この章の目標
- 弱導関数とソボレフ空間 Wk,p(Ω) を定義し、その完備性を証明できる
- Cc∞(Rn) の Wk,p(Rn) での稠密性を証明し、W0k,p(Ω) とトレース(境界値)の意味を説明できる
- ガリアルド–ニーレンバーグ–ソボレフの不等式・モリーの不等式・ポアンカレの不等式を、定数の依存関係とともに証明できる
- レリッヒ–コンドラショフのコンパクト性定理の主張と、それが破れる例を説明できる
前提:第1章、第2章、06-measure-integration 第4章、10-functional-analysis 第2章・第4章、03-topology 第5章(アスコリ–アルツェラの定理)
3.1 なぜソボレフ空間か
有界領域 Ω で Δu=0、∂Ω 上で u=g をみたす u を求める問題を考える。ディリクレ原理によれば、解はディリクレ・エネルギー D[u]=21∫Ω∣∇u∣2dx を境界条件のもとで最小にする関数である。m を D の下限、(uk) を最小化列とすると、中線定理から
D[2uk−ul]=21D[uk]+21D[ul]−D[2uk+ul]≤21D[uk]+21D[ul]−m→0
となり、(uk) はエネルギー・ノルム ∥∇u∥L2 についてコーシー列である。しかし C1(Ω) はこのノルムで完備でなく、極限が C1 級である保証はない。完備化して得られるのが、L2 に属する弱導関数をもつ関数の空間 H1(Ω) である。完備な空間で解を作るという第 2 段階のためにこの空間が必要になるが、それには次の問いに答えなければならない。
- H1 の元(L2 の同値類)に境界値 u∣∂Ω はどういう意味で定まるか(トレース)。
- H1 の元は連続か、有界か。より一般に、古典的な関数空間とどう関係するか(埋め込み定理)。これは第 3 段階(正則性)で古典解に戻るための道具である。
- 有界列から収束する部分列がとれるか(コンパクト性)。これはフレドホルムの択一定理や非線形問題で本質的になる。
以下 Ω⊂Rn は開集合、1≤p≤∞ とする。V⋐Ω は V がコンパクトで Ω に含まれることを表す。関数は実数値でも複素数値でもよい(第4章以降は実数値とする)。
3.2 弱導関数とソボレフ空間
定義 3.1(弱導関数)u,v∈Lloc1(Ω) とする。すべての φ∈Cc∞(Ω) について ∫Ωu ∂αφ dx=(−1)∣α∣∫Ωvφ dx が成り立つとき、v を u の α 次の弱導関数といい、∂αu=v と書く。
すなわち、超関数としての導関数(定義 1.15)が局所可積分関数であるときの呼び名であり、補題 1.6 により a.e. で一意である。弱導関数は局所的に決まる:u が開集合 U⊂Ω 上で C1 級なら、U 上では弱導関数は古典的な導関数に一致する。
例 3.2 B=B(0,1)⊂Rn(n≥2)、a>0、u(x)=∣x∣−a とする。1≤p<n のとき、∇u∈Lp(B)(弱導関数の意味で)であるための必要十分条件は a<pn−p である。x=0 では ∇u=−ax∣x∣−a−2、∣∇u∣=a∣x∣−a−1。a+1<n と仮定し、φ∈Cc∞(B) について B∖B(0,ε) でガウス–グリーンの公式を使うと、境界項は sup∣φ∣ ε−anωnεn−1→0 となるので、∫u ∂iφ=−∫∂iu φ(右辺は古典的導関数)を得る。よって弱導関数は古典的導関数であり、∣∇u∣∈Lp は (a+1)p<n と同値。a+1≥n のときも、弱導関数があれば B∖{0} 上で古典的導関数と一致するはずで、それは Lp に属さない。特に 0<a<pn−p ならば u∈W1,p(B)(下の定義)は有界でない。
定義 3.3(ソボレフ空間, Sobolev space)k∈Z≥0 とする。u∈Lp(Ω) で、∣α∣≤k のすべての弱導関数 ∂αu が存在して Lp(Ω) に属するものの全体を Wk,p(Ω) と書き、ノルムを
∥u∥Wk,p(Ω)=(∣α∣≤k∑∥∂αu∥Lp(Ω)p)1/p(p<∞),∥u∥Wk,∞(Ω)=∣α∣≤kmax∥∂αu∥L∞(Ω)
で定める。Hk(Ω)=Wk,2(Ω) と書き、内積 (u,v)Hk=∑∣α∣≤k∫∂αu ∂αv dx を入れる。各 V⋐Ω で u∣V∈Wk,p(V) となる u の全体を Wlock,p(Ω) と書く。
定理 3.4 Wk,p(Ω) はバナッハ空間であり、Hk(Ω) はヒルベルト空間である。1≤p<∞ なら可分、1<p<∞ なら反射的である。
