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04 代数学(群・環・体) · 第 3 章

群の作用とシローの定理

目安 11〜15 時間定理など 17演習 10 問

この章の目標

  • 群の作用の言葉を理解し、軌道–固定部分群定理と類等式を使って数え上げができる
  • pp 群の中心が非自明であることを証明し、位数 p2p^2 の群を決定できる
  • コーシーの定理とシローの定理を証明し、それを使って与えられた位数の群の構造を調べられる
  • バーンサイドの補題で「回転・裏返しで重なるものを同一視した」数え上げができる

前提:第2章(剰余類、ラグランジュの定理、正規部分群、準同型定理、対応定理)

群はもともと「何かを動かすもの」として現れた。正多角形の対称性の群は頂点を動かし、GL⁡n(K)\operatorname{GL}_n(K) はベクトルを動かし、ガロア群は方程式の根を動かす。群がある集合を動かす様子を群の作用という。

作用を考える利点は、群の構造についての情報が「数え上げ」に変換されることである。作用で動く点の集まり(軌道)の大きさは群の位数の約数であり、集合全体の大きさは軌道の大きさの和である。この単純な事実から、pp 群の中心の非自明性、コーシーの定理、そして有限群論の基本定理であるシローの定理が次々に導かれる。シローの定理は「位数 nn の群はどんな構造をもちうるか」という問いに対する最も強力な道具である。

3.1 群の作用

定義 3.1(群の作用, group action)群 GG と集合 XX に対し、写像 G×X→XG \times X \to X, (g,x)↦g⋅x(g, x) \mapsto g \cdot x が

  1. 任意の x∈Xx \in X について e⋅x=xe \cdot x = x
  2. 任意の g,h∈Gg, h \in G, x∈Xx \in X について g⋅(h⋅x)=(gh)⋅xg \cdot (h \cdot x) = (gh) \cdot x

をみたすとき、これを GG の XX への(左)作用といい、GG は XX に作用する (act) という。XX を GG-集合 (GG-set) ともいう。

命題 3.2 GG の XX への作用が与えられたとき、ρ(g)(x)=g⋅x\rho(g)(x) = g \cdot x で定まる ρ ⁣:G→S(X)\rho\colon G \to \mathfrak{S}(X) は準同型写像である。逆に、準同型写像 ρ ⁣:G→S(X)\rho\colon G \to \mathfrak{S}(X) から g⋅x:=ρ(g)(x)g \cdot x := \rho(g)(x) により作用が定まる。

証明. 作用の条件 2 は ρ(g)∘ρ(h)=ρ(gh)\rho(g) \circ \rho(h) = \rho(gh) を意味し、条件 1 は ρ(e)=idX\rho(e) = \mathrm{id}_X を意味する。よって ρ(g)∘ρ(g−1)=ρ(g−1)∘ρ(g)=idX\rho(g) \circ \rho(g^{-1}) = \rho(g^{-1}) \circ \rho(g) = \mathrm{id}_X で、ρ(g)\rho(g) は全単射、すなわち ρ(g)∈S(X)\rho(g) \in \mathfrak{S}(X) であり、ρ\rho は準同型である。逆に準同型 ρ\rho が与えられれば、ρ(e)=idX\rho(e) = \mathrm{id}_X(命題 2.39)と ρ(g)ρ(h)=ρ(gh)\rho(g)\rho(h) = \rho(gh) が作用の 2 条件そのものである。□\square

Ker⁡ρ={g∈G∣すべての x について g⋅x=x}\operatorname{Ker} \rho = \lbrace g \in G \mid \text{すべての } x \text{ について } g \cdot x = x \rbrace を作用の核といい、Ker⁡ρ={e}\operatorname{Ker} \rho = \lbrace e \rbrace のとき作用は忠実 (faithful) であるという。忠実な作用は GG を S(X)\mathfrak{S}(X) の部分群と同一視することを可能にする。

例 3.3

  1. Sn\mathfrak{S}_n は {1,…,n}\lbrace 1, \dots, n \rbrace に σ⋅i=σ(i)\sigma \cdot i = \sigma(i) で作用する。GL⁡n(K)\operatorname{GL}_n(K) は KnK^n に A⋅v=AvA \cdot v = Av で作用する。
  2. DnD_n は正 nn 角形の頂点の集合に作用する。これは忠実なので(頂点の行き先で合同変換は決まる)、DnD_n は Sn\mathfrak{S}_n の位数 2n2n の部分群と同一視できる。
  3. 左乗法:GG は GG 自身に g⋅x=gxg \cdot x = gx で作用する。
  4. 共役作用:GG は GG 自身に g⋅x=gxg−1g \cdot x = gxg^{-1} で作用する。g⋅(h⋅x)=ghxh−1g−1=(gh)⋅xg \cdot (h \cdot x) = ghxh^{-1}g^{-1} = (gh) \cdot x である。
  5. 剰余類への作用:H≤GH \leq G に対し、GG は左剰余類の集合 G/HG/H に g⋅aH=gaHg \cdot aH = gaH で作用する。
  6. 部分群への共役作用:GG は GG の部分群全体の集合に g⋅H=gHg−1g \cdot H = gHg^{-1} で作用する。
  7. 作用でない例:g⋅x=xgg \cdot x = xg(右からの積)は、g⋅(h⋅x)=xhgg \cdot (h \cdot x) = xhg と (gh)⋅x=xgh(gh) \cdot x = xgh が一般に異なるので左作用ではない。g⋅x=xg−1g \cdot x = xg^{-1} とすれば左作用になる。

3.2 軌道と固定部分群

定義 3.4(軌道と固定部分群)GG が XX に作用しているとする。x∈Xx \in X に対し

G⋅x={g⋅x∣g∈G},Gx={g∈G∣g⋅x=x}G \cdot x = \lbrace g \cdot x \mid g \in G \rbrace, \qquad G_x = \lbrace g \in G \mid g \cdot x = x \rbrace

をそれぞれ xx の軌道 (orbit)、固定部分群(安定化群, stabilizer)という。軌道がただ一つ(XX 全体)のとき、作用は推移的 (transitive) であるという。G⋅x={x}G \cdot x = \lbrace x \rbrace となる xx を固定点 (fixed point) といい、固定点全体を XGX^G と書く。

命題 3.5

  1. x∼y  ⟺  x \sim y \iff ある g∈Gg \in G で y=g⋅xy = g \cdot x、で定まる関係は同値関係で、同値類は軌道である。特に XX は軌道の非交和である。
  2. GxG_x は GG の部分群であり、Gg⋅x=gGxg−1G_{g \cdot x} = gG_xg^{-1} が成り立つ。

証明. (1) x=e⋅xx = e \cdot x、y=g⋅x⇒x=g−1⋅yy = g \cdot x \Rightarrow x = g^{-1} \cdot y、y=g⋅xy = g \cdot x, z=h⋅y⇒z=(hg)⋅xz = h \cdot y \Rightarrow z = (hg) \cdot x から反射律・対称律・推移律が従う。(2) g,h∈Gxg, h \in G_x なら (gh−1)⋅x=g⋅(h−1⋅x)=g⋅x=x(gh^{-1}) \cdot x = g \cdot (h^{-1} \cdot x) = g \cdot x = x(h⋅x=xh \cdot x = x の両辺に h−1h^{-1} を作用させると x=h−1⋅xx = h^{-1} \cdot x)。また h∈Gg⋅x  ⟺  hg⋅x=g⋅x  ⟺  g−1hg∈Gx  ⟺  h∈gGxg−1h \in G_{g \cdot x} \iff hg \cdot x = g \cdot x \iff g^{-1}hg \in G_x \iff h \in gG_xg^{-1}。□\square

