この章の目標
- 直積 σ-加法族と直積測度を構成できる
- フビニ–トネリの定理を正しい仮定のもとで使え、仮定を外した反例を説明できる
- 畳み込みを定義し、ヤングの不等式と近似単位元を扱える
- 変数変換公式と極座標を用いて積分を計算できる
前提:第3章、第4章、01-calculus 第9章(重積分)
重積分を累次積分で計算すること、すなわち積分の順序交換は解析学で最もよく使う操作である。リーマン積分では連続関数などの限られた場合にしか扱えなかったが、ルベーグ積分では「非負なら無条件に、絶対可積分なら自由に」交換できる。これがフビニ–トネリの定理である。以下 (X,M,μ)、(Y,N,ν) を測度空間とする。
5.1 直積 σ-加法族
定義 5.1(直積 σ-加法族)A∈M、B∈N に対する A×B を可測長方形という。可測長方形全体が生成する X×Y 上の σ-加法族を M⊗N と書き、直積 σ-加法族 (product σ-algebra) という。
E⊂X×Y と x∈X、y∈Y に対し、切り口 (section) を Ex={y∣(x,y)∈E}、Ey={x∣(x,y)∈E} とし、関数 f の切り口を fx(y)=f(x,y)、fy(x)=f(x,y) とする。
命題 5.2 E∈M⊗N ならば、すべての x,y について Ex∈N、Ey∈M。f が M⊗N-可測ならば、fx は N-可測、fy は M-可測である。
証明. {E∣すべての x で Ex∈N} は可測長方形を含み((A×B)x は B か ∅)、(Ec)x=(Ex)c、(⋃nEn)x=⋃n(En)x より σ-加法族である。関数については {fx>a}={f>a}x による。□
命題 5.3 B(Rm)⊗B(Rn)=B(Rm+n)。
証明. B(Rm+n) は半開直方体で生成され(命題 1.14)、それは半開直方体どうしの積だから左辺に含まれる。逆に A∈B(Rm) なら A×Rn は連続な射影 Rm+n→Rm による A の逆像なのでボレル集合であり、A×B=(A×Rn)∩(Rm×B) もボレル集合である。□
同じ議論により、第二可算な位相空間 X,Y について B(X)⊗B(Y)=B(X×Y) が成り立つ(直積の開集合は、開基の元の積の可算和である)。
5.2 直積測度
定理 5.4(直積測度, product measure)μ,ν を σ-有限とする。E∈M⊗N に対し、x↦ν(Ex) は M-可測、y↦μ(Ey) は N-可測で
∫Xν(Ex) dμ(x)=∫Yμ(Ey) dν(y)
が成り立つ。この値を (μ×ν)(E) とおくと、μ×ν は M⊗N 上の σ-有限な測度であり、すべての可測長方形で (μ×ν)(A×B)=μ(A)ν(B) を満たす唯一の測度である。
証明. (μ,ν が有限の場合)主張が成り立つ E∈M⊗N 全体を D とする。可測長方形については ν((A×B)x)=1A(x)ν(B) だから両辺とも μ(A)ν(B) となり、D に属する。可測長方形全体は π-系で M⊗N を生成する。D は λ-系である:補集合については ν((Ec)x)=ν(Y)−ν(Ex) から可測性と等式が従い(有限性を使う)、互いに交わらない和については ν((⋃kEk)x)=∑kν((Ek)x) と項別積分(系 3.12)による。π-λ 定理より D=M⊗N。
(σ-有限の場合)Xj↑X、Yj↑Y を有限測度の増加列とし、有限測度 μj=μ(⋅∩Xj)、νj=ν(⋅∩Yj) に上の結果を使うと(∫h dμj=∫Xjh dμ に注意)
∫Xjν(Ex∩Yj) dμ(x)=∫Yjμ(Ey∩Xj) dν(y)