証明. (uj) をコーシー列とすると、各 ∣α∣≤k について (∂αuj) は Lp のコーシー列なので、Lp の完備性(06-measure-integration 第4章 定理 4.8)により ∂αuj→uα となる uα∈Lp がある。u=u0 とおく。φ∈Cc∞(Ω) に対し、ヘルダーの不等式により積分と極限が交換できて
∫u∂αφdx=jlim∫uj∂αφdx=jlim(−1)∣α∣∫∂αujφdx=(−1)∣α∣∫uαφdx
よって ∂αu=uα で、u∈Wk,p、uj→u。後半は、u↦(∂αu)∣α∣≤k が Wk,p(Ω) を Lp(Ω) の有限個の直積の閉部分空間に等長に写すことによる。実際、1≤p<∞ なら Lp は可分、1<p<∞ なら反射的であり(反射性の定義と ℓp の場合は 10-functional-analysis 第4章、Lp の場合は Brezis の本の第4章)、これらの性質は有限個の直積と閉部分空間に遺伝する。可分性の遺伝は可分距離空間の部分空間が可分であることから従い、反射性の遺伝の証明は Brezis の本の第3章に譲る(ここでは省略する)。□
命題 3.5(微分の計算規則)u∈W1,p(Ω) とする。
- ζ∈C∞(Ω) が ζ と ∇ζ ともに有界ならば ζu∈W1,p(Ω)、∇(ζu)=u∇ζ+ζ∇u。
- u が実数値で、F∈C1(R)、F′ が有界、F(0)=0 ならば F(u)∈W1,p(Ω)、∇F(u)=F′(u)∇u。
- u が実数値ならば u+=max(u,0)∈W1,p(Ω) で、a.e. で ∇u+=1{u>0}∇u。特に a.e. の {u=0} 上で ∇u=0。また u∈W01,p(Ω)(定義 3.10)ならば u+∈W01,p(Ω)。
(1) は定義から直ちに従う(ζφ を試験関数に使う)。(2)(3) の証明は Gilbarg–Trudinger の第7章を参照((3) は Fε(t)=t2+ε2−ε(t>0)、0(t≤0)に (2) を適用して ε→0 とする)。
3.3 近似定理と W0k,p
補題 3.6(局所近似)1≤p<∞、u∈Wk,p(Ω) とし、uε=ηε∗u とおく。Ωε 上で ∂αuε=ηε∗∂αu(∣α∣≤k)が成り立ち、各開集合 V⋐Ω について Wk,p(V) で uε→u。
証明. x∈Ωε のとき y↦ηε(x−y) は Cc∞(Ω) に属するので、定理 1.3 (1) と弱導関数の定義から
∂αuε(x)=∫∂xαηε(x−y)u(y)dy=(−1)∣α∣∫∂yα[ηε(x−y)]u(y)dy=∫ηε(x−y)∂αu(y)dy
収束は定理 1.3 (4) を K=V と各 ∂αu に適用すればよい。□
定理 3.7 1≤p<∞ ならば、Cc∞(Rn) は Wk,p(Rn) で稠密である。
証明. (i) 切り落とし:χ∈Cc∞(B(0,2)) を 0≤χ≤1、B(0,1) 上で χ=1 となるようにとり、χR(x)=χ(x/R)(R≥1)とおく。ライプニッツ則で ∂α(χRu) を展開すると、β<α に対する項の係数 ∂α−βχR は R−1max∣γ∣≤ksup∣∂γχ∣ で抑えられるから
∥∂α(χRu)−∂αu∥p≤∥(1−χR)∂αu∥p+RC(k,χ)∥u∥Wk,p
第 1 項は優収束定理により 0 に収束する。よって台がコンパクトな Wk,p の元は稠密である。(ii) 台がコンパクトな v∈Wk,p(Rn) に対し vε=ηε∗v∈Cc∞(Rn) で、補題 3.6(Ω=Rn)と定理 1.3 (4) により ∂αvε=ηε∗∂αv→∂αv(Lp(Rn))。□
一般の領域で境界まで込めて近似するには、境界の滑らかさが必要になる。
定義 3.8(境界の滑らかさ)有界開集合 Ω の境界が Ck 級(k≥1)であるとは、各 x0∈∂Ω に対し r>0 と Ck 級関数 γ:Rn−1→R があって、座標を回転・番号づけしなおすと Ω∩B(x0,r)={x∈B(x0,r)∣xn>γ(x1,…,xn−1)} となることをいう。γ がリプシッツ連続であるときリプシッツ境界という。
C1 境界では外向き単位法線 ν と面積測度 dS が定まり、ガウス–グリーンの公式が使える(07-manifolds 第6章)。
定理 3.9(近似定理)1≤p<∞ とする。
- (マイヤーズ–セリン, Meyers–Serrin)任意の開集合 Ω について、C∞(Ω)∩Wk,p(Ω) は Wk,p(Ω) で稠密である。
- Ω が有界で境界が C1 級(リプシッツでもよい)ならば、C∞(Ω)(Cc∞(Rn) の元の Ω への制限)は Wk,p(Ω) で稠密である。さらに u∈Wk,p(Ω)∩C(Ω) ならば、近似列を Ω 上一様収束するようにとれる。
