4×0.1+5×0.0123.45 = 2 \times 10 + 3 \times 1 + 4 \times 0.1 + 5 \times 0.01 です。110\displaystyle \frac{1}{10} の位を小数第一位、1100\displaystyle \frac{1}{100} の位を小数第二位ともいいます。

0.10.1 が 10 個で 11、0.010.01 が 10 個で 0.10.1 になるので、どの位でも「10 個集まると 1 つ上の位に繰り上がる」という整数と同じしくみが成り立ちます。だから小数のたし算・ひき算は、位をそろえれば整数と同じ筆算でできます。

性質 4.2(10 倍・110\displaystyle \frac{1}{10} と小数点)ある数を 10 倍すると、どの数字も 1 つ上の位に移ります。そのため、小数点が右へ 1 けた移ったように見えます。110\displaystyle \frac{1}{10} にすると、どの数字も 1 つ下の位に移り、小数点が左へ 1 けた移ったように見えます。

たとえば 2.35×10=23.52.35 \times 10 = 23.5 です。動いているのは小数点ではなく数字のほうで、位取りの表の上で数字を 1 マスずらしてみせると、子どもにも納得しやすくなります。

ヨーロッパで小数が広く使われるきっかけになったのは、1585 年にフランドル出身の数学者・技術者シモン・ステヴィン (Simon Stevin) が出した小冊子『De Thiende』(「十分の一」の意味)だといわれています。ステヴィンは 3.7593.759 を 3⓪7①5②9③ のように、数字のあとに位を示す丸数字を添えて書きました。小数点を使う今の書き方が定着するのは、もう少し後のことです。

4.2 小数のかけ算・わり算

かけ算:いったん整数にして、あとで戻す

1.2×3.41.2 \times 3.4 を考えます。かけられる数を 10 倍すると積も 10 倍になり、かける数を 10 倍しても積は 10 倍になります。そこで両方を 10 倍した 12×34=40812 \times 34 = 408 は、求める積の 100 倍です。100 倍を元に戻して

1.2×3.4=408÷100=4.081.2 \times 3.4 = 408 \div 100 = 4.08

です。筆算で「小数点がないものとして整数のかけ算をし、最後に小数点を打つ」のは、この 100 倍を戻す操作です。

性質 4.3(小数のかけ算)小数のかけ算は、小数点がないものとして整数のかけ算をし、その積の右から数えて「かけられる数とかける数の、小数点より下のけた数の和」のところに小数点を打てば求められます(末尾の 0 は消します)。

面積図で見ると、1 より小さい数どうしの積がもっと小さくなる様子も見えます。1 辺 1 m の正方形を縦横それぞれ 10 等分すると、100 マスで 1 m² なので 1 マスは 0.010.01 m² です。縦 0.3 m、横 0.4 m の長方形は 3×4=123 \times 4 = 12 マスなので、0.3×0.4=0.120.3 \times 0.4 = 0.12 です。

1 辺 1 m の正方形を 100 マスに分けた面積図。縦 0.3 m・横 0.4 m の長方形は 12 マスで、0.3 × 0.4 = 0.12 m²

わり算:わる数を整数にする

2.4÷0.62.4 \div 0.6 を、「2.4 L のジュースを 0.6 L ずつコップに分けると何杯になるか」と考えます。単位を dL に替えると、24 dL を 6 dL ずつ分けることになりますが、杯数は変わりません。

2.4÷0.6=24÷6=42.4 \div 0.6 = 24 \div 6 = 4

単位を替えることは、わられる数とわる数を同じように 10 倍することです。一般に次が成り立ちます。

性質 4.4(わり算の性質)わられる数とわる数に同じ数をかけても、同じ数でわっても、商は変わりません(0 をかけることと 0 でわることは除きます)。

小数でわる筆算で、わる数の小数点を右に移して整数にし、わられる数の小数点も同じけた数だけ移すのは、この性質を使っているのです。

注意 4.5 あまりのあるわり算では、あまりの小数点に注意します。7.5÷0.47.5 \div 0.4 を 75÷4=1875 \div 4 = 18 あまり 33 と計算したとき、この 33 は「0.10.1 が 3 個」なので、あまりは 0.30.3 です(確かめ:0.4×18+0.3=7.50.4 \times 18 + 0.3 = 7.5)。あまりの小数点は、もとのわられる数の小数点にそろえて打ちます。

注意

つまずきポイント 「かけ算をすると答えは大きくなる」「わり算をすると小さくなる」という思い込みはとても根強いものです。整数のかけ算を「いくつ分」として学んだときは、いくつ分がいつも整数で、×0\times 0 と ×1\times 1 を除けば積はもとの数より大きくなったので、困らなかったからです。しかし 120×0.5=60120 \times 0.5 = 60 のように 1 より小さい数をかけると積はもとの数より小さくなり、6÷0.5=126 \div 0.5 = 12 のように 1 より小さい数でわると商はもとの数より大きくなります(0 より大きい数どうしの場合)。この思い込みがあると、「1 m 120 円のリボンを 0.8 m 買うといくら?」で「答えは 120 円より小さいはずだから、わり算だ」と考えて、120÷0.8120 \div 0.8 としてしまいます。

ヒント

子どもに伝えるには 上下 2 本の数直線をかいて、「1 m で 120 円」を先に書き込みます。

リボンの代金と長さの数直線。1 m で 120 円のとき、0.8 m の代金は 120 円より安い

「0.8 m は 1 m より短いから、代金も 120 円より安いね。1 m の値段の 0.8 倍だから 120×0.8120 \times 0.8」と、答えの見当をつけてから式を立てます。かけ算は「1 にあたる大きさ × いくつ分」で、いくつ分が 1 より小さいこともある、と意味を広げることがねらいです。

4.3 分数の 4 つの意味

分数は算数の中でもつまずきやすい内容です。理由の一つは、同じ 23\displaystyle \frac{2}{3} という書き方が、場面によって違う意味で使われることにあります。まず、数としての分数を確認しておきます。

