Lemma数学ロードマップ

P1 算数の「なぜ」 · 第 7 章

データの活用と場合の数

目安 2.5〜4 時間演習 10 問

この章の目標

  • 棒グラフ・折れ線グラフ・帯グラフ・円グラフを、目的に合わせて使い分けられる。誤解をまねくグラフに気づける
  • 平均を「ならす」ことと説明でき、平均の計算で気をつけること(0 の扱い、平均の平均)がわかる
  • 平均値・中央値・最頻値の違いを説明し、データに合った代表値を選べる
  • ドットプロット・度数分布表・柱状グラフを読み書きできる
  • 並べ方・組み合わせ方を、樹形図や表を使って落ちや重なりなく数えられる
  • 中学で学ぶ確率の「同様に確からしい」という考え方の入口がわかる

前提:第4章「分数と小数」、第5章「割合・比・比例」(帯グラフ・円グラフで百分率を使います)

学年の目安:表とグラフは小学 1〜5 年、平均は小学 5 年、代表値・度数分布・場合の数は小学 6 年(教科書によって前後します)

子どもにこう聞かれたら、どう答えますか。

  • 「平均が 5 冊って、クラスの真ん中の人が 5 冊読んでいるっていうこと?」
  • 「グラフで見ると B 店は A 店の 3 倍も売れているのに、どうして『ほとんど同じ』なの?」
  • 「さいころを 2 つ投げたら、目の和は 2 から 12 の 11 通り。だから和が 7 になるのは 11 回に 1 回くらいでしょう?」

この章で扱うのは、計算そのものよりも「数をどう見るか」の算数です。集めたデータを表やグラフに整理し、平均などの 1 つの数で全体の特徴をつかみ、起こりうる場合を落ちなく数え上げる。どれも、ニュースの数字や広告のグラフ、くじやゲームの「起こりやすさ」を正しく読むための、大人にとっても大切な力です。2017 年告示の学習指導要領では、小学校算数の領域の 1 つとして「データの活用」が置かれ、統計の内容が以前より充実しました。

なお、この章に出てくるデータは、すべて説明のために作った例です。実際の調査の結果ではありません。また、この章でいう整数は、小学校の算数と同じく 0,1,2,3,…0, 1, 2, 3, \dots のことです。

何年生で習う?

学年 データの活用 場合の数・確率
1 年 ものの個数を絵や図に表して読み取る ―
2 年 簡単な表と、○ などを並べたグラフ ―
3 年 表(観点を決めて分類する)と棒グラフ ―
4 年 二つの観点から分類する表、折れ線グラフ ―
5 年 帯グラフと円グラフ、測定した値の平均 ―
6 年 代表値(平均値・中央値・最頻値)、ドットプロット、度数分布を表す表と柱状グラフ 起こりうる場合(並べ方・組み合わせ方)
中学 ヒストグラムと相対度数(中 1)、四分位数と箱ひげ図(中 2)、標本調査(中 3) 多数回の試行による確率(中 1)、同様に確からしいことにもとづく確率(中 2)

現行の学習指導要領(2017 年告示、2020 年度から実施)にもとづく目安です。実際に扱う時期は、教科書によって少し前後します。

7.1 データを集めて整理する ―表

データの活用は、「調べたいこと」を決めるところから始まります。小学校では、「問題をはっきりさせる → 計画を立てる → データを集める → 表やグラフに整理して分析する → 結論を出す(そしてまた新しい疑問をもつ)」という流れを、統計的な問題解決として体験します。この章では主に「整理して分析する」部分を扱いますが、どのグラフを使うか、どの代表値を使うかは、いつも「何を知りたいのか」で決まることを覚えておいてください。

集めたデータは、まず分類して数えます。1・2 年生では、ものの絵を 1 つずつ並べたり ○ を積み上げたりして、数の大小を「高さ」で見ます。これがグラフの原点です。数えるときは、数え落としや二重に数えることを防ぐために、数えたものに印をつけたり、「正」の字を書いたりします。

4 年生では、2 つの観点で同時に分類する表を学びます。

例 7.1 あるクラス 32 人(例)に、犬とねこを飼っているかを聞いて、次の表にまとめました。

ねこを飼っている ねこを飼っていない 合計
犬を飼っている 3 6 9
犬を飼っていない 4 19 23
合計 7 25 32

どの人も、4 つのマスのどれか 1 つにだけ入ります。そのため、たてに足しても横に足しても、右下の合計 32 人になります(3+6+4+19=323 + 6 + 4 + 19 = 32)。この表から「犬とねこの両方を飼っている人は 3 人」「犬かねこの少なくとも一方を飼っている人は 3+6+4=133 + 6 + 4 = 13 人」とわかります。

ここで、「犬を飼っている 9 人とねこを飼っている 7 人を足して 16 人」とするのは誤りです。両方を飼っている 3 人を二重に数えているからです(16−3=1316 - 3 = 13)。この「重なりに気をつけて数える」という考え方は、7.6 節の場合の数にもつながります。

7.2 グラフの使い分け

同じデータでも、グラフの種類によって見えるものが違います。小学校で学ぶ 4 種類のグラフは、それぞれ得意なことがはっきりしています。

グラフ 学年 得意なこと 例
棒グラフ 3 年 量の大小を比べる 好きな果物の人数、町ごとの図書館の数
折れ線グラフ 4 年 時間とともに量が変わる様子を見る 1 日の気温、体重の記録
円グラフ 5 年 全体に対する割合(部分と全体の関係)を見る 好きな果物の割合
帯グラフ 5 年 割合を見る。いくつかの集団の割合を比べる 4 年生と 6 年生の好きな果物の割合

棒グラフと円グラフ

4 年生 40 人に好きな果物を聞いた結果(例)を、棒グラフと円グラフにかいてみます。いちご 14 人、りんご 10 人、みかん 8 人、バナナ 6 人、その他 2 人です。

4 年生 40 人の好きな果物(例)を棒グラフと円グラフで表した図。棒グラフは人数、円グラフは割合を表し、いちご 14 人で 35%、りんご 10 人で 25%、みかん 8 人で 20%、バナナ 6 人で 15%、その他 2 人で 5%

棒グラフでは、棒の長さが人数を表します。「いちごはバナナの 2 倍以上」といった大小の比較が一目でできるのは、長さが人数に比例するようにかいてあるからです。そのため、棒グラフの縦軸の目盛りは 0 から始めるのが原則です(あとのつまずきポイント)。

円グラフでは、おうぎ形の中心角(したがって面積)が割合を表します。円全体が 100% にあたるので、たとえばいちごの割合 14÷40=0.3514 \div 40 = 0.35 すなわち 35% は、中心角 360∘×0.35=126∘360^\circ \times 0.35 = 126^\circ のおうぎ形になります。円グラフは、ふつう真上から時計回りに、割合の大きい順にかき、「その他」は最後にかきます。

