Lemma数学ロードマップ

16 リー群と表現論 · 第 3 章

リー環の構造論

目安 13〜17 時間定理など 15演習 7 問

この章の目標

  • 抽象的なリー環・イデアル・準同型・表現を扱い、sl2\mathfrak{sl}_2 が単純であることを示せる
  • 可解・冪零リー環を定義し、エンゲルの定理とリーの定理を(仮定に注意して)証明できる
  • キリング形式を計算し、カルタンの判定法を使って可解性・半単純性を判定できる
  • 半単純リー環が単純イデアルの直和に一意に分解することを証明できる
  • カシミール元を用いてワイルの完全可約性定理を証明できる

前提:第2章、線形代数 第6章(ジョルダン標準形・三角化)、代数学 第4章(可解群)

第2章で、リー群はそのリー環によってほぼ決まることを見た。この章ではリー環を純代数的に調べる。群論との類比が道しるべになる。有限群が可解群と単純群から組み立てられるように、リー環も可解リー環と半単純リー環から組み立てられ(レヴィ分解)、半単純リー環は単純リー環の直和である。そして半単純リー環の表現は、有限群の表現と同様に完全可約である(ワイルの定理)。後者はマシュケの定理の類似だが、「平均をとる」操作の代わりにカシミール元を使う。

この章では KK を体とし、リー環はすべて KK 上有限次元とする。どの定理で標数 0 や代数閉性が必要かに注意してほしい。

3.1 リー環の定義と例

定義 3.1(リー環, Lie algebra)KK 上のベクトル空間 LL と双線形写像 [⋅,⋅] ⁣:L×L→L[\cdot, \cdot]\colon L \times L \to L の組で、すべての x,y,z∈Lx, y, z \in L について

[x,x]=0,[x,[y,z]]+[y,[z,x]]+[z,[x,y]]=0(ヤコビ恒等式)[x, x] = 0, \qquad [x, [y, z]] + [y, [z, x]] + [z, [x, y]] = 0 \quad (\text{ヤコビ恒等式})

を満たすものをリー環という。

[x+y,x+y]=0[x+y, x+y] = 0 を展開すると [x,y]=−[y,x][x, y] = -[y, x] を得る。逆に反対称性から [x,x]=0[x, x] = 0 が出るのは char⁡K≠2\operatorname{char} K \neq 2 のときである。

例 3.2

  1. 有限次元ベクトル空間 VV の自己準同型全体 gl(V)\mathfrak{gl}(V) は交換子 [x,y]=xy−yx[x, y] = xy - yx でリー環になる。gln(K)=gl(Kn)\mathfrak{gl}_n(K) = \mathfrak{gl}(K^n)。
  2. gln(K)\mathfrak{gl}_n(K) の部分リー環:sln(K)\mathfrak{sl}_n(K)(トレース 0)、bn\mathfrak{b}_n(上三角行列)、nn\mathfrak{n}_n(対角成分が 0 の上三角行列)、dn\mathfrak{d}_n(対角行列)、son(K)={tx=−x}\mathfrak{so}_n(K) = \lbrace {}^tx = -x \rbrace、sp2n(K)={txJ+Jx=0}\mathfrak{sp}_{2n}(K) = \lbrace {}^txJ + Jx = 0 \rbrace。
  3. 任意のベクトル空間に [x,y]=0[x, y] = 0 と定めたもの(可換リー環)。
  4. ハイゼンベルク代数:基底 x,y,zx, y, z で [x,y]=z[x, y] = z, [x,z]=[y,z]=0[x, z] = [y, z] = 0。n3\mathfrak{n}_3 と同型である。
  5. 2 次元の非可換リー環:基底 x,yx, y で [x,y]=y[x, y] = y。
  6. KK 上の代数 AA の導分 (derivation)、すなわち δ(ab)=δ(a)b+aδ(b)\delta(ab) = \delta(a)b + a\delta(b) を満たす線形写像の全体 Der⁡(A)\operatorname{Der}(A) は gl(A)\mathfrak{gl}(A) の部分リー環である。
  7. リー群のリー環(第2章)。su(2)\mathfrak{su}(2), so(3)\mathfrak{so}(3), sl2(R)\mathfrak{sl}_2(\mathbb{R}) などは実リー環である。

命題 3.3 1 次元のリー環は可換である。2 次元のリー環は、可換であるか、例 3.2 の 5 と同型である。

証明. 1 次元なら [ax,bx]=ab[x,x]=0[ax, bx] = ab[x, x] = 0。2 次元で可換でないとする。基底 a,ba, b について [L,L][L, L] は [a,b][a, b] で張られる 1 次元空間である。y=[a,b]y = [a, b] とし、x∉Kyx \notin Ky をとると L=Kx+KyL = Kx + Ky で、[x,y]∈[L,L]=Ky[x, y] \in [L, L] = Ky より [x,y]=cy[x, y] = cy。c=0c = 0 なら LL は可換になるので c≠0c \neq 0。xx を x/cx/c に取り替えれば [x,y]=y[x, y] = y。□\square

3.2 イデアル・準同型・表現

定義 3.4 部分空間 I⊂LI \subset L が [L,I]⊂I[L, I] \subset I を満たすときイデアル (ideal) という。L/IL/I には [x+I,y+I]=[x,y]+I[x + I, y + I] = [x, y] + I でリー環の構造が入る。準同型は φ([x,y])=[φ(x),φ(y)]\varphi([x, y]) = [\varphi(x), \varphi(y)] を満たす線形写像で、その核はイデアルである(環の場合と同様の準同型定理が成り立つ)。中心 Z(L)={z∣[z,L]=0}Z(L) = \lbrace z \mid [z, L] = 0 \rbrace と導来環 [L,L][L, L] はイデアルである。LL が非可換で、イデアルが 00 と LL しかないとき、LL は単純 (simple) であるという。

定義 3.5(表現)準同型 ρ ⁣:L→gl(V)\rho\colon L \to \mathfrak{gl}(V) を LL の表現、VV を LL-加群という。部分加群・既約性・加群の準同型は群の場合と同様に定義する。随伴表現 (adjoint representation) は ad⁡ ⁣:L→gl(L)\operatorname{ad}\colon L \to \mathfrak{gl}(L), ad⁡x(y)=[x,y]\operatorname{ad}_x(y) = [x, y] である。

ヤコビ恒等式は ad⁡[x,y]=[ad⁡x,ad⁡y]\operatorname{ad}_{[x, y]} = [\operatorname{ad}_x, \operatorname{ad}_y] と同値なので、ad⁡\operatorname{ad} は確かに表現である。ker⁡ad⁡=Z(L)\ker\operatorname{ad} = Z(L) である。表現の直和、テンソル積 x(v⊗w)=xv⊗w+v⊗xwx(v \otimes w) = xv \otimes w + v \otimes xw、双対 (xf)(v)=−f(xv)(xf)(v) = -f(xv) は、群の表現の構成(第1章 1.4 節)を微分したものである。シューアの補題(定理 1.11)は同じ証明でリー環の有限次元既約表現についても成り立つ。