証明の方針. (1) Ω を dist(x,∂Ω) の値で帯状の集合に分け、それに従属する 1 の分割 {ζj} をとる。各 ζju を十分小さい εj で軟化して ∥ηεj∗(ζju)−ζju∥Wk,p<δ2−j とし、和をとる。(2) 境界の近くでは、γ のグラフの上側に局所的に平行移動してから軟化する。詳細は Evans の第5章を参照。□
補足
p=∞ では定理 3.7・3.9 は成り立たない(∣x∣∈W1,∞(−1,1) は C1 関数で W1,∞ ノルムについて近似できない。導関数の跳びが一様ノルムで残る)。また (2) で境界の仮定を外すと成り立たない。円板から半径を 1 本除いた「切れ目のある円板」では、切れ目の両側で値が異なる W1,p 関数(偏角 θ∈(0,2π) に、原点の近傍で 0 となる切り落とし関数を掛けたもの。∣∇θ∣=1/r なので原点の近くは除く)が、円板全体で滑らかな関数では近似できない。
定義 3.10 1≤p<∞ とする。Cc∞(Ω) の Wk,p(Ω) における閉包を W0k,p(Ω) と書き、H0k(Ω)=W0k,2(Ω) とおく。H01(Ω) の双対空間(有界線形汎関数の全体)を H−1(Ω) と書く。
W0k,p(Ω) の元は「∣α∣≤k−1 の導関数が境界で 0」である関数と理解される(定理 3.16 の後の注意)。u∈W0k,p(Ω) を Ω の外で 0 と延長したものは Wk,p(Rn) に属し、ノルムは変わらない(Cc∞(Ω) の元について明らかで、極限をとればよい)。定理 3.7 より W0k,p(Rn)=Wk,p(Rn) である。
命題 3.11 (実数値関数の空間で考える。)任意の F∈H−1(Ω) に対し、f0,f1,…,fn∈L2(Ω) で、すべての v∈H01(Ω) について
F(v)=∫Ω(f0v+i=1∑nfi∂iv)dx,∥F∥H−1=(i=0∑n∥fi∥L22)1/2
となるものがある。逆に、右辺の形の汎関数は H−1(Ω) に属する。
証明. リースの表現定理(10-functional-analysis 第2章 定理 2.10)により F(v)=(w,v)H1 となる w∈H01 があり ∥F∥=∥w∥H1。f0=w、fi=∂iw とおけばよい。逆はコーシー–シュワルツの不等式による。□
超関数の言葉では F=f0−∑i∂ifi であり、H−1 は「L2 関数とその 1 階導関数の和」の全体である。第4章では右辺 f を H−1 までとる。
3.4 フーリエ変換による Hs(Rn)
Rn 上では、フーリエ変換により微分の階数を実数に広げられる。∂αu=(iξ)αu^ だから、「∂αu∈L2(∣α∣≤k)」は「(1+∣ξ∣2)k/2u^∈L2」とほぼ同じ条件である。
定義 3.12 s∈R とする。u∈S′(Rn) で、u^ が局所可積分関数かつ (1+∣ξ∣2)s/2u^∈L2(Rn) となるものの全体を Hs(Rn) と書き、
∥u∥Hs2=(2π)n1∫Rn(1+∣ξ∣2)s∣u^(ξ)∣2dξ
とおく。
Hs は重みつき L2 空間と等長同型なのでヒルベルト空間であり、プランシュレルの定理より H0=L2(ノルムも一致)、s<t なら Ht⊂Hs である。
命題 3.13 k∈Z≥0 ならば Hk(Rn)=Wk,2(Rn) であり、∥u∥Wk,2≤∥u∥Hk≤k! ∥u∥Wk,2。特に ∥u∥H12=∥u∥L22+∥∇u∥L22。
証明. u∈L2 について、∂αu∈L2 であることと ξαu^∈L2 であることは、定理 2.14 とプランシュレルの定理により同値で、∥∂αu∥22=(2π)−n∫ξ2α∣u^∣2dξ。多項定理から (1+∣ξ∣2)k=∑∣α∣≤kcαξ2α、cα=(k−∣α∣)! α!k! で 1≤cα≤k!。k=1 ではすべての cα=1。□
定理 3.14(Hs の埋め込み)s>n/2 ならば、各 u∈Hs(Rn) は無限遠で 0 に近づく連続関数と a.e. で一致し、
xsup∣u(x)∣≤Cn,s∥u∥Hs,Cn,s=(2π)−n/2(∫Rn(1+∣ξ∣2)−sdξ)1/2<∞
が成り立つ。さらに s>2n+k ならば u∈Ck(Rn) で、∣α∣≤k の導関数は有界である。
証明. 極座標で ∫(1+∣ξ∣2)−sdξ=nωn∫0∞(1+r2)−srn−1dr は 2s>n のとき有限。コーシー–シュワルツの不等式より
∫∣u^∣dξ=∫(1+∣ξ∣2)−s/2⋅(1+∣ξ∣2)s/2∣u^∣dξ≤(∫(1+∣ξ∣2)−sdξ)1/2(2π)n/2∥u∥Hs