棒グラフと円グラフは、同じデータを違う目で見ています。棒グラフは「何人か」、円グラフは「全体のどれだけか」です。円グラフからは、もとの人数(40 人なのか 4000 人なのか)は読み取れません。

折れ線グラフ

ある日の気温を 2 時間ごとに測った結果(例)を折れ線グラフにかきます。

ある日の気温の変化(例)の折れ線グラフ。6 時 14 度、8 時 17 度、10 時 21 度、12 時 24 度、14 時 25 度、16 時 22 度、18 時 18 度。8 時から 10 時の上がり方がいちばん大きい。縦軸の 0 度から 10 度の間は波線で省略している

折れ線グラフでは、点の高さだけでなく線の傾きに意味があります。線が急に上がっているところは、気温が急に上がった時間帯です。この例では 8 時から 10 時の 4 度がいちばん大きな上がり方で、14 時を過ぎると下がり始めます。

折れ線グラフが使えるのは、横軸が時間のように順序と間隔に意味のある量のときです。好きな果物のように順序に意味のない項目を折れ線でつなぐと、線の傾きに意味がなくなってしまいます。また、横軸の間隔は時間の間隔に合わせます(2 時間おきの測定に 1 か所だけ 4 時間あきがあれば、そこは 2 目盛り分あけます)。

図の縦軸の下のほうにある波線(≈)は、「0 度から 10 度の間を省略しています」という印です。折れ線グラフでは、変化の様子を見やすくするために、このように目盛りの途中を省略することがあり、4 年生の教科書でも扱います。省略したことを波線ではっきり示すのが約束です。

帯グラフ

帯グラフは、帯全体を 100% として、割合を長さで表すグラフです。いくつかの集団の割合を比べるときは、帯を縦に並べ、区切りを点線で結びます。4 年生 40 人と 6 年生 50 人の好きな果物(例)を比べてみます。

好きな果物の割合(例)を 4 年生 40 人と 6 年生 50 人で比べた帯グラフ。4 年生はいちご 35%(14 人)、りんご 25%(10 人)、みかん 20%(8 人)、バナナ 15%(6 人)、その他 5%(2 人)。6 年生はいちご 30%(15 人)、りんご 30%(15 人)、みかん 12%(6 人)、バナナ 20%(10 人)、その他 8%(4 人)

人数の合計が違う 2 つの集団でも、割合に直せば同じ長さの帯で比べられます。これが帯グラフの強みです。円グラフを 2 つ並べるより、区切りの位置の違いが読み取りやすくなります。

注意 7.2 帯グラフや円グラフが比べているのは割合で、人数ではありません。上の例で、いちごが好きな人の割合は 4 年生の 35% から 6 年生の 30% へ減っていますが、人数は 14 人から 15 人へ増えています。もとにする量(全体の人数)が 40 人と 50 人で違うからです。割合と量の関係(比べられる量 = もとにする量 × 割合)は第5章で扱います。

注意

つまずきポイント グラフは、かき方しだいで印象を大きく変えられます。次の 2 つのグラフは、どちらも「A 店で 98 個、B 店で 104 個のおにぎりが売れた」という同じデータ(例)をかいたものです。

同じデータを 2 通りにかいた棒グラフ。左は目盛りが 0 から始まり、98 個と 104 個の差は小さく見える。右は目盛りが 95 から始まるため、棒の長さが 3 と 9 になり、B 店が A 店の 3 倍売れたように見える(誤解をまねく例)

右のグラフは縦軸が 95 から始まっているので、棒の長さは 98−95=398 - 95 = 3 と 104−95=9104 - 95 = 9 の比、つまり 1:3 になり、B 店が 3 倍売れたように見えます。実際には 104÷98=1.06…104 \div 98 = 1.06\ldots で、6% ほど多いだけです。棒グラフは長さで量を比べるグラフなので、目盛りを途中から始めると、長さの比が量の比と一致しなくなります。

誤解をまねくグラフには、ほかにも次のようなものがあります。

  • 縦軸の目盛りの間隔がそろっていない、横軸の時間の間隔がそろっていない。
  • 立体的にかいた円グラフ。手前のおうぎ形が実際の割合より大きく見えます。
  • 量を絵の大きさで表し、量が 2 倍なら絵を縦にも横にも 2 倍にしたもの。面積は 4 倍になり、差が大げさに見えます。
  • 割合だけを示して、もとにする量(何人に聞いたか)を示さないもの。「満足度 100%」でも、聞いたのが 3 人だけかもしれません。

グラフを見たら、まず縦軸の 0 がどこにあるか、目盛りの間隔、もとのデータの数を確かめる習慣をつけましょう。なお、折れ線グラフで目盛りの途中を波線で省略するのは、変化の様子を見るためのもので、省略したことを明示している限り問題ありません。棒グラフで同じことをすると、長さの比較という棒グラフの役割がこわれてしまう点が違います。

ヒント

子どもに伝えるには 「どのグラフにすればいい?」と聞かれたら、答えを教える代わりに「何を比べたいの?」と聞き返します。「どれがいちばん多いか」なら棒グラフ、「どう変わってきたか」なら折れ線グラフ、「全体のどれくらいか」なら円グラフか帯グラフ、と目的からグラフを選ぶ習慣がつきます。

誤解をまねくグラフは、親子で探すと楽しい題材です。チラシや広告、ニュースのグラフを見つけたら、「縦の目盛りは 0 から始まっているかな?」「本当は何倍くらい?」と一緒に確かめてみましょう。子どもが自分で 0 から始まるグラフにかき直してみると、印象の違いがよくわかります。

7.3 平均 ―「ならす」こと

5 つの袋に、あめが 4 個、7 個、5 個、2 個、7 個入っています(例)。どの袋も同じ数になるように、多い袋から少ない袋へあめを移すと、1 袋あたり何個になるでしょうか。

5 つの袋のあめの数(例)4、7、5、2、7 個を、多い袋から少ない袋へ移してならす図。B と E から 2 個ずつ取り、A に 1 個、D に 3 個移すと、全部 5 個になる。合計 25 個 ÷ 5 袋 = 5 個が平均

B と E から 2 個ずつ取り出して、A に 1 個、D に 3 個入れると、どの袋も 5 個になります。このように、でこぼこのある量を同じ大きさにそろえることをならすといい、ならした大きさが平均です。

あめを移しても、全部の個数(25 個)は変わりません。ならした後は 5 袋とも同じ数なので、1 袋分は 25÷5=525 \div 5 = 5 個です。つまり、平均は「合計 ÷ 個数」で計算できます。