定義 4.6(分数)1 を 3 等分した 1 つ分の大きさを 13\displaystyle \frac{1}{3} と書き、13\displaystyle \frac{1}{3} の 2 つ分を 23\displaystyle \frac{2}{3} と書きます。一般に分数は、1 を分母の数だけ等分した 1 つ分が、分子の数だけ集まった大きさを表します。分子が 1 の分数を単位分数といいます。分子が分母より小さい分数を真分数、分子が分母と等しいか大きい分数を仮分数といい、123\displaystyle 1\frac{2}{3}(=1+23=53\displaystyle = 1 + \frac{2}{3} = \frac{5}{3})のように整数と真分数を合わせた形を帯分数といいます。

この 23\displaystyle \frac{2}{3} は、場面によって次の 4 つの意味で使われます。

呼び名 例 意味
分割分数 ピザ 1 枚を 3 等分した 2 切れ ある全体を 3 等分した 2 つ分。全体の大きさによって量が変わる
量分数 23\displaystyle \frac{2}{3} m、23\displaystyle \frac{2}{3} L 1 m(1 L)を 3 等分した 2 つ分。単位のついた決まった量
割合分数 赤いテープは白いテープの 23\displaystyle \frac{2}{3} 白を 1 とみたときの赤の大きさ。2 つの量の関係
商分数 2÷3=23\displaystyle 2 \div 3 = \frac{2}{3} わり算の答え

分割分数と割合分数は、「もとにする大きさ」が決まって初めて量が決まる割合としての分数です。量分数と商分数は、数直線上の 1 点として大きさが決まる数としての分数です。どの意味でも、土台にあるのは「単位分数 13\displaystyle \frac{1}{3} の 2 つ分」という見方です。

商分数は、「2÷32 \div 3 の答えが、なぜ 13\displaystyle \frac{1}{3} の 2 つ分になるのか」が自明ではありません。2 m のテープを A、B、C の 3 人で等分する場面で考えると、1 m ずつそれぞれ 3 等分すれば、1 人分は 13\displaystyle \frac{1}{3} m が 2 つで 23\displaystyle \frac{2}{3} m です。

2 m のテープを A、B、C の 3 人で等分する図。1 m ずつ 3 等分すると、A さんの分は 1/3 m が 2 つで 2/3 m

注意

つまずきポイント 「2 m のテープの 34\displaystyle \frac{3}{4}」と「34\displaystyle \frac{3}{4} m のテープ」は長さが違います。前者は 2 m を 1 とみた割合で、2 m を 4 等分した 3 つ分なので 1.5 m、後者は 1 m を 4 等分した 3 つ分で 0.75 m です。図をかくときに「1 m」の目盛りを入れないと、どちらも「4 つに分けた 3 つ分」に見えてしまいます。大人でも混同しやすいところなので、分数を見たら「何を 1 とみているか」を確かめる習慣をつけましょう。

同じ目盛りで比べた図。「2 m の 3/4」は 2 m を 4 等分した 3 つ分で 1.5 m、「3/4 m」は 1 m を 4 等分した 3 つ分で 0.75 m

4.4 大きさの等しい分数(約分・通分)

34\displaystyle \frac{3}{4} を表すテープ図の各部分を、さらに 2 つ、3 つに切り分けてみます。

同じ長さのテープを 4 等分・8 等分・12 等分した図。3/4、6/8、9/12 のぬった部分は同じ大きさ

全体のマスの数(分母)も、塗ったマスの数(分子)も同じ数倍になりますが、塗った部分の大きさは変わりません。

性質 4.7(分数の基本性質)分数の分母と分子に同じ数をかけても、分母と分子を同じ数でわっても、分数の大きさは変わりません(0 は除きます)。

定義 4.8(約分・通分)分母と分子を公約数でわって分母の小さい分数にすることを約分といい、それ以上約分できない分数(分母と分子の公約数が 1 だけの分数)を既約分数といいます。いくつかの分数の分母をそろえることを通分といいます。

最大公約数でわれば、1 回で既約分数になります(1824\displaystyle \frac{18}{24} は 6 でわって 34\displaystyle \frac{3}{4})。通分の分母には、分母どうしの公倍数ならどれを使ってもかまいませんが、最小公倍数を使うと数が小さくて済みます。

例 4.9 23\displaystyle \frac{2}{3} と 58\displaystyle \frac{5}{8} ではどちらが大きいでしょうか。分母を 3 と 8 の最小公倍数 24 にそろえると 1624\displaystyle \frac{16}{24} と 1524\displaystyle \frac{15}{24} なので、23\displaystyle \frac{2}{3} のほうが 124\displaystyle \frac{1}{24} だけ大きいことがわかります。

同じように、ba\displaystyle \frac{b}{a} と dc\displaystyle \frac{d}{c} を分母 a×ca \times c で通分すると b×ca×c\displaystyle \frac{b \times c}{a \times c} と a×da×c\displaystyle \frac{a \times d}{a \times c} になるので、2 つの分数が等しいのは b×c=a×db \times c = a \times d のとき、そしてそのときに限ります。この「たすきがけ」の条件は、大学の数学で分数を作り直すときの出発点になります。12, 24, 36, …\displaystyle \frac{1}{2},\ \frac{2}{4},\ \frac{3}{6},\ \dots のように条件を満たす書き方をひとまとめにして(同値類)、それを 1 つの数と定めるのです(00 第7章 の有理数の構成)。

4.5 分数のたし算・ひき算

分母が同じ分数のたし算は、単位分数がいくつあるかを数えるだけです。27+37\displaystyle \frac{2}{7} + \frac{3}{7} は「17\displaystyle \frac{1}{7} が 2 個と 3 個で 5 個」なので 57\displaystyle \frac{5}{7} です。分母は「1 を何等分した大きさで数えているか」という単位を表していて、足しても変わりません。

分母が違うと、そのままでは数えられません。12\displaystyle \frac{1}{2} と 13\displaystyle \frac{1}{3} では単位が違うからです。2 m と 30 cm を足すときに単位を cm にそろえるのと同じように、両方を 16\displaystyle \frac{1}{6} という共通の単位で数え直します。

1/2 と 1/3 を 1/6 のマスで数え直す図。1/2 は 3 マス、1/3 は 2 マスで、あわせて 5/6

12+13=36+26=56\frac{1}{2} + \frac{1}{3} = \frac{3}{6} + \frac{2}{6} = \frac{5}{6}