定理 3.6(軌道–固定部分群定理, orbit-stabilizer theorem)GG が XX に作用しているとき、x∈Xx \in X に対し

G/Gx→G⋅x,gGx↦g⋅xG/G_x \to G \cdot x, \qquad gG_x \mapsto g \cdot x

は well-defined な全単射である。特に ∣G⋅x∣=[G:Gx]\lvert G \cdot x \rvert = [G : G_x] であり、GG が有限群なら ∣G⋅x∣∣Gx∣=∣G∣\lvert G \cdot x \rvert \lvert G_x \rvert = \lvert G \rvert、したがって軌道の大きさは ∣G∣\lvert G \rvert の約数である。

証明. gGx=hGx  ⟺  g−1h∈Gx  ⟺  g−1h⋅x=x  ⟺  h⋅x=g⋅xgG_x = hG_x \iff g^{-1}h \in G_x \iff g^{-1}h \cdot x = x \iff h \cdot x = g \cdot x。左から右が well-defined 性、右から左が単射性を与える。全射性は軌道の定義から明らか。後半はラグランジュの定理による。□\square

XX が有限集合で、軌道の代表元を x1,…,xrx_1, \dots, x_r とすると、命題 3.5 と定理 3.6 から

∣X∣=∑i=1r∣G⋅xi∣=∑i=1r[G:Gxi](1)\lvert X \rvert = \sum_{i=1}^{r} \lvert G \cdot x_i \rvert = \sum_{i=1}^{r} [G : G_{x_i}] \tag{1}

が成り立つ。これを軌道分解の式とよぶ。本章の議論はすべてこの式の応用である。

例 3.7

  1. Sn\mathfrak{S}_n の {1,…,n}\lbrace 1, \dots, n \rbrace への作用は推移的で、nn の固定部分群は {1,…,n−1}\lbrace 1, \dots, n-1 \rbrace の置換全体(Sn−1\mathfrak{S}_{n-1} と同一視できる)である。定理 3.6 より n!=n⋅(n−1)!n! = n \cdot (n-1)!。
  2. DnD_n の頂点への作用は推移的で、頂点 P0P_0 の固定部分群は {e,s}\lbrace e, s \rbrace である。2n=n⋅22n = n \cdot 2。
  3. 立方体の回転群:立方体を自分自身に重ねる空間の回転全体を GG とする。GG は 6 つの面に推移的に作用し、1 つの面の固定部分群はその面の中心を通る軸のまわりの 0∘,90∘,180∘,270∘0^\circ, 90^\circ, 180^\circ, 270^\circ 回転の 4 個である。よって ∣G∣=6⋅4=24\lvert G \rvert = 6 \cdot 4 = 24。頂点への作用(8 頂点、固定部分群は頂点を通る対角線のまわりの 3 個の回転)で数えても 8⋅3=248 \cdot 3 = 24、辺への作用(12 辺、固定部分群は 2 個)で数えても 12⋅2=2412 \cdot 2 = 24 となる。具体的には、GG は恒等変換 1 個、面の中心を通る 3 本の軸のまわりの ±90∘\pm 90^\circ 回転 6 個と 180∘180^\circ 回転 3 個、頂点を通る 4 本の軸のまわりの ±120∘\pm 120^\circ 回転 8 個、向かい合う辺の中点を通る 6 本の軸のまわりの 180∘180^\circ 回転 6 個からなる(1+6+3+8+6=241 + 6 + 3 + 8 + 6 = 24)。

3.3 ケイリーの定理と剰余類への作用

定理 3.8(ケイリーの定理, Cayley's theorem)任意の群 GG は S(G)\mathfrak{S}(G) のある部分群と同型である。特に位数 nn の有限群は Sn\mathfrak{S}_n のある部分群と同型である。

証明. 左乗法による作用(例 3.3(3))に対応する準同型 ρ ⁣:G→S(G)\rho\colon G \to \mathfrak{S}(G) を考える。ρ(g)=id\rho(g) = \mathrm{id} なら g=g⋅e=eg = g \cdot e = e なので ρ\rho は単射であり、第 1 同型定理より G≅ρ(G)≤S(G)G \cong \rho(G) \leq \mathfrak{S}(G)。∣G∣=n\lvert G \rvert = n なら GG の元に 1,…,n1, \dots, n と番号をつけて S(G)≅Sn\mathfrak{S}(G) \cong \mathfrak{S}_n とすればよい。□\square

たとえば Z/3Z={0‾,1‾,2‾}\mathbb{Z}/3\mathbb{Z} = \lbrace \overline{0}, \overline{1}, \overline{2} \rbrace で元に番号 1,2,31, 2, 3 をつけると、1‾\overline{1} の左乗法(加法)は 1↦2↦3↦11 \mapsto 2 \mapsto 3 \mapsto 1 なので、Z/3Z≅⟨(1 2 3)⟩≤S3\mathbb{Z}/3\mathbb{Z} \cong \langle (1\ 2\ 3) \rangle \leq \mathfrak{S}_3 となる。ケイリーの定理は「対称群を調べればすべての有限群を調べたことになる」ことを意味するが、Sn\mathfrak{S}_n は nn に比べて巨大なので、実用上は次のように小さな集合への作用を使うことが多い。

命題 3.9 H≤GH \leq G, [G:H]=n<∞[G : H] = n < \infty とし、ρ ⁣:G→S(G/H)≅Sn\rho\colon G \to \mathfrak{S}(G/H) \cong \mathfrak{S}_n を剰余類への作用(例 3.3(5))に対応する準同型とする。このとき

Ker⁡ρ=⋂g∈GgHg−1⊂H\operatorname{Ker} \rho = \bigcap_{g \in G} gHg^{-1} \subset H

であり、G/Ker⁡ρG/\operatorname{Ker} \rho は Sn\mathfrak{S}_n の部分群と同型である。特に GG が有限群で ∣G∣\lvert G \rvert が n!n! を割り切らなければ、GG は HH に含まれる {e}\lbrace e \rbrace でない正規部分群をもつ。

証明. x∈Ker⁡ρ  ⟺  x \in \operatorname{Ker} \rho \iff 任意の gg で xgH=gH  ⟺  xgH = gH \iff 任意の gg で g−1xg∈H  ⟺  g^{-1}xg \in H \iff 任意の gg で x∈gHg−1x \in gHg^{-1}。g=eg = e の項から Ker⁡ρ⊂H\operatorname{Ker} \rho \subset H。第 1 同型定理より G/Ker⁡ρ≅ρ(G)≤SnG/\operatorname{Ker} \rho \cong \rho(G) \leq \mathfrak{S}_n なので、ラグランジュの定理より ∣G/Ker⁡ρ∣\lvert G/\operatorname{Ker} \rho \rvert は n!n! を割る。∣G∣∤n!\lvert G \rvert \nmid n! なら Ker⁡ρ≠{e}\operatorname{Ker} \rho \neq \lbrace e \rbrace である。□\square

系 3.10 有限群 GG の位数を割る最小の素数を pp とする。指数 pp の部分群 HH は正規部分群である。

証明. 命題 3.9 の K=Ker⁡ρ⊂HK = \operatorname{Ker} \rho \subset H をとる。G/KG/K は Sp\mathfrak{S}_p の部分群と同型なので ∣G/K∣=[G:H][H:K]=p[H:K]\lvert G/K \rvert = [G : H][H : K] = p[H : K] は p!p! を割り、[H:K][H : K] は (p−1)!(p-1)! を割る。一方 [H:K][H : K] は ∣G∣\lvert G \rvert の約数なので、その素因数はすべて pp 以上である。(p−1)!(p-1)! の素因数はすべて pp 未満なので [H:K]=1[H : K] = 1、すなわち H=K⊴GH = K \trianglelefteq G。□\square

p=2p = 2 の場合が「指数 2 の部分群は正規」(例 2.35)である。

3.4 共役類と類等式

群 GG の自分自身への共役作用 g⋅x=gxg−1g \cdot x = gxg^{-1} を考える。xx の軌道 {gxg−1∣g∈G}\lbrace gxg^{-1} \mid g \in G \rbrace を xx の共役類 (conjugacy class) といい、xx の固定部分群は中心化群 CG(x)={g∣gx=xg}C_G(x) = \lbrace g \mid gx = xg \rbrace である。定理 3.6 より、共役類の大きさは [G:CG(x)][G : C_G(x)] である。xx の共役類が {x}\lbrace x \rbrace だけ   ⟺  \iff x∈Z(G)x \in Z(G) である。