定義 7.3(平均)いくつかの数量を、合計を変えずに同じ大きさにならしたときの 1 つ分の大きさを、それらの数量の平均といいます。

平均=合計÷個数\text{平均} = \text{合計} \div \text{個数}

性質 7.4(平均の性質)(1) 平均 × 個数 = 合計 です。(2) それぞれの値と平均との差(平均より大きい分をプラス、小さい分をマイナスとする)を全部合わせると、ちょうど 0 になります。

(1) は定義の式をかけ算に直しただけですが、とても役に立ちます。「4 回のテストの平均が 75 点」なら、合計点は 75×4=30075 \times 4 = 300 点とわかるからです(問題 7.3)。

(2) はあめの図で確かめられます。平均 5 個との差は、A が −1-1、B が +2+2、C が 00、D が −3-3、E が +2+2 です(マイナスの数は中学 1 年で学びますが、ここでは「足りない分」と読んでください)。多い分の合計 2+2=42 + 2 = 4 個と、足りない分の合計 1+3=41 + 3 = 4 個が等しいからこそ、多い分を足りない袋に移してちょうどならせたのです。数直線の上にデータの値の位置へ同じ重さのおもりを置くと、平均の位置でちょうどつり合う、と言いかえることもできます。平均は、データの「重心」なのです。

例 7.5(仮の平均)5 回の計算テストの点数が 83 点、78 点、85 点、90 点、79 点でした。80 点を基準にすると、差は +3,−2,+5,+10,−1+3, -2, +5, +10, -1 で、合計は +15+15 です(増えた分 3+5+10=183 + 5 + 10 = 18 から減った分 2+1=32 + 1 = 3 を引きます)。これを 5 回でならすと 15÷5=315 \div 5 = 3 なので、平均は 80+3=8380 + 3 = 83 点です。実際、合計は 415415 点で、415÷5=83415 \div 5 = 83 です。このように、基準を決めてそこからの差だけをならす方法を仮の平均を使う方法といい、大きな数の平均を暗算で求めるときに便利です。

5 年生では、平均を「測定した値の平均」として学びます。たとえば、自分の歩幅を知りたいとき、1 歩だけ測ると、たまたま大きく踏み出したり小さかったりします。10 歩の長さを何回か測って平均すると、ばらつきがならされて、より信頼できる値が得られます(問題 7.2)。

注意 7.6 平均について、次の 2 点に注意します。

  • 平均は、データの中にない値や、整数でない値になることがあります。月曜から金曜の欠席者が 2 人、0 人、3 人、1 人、0 人なら、平均は 6÷5=1.26 \div 5 = 1.2 人です。「1.2 人なんていない」と思うかもしれませんが、ならした値なので問題ありません。
  • 0 も 1 つのデータです。欠席者 0 人の日を数え忘れて 6÷3=26 \div 3 = 2 人としてはいけません。個数を数えるときは、0 の日も含めます。

ヒント

子どもに伝えるには 平均は、まず手を動かしてならす体験から入ります。積み木やブロックをいくつかの山に積み、「どの山も同じ高さにしてみよう」と言うと、子どもは高い山から低い山へ自然に移します。そのあとで「全部くずして、同じ数ずつ配り直しても同じになるね」と、合計 ÷ 個数につなげます。同じ形のコップに水を入れて高さをそろえる方法も、量が連続的なのでわかりやすい体験です。

「平均 5 個ということは、どの袋にも 5 個入っているということ?」と聞いてみるのも効果的です。実際の袋には 2 個のものも 7 個のものもあります。平均は「もしならしたら」という仮の大きさであって、どの袋もその数だという意味ではありません。

7.4 代表値とドットプロット

データ全体の特徴を 1 つの数で表したものを代表値といいます。平均はその代表ですが、いつも平均がよいとは限りません。6 年生では、平均値のほかに中央値と最頻値を学びます。

あるクラス 20 人が 1 か月に読んだ本の冊数(例)を、小さい順に並べると次のとおりです。

0,1,1,2,2,2,2,3,3,3,4,4,5,5,6,7,8,10,12,200, 1, 1, 2, 2, 2, 2, 3, 3, 3, 4, 4, 5, 5, 6, 7, 8, 10, 12, 20

これを、数直線の上に 1 人 1 つずつ点を積み上げてかいたものをドットプロットといいます。

20 人が 1 か月に読んだ本の冊数(例)のドットプロット。2 冊に 4 人がいちばん多く集まり、右に長くのびて 20 冊の人が 1 人いる。最頻値 2 冊、中央値 3.5 冊、平均値 5 冊の位置を縦の点線で示す

ドットプロットにすると、データの分布(どの値のあたりに多く集まり、どのように散らばっているか)が一目でわかります。この例では 2〜3 冊のあたりに多く集まり、右側に長くすそを引いて、20 冊という飛びぬけた値が 1 つあります。

定義 7.7(代表値)

  • 平均値:データの値の合計を、データの個数でわった値。
  • 中央値(メジアン):データを小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる値。データの個数が偶数のときは、真ん中の 2 つの値の平均とします。
  • 最頻値(モード):データの中で、もっとも多く現れる値。

例 7.8 上の 20 人のデータの代表値を求めます。

  • 平均値:合計は 100100 冊なので、100÷20=5100 \div 20 = 5 冊です。
  • 中央値:20 人は偶数なので、小さいほうから 10 番目と 11 番目の 2 人が真ん中です。10 番目は 3 冊、11 番目は 4 冊なので、中央値は (3+4)÷2=3.5(3 + 4) \div 2 = 3.5 冊です。
  • 最頻値:2 冊の人が 4 人でいちばん多いので、最頻値は 2 冊です。

同じデータなのに、代表値は 2 冊、3.5 冊、5 冊と、かなり違います。どれが「正しい」のではなく、それぞれが違うことを表しています。

  • 平均値は、全員の冊数をならした値です。合計に関心があるとき(クラス全体で何冊読んだか、本を何冊用意すればよいか)に向いています。ただし、20 冊のような飛びぬけた値(外れ値)に引っぱられやすい性質があります。20 冊の人が 10 冊だったとすると、合計は 90 冊になり、平均値は 4.5 冊に下がりますが、中央値は 3.5 冊のまま変わりません。
  • 中央値は、「真ん中の人がどのくらいか」を表します。半分の人はこれ以下、半分の人はこれ以上です。外れ値の影響を受けにくいので、所得や貯蓄額のように一部に極端に大きな値があるデータでは、平均値よりも「ふつうの人」の感覚に近いことがよくあります。
  • 最頻値は、「いちばんよくある値」です。靴や服のサイズのように、どれをいちばん多く仕入れるかを決めるときに向いています。

