この章の目標
- ヴィタリの被覆補題からハーディ–リトルウッドの極大不等式(弱 (1,1) 評価)を証明できる
- ルベーグの微分定理を証明し、ルベーグ点・密度点の概念を使える
- 有界変動関数のジョルダン分解と単調関数の微分可能性を理解する
- 絶対連続関数に対する微分積分学の基本定理を証明し、カントール関数による反例を説明できる
前提:第2章、第4章、第6章
微分積分学の基本定理には二つの面がある。(A) 積分してから微分すると元に戻る:dxd∫axf=f(x)。(B) 微分してから積分すると元に戻る:∫abF′=F(b)−F(a)。リーマン積分では f や F′ の連続性を仮定して証明した(01-calculus 第5章)。ルベーグ積分ではどうなるだろうか。(A) は可積分な f に対して a.e. で成り立つ(ルベーグの微分定理)。(B) は、連続で単調で a.e. で微分可能な F でさえ成り立たないことがあり(カントール関数)、正しい条件は絶対連続性である。
7.1 ヴィタリの被覆補題と極大関数
平均値 λ(B(x,r))1∫B(x,r)f の r→0 での振る舞いを調べるために、すべての半径にわたる平均の上限を考える。
補題 7.1(ヴィタリの被覆補題, Vitali covering lemma)Rn の有限個の開球 B1,…,Bm から、互いに交わらない Bi1,…,Bik を選んで ⋃iBi⊂⋃j3Bij とできる。ここで 3B は B と同じ中心で半径が 3 倍の球である。特に λ(⋃iBi)≤3n∑jλ(Bij)。
証明. 半径が最大の球を Bi1 とし、それと交わる球をすべて除く。残りから半径最大のものを Bi2 とし、同様に続ける。有限回で終わり、選んだ球は互いに交わらない。除かれた Bi(中心 ci、半径 ri)は、それが除かれた段階で選ばれた Bij(中心 c、半径 r≥ri)と交わるので、y∈Bi なら ∣y−c∣<ri+(ri+r)≤3r、すなわち Bi⊂3Bij。最後の不等式は λ(3B)=3nλ(B)(定理 2.15)による。□
定義 7.2(極大関数, maximal function)コンパクト集合上で可積分な可測関数を局所可積分といい、その全体を Lloc1(Rn) と書く。f∈Lloc1 に対し
Arf(x)=λ(B(x,r))1∫B(x,r)f(y) dy,Mf(x)=r>0supAr∣f∣(x)
とおき、Mf を f のハーディ–リトルウッドの極大関数という。
{Mf>t} は開集合である。実際、Ar∣f∣(x)>t なら、少し大きい r′>r でも ∫B(x,r)∣f∣>tλ(B(x,r′)) となり、∣x′−x∣<r′−r なら B(x′,r′)⊃B(x,r) だから Ar′∣f∣(x′)>t。よって Mf はボレル可測である。
定理 7.3(ハーディ–リトルウッドの極大不等式)f∈L1(Rn)、t>0 ならば
λ({Mf>t})≤t3n∥f∥1
証明. コンパクト集合 K⊂{Mf>t} をとる。各 x∈K に対し ∫Bx∣f∣>tλ(Bx) となる球 Bx=B(x,rx) があり、有限個 B1,…,Bm で K が覆える。補題 7.1 の互いに交わらない Bi1,…,Bik について
λ(K)≤3nj∑λ(Bij)≤t3nj∑∫Bij∣f∣≤t3n∥f∥1
内正則性(定理 2.11)より K について上限をとればよい。□
チェビシェフの不等式 λ({∣f∣>t})≤∥f∥1/t と同じ形の評価を弱 (1,1) 評価という。Mf 自身は f=0(a.e.)でない限り可積分でない:∫B(0,R)∣f∣=c>0 なら、∣x∣>R で B(x,2∣x∣)⊃B(0,R) だから Mf(x)≥c/λ(B(x,2∣x∣)) で、これは ∣x∣−n の定数倍である。なお 1<p≤∞ では ∥Mf∥p≤Cn,p∥f∥p が成り立つ(主張のみ。マルツィンキェヴィチの補間定理による)。