なので u^∈L1∩L2。L2 上の F−1 は L1∩L2 上で積分による定義と一致する(定理 2.10)から u=F−1u^ a.e. で、右辺はリーマン–ルベーグの補題により C0 に属し、sup∣u∣≤(2π)−n∥u^∥1。s>2n+k なら ξαu^∈L1(∣α∣≤k)となり、積分記号下で微分できる。□
これは「弱い意味の導関数が十分多く L2 にあれば、関数は古典的な意味で微分可能」という、正則性理論の最も簡単な例である。s=n/2 では成り立たない(n=2、s=1 の反例は、問題 3.6 (2) の関数に、B(0,1) に台をもち原点の近くで 1 となる切り落とし関数を掛けたもの)。
3.5 延長とトレース
定理 3.15(延長定理)Ω を有界で境界が C1 級の開集合、Ω⋐V を有界開集合、1≤p≤∞ とする。有界線形作用素 E:W1,p(Ω)→W1,p(Rn) で、Ω 上で Eu=u、suppEu⊂V、∥Eu∥W1,p(Rn)≤C∥u∥W1,p(Ω)(C=C(p,Ω,V))となるものが存在する。Wk,p についても、境界が Ck 級なら同様である。
証明(境界を局所的に平坦にして折り返す)は Evans の第5章を参照。延長定理により、Rn 上の不等式を有界領域に移すことができる。
定理 3.16(トレース定理, trace theorem)Ω を有界で境界が C1 級の開集合、1≤p<∞ とする。有界線形作用素 T:W1,p(Ω)→Lp(∂Ω) で、u∈W1,p(Ω)∩C(Ω) ならば Tu=u∣∂Ω となり、
∥Tu∥Lp(∂Ω)≤C∥u∥W1,p(Ω)(C=C(p,Ω))
をみたすものが存在する。Tu を u のトレース(境界値)という。
証明(半空間の場合は完全に、一般の場合は概略). (i) 半空間 R+n={xn>0} で、u∈Cc1(Rn) とする。x=(x′,xn) と書く。p>1 なら ∣u∣p は C1 級で、ヤングの不等式 p ap−1b≤(p−1)ap+bp から
∣u(x′,0)∣p=−∫0∞∂n(∣u∣p)(x′,t)dt≤∫0∞p∣u∣p−1∣∂nu∣dt≤∫0∞((p−1)∣u∣p+∣∂nu∣p)dt
(p=1 では直接 ∣u(x′,0)∣≤∫0∞∣∂nu∣ dt)。x′ で積分して
∫Rn−1∣u(x′,0)∣pdx′≤max(p−1,1)∥u∥W1,p(R+n)p
(ii) 一般の場合:∂Ω を定義 3.8 の座標近傍の有限個で覆い、1 の分割で u を分ける。各近傍で y=(x′,xn−γ(x′)) と変数変換すると境界が平坦になり、ヤコビアンは 1、W1,p ノルムは ∥∇γ∥∞ に依存する定数倍しか変わらない(境界の面積要素 dS=1+∣∇γ∣2 dx′ も同様)。(i) を適用すれば u∈C1(Ω) について評価を得る。(iii) 定理 3.9 (2) により C∞(Ω) は稠密なので、T は連続性によって W1,p(Ω) に一意的に拡張される。u∈C(Ω) のときは近似列を一様収束するようにとれるので Tu=u∣∂Ω。□
3.6 ソボレフの埋め込み定理
∥u∥Lq(Rn)≤C∥∇u∥Lp(Rn) がすべての u∈Cc∞(Rn) で成り立つとする。uλ(x)=u(λx) を代入すると ∥uλ∥q=λ−n/q∥u∥q、∥∇uλ∥p=λ1−n/p∥∇u∥p なので、λ→0,∞ を考えれば −qn=1−pn でなければならない。すなわち 1≤p<n で
q=p∗:=n−pnp(p∗1=p1−n1)
でなければならない。p∗ をソボレフ共役指数という。実際にこの不等式が成り立つ。
補題 3.18(ガリアルドの補題)n≥2 とし、g1,…,gn≥0 を Rn−1 上の可測関数とする。gi は xi を除く変数 x^i=(x1,…,xi−1,xi+1,…,xn) の関数とみなす。このとき
∫Rni=1∏ngi(x^i)n−11dx≤i=1∏n(∫Rn−1gidx^i)n−11
証明. n についての帰納法。n=2 では両辺とも ∫g1∫g2 で等しい。n で正しいとし n+1 変数で示す。gn+1 は xn+1 によらないので、xn+1 についての積分に n 個の関数に対する一般化されたヘルダーの不等式を使うと
∫i=1∏n+1gin1dxn+1≤gn+1n1i=1∏nhin1,hi:=∫gidxn+1
hi は (x1,…,xn) のうち xi を除く n−1 変数の関数である。(x1,…,xn) で積分し、指数 n と n−1n のヘルダーの不等式、次に帰納法の仮定を使うと
∫gn+1n1i=1∏nhin1≤(∫gn+1)n1(∫i=1∏nhin−11)nn−1≤(∫gn+1)n1i=1∏n(∫hi)n1
∫hi=∫gi なので、n+1 の場合が示された。□