例 3.6(sl2\mathfrak{sl}_2 は単純)char⁡K≠2\operatorname{char} K \neq 2 とし、sl2(K)\mathfrak{sl}_2(K) の基底 E,H,FE, H, F([H,E]=2E[H, E] = 2E, [H,F]=−2F[H, F] = -2F, [E,F]=H[E, F] = H)をとる。0≠x=aE+bH+cF0 \neq x = aE + bH + cF を含むイデアル II を考える。

[E,[E,x]]=[E,−2bE+cH]=−2cE,[F,[F,x]]=[F,−aH+2bF]=−2aF[E, [E, x]] = [E, -2bE + cH] = -2cE, \qquad [F, [F, x]] = [F, -aH + 2bF] = -2aF

なので、c≠0c \neq 0 なら E∈IE \in I、a≠0a \neq 0 なら F∈IF \in I である。E∈IE \in I なら H=[E,F]∈IH = [E, F] \in I、F=−12[H,F]∈IF = -\frac{1}{2}[H, F] \in I となり I=sl2I = \mathfrak{sl}_2。F∈IF \in I の場合も同様。a=c=0a = c = 0 なら H∈IH \in I で、E=12[H,E]∈IE = \frac{1}{2}[H, E] \in I から I=sl2I = \mathfrak{sl}_2。よって sl2(K)\mathfrak{sl}_2(K) は単純である。

3.3 可解リー環と冪零リー環

定義 3.7 導来列 L(0)=LL^{(0)} = L, L(k+1)=[L(k),L(k)]L^{(k+1)} = [L^{(k)}, L^{(k)}] と降中心列 L1=LL^1 = L, Lk+1=[L,Lk]L^{k+1} = [L, L^k] を定める。ある kk で L(k)=0L^{(k)} = 0 となるとき LL は可解 (solvable)、ある kk で Lk=0L^k = 0 となるとき冪零 (nilpotent) であるという。

L(k)⊂Lk+1L^{(k)} \subset L^{k+1} なので冪零なら可解である。ヤコビ恒等式から、イデアルの導来列・降中心列の各項は再び LL のイデアルである。

例 3.8 nn\mathfrak{n}_n は冪零である(nnk\mathfrak{n}_n^k は「対角線から kk 本以上上」の成分だけをもつ行列からなる)。[bn,bn]=nn[\mathfrak{b}_n, \mathfrak{b}_n] = \mathfrak{n}_n なので bn\mathfrak{b}_n は可解だが、n≥2n \geq 2 なら [diag⁡(1,0,…,0),E12]=E12[\operatorname{diag}(1, 0, \dots, 0), E_{12}] = E_{12} より bnk∋E12\mathfrak{b}_n^k \ni E_{12} がすべての kk で成り立ち、冪零でない。2 次元非可換リー環も同様に可解だが冪零でない。sl2\mathfrak{sl}_2 は [sl2,sl2]=sl2[\mathfrak{sl}_2, \mathfrak{sl}_2] = \mathfrak{sl}_2 なので可解でない。

命題 3.9 (1) 可解リー環の部分リー環と準同型像は可解である。(2) II がイデアルで II と L/IL/I が可解なら LL は可解である。(3) I,JI, J が可解イデアルなら I+JI + J も可解イデアルである。したがって LL には最大の可解イデアル Rad⁡(L)\operatorname{Rad}(L)(根基, radical)がただ一つ存在する。

証明. (1) は明らか。(2) (L/I)(k)=0(L/I)^{(k)} = 0 なら L(k)⊂IL^{(k)} \subset I なので L(k+m)⊂I(m)L^{(k+m)} \subset I^{(m)} で、これは mm が大きければ 0。(3) (I+J)/J≅I/(I∩J)(I + J)/J \cong I/(I \cap J) は可解で JJ も可解なので (2) による。有限次元なので、次元最大の可解イデアルがあり、(3) よりそれはすべての可解イデアルを含む。□\square

定義 3.10(半単純リー環)L≠0L \neq 0 で Rad⁡(L)=0\operatorname{Rad}(L) = 0 のとき、LL は半単純 (semisimple) であるという。

Rad⁡(L)≠0\operatorname{Rad}(L) \neq 0 なら、その導来列の最後の 0 でない項は LL の 0 でない可換イデアルである。したがって LL が半単純   ⟺  \iff LL は 0 でない可換イデアルをもたない。単純リー環は半単純である(Rad⁡(L)\operatorname{Rad}(L) は 00 か LL だが、LL は [L,L]=L[L, L] = L より可解でない)。

3.4 エンゲルの定理

冪零リー環の典型は nn\mathfrak{n}_n である。エンゲルの定理は「冪零行列からなるリー環は nn\mathfrak{n}_n に入る」ことを主張する。これは任意の体で成り立つ。

補題 3.11 x∈gl(V)x \in \mathfrak{gl}(V) が冪零ならば、ad⁡x∈gl(gl(V))\operatorname{ad}_x \in \mathfrak{gl}(\mathfrak{gl}(V)) も冪零である。

証明. λx(y)=xy\lambda_x(y) = xy, ρx(y)=yx\rho_x(y) = yx とおくと ad⁡x=λx−ρx\operatorname{ad}_x = \lambda_x - \rho_x で、λx\lambda_x と ρx\rho_x は可換である。xm=0x^m = 0 なら λxm=ρxm=0\lambda_x^m = \rho_x^m = 0 で、二項展開 (λx−ρx)2m=∑i(2mi)λxi(−ρx)2m−i(\lambda_x - \rho_x)^{2m} = \sum_i \binom{2m}{i}\lambda_x^i(-\rho_x)^{2m-i} の各項は i≥mi \geq m か 2m−i≥m2m - i \geq m を満たすので 0 である。□\square

定理 3.12(エンゲルの定理, Engel's theorem)KK を任意の体、V≠0V \neq 0 を有限次元ベクトル空間、L⊂gl(V)L \subset \mathfrak{gl}(V) を部分リー環とし、LL の元はすべて冪零な自己準同型であるとする。このとき、すべての x∈Lx \in L について xv=0xv = 0 となる v≠0v \neq 0 が存在する。

証明. dim⁡L\dim L に関する帰納法。dim⁡L≤1\dim L \leq 1 なら、冪零な xx の核は 0 でないので正しい。dim⁡L≥2\dim L \geq 2 とし、LL の極大な真部分リー環 MM をとる(00 は真部分リー環なので存在する)。補題 3.11 より各 ad⁡m\operatorname{ad}_m (m∈Mm \in M) は冪零で、MM を保つから、商空間 L/M≠0L/M \neq 0 に冪零な自己準同型を誘導する。その像は dim⁡M<dim⁡L\dim M < \dim L 次元以下の部分リー環なので、帰納法の仮定から y+M≠0y + M \neq 0 で [M,y]⊂M[M, y] \subset M となる y∈L∖My \in L \setminus M がある。すると M+KyM + Ky は部分リー環で MM を真に含むので、極大性から L=M+KyL = M + Ky であり、MM は余次元 1 のイデアルである。