定理 3.11(類等式, class equation)GG を有限群とし、Z(G)Z(G) に含まれない元の共役類の代表元を x1,…,xrx_1, \dots, x_r とすると

∣G∣=∣Z(G)∣+∑i=1r[G:CG(xi)]\lvert G \rvert = \lvert Z(G) \rvert + \sum_{i=1}^{r} [G : C_G(x_i)]

が成り立つ。右辺の各 [G:CG(xi)][G : C_G(x_i)] は 11 より大きい ∣G∣\lvert G \rvert の約数である。

証明. 共役作用に軌道分解の式 (1) を適用し、大きさ 1 の軌道(中心の元)をまとめればよい。□\square

共役類を計算するには、置換の共役についての次の公式が便利である。

補題 3.12 σ∈Sn\sigma \in \mathfrak{S}_n と巡回置換 (a1 a2 ⋯ ak)(a_1\ a_2\ \cdots\ a_k) について

σ(a1 a2 ⋯ ak)σ−1=(σ(a1) σ(a2) ⋯ σ(ak))\sigma (a_1\ a_2\ \cdots\ a_k) \sigma^{-1} = (\sigma(a_1)\ \sigma(a_2)\ \cdots\ \sigma(a_k))

証明. c=(a1 ⋯ ak)c = (a_1\ \cdots\ a_k) とおく。σcσ−1(σ(ai))=σ(c(ai))=σ(ai+1)\sigma c \sigma^{-1}(\sigma(a_i)) = \sigma(c(a_i)) = \sigma(a_{i+1})(添字は kk を法とする)。b∉{σ(a1),…,σ(ak)}b \notin \lbrace \sigma(a_1), \dots, \sigma(a_k) \rbrace なら σ−1(b)∉{a1,…,ak}\sigma^{-1}(b) \notin \lbrace a_1, \dots, a_k \rbrace なので cc で動かず、σcσ−1(b)=b\sigma c \sigma^{-1}(b) = b。□\square

特に、置換を互いに素な巡回置換の積に分解したときの「巡回置換の長さの組」(型)は共役で変わらない。逆に同じ型の置換は共役である(第4章で示す)。

例 3.13(類等式の計算)

  1. S3\mathfrak{S}_3(第2章の記号で σ=(1 2 3)\sigma = (1\ 2\ 3), τ=(1 2)\tau = (1\ 2)):共役類は {e}\lbrace e \rbrace, {σ,σ2}\lbrace \sigma, \sigma^2 \rbrace, {τ,στ,σ2τ}\lbrace \tau, \sigma\tau, \sigma^2\tau \rbrace で、6=1+2+36 = 1 + 2 + 3。実際 τστ−1=σ2\tau\sigma\tau^{-1} = \sigma^2、στσ−1=σ2τ\sigma\tau\sigma^{-1} = \sigma^2\tau、σ2τσ−2=στ\sigma^2\tau\sigma^{-2} = \sigma\tau。
  2. D4D_4:srs−1=r3srs^{-1} = r^3、rsr−1=r2srsr^{-1} = r^2s、r(rs)r−1=r3sr(rs)r^{-1} = r^3s などから、共役類は {e}\lbrace e \rbrace, {r2}\lbrace r^2 \rbrace, {r,r3}\lbrace r, r^3 \rbrace, {s,r2s}\lbrace s, r^2s \rbrace, {rs,r3s}\lbrace rs, r^3s \rbrace で、類等式は 8=∣Z(D4)∣+2+2+28 = \lvert Z(D_4) \rvert + 2 + 2 + 2(Z(D4)={e,r2}Z(D_4) = \lbrace e, r^2 \rbrace)。
  3. Q8Q_8:jij−1=−ijij^{-1} = -i などから、共役類は {1}\lbrace 1 \rbrace, {−1}\lbrace -1 \rbrace, {±i}\lbrace \pm i \rbrace, {±j}\lbrace \pm j \rbrace, {±k}\lbrace \pm k \rbrace で、類等式は 8=∣Z(Q8)∣+2+2+28 = \lvert Z(Q_8) \rvert + 2 + 2 + 2(Z(Q8)={±1}Z(Q_8) = \lbrace \pm 1 \rbrace)。D4D_4 と Q8Q_8 は同型でないが、類等式は同じ形である。
  4. S4\mathfrak{S}_4:型ごとに数えると、単位元 1 個、互換 (42)=6\binom{4}{2} = 6 個、(a b)(c d)(a\ b)(c\ d) の形 3 個、長さ 3 の巡回置換 4⋅2=84 \cdot 2 = 8 個、長さ 4 の巡回置換 3!=63! = 6 個で、24=1+6+3+8+624 = 1 + 6 + 3 + 8 + 6。各項が 24 の約数であることを確かめよ。

3.5 pp 群

以下 pp は素数とする。

定義 3.14(pp 群)位数が pp のべき pnp^n(n≥0n \geq 0)である有限群を pp 群 (pp-group) という。

命題 3.15(固定点の個数)pp 群 GG が有限集合 XX に作用するならば、∣X∣≡∣XG∣(modp)\lvert X \rvert \equiv \lvert X^G \rvert \pmod{p}。

証明. 軌道分解の式 (1) で、大きさ 1 の軌道はちょうど固定点に対応する。それ以外の軌道の大きさは ∣G∣=pn\lvert G \rvert = p^n の 11 でない約数なので pp で割り切れる。□\square

定理 3.16 G≠{e}G \neq \lbrace e \rbrace を pp 群とすると、Z(G)≠{e}Z(G) \neq \lbrace e \rbrace である。

証明. 共役作用に命題 3.15 を適用すると、固定点全体は Z(G)Z(G) なので ∣Z(G)∣≡∣G∣≡0(modp)\lvert Z(G) \rvert \equiv \lvert G \rvert \equiv 0 \pmod{p}。e∈Z(G)e \in Z(G) より ∣Z(G)∣≥1\lvert Z(G) \rvert \geq 1 なので ∣Z(G)∣≥p\lvert Z(G) \rvert \geq p。□\square

系 3.17 位数 p2p^2 の群は可換であり、Z/p2Z\mathbb{Z}/p^2\mathbb{Z} または Z/pZ×Z/pZ\mathbb{Z}/p\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} に同型である。

証明. ∣G∣=p2\lvert G \rvert = p^2 とする。定理 3.16 より ∣Z(G)∣∈{p,p2}\lvert Z(G) \rvert \in \lbrace p, p^2 \rbrace。∣Z(G)∣=p\lvert Z(G) \rvert = p なら G/Z(G)G/Z(G) は位数 pp で巡回群となり、第2章 問題 2.5 より GG は可換、すると Z(G)=GZ(G) = G で矛盾。よって Z(G)=GZ(G) = G、GG は可換である。

GG が位数 p2p^2 の元をもてば G≅Z/p2ZG \cong \mathbb{Z}/p^2\mathbb{Z}。もたなければ、ee 以外の元の位数はすべて pp である。a≠ea \neq e をとり b∉⟨a⟩b \notin \langle a \rangle をとると、⟨a⟩∩⟨b⟩\langle a \rangle \cap \langle b \rangle は位数 pp の群 ⟨b⟩\langle b \rangle の真部分群なので {e}\lbrace e \rbrace。f ⁣:Z/pZ×Z/pZ→Gf\colon \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/p\mathbb{Z} \to G, (i‾,j‾)↦aibj(\overline{i}, \overline{j}) \mapsto a^ib^j は GG が可換なので準同型であり、aibj=ea^ib^j = e なら ai=b−j∈⟨a⟩∩⟨b⟩={e}a^i = b^{-j} \in \langle a \rangle \cap \langle b \rangle = \lbrace e \rbrace より i‾=j‾=0‾\overline{i} = \overline{j} = \overline{0} なので単射。位数が等しいので ff は同型である。□\square