つまり通分は、単位をそろえるための操作です。ひき算も同じで、帯分数のくり上がり・くり下がりも整数の筆算と同じように考えられます。

例 4.10 123+212=146+236=376=416\displaystyle 1\frac{2}{3} + 2\frac{1}{2} = 1\frac{4}{6} + 2\frac{3}{6} = 3\frac{7}{6} = 4\frac{1}{6} です(66=1\displaystyle \frac{6}{6} = 1 をくり上げました)。また、314−123=3312−1812=21512−1812=1712\displaystyle 3\frac{1}{4} - 1\frac{2}{3} = 3\frac{3}{12} - 1\frac{8}{12} = 2\frac{15}{12} - 1\frac{8}{12} = 1\frac{7}{12} です(1=1212\displaystyle 1 = \frac{12}{12} をくり下げました)。

注意

つまずきポイント 12+13=25\displaystyle \frac{1}{2} + \frac{1}{3} = \frac{2}{5} のように、分母と分子を別々の整数とみて、分母どうし・分子どうしを足してしまう誤りはとても多く見られます。25\displaystyle \frac{2}{5} は 12\displaystyle \frac{1}{2} より小さいので、12\displaystyle \frac{1}{2} に何かを足した答えとしてはおかしい、と大きさで確かめる習慣が役に立ちます。ちなみにこの計算は、「2 打数 1 安打」と「3 打数 1 安打」を合わせると「5 打数 2 安打」になる、という割合の合算としては意味があります。ただし、それは 2 つの数のたし算とは別の計算です。分数を数ではなく割合としてだけ見ていると、この混同が起きやすくなります。

ヒント

子どもに伝えるには 折り紙を 2 枚使います。1 枚は半分に折って片側を塗り(12\displaystyle \frac{1}{2})、もう 1 枚は 3 つに折って 1 つ分を塗ります(13\displaystyle \frac{1}{3})。このままでは、塗った部分を合わせて「何分のいくつ」とは言えません。そこで両方の紙を縦に 2 つ、横に 3 つに折って 6 マスに分けると、「3 マスと 2 マスで、6 マスのうち 5 マス」と数えられます。「同じ大きさのマスに切りそろえれば数えられる」というのが通分の意味です。

4.6 分数のかけ算

「1 dL で 45\displaystyle \frac{4}{5} m² ぬれるペンキがあります。このペンキ 23\displaystyle \frac{2}{3} dL では何 m² ぬれますか」という問題を考えます。式は「1 にあたる量 × いくつ分」で 45×23\displaystyle \frac{4}{5} \times \frac{2}{3} です。

1 m² の正方形を横に 5 等分すると、1 dL でぬれる 45\displaystyle \frac{4}{5} m² は 4 列分です。23\displaystyle \frac{2}{3} dL ではその 23\displaystyle \frac{2}{3} なので、縦を 3 等分した 2 段分をとります。

1 m² の正方形を縦 3 等分・横 5 等分した面積図。1 dL でぬれる 4/5 m²(4 列)のうち 2/3 dL 分(2 段)は 15 マス中 8 マスで 8/15 m²

1 マスは 115\displaystyle \frac{1}{15} m² で、ぬれる部分は 8 マスなので、答えは 815\displaystyle \frac{8}{15} m² です。分母どうしのかけ算は「1 m² がいくつのマスに分かれたか」を、分子どうしのかけ算は「塗ったマスがいくつあるか」を数えています。

性質 4.11(分数のかけ算)分数どうしのかけ算は、分母どうし、分子どうしをかけます。

ba×dc=b×da×c\frac{b}{a} \times \frac{d}{c} = \frac{b \times d}{a \times c}

整数は分母が 1 の分数とみれば、同じ規則が使えます(27×3=67\displaystyle \frac{2}{7} \times 3 = \frac{6}{7}。17\displaystyle \frac{1}{7} が 2 個の 3 つ分で 6 個です)。割合分数の「6 m の 23\displaystyle \frac{2}{3}」も 6×23=4\displaystyle 6 \times \frac{2}{3} = 4 m と、かけ算で表せます。また、23\displaystyle \frac{2}{3} のように 1 より小さい数をかけると、積はもとの数より小さくなります(4.2 節のつまずきポイント)。

分数 ÷ 整数も同じように考えられます。34÷2\displaystyle \frac{3}{4} \div 2 は、14\displaystyle \frac{1}{4} の 1 つ 1 つを 2 つに分けると 34\displaystyle \frac{3}{4} は 18\displaystyle \frac{1}{8} が 6 個になるので、その半分で 38\displaystyle \frac{3}{8} です。つまり 34÷2=34×2\displaystyle \frac{3}{4} \div 2 = \frac{3}{4 \times 2} です。

4.7 分数のわり算はなぜひっくり返すのか

定義 4.12(逆数)2 つの数の積が 1 になるとき、一方を他方の逆数といいます。25×52=1\displaystyle \frac{2}{5} \times \frac{5}{2} = 1 なので、25\displaystyle \frac{2}{5} の逆数は 52\displaystyle \frac{5}{2} です。分数の逆数は、分母と分子を入れかえた分数です。

性質 4.13(分数のわり算)分数でわるには、わる数の逆数をかけます(a,c,da, c, d は 0 でない整数)。

ba÷dc=ba×cd=b×ca×d\frac{b}{a} \div \frac{d}{c} = \frac{b}{a} \times \frac{c}{d} = \frac{b \times c}{a \times d}

「ひっくり返してかける」とはこのことです。「25\displaystyle \frac{2}{5} dL で 34\displaystyle \frac{3}{4} m² ぬれるペンキがあります。1 dL では何 m² ぬれますか」という問題の式 34÷25\displaystyle \frac{3}{4} \div \frac{2}{5} を例に、答えが 34×52=158\displaystyle \frac{3}{4} \times \frac{5}{2} = \frac{15}{8} m² になる理由を 4 通りで説明します。