帰納法の仮定より W={v∈V∣Mv=0}≠0W = \lbrace v \in V \mid Mv = 0 \rbrace \neq 0。x∈Lx \in L, w∈Ww \in W, m∈Mm \in M について m(xw)=x(mw)−[x,m]w=0m(xw) = x(mw) - [x, m]w = 0([x,m]∈M[x, m] \in M)なので、WW は LL で不変である。y∣Wy\vert_W は冪零なので yv=0yv = 0 となる v∈W∖{0}v \in W \setminus \lbrace 0 \rbrace があり、Lv=(M+Ky)v=0Lv = (M + Ky)v = 0。□\square

系 3.13 (1) 定理 3.12 の仮定のもとで、VV の基底をうまくとれば L⊂nnL \subset \mathfrak{n}_n となる。(2) リー環 LL が冪零であるための必要十分条件は、すべての x∈Lx \in L について ad⁡x\operatorname{ad}_x が冪零であることである。

証明. (1) 定理 3.12 の vv をとり、V/KvV/Kv に帰納法を適用すればよい。(2) 冪零なら (ad⁡x)kL⊂Lk+1(\operatorname{ad}_x)^k L \subset L^{k+1} より ad⁡x\operatorname{ad}_x は冪零。逆に ad⁡x\operatorname{ad}_x がすべて冪零で L≠0L \neq 0 とする。ad⁡L⊂gl(L)\operatorname{ad}L \subset \mathfrak{gl}(L) に定理 3.12 を適用すると [L,z]=0[L, z] = 0 となる z≠0z \neq 0 があり、Z(L)≠0Z(L) \neq 0。L/Z(L)L/Z(L) も同じ仮定を満たすので、dim⁡\dim に関する帰納法で冪零であり、(L/Z(L))k=0(L/Z(L))^k = 0 なら Lk⊂Z(L)L^k \subset Z(L)、Lk+1=[L,Lk]=0L^{k+1} = [L, L^k] = 0。□\square

注意

冪零リー環の元が冪零行列であるとは限らない。対角行列のなすリー環 dn\mathfrak{d}_n は可換なので冪零だが、その元は冪零行列ではない。系 3.13 (2) は随伴表現についての主張である。

3.5 リーの定理

可解リー環の典型は bn\mathfrak{b}_n である。リーの定理は「可解リー環は同時に三角化できる」ことを主張する。こちらは代数閉体かつ標数 0 が必要である。

定理 3.14(リーの定理, Lie's theorem)KK を標数 0 の代数閉体、V≠0V \neq 0 を有限次元ベクトル空間、L⊂gl(V)L \subset \mathfrak{gl}(V) を可解な部分リー環とする。このとき LL のすべての元の共通の固有ベクトルが存在する。

証明. dim⁡L\dim L に関する帰納法。dim⁡L=0\dim L = 0 なら明らか。

(i) 余次元 1 のイデアル MM をとる:LL は可解なので [L,L]≠L[L, L] \neq L であり、[L,L][L, L] を含む余次元 1 の部分空間 MM は [L,M]⊂[L,L]⊂M[L, M] \subset [L, L] \subset M よりイデアルである。MM は可解なので、帰納法の仮定から共通の固有ベクトルをもつ。すなわち線形形式 λ ⁣:M→K\lambda\colon M \to K があって W={v∈V∣mv=λ(m)v (∀m∈M)}≠0W = \lbrace v \in V \mid mv = \lambda(m)v \ (\forall m \in M) \rbrace \neq 0。

(ii) WW は LL で不変であることを示す。x∈Lx \in L, 0≠w∈W0 \neq w \in W をとり、w,xw,x2w,…w, xw, x^2w, \dots が一次従属になる最小の nn をとって Wi=span⁡(w,xw,…,xi−1w)W_i = \operatorname{span}(w, xw, \dots, x^{i-1}w) とおく。m∈Mm \in M について、ii に関する帰納法で

mxiw≡λ(m)xiw(modWi)m x^i w \equiv \lambda(m)x^iw \pmod{W_i}

が示される(mxiw=x(mxi−1w)−[x,m]xi−1wmx^iw = x(mx^{i-1}w) - [x, m]x^{i-1}w で、[x,m]∈M[x, m] \in M に帰納法の仮定を使う)。よって WnW_n は MM と xx で不変で、m∣Wnm\vert_{W_n} は基底 w,…,xn−1ww, \dots, x^{n-1}w に関して対角成分がすべて λ(m)\lambda(m) の上三角行列であり、tr⁡Wn(m)=nλ(m)\operatorname{tr}_{W_n}(m) = n\lambda(m)。これを [x,m]∈M[x, m] \in M に適用すると、[x,m]∣Wn=[x∣Wn,m∣Wn][x, m]\vert_{W_n} = [x\vert_{W_n}, m\vert_{W_n}] は交換子なのでトレースは 0 であり、nλ([x,m])=0n\lambda([x, m]) = 0。標数 0 なので λ([x,m])=0\lambda([x, m]) = 0。したがって w∈Ww \in W について

m(xw)=x(mw)−[x,m]w=λ(m)xw−λ([x,m])w=λ(m)xwm(xw) = x(mw) - [x, m]w = \lambda(m)xw - \lambda([x, m])w = \lambda(m)xw

となり xw∈Wxw \in W。

(iii) L=M+KzL = M + Kz と書く。z∣Wz\vert_W は代数閉体上の有限次元空間の自己準同型なので固有ベクトル v0∈Wv_0 \in W をもち、v0v_0 は LL の共通の固有ベクトルである。□\square

系 3.15 定理 3.14 の仮定のもとで、(1) VV の基底をうまくとれば L⊂bnL \subset \mathfrak{b}_n となる。(2) 可解リー環 LL について [L,L][L, L] は冪零である。

証明. (1) 共通の固有ベクトル vv をとり V/KvV/Kv に帰納法を適用する。(2) (1) を ad⁡L⊂gl(L)\operatorname{ad}L \subset \mathfrak{gl}(L) に適用すると ad⁡L\operatorname{ad}L は上三角、ad⁡[L,L]=[ad⁡L,ad⁡L]\operatorname{ad}[L, L] = [\operatorname{ad}L, \operatorname{ad}L] は対角成分 0 の上三角行列からなる。よって x∈[L,L]x \in [L, L] の ad⁡Lx\operatorname{ad}_L x、したがって ad⁡[L,L]x\operatorname{ad}_{[L,L]}x は冪零であり、系 3.13 より [L,L][L, L] は冪零である。□\square

例 3.16(仮定は外せない)(1) K=RK = \mathbb{R} のとき、so(2)=RJ\mathfrak{so}(2) = \mathbb{R}J(JJ は 90° 回転の生成元)は可換だが R2\mathbb{R}^2 に共通の実固有ベクトルをもたない。(2) char⁡K=p>0\operatorname{char} K = p > 0 のとき、glp(K)\mathfrak{gl}_p(K) で xx を巡回置換 xei=ei+1xe_i = e_{i+1}(添字は  mod p\bmod p)、y=diag⁡(0,1,…,p−1)y = \operatorname{diag}(0, 1, \dots, p-1) とすると、[y,x]ei=(i+1)ei+1−iei+1=xei[y, x]e_i = (i + 1)e_{i+1} - ie_{i+1} = xe_i より [y,x]=x[y, x] = x で、Kx+KyKx + Ky は 2 次元の可解リー環である。yy の固有ベクトルは eie_i の定数倍だけだが xei=ei+1xe_i = e_{i+1} なので、共通の固有ベクトルはない。証明の (ii) で「nλ([x,m])=0n\lambda([x,m]) = 0 から λ([x,m])=0\lambda([x,m]) = 0」が n=pn = p のとき使えないことに対応する。

