Lemma数学ロードマップ

08 微分方程式 · 第 5 章

境界値問題とスツルム–リウヴィル理論

目安 7〜10 時間定理など 9演習 8 問

この章の目標

  • 境界値問題が、初期値問題と違って解をもたないことや無数にもつことがある理由を説明できる
  • グリーン関数を構成し、境界値問題の解を積分で表せる
  • スツルム–リウヴィル作用素の自己随伴性を示し、固有値の実数性・単純性と固有関数の直交性を証明できる
  • スツルムの比較定理を証明し、解の零点の分布を調べられる
  • 固有関数展開とレイリー商の意味を理解し、固有値を評価できる

前提:第3章、線形代数 第7章

両端を固定した弦の振動数や、棒の中の熱の減衰の速さを求めようとすると、区間の両端で条件を課した微分方程式が現れる。たとえば第7章で熱方程式を変数分離すると、−X′′=λX-X'' = \lambda X, X(0)=X(ℓ)=0X(0) = X(\ell) = 0 という問題に行き着く。これは「微分作用素 −d2/dx2-d^2/dx^2 の固有値問題」であり、対称行列の固有値問題の無限次元版とみなせる。対称行列の固有値は実数で、固有ベクトルは直交基底をなす(線形代数 第7章)。本章では、これと同じことが一群の微分作用素(スツルム–リウヴィル作用素)で成り立つことを見る。

5.1 境界値問題とグリーンの公式

例 5.1 y′′+y=f(x)y'' + y = f(x), y(0)=y(π)=0y(0) = y(\pi) = 0 を考える。一般解は y=yp+Acos⁡x+Bsin⁡xy = y_p + A\cos x + B\sin x である。

  • f=1f = 1 のとき yp=1y_p = 1 で、y(0)=0y(0) = 0 から A=−1A = -1、すると y(π)=1+1=2≠0y(\pi) = 1 + 1 = 2 \neq 0。解は存在しない。
  • f=cos⁡xf = \cos x のとき yp=12xsin⁡xy_p = \frac{1}{2}x\sin x(例 1.33)で、y(0)=0y(0) = 0 から A=0A = 0、y(π)=0y(\pi) = 0 は BB によらず成り立つ。解は無数にある。

同次問題 y′′+y=0y'' + y = 0, y(0)=y(π)=0y(0) = y(\pi) = 0 が非自明解 sin⁡x\sin x をもつことが原因である。初期値問題では解はつねにただ一つだったが、境界値問題は線形代数の連立一次方程式 Ax=bAx = b と同じく、「同次方程式の解」によって解の存在と一意性が決まる。

以下、[a,b][a, b] 上で p∈C1[a,b]p \in C^1[a, b], p>0p > 0, q∈C[a,b]q \in C[a, b] は実数値とし、微分作用素と境界条件

Ly=−(p(x)y′)′+q(x)y,Bay=α1y(a)+α2y′(a)=0,Bby=β1y(b)+β2y′(b)=0Ly = -(p(x)y')' + q(x)y, \qquad B_ay = \alpha_1y(a) + \alpha_2y'(a) = 0, \qquad B_by = \beta_1y(b) + \beta_2y'(b) = 0

を考える(αj,βj\alpha_j, \beta_j は実数で、(α1,α2)≠(0,0)(\alpha_1, \alpha_2) \neq (0, 0), (β1,β2)≠(0,0)(\beta_1, \beta_2) \neq (0, 0))。このような境界条件を分離型境界条件 (separated boundary conditions) という。α2=0\alpha_2 = 0 ならディリクレ条件、α1=0\alpha_1 = 0 ならノイマン条件、両方 0 でなければロバン条件という。LL の符号は、固有値が下に有界になるように選んでいる。

補題 5.2(ラグランジュの恒等式)u,v∈C2[a,b]u, v \in C^2[a, b](複素数値)に対し

∫ab(Lu⋅v‾−u⋅Lv‾)dx=[p(uv‾′−u′v‾)]ab\int_a^b\bigl(Lu\cdot\overline{v} - u\cdot\overline{Lv}\bigr)dx = \Bigl[p(u\overline{v}' - u'\overline{v})\Bigr]_a^b

特に u,vu, v がともに分離型境界条件をみたせば、右辺は 0 である。

証明. ddx(p(uv‾′−u′v‾))=u(pv‾′)′−(pu′)′v‾\frac{d}{dx}\bigl(p(u\overline{v}' - u'\overline{v})\bigr) = u(p\overline{v}')' - (pu')'\overline{v} を積分すればよい。x=ax = a で α1u+α2u′=0\alpha_1u + \alpha_2u' = 0 かつ α1v‾+α2v‾′=0\alpha_1\overline{v} + \alpha_2\overline{v}' = 0(αj\alpha_j は実数)なので、0 でないベクトル (α1,α2)(\alpha_1, \alpha_2) はこの 2 式を連立方程式とみたときの解であり、係数の行列式 uv‾′−u′v‾u\overline{v}' - u'\overline{v} は aa で 0 である。bb でも同様。□\square

5.2 グリーン関数

定理 5.3(グリーン関数)同次問題 Ly=0Ly = 0, Bay=Bby=0B_ay = B_by = 0 が自明な解しかもたないとする。Lu1=0Lu_1 = 0, Bau1=0B_au_1 = 0 および Lu2=0Lu_2 = 0, Bbu2=0B_bu_2 = 0 をみたす非自明な解 u1,u2u_1, u_2 をとる。このとき c=p(u1′u2−u1u2′)c = p(u_1'u_2 - u_1u_2') は 0 でない定数であり、