j→∞ とすれば、被積分関数は下からの連続性により ν(Ex)、μ(Ey) に単調に増加するので、単調収束定理より主張を得る(可測性も極限として従う)。μ×ν の可算加法性は項別積分から、一意性は Xj×Yj を使って定理 1.31 からわかる。□
例 5.5 (1) λm×λn と λm+n は半開直方体の上で一致するから、定理 1.31 より B(Rm+n) 上で等しい。
(2)(カヴァリエリの原理)E⊂Rn+1 がボレル集合なら λn+1(E)=∫Rλn(Et) dt(Et は高さ t での切り口)。特に可測関数 f≥0 のグラフの下側 {(x,t)∣0<t<f(x)} の測度は ∫f dx に等しく、「積分は面積」という直観が正当化される。
5.3 フビニ–トネリの定理
定理 5.6(トネリの定理, Tonelli's theorem)μ,ν を σ-有限とし、f:X×Y→[0,∞] を M⊗N-可測とする。x↦∫Yf(x,y) dν(y) は M-可測、y↦∫Xf(x,y) dμ(x) は N-可測で
∫X×Yf d(μ×ν)=∫X(∫Yf(x,y) dν(y))dμ(x)=∫Y(∫Xf(x,y) dμ(x))dν(y)
証明. f=1E なら定理 5.4 そのものであり、線形性から非負単関数でも成り立つ。一般の f には単関数近似 sk↑f をとると、切り口も (sk)x↑fx となるので、内側の積分に単調収束定理を使えば ∫(sk)x dν↑∫fx dν(したがって可測)であり、外側の積分にもう一度単調収束定理を使えばよい。□
定理 5.7(フビニの定理, Fubini's theorem)μ,ν を σ-有限とし、f∈L1(μ×ν) とする。a.e. の x で fx∈L1(ν) であり、g(x)=∫Yfx dν(a.e. で定義される)は L1(μ) に属する。y についても同様で、
∫X×Yf d(μ×ν)=∫X(∫Yf(x,y) dν(y))dμ(x)=∫Y(∫Xf(x,y) dμ(x))dν(y)
証明. トネリの定理を ∣f∣ に適用すると ∫X(∫Y∣fx∣ dν)dμ=∥f∥1<∞ だから、零集合 N={x∣∫∣fx∣=∞} の外で fx∈L1(ν)。f の実部・虚部の正部分・負部分それぞれにトネリの定理を適用し、N の外で引き算すればよい。□
ヒント
実際の使い方は次の二段階である。(1) トネリの定理で ∬∣f∣ を都合のよい順序で計算し、有限であることを確かめる(非負関数には無条件でトネリが使える)。(2) 有限なら、フビニの定理によって好きな順序で積分してよい。可測性は、被積分関数が連続関数やボレル関数の合成なら自動的に満たされる。
5.4 仮定が必要な反例
例 5.8(可積分でない場合)(0,1)2 上で f(x,y)=(x2+y2)2x2−y2 とする。∂yx2+y2y=f(x,y) だから ∫01f(x,y) dy=1+x21 で、
∫01(∫01f(x,y) dy)dx=∫011+x2dx=4π
一方 f(y,x)=−f(x,y) だから、逆順の累次積分は −4π になる。フビニの定理に矛盾しないのは、y<x で f>0 なので ∫01∣f(x,y)∣ dy≥∫0xf(x,y) dy=2x1 となり、∬∣f∣=∞ だからである。
離散版:N×N 上の数え上げ測度で、amn=1(n=m)、−1(n=m+1)、0(その他)とすると、∑m∑namn=∑m0=0 だが、∑n∑mamn=1+0+0+⋯=1。