3.6 キリング形式

定義 3.17(キリング形式, Killing form)κ(x,y)=tr⁡(ad⁡xad⁡y)\kappa(x, y) = \operatorname{tr}(\operatorname{ad}_x\operatorname{ad}_y) を LL のキリング形式という。

κ\kappa は対称双線形形式で、不変性 κ([x,y],z)=κ(x,[y,z])\kappa([x, y], z) = \kappa(x, [y, z]) を満たす(tr⁡([A,B]C)=tr⁡(A[B,C])\operatorname{tr}([A, B]C) = \operatorname{tr}(A[B, C]) による)。不変性から、イデアル II の直交空間 I⊥={x∣κ(x,I)=0}I^\perp = \lbrace x \mid \kappa(x, I) = 0 \rbrace はイデアルであり、特に κ\kappa の根基 L⊥L^\perp はイデアルである。

補題 3.18 II を LL のイデアルとすると、II 自身のキリング形式 κI\kappa_I は κ∣I×I\kappa\vert_{I \times I} に等しい。

証明. x,y∈Ix, y \in I なら ad⁡xad⁡y\operatorname{ad}_x\operatorname{ad}_y は LL を II に写す。像が部分空間 II に含まれる自己準同型のトレースは、II への制限のトレースに等しい(II の基底を LL の基底に延長して行列を書けばわかる)。□\square

例 3.19(sl2\mathfrak{sl}_2 のキリング形式)基底 (E,H,F)(E, H, F) に関して

ad⁡H=(20000000−2),ad⁡E=(0−20001000),ad⁡F=(000−100020)\operatorname{ad}_H = \begin{pmatrix} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & -2 \end{pmatrix}, \quad \operatorname{ad}_E = \begin{pmatrix} 0 & -2 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}, \quad \operatorname{ad}_F = \begin{pmatrix} 0 & 0 & 0 \\ -1 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \end{pmatrix}

である(例えば ad⁡EH=−2E\operatorname{ad}_E H = -2E, ad⁡EF=H\operatorname{ad}_E F = H)。これから κ(H,H)=8\kappa(H, H) = 8, κ(E,F)=4\kappa(E, F) = 4、他の基底の組では 0 となり、グラム行列は

(004080400),det⁡=−128≠0\begin{pmatrix} 0 & 0 & 4 \\ 0 & 8 & 0 \\ 4 & 0 & 0 \end{pmatrix}, \qquad \det = -128 \neq 0

である。tr⁡(HH)=2\operatorname{tr}(HH) = 2, tr⁡(EF)=1\operatorname{tr}(EF) = 1 と比べると κ(x,y)=4tr⁡(xy)\kappa(x, y) = 4\operatorname{tr}(xy) であることがわかる(一般に sln\mathfrak{sl}_n では κ(x,y)=2ntr⁡(xy)\kappa(x, y) = 2n\operatorname{tr}(xy):問題 3.2)。

例 3.20 2 次元非可換リー環([x,y]=y[x, y] = y)では ad⁡x=diag⁡(0,1)\operatorname{ad}_x = \operatorname{diag}(0, 1), ad⁡y\operatorname{ad}_y は冪零で、κ(x,x)=1\kappa(x, x) = 1, κ(x,y)=κ(y,y)=0\kappa(x, y) = \kappa(y, y) = 0。κ\kappa は退化していて、根基は Ky=[L,L]Ky = [L, L] である。冪零リー環では系 3.13 により ad⁡L\operatorname{ad}L が対角成分 0 の上三角行列からなるので、κ=0\kappa = 0 である。

3.7 カルタンの判定法

キリング形式は可解性を判定する。

定理 3.21(カルタンの判定法, Cartan's criterion)char⁡K=0\operatorname{char} K = 0 とする。L⊂gl(V)L \subset \mathfrak{gl}(V)(VV は有限次元)が、すべての x∈[L,L]x \in [L, L], y∈Ly \in L について tr⁡(xy)=0\operatorname{tr}(xy) = 0 を満たせば、LL は可解である。

証明の概略. 代数閉包に係数拡大してよい(可解性もトレースの条件も保たれる)。[L,L][L, L] の各元が冪零であることを示せば、エンゲルの定理から [L,L][L, L] は冪零、したがって LL は可解である。x∈[L,L]x \in [L, L] をジョルダン分解 x=s+nx = s + n(ss は対角化可能、nn は冪零、sn=nssn = ns)し、ss の固有値 a1,…,ama_1, \dots, a_m がすべて 0 であることを示したい。aia_i たちが張る Q\mathbb{Q}-ベクトル空間 EE 上の任意の Q\mathbb{Q}-線形形式 ff をとり、ss を対角化する基底で対角成分 f(ai)f(a_i) をもつ yy を作る。ad⁡y\operatorname{ad}_y は ad⁡s\operatorname{ad}_s の定数項のない多項式で書け(ラグランジュ補間)、ad⁡s\operatorname{ad}_s は ad⁡x\operatorname{ad}_x の定数項のない多項式なので、ad⁡y\operatorname{ad}_y は LL を [L,L][L, L] に写す。yy 自身は LL に属するとは限らないが、x=∑k[uk,vk]x = \sum_k [u_k, v_k](uk,vk∈Lu_k, v_k \in L)と書くと tr⁡(xy)=∑ktr⁡([vk,y]uk)\operatorname{tr}(xy) = \sum_k \operatorname{tr}([v_k, y]u_k) であり、[vk,y]∈[L,L][v_k, y] \in [L, L] なので仮定から tr⁡(xy)=0\operatorname{tr}(xy) = 0。一方 yy は ss の多項式なので nn と可換で tr⁡(ny)=0\operatorname{tr}(ny) = 0 だから、tr⁡(xy)=tr⁡(sy)=∑if(ai)ai=0\operatorname{tr}(xy) = \operatorname{tr}(sy) = \sum_i f(a_i)a_i = 0 が導かれる。両辺に ff を施すと ∑if(ai)2=0\sum_i f(a_i)^2 = 0(有理数の和)となって f(ai)=0f(a_i) = 0。ff は任意なので E=0E = 0、すなわち s=0s = 0 である。詳細は Humphreys の本の §4.3 を参照。□\square

系 3.22 char⁡K=0\operatorname{char} K = 0 とする。LL が可解であるための必要十分条件は、すべての x∈[L,L]x \in [L, L], y∈Ly \in L について κ(x,y)=0\kappa(x, y) = 0 となることである。