G(x,ξ)={u1(x)u2(ξ)/c(a≤x≤ξ≤b)u1(ξ)u2(x)/c(a≤ξ≤x≤b)G(x, \xi) = \begin{cases} u_1(x)u_2(\xi)/c & (a \leq x \leq \xi \leq b) \\ u_1(\xi)u_2(x)/c & (a \leq \xi \leq x \leq b) \end{cases}

とおくと、任意の f∈C[a,b]f \in C[a, b] に対し y(x)=∫abG(x,ξ)f(ξ) dξy(x) = \int_a^b G(x, \xi)f(\xi)\ d\xi は Ly=fLy = f, Bay=Bby=0B_ay = B_by = 0 のただ一つの C2C^2 級の解である。GG は連続で対称(G(x,ξ)=G(ξ,x)G(x, \xi) = G(\xi, x))である。

u1u_1 は、初期値 (u1(a),u1′(a))=(α2,−α1)(u_1(a), u_1'(a)) = (\alpha_2, -\alpha_1) の解として存在する(u2u_2 も同様)。GG をグリーン関数 (Green's function) という。

証明. Lui=0Lu_i = 0 より (pui′)′=qui(pu_i')' = qu_i なので c′=(pu1′)′u2−u1(pu2′)′=qu1u2−qu1u2=0c' = (pu_1')'u_2 - u_1(pu_2')' = qu_1u_2 - qu_1u_2 = 0。c=0c = 0 なら u1,u2u_1, u_2 のロンスキアンが 0 で一次従属(命題 3.8)となり、u1u_1 が両方の境界条件をみたす非自明解になって仮定に反する。次に

y(x)=1c(u2(x)∫axu1f dξ+u1(x)∫xbu2f dξ)y(x) = \frac{1}{c}\left(u_2(x)\int_a^x u_1f\,d\xi + u_1(x)\int_x^b u_2f\,d\xi\right)

を微分すると、積分の上端・下端から出る項は打ち消し合って py′=1c(pu2′∫axu1f+pu1′∫xbu2f)py' = \frac{1}{c}\left(pu_2'\int_a^x u_1f + pu_1'\int_x^b u_2f\right)。もう一度微分すると

(py′)′=1c(qu2∫axu1f+qu1∫xbu2f)+p(u1u2′−u1′u2)cf=qy−f(py')' = \frac{1}{c}\left(qu_2\int_a^x u_1f + qu_1\int_x^b u_2f\right) + \frac{p(u_1u_2' - u_1'u_2)}{c}f = qy - f

となり Ly=fLy = f。また y(a)=u1(a)c∫abu2fy(a) = \frac{u_1(a)}{c}\int_a^b u_2f, y′(a)=u1′(a)c∫abu2fy'(a) = \frac{u_1'(a)}{c}\int_a^b u_2f より Bay=1c(∫abu2f)Bau1=0B_ay = \frac{1}{c}\left(\int_a^b u_2f\right)B_au_1 = 0、bb でも同様。2 つの解の差は同次問題の解なので 0 であり、解は一意である。□\square

∂G/∂x\partial G/\partial x は x=ξx = \xi で −1/p(ξ)-1/p(\xi) だけ跳ぶ。G(⋅,ξ)G(\cdot, \xi) は、点 ξ\xi に単位の集中荷重を加えたときの応答(点源への応答)であり、超関数の言葉では LG(⋅,ξ)=δξLG(\cdot, \xi) = \delta_\xi と書ける(偏微分方程式論 第1章)。解の公式 y=∫Gf dξy = \int Gf\ d\xi は、荷重 ff を点荷重の重ね合わせとみなしたものである。

例 5.4(弦のたわみ)張力 1 の弦が区間 [0,1][0, 1] に両端固定で張られ、荷重 ff を受けるときのたわみ yy は −y′′=f-y'' = f, y(0)=y(1)=0y(0) = y(1) = 0 をみたす。u1=xu_1 = x, u2=1−xu_2 = 1 - x、c=1⋅(1−x)−x⋅(−1)=1c = 1\cdot(1 - x) - x\cdot(-1) = 1 なので

G(x,ξ)={x(1−ξ)(x≤ξ)ξ(1−x)(x≥ξ)G(x, \xi) = \begin{cases} x(1 - \xi) & (x \leq \xi) \\ \xi(1 - x) & (x \geq \xi) \end{cases}

点 ξ\xi での集中荷重によるたわみは、両端と ξ\xi を結ぶ折れ線になる。一様荷重 f=1f = 1 なら y=(1−x)∫0xξ dξ+x∫x1(1−ξ) dξ=x(1−x)2y = (1 - x)\int_0^x \xi\ d\xi + x\int_x^1(1 - \xi)\ d\xi = \frac{x(1 - x)}{2}。G≥0G \geq 0 なので、上向きの荷重は上向きのたわみしか生まない。

同次問題が非自明解をもつ場合については、次が成り立つ。

命題 5.5(フレドホルムの択一定理)同次問題 Lφ=0L\varphi = 0, Baφ=Bbφ=0B_a\varphi = B_b\varphi = 0 が実数値の非自明解 φ\varphi をもつとする。このとき Ly=fLy = f, Bay=Bby=0B_ay = B_by = 0 が解をもつための必要十分条件は ∫abfφ dx=0\int_a^b f\varphi\ dx = 0 であり、そのとき解全体は y0+Rφy_0 + \mathbb{R}\varphi(y0y_0 は一つの解)である。