説明 1:わり算の性質で、わる数を 1 にする

性質 4.4 により、わられる数とわる数に同じ数をかけても商は変わりません。そこで両方に、わる数の逆数 52\displaystyle \frac{5}{2} をかけます。わる数は 11 になり、1 でわっても数は変わりません。

34÷25=(34×52)÷(25×52)=(34×52)÷1=34×52\frac{3}{4} \div \frac{2}{5} = \left(\frac{3}{4} \times \frac{5}{2}\right) \div \left(\frac{2}{5} \times \frac{5}{2}\right) = \left(\frac{3}{4} \times \frac{5}{2}\right) \div 1 = \frac{3}{4} \times \frac{5}{2}

説明 2:かけ算の逆として考える

答えを xx とすると、わり算はかけ算の逆なので x×25=34\displaystyle x \times \frac{2}{5} = \frac{3}{4} です。面積図で見たように、「×25\displaystyle \times \frac{2}{5}」は「5 等分して 2 つ分」、つまり「5 でわって 2 をかける」ことです。これを元に戻すには、逆の順に「2 でわって 5 をかける」、つまり ×52\displaystyle \times \frac{5}{2} をすればよいので、x=34×52\displaystyle x = \frac{3}{4} \times \frac{5}{2} です。

説明 3:通分して、いくつ分かを数える

分母を 20 にそろえると、34=1520\displaystyle \frac{3}{4} = \frac{15}{20}、25=820\displaystyle \frac{2}{5} = \frac{8}{20} です。「120\displaystyle \frac{1}{20} が 15 個」の中に「120\displaystyle \frac{1}{20} が 8 個」のかたまりがいくつ分あるかは、15÷815 \div 8 と同じです。

34÷25=1520÷820=15÷8=158\frac{3}{4} \div \frac{2}{5} = \frac{15}{20} \div \frac{8}{20} = 15 \div 8 = \frac{15}{8}

15=3×515 = 3 \times 5、8=4×28 = 4 \times 2 なので、これは 3×54×2\displaystyle \frac{3 \times 5}{4 \times 2}、つまり逆数をかけた結果と同じです。

説明 4:数直線図で 1 dL あたりを求める

25\displaystyle \frac{2}{5} dL は 15\displaystyle \frac{1}{5} dL の 2 つ分です。まず 15\displaystyle \frac{1}{5} dL でぬれる面積を求め(÷2\div 2)、次にその 5 つ分として 1 dL でぬれる面積を求めます(×5\times 5)。

ペンキの量とぬれる面積の数直線。2/5 dL で 3/4 m²、÷2 して 1/5 dL で 3/8 m²、×5 して 1 dL で 15/8 m²

34÷2=38,38×5=158\frac{3}{4} \div 2 = \frac{3}{8}, \qquad \frac{3}{8} \times 5 = \frac{15}{8}

「2 でわって 5 をかける」をまとめると ×52\displaystyle \times \frac{5}{2} です。

一般の場合

大人のための証明. ba÷dc\displaystyle \frac{b}{a} \div \frac{d}{c} は、「dc\displaystyle \frac{d}{c} をかけると ba\displaystyle \frac{b}{a} になる数」です(かけ算の逆)。まず dc×cd=d×cc×d=1\displaystyle \frac{d}{c} \times \frac{c}{d} = \frac{d \times c}{c \times d} = 1 に注意します。分数のかけ算でも結合法則が成り立つので(性質 4.11 と整数の結合法則から従います)、

(ba×cd)×dc=ba×(cd×dc)=ba×1=ba\left(\frac{b}{a} \times \frac{c}{d}\right) \times \frac{d}{c} = \frac{b}{a} \times \left(\frac{c}{d} \times \frac{d}{c}\right) = \frac{b}{a} \times 1 = \frac{b}{a}

となり、ba×cd\displaystyle \frac{b}{a} \times \frac{c}{d} はこの条件を満たします。逆に、ある数 xx が x×dc=ba\displaystyle x \times \frac{d}{c} = \frac{b}{a} を満たすなら、両辺に cd\displaystyle \frac{c}{d} をかけて x=ba×cd\displaystyle x = \frac{b}{a} \times \frac{c}{d} となるので、条件を満たす数はこれ 1 つだけです。よって ba÷dc=ba×cd\displaystyle \frac{b}{a} \div \frac{d}{c} = \frac{b}{a} \times \frac{c}{d} です。□\square

注意 4.14 そもそも「25\displaystyle \frac{2}{5} でわる」とはどういうことでしょうか。整数でわるわり算の「等分する」という意味は、「25\displaystyle \frac{2}{5} 人で等分する」のように、そのままでは使えません。そこで算数では、「いくつ分かを求める」「1 あたりの量を求める」「かけ算の逆」といった分数でも通用する意味を手がかりに、それまでの計算のきまり(わり算の性質など)がそのまま成り立つように分数のわり算を定めます。上の 4 つの説明が同じ答えになるのはそのためです。きまりが保たれるように数や計算の意味を広げる考え方は形式不易の原理と呼ばれ、中学校で「負の数 × 負の数」を考えるときにも現れます。

ヒント

子どもに伝えるには いきなり 34÷25\displaystyle \frac{3}{4} \div \frac{2}{5} から始めず、「いくつ分入るか」で考えられる簡単な例から入ります。「2 枚のピザを 12\displaystyle \frac{1}{2} 枚ずつ配ると、何人に配れる?」なら 4 人、「13\displaystyle \frac{1}{3} 枚ずつなら?」なら 6 人です。2÷12=4=2×2\displaystyle 2 \div \frac{1}{2} = 4 = 2 \times 2、2÷13=6=2×3\displaystyle 2 \div \frac{1}{3} = 6 = 2 \times 3 と並べると、「13\displaystyle \frac{1}{3} でわることは 3 をかけること」に子ども自身が気づけますし、わり算なのに答えが大きくなることにも納得がいきます。続けて「23\displaystyle \frac{2}{3} 枚ずつなら?」と聞けば、13\displaystyle \frac{1}{3} 枚ずつのときの半分の 3 人で、「×3\times 3 して ÷2\div 2」つまり ×32\displaystyle \times \frac{3}{2} が見えてきます。