位数 p3p^3 になると非可換な群が現れる(D4D_4, Q8Q_8 は位数 232^3)。

命題 3.18 ∣G∣=pn\lvert G \rvert = p^n ならば、各 0≤k≤n0 \leq k \leq n に対し GG は位数 pkp^k の正規部分群をもつ。

証明. nn についての帰納法。n=0n = 0 は明らか。n≥1n \geq 1 とし、k≥1k \geq 1 とする(k=0k = 0 は {e}\lbrace e \rbrace)。定理 3.16 より Z(G)Z(G) は ee 以外の元 zz をもち、その位数を pmp^m(m≥1m \geq 1)とすると z0=zpm−1z_0 = z^{p^{m-1}} は位数 pp である。N=⟨z0⟩N = \langle z_0 \rangle は中心に含まれるので GG の正規部分群で、∣G/N∣=pn−1\lvert G/N \rvert = p^{n-1}。帰納法の仮定より G/NG/N は位数 pk−1p^{k-1} の正規部分群 H‾\overline{H} をもつ。対応定理(定理 2.47)より H=π−1(H‾)H = \pi^{-1}(\overline{H}) は NN を含む GG の正規部分群で、∣H∣=∣N∣∣H‾∣=pk\lvert H \rvert = \lvert N \rvert \lvert \overline{H} \rvert = p^k。□\square

3.6 コーシーの定理

ラグランジュの定理の逆は一般には成り立たないが(例 2.32)、素数については成り立つ。

定理 3.19(コーシーの定理, Cauchy's theorem)GG を有限群、pp を ∣G∣\lvert G \rvert を割る素数とすると、GG は位数 pp の元をもつ。

証明. 集合

X={(x1,x2,…,xp)∈Gp∣x1x2⋯xp=e}X = \lbrace (x_1, x_2, \dots, x_p) \in G^p \mid x_1x_2\cdots x_p = e \rbrace

を考える。x1,…,xp−1x_1, \dots, x_{p-1} を任意に選ぶと xp=(x1⋯xp−1)−1x_p = (x_1 \cdots x_{p-1})^{-1} が決まるので ∣X∣=∣G∣p−1\lvert X \rvert = \lvert G \rvert^{p-1} であり、これは pp で割り切れる。x1x2⋯xp=ex_1 x_2 \cdots x_p = e ならば x2⋯xpx1=x1−1(x1x2⋯xp)x1=ex_2 \cdots x_p x_1 = x_1^{-1}(x_1 x_2 \cdots x_p)x_1 = e なので、巡回シフト (x1,x2,…,xp)↦(x2,…,xp,x1)(x_1, x_2, \dots, x_p) \mapsto (x_2, \dots, x_p, x_1) は XX からそれ自身への写像を定める。これを pp 回繰り返すと恒等写像なので、Z/pZ\mathbb{Z}/p\mathbb{Z} が「k‾\overline{k} は kk 回シフトする」ことで XX に作用する。この作用の固定点は (x,x,…,x)(x, x, \dots, x)(xp=ex^p = e)の形の元である。命題 3.15 より固定点の個数は ∣X∣≡0(modp)\lvert X \rvert \equiv 0 \pmod p と合同であり、(e,…,e)(e, \dots, e) が固定点なので、固定点は少なくとも pp 個ある。したがって x≠ex \neq e, xp=ex^p = e となる xx が存在し、pp は素数なので ord⁡(x)=p\operatorname{ord}(x) = p である。□\square

例 3.20 位数 6 の群 GG は Z/6Z\mathbb{Z}/6\mathbb{Z} か S3\mathfrak{S}_3 に同型である。実際、コーシーの定理より位数 3 の元 aa と位数 2 の元 bb がある。N=⟨a⟩N = \langle a \rangle は指数 2 なので正規であり、bab−1∈Nbab^{-1} \in N は位数 3 だから aa または a2a^2。G={aibj∣0≤i<3,0≤j<2}G = \lbrace a^ib^j \mid 0 \leq i < 3, 0 \leq j < 2 \rbrace(6 個は相異なる)であり、bab−1=abab^{-1} = a なら GG は可換で abab の位数は 6(第2章 問題 2.3)、よって G≅Z/6ZG \cong \mathbb{Z}/6\mathbb{Z}。bab−1=a2=a−1bab^{-1} = a^2 = a^{-1} なら積の規則が S3\mathfrak{S}_3(σ↔a\sigma \leftrightarrow a, τ↔b\tau \leftrightarrow b)と一致し、G≅S3G \cong \mathfrak{S}_3。

3.7 シローの定理

定義 3.21(シロー部分群)GG を有限群、pp を素数とし、∣G∣=pam\lvert G \rvert = p^a m(p∤mp \nmid m)と書く。位数 pap^a の部分群を GG のシロー pp 部分群 (Sylow pp-subgroup) という。その全体を Syl⁡p(G)\operatorname{Syl}_p(G) と書き、np=∣Syl⁡p(G)∣n_p = \lvert \operatorname{Syl}_p(G) \rvert とおく。また部分群 HH に対し NG(H)={g∈G∣gHg−1=H}N_G(H) = \lbrace g \in G \mid gHg^{-1} = H \rbrace を HH の正規化群 (normalizer) という。

NG(H)N_G(H) は部分群への共役作用(例 3.3(6))における HH の固定部分群であり、H⊴NG(H)H \trianglelefteq N_G(H) である。定理 3.6 より、HH と共役な部分群の個数は [G:NG(H)][G : N_G(H)] である。

定理 3.22(シローの定理, Sylow theorems)GG を有限群、pp を素数とし、∣G∣=pam\lvert G \rvert = p^a m(p∤mp \nmid m)とする。

  1. (存在)GG はシロー pp 部分群をもつ。
  2. (共役性)PP を GG のシロー pp 部分群とすると、GG の任意の pp 部分群 HH(位数が pp のべきの部分群)に対し、H⊂gPg−1H \subset gPg^{-1} となる g∈Gg \in G が存在する。特に、シロー pp 部分群はすべて互いに共役である。
  3. (個数)np≡1(modp)n_p \equiv 1 \pmod{p} かつ np∣mn_p \mid m である。より詳しく、np=[G:NG(P)]n_p = [G : N_G(P)] である。

証明. (1) ∣G∣\lvert G \rvert についての帰納法で示す。a=0a = 0 なら {e}\lbrace e \rbrace がシロー部分群なので、a≥1a \geq 1 とする。

(i) p∣∣Z(G)∣p \mid \lvert Z(G) \rvert の場合:コーシーの定理より位数 pp の z∈Z(G)z \in Z(G) がある。N=⟨z⟩N = \langle z \rangle は中心に含まれるので正規で、∣G/N∣=pa−1m\lvert G/N \rvert = p^{a-1}m。帰納法の仮定より G/NG/N は位数 pa−1p^{a-1} の部分群 P‾\overline{P} をもち、対応定理より P=π−1(P‾)P = \pi^{-1}(\overline{P}) は位数 p⋅pa−1=pap \cdot p^{a-1} = p^a の部分群である。

(ii) p∤∣Z(G)∣p \nmid \lvert Z(G) \rvert の場合:類等式 ∣G∣=∣Z(G)∣+∑i[G:CG(xi)]\lvert G \rvert = \lvert Z(G) \rvert + \sum_i [G : C_G(x_i)] で、左辺は pp で割り切れ、∣Z(G)∣\lvert Z(G) \rvert は割り切れないので、ある ii について p∤[G:CG(xi)]p \nmid [G : C_G(x_i)]。C=CG(xi)C = C_G(x_i) とおくと ∣C∣=∣G∣/[G:C]\lvert C \rvert = \lvert G \rvert/[G : C] は pap^a で割り切れ、[G:C]>1[G : C] > 1 より ∣C∣<∣G∣\lvert C \rvert < \lvert G \rvert。帰納法の仮定より CC は位数 pap^a の部分群をもち、それが GG のシロー pp 部分群である。