定理 3.19(ガリアルド–ニーレンバーグ–ソボレフの不等式)1≤p<n とする。すべての u∈Cc1(Rn) について
∥u∥Lp∗(Rn)≤C(n,p)∥∇u∥Lp(Rn),C(n,p)=n−pp(n−1)
が成り立つ。したがってこの不等式はすべての u∈W1,p(Rn) について成り立つ。
証明. p=1:各 i について u(x)=∫−∞xi∂iu(…,yi,…) dyi だから ∣u(x)∣≤gi(x^i):=∫R∣∇u∣(…,yi,…) dyi。よって ∣u(x)∣n−1n≤∏igi(x^i)n−11 で、補題 3.18 と ∫gi dx^i=∥∇u∥1 から ∥u∥n−1nn−1n≤∥∇u∥1n−1n。
1<p<n:γ=n−pp(n−1)>1 とし、v=∣u∣γ∈Cc1(∣∇v∣≤γ∣u∣γ−1∣∇u∣)に p=1 の場合を適用し、ヘルダーの不等式(p′=p−1p)を使う:
(∫∣u∣n−1γn)nn−1≤γ∫∣u∣γ−1∣∇u∣≤γ(∫∣u∣(γ−1)p′)p′1∥∇u∥p
γ の選び方から n−1γn=(γ−1)p′=p∗ であり、nn−1−p′1=p1−n1=p∗1 だから、両辺を ∥u∥p∗p∗/p′ で割れば ∥u∥p∗≤γ∥∇u∥p。後半:u∈W1,p に W1,p で収束する uj∈Cc∞ をとると(定理 3.7)、(uj) は Lp∗ のコーシー列で、その極限は(部分列の a.e. 収束により)u に一致する。□
C(n,p) は p→n で発散する。これは p=n で L∞ への埋め込みが破れること(注意 3.22)と整合している。
系 3.20 1≤p<n とする。(1) 任意の開集合 Ω と u∈W01,p(Ω) について ∥u∥Lp∗(Ω)≤C(n,p)∥∇u∥Lp(Ω)。Ω が有界ならば 1≤q≤p∗ について ∥u∥Lq(Ω)≤∣Ω∣q1−p∗1C(n,p)∥∇u∥Lp(Ω)。(2) Ω が有界で境界が C1 級ならば、u∈W1,p(Ω) について ∥u∥Lq(Ω)≤C∥u∥W1,p(Ω)(1≤q≤p∗、C=C(n,p,q,Ω))。
証明. (1) は 0 延長と定理 3.19、およびヘルダーの不等式。(2) は延長定理 3.15 と定理 3.19。□
(1) の定数が Ω によらないのに対し、(2) の定数は延長作用素を通じて Ω の形に依存する。境界条件 u∈W01,p があるかないかで、定数の性質が大きく変わる。
p>n では、W1,p の関数は連続になる。0<γ≤1 に対し ∥v∥C0,γ=sup∣v∣+supx=y∣x−y∣γ∣v(x)−v(y)∣ とおく(ヘルダーノルム)。
定理 3.21(モリーの不等式, Morrey's inequality)n<p<∞、γ=1−pn とする。定数 C=C(n,p) があって、すべての u∈Cc1(Rn) について ∥u∥C0,γ(Rn)≤C∥u∥W1,p(Rn) が成り立つ。したがって各 u∈W1,p(Rn) は、この評価をみたす γ-ヘルダー連続関数と a.e. で一致する。
証明. (i) u∈C1、x∈Rn、r>0 とする。w∈Sn−1、0<s<r について ∣u(x+sw)−u(x)∣≤∫0s∣∇u(x+tw)∣ dt。w について球面上で積分し、極座標 dy=tn−1dt dS(w) を使うと
∫Sn−1∣u(x+sw)−u(x)∣dS(w)≤∫B(x,s)∣x−y∣n−1∣∇u(y)∣dy≤∫B(x,r)∣x−y∣n−1∣∇u(y)∣dy
両辺に sn−1 を掛けて s について 0 から r まで積分し、∣B(x,r)∣=ωnrn で割ると
∣B(x,r)∣1∫B(x,r)∣u(y)−u(x)∣dy≤nωn1∫B(x,r)∣x−y∣n−1∣∇u(y)∣dy≤C1r1−n/p∥∇u∥Lp(B(x,r))(3.1)
最後はヘルダーの不等式で、p>n のとき ∫B(0,r)∣y∣−(n−1)p′dy=nωnp−np−1rp−1p−n が有限であることを使った(C1=nωn1(p−nnωn(p−1))1−1/p は p↓n で発散する)。
(ii) r=1 とすると ∣u(x)∣≤∣B(x,1)∣1∫B(x,1)(∣u(x)−u(y)∣+∣u(y)∣) dy≤C1∥∇u∥p+ωn−1/p∥u∥p。
(iii) x=y、r=∣x−y∣、W=B(x,r)∩B(y,r) とする。∣W∣=κn∣B(x,r)∣(0<κn<1 は n だけで決まる)だから、(3.1) を x と y で使って
∣u(x)−u(y)∣≤∣W∣1∫W(∣u(x)−u(z)∣+∣u(z)−u(y)∣)dz≤κn2C1∣x−y∣1−n/p∥∇u∥p