注意

つまずきポイント 「平均値はデータの真ん中」「平均くらいの人がいちばん多い」と思い込んでいる人は、大人にもたくさんいます。上の例では平均値は 5 冊ですが、5 冊以上読んだ人は 20 人中 8 人しかいません。いちばん多いのは 2 冊の人です。このように、一方に長くすそを引いたデータでは、平均値・中央値・最頻値がばらばらになります。逆に、左右対称な山の形のデータなら、3 つの代表値はほぼ同じになります。

代表値を見るときは、「どの代表値か」と「データの分布の形」をあわせて確かめることが大切です。ドットプロットのような図をかいてみるのがいちばん確実です。

注意 7.9 代表値だけでは、データの散らばりはわかりません。「2, 3, 4」と「0, 3, 6」は、どちらも平均値も中央値も 3 ですが、散らばり方はまったく違います。小学校では、ドットプロットの形や、いちばん大きい値・小さい値に注目して散らばりを見ます。いちばん大きい値と小さい値の差(範囲)は中学 1 年で、散らばりを表すほかの数(四分位範囲・分散など)は中学 2 年や高校で学びます(7.5 節の「この先の数学では」)。

7.5 度数分布表と柱状グラフ

データの個数が多かったり、値が細かかったりすると、ドットプロットでは点がまばらになって、全体の形がつかみにくくなります。そこで、値をいくつかの区間に分けて、それぞれに何個あるかを数えます。

ある学年の 30 人のソフトボール投げの記録(例、単位は m)を小さい順に並べると、次のとおりです。

12,14,15,17,18,18,19,20,21,21,22,23,23,24,24,24,25,26,26,27,28,28,29,29,30,31,33,34,36,39\begin{aligned} &12, 14, 15, 17, 18, 18, 19, 20, 21, 21, 22, 23, 23, 24, 24, \\ &24, 25, 26, 26, 27, 28, 28, 29, 29, 30, 31, 33, 34, 36, 39 \end{aligned}

これを 5 m ごとの区間に分けて数えると、次の表になります。

記録(m) 人数(人)
10 以上 15 未満 2
15 以上 20 未満 5
20 以上 25 未満 9
25 以上 30 未満 8
30 以上 35 未満 4
35 以上 40 未満 2
合計 30

定義 7.10(度数分布表・柱状グラフ)データを整理するために使う区間を階級、区間の幅を階級の幅、それぞれの階級に入るデータの個数を度数といいます。階級ごとに度数を示した表を度数分布表といい、階級の幅を横、度数を縦とする長方形をすき間なく並べたグラフを柱状グラフ(ヒストグラム)といいます。

ソフトボール投げの記録(30 人、例)の柱状グラフ。横軸は 10 m から 40 m まで 5 m ごとの階級で、度数は 2、5、9、8、4、2 人。柱と柱の間をあけずにかく

柱状グラフにすると、20 m 以上 25 m 未満の階級を山の頂上として、左右にすそが広がる形がよくわかります。

階級の境目は「以上」「未満」で決めます。25 m ちょうどの記録は「20 以上 25 未満」ではなく「25 以上 30 未満」に入ります。境目の値をどちらに入れるかをはっきり決めておかないと、二重に数えたり数え落としたりしてしまいます。

度数分布表からも、データのおおよその様子が読み取れます。たとえば中央値は、30 人の真ん中の 15 番目と 16 番目の平均です。小さいほうから数えると、15 m 未満が 2 人、20 m 未満が 2+5=72 + 5 = 7 人、25 m 未満が 7+9=167 + 9 = 16 人なので、15 番目と 16 番目はどちらも「20 以上 25 未満」の階級に入ります。もとのデータを見ると、15 番目も 16 番目も 24 m で、中央値は 24 m です。度数分布表だけからは正確な値はわかりませんが、どの階級に入るかはわかります。

注意 7.11 柱状グラフと棒グラフは見た目が似ていますが、別のものです。

  • 棒グラフの横軸は「いちご・りんご・…」のような種類で、並べる順番を入れかえてもかまいません。棒の間はあけてかきます。
  • 柱状グラフの横軸は、記録のように切れ目なく続く量です。順番は入れかえられず、柱の間はあけません。

また、階級の幅の決め方によって、柱状グラフの形は変わります。幅を 1 m にすると柱が細かくなりすぎてでこぼこし、20 m にすると柱が 2 本ほどになって形がわからなくなります。いくつか試して、分布の特徴がよく見える幅を選びます。

補足

この先の数学では 中学 1 年では、度数を全体の個数でわった相対度数を学び、個数の違う集団の分布を比べられるようになります(帯グラフの考え方と同じです)。中学 2 年では、データを 4 等分する四分位数と箱ひげ図で散らばりを表します(P2 第8章)。高校の数学 I では、平均値からの差を 2 乗して平均した分散と、その正の平方根である標準偏差で散らばりを表します。性質 7.4 (2) のとおり、平均からの差をそのまま足すと必ず 0 になってしまうので、2 乗してから足すのです(P6 第4章)。さらに数学 B では、一部のデータ(標本)から全体(母集団)の平均を推し量る方法を学びます(P6 第5章)。

7.6 場合の数 ―落ちや重なりなく数える

「何通りあるか」を数えるとき、思いつくままに書き出すと、たいてい数え落とし(落ち)や同じものの二重数え(重なり)が起こります。6 年生では、決まった順序で、もれなく、だぶりなく書き出す方法として、樹形図と表を学びます。

並べ方:樹形図

例 7.12 A、B、C、D の 4 人がリレーで走ります。走る順番は何通りあるでしょうか。

1 走を A と決めると、2 走は残りの B、C、D の 3 通りです。2 走を B と決めると、3 走は C か D の 2 通りで、そうすると 4 走は残りの 1 人に決まります。この考え方を、枝分かれする図で表したものが樹形図です。

A、B、C、D の 4 人がリレーで走る順番の樹形図。1 走が A、B、C、D のそれぞれについて、2 走は残りの 3 人、3 走は残りの 2 人に枝分かれし、4 走は残りの 1 人に決まる。1 走ごとに 6 通りずつで、全部で 24 通り

1 走が A の場合は、右端に書き出した ABCD、ABDC、ACBD、ACDB、ADBC、ADCB の 6 通りです。1 走が B、C、D の場合も、同じ形の枝分かれになるので 6 通りずつで、全部で 6×4=246 \times 4 = 24 通りです。

枝の数に注目すると、1 走で 4 本に分かれ、それぞれが 3 本、さらに 2 本、1 本に分かれています。したがって、樹形図の右端の数は

4×3×2×1=244 \times 3 \times 2 \times 1 = 24

とかけ算で求められます。

性質 7.13(かけ算で数える)1 つ目のことの決め方が aa 通りあり、そのどれに対しても 2 つ目のことの決め方が bb 通りずつあるとき、2 つを続けて決める決め方は全部で a×ba \times b 通りです。3 つ以上続けて決める場合も同じです。