証明. Bay=0B_ay = 0 をみたす同次方程式の解は 1 次元なので φ\varphi の定数倍である。Ly0=fLy_0 = f, Bay0=0B_ay_0 = 0 をみたす y0y_0 を一つとる(初期値問題の解)と、Ly=fLy = f, Bay=0B_ay = 0 の解全体は y0+tφy_0 + t\varphi で、Bb(y0+tφ)=Bby0B_b(y_0 + t\varphi) = B_by_0 だから、解が存在するのは Bby0=0B_by_0 = 0 のときに限る。補題 5.2 を y0,φy_0, \varphi に適用すると、x=ax = a の項は消えて ∫abfφ dx=p(b)(y0φ′−y0′φ)(b)\int_a^b f\varphi\ dx = p(b)\bigl(y_0\varphi' - y_0'\varphi\bigr)(b)。Bbφ=0B_b\varphi = 0 で (φ(b),φ′(b))≠0(\varphi(b), \varphi'(b)) \neq 0 なので (φ(b),φ′(b))=s(β2,−β1)(\varphi(b), \varphi'(b)) = s(\beta_2, -\beta_1)(s≠0s \neq 0)と書け、右辺は −sp(b)Bby0-sp(b)B_by_0 に等しい。よって Bby0=0⇔∫abfφ=0B_by_0 = 0 \Leftrightarrow \int_a^b f\varphi = 0。□\square

例 5.1 では L=−d2/dx2−1L = -d^2/dx^2 - 1, φ=sin⁡x\varphi = \sin x で、∫0πsin⁡x dx=2≠0\int_0^\pi\sin x\ dx = 2 \neq 0、∫0πcos⁡xsin⁡x dx=0\int_0^\pi\cos x\sin x\ dx = 0 がそれぞれの結果を説明する。

5.3 スツルム–リウヴィル問題

定義 5.6(スツルム–リウヴィル問題, Sturm–Liouville problem)w∈C[a,b]w \in C[a, b], w>0w > 0 とし、

−(p(x)y′)′+q(x)y=λw(x)y,Bay=Bby=0-(p(x)y')' + q(x)y = \lambda w(x)y, \qquad B_ay = B_by = 0

を(正則な)スツルム–リウヴィル問題という。非自明解が存在する λ∈C\lambda \in \mathbb{C} を固有値、その解を固有関数という。

密度 ρ(x)\rho(x)、張力 T(x)T(x) の弦の振動 ρutt=(Tux)x\rho u_{tt} = (Tu_x)_x で u=X(x)cos⁡ωtu = X(x)\cos\omega t とおくと −(TX′)′=ω2ρX-(TX')' = \omega^2\rho X となり、固有値は振動数の 2 乗である。一般の 2 階線形方程式も、e∫a1e^{\int a_1} を掛ければこの形になる(問題 5.3)。重み ww つきの内積 ⟨u,v⟩w=∫abuv‾w dx\langle u, v \rangle_w = \int_a^b u\overline{v}w\ dx を用いる。

定理 5.7 スツルム–リウヴィル問題について

  1. 固有値はすべて実数である。
  2. 相異なる固有値に対する固有関数は ⟨⋅,⋅⟩w\langle \cdot, \cdot \rangle_w について直交する。
  3. 各固有値は単純である(固有関数は定数倍を除いて一意)。固有関数は実数値にとれる。

証明. 1:Lu=λwuLu = \lambda wu(u≠0u \neq 0)とすると、補題 5.2 より λ⟨u,u⟩w=∫Lu⋅u‾=∫u⋅Lu‾=λ‾⟨u,u⟩w\lambda\langle u, u \rangle_w = \int Lu\cdot\overline{u} = \int u\cdot\overline{Lu} = \overline{\lambda}\langle u, u \rangle_w。⟨u,u⟩w>0\langle u, u \rangle_w > 0 なので λ=λ‾\lambda = \overline{\lambda}。2:Lu=λwuLu = \lambda wu, Lv=μwvLv = \mu wv(λ≠μ\lambda \neq \mu は実数)なら、同様に (λ−μ)⟨u,v⟩w=0(\lambda - \mu)\langle u, v \rangle_w = 0。3:同じ λ\lambda の固有関数 u,vu, v はともに BaB_a をみたすので、補題 5.2 の証明と同様にロンスキアンが x=ax = a で 0 となり、同じ 2 階方程式の解として一次従属である。係数と λ\lambda は実数なので、固有関数の実部と虚部も(0 でなければ)固有関数である。□\square

例 5.8 (1) −y′′=λy-y'' = \lambda y, y(0)=y(π)=0y(0) = y(\pi) = 0:λ≤0\lambda \leq 0 なら、yy を掛けて部分積分すると λ∫y2=∫y′2≥0\lambda\int y^2 = \int y'^2 \geq 0 で、λ=0\lambda = 0 でも y′=0y' = 0 から y=0y = 0 となり、固有値ではない。λ=μ2>0\lambda = \mu^2 > 0 なら y=sin⁡μxy = \sin\mu x で sin⁡μπ=0\sin\mu\pi = 0 から λn=n2\lambda_n = n^2, 固有関数 sin⁡nx\sin nx(n∈Nn \in \mathbb{N})。(2) ノイマン条件 y′(0)=y′(π)=0y'(0) = y'(\pi) = 0 では λn=n2\lambda_n = n^2(n∈Z≥0n \in \mathbb{Z}_{\geq 0}), cos⁡nx\cos nx。

(3)(ロバン条件)棒の一端 x=1x = 1 から周囲へ熱が逃げる状況では y(0)=0y(0) = 0, y′(1)+hy(1)=0y'(1) + hy(1) = 0(h>0h > 0)となる。同様に λ>0\lambda > 0 がわかり、y=sin⁡μxy = \sin\mu x(μ=λ\mu = \sqrt{\lambda})で条件は tan⁡μ=−μ/h\tan\mu = -\mu/h となる。この方程式は各区間 ((n−12)π,nπ)((n - \frac{1}{2})\pi, n\pi) にただ一つの根 μn\mu_n をもち(tan⁡\tan はそこで −∞-\infty から 0 まで増加し、−μ/h-\mu/h は減少する)、μn−(n−12)π→0\mu_n - (n - \frac{1}{2})\pi \to 0 である。固有関数 sin⁡μnx\sin\mu_nx が [0,1][0, 1] で互いに直交することは三角関数の計算からはすぐにはわからないが、定理 5.7 から従う。