(iv) u∈W1,p に W1,p で収束する uj∈Cc∞ をとると、(ii)(iii) により (uj) は C0,γ のコーシー列で、一様収束極限 u∗ は u と a.e. で一致し、評価をみたす。□
有界で C1 境界の Ω では、延長定理により W1,p(Ω)⊂C0,γ(Ω)(p>n)となる。
これらを繰り返し適用すると次を得る(証明は Evans の第5章を参照)。
定理 3.23(ソボレフの埋め込み定理)Ω を有界で境界が C1 級の開集合、u∈Wk,p(Ω)、1≤p<∞ とする。
- kp<n ならば u∈Lq(Ω)、q1=p1−nk で、∥u∥Lq≤C∥u∥Wk,p(C=C(k,p,n,Ω))。
- kp>n ならば、u は Cm,γ(Ω) の元と a.e. で一致する。ここで m=k−⌊n/p⌋−1、γ=⌊n/p⌋+1−pn(n/p が整数でないとき)、γ∈(0,1) は任意(n/p が整数のとき)であり、Cm,γ ノルムは C∥u∥Wk,p で抑えられる。
系 3.24 u∈Lloc1(Ω) がすべての k について Wlock,p(Ω) に属する(p は固定)ならば、u は C∞(Ω) の元と a.e. で一致する。
証明. 各球 B⋐Ω で u∈Wk,p(B) がすべての k で成り立つので、定理 3.23 (2) から任意の m について u∈Cm(B)。□
系 3.24 は第4章で「弱解が実は C∞ 級である」ことを示す最後の一歩になる。
3.7 レリッヒ–コンドラショフのコンパクト性定理
定理 3.25(レリッヒ–コンドラショフ, Rellich–Kondrachov)Ω を有界で境界が C1 級の開集合とする。1≤p<n ならば、包含写像 W1,p(Ω)↪Lq(Ω) は 1≤q<p∗ についてコンパクトである。p≥n ならば 1≤q<∞ についてコンパクトである。特に、すべての 1≤p<∞ について W1,p(Ω)↪Lp(Ω) はコンパクトである。W01,p(Ω) については、境界の仮定なしに(Ω が有界であれば)同じ結論が成り立つ。
証明の概略(1≤p<n の場合). 延長定理と定理 3.9 により、ある有界開集合 V に台をもつ C1 関数の族 A で supu∈A∥u∥W1,p<∞ となるものが、Lq で全有界であることを示せばよい。
(i) u∈A について uε(x)−u(x)=∫η(z)(u(x−εz)−u(x)) dz=−ε∫η(z)∫01∇u(x−tεz)⋅z dt dz を x で積分して、∥uε−u∥L1≤ε∥∇u∥L1≤εC(V は有界)。補間不等式 ∥v∥q≤∥v∥1θ∥v∥p∗1−θ(q1=θ+p∗1−θ、q<p∗ なので θ>0)と系 3.20 から、∥uε−u∥Lq→0 は u∈A について一様である。
(ii) ε を固定すると、∣uε∣≤ε−nsupη ∥u∥1、∣∇uε∣≤ε−n−1sup∣∇η∣ ∥u∥1 なので {uε∣u∈A} は一様有界かつ同程度連続であり、アスコリ–アルツェラの定理により一様ノルムで、したがって Lq(V) で全有界である。
(iii) δ>0 に対し、(i) で ∥uε−u∥q<δ/2(u∈A)となる ε を選び、(ii) の集合の有限な δ/2-網をとれば、それは A の δ-網になる。□
例 3.26(コンパクト性が破れる例)(1) 有界でない領域:u∈Cc∞(Rn)、u=0 の平行移動 uj=u(⋅−je1) は W1,p(Rn) で有界だが、Lq で収束する部分列をもたない。(2) 臨界指数 q=p∗:u∈Cc∞(B(0,1))、u=0 と λ≥1 に対し uλ(x)=λ(n−p)/pu(λx) とおくと、uλ∈Cc∞(B(0,1)) で、変数変換により
∥∇uλ∥p=∥∇u∥p,∥uλ∥p∗=∥u∥p∗,∥uλ∥p=λ−1∥u∥p
λ→∞ のとき uλ は W01,p(B(0,1)) で有界、Lp では 0 に収束するが、Lp∗ のノルムは一定なので Lp∗ で収束する部分列はない(あれば極限は 0 のはず)。関数が一点に「集中」してコンパクト性が失われる。この現象は第6章の臨界指数の問題の核心である。
3.8 ポアンカレの不等式
定理 3.27(ポアンカレの不等式, Poincaré inequality)1≤p<∞ とし、開集合 Ω は幅 d の帯 {a<x1<a+d} に含まれるとする(たとえば直径 d の有界集合)。このとき、すべての u∈W01,p(Ω) について
∥u∥Lp(Ω)≤p1/pd∥∂1u∥Lp(Ω)