例 5.9(σ-有限でない場合)X=Y=[0,1]、μ=λ、ν を B([0,1]) 上の数え上げ測度とし、対角線 Δ={(x,x)}(閉集合なので B⊗B に属する)を考える。∫Xν(Δx) dλ(x)=∫011 dx=1 だが、∫Yλ(Δy) dν(y)=∫0 dν=0。ν が σ-有限でないため、定理 5.4 の証明の λ-系の議論(有限性)が使えない。
5.5 完備化とルベーグ測度
λm×λn は B(Rm+n) 上の測度で完備でなく、その完備化が λm+n である(系 2.12、例 5.5)。ルベーグ可測関数についてもフビニ–トネリの定理が使えるように、完備化版を述べておく。
定理 5.11(完備化版フビニ–トネリ)μ,ν を完備かつ σ-有限とし、μ×ν の完備化を (X×Y,L,λ) とする。f が L-可測で非負(または λ-可積分)ならば、a.e. の x で fx は N-可測(かつ可積分)であり、x↦∫fx dν は(a.e. で定義された)M-可測関数で、定理 5.6・5.7 と同じ等式が成り立つ。y についても同様である。特に、非負または λm+n-可積分なルベーグ可測関数 f について ∫Rm+nf dλm+n=∫Rm(∫Rnf(x,y) dy)dx。
証明の概略. 完備化の定義から、f は a.e. で M⊗N-可測な関数 g に等しい(まず定義関数で確かめ、単関数近似で広げる)。{f=g} は (μ×ν)(E)=0 となる E∈M⊗N に含まれ、定理 5.4 より a.e. の x で ν(Ex)=0。そのような x では fx=gx(ν-a.e.)で、ν の完備性から fx は可測である。あとは g に定理 5.6・5.7 を適用すればよい。□
5.6 畳み込み
定義 5.12(畳み込み, convolution)Rn 上の可測関数 f,g に対し、積分が絶対収束する x で
(f∗g)(x)=∫Rnf(x−y)g(y) dy
と定め、畳み込みという。
f をボレル関数に取り替えれば(ルベーグ可測関数は a.e. でボレル関数に等しい)、(x,y)↦f(x−y)g(y) はボレル可測になる。変数変換 y↦x−y(平行移動と反転でルベーグ測度は不変)により f∗g=g∗f である。
命題 5.13 f,g∈L1(Rn) ならば、(f∗g)(x) は a.e. の x で絶対収束し、f∗g∈L1、∥f∗g∥1≤∥f∥1∥g∥1。
証明. トネリの定理と平行移動不変性より ∬∣f(x−y)∣∣g(y)∣ dx dy=∫∣g(y)∣(∫∣f(x−y)∣ dx)dy=∥f∥1∥g∥1<∞。あとはフビニの定理による。□
定理 5.14(ヤングの不等式)1≤p≤∞、f∈Lp(Rn)、g∈L1(Rn) ならば、f∗g∈Lp かつ ∥f∗g∥p≤∥f∥p∥g∥1。
証明. p=1 は命題 5.13、p=∞ は明らか。1<p<∞ のとき、∣g∣=∣g∣1/p∣g∣1/q と分けてヘルダーの不等式を使うと
∫∣f(x−y)∣∣g(y)∣ dy≤(∫∣f(x−y)∣p∣g(y)∣ dy)1/p∥g∥11/q
p 乗して x で積分し、トネリの定理を使えば ∥f∗g∥pp≤∥g∥1p/q∥f∥pp∥g∥1。qp+1=p だから結論を得る(この評価から、積分が a.e. の x で絶対収束することもわかる)。□
一般に p1+q1=1+r1(1≤p,q,r≤∞)なら ∥f∗g∥r≤∥f∥p∥g∥q が成り立つ(問題 5.7)。
定理 5.15(近似単位元, approximate identity)φ∈L1(Rn)、∫φ=1 とし、φε(x)=ε−nφ(x/ε) とおく。
- 1≤p<∞、f∈Lp ならば、ε→0 で ∥f∗φε−f∥p→0。