例 5.9(特異なスツルム–リウヴィル問題)ルジャンドル方程式は −((1−x2)y′)′=λy-\bigl((1 - x^2)y'\bigr)' = \lambda y と書け、p=1−x2p = 1 - x^2 は端点 ±1\pm 1 で 0 になる。この場合は境界条件の代わりに「[−1,1][-1, 1] で有界」を課すと、固有値は n(n+1)n(n + 1)、固有関数はルジャンドル多項式 PnP_n になる(例 3.19)。p(±1)=0p(\pm 1) = 0 なので補題 5.2 の境界項は消え、∫−11PmPn dx=0\int_{-1}^1 P_mP_n\ dx = 0(m≠nm \neq n)が定理 5.7 と同じ議論で得られる。同様にベッセル方程式は −(xy′)′+ν2xy=λxy-(xy')' + \frac{\nu^2}{x}y = \lambda xy と書け、円形の膜の振動数は JνJ_\nu の零点から決まる。

有限次元の対称行列との類似は、固有値の列と固有関数による展開にまで及ぶ。

定理 5.10(主張)正則なスツルム–リウヴィル問題について:

  1. 固有値は無限個あり、λ1<λ2<⋯→∞\lambda_1 < \lambda_2 < \cdots \to \infty と並べられる。
  2. λn\lambda_n の固有関数 φn\varphi_n は (a,b)(a, b) にちょうど n−1n - 1 個の零点をもつ。
  3. ⟨φn,φn⟩w=1\langle \varphi_n, \varphi_n \rangle_w = 1 と正規化した {φn}\lbrace \varphi_n \rbrace は Lw2(a,b)L^2_w(a, b) の完全正規直交系である。すなわち ∫ab∣f∣2w dx<∞\int_a^b\lvert f \rvert^2w\ dx < \infty なる ff は f=∑n⟨f,φn⟩wφnf = \sum_n\langle f, \varphi_n \rangle_w\varphi_n と Lw2L^2_w の意味で展開できる。ff が C2C^2 級で境界条件をみたせば、級数は絶対かつ一様に収束する。

1 と 3 の証明の方針:必要なら qq を q+cwq + cw(cc は実定数)に置き換えて 0 が固有値でないようにする(固有値が cc だけずれるだけであり、固有値は高々可算個なのでこのような cc はある)と、定理 5.3 より Ly=λwyLy = \lambda wy は積分方程式 y=λ∫abG(x,ξ)w(ξ)y(ξ) dξy = \lambda\int_a^b G(x, \xi)w(\xi)y(\xi)\ d\xi と同値になる。右辺の積分作用素は、連続な対称核をもつので Lw2L^2_w 上のコンパクト自己共役作用素であり、そのスペクトル定理から 1 と 3 が従う。これは 関数解析 第5章 で証明する。2 は次節で概略を述べる。[0,π][0, \pi] 上の −y′′=λy-y'' = \lambda y の場合、3 はフーリエ正弦級数の理論そのものであり、第6章で直接証明する。

5.4 スツルムの比較定理

固有関数の零点の数は振動の「節」の数である。零点の分布を、方程式を解かずに比較で調べる。

定理 5.11(スツルムの比較定理, Sturm comparison theorem)区間 II 上で p∈C1p \in C^1, p>0p > 0、q1≤q2q_1 \leq q_2 は連続とする。uu を (pu′)′+q1u=0(pu')' + q_1u = 0 の非自明解で、x1<x2x_1 < x_2 を uu の相続く零点とし、vv を (pv′)′+q2v=0(pv')' + q_2v = 0 の解とする。[x1,x2][x_1, x_2] 上で q1≢q2q_1 \not\equiv q_2 なら、vv は (x1,x2)(x_1, x_2) に零点をもつ。q1≡q2q_1 \equiv q_2 の場合も、vv が uu の定数倍でなければ同じ結論が成り立つ。

証明. vv が (x1,x2)(x_1, x_2) に零点をもたないと仮定し、符号を変えて u>0u > 0, v>0v > 0 がこの開区間上で成り立つとしてよい。

ddx(p(u′v−uv′))=(pu′)′v−u(pv′)′=(q2−q1)uv\frac{d}{dx}\bigl(p(u'v - uv')\bigr) = (pu')'v - u(pv')' = (q_2 - q_1)uv

を [x1,x2][x_1, x_2] で積分すると、u(x1)=u(x2)=0u(x_1) = u(x_2) = 0 より左辺は p(x2)u′(x2)v(x2)−p(x1)u′(x1)v(x1)p(x_2)u'(x_2)v(x_2) - p(x_1)u'(x_1)v(x_1) となる。非自明解は二重零点をもたない(u=u′=0u = u' = 0 なら u≡0u \equiv 0)ので、u′(x1)>0u'(x_1) > 0, u′(x2)<0u'(x_2) < 0 であり、v(xi)≥0v(x_i) \geq 0 だから左辺 ≤0\leq 0。右辺 ∫x1x2(q2−q1)uv dx≥0\int_{x_1}^{x_2}(q_2 - q_1)uv\ dx \geq 0 なので両辺は 0 である。右辺が 0 なので(uv>0uv > 0 と連続性から)[x1,x2][x_1, x_2] 上で q1≡q2q_1 \equiv q_2。左辺が 0 なので v(x1)=v(x2)=0v(x_1) = v(x_2) = 0 で、u,vu, v のロンスキアンが x1x_1 で 0 となり、vv は uu の定数倍である。□\square