証明. 十分性:定理 3.21 を ad⁡L⊂gl(L)\operatorname{ad}L \subset \mathfrak{gl}(L) に適用すると ad⁡L≅L/Z(L)\operatorname{ad}L \cong L/Z(L) は可解であり、Z(L)Z(L) は可換なので LL は可解(命題 3.9)。必要性:代数閉包に係数拡大して、系 3.15 より ad⁡L\operatorname{ad}L を上三角にとると、x∈[L,L]x \in [L, L] の ad⁡x\operatorname{ad}_x は対角成分 0 の上三角なので ad⁡xad⁡y\operatorname{ad}_x\operatorname{ad}_y も対角成分 0 の上三角であり、トレースは 0。□\square

3.8 半単純リー環とキリング形式の非退化性

定理 3.23 char⁡K=0\operatorname{char} K = 0 とする。LL が半単純であるための必要十分条件は、キリング形式 κ\kappa が非退化であることである。

証明. LL が半単純とし、S=L⊥S = L^\perp(κ\kappa の根基)とおく。SS はイデアルで、補題 3.18 より κS=κ∣S=0\kappa_S = \kappa\vert_S = 0 だから、系 3.22 より SS は可解である。よって S⊂Rad⁡(L)=0S \subset \operatorname{Rad}(L) = 0。

逆に κ\kappa が非退化とし、AA を LL の可換イデアルとする。a∈Aa \in A, x∈Lx \in L について、ad⁡aad⁡x\operatorname{ad}_a\operatorname{ad}_x は LL を AA に写し、(ad⁡aad⁡x)2(\operatorname{ad}_a\operatorname{ad}_x)^2 は LL を [a,A]=0[a, A] = 0 に写す。よって ad⁡aad⁡x\operatorname{ad}_a\operatorname{ad}_x は冪零でトレースは 0、すなわち κ(a,x)=0\kappa(a, x) = 0。非退化性から A=0A = 0 であり、LL は 0 でない可換イデアルをもたないので半単純である。□\square

例 3.24 sl2\mathfrak{sl}_2 は例 3.19 より半単純(例 3.6 より単純でもある)。gln\mathfrak{gl}_n はスカラー行列が可換イデアルなので半単純でない(実際 κ(I,⋅)=0\kappa(I, \cdot) = 0)。標数 0 で sln\mathfrak{sl}_n (n≥2n \geq 2), son\mathfrak{so}_n (n≥3n \geq 3), sp2n\mathfrak{sp}_{2n} (n≥1n \geq 1) は半単純である(sln\mathfrak{sl}_n については κ=2ntr⁡(xy)\kappa = 2n\operatorname{tr}(xy) とトレース形式の非退化性からわかる)。

実リー環では κ\kappa の符号が情報をもつ。so(3)\mathfrak{so}(3) では ad⁡Lj\operatorname{ad}_{L_j} の行列が LjL_j なので κ(Li,Lj)=tr⁡(LiLj)=−2δij\kappa(L_i, L_j) = \operatorname{tr}(L_iL_j) = -2\delta_{ij} で負定値、sl2(R)\mathfrak{sl}_2(\mathbb{R}) では基底 H,E+F,E−FH, E + F, E - F について κ\kappa は diag⁡(8,8,−8)\operatorname{diag}(8, 8, -8) で不定値である。負定値であることはコンパクト群のリー環の特徴である(第6章)。

3.9 単純イデアルへの分解

定理 3.25 char⁡K=0\operatorname{char} K = 0、LL を半単純とする。

  1. L=L1⊕⋯⊕LtL = L_1 \oplus \cdots \oplus L_t と単純イデアルの直和に分解する。
  2. LL の単純イデアルは L1,…,LtL_1, \dots, L_t のどれかに一致する。特に分解は(順序を除いて)一意である。
  3. [L,L]=L[L, L] = L, Z(L)=0Z(L) = 0 であり、LL のイデアルと LL の準同型像は半単純である。

証明. II をイデアルとすると I⊥I^\perp もイデアルで、κ∣I∩I⊥=0\kappa\vert_{I \cap I^\perp} = 0 だから系 3.22 と補題 3.18 より I∩I⊥I \cap I^\perp は可解イデアル、したがって 0 である。κ\kappa は非退化なので dim⁡I+dim⁡I⊥=dim⁡L\dim I + \dim I^\perp = \dim L で、L=I⊕I⊥L = I \oplus I^\perp。このとき [I,I⊥]⊂I∩I⊥=0[I, I^\perp] \subset I \cap I^\perp = 0 なので、II のイデアルは LL のイデアルでもあり、II の可解イデアルは 0、すなわち II は半単純である(I≠0I \neq 0 のとき)。L/I≅I⊥L/I \cong I^\perp も半単純である。

1:dim⁡L\dim L に関する帰納法。0 でない極小イデアル L1L_1 をとる。L1L_1 のイデアルは LL のイデアルなので極小性から L1L_1 は 0 と L1L_1 以外のイデアルをもたず、LL は 0 でない可換イデアルをもたないので L1L_1 は非可換、すなわち単純である。L=L1⊕L1⊥L = L_1 \oplus L_1^\perp で L1⊥L_1^\perp は半単純なので、帰納法の仮定から単純イデアルの直和である。

2:II を単純イデアルとする。Z(L)Z(L) は可換イデアルなので 0 で、[I,L]≠0[I, L] \neq 0 は II のイデアルだから [I,L]=I[I, L] = I。一方 [I,L]=[I,L1]⊕⋯⊕[I,Lt][I, L] = [I, L_1] \oplus \cdots \oplus [I, L_t] なので、ある ii で [I,Li]≠0[I, L_i] \neq 0 であり、[I,Li]⊂I∩Li[I, L_i] \subset I \cap L_i は II と LiL_i の両方の 0 でないイデアルだから I=I∩Li=LiI = I \cap L_i = L_i。

3:[Li,Li]=Li[L_i, L_i] = L_i(単純だから)より [L,L]=L[L, L] = L。残りは最初の段落で示した。□\square

3.10 ワイルの完全可約性定理

この節では KK を標数 0 の代数閉体とする(標数 0 の体であれば、係数拡大によって同じ結論が得られる)。

定義 3.26(カシミール元, Casimir element)LL を半単純、φ ⁣:L→gl(V)\varphi\colon L \to \mathfrak{gl}(V) を忠実な表現とする。β(x,y)=tr⁡(φ(x)φ(y))\beta(x, y) = \operatorname{tr}(\varphi(x)\varphi(y)) は LL 上の非退化な不変対称双線形形式である。LL の基底 x1,…,xnx_1, \dots, x_n と、β(xi,yj)=δij\beta(x_i, y_j) = \delta_{ij} となる双対基底 y1,…,yny_1, \dots, y_n をとり、

cφ=∑i=1nφ(xi)φ(yi)∈End⁡(V)c_\varphi = \sum_{i=1}^n \varphi(x_i)\varphi(y_i) \in \operatorname{End}(V)

を φ\varphi のカシミール元という。

β\beta の非退化性:根基 SS はイデアルで、φ(S)⊂gl(V)\varphi(S) \subset \mathfrak{gl}(V) は tr⁡(φ(x)φ(y))=0\operatorname{tr}(\varphi(x)\varphi(y)) = 0 (x,y∈Sx, y \in S) を満たすので定理 3.21 より可解、φ\varphi は単射なので SS は可解であり、S=0S = 0。φ=ad⁡\varphi = \operatorname{ad} のとき β=κ\beta = \kappa である。