- f が有界かつ一様連続ならば、f∗φε→f は一様収束である。
証明. 定理 2.15 より ∫φε=1 で、y=εz と置換すると
(f∗φε)(x)−f(x)=∫(f(x−εz)−f(x))φ(z) dz
- 定理 5.14 の証明と同じくヘルダーの不等式を測度 ∣φ(z)∣dz について使い、x で積分してトネリの定理を使うと
∥f∗φε−f∥pp≤∥φ∥1p−1∫∥τ−εzf−f∥pp∣φ(z)∣ dz
被積分関数は 2p∥f∥pp∣φ(z)∣ で押さえられ、各 z で 0 に収束する(系 4.13)から、優収束定理より右辺は 0 に収束する。
- R>0 で積分を ∣z∣≤R と ∣z∣>R に分けると、∣(f∗φε)(x)−f(x)∣≤∥φ∥1sup∣h∣≤εR∣f(x−h)−f(x)∣+2∥f∥∞∫∣z∣>R∣φ∣。R を大きくして第2項を小さくし、次に ε を小さくすればよい。□
φ∈Cc∞(Rn)(軟化子 (mollifier))にとると、パラメータ積分の微分(定理 3.25)により f∗φε∈C∞ となる。さらに f の台がコンパクトなら f∗φε の台もコンパクトなので、Cc の稠密性(定理 4.12)と合わせて、Cc∞(Rn) は Lp(1≤p<∞)で稠密である。φ(x)=(4π)−n/2e−∣x∣2/4 に対する f∗φt は熱方程式 ∂tu=Δu の解を与える(18-pde 第2章)。
5.7 変数変換公式と極座標
定理 5.16(変数変換公式, change of variables)U,V⊂Rn を開集合、Φ:U→V を C1 級微分同相写像とする。可測関数 f≥0(または f∈L1(V))について
∫Vf(y) dy=∫Uf(Φ(x)) ∣detDΦ(x)∣ dx
証明の概略. (1) Φ がアフィン写像なら定理 2.15 そのものである。(2) 一般の Φ は各点 a の近くで Φ(a)+DΦ(a)(x−a) で近似でき、微分の一様連続性から、コンパクト集合上の小さな立方体 Q に対して λ(Φ(Q))=∣detDΦ(a)∣λ(Q)+o(λ(Q)) が一様に成り立つ。(3) 開集合を二進立方体に分割して和をとれば、開集合 W⊂U について λ(Φ(W))=∫W∣detDΦ∣ が得られる。(4) 両辺はボレル集合 W の測度とみなせるので、一意性(定理 1.31)で B(U) 全体、完備化でルベーグ可測集合に広がる。(5) 定義関数から単関数、単調収束定理で一般の f に広げる。詳細は Folland や Rudin の教科書を参照のこと。リーマン積分版は 01-calculus 第9章 で扱った。□
定理 5.17(極座標)n≥2 とし、Sn−1 のボレル集合 A に対して σ(A)=nλ({rω∣0<r≤1, ω∈A}) とおく。σ は Sn−1 上の有限なボレル測度であり、ボレル可測な f≥0(または f∈L1(Rn))について
∫Rnf(x) dx=∫Sn−1∫0∞f(rω) rn−1 dr dσ(ω)
証明. Φ(x)=(∣x∣,x/∣x∣) は Rn∖{0} から (0,∞)×Sn−1 への同相写像である。m=Φ∗λ(像測度)とし、(0,∞) 上の測度 ρ(B)=∫Brn−1 dr を考える。SA=Φ−1((0,1]×A) とおくと、0<a<b に対し Φ−1((a,b]×A)=bSA∖aSA(aSA⊂bSA)で、定理 2.15 より
m((a,b]×A)=(bn−an)λ(SA)=σ(A)∫abrn−1 dr=(ρ×σ)((a,b]×A)