7.2 ルベーグの微分定理
定理 7.4(ルベーグの微分定理, Lebesgue differentiation theorem)f∈Lloc1(Rn) ならば、a.e. の x で
r→0limλ(B(x,r))1∫B(x,r)∣f(y)−f(x)∣ dy=0
特に a.e. で Arf(x)→f(x)。この極限が 0 となる点 x を f のルベーグ点 (Lebesgue point) という。
証明. ∣x∣<R、r<1 なら Ar は B(0,R+1) 上の値しか見ないので、各 R について f を f1B(0,R+1)∈L1 に取り替えてよい。よって f∈L1 とする。
Ωf(x)=limsupr→0Ar∣f−f(x)∣(x) とおく。g∈Cc(Rn) なら連続性から Ωg≡0。∣f(y)−f(x)∣≤∣(f−g)(y)∣+∣g(y)−g(x)∣+∣(g−f)(x)∣ より
Ωf(x)≤M(f−g)(x)+∣f(x)−g(x)∣
したがって t>0 に対し {Ωf>2t}⊂{M(f−g)>t}∪{∣f−g∣>t} で、定理 7.3 とチェビシェフの不等式から
λ∗({Ωf>2t})≤t3n+1∥f−g∥1
Cc は L1 で稠密(定理 4.12)だから右辺はいくらでも小さく、{Ωf>2t} は零集合である。t=1/k(k∈N)についての和をとれば、a.e. で Ωf=0。後半は ∣Arf(x)−f(x)∣≤Ar∣f−f(x)∣(x) による。□
f の連続点はルベーグ点である。ディリクレ関数 D では無理数点がすべてルベーグ点になる(D は 0 と a.e. で等しい)が、有理数点はルベーグ点でない。球の代わりに、x を含み大きさが一様に比較できる集合族(立方体や、1 次元なら [x,x+h] など)を使っても同じ結論が成り立つ。
系 7.5(ルベーグの密度定理)E⊂Rn がルベーグ可測ならば、a.e. の x∈E で λ(B(x,r))λ(E∩B(x,r))→1、a.e. の x∈/E で →0(r→0)。
証明. 1E∈Lloc1 に定理 7.4 を適用する。□
可測集合は、ほとんどすべての点の近くで「ほぼ全部」か「ほぼ空」であり、中途半端な密度で散らばることはできない(問題 7.3)。
系 7.6 f∈L1[a,b]、F(x)=∫axf(t) dt とおくと、F は a.e. で微分可能で F′=f(a.e.)である。
証明. f を [a,b] の外で 0 として、f のルベーグ点 x∈(a,b) をとる。h=0 について
hF(x+h)−F(x)−f(x)≤∣h∣1∫x−∣h∣x+∣h∣∣f(t)−f(x)∣ dt=2A∣h∣∣f−f(x)∣(x)→0
□
7.3 有界変動関数
定義 7.7(有界変動, bounded variation)F:[a,b]→R に対し
Vab(F)=sup{i=1∑m∣F(xi)−F(xi−1)∣∣a=x0<x1<⋯<xm=b}
を全変動といい、Vab(F)<∞ のとき F は有界変動であるという。その全体を BV[a,b] と書く。
分点を追加すると和は減らない(三角不等式)ので、a<c<b なら Vab=Vac+Vcb である。単調関数は Vab(F)=∣F(b)−F(a)∣ で有界変動、リプシッツ定数 L の関数は Vab(F)≤L(b−a) で有界変動である。一方 xsin(1/x) は連続だが有界変動でない(問題 7.1)。
定理 7.8(ジョルダン分解)F∈BV[a,b] であることと、単調非減少関数 G,H によって F=G−H と書けることは同値である。