大切なのは「どれに対しても同じ数ずつ」という条件です。樹形図が同じ形の枝分かれのくり返しになっているときだけ、かけ算で数えられます。たとえば 1, 2, 3, 4 の 4 枚のカードから 2 枚を並べて 2 けたの整数を作ると 4×3=124 \times 3 = 12 通りですが、0, 1, 2, 3 のカードで作ると、十の位に 0 は使えないので、十の位が 3 通り、そのどれに対しても一の位は残りの 3 通りで、3×3=93 \times 3 = 9 通りになります。

組み合わせ方:表と図

例 7.14 A、B、C、D の 4 チームが、どのチームとも 1 回ずつ試合をします(総当たり戦)。試合は全部で何試合でしょうか。

今度は「A 対 B」と「B 対 A」は同じ試合です。並べ方とは違い、順番を区別しないことに注意します。総当たり戦の表をかくと、次の図の左のようになります。

4 チームの総当たり戦の試合数を数える図。左の表で、ななめの線より右上の 6 マスが試合で、左下の 6 マスは同じ試合の重なり、ななめのマスは同じチームどうしなので試合にならない。右の図では、4 つの点 A、B、C、D を結ぶ 6 本の線が 6 試合を表す

表のマスは 4×4=164 \times 4 = 16 個ありますが、ななめのマス(A 対 A など)は試合になりません。残りの 12 マスのうち、ななめの線をはさんで向かい合う 2 マス(A 対 B と B 対 A)は同じ試合なので、右上の 6 マスだけを数えます。答えは 6 試合です。図の右のように、チームを点で表して試合を線で結んでも、6 本の線が数えられます。

並べ方と比べると、組み合わせ方の数がわかります。4 チームから「先攻・後攻」のように順番をつけて 2 チームを選ぶ並べ方は 4×3=124 \times 3 = 12 通りです。順番を区別しないと、AB と BA のように 2 通りずつが同じ組になるので、

4×3÷2=64 \times 3 \div 2 = 6

です。表の右上と左下が同じ数ずつあるのは、このためです。

例 7.15 りんご・みかん・もも・ぶどうの 4 種類の果物から 3 種類を選んで、かごに入れます。選び方は何通りでしょうか。3 種類を選ぶことは、「選ばない 1 種類」を決めることと同じです。選ばない果物は 4 通りあるので、3 種類の選び方も 4 通りです。このように、見方を変えると数えやすくなることがあります。

ヒント

子どもに伝えるには 場合の数では、思いつくまま書き出すのをやめて、「決まった順番で書く」ことを伝えるのが要です。リレーの例なら、「まず A が 1 走のものを全部書こう。2 走も A に近い B から順に」と、辞書のように並べます。書き出したものが「ABCD、ABDC、ACBD、…」ときれいに並んでいれば、落ちも重なりも見つけやすくなります。

実物を使うのも効果的です。A、B、C、D と書いたカードを並べかえながら記録したり、ぬいぐるみを並べて写真を撮ったりすると、「1 番目を決めると、残りの並べ方は同じ形になる」ことが体でわかります。そのうえで「この並べ方と、これは同じ?違う?」と聞くと、並べ方(順番を区別する)と組み合わせ方(区別しない)の違いに子ども自身が気づけます。

注意 7.16 並べ方か組み合わせ方かは、問題の場面で決まります。「委員長と副委員長を選ぶ」「3 けたの数を作る」「走る順番」は、入れかえると別のものになるので並べ方です。「2 人の当番を選ぶ」「試合の組」「かごに入れる果物」は、入れかえても同じなので組み合わせ方です。迷ったら、具体的に 2 つを入れかえて、同じものになるかを確かめます。

補足

この先の数学では 高校の数学 A では、4×3×2×14 \times 3 \times 2 \times 1 を 4!4!(4 の階乗)と書き、nn 個から rr 個を選んで並べる順列の数、選ぶだけの組合せの数を、記号 nPr,nCr{}_n\mathrm{P}_r, {}_n\mathrm{C}_r と公式で扱います。例 7.14 の「並べ方の数 ÷ 2」は、組合せの公式 nCr=nPr÷r!{}_n\mathrm{C}_r = {}_n\mathrm{P}_r \div r! の小さな場合です。例 7.1 の「重なりを引く」数え方は、包除原理として一般化されます(P6 第1章)。さらに大学では、有限集合の要素の個数(濃度)を写像の言葉で扱い、無限集合の「大きさ」にまで考えを広げます(00 第5章)。

7.7 確率への入口

赤と白の 2 つのさいころを同時に投げます。目の和はいくつになりやすいでしょうか。

目の和は 2 から 12 までの 11 通りですが、この 11 通りは同じように起こるわけではありません。起こりうる場合を正しく数えるには、目の出方を「赤が何で、白が何か」の組として考えます。赤の目が 6 通り、そのどれに対しても白の目が 6 通りなので、目の出方は 6×6=366 \times 6 = 36 通りです(性質 7.13)。これを表にして、それぞれのマスに目の和を書き込みます。

赤と白の 2 つのさいころの目の出方 36 通りを 6 × 6 の表にし、目の和を書きこんだ図。和が 7 になるのは右上から左下へのななめの 6 マスで、36 通りのうち 6 通り。和が 2 になるのは左上の 1 マスだけ

和が 7 になるマスはななめに 6 個並んでいて、36 通りのうち 6 通りです。和が 2 になるのは(赤 1, 白 1)の 1 通りだけ、和が 12 になるのも(赤 6, 白 6)の 1 通りだけです。和ごとに数えると次のとおりです。

目の和 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
場合の数 1 2 3 4 5 6 5 4 3 2 1

合計は 36 通りです。和が 7 になる場合は、和が 2 になる場合の 6 倍あるので、7 のほうがずっと出やすいと予想できます。

この「起こりやすさ」を数で表したものが確率で、中学校で学びます。小学校では、ここまで(起こりうる場合を落ちや重なりなく数えること)が目標ですが、場合の数の大切な使い道として、確率の考え方を大人向けに紹介しておきます。

定義 7.17(確率、中学 2 年で学ぶ)ある実験や観察(試行)で、起こりうる場合が全部で nn 通りあり、そのどれが起こることも同じ程度に期待できるとします。このことを、それらの場合は同様に確からしいといいます。このとき、そのうちのあることがらが起こる場合が aa 通りなら、そのことがらの起こる確率は an\displaystyle \frac{a}{n} です。

2 つのさいころの例では、36 通りの目の出方のどれもが同じ程度に起こると考えられる(同様に確からしい)ので、和が 7 になる確率は 636=16\displaystyle \frac{6}{36} = \frac{1}{6}、和が 2 になる確率は 136\displaystyle \frac{1}{36} です。