証明. 密度により u∈Cc∞(Ω) としてよく、Ω の外で 0 と延長する。u(x)=∫ax1∂1u(t,x′) dt とヘルダーの不等式から ∣u(x)∣p≤(x1−a)p−1∫aa+d∣∂1u(t,x′)∣pdt。x1 について a から a+d まで積分すると ∫aa+d(x1−a)p−1dx1=dp/p だから、∫aa+d∣u∣pdx1≤pdp∫aa+d∣∂1u∣pdt。これを x′ で積分すればよい。□
したがって有界な Ω では、H01(Ω) 上で ∥∇u∥L2 は ∥u∥H1 と同値なノルムであり、∥u∥H12≤(1+d2/2)∥∇u∥L22。これは第4章でラックス–ミルグラムの定理の強圧性を確かめるときに使う。定数 1 は H01 に属さない。境界条件なしには、定数関数が反例になる。
定理 3.28(ポアンカレ–ヴィルティンガーの不等式)Ω を有界かつ連結で、境界が C1 級の開集合、1≤p<∞ とする。uΩ=∣Ω∣1∫Ωu dx とおくと、定数 C=C(n,p,Ω) があって、すべての u∈W1,p(Ω) について ∥u−uΩ∥Lp(Ω)≤C∥∇u∥Lp(Ω)。
証明. 成り立たないとすると、∥uk−(uk)Ω∥p>k∥∇uk∥p となる uk がある。vk=(uk−(uk)Ω)/∥uk−(uk)Ω∥p とおくと (vk)Ω=0、∥vk∥p=1、∥∇vk∥p<1/k。(vk) は W1,p で有界なので、定理 3.25 により Lp で収束する部分列 vk→v がある。∥v∥p=1、vΩ=0 であり、φ∈Cc∞(Ω) について ∫v ∂iφ=lim∫vk ∂iφ=−lim∫∂ivk φ=0 だから弱い意味で ∇v=0。すると補題 3.6 より Ωε 上で ∇(ηε∗v)=0 なので、v は各球 B⋐Ω 上で a.e. 定数であり、Ω の連結性から Ω 上で a.e. 定数である。vΩ=0 より v=0 となり、∥v∥p=1 に矛盾する。□
定理 3.27 の定数は明示的だが、定理 3.28 の定数はコンパクト性による背理法で得たもので、具体的な値はわからない(最良定数は p=2 ならノイマン境界条件の第 1 正固有値で決まる)。
まとめ
- 弱導関数は超関数としての導関数が関数であるときの呼び名で、Wk,p(Ω) は弱導関数が Lp に属する関数のバナッハ空間である(Hk はヒルベルト空間)。p<n の W1,p には有界でない関数がある。
- 軟化により Cc∞(Rn) は Wk,p(Rn) で稠密(p<∞)。C1 境界の有界領域では C∞(Ω) が稠密で、延長作用素とトレース作用素 W1,p(Ω)→Lp(∂Ω) が存在する。W0k,p はゼロ境界条件を表す。
- Hs(Rn) はフーリエ変換で定義され、s>n/2 なら有界連続関数からなる。
- p<n:∥u∥p∗≤n−pp(n−1)∥∇u∥p(GNS)。p>n:W1,p⊂C0,1−n/p(モリー)。p=n は臨界で L∞ に入らない。
- 有界な C1 領域では W1,p↪Lq(q<p∗)はコンパクト(レリッヒ–コンドラショフ)。非有界領域と臨界指数 q=p∗ ではコンパクト性が破れる。
- ポアンカレの不等式 ∥u∥p≤p1/pd∥∇u∥p(u∈W01,p)により、H01 では ∥∇u∥2 が同値なノルムになる。
演習問題
問題 3.1 ★ (1) q=p∗ ならば、不等式 ∥u∥Lq(Rn)≤C∥∇u∥Lp(Rn)(u∈Cc∞)は成り立たないことを示せ。(2) Rn 上ではポアンカレの不等式 ∥u∥p≤C∥∇u∥p が成り立たないことを示せ。
解答
(1) u=0 を固定し uλ(x)=u(λx) を代入すると λ−n/q∥u∥q≤Cλ1−n/p∥∇u∥p、すなわち ∥u∥q≤Cλ1−n/p+n/q∥∇u∥p。指数 1−pn+qn=0 なら、λ→0 または λ→∞ で右辺が 0 に近づき矛盾する。
(2) 同じ置き換えで ∥uλ∥p/∥∇uλ∥p=λ−1∥u∥p/∥∇u∥p は λ→0 で発散する(関数を横に引き伸ばすと勾配だけが小さくなる)。
問題 3.2 ★ (1) δ∈Hs(Rn) であるための必要十分条件は s<−n/2 であることを示せ。(2) 1[−1,1]∈Hs(R) であるための必要十分条件は s<1/2 であることを示せ。
解答
(1) δ^=1 なので条件は ∫(1+∣ξ∣2)sdξ<∞、すなわち 2s<−n。
(2) ∣1[−1,1]∣2=ξ24sin2ξ。∣ξ∣≤1 では有界。∣ξ∣≥1 で (1+ξ2)sξ2sin2ξ は ∣ξ∣2s−2sin2ξ と定数倍で比較でき、sin2ξ の各周期での平均は 1/2 なので、積分が有限であることは ∫1∞ξ2s−2dξ<∞、すなわち s<21 と同値。跳びのある関数は H1/2 に入らない。