補題 3.27 cφc_\varphi はすべての φ(x)\varphi(x) と可換であり、tr⁡cφ=dim⁡L\operatorname{tr}c_\varphi = \dim L である。特に VV が既約なら cφ=dim⁡Ldim⁡VidVc_\varphi = \frac{\dim L}{\dim V}\mathrm{id}_V。

証明. x∈Lx \in L について [x,xi]=∑jaijxj[x, x_i] = \sum_j a_{ij}x_j, [x,yi]=∑jbijyj[x, y_i] = \sum_j b_{ij}y_j と書く。不変性より aik=β([x,xi],yk)=−β(xi,[x,yk])=−bkia_{ik} = \beta([x, x_i], y_k) = -\beta(x_i, [x, y_k]) = -b_{ki}。よって

[φ(x),cφ]=∑i([φ(x),φ(xi)]φ(yi)+φ(xi)[φ(x),φ(yi)])=∑i,j(aij+bji)φ(xj)φ(yi)=0[\varphi(x), c_\varphi] = \sum_i \bigl([\varphi(x), \varphi(x_i)]\varphi(y_i) + \varphi(x_i)[\varphi(x), \varphi(y_i)]\bigr) = \sum_{i,j}(a_{ij} + b_{ji})\varphi(x_j)\varphi(y_i) = 0

また tr⁡cφ=∑iβ(xi,yi)=n\operatorname{tr}c_\varphi = \sum_i\beta(x_i, y_i) = n。最後の主張はシューアの補題(代数閉体)とトレースの比較による。□\square

例 3.28 sl2\mathfrak{sl}_2 の標準表現 K2K^2 では β(x,y)=tr⁡(xy)\beta(x, y) = \operatorname{tr}(xy) で、(E,H,F)(E, H, F) の双対基底は (F,H/2,E)(F, H/2, E)。よって

cφ=EF+12H2+FE=diag⁡(1,0)+12I+diag⁡(0,1)=32Ic_\varphi = EF + \frac{1}{2}H^2 + FE = \operatorname{diag}(1, 0) + \frac{1}{2}I + \operatorname{diag}(0, 1) = \frac{3}{2}I

であり、dim⁡L/dim⁡V=3/2\dim L/\dim V = 3/2 と一致する。

定理 3.29(ワイルの完全可約性定理, Weyl's theorem)KK を標数 0 の代数閉体、LL を半単純リー環とする。LL の有限次元表現はすべて完全可約である。すなわち、部分加群 W⊂VW \subset V には補空間となる部分加群が存在する。

証明. まず、1 次元表現は自明である:φ(L)=φ([L,L])=[φ(L),φ(L)]\varphi(L) = \varphi([L, L]) = [\varphi(L), \varphi(L)] で、gl1\mathfrak{gl}_1 は可換だから。

段階 1(余次元 1 の場合):W⊂VW \subset V が余次元 1 の部分加群なら補空間の部分加群があることを、dim⁡V\dim V に関する帰納法で示す。LL を L/ker⁡φL/\ker\varphi(定理 3.25 より半単純か 0)に取り替えて φ\varphi は忠実としてよい(φ=0\varphi = 0 なら任意の補空間でよい)。V/WV/W は 1 次元なので LL は自明に作用し、φ(x)V⊂W\varphi(x)V \subset W である。

(a) WW が既約でないとき:部分加群 0≠W′⊊W0 \neq W' \subsetneq W をとる。V/W′V/W' の余次元 1 の部分加群 W/W′W/W' に帰納法の仮定を使うと V/W′=W/W′⊕Y~/W′V/W' = W/W' \oplus \widetilde{Y}/W'(dim⁡Y~/W′=1\dim\widetilde{Y}/W' = 1)。W′⊂Y~W' \subset \widetilde{Y} は余次元 1 で dim⁡Y~<dim⁡V\dim\widetilde{Y} < \dim V なので、再び帰納法の仮定から Y~=W′⊕X\widetilde{Y} = W' \oplus X(XX は 1 次元の部分加群)。X∩W⊂Y~∩W=W′X \cap W \subset \widetilde{Y} \cap W = W' かつ X∩W′=0X \cap W' = 0 より X∩W=0X \cap W = 0 で、次元を比べて V=W⊕XV = W \oplus X。

(b) WW が既約のとき:c=cφc = c_\varphi とおく。φ(x)V⊂W\varphi(x)V \subset W より c(V)⊂Wc(V) \subset W。cc は加群の準同型で、WW 上ではシューアの補題よりスカラー λ\lambda 倍であり、V/WV/W 上では 0 なので tr⁡Vc=λdim⁡W\operatorname{tr}_V c = \lambda\dim W。補題 3.27 より tr⁡Vc=dim⁡L≠0\operatorname{tr}_V c = \dim L \neq 0 なので λ≠0\lambda \neq 0。よって ker⁡c\ker c は部分加群で ker⁡c∩W=0\ker c \cap W = 0、また c(V)⊂Wc(V) \subset W より dim⁡ker⁡c≥1\dim\ker c \geq 1。したがって V=W⊕ker⁡cV = W \oplus \ker c。

段階 2(一般の場合):Hom⁡(V,W)\operatorname{Hom}(V, W) に (x⋅f)(v)=xf(v)−f(xv)(x \cdot f)(v) = xf(v) - f(xv) で LL-加群の構造を入れ、

V={f∣f∣W はスカラー倍},W={f∣f∣W=0}\mathcal{V} = \lbrace f \mid f\vert_W \text{ はスカラー倍} \rbrace, \qquad \mathcal{W} = \lbrace f \mid f\vert_W = 0 \rbrace

とおく。f∣W=a idWf\vert_W = a\ \mathrm{id}_W なら w∈Ww \in W について (x⋅f)(w)=axw−axw=0(x \cdot f)(w) = axw - axw = 0 なので L⋅V⊂WL \cdot \mathcal{V} \subset \mathcal{W} であり、V\mathcal{V}, W\mathcal{W} は部分加群である。f↦af \mapsto a は V\mathcal{V} から KK への全射(WW への射影を考えよ)で核は W\mathcal{W} なので、W\mathcal{W} は V\mathcal{V} の余次元 1 の部分加群である。段階 1 より V=W⊕Kf\mathcal{V} = \mathcal{W} \oplus Kf(KfKf は部分加群)となる ff があり、f∣W=idWf\vert_W = \mathrm{id}_W と正規化できる。x⋅f∈W∩Kf=0x \cdot f \in \mathcal{W} \cap Kf = 0 より f(xv)=xf(v)f(xv) = xf(v)、すなわち f ⁣:V→Wf\colon V \to W は加群の準同型で WW 上恒等写像だから、V=W⊕ker⁡fV = W \oplus \ker f が求める分解である。□\square

補足

ワイル自身の証明は解析的であった。sln(C)\mathfrak{sl}_n(\mathbb{C}) の表現を、コンパクト群 SU(n)SU(n) の表現とみなし、ハール測度で平均して不変内積を作る(ユニタリトリック, unitarian trick)。これは第6章の完全可約性定理に帰着する方法で、第1章の注意 1.10 と同じ発想である。