2 枚のピザを配る図。1/2 枚ずつなら 4 人、1/3 枚ずつなら 6 人、2/3 枚ずつなら 3 人(6 人の半分)

補足

この先の数学では 大人のための証明で使ったのは、かけ算の結合法則や「0 でない数には逆数がある」といった、ごく基本的な性質だけでした。たし算・かけ算についてこうした性質をもち、0 以外のどんな数でもわれる数の世界を体といい、体ではわり算を「逆数をかけること」として定義します(04 第5章)。整数から分数を作ったのと同じ方法で、多項式から分数式を作ることもでき、これを分数体といいます(同じ章)。

4.8 分数と小数 ―有限小数・循環小数・0.999… = 1

分数を小数で表す

商分数の考え方から、38=3÷8=0.375\displaystyle \frac{3}{8} = 3 \div 8 = 0.375 です。逆に 0.375=3751000=38\displaystyle 0.375 = \frac{375}{1000} = \frac{3}{8} のように、どこかで終わる小数(有限小数)は、分母が 10、100、1000、… の分数に直せます。ところが 13=0.333…\displaystyle \frac{1}{3} = 0.333\ldots のように、わり算がいつまでも終わらない分数もあります。どんなときに終わるのでしょうか。

性質 4.15(有限小数になる条件)整数でない既約分数が有限小数で表せるのは、分母を素因数分解したときに 2 と 5 しか現れないとき、つまり分母が 2、4、5、8、10、16、20、25、… のときで、そのときに限ります。

素数と素因数分解は第3章で扱います(素因数分解は中学 1 年の内容です)。たとえば 740\displaystyle \frac{7}{40} は 40=2×2×2×540 = 2 \times 2 \times 2 \times 5 なので有限小数になり、16\displaystyle \frac{1}{6} は 6=2×36 = 2 \times 3 なので有限小数になりません(0.1666…0.1666\ldots)。312\displaystyle \frac{3}{12} は分母に 3 がありますが、約分すると 14=0.25\displaystyle \frac{1}{4} = 0.25 です。既約分数にしてから判定するのがポイントです。

大人のための証明. 分母が 2 と 5 だけの積なら、2 と 5 の個数がそろうように、足りないほうを分母と分子にかけると、分母が 10 を何回かかけた数になり、有限小数で表せます(例:740=7×2540×25=1751000=0.175\displaystyle \frac{7}{40} = \frac{7 \times 25}{40 \times 25} = \frac{175}{1000} = 0.175)。逆に、既約分数 ba\displaystyle \frac{b}{a} が小数第 kk 位で終わる小数 N10k\displaystyle \frac{N}{10^k} に等しいとすると、b×10k=a×Nb \times 10^k = a \times N です。aa の素因数 pp は右辺をわり切るので、左辺もわり切ります。素数が 2 つの数の積をわり切るなら、そのどちらかをわり切ります(素因数分解がただ 1 通りであることから従います。第3章)。ba\displaystyle \frac{b}{a} は既約なので pp は bb をわり切らず、pp は 10k=2k×5k10^k = 2^k \times 5^k をわり切ります。同じ理由で、pp は 2 か 5 です。□\square

循環小数

17\displaystyle \frac{1}{7} を筆算で計算すると、各段階のわられる数・商・あまりは次のようになります。

何回目 1 2 3 4 5 6 7
わられる数 10 30 20 60 40 50 10
商にたつ数 1 4 2 8 5 7 1
あまり 3 2 6 4 5 1 3

7 回目で 1 回目と同じ「10÷710 \div 7」に戻るので、その先は同じ計算のくり返しです。こうして 17=0.142857142857…\displaystyle \frac{1}{7} = 0.142857142857\ldots のように、同じ並びをくり返して限りなく続く小数を循環小数といいます。

性質 4.16(分数を小数で表すと)分数をわり算で小数に直すと、有限小数か循環小数のどちらかになります。循環小数になるとき、くり返す部分の長さは分母より小さくなります。

理由は筆算のあまりにあります。7 でわるときのあまりは 0〜6 のどれかで、0 になればわり切れて有限小数です。0 にならなければ、あまりは 1〜6 の 6 通りしかないので、7 回のうちに必ず同じあまりが現れます。小数点より下では、おろす数はいつも 0 なので、次の計算はあまりだけで決まります。同じあまりが現れたら、そこから先は同じ計算のくり返しです。分母がいくつでも同じ理由で、くり返しの長さは分母より小さくなります(17\displaystyle \frac{1}{7} のくり返しの長さは 6 で、ちょうど最大です)。

逆に、循環小数はかならず分数で表せます(問題 4.9)。分数で表せないのは、2=1.41421356…\sqrt{2} = 1.41421356\ldots のように循環せずに限りなく続く小数で、中学 3 年で学ぶ無理数です(P2 第3章)。円周率 3.14159…3.14159\ldots も無理数であることが知られています。

0.999… = 1

性質 4.17(0.999…=10.999\ldots = 1) 9 が限りなく続く小数 0.999…0.999\ldots は、11 と等しい数です。

違和感をもつ人が多い事実ですが、次のように説明できます。

  1. 13=0.333…\displaystyle \frac{1}{3} = 0.333\ldots の両辺を 3 倍すると、1=0.999…1 = 0.999\ldots です。
  2. 11 と 0.999…0.999\ldots の差を考えます。0.999…0.999\ldots は 0.90.9 より小さくないので差は 0.10.1 以下、0.990.99 より小さくないので差は 0.010.01 以下、… と、差は 0.1,0.01,0.001,…0.1, 0.01, 0.001, \dots のどれよりも大きくありません。そのような 0 以上の数は 00 しかありません。0 より大きい数なら、いつかはこれらのどれかより大きくなるからです。
  3. 0.999…0.999\ldots は 910+9100+91000+⋯\displaystyle \frac{9}{10} + \frac{9}{100} + \frac{9}{1000} + \cdots という限りなく続くたし算です。無限個の数を「全部足し終える」ことはできないので、その値は「途中で止めた和が限りなく近づいていく先」として定義します。途中で止めた和は 0.9=1−0.10.9 = 1 - 0.1、0.99=1−0.010.99 = 1 - 0.01、0.999=1−0.0010.999 = 1 - 0.001、… で、11 に限りなく近づくので、0.999…0.999\ldots の値は 11 です。