(2) HH を左乗法で G/PG/P に作用させる(例 3.3(5) の制限)。∣G/P∣=m\lvert G/P \rvert = m は pp で割り切れないので、命題 3.15 より固定点 gPgP が存在する。すべての h∈Hh \in H について hgP=gPhgP = gP、すなわち g−1hg∈Pg^{-1}hg \in P だから H⊂gPg−1H \subset gPg^{-1}。HH もシロー pp 部分群なら、位数が等しいので H=gPg−1H = gPg^{-1}。

(3) (2) より Syl⁡p(G)\operatorname{Syl}_p(G) は PP の共役全体なので、np=[G:NG(P)]n_p = [G : N_G(P)]。P≤NG(P)P \leq N_G(P) より [G:P]=[G:NG(P)][NG(P):P][G : P] = [G : N_G(P)][N_G(P) : P] なので np∣mn_p \mid m。

次に PP を共役で Syl⁡p(G)\operatorname{Syl}_p(G) に作用させる。Q∈Syl⁡p(G)Q \in \operatorname{Syl}_p(G) が固定点   ⟺  \iff すべての x∈Px \in P について xQx−1=QxQx^{-1} = Q   ⟺  P≤NG(Q)\iff P \leq N_G(Q)。このとき PP と QQ はどちらも NG(Q)N_G(Q) のシロー pp 部分群であり(位数 pap^a は ∣NG(Q)∣\lvert N_G(Q) \rvert を割る pp の最大べき)、NG(Q)N_G(Q) に (2) を適用すると P=nQn−1P = nQn^{-1}(n∈NG(Q)n \in N_G(Q))=Q= Q。よって固定点は PP だけであり、命題 3.15 より np≡1(modp)n_p \equiv 1 \pmod p。□\square

系 3.23 P∈Syl⁡p(G)P \in \operatorname{Syl}_p(G) について、P⊴G  ⟺  np=1P \trianglelefteq G \iff n_p = 1。

証明. np=[G:NG(P)]n_p = [G : N_G(P)] であり、np=1  ⟺  NG(P)=G  ⟺  P⊴Gn_p = 1 \iff N_G(P) = G \iff P \trianglelefteq G。□\square

ヒント

シローの定理を使うときの定型手順:(1) ∣G∣\lvert G \rvert を素因数分解する。(2) 各素因数 pp について、np∣mn_p \mid m かつ np≡1(modp)n_p \equiv 1 \pmod p をみたす npn_p の候補を列挙する。(3) 候補が 1 だけなら、シロー pp 部分群は正規。(4) そうでなければ、相異なるシロー pp 部分群(位数 pp なら交わりは {e}\lbrace e \rbrace)に含まれる元を数えて矛盾を導く。

例 3.24

  1. S3\mathfrak{S}_3(6=2⋅36 = 2 \cdot 3):n3∣2n_3 \mid 2, n3≡1(mod3)n_3 \equiv 1 \pmod 3 より n3=1n_3 = 1(⟨σ⟩\langle \sigma \rangle)。n2∣3n_2 \mid 3 より n2∈{1,3}n_2 \in \lbrace 1, 3 \rbrace で、実際には ⟨τ⟩,⟨στ⟩,⟨σ2τ⟩\langle \tau \rangle, \langle \sigma\tau \rangle, \langle \sigma^2\tau \rangle の 3 個。
  2. A4\mathfrak{A}_4(12=22⋅312 = 2^2 \cdot 3):位数 3 の元は長さ 3 の巡回置換 8 個で、位数 3 の部分群は 8/2=48/2 = 4 個なので n3=4n_3 = 4(≡1(mod3)\equiv 1 \pmod 3, 4∣44 \mid 4)。位数 4 の部分群は V={e,(1 2)(3 4),(1 3)(2 4),(1 4)(2 3)}V = \lbrace e, (1\ 2)(3\ 4), (1\ 3)(2\ 4), (1\ 4)(2\ 3) \rbrace ただ一つで、n2=1n_2 = 1、V⊴A4V \trianglelefteq \mathfrak{A}_4。
  3. GL⁡2(Fp)\operatorname{GL}_2(\mathbb{F}_p)(位数 (p2−1)(p2−p)=p(p−1)2(p+1)(p^2-1)(p^2-p) = p(p-1)^2(p+1)):上三角で対角成分がともに 1 の行列全体 UU((1,2)(1, 2) 成分 b∈Fpb \in \mathbb{F}_p だけが自由)は位数 pp でシロー pp 部分群である。UU の正規化群は上三角行列全体 BB(位数 (p−1)2p(p-1)^2p)であることが計算で確かめられ、np=[GL⁡2(Fp):B]=p+1n_p = [\operatorname{GL}_2(\mathbb{F}_p) : B] = p + 1。これは Fp2\mathbb{F}_p^2 の 1 次元部分空間の個数に等しい(各シロー pp 部分群はちょうど一つの直線を固定する)。

3.8 シローの定理の応用

定理 3.25(位数 pqpq の群)p<qp < q を素数とし、∣G∣=pq\lvert G \rvert = pq とする。

  1. シロー qq 部分群は GG の正規部分群である。
  2. p∤q−1p \nmid q - 1 ならば GG は巡回群であり、G≅Z/pqZG \cong \mathbb{Z}/pq\mathbb{Z}。

証明. (1) nq∣pn_q \mid p かつ nq≡1(modq)n_q \equiv 1 \pmod q。nq∈{1,p}n_q \in \lbrace 1, p \rbrace だが 1<p<q1 < p < q なので p≢1(modq)p \not\equiv 1 \pmod q、よって nq=1n_q = 1。

(2) np∣qn_p \mid q かつ np≡1(modp)n_p \equiv 1 \pmod p で、np=qn_p = q は p∣q−1p \mid q - 1 を意味するので除外され、np=1n_p = 1。よってシロー部分群 P=⟨x⟩P = \langle x \rangle(位数 pp)、Q=⟨y⟩Q = \langle y \rangle(位数 qq)はともに正規で、ラグランジュの定理より P∩Q={e}P \cap Q = \lbrace e \rbrace。xyx−1y−1xyx^{-1}y^{-1} は (xyx−1)y−1∈Q(xyx^{-1})y^{-1} \in Q かつ x(yx−1y−1)∈Px(yx^{-1}y^{-1}) \in P なので ee であり、xy=yxxy = yx。第2章 問題 2.3 より ord⁡(xy)=pq\operatorname{ord}(xy) = pq で、G=⟨xy⟩G = \langle xy \rangle。□\square

例 3.26

  1. 位数 15 の群は巡回群である(p=3p = 3, q=5q = 5, 3∤43 \nmid 4)。同様に位数 33=3⋅1133 = 3 \cdot 11, 35=5⋅735 = 5 \cdot 7, 51=3⋅1751 = 3 \cdot 17, 65=5⋅1365 = 5 \cdot 13 の群はすべて巡回群である。
  2. 位数 6=2⋅36 = 2 \cdot 3 や 21=3⋅721 = 3 \cdot 7 では p∣q−1p \mid q - 1 であり、実際に非可換な群(S3\mathfrak{S}_3 や、第4章で半直積として構成する位数 21 の群)が存在する。
  3. 位数 2q2q(qq は奇素数)の群は Z/2qZ\mathbb{Z}/2q\mathbb{Z} か DqD_q に同型である(例 3.20 と同様の議論。問題 3.4)。