系 5.12(スツルムの分離定理)(py′)′+qy=0(py')' + qy = 0 の一次独立な 2 つの解の零点は、互いに交互に並ぶ。

証明. 定理 5.11 を q1=q2q_1 = q_2 として両方向に適用すればよい。□\square

系 5.13 y′′+q(x)y=0y'' + q(x)y = 0 について:

  1. q≤0q \leq 0 なら、非自明解の零点は高々 1 個である。
  2. 区間 II 上で 0<m2≤q≤M20 < m^2 \leq q \leq M^2 なら、非自明解の相続く零点の間隔は π/M\pi/M 以上 π/m\pi/m 以下であり、II に含まれる長さ π/m\pi/m の閉区間は必ず零点を含む。

証明. 1:y(x1)=y(x2)=0y(x_1) = y(x_2) = 0 なら 0=∫x1x2(y′′+qy)y dx=−∫x1x2(y′2−qy2) dx≤−∫x1x2y′2dx0 = \int_{x_1}^{x_2}(y'' + qy)y\ dx = -\int_{x_1}^{x_2}(y'^2 - qy^2)\ dx \leq -\int_{x_1}^{x_2}y'^2dx より y′≡0y' \equiv 0、よって y≡0y \equiv 0。2:相続く零点 x1<x2x_1 < x_2 に対し v=sin⁡M(x−x1)v = \sin M(x - x_1)(v′′+M2v=0v'' + M^2v = 0)に定理 5.11 を適用すると、vv は (x1,x2)(x_1, x_2) に零点をもつか yy の定数倍なので x2−x1≥π/Mx_2 - x_1 \geq \pi/M。また [c,c+π/m]⊂I[c, c + \pi/m] \subset I に対し u=sin⁡m(x−c)u = \sin m(x - c) と yy に定理 5.11 を適用すると、yy は (c,c+π/m)(c, c + \pi/m) に零点をもつか uu の定数倍である。いずれにせよ [c,c+π/m][c, c + \pi/m] は yy の零点を含み、間隔の上限 π/m\pi/m が従う。□\square

例 5.14(ベッセル関数の零点)u=tJν(t)u = \sqrt{t}J_\nu(t) は u′′+(1−ν2−1/4t2)u=0u'' + \left(1 - \frac{\nu^2 - 1/4}{t^2}\right)u = 0 をみたす(ベッセル方程式に y=t−1/2uy = t^{-1/2}u を代入して確かめられる)。tt が大きいと係数は 1 に近いので、系 5.13 より JνJ_\nu は無限個の正の零点をもち、その間隔は π\pi に近づく。ν>1/2\nu > 1/2 なら係数 <1< 1 なので間隔は π\pi より大きく、0≤ν<1/20 \leq \nu < 1/2 なら π\pi より小さい。ν=1/2\nu = 1/2 では u=2/πsin⁡tu = \sqrt{2/\pi}\sin t で間隔はちょうど π\pi である。

定理 5.10 の 2(振動定理)の証明の方針を述べる。プリューファー変換 y=rsin⁡θy = r\sin\theta, py′=rcos⁡θpy' = r\cos\theta(r>0r > 0)を行うと、θ\theta は

θ′=1pcos⁡2θ+(λw−q)sin⁡2θ\theta' = \frac{1}{p}\cos^2\theta + (\lambda w - q)\sin^2\theta

をみたす。yy の零点は θ∈πZ\theta \in \pi\mathbb{Z} となる点で、そこでは θ′=1/p>0\theta' = 1/p > 0 なので、θ\theta は π\pi の倍数を上向きにしか横切らない。θ(a)\theta(a) を境界条件 BaB_a から決まる値に固定すると、比較の議論により θ(b;λ)\theta(b; \lambda) は λ\lambda について連続かつ狭義単調増加で、λ→∞\lambda \to \infty で +∞+\infty に、λ→−∞\lambda \to -\infty で下限に近づく。λ\lambda が固有値であることは θ(b;λ)\theta(b; \lambda) が BbB_b から決まる値を π\pi を法としてとることと同値であり、nn 番目にそれが起こる λn\lambda_n では θ\theta はちょうど n−1n - 1 回 π\pi の倍数を横切る。詳細は常微分方程式の教科書(README の参考文献)を参照のこと。

5.5 固有関数展開とレイリー商

定理 5.10 を認めると、境界値問題は固有関数展開で解ける。μ\mu が固有値でないとき、Ly−μwy=wfLy - \mu wy = wf, Bay=Bby=0B_ay = B_by = 0 の解を y=∑cnφny = \sum c_n\varphi_n とおいて φn\varphi_n(実数値)を掛けて積分すると、補題 5.2 より ∫Ly φn dx=∫y Lφn dx=λncn\int Ly\ \varphi_n\ dx = \int y\ L\varphi_n\ dx = \lambda_nc_n なので (λn−μ)cn=⟨f,φn⟩w(\lambda_n - \mu)c_n = \langle f, \varphi_n \rangle_w、すなわち

y=∑n⟨f,φn⟩wλn−μφny = \sum_n \frac{\langle f, \varphi_n \rangle_w}{\lambda_n - \mu}\varphi_n

を得る。μ\mu が固有値 λn\lambda_n に近いと解は大きくなり、μ=λn\mu = \lambda_n では ⟨f,φn⟩w=0\langle f, \varphi_n \rangle_w = 0 でない限り解がない(命題 5.5)。周期的な外力を受ける弦では、外力の振動数が固有振動数に一致すると共鳴が起こる。