証明. 差が有界変動であることは V(G−H)≤V(G)+V(H) からわかる。逆に T(x)=Vax(F) とおくと、x<y で T(y)−T(x)=Vxy(F)≥∣F(y)−F(x)∣ だから、T と T−F は単調非減少であり、F=T−(T−F)。□
定理 7.9(ルベーグの定理)F:[a,b]→R が単調非減少ならば、F は a.e. で微分可能で、F′∈L1[a,b]、∫abF′(x) dx≤F(b)−F(a)。したがって有界変動関数も a.e. で微分可能で、導関数は可積分である。
証明の方針(微分可能性). 上下の右微分・左微分(ディニ微分)D+F(x)=limsuph↓0hF(x+h)−F(x) などを考える。有理数 p<q について {x∣D−F(x)<p<q<D+F(x)} が零集合であることを、補題 7.1 を無限個の区間に拡張したヴィタリの被覆定理を用いて示し、同様に他の組み合わせも扱う。さらに D+F<∞(a.e.)を示せば微分可能性が従う。別法として、F を右連続に修正して(不連続点は可算個)ルベーグ–スティルチェス測度 μF=f dλ+νs にルベーグ分解し、系 7.6 と「特異な部分の比 νs((x,x+h])/h は λ-a.e. で 0 に収束する」ことを定理 7.3 と同様の被覆論法で示す方法もある。詳細は Folland 第3章や Stein–Shakarchi 第3章を参照のこと。
証明(不等式). a.e. での微分可能性を認める。x>b では F(x)=F(b) とし、gn(x)=n(F(x+n1)−F(x))≥0 とおくと、gn は可測で a.e. で gn→F′。ファトゥの補題より
∫abF′≤nliminf∫abgn=nliminf(n∫bb+1/nF−n∫aa+1/nF)≤F(b)−F(a)
([b,b+1/n] 上で F=F(b)、[a,a+1/n] 上で F≥F(a))。F′≥0 だから F′∈L1 である。□
不等号が真に成り立つ例が次節のカントール関数である。なお、至るところ微分可能でも導関数が可積分とは限らない:F(x)=x2sin(1/x2)(F(0)=0)は [0,1] で至るところ微分可能だが、∫01∣F′∣=∞ である(F は有界変動でない)。
7.4 カントール関数
連続・単調で [0,1] から [0,1] への関数で、φ(0)=0、φ(1)=1 を満たすもの全体を C とし、φ∈C に対して
(Tφ)(x)=⎩⎨⎧21φ(3x)2121+21φ(3x−2)(0≤x≤31)(31≤x≤32)(32≤x≤1)
とおく。φ(1)=1、φ(0)=0 より Tφ は x=31,32 で連続につながり、Tφ∈C。また ∥Tφ−Tψ∥∞≤21∥φ−ψ∥∞ である。
命題 7.10(カントール関数, Cantor function)c0(x)=x、ck+1=Tck とおくと、ck は一様収束し、その極限 c は次を満たす。
- c は連続かつ単調非減少で、c(0)=0、c(1)=1、Tc=c。
- c はカントール集合 C の補集合 [0,1]∖C の各連結成分(取り除いた開区間)の上で定数である。
- c′=0(a.e.)であるが、∫01c′(x) dx=0<1=c(1)−c(0)。
証明. 1. ∥ck+1−ck∥∞≤2−k∥c1−c0∥∞ より一様コーシー列で、一様極限 c は連続・単調で端点の値を保ち、C に属する。T は ∥⋅∥∞ について連続なので Tc=c。
-
Ck+1∩[0,31]=31Ck、Ck+1∩[32,1]=32+31Ck だから、第 k+1 段階以前に取り除かれた開区間は、(31,32) か、第 k 段階以前に取り除かれた開区間を x↦x/3 または x↦(x+2)/3 で写したものである。c=Tc の (31,32) 上の値は 21 で、[0,31] では c(x)=21c(3x) などだから、段階についての帰納法で主張がわかる。