例 3.27(位数 12 の群)位数 12 の群 GG は、正規なシロー 3 部分群か正規なシロー 2 部分群をもつ。実際、n3∣4n_3 \mid 4, n3≡1(mod3)n_3 \equiv 1 \pmod 3 より n3∈{1,4}n_3 \in \lbrace 1, 4 \rbrace。n3=4n_3 = 4 とすると、4 つの位数 3 の部分群はどの 2 つも {e}\lbrace e \rbrace でしか交わらない(位数 3 の群の真部分群は自明)ので、位数 3 の元が 4⋅2=84 \cdot 2 = 8 個ある。残りは 12−8=412 - 8 = 4 個である。シロー 2 部分群(位数 4)は位数 3 の元を含まないので、この残りの 4 個に含まれ、したがってこの 4 個に一致する。よって n2=1n_2 = 1。A4\mathfrak{A}_4 はまさにこの場合である(例 3.24)。特に位数 12 の単純群は存在しない。

例 3.28(位数 20 と 30 の群)

  1. ∣G∣=20=22⋅5\lvert G \rvert = 20 = 2^2 \cdot 5:n5∣4n_5 \mid 4, n5≡1(mod5)n_5 \equiv 1 \pmod 5 より n5=1n_5 = 1。シロー 5 部分群は正規であり、GG は単純でない。
  2. ∣G∣=30=2⋅3⋅5\lvert G \rvert = 30 = 2 \cdot 3 \cdot 5:n3∈{1,10}n_3 \in \lbrace 1, 10 \rbrace, n5∈{1,6}n_5 \in \lbrace 1, 6 \rbrace。n3=10n_3 = 10 かつ n5=6n_5 = 6 なら、位数 3 の元が 10⋅2=2010 \cdot 2 = 20 個、位数 5 の元が 6⋅4=246 \cdot 4 = 24 個となり、合計 44>3044 > 30 で矛盾。よって n3=1n_3 = 1 または n5=1n_5 = 1 で、GG は単純でない。さらに、P3P_3, P5P_5 をシロー 3, 5 部分群とすると、どちらかが正規なので P3P5P_3P_5 は位数 15 の部分群(第2章 定理 2.43、問題 2.4)で、指数 2 だから正規である。位数 15 の群は巡回群なので、P3P_3, P5P_5 は P3P5P_3P_5 の唯一の位数 3, 5 の部分群であり、共役で P3P5P_3P_5 に写されるから GG で正規である。結局、位数 30 の群では n3=n5=1n_3 = n_5 = 1 である。

最後の議論では「N⊴GN \trianglelefteq G が巡回群なら、NN の部分群はすべて GG で正規」という事実を使った(gKg−1gKg^{-1} は NN の同じ位数の部分群であり、巡回群では同じ位数の部分群は一つしかない)。

補足

可換でない単純群のうち位数最小のものは位数 60 の交代群 A5\mathfrak{A}_5 である(第4章で A5\mathfrak{A}_5 の単純性を証明する)。位数 60 未満の群が単純でないことは、本節のような議論を位数ごとに行えば確かめられる。

3.9 バーンサイドの補題と数え上げ

6 個の玉を輪にしたネックレスを白と黒の玉で作るとき、回転して重なるものを同じとみなすと何通りあるだろうか。26=642^6 = 64 通りの塗り方を回転群の軌道に分けて、軌道の個数を数えればよい。軌道の大きさはまちまちなので単純な割り算はできないが、次の補題が答えを与える。

定理 3.29(バーンサイドの補題, Burnside's lemma)有限群 GG が有限集合 XX に作用するとき、Xg={x∈X∣g⋅x=x}X^g = \lbrace x \in X \mid g \cdot x = x \rbrace とおくと

(軌道の個数)=1∣G∣∑g∈G∣Xg∣(\text{軌道の個数}) = \frac{1}{\lvert G \rvert} \sum_{g \in G} \lvert X^g \rvert

証明. g⋅x=xg \cdot x = x となる組 (g,x)∈G×X(g, x) \in G \times X の個数を 2 通りに数えると ∑g∣Xg∣=∑x∣Gx∣\sum_{g} \lvert X^g \rvert = \sum_{x} \lvert G_x \rvert。定理 3.6 より ∣Gx∣=∣G∣/∣G⋅x∣\lvert G_x \rvert = \lvert G \rvert/\lvert G \cdot x \rvert なので

∑g∈G∣Xg∣=∣G∣∑x∈X1∣G⋅x∣=∣G∣∑O∑x∈O1∣O∣=∣G∣⋅(軌道の個数)\sum_{g \in G} \lvert X^g \rvert = \lvert G \rvert \sum_{x \in X} \frac{1}{\lvert G \cdot x \rvert} = \lvert G \rvert \sum_{O} \sum_{x \in O} \frac{1}{\lvert O \rvert} = \lvert G \rvert \cdot (\text{軌道の個数})

(OO は軌道全体を動く)。□\square

gg が位置の集合を置換として動かすとき、塗り分けが gg で固定される   ⟺  \iff gg の各巡回(サイクル)の上で色が一定、である。よって kk 色で塗る場合、∣Xg∣=kc(g)\lvert X^g \rvert = k^{c(g)}(c(g)c(g) は gg を位置の置換とみたときの巡回の個数。固定される位置も長さ 1 の巡回として数える)となる。

例 3.30(ネックレス)nn 個の玉を kk 色で塗ったネックレスを、回転で重なるものを同一視して数える。回転群 Z/nZ\mathbb{Z}/n\mathbb{Z} の元 j‾\overline{j} は位置 i↦i+ji \mapsto i + j と動かし、その巡回はすべて長さ ord⁡(j‾)=n/gcd⁡(n,j)\operatorname{ord}(\overline{j}) = n/\gcd(n, j) なので、巡回の個数は gcd⁡(n,j)\gcd(n, j) である。gcd⁡(n,j)=n/d\gcd(n, j) = n/d となる j∈{0,…,n−1}j \in \lbrace 0, \dots, n-1 \rbrace はちょうど φ(d)\varphi(d) 個ある(j‾\overline{j} の位数が dd ということだから、系 2.25)。よって

(ネックレスの個数)=1n∑j=0n−1kgcd⁡(n,j)=1n∑d∣nφ(d)kn/d(\text{ネックレスの個数}) = \frac{1}{n} \sum_{j=0}^{n-1} k^{\gcd(n, j)} = \frac{1}{n} \sum_{d \mid n} \varphi(d) k^{n/d}

n=6n = 6, k=2k = 2 では、j=0,1,2,3,4,5j = 0, 1, 2, 3, 4, 5 に対し gcd⁡(6,j)=6,1,2,3,2,1\gcd(6, j) = 6, 1, 2, 3, 2, 1 だから

16(26+21+22+23+22+21)=64+2+4+8+4+26=846=14\frac{1}{6}\left(2^6 + 2^1 + 2^2 + 2^3 + 2^2 + 2^1\right) = \frac{64 + 2 + 4 + 8 + 4 + 2}{6} = \frac{84}{6} = 14

通りである。さらに裏返しも許す(D6D_6 の作用、位数 12)と、6 個の折り返しのうち向かい合う玉を通る軸をもつ 3 個は巡回が 4 個(固定される玉 2 個と互換 2 個)、玉の間を通る軸をもつ 3 個は巡回が 3 個(互換 3 個)なので、

112(84+3⋅24+3⋅23)=84+48+2412=15612=13\frac{1}{12}\left(84 + 3 \cdot 2^4 + 3 \cdot 2^3\right) = \frac{84 + 48 + 24}{12} = \frac{156}{12} = 13

通りとなる。

例 3.31(立方体の面の塗り分け)立方体の 6 面を白黒 2 色で塗る方法を、回転で重なるものを同一視して数える。例 3.7(3) の 24 個の回転について、面の置換としての巡回の個数は