問題 3.3 ★★ I=(a,b) を有界区間、1≤p≤∞ とする。u∈W1,p(I) であるための必要十分条件は、u が a.e. で絶対連続関数 u~ に等しく、その(a.e. で存在する)導関数が Lp に属することであることを示せ。また ∣u~(x)−u~(y)∣≤∣x−y∣1−1/p∥u′∥Lp を示せ。
解答
(必要性)弱導関数 v=u′∈Lp⊂L1 をとり、w(x)=∫axv dt とおく。w は絶対連続で、フビニの定理により ∫wφ′=−∫vφ(φ∈Cc∞(I))だから w の弱導関数も v である。(u−w)′=0 なので命題 1.19 より u−w は a.e. で定数 c に等しく、u~=w+c とすればよい。u~ の導関数は a.e. で v に一致する(06-measure-integration 第7章 系 7.6)。
(十分性)絶対連続関数についての微分積分学の基本定理(同 定理 7.14)より u~(x)=u~(a)+∫axu~′。部分積分(フビニの定理)により u~′ が弱導関数であり、Lp に属する。
評価はヘルダーの不等式:∣u~(x)−u~(y)∣≤∫yx∣u′∣≤∣x−y∣1/p′∥u′∥p。これは 1 次元のモリーの不等式である(n=1<p で γ=1−1/p)。
問題 3.4 ★★ Ω=(0,1)n、Γ={xn=0}∩∂Ω とし、1≤p<∞ とする。Lp(Ω) のノルムについて連続で、C(Ω) の元には u↦u∣Γ として作用する線形写像 Lp(Ω)→Lp(Γ) は存在しないことを示せ。
解答
uj(x)=max(1−jxn,0)∈C(Ω) とおくと、uj∣Γ=1 で ∥uj∣Γ∥Lp(Γ)=1。一方 ∥uj∥Lp(Ω)p=∫01/j(1−jt)pdt=j(p+1)1→0。そのような連続写像があれば uj∣Γ→0 となり矛盾する。なお ∥∂nuj∥pp=jp−1 は p>1 で発散し、トレース定理と矛盾しない。
問題 3.5 ★★ L>0 とする。H01(0,L) 上の不等式 ∥u∥L2≤C∥u′∥L2 の最良定数は C=L/π であることを示し、定理 3.27 の定数 L/2 と比較せよ。
解答
ek(x)=2/Lsin(kπx/L)(k≥1)は L2(0,L) の完全正規直交系である(08-differential-equations 第6章)。u∈Cc∞(0,L) について u=∑kckek、部分積分により u′ の 2/Lcos(kπx/L) に関する係数は Lkπck で、これらの余弦(と定数)も完全正規直交系をなすから ∥u′∥22=∑kL2k2π2∣ck∣2≥L2π2∥u∥22。密度により H01 全体で成り立ち、u=e1∈H01 で等号。よって最良定数は L/π≈0.318L で、定理 3.27 の L/2≈0.707L より小さい。π2/L2 は第4章で扱う −dx2d2 の第 1 固有値である。
問題 3.6 ★★★ n≥2 とする。(1) u∈Cc1(Rn) と γ>1 について、p=1 の GNS 不等式を ∣u∣γ に適用して ∥u∥γn/(n−1)γ≤γ∥u∥(γ−1)n/(n−1)γ−1∥∇u∥n を示し、W1,n(Rn)⊂Lq(Rn)(n≤q<∞)を導け。(2) u(x)=loglog(1+1/∣x∣) が W1,n(B(0,1)) に属し、有界でないことを示せ。
解答
(1) ∥∇∣u∣γ∥1≤γ∫∣u∣γ−1∣∇u∣ に、指数 n−1n と n のヘルダーの不等式を使えば主張の不等式を得る。γ=n とすると右辺に ∥u∥n が現れ、∥u∥n2/(n−1)≤n1/n∥u∥n(n−1)/n∥∇u∥n1/n≤C(n)∥u∥W1,n(∥∇u∥n=∥∣∇u∣∥Ln は ∥u∥W1,n の定数倍で抑えられる)。次に γ=n+1 とすると右辺は ∥u∥n2/(n−1) で抑えられ、Ln(n+1)/(n−1) の評価を得る。帰納的に γ=n+k で qk=n−1n(n+k)→∞ についての評価を得る。n≤q≤qk の Lq ノルムは補間不等式 ∥u∥q≤∥u∥nθ∥u∥qk1−θ で抑えられる。密度(定理 3.7)により W1,n(Rn) 全体で成り立つ。
(2) r=∣x∣ とすると ∣∇u∣=log(1+1/r)1⋅r(1+r)1。r≤1/2 で log(1+1/r)≥log(1/r) だから ∫B(0,1/2)∣∇u∣n≤nωn∫01/2rlogn(1/r)dr=nωn∫log2∞snds<∞(n≥2)。u は loglog の増大なので Ln に属し、∣∇u∣∈L1 と εn−1∣u∣∣x∣=ε→0 から、例 3.2 と同じ議論で古典的導関数が弱導関数である。r→0 で u→∞ なので有界でない。