-
2 より c は開集合 [0,1]∖C の各点で微分可能で c′=0。λ(C)=0 だから c′=0(a.e.)。□
カントール関数は「ほとんど至るところ平らなのに、0 から 1 まで連続に上る」関数である。上昇はすべて零集合 C の上で起きている。c を x<0 で 0、x>1 で 1 と延長したルベーグ–スティルチェス測度 μc は、c が連続なので一点の測度が 0 で、2 より μc([0,1]∖C)=0、すなわち λ-零集合 C に集中している。したがって μc⊥λ であり、原子ももたない。一般に単調関数に対応する測度は、原子の部分(跳び)・λ に絶対連続な部分・原子をもたない特異な部分(カントール型)の三つに分解される。
7.5 絶対連続関数と微分積分学の基本定理
定義 7.11(絶対連続関数, absolutely continuous function)F:[a,b]→R が次を満たすとき絶対連続であるという:任意の ε>0 に対し δ>0 が存在し、互いに交わらない有限個の開区間 (ai,bi)⊂[a,b] が ∑i(bi−ai)<δ を満たせば、∑i∣F(bi)−F(ai)∣<ε。
例 7.12 (1) リプシッツ関数は絶対連続である(δ=ε/L)。
(2) f∈L1[a,b] に対し F(x)=∫axf は絶対連続である。∑i∣F(bi)−F(ai)∣≤∫⋃i(ai,bi)∣f∣ で、積分の絶対連続性(問題 3.4)による。たとえば x=∫0x2tdt は [0,1] で絶対連続だが、リプシッツではない。
(3) 絶対連続関数は一様連続(区間 1 個の場合)かつ有界変動である(ε=1 に対する δ をとり、[a,b] を長さ δ 未満の有限個の区間に分ければ、各区間上の全変動は 1 以下)。
(4) カントール関数は連続かつ単調だが絶対連続でない。Ck を構成する 2k 個の閉区間 [si,ti] は長さの和が (2/3)k→0 だが、c は Ck の外で定数なので ∑i(c(ti)−c(si))=c(1)−c(0)=1。
補題 7.13 F を [a,b] 上の絶対連続関数とする。
- T(x)=Vax(F) は絶対連続である。したがって F は単調非減少な絶対連続関数の差 F=T−(T−F) で書ける。
- F が単調非減少なら、F を x<a で F(a)、x>b で F(b) と延長したルベーグ–スティルチェス測度 μF は μF≪λ を満たす。
証明. 1. ε に対する δ をとり、∑i(bi−ai)<δ とする。各 [ai,bi] の分割をどのように選んでも、すべての小区間を合わせた長さの和は δ 未満だから、増分の絶対値の総和は ε 未満である。分割について上限をとれば ∑i(T(bi)−T(ai))=∑iVaibi(F)≤ε。T−F が単調非減少であることは定理 7.8 の証明で示した。
- F は連続なので μF は一点で 0、開区間で μF((s,t))=F(t)−F(s) であり、[a,b] の外の測度は 0 である。λ(N)=0 となる N⊂(a,b) と ε>0 をとり、ε に対する δ をとる。外正則性より、開集合 U で N⊂U⊂(a,b)、λ(U)<δ となるものがあり、U は互いに交わらない開区間 (sj,tj) の可算和である。任意の J について ∑j≤J(F(tj)−F(sj))<ε だから、μF(N)≤μF(U)=∑j(F(tj)−F(sj))≤ε。よって μF(N)=0。□
定理 7.14(ルベーグ積分に対する微分積分学の基本定理)F:[a,b]→R について、次は同値である。
- F は絶対連続である。