回転の種類 個数 面の巡回の個数 ∣Xg∣\lvert X^g \rvert
恒等変換 1 6 64
面の軸のまわり ±90∘\pm 90^\circ 6 3(上下 2 面は固定、側面 4 面が 1 巡回) 8
面の軸のまわり 180∘180^\circ 3 4(上下 2 面は固定、側面が 2 巡回) 16
頂点の軸のまわり ±120∘\pm 120^\circ 8 2(3 面ずつの 2 巡回) 4
辺の軸のまわり 180∘180^\circ 6 3(互換 3 個) 8

であるから、バーンサイドの補題より

124(64+6⋅8+3⋅16+8⋅4+6⋅8)=24024=10\frac{1}{24}\left(64 + 6 \cdot 8 + 3 \cdot 16 + 8 \cdot 4 + 6 \cdot 8\right) = \frac{240}{24} = 10

通りである。実際、黒い面の枚数で分類すると 0,1,2,3,4,5,60, 1, 2, 3, 4, 5, 6 枚に対し 1,1,2,2,2,1,11, 1, 2, 2, 2, 1, 1 通り(2 枚なら「隣接」と「向かい合う」、3 枚なら「1 頂点に集まる」と「コの字型」)で、合計 10 通りと一致する。

まとめ

  • 群の作用とは準同型 G→S(X)G \to \mathfrak{S}(X) のことである。基本例は左乗法、共役、剰余類 G/HG/H への作用。
  • 軌道–固定部分群定理 ∣G⋅x∣=[G:Gx]\lvert G \cdot x \rvert = [G : G_x] と、XX の軌道分解 ∣X∣=∑[G:Gxi]\lvert X \rvert = \sum [G : G_{x_i}] が本章のすべての議論の基礎である。
  • ケイリーの定理:どの群も対称群の部分群。指数 nn の部分群から G→SnG \to \mathfrak{S}_n が得られ、∣G∣∤n!\lvert G \rvert \nmid n! なら非自明な正規部分群が得られる。
  • 共役作用の軌道分解が類等式 ∣G∣=∣Z(G)∣+∑[G:CG(xi)]\lvert G \rvert = \lvert Z(G) \rvert + \sum [G : C_G(x_i)] である。
  • pp 群の作用では ∣X∣≡∣XG∣(modp)\lvert X \rvert \equiv \lvert X^G \rvert \pmod p。ここから pp 群の中心は非自明、位数 p2p^2 の群は可換。
  • コーシーの定理:素数 pp が ∣G∣\lvert G \rvert を割れば位数 pp の元がある。
  • シローの定理:シロー pp 部分群は存在し、互いに共役で、個数は np≡1(modp)n_p \equiv 1 \pmod p, np∣mn_p \mid m。np=1  ⟺  n_p = 1 \iff 正規。
  • 応用:位数 pqpq(p<qp < q, p∤q−1p \nmid q - 1)の群は巡回群(位数 15 など)。位数 12, 20, 30 の群は単純でない。元の個数を数える議論が有効。
  • バーンサイドの補題:軌道の個数 =1∣G∣∑g∣Xg∣= \frac{1}{\lvert G \rvert}\sum_g \lvert X^g \rvert。ネックレスや立方体の塗り分けの数え上げに使える。

群の作用は数学の至るところに現れる。被覆空間の被覆変換群(位相幾何学 第3章)や、有限群の表現論における類関数(リー群と表現論 第1章)はその代表例である。

演習問題

問題 3.1 ★ D5D_5 の共役類をすべて求め、類等式を書け。

解答

srks−1=r−ksr^ks^{-1} = r^{-k} なので rkr^k と r−kr^{-k} は共役。rr との共役では回転は変わらないので、回転の共役類は {e}\lbrace e \rbrace, {r,r4}\lbrace r, r^4 \rbrace, {r2,r3}\lbrace r^2, r^3 \rbrace。

折り返しについては r(rks)r−1=rk+1sr−1=rk+1rs=rk+2sr(r^ks)r^{-1} = r^{k+1}sr^{-1} = r^{k+1}rs = r^{k+2}s なので、rksr^ks は rk+2s,rk+4s,…r^{k+2}s, r^{k+4}s, \dots と共役である。55 は奇数なので k+2jk + 2j(j=0,…,4j = 0, \dots, 4)は 55 を法としてすべての剰余類を動き、5 個の折り返しはすべて共役である。

よって類等式は 10=1+2+2+510 = 1 + 2 + 2 + 5(Z(D5)={e}Z(D_5) = \lbrace e \rbrace)。各項が 10 の約数であることも確かめられる。

問題 3.2 ★ 位数 35 の群と位数 185 の群はすべて巡回群であることを示せ。

解答

35=5⋅735 = 5 \cdot 7 で 5∤7−1=65 \nmid 7 - 1 = 6。185=5⋅37185 = 5 \cdot 37 で 5∤37−1=365 \nmid 37 - 1 = 36。いずれも定理 3.25(2) より巡回群である。

直接確かめると、位数 185 では n37∣5n_{37} \mid 5, n37≡1(mod37)n_{37} \equiv 1 \pmod{37} より n37=1n_{37} = 1、n5∣37n_5 \mid 37, n5≡1(mod5)n_5 \equiv 1 \pmod 5 で 37≡2(mod5)37 \equiv 2 \pmod 5 より n5=1n_5 = 1。両シロー部分群が正規で交わりが自明なので、定理 3.25 の証明と同様に生成元の積が位数 185 の元になる。

問題 3.3 ★★ S4\mathfrak{S}_4 について n3=4n_3 = 4, n2=3n_2 = 3 を示せ。また、シロー 2 部分群の一つを具体的に書け。

解答

24=23⋅324 = 2^3 \cdot 3。位数 3 の元は長さ 3 の巡回置換 8 個で、各位数 3 の部分群はそのうち 2 個を含むので、n3=8/2=4n_3 = 8/2 = 4。

シロー 2 部分群の位数は 8。n2∣3n_2 \mid 3, n2n_2 は奇数なので n2∈{1,3}n_2 \in \lbrace 1, 3 \rbrace。位数が 2 のべきの元(位数 1, 2, 4 の元)は、単位元 1、互換 6、(a b)(c d)(a\ b)(c\ d) 型 3、長さ 4 の巡回置換 6 の計 16 個ある。シローの定理 (2) より、各元 xx の生成する 2 部分群 ⟨x⟩\langle x \rangle はあるシロー 2 部分群に含まれる。n2=1n_2 = 1 なら 16 個すべてが位数 8 の一つの部分群に含まれることになり矛盾。よって n2=3n_2 = 3。

例:⟨(1 2 3 4),(1 3)⟩={e,(1 2 3 4),(1 3)(2 4),(1 4 3 2),(1 3),(2 4),(1 2)(3 4),(1 4)(2 3)}\langle (1\ 2\ 3\ 4), (1\ 3) \rangle = \lbrace e, (1\ 2\ 3\ 4), (1\ 3)(2\ 4), (1\ 4\ 3\ 2), (1\ 3), (2\ 4), (1\ 2)(3\ 4), (1\ 4)(2\ 3) \rbrace。これは正方形の頂点 1,2,3,41, 2, 3, 4(この順に並ぶ)への D4D_4 の作用の像である。

問題 3.4 ★★ qq を奇素数とする。位数 2q2q の群は Z/2qZ\mathbb{Z}/2q\mathbb{Z} または DqD_q に同型であることを示せ。