3 番目が、大人向けのいちばん正確な説明です。高校で学ぶ無限等比級数の和の公式(初項 910\displaystyle \frac{9}{10}、公比 110\displaystyle \frac{1}{10})を使っても、同じ結果になります。

910+9100+91000+⋯=910÷(1−110)=1\frac{9}{10} + \frac{9}{100} + \frac{9}{1000} + \cdots = \frac{9}{10} \div \left(1 - \frac{1}{10}\right) = 1

「0.999…0.999\ldots は 1 に近づいていく」という言い方が誤解のもとです。近づいていくのは途中で止めた 0.9,0.99,0.999,…0.9, 0.99, 0.999, \dots のほうで、0.999…0.999\ldots はそれらが近づく先の 1 つの数、つまり 11 そのものです。同じ理由で、0.5=0.4999…0.5 = 0.4999\ldots のように、0 でない有限小数は 9 が限りなく続く形でも書けます。

補足

この先の数学では 「限りなく続く和の値は、途中で止めた和が近づく先(極限)として定める」という考え方は、高校では P4 第1章「数列の極限と無限級数」で循環小数とともに学び、大学では ε-N 論法で厳密に定義します。級数の和の定義と等比級数の和は 01 第2章(定義 2.27、例 2.29)にあります。上の 2 番目の説明で使った「0 より大きい数は 0.1,0.01,0.001,…0.1, 0.01, 0.001, \dots のどれかより大きい」は、実数のアルキメデスの性質です(01 第1章)。さらに「限りなく続く小数とは何か」をつきつめると「実数とは何か」という問いになり、00 第7章 で有理数から実数を作ります。

まとめ

  • 小数は、位取り記数法を小数点の右へのばしたものです。10 倍・110\displaystyle \frac{1}{10} にすると、数字が 1 つ上・下の位に移ります。
  • 小数のかけ算・わり算は、10 倍・100 倍していったん整数の計算にし、あとで戻すことで小数点の位置が決まります。わり算では「わられる数とわる数に同じ数をかけても商は変わらない」を使います。
  • 0 より大きい数どうしでは、1 より小さい数をかけると積はもとの数より小さく、1 より小さい数でわると商はもとの数より大きくなります。
  • 分数には分割分数・量分数・割合分数・商分数の 4 つの意味があり、土台は「単位分数のいくつ分」です。分数を見たら「何を 1 とみているか」を確かめます。
  • 分母と分子に同じ数をかけても、同じ数でわっても、分数の大きさは変わりません(約分・通分)。分母の違う分数を足すときに通分するのは、単位をそろえるためです。
  • 分数のかけ算で分母どうし・分子どうしをかけるのは、面積図で「1 が何マスに分かれたか」と「塗ったマスがいくつあるか」を数えることにあたります。
  • 分数のわり算でわる数の逆数をかけるのは、わり算の性質・かけ算の逆・通分・数直線図(1 あたりを求める)のどれで考えても同じ答えになるからです。
  • 既約分数が有限小数になるのは、分母が 2 と 5 以外の素因数をもたないときです。そうでなければ循環小数になり、くり返しの長さは分母より小さくなります。
  • 0.999…=10.999\ldots = 1 です。限りなく続く小数の値は、「途中で止めた値が限りなく近づいていく先」として定めます。

演習問題

問題 4.1 ★ 次の (1)〜(4) の答えが 80 より大きくなるか小さくなるかを、計算する前に予想してください。そのあと計算して確かめ、どんなときに大きく、どんなときに小さくなるかをまとめてください。 (1) 80×0.680 \times 0.6 (2) 80×1.580 \times 1.5 (3) 80÷0.580 \div 0.5 (4) 80÷1.680 \div 1.6

解答

(1) 4848(小さくなる) (2) 120120(大きくなる) (3) 160160(大きくなる) (4) 5050(小さくなる)

0 より大きい数どうしでは、1 より大きい数をかけると積はもとの数より大きく、1 より小さい数をかけると小さくなります。わり算はその逆で、1 より大きい数でわると商はもとの数より小さく、1 より小さい数でわると大きくなります。(3) は「80 の中に 0.5 がいくつ入るか」と考えると、0.5 は 1 の半分なので、1 が入る個数(80 個)の 2 倍で 160 個、と納得できます。

問題 4.2 ★ 次の (ア)〜(エ) の 34\displaystyle \frac{3}{4} は、分割分数・量分数・割合分数・商分数のどれにあたりますか。 (ア) 34\displaystyle \frac{3}{4} L の牛乳 (イ) 3÷43 \div 4 の答え (ウ) 1 枚のケーキを 4 等分した 3 切れ (エ) 赤いテープの長さは白いテープの長さの 34\displaystyle \frac{3}{4} また、「2 m のテープの 34\displaystyle \frac{3}{4}」と「34\displaystyle \frac{3}{4} m のテープ」は、どちらが何 m 長いですか。

解答

(ア) 量分数 (イ) 商分数 (ウ) 分割分数 (エ) 割合分数

2 m のテープの 34\displaystyle \frac{3}{4} は、2 m を 4 等分した 1 つ分(0.5 m)の 3 つ分で 1.5 m です。34\displaystyle \frac{3}{4} m は 0.75 m なので、「2 m のテープの 34\displaystyle \frac{3}{4}」のほうが 0.75 m 長くなります。前者は 2 m を 1 とみた割合、後者は 1 m をもとにした量です。

問題 4.3 ★★ 【説明】 子どもが 12+13=25\displaystyle \frac{1}{2} + \frac{1}{3} = \frac{2}{5} と答えました。どこがおかしいのかを、子どもに話す言葉で説明してください。

解答

説明の例:「12\displaystyle \frac{1}{2} はピザの半分だね。それに 13\displaystyle \frac{1}{3} を足したら、半分より多くなるはずだよね。でも 25\displaystyle \frac{2}{5} はピザを 5 つに切った 2 切れで、半分より少ない。おかしいね。12\displaystyle \frac{1}{2} と 13\displaystyle \frac{1}{3} は切り方が違うから、そのままでは『全部で何切れ』と数えられないんだ。どちらも 6 つに切り直すと、12\displaystyle \frac{1}{2} は 3 切れ、13\displaystyle \frac{1}{3} は 2 切れ。合わせて 6 切れのうちの 5 切れだから 56\displaystyle \frac{5}{6} だよ。」