ここで、「赤と白」のように 2 つのさいころを区別したことが大切です。区別しないで「1 と 2 の目」を 1 通りと数えると、(赤 1, 白 2)と(赤 2, 白 1)の 2 通りを 1 つにまとめてしまい、「1 と 1 の目」(1 通り)と同じ重みで扱うことになります。見た目が同じさいころでも、実際には 2 つの別のものなので、区別して数えるのが正しいのです。

注意

つまずきポイント 確率の計算でいちばん多い誤りは、同様に確からしくない場合を同じ重みで数えてしまうことです。

  • 「目の和は 11 通りだから、和が 7 になる確率は 111\displaystyle \frac{1}{11}」は誤りです。11 通りの和は、起こりやすさがそろっていません。
  • 「2 枚の硬貨を投げると、表が 2 枚・表と裏が 1 枚ずつ・裏が 2 枚の 3 通りだから、どれも確率は 13\displaystyle \frac{1}{3}」も誤りです。硬貨を 1 枚目と 2 枚目で区別すると、表表・表裏・裏表・裏裏の 4 通りが同様に確からしく、「表と裏が 1 枚ずつ」はそのうち 2 通りなので確率は 24=12\displaystyle \frac{2}{4} = \frac{1}{2} です。18 世紀の数学者ダランベールは、2 回投げて少なくとも 1 回表が出る確率を、「1 回目に表」「裏のあと表」「裏が 2 回」の 3 通りから 23\displaystyle \frac{2}{3} と考えた(正しくは 34\displaystyle \frac{3}{4})とされ、同じ種類の誤りの例として知られています。
  • 「当たるか当たらないかの 2 通りだから、くじが当たる確率は 12\displaystyle \frac{1}{2}」も誤りです。「当たり」と「はずれ」が同じ程度に起こるとは限りません。

確率を考えるときは、「数えている 1 つ 1 つの場合は、本当に同じ程度に起こるか」を必ず確かめます。

実際に 36 回投げても、和が 7 になるのがちょうど 6 回とは限りません。5 回のことも 9 回のこともあります。けれども、投げる回数を 100 回、1000 回と増やしていくと、和が 7 になった回数の割合(相対度数)は 16\displaystyle \frac{1}{6} に近づいていくと考えられます。中学 1 年では、このように多数回の実験の結果から確率を考えることを先に学びます。画びょうを落としたときに針が上を向くかどうかのように、同様に確からしい場合に分けられないことがらでも、たくさん実験すれば起こりやすさを数で表せるからです。

補足

この先の数学では 中学 2 年で「同様に確からしい」ことにもとづく確率を学び、樹形図や表で場合の数を数えて確率を求めます(P2 第8章)。高校では、余事象・独立な試行・条件付き確率・期待値へと進みます(P6 第2章)。大学の確率論では、「同様に確からしい」に頼らずに、確率を集合の上の測度として公理から定義し直します(11 第1章)。「実験の回数を増やすと相対度数が確率に近づく」という事実は、大数の法則という定理として正確に述べられ、証明されます(11 第2章)。

まとめ

  • データの活用は「何を知りたいか」から始まります。分類して数えるときは、落ちや重なりがないように気をつけます。
  • 棒グラフは量の大小、折れ線グラフは時間とともに変わる様子、円グラフは全体に対する割合、帯グラフはいくつかの集団の割合の比較に向いています。帯グラフ・円グラフは割合を表し、人数などの量は表しません。
  • 棒グラフの縦軸を途中から始めると、長さの比が量の比と一致しなくなり、差が大げさに見えます。グラフを見たら、0 の位置・目盛りの間隔・もとのデータの数を確かめます。
  • 平均は、合計を変えずにならした大きさで、平均 = 合計 ÷ 個数 です。平均との差を全部合わせると 0 になります。0 のデータも個数に入れます。
  • 代表値には平均値・中央値・最頻値があり、データの分布の形によって大きく違うことがあります。平均値は外れ値に引っぱられやすく、中央値は影響を受けにくい代表値です。
  • ドットプロットや柱状グラフでデータの分布を見ます。度数分布表の階級は「以上・未満」で区切り、柱状グラフは柱の間をあけずにかきます。
  • 並べ方は樹形図で整理し、「どれに対しても同じ数ずつ」枝分かれするならかけ算で数えられます(4 人の並べ方は 4×3×2×1=244 \times 3 \times 2 \times 1 = 24 通り)。
  • 組み合わせ方は順番を区別しないので、並べ方の数を、同じ組が何回ずつ数えられたかでわります(4 チームの総当たりは 4×3÷2=64 \times 3 \div 2 = 6 試合)。
  • 中学で学ぶ確率は、同様に確からしい場合の数をもとに「aa 通り ÷ nn 通り」で求めます。数える 1 つ 1 つの場合が同じ程度に起こるかを確かめることが大切です。

演習問題

問題 7.1 ★ 次の (ア)〜(エ) を表すには、棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ・帯グラフのどれがもっとも適していますか。理由も答えてください。 (ア) 1 年間に毎月測った、子どもの身長の変化 (イ) 学校の図書室にある本を種類別に分けたときの、それぞれの種類が全体に占める割合 (ウ) 4 つの町の図書館の数の比べ (エ) 2015 年と 2025 年の、ある町の年齢別の人口の割合の比べ

解答

(ア) 折れ線グラフ:時間とともに変わる様子を見るので、線の傾きで伸び方がわかる折れ線グラフが適しています。

(イ) 円グラフ(帯グラフでもよい):全体に対する割合を見るためです。1 つの集団の割合なら、円グラフがよく使われます。

(ウ) 棒グラフ:量の大小を比べるためです。

(エ) 帯グラフ:2 つの集団(2 つの年)の割合を比べるので、帯を縦に並べて区切りを点線で結ぶと、割合の変化が読み取りやすくなります。2 つの年で人口の合計が違っても、割合なら比べられます。ただし、割合が増えても人数が減っていることもあるので(注意 7.2)、人数そのものを知りたいときは別に確かめます。

問題 7.2 ★ 【親子で】 自分の歩幅を調べるために、10 歩で歩いた長さを 3 回測ったところ、6.18 m、6.25 m、6.29 m でした(例)。(1) 10 歩の長さの平均を求め、歩幅(1 歩の長さ)をセンチメートルの位までの概数で答えてください。(2) 家から公園まで歩いたら 850 歩でした。家から公園までのおよその道のりを、(1) で求めた平均を使って、十の位までの概数で求めてください。また、お子さんと一緒に、自分たちの歩幅を実際に測ってみましょう。