最小の固有値は、固有関数を知らなくても評価できる。ディリクレ条件 y(a)=y(b)=0y(a) = y(b) = 0 の場合に、C1C^1 級の実数値関数 y≠0y \neq 0 で y(a)=y(b)=0y(a) = y(b) = 0 をみたすものに対し

R[y]=∫ab(py′2+qy2) dx∫abwy2 dxR[y] = \frac{\int_a^b(py'^2 + qy^2)\,dx}{\int_a^b wy^2\,dx}

をレイリー商 (Rayleigh quotient) という。固有関数 φ\varphi については、部分積分により ∫pφ′2=−∫(pφ′)′φ=∫(λw−q)φ2\int p\varphi'^2 = -\int(p\varphi')'\varphi = \int(\lambda w - q)\varphi^2 なので R[φ]=λR[\varphi] = \lambda である。物理的には、R[y]R[y] は弦の形 yy についての「位置エネルギー ÷ 運動エネルギーの係数」であり、最低振動数の 2 乗を上から近似する。

定理 5.15(レイリーの原理)ディリクレ条件のスツルム–リウヴィル問題が、(a,b)(a, b) で正の固有関数 φ\varphi をもつ固有値 λ\lambda をもつとする。このとき上の条件をみたす任意の yy について R[y]≥λR[y] \geq \lambda であり、等号は yy が φ\varphi の定数倍のときに限る。特に λ\lambda は最小の固有値であり、λ1=min⁡R[y]\lambda_1 = \min R[y]。

証明. (a,b)(a, b) で y′−φ′φyy' - \frac{\varphi'}{\varphi}y を考え、

∫abp(y′−φ′φy)2dx=∫ab(py′2−pφ′φ(y2)′+pφ′2φ2y2)dx\int_a^b p\left(y' - \frac{\varphi'}{\varphi}y\right)^2dx = \int_a^b\left(py'^2 - p\frac{\varphi'}{\varphi}(y^2)' + p\frac{\varphi'^2}{\varphi^2}y^2\right)dx

の中央の項を部分積分する。(pφ′φ)′=(pφ′)′φ−pφ′2φ2=q−λw−pφ′2φ2\left(p\frac{\varphi'}{\varphi}\right)' = \frac{(p\varphi')'}{\varphi} - p\frac{\varphi'^2}{\varphi^2} = q - \lambda w - p\frac{\varphi'^2}{\varphi^2} なので、境界項を除けば右辺は ∫ab(py′2+qy2−λwy2) dx\int_a^b(py'^2 + qy^2 - \lambda wy^2)\ dx に等しい。境界項 [pφ′φy2]\left[p\frac{\varphi'}{\varphi}y^2\right] は 0 である:φ(a)=0\varphi(a) = 0 かつ φ′(a)≠0\varphi'(a) \neq 0(非自明解は二重零点をもたない)なので aa の近くで φ(x)∼φ′(a)(x−a)\varphi(x) \sim \varphi'(a)(x - a)、一方 y(x)=O(x−a)y(x) = O(x - a) なので φ′φy2=O(x−a)→0\frac{\varphi'}{\varphi}y^2 = O(x - a) \to 0(bb でも同様)。よって

∫ab(py′2+qy2) dx−λ∫abwy2 dx=∫abp(y′−φ′φy)2dx≥0\int_a^b(py'^2 + qy^2)\,dx - \lambda\int_a^b wy^2\,dx = \int_a^b p\left(y' - \frac{\varphi'}{\varphi}y\right)^2dx \geq 0

等号は (y/φ)′=0(y/\varphi)' = 0、すなわち y=cφy = c\varphi のときに限る。他の固有値 μ\mu の固有関数 ψ\psi(実数値)に適用すれば μ=R[ψ]≥λ\mu = R[\psi] \geq \lambda で、ψ\psi は φ\varphi の定数倍でないので μ>λ\mu > \lambda。□\square

振動定理(定理 5.10 の 2)により λ1\lambda_1 の固有関数は (a,b)(a, b) に零点をもたないので、定理 5.15 の仮定はつねにみたされる。この原理から、pp や qq を大きくすると λ1\lambda_1 は増える(減らない)ことがわかる(R[y]R[y] がすべての yy で同じ向きに変わるため)。ww を大きくすると、λ1>0\lambda_1 > 0 のとき(たとえば q≥0q \geq 0 のとき)は λ1\lambda_1 は減る(増えない)。このときすべての yy で R[y]≥λ1>0R[y] \geq \lambda_1 > 0 で分子が正だからである(λ1<0\lambda_1 < 0 なら逆向きになる)。高次の固有値についても λn=min⁡dim⁡V=nmax⁡y∈V∖{0}R[y]\lambda_n = \min_{\dim V = n}\max_{y \in V \setminus \lbrace 0 \rbrace}R[y](VV は許容関数の nn 次元部分空間)というミニマックス原理が成り立つ(主張のみ。行列版は 線形代数 第8章)。

例 5.16 −y′′=λy-y'' = \lambda y, y(0)=y(1)=0y(0) = y(1) = 0 の λ1=π2≈9.8696\lambda_1 = \pi^2 \approx 9.8696 に対し、試験関数 y=x(1−x)y = x(1 - x) では ∫01(1−2x)2dx=13\int_0^1(1 - 2x)^2dx = \frac{1}{3}, ∫01x2(1−x)2dx=130\int_0^1x^2(1 - x)^2dx = \frac{1}{30} より R[y]=10R[y] = 10 で、誤差は 1.3% ほどである。また、線密度が変化する弦 −y′′=λ(1+x)y-y'' = \lambda(1 + x)y では、∫y2≤∫(1+x)y2≤2∫y2\int y^2 \leq \int(1 + x)y^2 \leq 2\int y^2 より π2/2≤λ1≤π2\pi^2/2 \leq \lambda_1 \leq \pi^2 がわかる。