ポイントは、(1) 答えの大きさで誤りに気づかせること、(2) 分母は「1 を何等分した大きさで数えているか」という単位なので、足し合わせるものではないこと、(3) 単位をそろえれば(通分すれば)数えられること、の 3 つです。紙やピザの図を実際に見せると伝わりやすくなります。

問題 4.4 ★ 縦 23\displaystyle \frac{2}{3} m、横 34\displaystyle \frac{3}{4} m の長方形の面積を、1 m² の正方形を分けた図をかいて求めてください。また、答えが 34\displaystyle \frac{3}{4} m² より小さくなる理由を説明してください。

解答

1 m² の正方形を縦に 3 等分、横に 4 等分すると 12 マスに分かれ、1 マスは 112\displaystyle \frac{1}{12} m² です。長方形は縦 2 段・横 3 列の 6 マスなので、面積は 612=12\displaystyle \frac{6}{12} = \frac{1}{2} m² です。

■■■□
■■■□
□□□□     12 マスのうち 2 × 3 = 6 マス → 6/12 = 1/2 m²

これは 23×34=2×33×4=612=12\displaystyle \frac{2}{3} \times \frac{3}{4} = \frac{2 \times 3}{3 \times 4} = \frac{6}{12} = \frac{1}{2} と一致します。34\displaystyle \frac{3}{4} m² は横 3 列を縦 3 段すべてとった部分で、長方形はそのうちの 2 段だけをとっています。1 より小さい数 23\displaystyle \frac{2}{3} をかけているので、34\displaystyle \frac{3}{4} m² より小さくなるのです。

問題 4.5 ★★ 【説明】 子どもに「分数のわり算は、なぜひっくり返してかけるの?」と聞かれました。45÷23\displaystyle \frac{4}{5} \div \frac{2}{3} を例にして、4.7 節の説明のどれか 1 つを使い、子どもに話す言葉で説明を書いてください。

解答

答えは 45÷23=45×32=1210=65\displaystyle \frac{4}{5} \div \frac{2}{3} = \frac{4}{5} \times \frac{3}{2} = \frac{12}{10} = \frac{6}{5} です。

説明 4(数直線図)を使った例:「23\displaystyle \frac{2}{3} dL で 45\displaystyle \frac{4}{5} m² ぬれるペンキがあるとするよ。1 dL では何 m² ぬれるかな。13\displaystyle \frac{1}{3} dL なら 23\displaystyle \frac{2}{3} dL の半分だから、45÷2=25\displaystyle \frac{4}{5} \div 2 = \frac{2}{5} m²。1 dL は 13\displaystyle \frac{1}{3} dL の 3 つ分だから、25×3=65\displaystyle \frac{2}{5} \times 3 = \frac{6}{5} m²。いま、2 でわって 3 をかけたよね。これは 32\displaystyle \frac{3}{2} をかけるのと同じこと。だから 23\displaystyle \frac{2}{3} でわるのは、ひっくり返した 32\displaystyle \frac{3}{2} をかけるのと同じになるんだよ。」

説明 3(通分)を使った例:「45=1215\displaystyle \frac{4}{5} = \frac{12}{15}、23=1015\displaystyle \frac{2}{3} = \frac{10}{15} だね。115\displaystyle \frac{1}{15} が 12 個の中に、115\displaystyle \frac{1}{15} が 10 個のかたまりがいくつ入るかだから、12÷10=1210=65\displaystyle 12 \div 10 = \frac{12}{10} = \frac{6}{5}。ひっくり返してかけた答えと同じになるね。」

どちらの場合も、最後に 65×23=1215=45\displaystyle \frac{6}{5} \times \frac{2}{3} = \frac{12}{15} = \frac{4}{5} と確かめ算をすると、答えが正しいことを子ども自身が確認できます。

問題 4.6 ★★ 【親子で】 3500 年以上前の古代エジプトでは、分数を(23\displaystyle \frac{2}{3} などのいくつかの例外を除いて)異なる単位分数の和で表していました。たとえば 34=12+14\displaystyle \frac{3}{4} = \frac{1}{2} + \frac{1}{4} です。これにならって、(1) 5 個のパンを 8 人で、(2) 2 個のパンを 5 人で、それぞれ等しく分ける方法を考えてください。1 人分を異なる単位分数の和で表し、それに合わせたパンの切り方を、紙を切って試してみましょう。

解答

(1) 58=12+18\displaystyle \frac{5}{8} = \frac{1}{2} + \frac{1}{8} です。4 個をそれぞれ半分に切って 8 人に 12\displaystyle \frac{1}{2} 個ずつ配り、残りの 1 個を 8 等分して 18\displaystyle \frac{1}{8} 個ずつ配ります。

(2) 25=13+115\displaystyle \frac{2}{5} = \frac{1}{3} + \frac{1}{15} です。2 個をそれぞれ 3 等分すると 13\displaystyle \frac{1}{3} 個が 6 切れできるので、5 人に 1 切れずつ配り、残った 1 切れを 5 等分して 115\displaystyle \frac{1}{15} 個ずつ配ります。25=13+115\displaystyle \frac{2}{5} = \frac{1}{3} + \frac{1}{15} という表し方は、古代エジプトの数学書「リンド・パピルス」の表にも載っています。

声かけの例:子どもが全部を 8 等分(5 等分)して配ろうとしたら、それも正しい分け方なので認めたうえで、「もっと大きいかたまりのまま配れないかな?」「1 人 1 個は無理でも、半分ずつならどう?」と聞いてみます。手が止まったら、まず全員に同じ大きさのかたまりを配り、残りをどうするかを考えるよう促します。すぐに見つけた子には、「3 個のパンを 5 人で分けたら?」(35=12+110\displaystyle \frac{3}{5} = \frac{1}{2} + \frac{1}{10})と次の問題を出すのもよいでしょう。