解答

(1) 合計は 6.18+6.25+6.29=18.726.18 + 6.25 + 6.29 = 18.72 m なので、平均は 18.72÷3=6.2418.72 \div 3 = 6.24 m です。1 歩は 6.24÷10=0.6246.24 \div 10 = 0.624 m で、センチメートルの位までの概数にすると約 0.62 m(62 cm)です。

(2) 0.624×850=530.40.624 \times 850 = 530.4 なので、約 530 m です(概数にした 0.62 m を使うと 0.62×850=5270.62 \times 850 = 527 で、これも約 530 m)。

1 歩だけでなく 10 歩を測るのは、1 歩の長さを直接測るより誤差が小さくなるからです。さらに 3 回測って平均するのは、たまたま大きく踏み出したり小さかったりした分をならすためです。

声かけの例:巻き尺がなければ、1 m のものさしで印をつけながら測ってもかまいません。子どもが「3 回とも長さが違うよ」と言ったら、「どれが本当の長さかな?」と聞いてみましょう。「真ん中くらい」「平均すればいい」という発想が出てきたら、それが測定値の平均の考え方です。測った歩幅で、家の廊下や近所の道の長さを予想し、あとで地図アプリなどで確かめると、「平均を使うと見当がつく」ことが実感できます。

問題 7.3 ★★ 【説明】 1 組 25 人のテストの平均点は 60 点、2 組 15 人の平均点は 76 点でした(例)。子どもが「2 クラス合わせた 40 人の平均点は、(60+76)÷2=68(60 + 76) \div 2 = 68 点」と答えました。正しい平均点を求め、どこが誤りかを子どもに話す言葉で説明してください。

解答

合計点は、1 組が 60×25=150060 \times 25 = 1500 点、2 組が 76×15=114076 \times 15 = 1140 点で、あわせて 26402640 点です。40 人の平均点は 2640÷40=662640 \div 40 = 66 点です。

説明の例:「平均は、全員の点数をならした値だったね。1 組は 25 人、2 組は 15 人で、人数が違うよ。60 点と 76 点をそのまま平均すると、1 組の 25 人と 2 組の 15 人を同じ重さで扱うことになっちゃう。人数の多い 1 組のほうが、全体の平均を自分のほうに強く引っぱるはずだよね。だから全体の平均は、60 点と 76 点のちょうど真ん中の 68 点より、60 点に近くなるんだ。正しくは、まず『平均 × 人数』で各クラスの合計点を出して、全部足してから 40 人でわるんだよ。」

(60+76)÷2(60 + 76) \div 2 が正しい平均になるのは、2 クラスの人数が同じときだけです。なお、66 点は 60 点と 76 点の差 16 点を 15:25=3:515 : 25 = 3 : 5 に分ける点(60 点から 16×38=6\displaystyle 16 \times \frac{3}{8} = 6 点上)になっています。人数の比の逆の比に分ける、という見方もできます。

問題 7.4 ★ 11 人の通学時間(例、単位は分)を小さい順に並べると、次のとおりでした。

5,8,10,10,12,12,12,15,18,20,325, 8, 10, 10, 12, 12, 12, 15, 18, 20, 32

(1) 平均値・中央値・最頻値を求めてください。(2) 32 分の人が実は 43 分だったとわかりました。3 つの代表値のうち、変わるのはどれですか。

解答

(1) 合計は 154154 分なので、平均値は 154÷11=14154 \div 11 = 14 分です。11 人なので、小さいほうから 6 番目が真ん中で、中央値は 12 分です。12 分が 3 人でいちばん多いので、最頻値は 12 分です。

(2) 合計が 154+11=165154 + 11 = 165 分になるので、平均値は 165÷11=15165 \div 11 = 15 分に変わります。中央値(6 番目の 12 分)と最頻値(12 分)は変わりません。いちばん大きい値がさらに大きくなっても、真ん中の順位の人や、いちばん多い値は変わらないからです。平均値は外れ値の影響を受けやすく、中央値・最頻値は受けにくいことがわかります。

問題 7.5 ★ 7.5 節のソフトボール投げの度数分布表を使って答えてください。(1) 記録が 25 m 以上の人は何人ですか。また、それは全体の何 % ですか(小数第一位を四捨五入して整数で)。(2) 記録が 30 m ちょうどの人は、どの階級に入りますか。(3) 記録のよいほうから数えて 10 番目の人は、どの階級に入りますか。

解答

(1) 25 以上 30 未満が 8 人、30 以上 35 未満が 4 人、35 以上 40 未満が 2 人なので、8+4+2=148 + 4 + 2 = 14 人です。割合は 14÷30=0.466…14 \div 30 = 0.466\ldots なので、約 47% です。

(2) 「30 以上 35 未満」の階級です(30 は「25 以上 30 未満」には入りません)。

(3) よいほう(大きいほう)から数えると、35 m 以上が 2 人、30 m 以上が 2+4=62 + 4 = 6 人、25 m 以上が 6+8=146 + 8 = 14 人です。10 番目は 7 番目から 14 番目の中にあるので、「25 以上 30 未満」の階級に入ります。

問題 7.6 ★★ ある町の人口(例)は、2015 年に 10200 人、2025 年に 9900 人でした。この 2 つの数を、縦軸の目盛りが 9800 人から始まる棒グラフにかきました。(1) 2 本の棒の長さの比を求め、このグラフからどんな印象を受けるかを答えてください。(2) 実際には、人口は 2015 年の何 % 減りましたか(小数第二位を四捨五入して小数第一位まで)。(3) 正直なグラフにするには、どうかけばよいですか。

解答

(1) 棒の長さは 10200−9800=40010200 - 9800 = 400 と 9900−9800=1009900 - 9800 = 100 にあたるので、比は 4:1 です。人口が 4 分の 1 に激減したような印象を受けます。

(2) 減った人数は 10200−9900=30010200 - 9900 = 300 人なので、300÷10200=0.0294…300 \div 10200 = 0.0294\ldots で、約 2.9% の減少です。

(3) 棒グラフで量を比べるなら、縦軸の目盛りを 0 から始めます。そうすると 2 本の棒の長さはほとんど同じになり、「少し減った」という実際の様子が伝わります。変化を強調したいなら、折れ線グラフにして目盛りの途中を波線で省略したことを明示する方法や、「約 2.9% 減」と数で示す方法があります。いずれにしても、目盛りの始まりを読み手が確かめられるようにしておくことが大切です。

問題 7.7 ★ (1) 1, 2, 3, 4 の 4 枚のカードから 2 枚を選んで並べ、2 けたの整数を作ります。整数は何通りできますか。そのうち偶数は何通りですか。(2) 0, 1, 2, 3 の 4 枚のカードから 3 枚を選んで並べ、3 けたの整数を作ります。整数は何通りできますか。