- ある f∈L1[a,b] によって、すべての x∈[a,b] で F(x)=F(a)+∫axf(t) dt と書ける。
- F は a.e. で微分可能で、F′∈L1[a,b] かつ、すべての x で F(x)=F(a)+∫axF′(t) dt。
証明. (2 ⇒ 1) 例 7.12 (2)。(2 ⇒ 3) 系 7.6 より F′=f(a.e.)。(3 ⇒ 2) 明らか。
(1 ⇒ 2) 補題 7.13 の 1 より、F は単調非減少な絶対連続関数の差だから、F が単調非減少の場合に示せばよい。補題 7.13 の 2 より μF は λ に関して絶対連続な有限測度なので、ラドン–ニコディムの定理(定理 6.11)より f∈L1、f≥0 で μF=f dλ となるものがある。よって F(x)−F(a)=μF((a,x])=∫axf。□
カントール関数は、連続・単調・a.e. で微分可能・導関数が可積分という条件をすべて満たすのに 3 の等式が成り立たない。定理 7.14 は、その等式を保証する正しい条件が絶対連続性であることを示している。リプシッツ関数は絶対連続なので、F(b)−F(a)=∫abF′ が成り立つ(F′∈L∞)。
まとめ
- ヴィタリの被覆補題から、極大関数の弱 (1,1) 評価 λ({Mf>t})≤3n∥f∥1/t が従う。
- 極大不等式と Cc の稠密性から、ルベーグの微分定理:局所可積分関数の球平均は a.e. で元の値に収束し、a.e. の点はルベーグ点である。
- 可測集合はほとんどすべての点で密度 1 または 0 をもつ(密度定理)。∫axf は a.e. で微分可能で導関数は f である。
- 有界変動関数は単調関数の差であり(ジョルダン分解)、a.e. で微分可能である(ルベーグの定理)。
- カントール関数は連続・単調で導関数が a.e. で 0 なのに定数でない。対応する測度はルベーグ測度と互いに特異である。
- F(x)=F(a)+∫axF′ が成り立つための必要十分条件は F の絶対連続性であり、証明はラドン–ニコディムの定理に帰着する。
演習問題
問題 7.1 ★ F(x)=xsin(1/x)、G(x)=x2sin(1/x)(F(0)=G(0)=0)とする。F は [0,1] で有界変動でなく、G は絶対連続であることを示せ。
解答
xk=π/2+kπ1 では sin(1/xk)=±1 で符号が交互に変わるから ∣F(xk)−F(xk+1)∣=xk+xk+1≥xk。∑kxk=∞ だから V01(F)=∞。G は x=0 で G′(x)=2xsin(1/x)−cos(1/x)、G′(0)=limh→0hsin(1/h)=0 で、∣G′∣≤3。平均値の定理より G はリプシッツ、したがって絶対連続である。
問題 7.2 ★ f=1[−1,1](R 上)の極大関数 Mf を求め、Mf∈/L1 であること、および弱 (1,1) 評価を直接確かめよ。
解答
∣x∣<1 では小さい r で Arf(x)=1 だから Mf(x)=1。x≥1 では、r≤x−1 で平均は 0、x−1<r<x+1 で平均は 2r1−x+r=21−2rx−1(r について増加)、r≥x+1 で r1。よって Mf(x)=1+x1、対称性から ∣x∣≥1 で Mf(x)=1+∣x∣1 であり、非可積分。0<t<21 なら λ({Mf>t})=2(t1−1)<t2=t∥f∥1、21≤t<1 なら λ=2≤t2、t≥1 なら 0。この例では定数 3 は 1 に改善できる。
問題 7.3 ★★ すべての有界区間 I について λ(E∩I)=21λ(I) となる可測集合 E⊂R は存在しないことを示せ。
解答