このような集合全体は π-系で、B((0,∞))⊗B(Sn−1)=B((0,∞)×Sn−1)(命題 5.3 の後の注意)を生成する。(0,k]×Sn−1 で σ-有限だから、定理 1.31 より m=ρ×σ。{0} は零集合で、像測度については ∫g d(Φ∗λ)=∫g∘Φ dλ(定義関数から単関数近似で示せる)だから、g(r,ω)=f(rω) にトネリ(フビニ)の定理を適用すればよい。□
n=2 なら σ は円周上の弧長で(半径 1 で中心角 θ の扇形の面積は θ/2)、∫R2f=∫02π∫0∞f(rcosθ,rsinθ) r dr dθ である。
例 5.18 (1)(ガウス積分)I=∫Re−x2 dx とすると、トネリの定理と極座標により
I2=∫R2e−(x2+y2) dx dy=∫02π∫0∞e−r2r dr dθ=2π⋅21=π
よって I=π、∫0∞e−x2 dx=2π。
(2)(球面の面積と球の体積)Rn で同様に計算すると、t=r2 の置換で ∫0∞e−r2rn−1 dr=21Γ(2n) だから
πn/2=∫Rne−∣x∣2 dx=σ(Sn−1)⋅21Γ(2n),σ(Sn−1)=Γ(n/2)2πn/2
f=1B(0,1) とすれば単位球の体積は σ(Sn−1)/n=πn/2/Γ(2n+1)。n=3 なら 4π と 34π である。
(3) ∫∣x∣<1∣x∣−a dx=σ(Sn−1)∫01rn−1−a dr は a<n のとき、かつそのときに限り有限で、∫∣x∣>1∣x∣−a dx は a>n のとき、かつそのときに限り有限である。次元 n が特異性の許容限界を決める。
まとめ
- 直積 σ-加法族は可測長方形で生成され、その元や可測関数の切り口は可測である。B(Rm)⊗B(Rn)=B(Rm+n)。
- σ-有限な測度の直積測度は、切り口の測度の積分として π-λ 定理で構成され、長方形上の値で一意に決まる。
- トネリ:非負可測関数は無条件に積分の順序を交換できる。フビニ:可積分関数も交換できる。まずトネリで ∬∣f∣<∞ を確かめるのが定石である。
- 可積分性・σ-有限性・可測性のどれを欠いても、累次積分は一致しないことがある。
- 畳み込みについて ∥f∗g∥p≤∥f∥p∥g∥1 が成り立ち、近似単位元との畳み込みは Lp および一様に f を近似する。
- 変数変換公式はヤコビ行列式の絶対値を掛けて成り立つ。極座標でガウス積分、球面の面積、∣x∣−a の可積分性が計算できる。
演習問題
問題 5.1 ★ 0<a<b のとき ∫0∞xe−ax−e−bx dx=logab を示せ。
解答
xe−ax−e−bx=∫abe−tx dt で被積分関数は非負だから、トネリの定理より ∫0∞∫abe−tx dt dx=∫ab∫0∞e−tx dx dt=∫abtdt=logab。
問題 5.2 ★ (0,1)2 上の f(x,y)=(x+y)3x−y の二つの累次積分を計算し、f が (0,1)2 上で可積分でないことを結論せよ。
解答
f=(x+y)32x−(x+y)21 より ∫01f(x,y) dy=(x1−(x+1)2x)−(x1−x+11)=(x+1)21 で、∫01(x+1)2dx=21。f(y,x)=−f(x,y) だから逆順では −21。可積分ならフビニの定理より両者は一致するはずなので、f は可積分でない。
問題 5.3 ★★(ディリクレ積分)limA→∞∫0Axsinx dx=2π を示せ。x1=∫0∞e−xt dt を使え。
解答
[0,A]×[0,∞) 上で ∫0A∫0∞∣sinx∣e−xt dt dx=∫0Ax∣sinx∣ dx≤A<∞ だから、フビニの定理より
∫0Axsinx dx=∫0∞∫0Ae−xtsinx dx dt=∫0∞1+t21−e−At(tsinA+cosA) dt