まとめ

  • 境界値問題は、同次問題が非自明解をもつと解が存在しないか無数に存在する。解ける条件は ∫fφ=0\int f\varphi = 0 で与えられる(フレドホルムの択一定理)。
  • 同次問題が自明解しかもたなければ、解は y=∫G(x,ξ)f(ξ) dξy = \int G(x, \xi)f(\xi)\ d\xi と表せる。グリーン関数 GG は連続・対称で、点源への応答を表す。
  • スツルム–リウヴィル作用素 −(py′)′+qy-(py')' + qy は分離型境界条件の下で自己随伴であり、固有値は実数で単純、固有関数は重み ww について直交する。
  • 固有値は λ1<λ2<⋯→∞\lambda_1 < \lambda_2 < \cdots \to \infty と並び、固有関数は完全正規直交系をなす(関数解析で証明)。
  • スツルムの比較定理:係数が大きい方程式の解ほど速く振動する。零点の間隔を π/max⁡q\pi/\sqrt{\max q} と π/min⁡q\pi/\sqrt{\min q} で挟める。
  • レイリー商の最小値は最小固有値に等しく、試験関数を代入すれば固有値を上から評価できる。

演習問題

問題 5.1 ★ −y′′=λy-y'' = \lambda y, y′(0)=0y'(0) = 0, y(π)=0y(\pi) = 0 の固有値と固有関数を求めよ。

解答

yy を掛けて積分すると λ∫0πy2=∫0πy′2−[yy′]0π=∫0πy′2\lambda\int_0^\pi y^2 = \int_0^\pi y'^2 - [yy']_0^\pi = \int_0^\pi y'^2 なので λ≥0\lambda \geq 0 で、λ=0\lambda = 0 なら yy は定数、y(π)=0y(\pi) = 0 から y=0y = 0。λ=μ2>0\lambda = \mu^2 > 0 なら y′(0)=0y'(0) = 0 より y=cos⁡μxy = \cos\mu x、cos⁡μπ=0\cos\mu\pi = 0 より μ=n−12\mu = n - \frac{1}{2}。固有値 λn=(n−12)2\lambda_n = (n - \frac{1}{2})^2、固有関数 cos⁡(n−12)x\cos(n - \frac{1}{2})x(n∈Nn \in \mathbb{N})。λn\lambda_n の固有関数は (0,π)(0, \pi) にちょうど n−1n - 1 個の零点をもつ。

問題 5.2 ★ −y′′=f-y'' = f, y(0)=0y(0) = 0, y′(1)=0y'(1) = 0 のグリーン関数を求めよ。

解答

u1=xu_1 = x(u1(0)=0u_1(0) = 0)、u2=1u_2 = 1(u2′(1)=0u_2'(1) = 0)、c=p(u1′u2−u1u2′)=1c = p(u_1'u_2 - u_1u_2') = 1。よって G(x,ξ)=min⁡(x,ξ)G(x, \xi) = \min(x, \xi)。検算:y=∫0xξf dξ+x∫x1f dξy = \int_0^x\xi f\ d\xi + x\int_x^1 f\ d\xi なら y′=∫x1f dξy' = \int_x^1 f\ d\xi, y′′=−fy'' = -f, y(0)=0y(0) = 0, y′(1)=0y'(1) = 0。

問題 5.3 ★★ y′′+a1(x)y′+a0(x)y+λy=0y'' + a_1(x)y' + a_0(x)y + \lambda y = 0 に P(x)=e∫a1dxP(x) = e^{\int a_1dx} を掛けるとスツルム–リウヴィル型 −(Py′)′−a0Py=λPy-(Py')' - a_0Py = \lambda Py になることを示せ。エルミートの方程式 y′′−2xy′+λy=0y'' - 2xy' + \lambda y = 0 に適用し、重み関数を求めよ。

解答

(Py′)′=Py′′+P′y′=P(y′′+a1y′)(Py')' = Py'' + P'y' = P(y'' + a_1y') なので、方程式に PP を掛けると (Py′)′+a0Py+λPy=0(Py')' + a_0Py + \lambda Py = 0。エルミートの方程式では a1=−2xa_1 = -2x, P=e−x2P = e^{-x^2} で、−(e−x2y′)′=λe−x2y-(e^{-x^2}y')' = \lambda e^{-x^2}y。重みは w=e−x2w = e^{-x^2} である(R\mathbb{R} 上の特異な問題で、固有関数はエルミート多項式)。

問題 5.4 ★★ y′′+y=x−αy'' + y = x - \alpha, y(0)=y(π)=0y(0) = y(\pi) = 0 が解をもつような α\alpha を求め、そのときの解をすべて求めよ。

解答

命題 5.5(φ=sin⁡x\varphi = \sin x)より条件は ∫0π(x−α)sin⁡x dx=π−2α=0\int_0^\pi(x - \alpha)\sin x\ dx = \pi - 2\alpha = 0、すなわち α=π/2\alpha = \pi/2。このとき特殊解 x−π2x - \frac{\pi}{2} に同次解を加えた y=x−π2+Acos⁡x+Bsin⁡xy = x - \frac{\pi}{2} + A\cos x + B\sin x で、y(0)=0y(0) = 0 より A=π2A = \frac{\pi}{2}、すると y(π)=π−π2−π2=0y(\pi) = \pi - \frac{\pi}{2} - \frac{\pi}{2} = 0 は自動的に成り立つ。解は y=x−π2+π2cos⁡x+Bsin⁡xy = x - \frac{\pi}{2} + \frac{\pi}{2}\cos x + B\sin x(B∈RB \in \mathbb{R})。