そのような E があれば、すべての x と r で 2rλ(E∩(x−r,x+r))=21。密度定理より a.e. の x∈E でこの比は 1 に収束するはずなので、λ(E)=0。すると λ(E∩I)=0=21λ(I) となり矛盾する。
問題 7.4 ★ カントール関数について c(1−x)=1−c(x) を示し、∫01c(x) dx=21 を導け。
解答
φ∈C が φ(1−x)=1−φ(x) を満たせば Tφ も満たす。実際 x∈[0,31] なら 1−x∈[32,1] で (Tφ)(1−x)=21+21φ(1−3x)=1−21φ(3x)=1−(Tφ)(x)、中央の区間では 21=1−21。c0(x)=x は対称性をもつから、すべての ck、したがって極限 c も対称性をもつ。∫01c(x) dx=∫01(1−c(1−x)) dx=1−∫01c より ∫01c=21。
問題 7.5 ★★(部分積分)F,G が [a,b] で絶対連続ならば、FG も絶対連続で ∫abFG′=F(b)G(b)−F(a)G(a)−∫abF′G であることを示せ。
解答
F,G は連続なので有界で、∣F(y)G(y)−F(x)G(x)∣≤∥F∥∞∣G(y)−G(x)∣+∥G∥∞∣F(y)−F(x)∣ から FG は絶対連続である。F,G がともに微分可能な点(a.e.)で (FG)′=F′G+FG′ であり、F′G,FG′∈L1。定理 7.14 を FG に適用すれば F(b)G(b)−F(a)G(a)=∫ab(F′G+FG′)。
問題 7.6 ★★★ c をカントール関数とし、g(x)=x+c(x)(0≤x≤1)とおく。
(1) g は [0,1] から [0,2] への同相写像で、λ(g(C))=1 であることを示せ。
(2) 正の測度をもつ可測集合は非可測な部分集合を含むことを示せ(ヴィタリ集合と問題 2.6 を使え)。
(3) ルベーグ可測だがボレル集合でない集合 B⊂C を構成せよ。また、ルベーグ可測関数 h と連続関数 k で、h∘k がルベーグ可測でないものを挙げよ。
解答
(1) g は連続で狭義単調増加、g(0)=0、g(1)=2 だから同相写像である。[0,1]∖C の各連結成分 (s,t) の上で c は定数なので、g はそれを長さ t−s の開区間に写す。それらの長さの和は 1−λ(C)=1 だから λ(g([0,1]∖C))=1 で、g は全単射なので λ(g(C))=2−1=1。
(2) R を x∼y⇔x−y∈Q で類別し、各類から一つずつ選んだ集合を V とする。R=⋃q∈Q(V+q) だから、λ(E)>0 なら E=⋃qE∩(V+q)。これらがすべて可測ならどれかは正の測度をもつ。可測な A⊂V+q で λ(A)>0 なら、問題 2.6 より A−A は 0 の近傍を含み、0 でない有理数 r を含む。r=a−a′(a,a′∈A)とすると a−q,a′−q は V の異なる元で差が有理数となり、V の作り方に反する。
(3) (2) より非可測集合 A⊂g(C) がとれる。B=g−1(A)⊂C は零集合 C の部分集合なのでルベーグ可測(完備性)。B がボレル集合なら、A=g(B)=(g−1)−1(B) は連続写像 g−1 によるボレル集合の逆像なのでボレル集合となり、矛盾する。後半は h=1B(ルベーグ可測)、k=g−1:[0,2]→[0,1](連続)とすれば、h∘k=1g(B)=1A は可測でない。
問題 7.7 ★★ F∈C1[a,b] ならば Vab(F)=∫ab∣F′(x)∣ dx を示せ。
解答
任意の分割で ∑i∣F(xi)−F(xi−1)∣=∑i∫xi−1xiF′≤∫ab∣F′∣。逆に、平均値の定理より ∑i∣F(xi)−F(xi−1)∣=∑i∣F′(ξi)∣(xi−xi−1) は連続関数 ∣F′∣ のリーマン和であり、分割を細かくすれば ∫ab∣F′∣ に収束する。