注意

半単純性は外せない。1 次元リー環 KxKx を x↦Nx \mapsto N(例 1.9 と同じ冪零行列)で K2K^2 に作用させると、不変な直線は Ke1Ke_1 だけで、補空間となる部分加群は存在しない。また標数 p>0p > 0 では半単純リー環でも完全可約性は一般に成り立たない。

ワイルの定理の重要な帰結として、次の抽象ジョルダン分解が知られている(主張のみ。Humphreys の本の §5.4, §6.4 を参照):LL が半単純(KK は標数 0 の代数閉体)なら、各 x∈Lx \in L は ad⁡s\operatorname{ad}_s が対角化可能、ad⁡n\operatorname{ad}_n が冪零、[s,n]=0[s, n] = 0 となる s,n∈Ls, n \in L によって x=s+nx = s + n と一意に書け、さらに任意の表現 φ\varphi について φ(x)=φ(s)+φ(n)\varphi(x) = \varphi(s) + \varphi(n) は φ(x)\varphi(x) のジョルダン分解である。これは第4章でカルタン部分環を構成するときに使う。

3.11 レヴィ分解

定理 3.30(レヴィ分解, Levi decomposition)char⁡K=0\operatorname{char} K = 0 とする。任意のリー環 LL は、半単純部分リー環 SS(レヴィ部分環)によって L=Rad⁡(L)⊕SL = \operatorname{Rad}(L) \oplus S(ベクトル空間として)と分解する。S≅L/Rad⁡(L)S \cong L/\operatorname{Rad}(L) である。(主張のみ)

L/Rad⁡(L)L/\operatorname{Rad}(L) が半単純(または 0)であることは容易である:その可解イデアルの逆像は LL の可解イデアルだから Rad⁡(L)\operatorname{Rad}(L) に含まれる。レヴィの定理の内容は、この商への全射が分裂する(切断となる部分リー環がある)ことである。さらにレヴィ部分環は互いに共役である(マルツェフの定理)。

例 3.31 (1) gln=K⋅I⊕sln\mathfrak{gl}_n = K \cdot I \oplus \mathfrak{sl}_n(リー環の直和)で、Rad⁡=K⋅I\operatorname{Rad} = K \cdot I。(2) アフィン変換のリー環 aff(n)={(A,b)∣A∈gln, b∈Kn}\mathfrak{aff}(n) = \lbrace (A, b) \mid A \in \mathfrak{gl}_n,\ b \in K^n \rbrace、[(A,b),(A′,b′)]=(AA′−A′A,Ab′−A′b)[(A, b), (A', b')] = (AA' - A'A, Ab' - A'b) では、R={(cI,b)}R = \lbrace (cI, b) \rbrace が可解イデアルで aff(n)/R≅sln\mathfrak{aff}(n)/R \cong \mathfrak{sl}_n は半単純なので Rad⁡=R\operatorname{Rad} = R、レヴィ部分環は S={(A,0)∣tr⁡A=0}S = \lbrace (A, 0) \mid \operatorname{tr}A = 0 \rbrace である。

こうして標数 0 のリー環の研究は、可解リー環と単純リー環の研究に帰着する。複素単純リー環は第4章で完全に分類される。

まとめ

  • リー環の基本概念(イデアル・準同型・表現・随伴表現)は群・環の類似である。sl2\mathfrak{sl}_2 は単純。
  • 可解・冪零は導来列・降中心列で定義され、最大の可解イデアル(根基)が存在する。
  • エンゲルの定理(任意の体):冪零行列からなるリー環は同時に狭義上三角化でき、LL が冪零   ⟺  \iff ad⁡x\operatorname{ad}_x がすべて冪零。
  • リーの定理(標数 0 の代数閉体):可解リー環は同時に三角化できる。R\mathbb{R} 上や正標数では成り立たない。
  • キリング形式 κ(x,y)=tr⁡(ad⁡xad⁡y)\kappa(x, y) = \operatorname{tr}(\operatorname{ad}_x\operatorname{ad}_y) は不変対称形式。カルタンの判定法:LL 可解   ⟺  \iff κ([L,L],L)=0\kappa([L, L], L) = 0。
  • 標数 0 で、半単純   ⟺  \iff κ\kappa 非退化。半単純リー環は単純イデアルの直和に一意に分解する。
  • ワイルの完全可約性定理(カシミール元による証明)は、マシュケの定理のリー環版である。
  • レヴィ分解により、任意のリー環は根基と半単純部分環に分解する。

演習問題

問題 3.1 ★ ハイゼンベルク代数(例 3.2 の 4)が冪零であることを確かめ、キリング形式が恒等的に 0 であることを直接計算で示せ。

解答

L2=[L,L]=KzL^2 = [L, L] = Kz, L3=[L,Kz]=0L^3 = [L, Kz] = 0 なので冪零。基底 (x,y,z)(x, y, z) に関して ad⁡x\operatorname{ad}_x は y↦zy \mapsto z、他を 0 に写し、ad⁡y\operatorname{ad}_y は x↦−zx \mapsto -z、他を 0 に、ad⁡z=0\operatorname{ad}_z = 0。任意の a,b∈La, b \in L について ad⁡aad⁡b\operatorname{ad}_a\operatorname{ad}_b は LL を KzKz に写し zz を 0 に写す(ad⁡bz=0\operatorname{ad}_b z = 0)ので、その 2 乗は 0 で冪零、トレースは 0 である。よって κ=0\kappa = 0。

問題 3.2 ★★ gln(K)\mathfrak{gl}_n(K) のキリング形式は κ(x,y)=2ntr⁡(xy)−2tr⁡(x)tr⁡(y)\kappa(x, y) = 2n\operatorname{tr}(xy) - 2\operatorname{tr}(x)\operatorname{tr}(y) であることを示し、sln(K)\mathfrak{sl}_n(K) のキリング形式が 2ntr⁡(xy)2n\operatorname{tr}(xy) であることを導け。(ヒント:M⁡n(K)\operatorname{M}_n(K) 上の線形写像 z↦azbz \mapsto azb のトレースは tr⁡(a)tr⁡(b)\operatorname{tr}(a)\operatorname{tr}(b)。)

解答

ヒントの事実は、基底 EijE_{ij} について aEijbaE_{ij}b の EijE_{ij} 成分が aiibjja_{ii}b_{jj} であることから従う。ad⁡xad⁡y(z)=xyz−xzy−yzx+zyx\operatorname{ad}_x\operatorname{ad}_y(z) = xyz - xzy - yzx + zyx の各項のトレースは、順に tr⁡(xy)tr⁡(I)=ntr⁡(xy)\operatorname{tr}(xy)\operatorname{tr}(I) = n\operatorname{tr}(xy)、tr⁡(x)tr⁡(y)\operatorname{tr}(x)\operatorname{tr}(y)、tr⁡(y)tr⁡(x)\operatorname{tr}(y)\operatorname{tr}(x)、ntr⁡(yx)n\operatorname{tr}(yx) なので、κ(x,y)=2ntr⁡(xy)−2tr⁡(x)tr⁡(y)\kappa(x, y) = 2n\operatorname{tr}(xy) - 2\operatorname{tr}(x)\operatorname{tr}(y)。sln\mathfrak{sl}_n は gln\mathfrak{gl}_n のイデアルなので、補題 3.18 より κsln(x,y)=2ntr⁡(xy)\kappa_{\mathfrak{sl}_n}(x, y) = 2n\operatorname{tr}(xy)。n=2n = 2 で例 3.19 と一致する。