問題 5.5 ★ y′′+(4+cos⁡x)y=0y'' + (4 + \cos x)y = 0 の非自明解の相続く零点の間隔 dd は π/5≤d≤π/3\pi/\sqrt{5} \leq d \leq \pi/\sqrt{3} をみたすことを示せ。

解答

3≤4+cos⁡x≤53 \leq 4 + \cos x \leq 5 なので、系 5.13 の 2 を m=3m = \sqrt{3}, M=5M = \sqrt{5} として適用すればよい。特に解は無限個の零点をもつ。

問題 5.6 ★★ J0J_0 は無限個の正の零点をもち、相続く正の零点の間隔は π\pi より小さいことを示せ。

解答

例 5.14 で ν=0\nu = 0 とすると、u=tJ0(t)u = \sqrt{t}J_0(t) は u′′+(1+14t2)u=0u'' + \left(1 + \frac{1}{4t^2}\right)u = 0 をみたす。係数は t>0t > 0 で 1 より大きいので、sin⁡(t−c)\sin(t - c)(係数 1)と比較する(定理 5.11、q1≡1<q2q_1 \equiv 1 < q_2)と、sin⁡(t−c)\sin(t - c) の相続く零点 c,c+πc, c + \pi の間の開区間に uu の零点がある。c>0c > 0 は任意なので零点は無限個あり、uu の相続く零点 t1<t2t_1 < t_2 について c=t1c = t_1 とすると (t1,t1+π)(t_1, t_1 + \pi) に次の零点があり、t2−t1<πt_2 - t_1 < \pi。J0J_0 と uu の正の零点は一致する。

問題 5.7 ★★ −y′′+xy=λy-y'' + xy = \lambda y, y(0)=y(1)=0y(0) = y(1) = 0 の最小固有値 λ1\lambda_1 が π2<λ1≤π2+12\pi^2 < \lambda_1 \leq \pi^2 + \frac{1}{2} をみたすことを示せ。

解答

上からの評価:y=sin⁡πxy = \sin\pi x を代入すると ∫01π2cos⁡2πx dx=π22\int_0^1\pi^2\cos^2\pi x\ dx = \frac{\pi^2}{2}、∫01sin⁡2πx dx=12\int_0^1\sin^2\pi x\ dx = \frac{1}{2}、∫01xsin⁡2πx dx=14−12∫01xcos⁡2πx dx=14\int_0^1 x\sin^2\pi x\ dx = \frac{1}{4} - \frac{1}{2}\int_0^1x\cos 2\pi x\ dx = \frac{1}{4} なので R[y]=π2+12R[y] = \pi^2 + \frac{1}{2}、定理 5.15 より λ1≤π2+12\lambda_1 \leq \pi^2 + \frac{1}{2}(λ1\lambda_1 の固有関数が正であることは振動定理による)。下からの評価:λ1\lambda_1 の固有関数 φ1\varphi_1 について、−y′′=λy-y'' = \lambda y の場合の定理 5.15(λ=π2\lambda = \pi^2, φ=sin⁡πx\varphi = \sin\pi x)から ∫φ1′2≥π2∫φ12\int\varphi_1'^2 \geq \pi^2\int\varphi_1^2。よって λ1=R[φ1]≥π2+∫xφ12/∫φ12>π2\lambda_1 = R[\varphi_1] \geq \pi^2 + \int x\varphi_1^2/\int\varphi_1^2 > \pi^2。

問題 5.8 ★★★ [0,π][0, \pi] 上の −y′′=f-y'' = f, y(0)=y(π)=0y(0) = y(\pi) = 0 のグリーン関数 G(x,ξ)G(x, \xi) を求め、固有関数展開 G(x,ξ)=2π∑n=1∞sin⁡nxsin⁡nξn2G(x, \xi) = \frac{2}{\pi}\sum_{n=1}^\infty \frac{\sin nx\sin n\xi}{n^2}(定理 5.10 の 3 から従う)を認めて、∑k=0∞1(2k+1)2=π28\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{(2k + 1)^2} = \frac{\pi^2}{8} を導け。

解答

u1=xu_1 = x, u2=π−xu_2 = \pi - x, c=1⋅(π−x)−x⋅(−1)=πc = 1\cdot(\pi - x) - x\cdot(-1) = \pi より G(x,ξ)=min⁡(x,ξ)(π−max⁡(x,ξ))/πG(x, \xi) = \min(x, \xi)\bigl(\pi - \max(x, \xi)\bigr)/\pi。展開の係数が正しいことは次のように確かめられる:正規化した固有関数は 2/πsin⁡nx\sqrt{2/\pi}\sin nx で、∫0πG(x,ξ)sin⁡nξ dξ\int_0^\pi G(x, \xi)\sin n\xi\ d\xi は −y′′=sin⁡nx-y'' = \sin nx の境界値問題の解 sin⁡nxn2\frac{\sin nx}{n^2} に等しい(定理 5.3 の一意性)。x=ξ=π/2x = \xi = \pi/2 とおくと、左辺は (π/2)(π/2)π=π4\frac{(\pi/2)(\pi/2)}{\pi} = \frac{\pi}{4}、右辺は 2π∑nsin⁡2(nπ/2)n2=2π∑n odd1n2\frac{2}{\pi}\sum_n\frac{\sin^2(n\pi/2)}{n^2} = \frac{2}{\pi}\sum_{n \text{ odd}}\frac{1}{n^2}。よって ∑n odd1n2=π28\sum_{n \text{ odd}}\frac{1}{n^2} = \frac{\pi^2}{8}。級数は ∑1/n2\sum 1/n^2 で優越されるので一様収束し、各点での等号が意味をもつ。

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