解答

コーシーの定理より位数 qq の元 aa と位数 2 の元 bb がある。N=⟨a⟩N = \langle a \rangle は指数 2 なので正規で、bab−1=akbab^{-1} = a^k となる kk がある。b2=eb^2 = e より a=b2ab−2=bakb−1=(bab−1)k=ak2a = b^2ab^{-2} = b a^k b^{-1} = (bab^{-1})^k = a^{k^2} なので k2≡1(modq)k^2 \equiv 1 \pmod q、qq は素数だから k≡±1(modq)k \equiv \pm 1 \pmod q(第1章 のユークリッドの補題)。b∉Nb \notin N なので G=N⊔bN={aibj∣0≤i<q,0≤j<2}G = N \sqcup bN = \lbrace a^ib^j \mid 0 \leq i < q, 0 \leq j < 2 \rbrace。

k≡1k \equiv 1 なら ab=baab = ba で GG は可換、abab の位数は 2q2q なので G≅Z/2qZG \cong \mathbb{Z}/2q\mathbb{Z}。k≡−1k \equiv -1 なら bab−1=a−1bab^{-1} = a^{-1} で、積の規則 aibj⋅ai′bj′=ai+(−1)ji′bj+j′a^ib^j \cdot a^{i'}b^{j'} = a^{i + (-1)^j i'}b^{j+j'} が DqD_q の risjr^is^j の積の規則と一致するので、aibj↦risja^ib^j \mapsto r^is^j が同型を与える。

問題 3.5 ★★ 位数 56 の群は単純でないことを示せ。

解答

56=23⋅756 = 2^3 \cdot 7。n7∣8n_7 \mid 8, n7≡1(mod7)n_7 \equiv 1 \pmod 7 より n7∈{1,8}n_7 \in \lbrace 1, 8 \rbrace。n7=1n_7 = 1 ならシロー 7 部分群が正規。n7=8n_7 = 8 なら、8 個の位数 7 の部分群はどの 2 つも自明にしか交わらないので、位数 7 の元が 8⋅6=488 \cdot 6 = 48 個ある。残りは 8 個で、位数 8 のシロー 2 部分群は位数 7 の元を含まないからこの 8 個と一致する。よって n2=1n_2 = 1 でシロー 2 部分群が正規。いずれにせよ単純でない。

問題 3.6 ★★ 位数 36 の群は単純でないことを示せ。(ヒント:シロー 3 部分群の集合への共役作用を考える。)

解答

36=22⋅3236 = 2^2 \cdot 3^2。n3∣4n_3 \mid 4, n3≡1(mod3)n_3 \equiv 1 \pmod 3 より n3∈{1,4}n_3 \in \lbrace 1, 4 \rbrace。n3=1n_3 = 1 なら正規なシロー 3 部分群がある。n3=4n_3 = 4 とし、GG を共役で Syl⁡3(G)\operatorname{Syl}_3(G)(4 元集合)に作用させて準同型 ρ ⁣:G→S4\rho\colon G \to \mathfrak{S}_4 を得る。∣G∣=36∤24=∣S4∣\lvert G \rvert = 36 \nmid 24 = \lvert \mathfrak{S}_4 \rvert なので ρ\rho は単射でなく、Ker⁡ρ≠{e}\operatorname{Ker} \rho \neq \lbrace e \rbrace。一方、シローの定理 (2) より作用は推移的なので ρ(G)≠{e}\rho(G) \neq \lbrace e \rbrace、よって Ker⁡ρ≠G\operatorname{Ker} \rho \neq G。Ker⁡ρ\operatorname{Ker} \rho は非自明な正規部分群である。

(Ker⁡ρ=⋂PNG(P)\operatorname{Ker} \rho = \bigcap_P N_G(P) で、[G:NG(P)]=4[G : N_G(P)] = 4 より ∣NG(P)∣=9\lvert N_G(P) \rvert = 9、つまり NG(P)=PN_G(P) = P。核は 4 つのシロー 3 部分群の共通部分であり、位数は 3 である。)

問題 3.7 ★★ 正方形の 4 頂点を 3 色で塗る方法は、D4D_4 の作用(回転と裏返し)で重なるものを同一視すると何通りあるか。

解答

D4D_4 の 8 元を頂点の置換とみて巡回の個数を数える:ee は 4、r,r3r, r^3 は 1(4-巡回)、r2r^2 は 2、対角線に関する折り返し 2 個は 3(2 頂点固定と互換 1 個)、辺の中点を通る軸に関する折り返し 2 個は 2(互換 2 個)。バーンサイドの補題より

18(34+2⋅31+32+2⋅33+2⋅32)=81+6+9+54+188=1688=21\frac{1}{8}\left(3^4 + 2 \cdot 3^1 + 3^2 + 2 \cdot 3^3 + 2 \cdot 3^2\right) = \frac{81 + 6 + 9 + 54 + 18}{8} = \frac{168}{8} = 21

通り。

問題 3.8 ★★ GG を pp 群、N≠{e}N \neq \lbrace e \rbrace をその正規部分群とする。N∩Z(G)≠{e}N \cap Z(G) \neq \lbrace e \rbrace を示せ。

解答

NN は正規なので、GG は NN に共役で作用する。固定点は「すべての gg について gxg−1=xgxg^{-1} = x」をみたす x∈Nx \in N、すなわち N∩Z(G)N \cap Z(G) である。命題 3.15 より ∣N∩Z(G)∣≡∣N∣≡0(modp)\lvert N \cap Z(G) \rvert \equiv \lvert N \rvert \equiv 0 \pmod p(∣N∣\lvert N \rvert は 11 でない pp のべき)。e∈N∩Z(G)e \in N \cap Z(G) なので ∣N∩Z(G)∣≥p\lvert N \cap Z(G) \rvert \geq p。

問題 3.9 ★★★ (フラッティーニの論法, Frattini argument)GG を有限群、N⊴GN \trianglelefteq G、PP を NN のシロー pp 部分群とする。G=NG(P)NG = N_G(P)N を示せ。

解答

g∈Gg \in G とする。gPg−1⊂gNg−1=NgPg^{-1} \subset gNg^{-1} = N で、gPg−1gPg^{-1} は PP と同じ位数なので NN のシロー pp 部分群である。NN にシローの定理 (2) を適用すると、gPg−1=nPn−1gPg^{-1} = nPn^{-1} となる n∈Nn \in N がある。すると (n−1g)P(n−1g)−1=P(n^{-1}g)P(n^{-1}g)^{-1} = P、すなわち n−1g∈NG(P)n^{-1}g \in N_G(P)。よって g=n⋅n−1g∈NNG(P)g = n \cdot n^{-1}g \in N N_G(P)。NN は正規なので、nh=h(h−1nh)nh = h(h^{-1}nh) より NNG(P)=NG(P)NNN_G(P) = N_G(P)N である。したがって G=NG(P)NG = N_G(P)N。

問題 3.10 ★★★ 立方体の回転群 GG(位数 24)は S4\mathfrak{S}_4 に同型であることを示せ。(ヒント:4 本の対角線への作用を考える。)

解答

立方体の中心を原点とすると、4 本の対角線(向かい合う頂点を結ぶ直線)の方向ベクトル v1,…,v4v_1, \dots, v_4 は、どの 3 本も一次独立である(たとえば (±1,±1,1)(\pm 1, \pm 1, 1) の 4 本)。回転は対角線の集合を置換するので、準同型 ρ ⁣:G→S4\rho\colon G \to \mathfrak{S}_4 が得られる。

ρ(g)=e\rho(g) = e とする。gg は各対角線を(向きを込めずに)保つので、各 viv_i は gg の固有値 ±1\pm 1 の固有ベクトルである。g≠eg \neq e と仮定する。gg は回転なので、固有値 1 の固有空間は回転軸(1 次元)であり、固有値 −1-1 の固有ベクトルが存在するのは 180∘180^\circ 回転のときだけで、そのときの固有空間は軸に垂直な平面である。gg が 180∘180^\circ 回転でなければ、4 本の viv_i がすべて回転軸上にあることになり矛盾。180∘180^\circ 回転なら、回転軸上にある viv_i は高々 1 本なので、少なくとも 3 本が軸に垂直な平面(2 次元)に含まれ、「どの 3 本も一次独立」に矛盾する。よって g=eg = e で ρ\rho は単射。∣G∣=24=∣S4∣\lvert G \rvert = 24 = \lvert \mathfrak{S}_4 \rvert なので ρ\rho は同型である。

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