(内側は e−xtsinx の原始関数 −1+t2e−xt(tsinx+cosx) から)。A≥1 なら ∣e−At(tsinA+cosA)∣≤(1+t)e−t≤1 だから被積分関数は 1+t22 で押さえられ、t>0 で e−At(⋯)→0。優収束定理より極限は ∫0∞1+t2dt=2π。
問題 5.4 ★★ p,q>0 に対し B(p,q)=∫01tp−1(1−t)q−1 dt とおく。B(p,q)=Γ(p+q)Γ(p)Γ(q) を示せ。
解答
トネリの定理と、内側の積分での置換 y=s−x により
Γ(p)Γ(q)=∫0∞∫0∞xp−1yq−1e−(x+y) dy dx=∫0∞∫x∞xp−1(s−x)q−1e−s ds dx
{0<x<s} 上の非負関数なので順序を交換し、内側で x=st と置換すると ∫0sxp−1(s−x)q−1 dx=sp+q−1B(p,q)。よって Γ(p)Γ(q)=B(p,q)∫0∞sp+q−1e−s ds=B(p,q)Γ(p+q)。
問題 5.5 ★★ μ を σ-有限、f≥0 を可測、1≤p<∞ とする。∫fp dμ=p∫0∞tp−1μ({f>t}) dt を示せ。
解答
f(x)p=∫0∞ptp−11{t<f(x)} dt である。E={(x,t)∣t<f(x)}=⋃q∈Q,q>0{f>q}×(0,q)(t<q<f(x) となる有理数 q をとる)は M⊗B((0,∞)) に属する。X×(0,∞) 上の非負可測関数 ptp−11E(x,t) にトネリの定理を使えば、∫fp dμ=∫0∞ptp−1μ(Et) dt で、Et={f>t}。
問題 5.6 ★★ 1≤p<∞、q を共役指数とし、f∈Lp(Rn)、g∈Lq(Rn) とする。f∗g はすべての点で定義され、有界かつ一様連続であることを示せ。これを用いて問題 2.6(シュタインハウスの定理)の別証明を与えよ。
解答
ヘルダーの不等式より ∫∣f(x−y)g(y)∣ dy≤∥f∥p∥g∥q なので、各点で絶対収束し有界である。また ∣(f∗g)(x+h)−(f∗g)(x)∣≤∥τhf−f∥p∥g∥q は x によらず、系 4.13 より h→0 で 0 に収束する。
シュタインハウス:0<λ(E)<∞ としてよい。u=1E∗1−E は連続で、w=−y と置換すると u(x)=∫1E(x+w)1E(w) dw=λ(E∩(E−x)) だから、u(0)=λ(E)>0。連続性より 0 の近傍 W で u>0 である。x∈W なら w∈E で x+w∈E となるものがあり、x=(x+w)−w∈E−E。
問題 5.7 ★★★(一般のヤングの不等式)1≤p,q,r<∞、p1+q1=1+r1 とする。∥f∗g∥r≤∥f∥p∥g∥q を示せ。
解答
p,q≤r に注意する(p1=1+r1−q1≥r1)。p=r なら q=1 で定理 5.14 に帰着し、q=r なら p=1 で f∗g=g∗f により同様に帰着するので、p,q<r とする。
∣f(x−y)g(y)∣=(∣f(x−y)∣p∣g(y)∣q)1/r⋅∣f(x−y)∣1−p/r⋅∣g(y)∣1−q/r
と分け、指数 r、r−ppr、r−qqr(逆数の和は p1+q1−r1=1)で 3 関数のヘルダーの不等式を y について使うと
∣(f∗g)(x)∣≤(∫∣f(x−y)∣p∣g(y)∣q dy)1/r∥f∥p1−p/r∥g∥q1−q/r
r 乗して x で積分し、トネリの定理で ∬∣f(x−y)∣p∣g(y)∣q dy dx=∥f∥pp∥g∥qq を使えば ∥f∗g∥rr≤∥f∥pr∥g∥qr。