問題 3.3 ★★ sl2\mathfrak{sl}_2 の随伴表現について、キリング形式 κ\kappa に関するカシミール元 cc を計算し、c=idc = \mathrm{id} であることを確かめよ。

解答

κ(E,F)=4\kappa(E, F) = 4, κ(H,H)=8\kappa(H, H) = 8 より、(E,H,F)(E, H, F) の双対基底は (F/4,H/8,E/4)(F/4, H/8, E/4) で、c=14(ad⁡Ead⁡F+ad⁡Fad⁡E)+18ad⁡H2c = \frac{1}{4}(\operatorname{ad}_E\operatorname{ad}_F + \operatorname{ad}_F\operatorname{ad}_E) + \frac{1}{8}\operatorname{ad}_H^2。EE に作用させると ad⁡Ead⁡FE=ad⁡E(−H)=2E\operatorname{ad}_E\operatorname{ad}_F E = \operatorname{ad}_E(-H) = 2E, ad⁡Fad⁡EE=0\operatorname{ad}_F\operatorname{ad}_E E = 0, ad⁡H2E=4E\operatorname{ad}_H^2 E = 4E なので cE=24E+48E=EcE = \frac{2}{4}E + \frac{4}{8}E = E。同様に ad⁡Ead⁡FH=ad⁡E(2F)=2H\operatorname{ad}_E\operatorname{ad}_F H = \operatorname{ad}_E(2F) = 2H, ad⁡Fad⁡EH=ad⁡F(−2E)=2H\operatorname{ad}_F\operatorname{ad}_E H = \operatorname{ad}_F(-2E) = 2H, ad⁡H2H=0\operatorname{ad}_H^2H = 0 より cH=HcH = H、対称性から cF=FcF = F。補題 3.27 の dim⁡L/dim⁡V=3/3=1\dim L/\dim V = 3/3 = 1 と一致する。

問題 3.4 ★★ 実リー環 so(3)\mathfrak{so}(3) が単純であることを示せ。また su(2)\mathfrak{su}(2) のキリング形式が負定値であることを確かめよ。

解答

so(3)≅(R3,×)\mathfrak{so}(3) \cong (\mathbb{R}^3, \times)。イデアル I≠0I \neq 0 が a≠0a \neq 0 を含むとする。任意の bb について a×b=[a,b]∈Ia \times b = [a, b] \in I であり、写像 b↦a×bb \mapsto a \times b の像は aa の直交補空間 a⊥a^\perp 全体なので、a⊥⊂Ia^\perp \subset I。a∈Ia \in I と合わせて I=Ra+a⊥=R3I = \mathbb{R}a + a^\perp = \mathbb{R}^3。非可換なので単純である。su(2)≅so(3)\mathfrak{su}(2) \cong \mathfrak{so}(3) で、κ(Li,Lj)=tr⁡(LiLj)=−2δij\kappa(L_i, L_j) = \operatorname{tr}(L_iL_j) = -2\delta_{ij}(例えば L12=diag⁡(0,−1,−1)L_1^2 = \operatorname{diag}(0, -1, -1))なので負定値である。

問題 3.5 ★★ ユークリッド運動群のリー環 e(3)=so(3)⋉R3\mathfrak{e}(3) = \mathfrak{so}(3) \ltimes \mathbb{R}^3([(A,a),(B,b)]=([A,B],Ab−Ba)[(A, a), (B, b)] = ([A, B], Ab - Ba))の根基とレヴィ部分環を求めよ。

解答

R={(0,b)}R = \lbrace (0, b) \rbrace は [(A,a),(0,b)]=(0,Ab)[(A, a), (0, b)] = (0, Ab) より可換イデアルで、e(3)/R≅so(3)\mathfrak{e}(3)/R \cong \mathfrak{so}(3) は単純(問題 3.4)。Rad⁡\operatorname{Rad} の so(3)\mathfrak{so}(3) への像は可解イデアルなので 0、よって Rad⁡⊂R\operatorname{Rad} \subset R、また RR は可解なので Rad⁡=R\operatorname{Rad} = R。S={(A,0)}≅so(3)S = \lbrace (A, 0) \rbrace \cong \mathfrak{so}(3) は部分リー環でレヴィ部分環である。

問題 3.6 ★★ 標数 0 で、LL が可解であることと ad⁡L\operatorname{ad}L が可解であることは同値であることを示せ。また LL の任意の有限次元既約表現 VV について、LL が可解かつ KK が標数 0 の代数閉体なら dim⁡V=1\dim V = 1 であることを示せ。

解答

ad⁡L≅L/Z(L)\operatorname{ad}L \cong L/Z(L) で、Z(L)Z(L) は可換(可解)イデアルなので、命題 3.9 の (1), (2) より同値。後半:リーの定理を ρ(L)⊂gl(V)\rho(L) \subset \mathfrak{gl}(V)(可解リー環の像なので可解)に適用すると共通の固有ベクトル vv があり、KvKv は部分加群である。既約性から V=KvV = Kv。

問題 3.7 ★★★ char⁡K=0\operatorname{char} K = 0、LL を半単純とする。LL の導分はすべて内部導分 ad⁡x\operatorname{ad}_x であることを示せ。

解答

D=Der⁡(L)D = \operatorname{Der}(L), M=ad⁡LM = \operatorname{ad}L とおく。Z(L)=0Z(L) = 0 より M≅LM \cong L。δ∈D\delta \in D について [δ,ad⁡x]=ad⁡δ(x)[\delta, \operatorname{ad}_x] = \operatorname{ad}_{\delta(x)}(両辺を yy に施して導分の定義を使う)なので MM は DD のイデアルであり、補題 3.18 より κD∣M=κM\kappa_D\vert_M = \kappa_M は非退化である。M⊥M^\perp(κD\kappa_D に関する直交空間)は DD のイデアルで、M∩M⊥=0M \cap M^\perp = 0(κM\kappa_M の非退化性)。よって [M,M⊥]⊂M∩M⊥=0[M, M^\perp] \subset M \cap M^\perp = 0。δ∈M⊥\delta \in M^\perp なら ad⁡δ(x)=[δ,ad⁡x]=0\operatorname{ad}_{\delta(x)} = [\delta, \operatorname{ad}_x] = 0 なので δ(x)∈Z(L)=0\delta(x) \in Z(L) = 0、すなわち δ=0\delta = 0。κD\kappa_D は退化しているかもしれないが、M⊥M^\perp は κD∣D×M\kappa_D\vert_{D \times M} の核なので dim⁡M⊥≥dim⁡D−dim⁡M\dim M^\perp \geq \dim D - \dim M であり、M⊥=0M^\perp = 0 から D=MD = M。

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