問題 4.7 ★ 次の分数のうち、有限小数で表せるものはどれですか。表せるものは小数に直してください。 740, 512, 912, 3125, 1130\displaystyle \frac{7}{40},\ \frac{5}{12},\ \frac{9}{12},\ \frac{3}{125},\ \frac{11}{30}

解答

有限小数で表せるのは 740, 912, 3125\displaystyle \frac{7}{40},\ \frac{9}{12},\ \frac{3}{125} です。

  • 740\displaystyle \frac{7}{40}:40=2×2×2×540 = 2 \times 2 \times 2 \times 5 なので、分母と分子に 25 をかけて 1751000=0.175\displaystyle \frac{175}{1000} = 0.175。
  • 912\displaystyle \frac{9}{12}:分母に 3 がありますが、約分すると 34\displaystyle \frac{3}{4} で、75100=0.75\displaystyle \frac{75}{100} = 0.75。
  • 3125\displaystyle \frac{3}{125}:125=5×5×5125 = 5 \times 5 \times 5 なので、分母と分子に 8 をかけて 241000=0.024\displaystyle \frac{24}{1000} = 0.024。
  • 512=0.41666…\displaystyle \frac{5}{12} = 0.41666\ldots と 1130=0.3666…\displaystyle \frac{11}{30} = 0.3666\ldots は既約分数で、分母に 3 があるので有限小数になりません。

問題 4.8 ★★ 【親子で】17, 27, 37, 47, 57, 67\displaystyle \frac{1}{7},\ \frac{2}{7},\ \frac{3}{7},\ \frac{4}{7},\ \frac{5}{7},\ \frac{6}{7} をわり算で小数に直し(電卓を使ってもかまいません)、くり返す部分を比べてください。何に気づきますか。また、142857×7142857 \times 7 を計算してください。

解答

17=0.142857…\displaystyle \frac{1}{7} = 0.142857\ldots、27=0.285714…\displaystyle \frac{2}{7} = 0.285714\ldots、37=0.428571…\displaystyle \frac{3}{7} = 0.428571\ldots、47=0.571428…\displaystyle \frac{4}{7} = 0.571428\ldots、57=0.714285…\displaystyle \frac{5}{7} = 0.714285\ldots、67=0.857142…\displaystyle \frac{6}{7} = 0.857142\ldots です。どれも 1、4、2、8、5、7 という同じ並びを、輪のようにつないで始める位置だけを変えた形になっています。

理由は 4.8 節の表にあります。17\displaystyle \frac{1}{7} の筆算では、あまりが 3、2、6、4、5、1 と 1〜6 をすべて通ります。たとえば 37\displaystyle \frac{3}{7} の筆算は「30÷730 \div 7」から始まり、これは 17\displaystyle \frac{1}{7} の筆算の 2 回目と同じ計算なので、そこから先は同じ並びが続きます。

また、142857×7=999999142857 \times 7 = 999999 です。17×7=1\displaystyle \frac{1}{7} \times 7 = 1 と 0.142857142857…×7=0.999999…0.142857142857\ldots \times 7 = 0.999999\ldots を見比べると、0.999…=10.999\ldots = 1 の話にもつながります。

声かけの例:電卓の表示は最後のけたが四捨五入や切り捨てでずれることがあるので、「くり返しは途中まで見ればいいよ」と伝えます。並びが同じことに子どもが気づいたら、「どこから始まっているかな?」「142857×2142857 \times 2 を計算したら?」(答えは 285714285714)と広げられます。気づかないときは、6 つの小数を縦に並べて書き、同じ数字に同じ色をつけてみましょう。

問題 4.9 ★★★ 【説明】 中学生の子に「0.999…0.999\ldots は 1 に近づいていくだけで、1 にはならないよね?」と言われました。(1) どこに誤解があるかを指摘したうえで、納得してもらえる説明を書いてください。(2) 0.272727…0.272727\ldots(27 のくり返し)を分数で表してください(ヒント:100 倍して、もとの数を引きます)。

解答

(1) 誤解は、0.999…0.999\ldots を「動いているもの」と思っている点にあります。1 に近づいていくのは、途中で止めた 0.9,0.99,0.999,…0.9, 0.99, 0.999, \dots という有限小数の列のほうで、0.999…0.999\ldots は 9 が限りなく続いた結果として決まる 1 つの数です。

説明の例:「0.999…0.999\ldots は、9 を書いている途中の数じゃなくて、9 が終わりなく全部そろった数のことなんだ。1 との差を考えてみよう。0.90.9 より小さくないから、差は 0.10.1 以下。0.990.99 より小さくないから、差は 0.010.01 以下。どこまで行っても、差は 0.00…010.00\ldots01 以下になる。差が 0 より大きかったら、いつかはこれより大きくなってしまうよね。だから差は 0 しかありえない。つまり 0.999…0.999\ldots と 1 は同じ数なんだ。」さらに「13=0.333…\displaystyle \frac{1}{3} = 0.333\ldots を 3 倍すると?」と聞くと、別の角度から納得できることがあります。

(2) 0.272727…0.272727\ldots を xx とすると、100×x=27.272727…100 \times x = 27.272727\ldots です。小数点より下が同じなので、引くと 99×x=2799 \times x = 27 となり、x=2799=311\displaystyle x = \frac{27}{99} = \frac{3}{11} です(確かめ:3÷11=0.2727…3 \div 11 = 0.2727\ldots)。同じ方法で x=0.999…x = 0.999\ldots とすると、10×x−x=9.999…−0.999…=910 \times x - x = 9.999\ldots - 0.999\ldots = 9 から x=1x = 1 が出てきます。ただし、限りなく続く小数どうしを引き算してよいことは自明ではなく、無限小数の値を極限として定めたうえで正当化されます。等比級数として 27100+2710000+⋯=27100÷(1−1100)=2799\displaystyle \frac{27}{100} + \frac{27}{10000} + \cdots = \frac{27}{100} \div \left(1 - \frac{1}{100}\right) = \frac{27}{99} と計算しても同じ結果になります。

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「読了」にすると学習記録とロードマップに反映されます。演習の自己採点もお忘れなく。

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