解答

(1) 十の位が 4 通り、そのどれに対しても一の位は残りの 3 通りなので、4×3=124 \times 3 = 12 通りです(12, 13, 14, 21, 23, 24, 31, 32, 34, 41, 42, 43)。偶数になるのは一の位が 2 か 4 のときです。一の位を先に決めると 2 通り、そのどれに対しても十の位は残りの 3 通りなので、2×3=62 \times 3 = 6 通りです(12, 32, 42, 14, 24, 34)。条件のついた位から先に決めると数えやすくなります。

(2) 百の位に 0 は使えないので、百の位は 1, 2, 3 の 3 通りです。そのどれに対しても、十の位は残りの 3 枚(0 を含む)から 3 通り、一の位は残りの 2 枚から 2 通りなので、3×3×2=183 \times 3 \times 2 = 18 通りです。

問題 7.8 ★★ 【親子で】 縦に 3 つに区切った旗を、赤・青・黄の 3 色で塗り分けます。(1) 3 つの部分をすべて違う色で塗る塗り方は何通りですか。(2) 同じ色を何回使ってもよいが、となり合う部分は違う色にする、というきまりにすると、塗り方は何通りですか。紙に旗をかいて、お子さんと一緒に実際に塗りながら数えてみましょう。

解答

左から順に塗るとします。

(1) 左が 3 通り、まん中は残りの 2 通り、右は残りの 1 通りで、3×2×1=63 \times 2 \times 1 = 6 通りです。

(2) 左が 3 通りです。まん中は左と違う色なので 2 通りです。右はまん中と違う色なら左と同じ色でもよいので 2 通りです。全部で 3×2×2=123 \times 2 \times 2 = 12 通りです。左が赤の場合を書き出すと、赤青赤・赤青黄・赤黄赤・赤黄青の 4 通りで、左が青・黄の場合も 4 通りずつあります。

声かけの例:子どもが思いつくままに塗り始めたら、しばらく任せてから「同じ旗が 2 枚ないかな?」「まだ塗っていない旗はないかな?」と聞きます。落ちや重なりが見つかったら、「左が赤の旗を先に全部作ってみよう」と、決まった順番で作ることを提案します。(2) で「左と右が同じ色でもいいの?」と迷ったら、きまりを読み返して確かめるよい機会です。早く終わった子には、「4 色あったら?」((1) は 4×3×2=244 \times 3 \times 2 = 24 通り、(2) は 4×3×3=364 \times 3 \times 3 = 36 通り)と広げられます。

問題 7.9 ★★ 【説明】 6 チームが総当たり戦をします。(1) 試合数は全部で何試合ですか。(2) 子どもに「6 × 5 = 30 試合じゃないの?」と聞かれました。なぜ 2 でわる必要があるのかを、子どもに話す言葉で説明してください。(3) 10 チームならどうなりますか。

解答

(1) 6×5÷2=156 \times 5 \div 2 = 15 試合です。

(2) 説明の例:「6 × 5 は、『あるチームが、ほかの 5 チームと 1 回ずつ試合をする』のを 6 チーム分足した数だよね。でも、A チームから見た『A 対 B』の試合と、B チームから見た『B 対 A』の試合は、同じ 1 つの試合だよ。だから、どの試合も 2 回ずつ数えてしまっているんだ。2 回ずつ数えたものを 2 でわれば、本当の試合数になるよ。総当たりの表をかくと、ななめの線の右上と左下に同じ試合が 1 回ずつ出てくるから、片側の 15 マスだけを数えればいいんだ。」

(3) 10×9÷2=4510 \times 9 \div 2 = 45 試合です。一般に nn チームなら n×(n−1)÷2n \times (n - 1) \div 2 試合です。同じ考え方で、10 人全員が 1 回ずつ握手をすると、握手は 45 回になります。

問題 7.10 ★★★ 【説明】 中学生の子に「2 枚の硬貨を投げると、『2 枚とも表』『表と裏が 1 枚ずつ』『2 枚とも裏』の 3 通りだから、どれも確率は 13\displaystyle \frac{1}{3} だよね」と言われました。(1) どこに誤りがあるかを指摘し、正しい確率を、納得してもらえる説明とともに書いてください。(2) 3 枚の硬貨を投げるとき、ちょうど 2 枚が表になる確率を求めてください。(3) 説明を確かめるための実験の方法と、実験の結果を見るときの注意を書いてください。

解答

(1) 誤りは、3 通りの結果が同じ程度に起こる(同様に確からしい)と思い込んでいる点にあります。

説明の例:「2 枚の硬貨を、10 円玉と 100 円玉のように区別して考えてみよう。10 円玉の表裏が 2 通り、そのどれに対しても 100 円玉の表裏が 2 通りだから、出方は(表, 表)(表, 裏)(裏, 表)(裏, 裏)の 4 通り。これなら、どれも同じくらい起こりそうだよね。このうち『表と裏が 1 枚ずつ』は(表, 裏)と(裏, 表)の 2 通りある。だから確率は、2 枚とも表が 14\displaystyle \frac{1}{4}、表と裏が 1 枚ずつが 24=12\displaystyle \frac{2}{4} = \frac{1}{2}、2 枚とも裏が 14\displaystyle \frac{1}{4} になるんだ。同じ 10 円玉 2 枚でも、硬貨そのものは別々の 2 枚だから、区別して数えるのが正しいんだよ。」

確率を足すと 14+12+14=1\displaystyle \frac{1}{4} + \frac{1}{2} + \frac{1}{4} = 1 で、全体がちょうど 1 になっていることも確かめられます。

(2) 3 枚を 1 枚目・2 枚目・3 枚目と区別すると、出方は 2×2×2=82 \times 2 \times 2 = 8 通りで、どれも同様に確からしいと考えられます。ちょうど 2 枚が表になるのは、表表裏・表裏表・裏表表の 3 通りなので、確率は 38\displaystyle \frac{3}{8} です。

(3) 実験の例:2 枚の硬貨を 100 回投げて、「2 枚とも表」「1 枚ずつ」「2 枚とも裏」の回数を記録します。何人かで分担して回数を増やすと、なおよいでしょう。結果は、「1 枚ずつ」がおよそ半分、ほかの 2 つがおよそ 4 分の 1 ずつに近くなるはずです。

注意:実験の結果は毎回ばらつくので、100 回投げてもちょうど 25 回・50 回・25 回にはなりません。回数が少ないと、13\displaystyle \frac{1}{3} ずつに近い結果がたまたま出ることもあります。回数を増やすほど、相対度数は確率に近づいていく傾向がある(大数の法則)ので、結論は十分な回数の結果から出します。また、実験で確かめられるのは「数え方の予想と結果が合っているか」であって、確率が 12\displaystyle \frac{1}{2} であることの証明ではありません。理由の説明は (1) の数え方が担います。


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